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インチガワー 18年 2000-2018 信濃屋銀座店24周年記念 53.3%

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INCHGOWER
SHINANOYA GINZA 24th Anniv
Aged 18 years
Distilled 2000
Bottled 2018
Cask type Hogshead #804706
700ml 53.3%

グラス:グレンケアンテイスティング
場所:Jam Lounge
時期:開封後2週間程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで華やかなウッディネス。干草、ビスケット、バニラや洋ナシ、そしてパイナップルを思わせるフルーティーさが徐々に開いてくる。奥にはケミカルなニュアンス。

味:スムーズで少し青みがかったフルーティーな口当たり。瓜やすりおろし林檎、そしてパイナップルキャンディ。奥には微かにおしろいっぽさを含む麦芽風味。
余韻はオーキーな華やかさと、乾いた植物。ケミカルなニュアンスを伴うフルーティーさとシロップの甘み。軽いスパイシーな刺激を伴うフィニッシュ。

ボディはミディアム程度のハイランドタイプのモルトに、ホグスヘッドらしいフルーティーさが合わさっている・・・のだが、アイリッシュっぽい要素も含んでいる。少量加水すると樽感と酒質由来の要素が混ざりありバランスが整う。


信濃屋銀座店のオリジナルボトル。ラベルのベースとなったイラストの描き手、アルフォンス・マリア・ミュシャから通称"ミュシャラベル"と呼ばれるリリースです。
2016年にリリースされた前作は、2000年蒸留のグレンギリー15年。このリリースは蒸留所のキャラクターが判りやすいだけでなく、バーボン樽由来のフルーティーさが合わさって内容的にも価格的にも満足度の高い1本に仕上がっていたところ。

そして同店の24周年を記念して今年再びリリースされたミュシャが、同じ2000年蒸留のインチガワー18年です。
インチガワー自体はベルなどのブレンド向け原酒であるため、ボトラーズのリリースはそう多くはなく、オフィシャルも花と動物シリーズの14年が代わりにある程度。シングルモルトとしてそこまで個性に馴染みがある蒸留所ではないのですが・・・、微かな塩気を伴うハイランドタイプのモルトというのが、広く認知されているハウススタイルでしょうか。


今回のボトル、リリース時に銀座店店頭で選定用のカスクサンプルもテイスティングさせてもらっています。
そのサンプルではホグスヘッド由来のフルーティーさとバニラ、ビスケットのような麦芽風味があり、ボトラーズのハイランドモルトとして、そしてインチガワーとしても、納得できる作りが感じられました。

ところが、リリースされたボトルを飲んでみると、フルーティーさにケミカル系のアイリッシュっぽい要素が加わっており、キャラクターの違いに少々驚かされました。
サンプリング時とボトリングまでの間の経過に伴う熟成を通じた変化。加えて樽の中の味わいは均一ではないということと、場合によってはボトリング設備の影響を受けることもある。この違いは樽買いの難しさだと思います。



(信濃屋WEBサイトより引用。インチガワー蒸留所外観の一部とポットスチル。)

想定とはちょっと異なったのではないかと思いますが、いずれにせよ純粋に美味しいボトラーズリリースです。
今回のサンプルは、信濃屋バイヤー陣が現地で調達、同店副店長かつハードリカー担当の堤氏が選定したもの。 ウイスキー高騰が続く中で、前回のグレンギリー同様に内容的にも価格的にも納得感あるリリースを選べるのは、同店がこれまで作ってきたコネクションがあるからこそですね。

リリースから紹介が遅くなってしまいましたが、信濃屋銀座店は来年の25周年、そして30周年に向け、今後も日本のハードリカーシーンを牽引する拠点の一つであってほしいと感じています

ベル 20年 ロイヤルリザーブ 43% 1980年代流通

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BELL'S
Royal Resrve
20 Years old
1980's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅(@TWDさん)
時期:開封後1週間以内
評価:★★★★★★(6)

香り:甘くまろやかな香り立ち。カルメ焼きやバタークッキー、ナッツを思わせる麦芽風味。古酒感はあるがアルコールも立って状態良し。時間経過でポン菓子系の穀物香、カスタード、お菓子のイメージ。

味:スムーズでコクのある口当たり。熟成を感じる穏やかな穀物風味。バタークッキー、ハニートースト、サトウキビのような植物のニュアンス。
余韻は穏やかでスウィート。淡くカラメルソースのオールドシェリー感を伴う。

スムーズでまろやかで程よい熟成感のあるブレンデッド。モルティーだが、華やかさより素朴な印象。クセの少ない構成はオールドボトルの入門にも勧めたい。ストレート、ロック、ハイボール、なんでも楽しめるタイプ。


アーサーベル社がリリースしていたハイエンドブレンデッド。市場には1970年代から1980年代、特に1980年代のものが多く流通しており、これもその時期のものと思われます。
スコッチオデッセイによると、傘下蒸留所はダフタウン、インチガワー、ブレアソールで、ベル社の製品はそれら蒸留所が作るモルトだけで構成原酒を賄う方針をとっていた模様。実際、今回のボトルを飲んだ印象もまた、3蒸留所の中ではダフタウンの比率が高いと感じる、素朴なモルティーさと柔らかい味わいです。

他方、アーサーベル社は1985年のギネス社による買収、そして1986年にはそのギネス社がUD社(現ディアジオ社の前身の一つ)を買収。
時の最大勢力と同門となったことでブレンド方針にも変更があったのか、ハイエンドに当たるベル20年の1980年代流通は、時代や流通先による香味の違いが大きかったように思います。

自分がこれまで購入した複数本も、コルクがべったり張り付くようなシェリー系のロットさに当たったと思えば、今回のようにソフトで穏やかなロットに当たることもある。
ラベルを見ると、細かい変更が何度も行われており、日本流通品などを頼りにある程度当たりはつけられましたが、その変化を時系列的に整理するのは困難と、昔ブログを書いていた時にさじを投げたのを思い出しました。

スコッチブレンデッドウイスキーにおける「キーモルト」は、その原酒だけでウイスキーを作っているという意味に加え、ブレンドにおける特徴づけをこの原酒で行なっているという整理も含めます。
そのため、各ブレンデッドメーカーでは傘下となる蒸留所の原酒の比率が多くなるのは勿論、その時その時で工面できる原酒をベースに使ったり、「バルク」として位置付けられるあらかじめブレンドされている無個性なウイスキーを購入してきたり、グレーンの比率を多くしたりしていたようです。

キーモルトは"これ"、とされているブレンデッドを飲んでも、それとわかる味がしなかったり。ロットによって味が大きく変わる一方で、ブレンデッドウイスキー全体で見て似たような味わいになっているものが少なからずあったりするのは、こうした背景によるものと考えられます。

話は変わりますが、ベルはイギリスにおける祭事、祝い事の際には欠かせない「門出の酒」として定着しています。
自分が結婚した時も、ウイスキー仲間の1人から、このベル20年を頂きました。
その経緯もあり、バックストーリー含めて懐かしい気持ちになった1杯でした。


ベル エクストラスペシャル 1980年代流通 ウイスキー特級

カテゴリ:


BELL’S 

Extra Special 

Old Scotch Whisky 

1980’s 

43% 750ml 

構成原酒:ダフタウン、ブレアソール、インチガワーなど 

評価:★★★★★(5)

 

香り:若いえぐみをともなう、ほろ苦く香ばしい麦芽風味とスモーキーさ、徐々に青みがかった植物っぽさ、乾燥トウモロコシ、穀類の淡い甘さも感じる。


味:最初はのっぺりした甘さがすぐにスパイシーな口当たりに。シロップ、サトウキビ、雷おこし、ほのかに若さも感じるえぐみ。 余韻は香ばしく焦げたような苦味もある麦芽風味、ポン菓子、ザラメ、べったりとしたグレーンの甘い風味が舌の上に張り付くように残る。



イギリスではお祝いの席に欠かせないというブレンデッドウイスキー。

肩ラベルに書かれた「Afore ye go(汝らいざ進め)」というキーワード、 聖書に書かれたフレーズで、 乾杯の掛け声として使われているのだとか。

この1月に成人した方々や、4月から社会人となる方々など、節目を迎えた時にオススメしたい銘柄ですね。


今回のボトルであるエキストラスペシャルは、同じラベルのものが1970年代から 1980年代にかけて流通しており、これは 750ml表記であることから1980年代中期ごろに流通したと思われるボトルです。

以前760mlの日本正規品を1本家飲みしましたが、 オールド特有の経年による変化の誤差を除けば、 大きな違いは無いように感じます。

エクストラスペシャルは、スタンダードクラスのウイスキーらしく、樽感は淡く、サトウキビや穀物風味、のっぺりとのしかかるようなグレーンの主張も感じられます。

余韻にかけてピートはあまり感じられず、香ばしい麦芽風味主体。原酒の傾向もどちらともつかない、 良くも悪くもスタンダードなブレンデッドという印象。

水で割っても風味のコシが折れないので、ストレートよりはハイボールやロックでぐいぐいやりたい、そんな味わいです。


 

先日の持ち寄り会の際、くりりんさんぜひ飲んでくださいと参加者の一人からミニチュアボトルを頂きました。ちょうどボトルが手元になく、掲載が遅れていたベルです。

早速開封して飲ませていただきましたが、せっかくなのでいろいろな飲み方も掲載したく、頂いた分で賄えなかったテイスティングは、日本橋のIANで同じ時期のボトルを別途テイスティングしました。

掲載情報充実の機会を頂き、ありがとうございました!

 

インチガワー 29年 1982年蒸留 2011年ボトリング 54.5% BBR

カテゴリ:

INCHGOWER 
BERRY BROS. & RUDO 
Aged 29 years 
Distilled 1982 
Bottled 2011 
Cask no. 6967 
700ml 54.5% 
暫定評価:★★★★★★(6) 

香り:穏やかな香り立ち、乾いた植物を思わせる柔らかいピートフレーバー。熟したオレンジ、アプリコットのフルーティーさ、クリーミーなアロマ。

味:クリーミーな口当たり、麦芽風味、ママレードジャム、ホットケーキのようにふっくらと甘い。そこから内陸系の癖のないピートフレーバー、土っぽいニュアンスを伴うピーティーな余韻へ。
香り同様の構成で安心して楽しめる。

TWDにてリーダーのTさんが荒ぶる自分の心を鎮めるために持ってきてくださったモノ(笑)
これまでオフィシャルオールドからボトラーズまでいくつか飲んできて、インチガワーは個性的なモルトが多い印象。特にシェリー系の原酒が良くも悪くもイメージとして残っている反面、プレーンオーク、バーボン樽で熟成されたボトルの印象はあまりなく、このボトルはホグスヘッド系のプレーンな香味に、酒質由来と思しき個性的な風味が面白い。楽しみながら飲ませていただきました。

一言で非常にクリーミーな味わい。このクリーミーさは近年のソーピーさが抜けたエドラダワーとも共通する白っぽいクリーミーさです。オレンジとホットケーキを思わせる麦芽風味、そこに内陸系の癖のないピートフレーバーが心地よい。
インチガワーは上述の通り癖の強い蒸留所という認識が強く、あまり手は出していなかったのですがこういうボトルがあるなら、いくつか飲んでみたいですね。


余談:前回のTWDは持ち寄り会反省会も兼ねていたので、ひとしきり議論した後はご飯タイムでした。
ウイスキー仲間の間で定評のあるクリリン餃子を焼きまくって、シメはホルモン焼きそばというおおよそウイスキー会とはかけ離れたメニューを提供。
でも久しぶりに大量の餃子を作って楽しかったですw

マッケンジー デラックスモルトウイスキー 1960年代流通

カテゴリ:
オールドボトル、特にシングルモルトの価格高騰が容赦無く私の財布の息の根を止めに来ています(笑)。
もう有名どころは買えませんね…となるとムクムクと湧き出すのが、大陸様ノーマークな珍品珍味系発掘の冒険魂。
このボトルは2年ほど前に購入したそっち系。昨年末頃飲み切ってしまいましたが、オールド感があってゆるく楽しめるボトルでした。

McKENZIE
DELUXE Malt Whisky
PURE SCOTCH MALT
1960-1970's
750ml 43%

評価:★★★★★(5)

"注ぎたてはオールドブレンデットにあるようなオールド香が強いが、徐々にモルトを思わせる多層的な香り。ややヒネたカラメル、ドライな麦感、かすかにスモーク、そして木材やママレードの香りを思わせるシェリー香。
スムーズな口当たりからピリッとしたスパイシーさと、カラメルシロップを思わせるコクと甘くほろ苦い香味。厚みはあまりなく中間はやや単調気味。
ほろ苦さは徐々にグレープフルーツのような柑橘系の余韻に変わり、長く残る。"

今回のボトルは3スターのTAXシールでコルクキャップ、1960年代から1970年代の流通と思しきボトル。
マッケンジーは現在はスペルが多少異なり、MacKENZIEないし、リアルマッケンジーとしてブレンデットウィスキーが販売されています。
そのマッケンジーはベル社から原酒を調達している関係で、ほぼ同じ原酒を使用している姉妹品的なブランド。中身は「インチガワー」「ダフタウン」「ブレアソール」がメインといわれています。

個人的にはインチガワーと思しきニュアンスが感じられましたが、実際のところ中身が何なのかは正確にはわかりません。
この3種類のモルトもそこまで飲んでるわけじゃないですし(笑)

こうしたボトルは他の銘柄にも存在しており、このブログでもJ&Bやハウスオブピアーズのピュアモルトを記事にしていますが、
その他にオールドボトルとしては、
ハンキーバニスター→グレンドラモンド(グレンファークラス)
フィンドレイター→フィンドレイター・シングルモルト(?)
バロックレイド→グレンイラ(カリラ)
等々、日本市場に入った量が少ないためなかなか出物はありませんが、古き時代のモルトの味を比較的手軽な価格で(モノによっては高騰します)味わえるのもポイントです。



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