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アンクルニアレスト 1856 プレミアムウイスキー

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UNCLE NEAREST 1856 
PREMIUM WHISKEY 
TENNESSEE WHISKEY 
(Aged 9 years)
750ml 100Proof 50% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス 
時期:開封直後 
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:注ぎたてはコーンフレークのような乾燥した穀物の甘味と軽い香ばしさがあり、そこから徐々にチャーオーク由来のバニラやキャラメルを思わせる甘さ、ドライオレンジ、新樽らしく焦げた木材のウッディネスもある。

味:マイルドで粘性のある口当たり、薄めたメープルシロップやオレンジママレード、軽い香ばしさ。甘さはそこまでしつこくないが、ウッディでほろ苦いニュアンスがフィニッシュにかけて引き締めていく。
余韻は口内を軽くスパイスの刺激、カカオ粉末を振ったチョコチップクッキー、軽い焦げ感、ビターでドライなウッディネスが余韻に蓄積していく。

甘味がジャックほどしつこくなく、熟成によってまろやかに整った口当たり。メローな中に独特の香ばしさが感じられる。ボディがしっかりしているためロックにしても氷に負けず、よく延びる点がポイント。他方で熟成が9年と長めであるためか、味に対して余韻のウッディさ、ドライさが蓄積していく点も特徴といえる。お好きな飲み方で。

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テネシーウイスキーの新銘柄、ジャックダニエル蒸留所の初代マスターディスティラーであるネイサン・ニアレスト・グリーン氏(通称:Uncle Nearest )のレシピを再現したウイスキー。
マッシュビルはテネシー州で収穫されたコーンとライ麦を90%、糖化用と思われるコーンモルトなるものを10%(詳細は不明、飲んだ印象はコーン80、ライ10、モルト10あたり)。
出来上がった原酒はメイプルチャコールによるメローイングを計3回14日間かけて施されるなど、11の独自プロセスを経てリリースされるというものです。

このウイスキーをリリースしている、アンクルニアレスト社が創業したのは2017年。
その1年前、ジャックダニエル社が創業150周年を迎えた2016年。ニューヨーク・タイムズが、ジャックダニエルの歴史に新しいストーリーとして、少年時代のジャックにウイスキー作りの手解きをした人物、”ネイサン・ニアレスト・グリーン”氏の存在を明らかにした記事を掲載します。
これまでのエピソードは、奉公先で牧師ダン・コール氏から教えられたとされていましたが、実際はその牧師の下にいたスタッフ(おそらくは奴隷)が教えていたというものでした。

ネイサン氏は黒人であり、後の解放奴隷でもありました。
同氏がテネシー州の今日に対して果たした功績に惹かれ、その生涯を調査していたのが、ニアレストグリーン財団の代表であり、後にアンクルニアレスト社を設立するFawn Weaver氏です。
調査の中で、ネイサン氏がウイスキー作りの手解きから蒸留所責任者まで、ジャックダニエルの歴史と深く関わっていたことが明らかになり(ジャックがアンクルニアレスト、最も親しい叔父と呼ぶくらいの間柄である)、当時のウイスキーレシピも発見されたことで、それを再現するという動きに繋がったようです。

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(ウイスキーマガジンの表紙を飾ったファウン・ウィーバー氏。彼女がなぜネイサン・ニアレスト・グリーンについて調査をしようと思ったのか。またその歴史の詳細は、日本サイトでも特集されている。該当記事はこちら。)

先に書いたようにアンクルニアレスト社の設立は2017年(蒸留所の設立は2019年)で、自社設備でのウイスキー蒸留はすでに始まっていますが、この銘柄は9年熟成。ベースとなる原酒はどこか異なる蒸留所の原酒に”独自のプロセス”を施している、ということになります。

 ここまでの流れを見ると、同社と繋がりが深いのはジャックダニエル社ですから、そこから原酒を買っているのかと思いきや、意外なことにジャックダニエルの原酒ではないそうです。 
明らかなのは、それ以外のテネシー州にある1~2の蒸留所という情報のみ。。。そうなると筆頭候補はジョージ・ディッケルでしょうか。
詳しい話がわからずもどかしいですが、最も重要な要素と言える"味"は悪くありません。むしろ近年のバーボンのなかでは良いほう。メローイングと熟成がもたらす口当たりのまろやかな味わいは、アメリカ市場において高い評価を受けているという話も納得です。
 
同社のラインナップは100proof仕様の1856、スモールバッチで93proofの1844、そしてシングルバレルの1820の3種類があり、今のところ日本に入って来ているのは1856のみですが、市場で存在感を示せれば追って残りの銘柄も入ってくるでしょう。
何より、2019年から作られている独自の原酒の出来が気になりますね。ジャックダニエルのルーツと言えるウイスキー、数年後にリリースされるその時を楽しみにしています。

メーカーズマーク プライベートセレクト For 信濃屋 With Scott 53.8%

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MAKER'S MARK 
PRIVATE SELECT 
BARREL FINISHED OAK SATVES
SELECTION BY SHINANOYA wtih Scott 
750ml 53.8% 

グラス:シュピゲラウテイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:トップノートは柔らかく包まれるような甘いアロマ。甘食、キャラメルコーティングされたオレンジ、スペアミント。合わせて香ばしいチャーオークとスパイシーさのアクセント。若干溶剤っぽさに通じるニュアンスもあるが、バランスは整っていて多層感がある。

味:粘性のあるリッチな口当たり。とろりとシロップのような甘味から、チェリーやオレンジなどを思わせる酸味。そしてじわじわと焦げたオークのほろ苦い香味が、ほのかな酵母のニュアンスとともに鼻腔に抜け、口内を引き締めていく。
余韻はウッディだが柔らかく、オークエキス由来の色の濃い甘味と軽いスパイス、カカオを思わせる苦味を伴って長く残る。

オーク由来のエキスがしっかり溶け込み、バランスの整った味わい深いバーボン。その柔らかい甘さに加え、焦げたようなニュアンスが悪目立ちしない範囲で主張している点が面白い。またスパイシーな要素が多層感に繋がっている。ロックにすると一瞬焦げたような苦味が強くなるが、氷に負けずバランスは崩れない。むしろほど良く延びて長く楽しめる。

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信濃屋のメンバーが、メーカーズマークのプログラムマネージャーであるScott Mooney氏とともにフレーバー構成を行った、オリジナルのメーカーズマーク。
プライベートセレクトは、恐らくメーカーズマーク46に使われるものと同等程度の熟成年数の原酒をベースに、加工、焼き具合などで変化をつけたアメリカンオークとフレンチオークの5種類10枚からなる”インナーステイヴ”を漬け込んで、9週間程度のフィニッシュを経てリリースされるものです。(詳細はこちらを参照。)

そのインナーステイヴの組合せ(レシピ)は1001通りあるそうで、ベースとなる原酒の個体差を合わせれば、文字通り世界でたった一つのオリジナルフレーバーを作り出せるのが特徴。
実際これまでリリースされたものを何種類か飲んだ印象は、必ずすべての完成度がレベルアップするわけではありませんが、バランス良く多層的なものがあれば、リッチでメローなタイプやフルーティーなタイプもある。様々なキャラクターを感じることができました。
価格もそれほど高くありませんし、香味の多様性というバーボンの課題を解消しつつ、効率的にオリジナルリリースを作り出せる革新的なプログラムといえます。

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(プライベートセレクト、インナーステイヴの種類とフレーバーの傾向をまとめた図。この原型となったメーカーズマーク46の開発エピソードは、過去記事に掲載。)

さて今回のボトルですが、純粋に美味しいメーカーズマークです。
メーカーズマークらしさは、冬小麦を原料に使うことで得られる柔らかい口当たりと言われていますが、今回のレシピはその点を潰しておらず、香味とも該当する特徴をしっかり感じます。
また近年のバーボンはえぐみや渋味を強く感じるものもありますが、これは先に書いたメローなフレーバーが主体で嫌みが少ない。選定者が何を基準にしたかが伝わってくるようです。

そしてそこから効いてくるのがインナーステイヴMo(Roasted French Mocha)と、SP(Toasted French Spice)由来の香味成分です。
味で分かりやすいのはMo由来と考えられる奥深い甘味と、焦げたようなほろ苦く香ばしいフレーバー。味わい全体に、奥行きと甘味だけだと締まらない余韻にビターなアクセントを加えています。
また、香りや余韻に多層感を与えているのが、SP由来のフレーバーと考えられるスパイシーさ。Moも仕事をしていますが、ただ濃くなってしまうだけのところを、違うベクトルの色彩を加えたような、特に柑橘系やハーブ等の要素を後押ししているのではないかと感じます。

結果、これら2種だけでインナーステイヴ10枚のうち9枚を使っていますが、飲んでみるとこれ以外ないバランスだと感じます。
そして最後に1枚だけ使われたMaker's 46は「つなぎ」として使っているとのこと。上の図にあるように、この木材がMoとSpの中間の属性をもつものであるのが繋ぎの理由と思われますが・・・これは考えすぎかもしれませんが、元々このプライベートセレクトの原型はメーカーズマーク46にあることから、作り手へのリスペクトも込められているのかなとも。いずれにせよ、良い仕事しているバーボンです。
信濃屋からのプライベートセレクトリリースは2作目ですが、個人的には今回のほうが好みでした。

ちなみに、今回のレシピを作った信濃屋メンバーのなかにはバイヤー兼WEB担当の(あ)こと秋本さんがおり、若手ながら主要メンバーの一人として本ボトルを担当されていたようです。
秋本さんとはTWDの活動や個人的な持ち寄り会などで繋がりが深く、好みはそれなりに把握していたこともあり・・・
今回のバーボンを飲んで「なるほどねー」と思う部分が多く、その点を含めてあれこれ考えるのも楽しめた1本でした。
(評価は★6ー7にするか悩みましたが、自分が楽しめた要因は上記事前情報にもあるでしょうから、一つおとして★6としています。)

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以下、信濃屋繋がりで雑談。
主催、企画運営は今回のボトルにも関わっている信濃屋の若手チームメンバー。同店による出展はもちろん最近イベントで増えてきた有志による持ち寄りブースや、プロ等によるセミナーもあり、かつ入場券が都内イベントにしては安価に押さえられているのも若手向けという感じで・・・いやぁこういう取り組みって新しいし、良いですね。

自分の頃は20代というだけで貴重がられた時代でしたが、今はどんどん若手世代の愛好家が増えてきていますから、いよいよメーカー主催で開催されるようになったのか。。。というのは些か感慨深くもあります。
昭和な自分には参加権利がありませんが、企画の趣旨には大賛成。盛会を祈念して、ここで紹介させていただきます。

Liquor Lovers 2019 →詳細はこちら
https://liqurlovers.peatix.com/

ノブクリーク 2004-2017 発売25周年記念 60.8%

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KONB CREEK 
SINGLE BARREL 
25th ANNIVERSARY 
Aged 13 years 
Distilled 2004 
Bottled 2017 
750ml 60.8% 

グラス:リーデルテイスティング
時期:不明
場所:BAR Kitchen 
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:ウッディでメロー、やや艶っぽさのある甘いアロマ。メープルシロップやシナモンアップルパイ、微かにドライクランベリーやハーブのアクセント。溶剤を思わせるニュアンスも微かにあるが、全体的にはチャーオークのアロマが主体で濃厚な仕上がり。

味:メローでリッチ、とろりとした口当たり。焦がしキャラメルの甘味とほろ苦さに、バニラ、ダークオレンジからウッディなフレーバーへ。濃厚だが度数ほどのアタックはなく、熟成を感じさせる。
余韻はドライでウッディ、甘いオークとグレーンのアロマが口内に揺蕩う。微かにライムのような柑橘を思わせる酸味を感じた後、スパイシーでビターなフィニッシュが長く続く。

熟成感があってリッチな味わいが楽しめる良質なバーボン。リリースにあたって一樽ずつ特別に選定されたという前置きに違和感はなく、オークフレーバーにエグミの少ない艶やかな甘さのあるタイプ。ノーマルからただ熟成が進んだだけのフレーバーではなく、樽そのものもグレードの高いものを使っているのではないかと感じられる。作り手のこうあって欲しいという理想を形にしたような、真打と言える1本。


ノブクリークが発売された1992年から25周年を記念し、2017年にリリースされたシングルバレルの特別仕様。6代目マスターディスティラー ブッカー・ノエ氏が仕込んだ原酒の中から、7代目マスターディスティラー フレッド・ノエ氏が特別に選定した、複数のえらばれし樽(原酒)が、それぞれシングルバレル仕様でボトリングされています。

原酒のマッシュビルは通常のノブクリークと同じコーン75%、ライ13%、モルト12%の組み合わせですが、熟成年数は先に書いたように12年から13年の間で、度数もロット毎に微妙に異なる形。
その通常のノブクリークからは、シングルバレルで9年熟成60%(写真下)が通常リリースされており、バーボンの傾向からすると同じベースのロット違いで、そこまで大きく味が変わるということはないように考えられますが、今回のボトルは格が違いますね。
通常品からえぐみなどの不要な部分を少なくし、さらに樽由来の香味の良い部分を豊かにしたような、さながら影打ちと真打ちの関係にあるように感じられました。

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原酒と熟成環境が同じなら、もはや違いは樽に由来しているとしか考えられません。
熟成年数が3~4年違うじゃないかというのはその通りですが、通常品をさらに寝かせてもウッディさがや渋味が増すだけで、こういう仕上がりにはならないと感じます。
またドライなことを言えば、ジムビームに数多ある樽の中から数樽を選ぶようなことは現実的でなく、最初から特別リリース用に考えられて仕込まれていたなかで、度数60%オーバーを維持していた原酒をチェック(それでも膨大な数がありそうですが)という選定だったんじゃないかと推察します。

ボトルのデザインはノブクリーク伝統の禁酒法時代をインスパイアしたスクウェアボトルに蝋の封印と変わらず。
それよりもシングルバレルで長熟で、60%オーバーのバレルプルーフで限定品というスペックながら120から130$程度というのは、結構頑張っているというか愛好家としてはありがたい限りです。(日本の並行輸入品の価格は結構のせられてますが・・・。)
もしアメリカに行く機会があったら、お土産に購入しようと候補に加えた1本でした。


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今日のオマケ:ヴオーヌ・ロマネ 2013 ドメーヌ・ジェラール・ミュニュレ

香り立ちはいかにもというクリアなベリー感、葡萄の皮と仄かに土っぽさや湿ったような木々の香りが混じる。口に含むと赤いベリー系の果実風味からチャーミーな酸が主張。若干粘性のある質感が舌の上に感じられ、思ったよりもボディがある。余韻はじわじわとスパイシーでフレッシュさはあるが、タンニンは過度に主張せず極め細やか。
はちみつのかかったブルーチーズとの相性が抜群。。。

たまには仏モノ・・・というわけではなく、お付き合いでボトル1本割り勘飲み。結構痛い出費だが、事情により致し方なし。
正直自分のワインの知識だと、ヴォーヌ・ロマネは作り手名が把握しきれていないレベルなのですが、ファンの多い銘柄のようですね。「これ旨いんですよ!この店のセラーにあるなんて!」と嬉々として語られていた、相手方の反応が非常に印象に残っています。
2013年は平均的な年という評価ですが、それに加えて格付け無しのグレードというのも、早飲みにちょうど良い仕様だったのかもしれません。
酸の主張はやや強めでしたが、全体のなかではクドいものではなく楽しめる範囲で、全体の作りは上質というか丁寧。食事と合わせて堪能させてもらいました。

ノブクリーク ライ シングルバレルセレクト 57.5% #5937

カテゴリ:
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KNOB CREEK 
SINGEL BARREL 
Kentucky Straight RYE Whiskey 
Barrel #5937 Hand Selected By Fujioka's Wine Times 
750ml 115Proof 

グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:パワフルでスパイシーな香り立ち。注ぎたては刺激が強いが、徐々にクッキー、薄めたメープルシロップの甘味。オレンジやグレープフルーツの柑橘系の要素が、若干青みがかった爽やかさと合わせてスペアミントを思わせる。

味:強く荒々しいスパイシーさを伴う、フルボディな口当たり。メローで粘性のあるチャーオーク由来のキャラメルの甘味、続いて搾った柑橘、徐々にビターなウッディネスへと変化していく。
フィニッシュはスパイシー、口内への刺激は最後まで長く続くが、キャラメルオレンジの甘味が舌の上に長く残る。

樽の効き具合はノーマルのノブクリークシングルバレルよりもやや控えめ。そこにライウイスキーらしいスパイシーさ、樽や穀物由来の要素とは異なるフレーバーが柑橘やミントのニュアンスに繋がっている。熟成は若そうだが嫌みな要素は少なく、しかしバッチバチ。少量加水すると香味ともまとまって味わいやすくなる。


ハワイ・オアフ島にあるワイン専門店"Fujioka's Wine Times"(以下、フジオカワインと表記)が、ジムビームから独自に樽を買い付けてリリースした、シングルバレルのライウイスキー。ジムマーレイ氏じゃないですが、最近ライウイスキーがアメリカ側でバズってきてるらしいですね。
ノブクリークのライは、100Proofの通常品のみしか日本市場に流通しておらず、シングルバレル115Proofは未入荷。加えてお値段税込み約48$の限定ウイスキーと考えれば、現地の思い出プライスレス込みで比較的お手頃な1本かなと思います。

ノーマルのノブクリークは9年熟成で、マッシュビルはコーン75%、ライ13%、モルト12%であるところ、ノブクリーク・ライの100Proofは熟成年数5~9年のバッティングで、マッシュビルはコーン35%、ライ55%、モルト10%とのこと。おそらくこのフジオカワイン向けのボトルも同じ比率で仕込まれた原酒でしょう(ライのマッシュビルは不明とするサイトもあり、あくまで参考程度)。ライウイスキーなので当然ですが、ノーマルなノブクリークに比べてハーバルで、スパイシーな特徴が強く出ています。

他方でレビューで感じたように熟成年数は比較的若いのか、5~6年程度のものと思われます。
ショップで聞いてもシークレットだと教えて貰えませんでしたが、他でリリースされてる同価格帯のプライベートセレクトの熟成年数はその辺りであり、あまり長熟の原酒をジムビーム側が出してないのかもしれません。
チャーオーク由来の甘味のなかにスパイシーさと酸味、そして若干スペアミントのような爽やかさと柑橘感があり、若さがそれらの勢いを後押ししている。カクテルベースにしても面白そうで、マンハッタンなどのショートカクテルには強そうですが、ライムやスペアミントを使うミントジュレップとかなら絶対美味しいだろって感じです。

かつてバーボンはライウイスキーだった時代があり、徐々にコーン比率が高まっていったという経緯を考えれば、この味わいは古の味のひとつ。今オールドで流通しているそれらは、樽香は多少違えどベースはきっとこんな感じだったのでしょう。
このプライベートセレクトは、同店に限らず様々なショップやグループから行われていて、メーカーズマークのように、そのうち日本にも入らないかと期待しています。

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フジオカワインの店内。外観が地味なので、それがギャップになって在庫の多さに圧倒されます。
看板はワインショップですが、ワインをメインにした総合酒類取扱店という感じ。ウイスキーにビール、あとは日本酒。葉巻もあります。
限定のウイスキーは、今回のライウイスキーに加え、同じくノブクリークのシングルバレルに、Hawaiian Whisky Mafia名義のメーカーズマーク・プライベートセレクト。写真でも写っていますが、ジャパニーズウイスキー区分では、例の焼酎ウイスキーも棚に並んでいました。

ちなみにこのお店に限らず、アメリカワインの価格が日本の流通価格から一律1000~2000円引きくらいなんですね。辺り前と言えばそうなのかもしれませんが。
例えば日本では3500円程度で売ってるケンダルジャクソンが、普通のスーパーで15$くらいでしたし、日本への輸送コストどんだけかかってるんだ。。。羨ましい。

オールドクロウ 7年 (1969-1976) 100プルーフ ボンデッド

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OLD CROW 
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON WHISKY 
BOTTLED IN BOND 
1970's 
(Distilled 1969) 
(Bottled 1976) 
750ml 50% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR BLACK HEART 
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:メローで華やか、熟した梅のような穏やかな酸と、メープルシロップやバニラの甘味。穀物感とこなれた香ばしさが、ワッフルのような洋菓子を思わせる。

味:香り同様にメローでコクのある口当たり。序盤はグレーンの甘味がメインにあるが、徐々に熟したオレンジのような酸と軽いスパイシーさ、品の良いウッディネスが口内に染み込む。
余韻はスパイシーでウッディ。じんじんとしたハイプルーフ由来の刺激が心地よく、振り子のように収束していく。

メローで度数よりも香味とも柔らかく、それでいて骨格はしっかりとしている。経年も合わさった熟成感が心地よいバーボン。これもまた現行品とは別物で、余韻に変なえぐみや渋みもなく、ストレートでも負担なく飲める。今回はストレートのみだったが、ロックも試してみたい。

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先日レビューさせていただいた、禁酒法前のオールドクロウ100proofとの比較でテイスティングしたもの。同じくBOTTLED IN BOND 仕様の流通時期違い。
ですが今回のレビュー記事では、禁酒法時代との比較や香味分析ではなく、飲んでいて疑問に感じた、オールドクロウの歴史における”凋落”に関して自分なりの考えを書いていきます。

1970年代、フランクフォートにあった蒸留所と共にオールドクロウの版権を持っていたのはNational Distillery社。オールドグランダッドやEHテイラー等を販売していたメーカーです。(※取得した時期は1920年とも30年代とも言われている。)
当時同社ではすぐに出荷出来る工業用アルコールの生産に重きをおいていたとのことで、蒸留所も1960年代に蒸留器の変更含む大規模な改装工事を実施し、原酒製造プロセスにおける生産量の増加と効率化(コストダウン)が図られたとされています。

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(オールドクロウ1912-1919とオールドクロウ1969-1976、現代から100年を遡るテイスティングで、今回のボトルは50年前に置かれたマイルストーン。詳細は不明だが、マッシュビルは禁酒法前(左)がライ比率高め、今回の蒸留所改修後がコーン比率高めで、現在に近いスタンダードなレシピであると思われる。禁酒法前ボトルのレビューはこちら

オールドクロウはかつてアメリカで一番売れた、バーボンの花形とも言えるブランドでしたが、1970年代から80年代の市場において凋落が始まります。
その背景には1960年代の蒸留所改修後、新たに導入した製造行程にミスがあって味が落ちたことに加え、それを解決せずに操業を続けたメーカー側の姿勢があった・・・という話が伝わっているのですが、不思議な話、その時代の真っ只中にある今回の1本は、言うほど悪い味とは思えません。っていうか普通に美味しい。

確かに当時のND社は、パフュったグランダッドやギルビーズジンなどの別件事例があります。
あるいは熟成年数の短い、スタンダード品のみ影響が大きく、熟成の長いものはネガティブな影響が樽の効果で打ち消されていたなら理屈はわかります。
実際、当時は今より樽材の質が良かったと考えられ、マイルドな味わいや果実風味はオールドバーボンの魅力でもあります。
しかし以前飲んだ70年代流通のスタンダードも、メローで加水が効いてソフトな口当たり。これもそこまで悪い味か?という感じ。少なくとも同年代の他のメーカーのスタンダードと比べ、大きな差があるとは思えません。
蛇足ですが、松田優作が「旨い」と言ったエピソードがあるのもこの時代のオールドクロウなんですよ。(映画の中なので、なんの基準にもなりませんが(笑))。

個人的な予想をすると、製造行程のミスは事実として、同社のなかでバーボンそのものの販売力の低下。即ちブランドの優先順位の調整があり、PR不足からジムビームなどのライバル銘柄や、他の酒類の台頭を許してしまったとか、そういう外的要因のほうが大きかったのではないかと。
失礼ながら、スタンダード品はコーラとかセブンスターで割って飲むようなことを主としていた市場で、まるっきり飲めないようなものならいざ知らず、ベースの味が多少落ちたという理由でブランドが凋落するとは思えないのです。

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1987年、人気の落ちたオールドクロウはジムビーム社に買収され、問題となった蒸留所も閉鎖。同銘柄用の貯蔵庫としてのみ現存することとなります。
なお、先日ニュースになったジムビーム蒸留所の火災は、このオールドクロウ蒸留所跡地にある貯蔵庫群の一部で発生したものでした。
ジムビーム社買収後のオールドクロウは3年熟成で、バーボンの基準を満たすなかでは若い部類。自社ブランドであるジムビーム以上の優遇はするはずもなく、低価格路線にすっかり定着しています。
自分の記憶が正しければ、火災を受けたジムビーム側のコメントに「あそこにあるのは若い原酒だから被害は少ない」というのがあったと思いますが、年数、市場価値、それらを踏まえて確かになるほどと。
なんとも諸行無常、あるいは栄枯必衰というやつですね。

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今日のオマケ:ジャックダニエル ボトルドインボンド 1.0L 50% 免税向け

ワインクーラーにウイスキー突っ込む展示センスはどうしたものか、とは思いますが、こういうのも出ていたのかという1本。BOTTLED IN BOND表記が復刻版のようで、なんともそそられますね。
調べてみて、日本にも平行品が入っているのですが、全く気づいていませんでした(笑)

高い度数らしい骨格のしっかりした口当たりに、ジャックらしいメローさと焦げたウッディネスが合わさって、それなりな仕上がり。熟成年数は5~6年くらいでしょうか。多少近年のバーボンに見られるえぐみというか、ネガ要素もありますが、変にドライさや酵母っぽさも目立たず、ロックで飲んだら良さそうです。
ただしジャックダニエルの50%仕様のものだと、シルバーセレクトやシングルバレルがあり、値段もそう変わらない(味は樽の効き具合に違いはあるが、この2本のほうがリッチ)ので、辛口なことを言うと中身を考えた時に日本でこれをチョイスするのは・・・ラベル以外に難しい気がします。

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