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ダルウィニー 29年 1973-2003 リミテッドエディション 57.8%

カテゴリ:
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DALWHINNIE 
AGED 29 YEARS 
Limited Edition 
Bottled 2003 
700ml 57.8% 

グラス:グレンケアン
時期:開封後1週間程度?
場所:BAR Eclipse 
評価:★★★★★★(6)

香り:スパイシーでウッディ、リフィル系統だが樽由来の枯れ感と強い熟成香。淡くメープルを思わせる甘味、リンゴのカラメル煮やキャラメルナッツ、酸のあるアロマがオレンジなどの柑橘も連想させる。

味:ドライで多少尖って感じられる口当たりから、熟成感と酸味のある樽由来のフレーバーが厚い麦芽風味と合わせて感じられる。バニラや白粉、洋梨、後半にかけてビターでハーブとキャラメルナッツを伴う。
余韻はウッディでドライ、紅茶のようなタンニンを伴う余韻が長く続く。

やや枯れたようなウッディさもある、強い熟成感が特徴のモルト。注ぎたてはドライで樽由来のフレーバーが主体にあるが、奥にはモルティーな甘みもしっかりあって時間経過でこなれて開いてくる。また少量加水も良好であり、開封後時間をかけて楽しんでいくのがおすすめ。


2000年代初頭、シングルモルトのブランド向上を図る狙いで、ディアジオからリリースされたリミテッドエディション。ダルウィニーからは2002年ボトリングの36年と、2003年ボトリングの29年がそれぞれリリースされており、特に36年は名作として知られています。

36年は流石フロアモルティング実施時代のダルウィニーと言うべきか、酒質が厚く熟成感とのバランスも良い。フルーティーで多彩な香味が、オフィシャルリリースだからこそ作り上げられる魅力を体現したような1本でした。
一方、今回久々にテイスティングした29年は、かつて飲んだ時は引っ掛かるようなウッディさに抵抗を感じていたもの。
久々に飲んだところ、ダルウィニーらしい麦感は感じられるのですが、度数に反して枯れたようなウッディさ、熟成感の強さは目立っていて、なるほど当時はここに引っ掛かったんだなと理解もできました。

樽構成は、バーボン以外にシェリー系も含んでいる印象。ですが、リフィルやサードフィルで、それが長期間の熟成を経てウッディさとして溶け込んでいるように感じます。
それでも記憶しているよりはまとまりがあり、樽由来のフルーティーさ、ディアジオのリリースで見られる樽由来の酸を伴う構成もまた”らしさ”で、時間をかけてじっくり飲んでいくことで、良い部分を引き出せそうな変化も感じられました。
おそらくこのボトルの飲みごろは、開封後であれば1年以上後、開封していない状態であればもう5年くらいは先なのかもしれません。


2000年代初頭当時。あるいは、自分が飲み始めた頃からでも良いですが、この手のボトルは不遇な扱いを受けていたと思います。
モノは間違いなく良いのですが、消費者が少ないのと、さらに安価で長熟のモルトをリリースするボトラーズの存在もあったため、販売戦略は厳しい状況だったと思います。
そうしたエピソードから、今高騰するオフィシャル長期熟成品は、遅れて再評価されるある種の芸術作品のように思えてきます。

実際、メーカーハイエンドの作品が1~3万円程度で買えてしまうって、ワインとかだと考えられない。
それは良いものが相応に認められたとも見れますが、近年の相場を見ると・・・どこを相応とするかは難しいなあとも感じてしまいますね。なんというか、心中複雑です。

ラフロイグ 30年 リミテッドエディション 2016 53.5%

カテゴリ:
LAPHROAIG
Aged 30 years
Limited Edition 2016's
Distilled 1985
Cask type ex-bourbon barrels
700ml 53.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:焦げたピートのスモーキーさ、淀みのない香り立ちで勢いがある。ヨードや塩素、バニラ、時間経過で柑橘、ドライパイナップル、ややエステリーでハーブのアクセント。乾いたウッディネスのスパイシーさも感じられる。

味:香り同様に勢いがあり、フレッシュでフルーティ。グレープフルーツ、オレンジママレード、淡いトロピカル要素。奥からピートのほろ苦くスモーキーな味わいがしっかり。ナッツと乾いた麦芽、スパイスの刺激。
余韻はスモーキーでフルーティー。ハイトーンでオークの華やかさとウッディなドライさが長く残る。

長熟ラフロイグらしいフルーティーでピーティーなキャラクターがしっかりとある魅力的な1本。枯れた感じの少ないフレッシュさ、度数相応のアタックが開封直後は硬さにも繋がっている印象。
少量加水すると華やかさは増すが、思ったよりボディが伸びずピートもぼやけてしまう。時間をかけてじっくりと楽しみたい。

順番が逆になりましたが、昨年2016年にリリースされたラフロイグのリミテッドエディションです。
リフィルのバーボンバレルで30年熟成させた複数樽をバッティングした、シングルモルトのカスクストレングス。長期熟成オフィシャルのカスクストレングスで、この度数というのも近年珍しい仕様ですが、それ以上にバーボンバレルのみで30年熟成はボトラーズでもすっかり見なくなりました。

バーボン樽熟成とあって近年仕様のラフロイグを象徴するような、あるいは目指す姿の一つを見るような1本。
シェリー樽のニュアンスがない分、逆に樽感にキレがあり、全体を通しての華やかさやフレッシュさが強調されている一方、それが飲み口の硬さにも繋がっているようにも感じます。
例えばここで25年などに使われているリフィルシェリー樽やホグスヘッドなどが使われて入れば、もっとマイルドでコクのある味わいになったかもしれません。ただ、それは時としていい意味でも悪い意味でもオフィシャルバッティング的な味わいとなり、主張のはっきりとしたキャラクターになるかは別だと感じます。

言わば塩で味付けた料理(特にスープ類)に醤油を入れるようなモノですね。
このリミテッドリリースがそうした複数種類の樽を使ってこなかったのは、単に原酒の選定上そうなっただけとは思えず、作り手側に何か狙いがあったのかと感じてしまいます。
前年の32年がこの逆、複数タイプの樽を使って総合的に旨くレベルの高いボトルを出してきているだけになおのこと。

ちなみに今年リリースされた2017とはキャラクターは同系統ですが、樽使いの傾向の違いもあって、30、27、25で好みが分かれるなという印象です。
自分の好みとしては、樽感がストレートに感じられる30年はもう少し時間を置きたい。27年はバランスが良いものの、度数の低さ故勢いにはかけるのであまり時間はかけないほうがいい。とすると面白みは乏しくとも、毎年度リリースされている25年の安定感は流石だなぁとか感じています。

マッカラン エディション No,2 2016's 48.2%

カテゴリ:
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The MACALLAN
Single Highland Malt
Edition No,2
C4 V372 T21 2016-02
48.2% 700ml

グラス:リーデルテイスティンググラス
量:ハーフショット
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ウッディーでビターだが、こってりとしたドライプルーンやオレンジママレードを思わせる甘い香り立ち。少し生木のような湿ったニュアンスと、ゴムっぽいアロマもある。

味:甘くリッチな口当たり、香り同様ドライプルーン、薄めた黒蜜、シーズニングシェリーの甘さの後で中間からスパイシーな刺激とウッディな樽感。
余韻はドライでタンニンが染み込む。湿った樽材の香りが鼻に抜け、ブラウンシュガーを思わせる甘みが長く残る。


マッカランが1年に1度リリースするようになった、リミテッドエディションの第2弾。
サントリーのプレスリリースでは、数種類のアメリカンホワイトーク、スパニッシュオークのシェリー樽を372樽バッティングしたとのこと。ラベルに書かれたコードが前回と同じ意味なら、C4は爆弾・・・ではなく、4種類の樽を使ったという意味で、ファーストフィルとセカンドフィル、あるいはサイズの違いあたりで4種類が使用されている事になります。

エディションNo,1が非常に厳しい出来だったことから、No,2もまったく期待していなかったものの、これが現行品の18年と同じくらいのシェリー感で、ウッディな中にシーズニングシェリーのこってりとした甘みが感じられる。中間から後半にかけて開く近年のマッカランらしいスパイシーな刺激とあわせ、それなりに飲めるクオリティに仕上がっているのです。
熟成年数は、前作は使用原酒が10~25年と公開されていたものの、今作は非公開のNAながら、味わいから平均15年くらいの熟成はされているように感じます。
国内市場価格から1本手軽に・・・とはいきませんが、BAR等で機会があれば飲んでみても良いかもしれません。


(マッカラン蒸留所にある麦畑。収穫を間近に控えた8月頃の景色。 Photo by T.Ishihara)

さて、マッカラン蒸留所といえば「シェリー樽」へのこだわり(拘っているというほどのクオリティが保たれているかはさておき)が広く知られているところですが、今回はもう一つ拘っているとされる、麦芽にフォーカスします。
グーグルマップで見ていただければわかるように、マッカラン蒸留所の周囲は牧場や農地(38ヘクタール=約94エーカー)が広がっており、そこでは同蒸留所に供給する麦芽が栽培されるなどしています。
こうした環境をワイン作りと照らし合わせる形で、マッカランの製造現場は「シャトー・モルト」との呼び名もあるそうです。

マッカランと言えば、かつて麦芽はゴールデンプロミス品種に拘って、蒸留所内の農地で独自栽培もしているという話がありました。
しかしそれは既に過去の話。ゴールデンプロミス自体がそもそも。。。という話もさておき、マッカランでの使用品種は更なる近代品種であるミンストレル種にシフトしています。
また、この農地1エーカーあたりの収穫量から作ることが出来るマッカランは、約1800本分である事が公式サイトで語られているものの、単純計算94エーカーでは約17万本分という事になり、同蒸留所の1年間の出荷分で考えるとまったく足りません。
加えて、マッカランにはモルティング設備がありませんので、収穫した麦芽は一度外注業者となるモルティング設備のある場所に移され、外部から買い付けた大麦と共にマッカランへ戻されるというワケです。

もちろんこれを持ってマッカランのウイスキー造りを否定するものでは無く、大量生産すれば、樽も麦も確保がむずかしくなる。「シャトー・モルト」の理想と現実という話です。
エディションNo,1の時と同様、外箱の蓋の裏にはNo,3のリリース予告があり、来年もリミテッドリリースは続くようです。
エディションNo,1から比べて味は良くなったと感じるNo,2。次はどんなキャラクター(現実か、はたまた希望か)を見せてくれるのでしょうか。

インチマリン 2003-2016 JIS向け 53.2% リミテッドエディション

カテゴリ:

INCHMURRIN
Limited Edition
(Aged 13 Years)
Distilled 2003
Bottled 2016
Cask No,07/16004
Select by Japan Import System
700ml 53.2%

グラス:国際規格テイスティンググラス
量:30ml以上
時期:開封後1週間以内
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:紙っぽさとほのかな植物感、ハッカやミントを思わせる爽やかな香り立ち。徐々に南国系のドライフルーツやオレンジを思わせるエキゾチックなフレーバーに、ケミカルで薬っぽいシロップの甘い香りと微かなオイリーさ。アジアンスパイスのアロマも感じられ、時間と共に充実してくる。

味:ハイプルーフゆえフレッシュな口当たりから、若干の植物感と共に一気に広がるケミカルなフルーツフレーバー。フィリピンドライマンゴー、グァバ、熟した洋梨。中間からはコクもあり、全体のバランスは良好。香り同様にフルーツシロップの甘みが後半にかけてとろりと舌の上に感じられる。加水すると多少オイリーになり、フルーティーさより甘みが拾いやすくなる。 


先日リリースされたばかりのJIS向け、インチマリンのリミテッドエディション。その味わいについては発売直後からTLやFacebookなどに投稿していましたが、それ以外にクチコミも広まっていたようで、飲まれたり購入された方もいらっしゃると思います。(実際、昨日一昨日にかけてはかなりの注文もあったとか。)

インチマリンはロッホローモンド蒸留所が作るシングルモルトブランドの一つ。ロッホローモンドは、リトルミルの第2蒸留所としてスタートした経緯からか、あるいは蒸留器(ローモンドスチル)の特性からか、「紙臭い」とか、「ぬれたダンボール」だとか、お世辞にも美味しそうだとは思えない個性が知られている蒸留所です。 
そうした背景に加えて、今回のボトルはJISさんのLEといってもインチマリンで2000年代。人気の高い濃厚なシェリー系でもなく、価格も13000円ちょっとと決して安くは無い。こんなスペックのボトル一体誰が買うんだってのも、初見の感想にあったワケです。

しかし、一口飲んでそれらは良い意味で驚きに変わるのです。
所謂ケミカルで、近い系統だとアイリッシュ系のトロピカルフレーバー主体。香りには若干の植物感や紙っぽさが感じられますが、すぐにエキゾチックな要素を感じるフルーティーさが強く広がり、いくつかのスパイスも香味の中でアクセントとなっている。
13年と若い部類に入るシングルカスクであるためか、荒さは多少あるものの、その分フルーティーさがべたつかない、この若さゆえのバランスを評価したいですね。
また、度数から蒸留所の個性と言えるオイリーな部分が軽減され、後半にじわりと広がる程度なのもポイントです。 
好みは分かれるかもですが、シングルモルト愛好家には是非1度飲んで欲しいボトル。特にティーリングのフルーティーフレーバーが好みという方は、1本購入しても楽しめるボトルだと思います。 

かつて"紙"といわれた、ロッホローモンド蒸留所、新世紀の逆襲。飲めば未来が少し明るくなるような、南ハイランドの可能性。 
現在の12年を筆頭に、オフィシャルリリースの傾向から特段特別なビンテージでもないと思いますので、今後この手のリリースは増えてくると思います。
個人的にその口火を切った今回のJIS向けボトルは、ケミカル系のフルーツフレーバーで話題となったトマーティン1976を思わせるインパクトがありました。

今後も飲み進めるため評価は暫定ですが、新しい時代への期待も込めて、ポジティブに7点固定とします。
いやーまさかこの蒸留所にこの評価をつける日がくるとは、未だに信じられません(笑)
先日のロングモーン15年といい、JISさん良い仕事してますね〜!次作も期待しています!

タリスカー 25年 1975-2001 リミテッドエディション 59.9%

カテゴリ:
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TALISKER
Aged 25 Years
Distilled 1975
Bottled 2001
Natural Cask Strength
One of only 6000 Limited Edition
700ml 59.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
時期:1~2年程度前
評価:★★★★★★★★(8)

香り:最初は焦げたようなスモーキーフレーバーとレザーを思わせる香りが主体だが、徐々に黒土、林檎のカラメル煮を思わせるエステリーな熟成香、乾いた木のようなハイトーンなアロマも広がる。
少量加水すると陶酔感のある熟成香が開き、ヨードを伴うスモーキーさと、土っぽさ。焼きドーナッツのような甘い香りが鼻腔を擽る。

味:強いコクとタールを思わせるパワフルな口当たり。厚みのあるボディに古酒系のカラメルやウッディーなニュアンス。香り同様のエステリーさ、アプリコットジャム。余韻はややドライでスパイシーでスモーキー。どっしりと存在感のあるピートフレーバーが長く続く。
少量加水するとフレーバーが伸びて一体感が増す。特に熟成感が全体をカバーして、まろやかでコクのある味わいと、それでもなお存在感のあるスモーキーフレーバーが堪能できる。

余韻にかけてのフレーバーの広がりが素晴らしく、特に加水後の味わいは昔のオフィシャルスタンダードに通じるものがある。
ハイボールにしてみるとヨードが強く磯っぽさが混じるが、ボディの厚みが炭酸を受け止めコクのある甘味、スパイシーさも失われず美味。
お久しぶりのタリスカー・リミテッドエディション2001年リリース。
タリスカーはボトラーズに加えてオフィシャルから2000年以降ほぼ毎年リリースされるリミテッドリリースが潤沢にあり、1970年代後半からのキャラクターに触れる機会が多かった蒸留所であると言えます。

その構成はディアジオ(かつてのUD)らしく、リフィルシェリーでプレーンな樽感。同じリミテッドの20年がシェリーのしっかり効いたタイプでしたが、25年は総じて樽感はあまり強くなく、麦芽由来の酸味、ピート、パワフルでスパイシーでコクのある酒質由来の味わいを感じるボトルが多い印象。
今回紹介する2001年リリースの25年は、そうしたプレーンな構成に加えてシェリー感の残っている樽も使われたようで、うっすらとシェリー、後は微かにチャーオークのニュアンスも。それらはストレートでは少々チグハグな感じもしましたが、加水すると一気にまとまり、スモーキーで陶酔感を感じる素晴らしい味わいに変化します。

1975年というと、現在高い評価をされているオフィシャルボトルの蒸留時期ですから、そのポテンシャルも納得です。
むしろ探せばまだ飲めるこのボトルは、かつてのタリスカーの魅力を学べる教材としても、ここ最近で飲み始めた人達にオススメしたいですね。
現在の相場は決して安価とは言えませんが、度数も高くヘタっている度合いも少ないでしょうし、それこそTDやJWラベル時代のオフィシャルを買い求めるよりは。。。

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