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イチローズモルト バーテンダーズチョイス 神田祭2019 シングルカスクブレンデッド 58.6%

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ICHIRO'S MALT 
BARTENDER's CHOICE 2019 
Single Cask Blended Whisky 
Selected by 神田 Bar Society  
Cask No, 5294 
700ml 58.6% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:新宿ウイスキーサロン
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:前面にライ系や新樽穀物の要素。スパイシーな香り立ちから、ウッディで干し藁やオーキーな華やかな酸のあるリンゴ、オレンジリキュールなどのアロマも感じられる。

味:スパイシーでしっかりとボリュームのある口当たり。柑橘のニュアンスからバニラと洋梨、アメリカン系の穀物やライを思わせる酸味もある。
余韻はドライで微かにスモーキー。ハーブの爽やかさとひりつくようで長く続くフィニッシュ。

これまで飲んだワールドブレンデッドシリーズでは一番好み。アメリカン系のフレーバーとモルト、それぞれの個性がマリッジに使われた樽感の中で融合したような美味しさが感じられる。少量加水しても崩れず、さらにバランスがよく柑橘のニュアンスがもう一歩前に出てくる。某社のワールドブレンドもこれくらいだったら。。。

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隔年で5月に開催される神田祭りを記念し、神田にBARを構えるバーマンや飲食店らが共同でリリースに関わる記念ボトル第4段。
最近イチローズモルトでリリースが増えている、ワールドブレンデッド区分のシングルカスクブレンデッドウイスキーです。

イチローズモルトのワールドブレンデッドのシングルカスクは、ハイプルーフな原酒を混ぜ合わせ、カスクストレングスでボトリングしているためか、マリッジの樽由来のフレーバーを突き抜けるような、様々な個性がぶつかり合う印象があります。
これが良い方向に振れれば良いのですが・・・なかなかそうなるとは限りません。若さが悪目立ちしたり、喧嘩してるような難しいボトルもあります。

しかし今回のリリースは、後熟に使われたとおぼしきバーボン樽由来のスパイシーさや華やかさに加え、いわゆるバーボンやカナディアンなどアメリカン系のライっぽさに通じる酸味と穀物由来の香味が、5~10年熟成程度のモルトのフレーバーと混じりあって融合している。
またバランスを取っている15年程度のミドルエイジの原酒も繋ぎの仕事をしており、第一印象ではバーボン系の個性の主張に驚くと思いますが、ジャパニーズを始めスコッチタイプの原酒も負けてない。高度数故のバランスを楽しむことが出来ました。
これは是非ストレートか少量加水で楽しんでほしいですね。


裏ラベルに書かれた「新たな時代を彩るボトル」の言葉。平成から令和へと時代が代わり、少なくとも今年に入ってウイスキー業界で何が変わったかと言えば、輸入原酒を使ったワールドブレンデッドの存在があります。
これまでは暗黙のうちに作られていたものが公になってきただけでなく、ジャンルの1つとして、今後も多くのメーカーからリリースされるだろうとも考えられます。

例えば、輸入原酒といってもスコッチタイプのみで仕上げても区分はワールドブレンデッドですが、それでは現地スコットランドのものと変わらないし、やはりワールドを名乗るからには各地のウイスキーの個性を融合することにも可能性を見いだしたい。
今回のリリースは、そんな自分が考えるワールドブレンデッド像にあって、ウイスキーの新たな時代に示すお手本のような構成だと感じたのです。


このボトルは新宿ウイスキーサロンで飲みましたが、そもそもは神田祭を記念したリリース。神田にあるBARを中心に取り扱われており、自分が知ってるウイスキーが強いところだとGROOVY、サンディマック、Eclipseなどで飲むことができます。(特にGROOVYさんは本企画の発起人でもあります。)
この記念ボトルは2011年の大震災以降自粛されていた神田祭再開の2013年から始まり、2015年以降は蒸留所の成長と共に歩んできた経緯もあります。
その想いやボトルに関するコアな情報を聞きたい方は、是非テイスティングがてら神田を訪れて見ては如何でしょうか。ディープな街で面白いですよ!

イチローズモルト マデュロオリジナルブレンデッド 2019年リリース 58%

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ICHIRO'S MALT 
MALT & GRAIN 
MADURO ORIGINAL BLENDED 
French Oak Cask Finish 
Single Cask Blended Whisky 
Release in 2019 
700ml 58%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:BAR BLACK HEART @持ち寄り会
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ボリュームのあるしっかりとした香り立ち。乾いた檜木やバニラクリームのような木香に、レモンバウムのような加工されて角の取れた酸を感じる。奥にはシナモンやハーブ、和生姜のスパイシーさも伴う。

味:ドライでウッディ、口内に広がる香り同様の木材感やバニラ香と、合わせてドライアップルや砂糖をまぶしたレモンピールのような甘酸っぱいドライフルーツ風味。若さもあるが、熟成感も同時に備えており、穀物系のニュアンスと共に余韻はしっかりとしたスパイシーさ、強い樽感で整えられたような味わいがある。

基本的にはイチローズモルトのワールドブレンデッド系統の味わいであるが、平均的な熟成感の高さがバランスを取り、フィニッシュに用いたフレンチオーク由来と思われる強いウッディネスが仕上げとばかりに濃厚に全体を覆っている。加水すると、原酒部分とのバランスが崩れるのか、バニラの甘みと共にウッディな香味と、若干の青さ、若さ由来のスパイシーさが目立ってしまう。


本日のレビューは、自分のような一般人でも、名前くらいは聞いたことがあるだろう高級ホテル・グランドハイアット東京にあるジャズラウンジ「マデュロ」が、イチローズモルトと共に企画したオリジナルウイスキーです。

その仕込みは約4年前、まさにマッサンによってウイスキーブームに火がついた時に行われたもの。
イチローズモルトが調達した10~20年熟成のスコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアンの各種原酒と、恐らく秩父以外に羽生、川崎らも含まれているであろう日本産の原酒。これらのブレンドをフレンチオーク樽で3年間フィニッシュし、カスクストレングスでボトリングした、ワールドブレンデッド規格のシングルカスクブレンデッドウイスキーです。(長いw)

今年の秩父ウイスキー祭の記念ボトルでも同じ規格のものがリリースされていましたが、印象としてはフィニッシュ樽の違いだけでなく、原酒の熟成感含めて全体のレベルがワンランク違うなと感じています。

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その構成等を香味から推察すると、モルトとグレーンの構成比率は5:5程度。国産原酒由来とおぼしき樽感と酸、そして勢いのある香味を、適度な熟成感のあるハイランドタイプの柔らかいモルト原酒とグレーンが繋ぐ。イチローズモルトらしい個性が感じられつつも、尖りきらない構成にまとめられています。
またフィニッシュ用の樽はフレンチオークの新樽だったのでしょう。樽熟ワインなどに感じられる、乾いた木香とバニラ系のアロマとウッディネスが強く全体を包み込んで、前述の仕上がりに繋がる要素となっているのです。

もうひとつの特徴として、フィニッシュ期間が3年間と長いことからか、ストレートで飲む分には味わいの解離が少ないように感じられます。
しかし加水すると原酒部分の要素が弱まるためか、樽感とのばらつきが少し出始め、特に1:1程度まで割った時の樽香の広がり方はかなり浮わついているようでした。
そのため、飲み方としてはテイスティンググラスよりもロックグラスなど口が開いたものを使って、ストレートあるいはロックで飲むと、香りが必要以上に増幅されず適度な距離感で楽しめるのかもしれません。
(ラウンジで、ジャズを聞きながらロックスタイルで飲むには丁度良いかもしれません。)


今回のリリースを含めてイチローズモルトのブレンデッドのポイントは、多様な原酒を使ったブレンデッドウイスキーでありながら、”イチローズモルトらしさ”という枠の中に収まっていることだと感じます。
例えば、響とマデュロはまったく個性が違います。あるいはバランタインなどのブレンデッドスコッチとも違います。当たり前の話ですが、輸入したスコッチ原酒のみを使えば、それっぽい味わいを作ることは出来るものの、イチローズモルトというブランドを考えると、ブレンデッドスコッチの再現は違いますし、響の再現も当然方向性が違います。

大手ブレンデッドメーカー各社と同様に、”ブランドらしさ”の上で、どのようなキャラクターを表現するかは、ウイスキーメーカーとして立ち位置の確立に繋がる重要な要素と言えます。
嗜好品であるため、好みの差異は個人個々で当然あるわけですが、その前提には他のイチローズモルトの製品同様に、ちゃんとイチロー味であることがあります。

長々書いてしまいましたが、このウイスキーが企画されたという2015年は、まだハイエンドグレードといえば長熟の羽生と川崎の樽感どっしりのリリースが多かった時期です。作られてはいましたが、ワールドブレンデッドという単語もありません。
それが、2019年の今飲んでも違和感の無いキャラクターに、こういう中長期的な視点でのブレンドの仕込みも行われていたんだなと。メーカーとしての戦略も感じたリリースでした。


以下、余談。
マデュロオリジナルブレンデッドは、公式情報を見ると同ラウンジ以外で飲むことが出来ないように読めますが、ブティックショップにてごく少量一般販売が行われたそうです。
このレビューはそのボトルをウイスキー仲間主催の定例会で頂いたもの。持ち主のミルキーKさんからは、開けたからには掲載してもらうというご希望あり、感謝の気持ちと共に、姿勢を正してテイスティングさせて頂きました。

秩父 7年 2011-2019 MDC 62.3% 古谷三敏 レモンハートラベル

カテゴリ:
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ICHIRO'S MALT 
CHICHIBU 
Malt Dream Cask For TMC 
Aged 7 years 
Distilled 2011 
Bottled 2019 
Cask type Bourbon barrel #1535 
700ml 62.3% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:Sinjuku Whisky Salon
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで乾いた木香、新築の日本家屋のよう。強くバニラとスパイシーな要素に、軽くオレンジピール、ハーブやハッカのような秩父らしい癖も伴う。

味:ツンとした刺激と粘性を感じる口当たり。香り同様に乾いた木香やナッツを思わせる軽い香ばしさ、そこからドライアプリコットやパイナップル、黄桃、オーキーで濃縮した黄色いフルーティーさが広がる。
余韻はスパイシーでウッディ、黄色い果実の残滓にハッカや和生姜のような、らしさも伴う長いフィニッシュ。

秩父味の上に美味しいバーボン樽味のソースがかかっているようなモルト。秩父モルトはともすると樽と酒質がばらついて、ごちゃごちゃしたような香味のものも少なくないが、これは樽由来の味が、アメリカンホワイトオークに求めるそれがしっかり備わっている。加水するとウッディさはマイルドになるが、良さもぼやけてしまう。

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イチローズモルトの樽売り制度、モルトドリームカスクによる、プライベートボトリング。
モルトドリームカスクは、通常はノンピート(極ライトピート)モルトにバーボンバレルというスペックで、最長10年の預かり期間のなかで熟成が行われています。
そうなると10年を目指したいのが飲み手の心情ですが、秩父という地域の特性上、樽感のピークが早い環境であることから10年まで熟成させるのはチャレンジであり、実際これまで5年から7年熟成あたりを中心にリリースが行われてきました。

それは周年ラベルや何らかの記念、あるいは純粋に商品として・・・時に工夫を凝らしたものであったのですが、そのなかでも”このラベルの特別感"は凄いです。
ウイスキー好きなら一度は見たことがあるだろう、漫画BARレモンハートの著者・古谷三敏氏の書き下ろしで直筆サイン入り。マスターと肥土伊知郎氏が、秩父蒸留所の蒸留設備を背景にウイスキーを飲み交わしている構図。やれと言われても、普通はこんな企画を形に出来ません。
くっ、これがオトナ(コネ)の力か・・・(笑)。

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一方肝心の中身はというと、やはり秩父の原酒なので、ハッカのような、あるいは和生姜のような、この蒸留所独特のトーンの高い辛さ、そしてウッディなえぐみのような要素は多少なりに感じられます。

この個性は秩父モルトという”料理”のお約束。あとはどれだけ熟成感があって、酒質と喧嘩しない"樽味のソース"がかかっているかなのですが、今回のボトルはまさに良い樽に当たっていると思います。
変に乾いた木材感だけではなく、特に味の後半にかけてアメリカンホワイトオーク由来の要素が濃縮したような華やかさとフルーティーさが好印象。8年弱という熟成的にも、ちょうどそれがピークに来ているという印象です。

今回のリリースはウイスキー愛好家グループの関係者を中心に配布されたもので、テイスティングは4月16日に正式オープンするBAR LIVETの2号店、Sinjuku Whisky Salon (新宿ウイスキーサロン)のプレオープン時、届いたばかりのボトルをオーナーの静谷さんと頂きました。

先に書いたように、MDCリリースはすべてが樽由来のフルーティーさを濃厚に備えるわけではなく、特に原酒の方向性を模索中だった蒸留所創業初期のものには「?」と思うようなものもあります。
そうでありながら、今回の味わいについては
「悪くないですね」
「良いフルーティーさです」
「でもこの樽に当たるって、ラベルといい妙な引きの強さありますよね」
「ほんとに、羨ましい限りで」
などという会話が、鬼の居ぬ間にあったようななかったような・・・。なんかちょっと悔しいけどそういうリリースなのです。

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以下、余談。
この度開店する新宿ウイスキーサロンは、サロンというだけあってLIVETとは方向性の違う、和のニュアンスを取り入れたスタイリッシュなデザインのお店となっています。
4月16日のグランドオープンにあわせ、また2月に5周年を迎えたLIVETの両店舗でイベントも行われる模様。以下は、お店側からのPR になります。

【ShinjukuWhiskySalon グランドオープン】×【BAR LIVET 5周年】
両店舗の合同イベント開催
〈4月16日(火)〜4月22日(日)6日間〉

【イベント内容】
Shinjuku  Whisky Salonではイベント期間中、2酒類のミニチュアボトルのプレゼントチャンスがあります。
・スペイサイドシングルモルト15年終売品(限定200本)
・某ジャパニーズニューボーン未発売品
(限定200本)

どちらもこの機会を逃すと入手が不可能な限定ミニチュアとなっています!
先着順ですのでお早めに御入手下さいませ。

【Shinjuku  Whisky Salon】
〒160-0022
東京都新宿区新宿3-12-1佐藤ビル3階
TEL:03-3353-5888
新宿3丁目駅B2出口より2分
プロントさんの向かいのビルの階段で3階
(BAR LIVETより徒歩50秒)
営業時間:19時〜0時迄(4月中)

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イチローズモルト 秩父ウイスキー祭 2019 ワールドブレンデッド 58.4%

カテゴリ:
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CHICHIBU WHISKY FESTIVAL 2019
SINGLE CASK WORLD BLENDED WHISKY 
Ichiro's Malt & Grain 
Finished cask type Bourbon barrel #5298 
Bottled December 2018 
750ml 58.4% 

グラス:グレンケアンテイスティング
時期:開封後1ヶ月未満
場所:BAR Eclipse 
暫定評価:★★★★★(5ー6)

香り:スパイシーでドライ、あまり香りが立たないが、じっくりスワリングして開かせると、バニラや林檎を思わせる果実香がハーブ、干し草のような乾いたウッディさの中に感じられる。加水すると熟した果実のようなアロマも。

味:スパイシーで刺激の強い口当たり。若干若さに通じる酸味もあるが、合わせて粘性のあるグレーンの穀物系の甘み。奥には熟成したモルティーさ、蜂蜜やオレンジジャム、樽感は適度にまとまっている。
余韻はビターで軽いえぐみを伴うが、キレのいいドライなフィニッシュ。

幅広い熟成年数を感じさせる構成で、10~15年程度熟成のスコッチ系のモルトやグレーンのニュアンスに、強いアクセントを与えている秩父モルトのスパイシーさという構成。多彩というか奔放な味わいで、まとまっているとは言いがたいが、時間が解決してくれるかもしれない。

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今年の秩父ウイスキー祭の記念ボトルとしてリリースされた、5銘柄のうちの1本。イチローズモルトが調達した、海外生産のモルト、グレーンと秩父原酒をブレンドしたワールドブレンデッドを、バーボンバレルでフィニッシュしてボトリングした、シングルカスクブレンデッドという珍しいリリースです。

このブレンデッドについては、ベースは既存のホワイトラベルとして構成されたブレンドという情報と、今回のリリース用にブレンドしたものという情報があります。
飲んでみると、既存のホワイトラベルの味わいとは共通する要素もあれど、一部の熟成感が異なっている印象。リミテッドのワールドブレンデッドまではいかないながら、例えばリリースの1年くらい前に一部ミドルエイジクラスの原酒も使って準備していたものかなと予想します。

全体的な完成度としては正直なところ振れ幅の大きい味わいで、ハイランドタイプの原酒のまろやかさ、少しトーンの高いアイリッシュを思わせるニュアンス、グレーンのバニラや蜂蜜などの甘み、そしてスパイシーな秩父モルト。。。良い部分も悪い部分もあり。悪く言えば落ち着きがない、良く言えば多彩という構成。
フィニッシュというほどバーボンバレルの個性も出ていないため、期間も短かったのでしょう。何れにせよ、まとまり良く仕上げるならもう少し時間が必要であると感じます。

ただ、こうしたスモールバッチでのリリースができるのはクラフトならではです。
その作りも、下手に綺麗で洗練されたような大手製品より、クラフトらしいと感じられるのは違う意味で魅力であり、面白さでもあります。
こじつけ気味ですが、このわいわい騒いでるような感じは、祭りっぽいと言えば祭りとも言えるリリースなのかもしれません。

ワールドウイスキーアワード2019発表 日本は4部門で戴冠

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昨日、ウイスキーマガジン社主催のウイスキーの国際コンペ、ワールドウイスキーアワード2019の結果が発表されました。

このブログの読者の皆様は既にご存じかもしれませんが、今回のWWA2019では、テイスティング全15部門のうち、世界的に作り手がおり競争率の高い主要な区分といえる、ブレンデッド、シングルモルト、グレーンで設けられた7部門中、4部門で日本のウイスキーメーカーが世界一に輝くという、輝かしい結果となりました。
(15部門のなかには、バーボンや、カナディアン、アイリッシュなど、日本が参加できないものや、そもそも生産していないものがある。)


ワールドウイスキーアワード2019 テイスティング部門 主要7部門結果
◼️ブレンデッド(リミテッド)
イチローズモルト ジャパニーズブレンデッド リミテッドエディション2019

◼️ブレンデッド
サントリー 響21年

◼️ブレンデッドモルト
ニッカウイスキー 竹鶴ピュアモルト 25年

◼️シングルモルト(シングルカスク)
サリヴァンズコーヴ フレンチオーク TDo2017

◼️シングルモルト
ティーリング ウイスキー 24年 ヴィンテージリリザーブ

◼️グレーン
キリン 富士御殿場 シングルグレーン 25年 スモールバッチリリース

◼️ニューメイク
スタウニングウイスキー キュリアス ピートスモークドモルテッド ライ

参照:http://whiskymag.jp/wm_award2019/


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「日本のブレンド技術は世界一イィィィィ!!」
と、お約束のネタをつい口にしたくなるような結果です。
それも1社独占でなく、主要メーカーがすべて受賞。なかでも響や竹鶴、富士御殿場グレーンといった、WWAアワードの常連にして、戴冠することに疑問はないド本命な銘柄はさておき・・・。

サプライズはイチローズモルトのモルト&グレーンが、ブレンデッド(リミテッド)区分を2年連続で戴冠したことですね。
ブレンデッドモルトとシングルモルト部門はエントリーが多いだけでなく、各社力をいれてくるリミテッド区分で2年連続、その前のシングルモルトでの受賞を含めると3年連続というのはサントリー、ニッカらと肩を並べる快挙です。

ただ、このリリースは羽生モルトと川崎グレーンという、今はない遺産をメインに使っています。
昨年受賞したモルト&グレーンLE2018を飲んだ印象では、美味しいは美味しいのですが、羽生の特徴がかなり強く出て、長期熟成グレーンでそれを繋ぎ合わせているような構成。今回のリリースは多少秩父の特徴も出ていると言う話も聞きますが、軸になっている2つの原酒の在庫がほとんどない状況で、培ったブレンド技術をもって秩父の新しい原酒でどこまでやれるかが、今後の課題だと感じます。

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ジャパニーズウイスキー以外に目を向けると、シングルモルト部門ではティーリング24年が受賞。これまでのティーリングのリリースから香味を推察するに、アイリッシュ系のトロピカルなフルーティーさ、近年評価されているキャッチーな香味が備わっているものと思われます。
まあ妥当なとこですよねと。日本地区のWINNERは白州25年だったそうですが、ここまでくるとその時々の審査員の趣向の違いで片付けられる差ぐらいしかないんじゃないでしょうか。

一方で、シングルカスク部門が異端。
タスマニアの衝撃再び。オーストラリアンウイスキーのサリヴァンズコーブのフレンチオークカスクが再びの受賞です。
以前もサリヴァンズコーブはシングルモルトでアワードを受賞しており、どんなもんかと飲んでみましたが、世界一かと問われると返答に困る内容でした。
今回は違うのかもしれませんが・・・WWAはたまにこういうよくわからない受賞があるので、それが面白くもあり、疑問でもあるのです。(順当な結果ばかりじゃ面白くないのも事実です。)


この他、惜しくもアワードを逃した地区代表のウイスキーを見ていくのも、WWAの面白さです。
シングルモルト区分だと、スコッチは各地域の代表銘柄が選ばれていて、ローランド部門ではグランツの第4上流所であるアイルサベイが受賞していたり、キャンベルタウン部門はグレンスコシア25年、ハイランドはグレンモーレンジ1989・・・長期熟成のリリースが減ってきている昨今にあっても、やはり層が厚い。

一方で、ジャパニーズ区分を見ると、ブレンデッドでは若鶴酒造のムーングロウがカテゴリー別のWINNERを獲得していたり、次点以降には何かと話題になる倉吉の姿もあります。
日本産原酒が使われていないだろうリリースをジャパニーズと呼んで良いのか(実態はスコッチなのではないか)、という疑問はさておき、今回の結果は日本のウイスキー主要メーカーのブレンドに関する高い技術に加え、力を付けつつある新しい世代の存在も感じられた結果だったと思います。

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なお、コンペといえば、先日、ウイスキー文化研究所が日本初となる「東京ウイスキー&スピリッツコンペディション」を開催したところです。
今後発表される結果が、今回のWWAと比べてどうか。特に上記コンペは日本のテイスターが中心になって審査をしていますから、その違いを見るのも楽しみですね。

キャプチャー画像引用:http://www.worldwhiskiesawards.com/

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