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アボットチョイス 1980年代流通 特級表記 43%

カテゴリ:
ABBOT'S CHOICE
FINE OLD SCOTCH WHISKY
1980's
750ml 43%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後数日
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★★(6)

香り:ややひねたようなアロマはあるが甘みのしっかりした香り立ち。カステラ、黒糖麩菓子、ほのかにスモーキーでしっかりとした香り立ち。

味:マイルドで甘い口当たりから、香ばしほろ苦いピーティーさ。キャラメリゼ、みたらし、オールブランやローストした麦芽。
余韻は染み込むようにピーティーでスモーキー、若干ドライな口当たりを残して長く続く。

香ばしい麦芽とカラメル系。70年代の比べてカラメル感は強いが、よく出来たブレンデッド。ストレートか少量加水で。ハイボールは特徴がぼやけてこれじゃなくて良い感強し。


ラベルで損しているウイスキー、ことアボットチョイス。日本ではこの時代を最後に、兄弟銘柄のチェッカーズとともに輸入が途絶えてしまうのですが、ブランドとしても1990年代中頃には終売になっていたようで、アメリカ輸出品の現地登録が1995年で途絶えているという記録が海外サイトに残っています。

せめて怪しげな修道士の顔がなければ、なんて思うのですが、それはそれで没個性的なラベルだったかもしれない。。。っていうか、さらに旧ラベルのものは下記の通り一層リアリティ溢れるおっさんなので、多少はチャーミングにデフォルメされているのか(笑)。
とりあえず、今回の流通時期の中身は、オールドの古酒・醤油系のフレーバーがヒットする方なら問題いない。麦感あり、古典的なピートフレーバーありで、なかなかの出来なブレンデッドです。


(1950年代流通と推測される、アボットチョイス。ラベルがいかつい(笑)。第二次世界大戦前はヨーロッパマーケットへ、大戦後はアメリカ市場へと売り込まれた。時期的にはアメリカ市場向け初期品に当たる。画像引用:Whisky paradise)

(輸入業社となった巴工業の関係から、日本で多く見られる1970年代流通と1980年代流通。ボトルの色は70年代のほうが濃いが、中身の色合いは80年代のほうが濃い。どちらもレベルの高いブレンデッドである。)

アボットチョイスは、これまでの記事でも触れているように、リンクウッドをキーモルトの一つとしています。
これは作り手である、Jhon McEwan社がDCLからリンクウッドのライセンスを受けているためで、1970年代はまさにオールドリンクウッドを思わせるモルティーさ、スモーキーフレーバーに存在感があります。

一方、今回の1980年代流通品は、古酒的な甘さは強いのですが、原酒そのものの個性や厚みは少し控えめに。これは原酒の比率もさることながら、リンクウッドそのものの酒質の変化もあるのでしょう。余韻で残るスモーキーフレーバーはかつての時代の残滓のようです。
決して出来は悪くはないんですが、この時期のブレンデッドスコッチ全般に感じられる変化には、少し物足りない気持ちも覚えてしまうのです。

アボットチョイス 1980年代流通 43% 特級表記 フィギュアボトル

カテゴリ:
IMG_7634
ABBOT CHOICE
Fine Old Scotch Whisky
Figure Bottle
1970-1980's
760ml 43%

グラス:テイスティンググラス
場所:BAR飲み@アポロニア
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかく甘い香り立ち。麦芽香、信玄餅のような黄粉の穀物感と、ほのかに蜜のニュアンス。じわじわとスモーキーなアロマもある。

味:しっとりとしてスウィートな麦芽風味、淡いキャラメルや鼈甲飴、林檎のコンポート。若干の古酒っぽさを伴いつつ、徐々にほろ苦くスモーキー。余韻は林檎の蜜、微かにニッキのようなスパイス感、ピートフレーバーを伴い染み込むように残る。

バランスの取れたブレンデッドウイスキー。熟成年数は8〜12年程度という印象。程よい熟成感があり、蜜っぽいグレーン由来の甘みに、熟成したスペイサイドモルト原酒を思わせるフルーティーな香味も随所に感じられる。


チェッカーズの姉妹銘柄にして、普及価格帯でリリースされていたブレンデッドです。
アボット(修道院長の意味)の名前そのままに、ラベルには職位の高そうな修道士のイラスト、あるいは今回テイスティングした修道士をモチーフとしたフィギュアボトルでリリースされており、後者は変え栓で顔にあたる部分が付属していたのですが、これが紛失しているものも少なからず見られます。

写真には写っていないですが、ラベルはボトルの背面にあり。知らない人が見ると銘柄不明で首無し地蔵みたいな・・・ちょっと不気味なデザインになってしまうのが気になりますが、味は問題ありません。まあ仮に変え栓があったとしても、良い意味で目を引くデザインであるとは言い難く。一方で姉妹品のチェッカーズは、1980年代にブレイクしたアイドルグループと偶然にも同名。スコッチオデッセイの記述によれば、当時の業界では「坊さんは売れない」と嘆く声が多かったそうです(笑)。 



(画像引用:Whisky Paradise 

さて、チェッカーズ及びアボットチョイスのキーモルトはリンクウッドとされています。勿論DCL系列の同品らには、それ以外にも様々な原酒が用いられていると思いますが、同じ1970年代流通のボトルでは、チェッカーズのほうがモルティーで濃いスモーキーさがある一方、アボットチョイスは品のいい甘み、やわらかい口当たりがメインで余韻にかけて"らしい"ピートフレーバーが感じられるといった具合。
1970年代前半という蒸留時期的に、このクラシカルなピートフレーバーや適度な麦芽風味がリンクウッド由来と思われます。

アボットチョイスは久しぶりのテイスティング。好みなのは70年代のチェッカーズですが、状態の悪いロットが目立つのが。。。アボットチョイスもこの陶器ボトルはコルクに難ありであるものの、バランスのとれた作りもブレンデッドらしく落ち着く旨さで良いですね。

追記:BARアポロニアは「ウイスキーの教科書」の著者などで知られる橋口孝司氏が昨年開業されたBARです。バックバーはオフィシャル中心のラインナップですが、オールドブレンデッドやこんなボトルもあるのかという隠し球。マスターの確かな知識に裏付けされたボトルチョイスで、改めて基礎からしっかり勉強させていただきました。
BARアポロニアWEBサイトhttp://www.aporonia.com/

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