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アードベッグ 1997-2016 フレンドシップ プライベートボトリング 47%

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ARDBEG
Special Reserve Whisky
Friendship Private Bottling
Aged 18-19 years
Distilled 1997
Bottled 2016
700ml 47%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml以上
場所:蕎麦屋、自宅(サンプル@Rさん)
時期:開封直後から2週間程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:強くスモーキーで磯っぽさと消毒液のアロマに焦げた木材。奥にはエステリーなニュアンスもあり、時間経過で磯っぽいアロマが強くなってくる。また、加水すると消毒液に加えてナッティーで海草のような癖が強くなる。

味:とろりとコクのある口当たり、バニラの甘み、しっかりと広がる塩素とヨード、乾いた麦芽は干し藁の香ばしさ、ドライオレンジを思わせる酸味もある。余韻は焦げた木材のようなスモーキーさとほろ苦さ、塩水のコクと塩気、ピーティーでややドライなフィニッシュが長く続く。

アイラらしい個性が際立っているだけでなく、バランスが良く美味しく飲めるアードベッグ。樽はリフィルホグスヘッドだろうか。度数落ちか、多少加水調整されているボトルであるためか、ストレートの段階で完成度が高く、さらに加水すると、香りはともかく味はやや水っぽさが出てしまい、バランスが崩れるようにも感じる。


当初SNS等掲載不可だったボトルですが、許可がおりたそうで、当ブログでも掲載します。
鹿児島のキンコーに加え、池袋のクレイン、札幌のボウバー、そしてシンガポールのオールドアライアンスが共同ボトリングしたプライベートボトリングのアードベッグ。
先日のウイスキーフェスティバルで、酒ショップキンコーさんのブースでひっそりと販売されていた1本で、この時点ではラベルに記載された個人名の関係で「写真不可」が掲げられていました。

フェス会場で試飲は無かったのですが、イベントと並行して営業していたBARナデューラさんが、同日即開封という男気を発揮。そこでテイスティングしたウイスキー仲間のRさんが「これは美味しい」と会場まで購入しに戻られた。
結果、巡り巡って飲ませていただく機会に恵まれるという、いつもの恩恵にあずかってしまったわけです(笑)。

(アードベッグ外観。今でこそ美しい蒸留所だが、再稼動当時はかなりボロボロだったことが公式サイト等で書かれている。Photo by T.Ishihara )

このアードベッグは、グレンモーレンジ社がアライド社から買収、休止状態だった蒸留所を再稼動させた記念すべき最初の年の蒸留。
同蒸留所の歴史をザックリ区切ると
独立資本時代(1959年まで)、
ハイラムウォーカー時代(1977年まで)、
アライド時代(1986年から1996年まで)、
グレンモーレンジ時代(1997年から)
で、第4期の原酒ということになります。
1997年の再稼動では、改修工事や各種メンテナンスも行われたようですが、やはり所有者が変わったためか休止前の蒸留と比べるとキャラクターが多少異なり、強く焦げたようなスモーキーフレーバーやアイラらしい癖の中に、エステリーな華やかさが感じられるようです。

アードベッグはオフィシャル10年で旨さのあるボトルであり、10年のカスクストレングスが出ないのかなと考えていたのですが、今回のボトルを飲んで、それを寄り一層感じるようになりました。  
カリラでもなければラガでもなく、そしてラフロイグでも無い味わい。いや、先に書いた「アイラモルトらしい」という意味でそれぞれ共通点はあるのですが、そのどれとも違う。個人的には先日発売された21年よりも、満足感の高い1杯でした。
いつかこういうプライベートボトルを詰めれたら最高ですね!


アードベッグ トウェンティーワン 21年 46% 2016年オフィシャルリリース

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ARDBEG TWNTY ONE
The Ultimate
Aged 21 Years
Cask type Ex-Bourbon(200L)
700ml 46%

グラス:サントリーテイスティング
量:30ml程度
場所:BAR飲み(Bar GOSSE)
時期:開封後1週間程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:スモーキーで熟成したチーズのような落ち着いた乳酸感のある香り立ち。牧草、燻した麦芽、土のような苦味。ほのかにグレープフルーツ。徐々にエステリーで、加水するとリンゴを思わせるフルーティーさも感じられる。

味:オイリーで厚みとコクのある口当たり。香り同様にピーティーでほろ苦く、乾いた麦芽、ほのかに梅ジャムの酸味、強いスモーキーさが鼻腔に届く。
徐々にグレープフルーツ、砂糖漬けのレモンピール、ヨードを伴うピーティーなフィニッシュ。
序盤は野暮ったさがあるが、余韻はすっきりとしている。また、加水するとバランスが良くなる。


アードベッグからリリースされた、2016年時点のオフィシャルラインナップでは最長熟成となる21年モノ。
蒸留時期は、1994年前後が主体という構成でしょうか。この時期は現在のディアジオではなく、アライド社が蒸留所を所有していた時代にあたります。
アードベッグ21年は今から15年ほど前、1979年~1980年頃蒸留の原酒を主体としたコミッティー向けのカスクストレングスがリリースされましたが、今回は加水であり、当然蒸留時期も違うリリースとなります。

今更ここに書く話でもありませんが、アードベッグのここ30-40年間は
1977年 ハイラムウォーカーが買収
1981年 操業休止
1989年 アライドが買収、12月頃再稼働
1996年 操業休止
1997年 モーレンジが買収、再稼働
という、買収、再稼働、休止の流れを繰り返しているまさに冬の時代。蒸留所を見学した仲間から、当時の原酒のストックはかなり少ないとも聞いています。

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その背景は、海外サイトの記述から読む限りでは89年から96年までの間は少量生産しかされていなかったことや、モーレンジ(後のディアジオ)が買収した後も、原酒の目処がつくまで当時の原酒を使いつつしのいでいた経緯があるようです。
21年の裏ラベルにも「アードベッグの最も困難な時代に蒸留された、わずか数樽しかない希少なリザーブウイスキーが含まれている」との記述があります。
現在のアイラモルトで20年オーバーがリリースされるというのは、それはそれでちょっとした出来事ですが、アードベッグの場合はこうした背景とあわせ、ファンにとっては軽く事件であると言えます。
(実際、このボトルの競争率は高く、発売日となった9月21日、入荷するであろうBARに飲めるかどうか問い合わせが相次いだそうです。)

気になるその中身ですが、スモーキーで乳酸系のフレーバーが強く、厚みもあるもののやや野暮ったさを感じる構成。しかし熟成に使われたバーボン樽由来か、グレープフルーツなどの柑橘系のニュアンスも裏側に備わっており、加水であることも併せて過度に主張はしないものの、全体のバランスを整えています。
現在のアードベッグは酸味や雑味が少なく、オイリーかつエステリーで綺麗なスモーキーさ、所有者であるディアジオの「ラグジュアリースピリッツ」の呼び名に合うかのような作りとなっていますが、この時代のアードベッグは、異なるタイプで地酒的な印象を受けます。

今回のテイスティングは口開け1週間くらいの時期で飲みましたが、テイスティングで感じられる奥行き、多層感から開封後の変化も大きそうです。
93年、94年ごろのアードベッグはGMから出ていた短熟などにこれというモノはありませんでしたが、ここ最近リリースされている20年OVERには光るモノがあり、この時期の蒸留の飲み頃なのかなと感じるところ。
個人で所有できるボトルではありませんでしが、また時間を置いて飲みに行ってみたいと思います。

アードベッグ 22年 1993-2015 ケイデンヘッド 55.3%

カテゴリ:
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ARDBEG 
Cadenhead 
Aged 22 Years 
Distilled 1993 
Bottled 2015 
700ml 55.3% 

グラス:サントリーテイスティング
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(Y’s Land IAN)
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:消毒薬のようなヨード香、少し焦げたカラメル、焼きリンゴ、鉛筆の削りカスを思わせる木香とピートフレーバー。

味:スパイシーでパワフルな口当たり。徐々にオイリーで程よいコク。シェリーのニュアンス、焦げた木材、りんごのカラメル煮、黒砂糖。エステリーでヨードもしっかり感じられる。
余韻は一口目の奥には杏のフルーティーさもあるが、2口目以降はピートスモークとヨードが支配的に。鰹節やダシっぽさも。
ピーティーでほろ苦く、おがくずを思わせる木のアロマが口の中から鼻腔に滞留する。


ここ最近では珍しいシェリー系のアードベッグ。 シェリー系といってもバランス型からちょっと薄いかなくらいのシェリー感ですが、力技でまとめたような強い味わいで、一度に飲むのはハーフ〜1ショットくらいで良いかなーと感じてしまいます。

日本国内への入荷は片手で足りる程度しかなかったという話で、機会があれば飲むくらいに思っていたところ、「例のボトル飲んでみるか?」と口開けで頂くことになりました。
シェリー樽由来の厚みや甘味に加え、鉛筆の削りかすを連想するようなウッディーさとピートフレーバーが特徴的。一口目は味の後半に杏のようなフルーティーさも感じ、熟成感のある構成ながら、2口目以降はピートが強く、アードベッグらしいヨードやオイリーさが中心になっていきます。
人によってはこのシェリー感に拒否反応があるかもしれませんが、アイラの近年のシェリー系としては上等な1本だと思います。

今でこそ栄華を極めるアイラモルトですが、90年代前半はウイスキー業界全体としては受難の時期にあたります。
アードベッグも1989年に再稼働はしましたが、当時のグループ元であるアライド社がラフロイグ重視の戦略をとったこともあって生産量は少な目。1996年には生産調整のため再度蒸留を休止しています。 
そうした背景からか、そもそもリリースが少なく、総じて値段も高いものの、最近のリリースは結構いいボトルが多いように感じます。

たまたま20年以上の熟成を重ねたアードベッグが良い仕上がりになっただけなのか。それとも1993年はアイラモルトにとって当たり年だったのか?
同ビンテージで当たり年と言えば有名なのはボウモアです。まあボウモアは1993年に限らず、その前後も含めて良いものが多いのですが、ラフロイグも評価の高いボトルがありましたし、アードベッグもまた以前紹介したラトレーなど、これはと感じるものがあります。 

プラシーボ効果か、たまたまの偶然か・・・多分この頃のアードベッグの酒質が適齢期を迎えているだけとは思いますが、例えば麦芽供給元の方で何かがあったとか、色々考えてしまいますね。

アードベッグ ダークコーヴ 46.5% 一般市場向け

カテゴリ:
ARDBEG
DARK COVE
(No Age) 
46.5% 700ml

グラス:サントリーテイスティング
量:ショット+ハイボール
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封直後 
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:最初は甘く濃厚な香り立ち。ヨードやタール、燻した魚介を思わせるスモーキーさ、チャーオークのべったりとしたウッディネスにわずかな酸味もある。

味:濃厚だがべたつきと甘酸っぱさもある口当たり。燻した麦芽、オレンジジャムやみたらし、ヨード、そこから焦げたピートフレーバーにチャーオークのねっとりとしたコクと甘みがある。
余韻はウッディーでスモーキー。木の渋みとともに強くドライ。唇がべたつく。

アードベッグファンが熱い視線を向けるニューリリース、ダークコーヴ。今回のボトルは一般市場向けにリリースされた加水バージョンです。
密造時代をオマージュし、ダークシェリー樽なる聞きなれない樽で熟成された原酒を一部使用、後はバーボン樽原酒とのバッティング。全体を通して濃いフレーバー、ねっとりとしたコクと強い樽感に加水の力技で完成度を高めてきたような、そんな印象を受けます。
複数タイプの原酒により、味わいには複雑さがありますが、余韻にかけてのべたつきも感じられ、謎のダークシェリー樽(おそらくはペドロヒネメスで間違いなさそうですが、それ以外にも工夫がある様子)と思われる特徴がはっきり感じられます。 

このダークコーヴは先日記事にしたコミッティー向けのハイプルーフ版と、加水版の2種類がリリースされています。
原酒比率は変わっているようで、むしろ一般市場向けのほうが濃さというか、今回のボトルのブランドイメージである"ダーク"な感じを受けます。
コミッティー向けもまた同傾向のフレーバーはありますが、加水版は樽感が強く、コミッティーはそれ以外の要素も強い、様々な個性がはっきりしているという感じ。フレーバー全体がシャキッとしているため、様々な要素が楽しめるのはコミッティー向けですが、ダークを体現するような甘みや味の濃さは、一般向けも負けていないと感じます。 


ちなみに、先に飲んだウイスキー仲間から、一般向けのダークコーヴはハイボーラーであるというコメントがありました。そういわれたら、試さないわけには行きません。
マスターおかわりください、今度はハイボールで! 

自分はアードベッグTENのハイボールを飲むことが多いですが、飲み口はピーティーで、コクのある甘さと柔らかいがどっしりとしたスモーキーさが、ライトでさっぱりピーティーな通常のTENハイボールとは大きく違うところ。コストの高いハイボールですが、この感じは柔らかめの葉巻と合わせても良さそうだなと感じました。 

昨年は200周年ボトル、今年はダークコーヴ、一年に一度こうしてなんらかの限定ボトルが出てくるのは楽しみが増えて良いことですね。
来年はどのようなテーマでくるのか、言うなればお祭り的に楽しみたいです。

アードベッグ ダークコーヴ 55% コミッティー向け

カテゴリ:
ARDBEG
DARK COVE
Special Commitee Only Edition 2016 
(No Age) 
55% 700ml

グラス:テイスティンググラス(銘柄不明)
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封直後 
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:スモーキーで強い香り立ち。甘いヨード香と合わせて焦がしたオーク、コールタール、ウッディーなアロマ。奥には土っぽい香りとドライオレンジのような柑橘香。

味:キャラメルを思わせる甘く粘性のある口当たりから、ドライオレンジ、塩っぽさのある麦芽風味、そしてピートが追いかけてくる。一つ一つの個性がはっきりしており、後半は燻した麦芽の香ばしさとヨード、チャーオークの焦げたようなニュアンス。余韻はビターだが舌に残る甘み、鼻抜けは磯の香りとスモーキー。


アードベッグ史上最もダークであり、主軸となるように使われた樽もダークシェリーなる謎の樽というニューリリース、アードベッグ・ダークコーヴ。
日本では5月下旬のアードベッグデーに合わせてリリースされるという話ですが、本国ではすでにリリースされているだけでなく、200周年ボトル同様に、またもコミッティー向けのハイプルーフ(55%)と、一般市場向けの加水品(46.5%)とがある模様。
今回は前者であるコミッティー向けのボトルを頂いてきました。

アードベッグ ダークコーヴ 46.5% 一般市場向けはこちら。

まず色合いはダークというほどダークではなく、少々濃いとも見えるものの、平均的なウイスキーのそれに大差ありません。これならオフィシャルでももっと濃いボトルがあったような。
実際、ダークであるのはダークコーヴのブランドイメージである「密造時代」をオマージュしたことからくるもので、その当時のウイスキー業界の「ある意味での暗さ、黒さ」に由来しているようです。(公式のPR動画も中々黒いですw)
アランといいリベットといい、最近密造時代のネタが増えてますね。流行ってるんでしょうか。

香味のほうは、シェリーとバーボン、複数樽のバッティングと思われる構成で、熟成年数は体感10〜15年程度が軸か。
ダークシェリーとはペドロヒメネスか、あるいは中身を焦がしたシェリー樽なのか。香り、味、ともに粘性のある甘みとチャーオークの濃い香味が感じられます。この辺がダークをイメージした要素ではないかと感じます。
この樽香は浮ついた印象こそあるものの、高度数であるためそれぞれのフレーバーがはっきりしており、アードベッグらしいピーティーでスモーキーなフレーバーに加えて塩っぽさなど、強い個性が追いかけてくるため、樽に全てが塗りつぶされている味ではないのがポイント。ペドロヒメネス樽のウイスキーにありがちな余韻のべたつきもそれほど気になりません。
突き抜けるほどの完成度というボトルではありませんが、あくまでアイラモルトとして楽しめる枠の中にあると感じます。

なお、先に触れましたが後日日本で発売される一般市場向けボトルは、上記の黒いラベルで加水品。200周年では何方かと言えばコミッティー向けの方が評価されましたが、今回はどちらが評価されるでしょうか。
このボトルもまだハーフでしか飲めてませんし、飲み比べもしてみたいですね。

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