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マイ樽 熟成報告 〜熟成3年とボトリング〜

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存在を忘れていたわけでは無いのですが、今年は記事として取り上げていなかった我が家のマイ樽。
いよいよボトリングした2014年12月から追加熟成期間は3年となり、キリもいいので先週末にボトリングを行いました。



記事に取り上げるのは1年ぶりという事で、これまでのおさらいから。
使っている樽は2010年に購入した有明産業製、5リットルのアメリカンホワイトオーク樽(チャー済み)。購入当初は新樽でしたが、今回の熟成を行うまでに4年間色々なウイスキーを詰めているので、リフィル樽と言えるスペックです。
新樽状態では壊れた蛇口のように樽感(エキス)が出すぎて、何を入れても1~2週間で真っ黒になってしまった話は何度か記事で触れているところですが、今回のそれは何度も使うことで適度に樽感を灰汁抜きした状態のもの。樽感のコントロールが、ミニ樽熟成のポイントでもあります。

樽詰めしたのは、以下シングルカスクの短期熟成モルトウイスキー。
秩父モルトドリーム2012(2年)62%ノンピート 600ml
ハイランドパーク1995(5年)62% 2100ml
ハイランドパーク1996(10年)60% 400ml
マッカラン1995(5年)60% 1400ml ・・・など
どれも樽感が淡く、適度に荒さが取れてきたモルトで、写真にあるプロヴェナンスのハイランドパークとマッカランが大半を占めるブレンド構成となっています。 



先に触れたように、ミニ樽での本格的な熟成は、樽の小ささゆえに過度な樽感が付きやすいことが最大のネックとなる訳ですが、もう一つのネックはエンジェルズシェア、揮発の多さも注意が必要です。 

熟成期間を通して記録した樽の重量が以下の通り。
2014年12月 9.4kg(樽詰め時)
2015年6月 9.3kg
2015年11月 8.5kg
2016年5月 8.1kg
2016年12月 7.4kg
2017年6月 7.1kg
2017年12月 6.6kg



熟成期間3年間で9.4kg→6.6kg、エンジェルズシェア2.8kg。
アルコールは水と比重が異なるため、度数を60%、液体温度20度とし1ml=0.891とすると、約3200ml、ボトル4本半が天使の分け前として飲まれてしまった計算となります。 (実際は家主のシェア、状態確認を兼ねて飲んだ分が200〜300mlほど含まれます。)
ウイスキーの一般的な知識として知られているエンジェルズシェアは、原酒の総量に対し年間2%前後ですが、こちらは3年間で71%、年間平均で約23%、10倍以上とちょっと比較になりません。

エンジェルズシェアは熟成環境によって変化するため、例えば地下室のワインセラーのように気温が低く湿度が適度に保たれた場所の場合、今回ほどの揮発は無いと思いますが、一般的な生活環境下に置かれた樽の場合は大差ない結果になると考えられます。 
加えて、樽の組み合わせの正確さもエンジェルズシェアや仕上がり(主に度数)に違いが出る要素であり、今回使っている有明産業の樽は非常に組み合わせがしっかりしている反面、今市場に多く出回っている某社のミニ樽は漏れが生じることもあるなど、あまり良くないという話も聞きます。 

では継ぎ目のないような加工をした樽や樽材で作ったボトルのようなモノはどうかというと、もはやそれはボトルの中に木片を沈めているのと同様で、樽を通じた呼吸がない以上熟成とは言えません。
熟成は、単に樽感が出るだけではなく、樽の呼吸によってゆっくりとアルコールや過剰な香味が外に出ていくこと、樽材が不純物を吸収することで成り立つものです。


その上で、忘れてはいけないのが樽感です。以下の写真、右側が熟成開始時のもの、左側が今回払い出した3年間追加熟成時、2枚目の写真は約1年5ヶ月、折り返し時点付近の状況です。
色合いは赤みがかった透明感のあるなかなか良い外観。香りはチャーオーク樽由来のキャラメルのような甘み、ウッディな木香、熟成開始時にあったレモングラスや乳酸などの若い要素はなく、イメージ的にはかつて余市蒸留所で販売していた「シングルカスク10年新樽熟成」を思わせる要素が備わっています。香りと色合いは、想定の範囲に収まりました。


しかし問題は味。香り同様に新樽系のフレーバーが広がり、パンチのある味わいは良いとして、そうしたフレーバーに対して過剰にドライでシブいのです。
樽から滲み出るエキス由来と思しきタンニンと比例して感じる苦味ではなく、水分を持っていかれる感覚と、渋柿やアク抜きが十分でなかった筍を食べた時のような口の中をシワシワにするあの感覚。加水すると多少マシになりますが、これはとてつもない(笑)。

以前、ミニ樽で5年間熟成させたという幻の蒸留所「ロッホユー」の原酒を飲ませてもらいましたが、やはり同様の仕上がりとなっていました。
これは樽のエキスというより、樽材がアルコールによって溶けた結果付与されるフレーバーと考えられ、ウイスキーの総量に対して接触面積が大きいミニ樽による長期熟成の難しさが、この要素に集約されていると言えます。

まあ当然ですね。このやり方で美味しくなるなら、大手メーカーの熟成庫はミニ樽で溢れているはずです。
あくまでベースの整ったウイスキーに対する香りづけ程度。間違ってもニューポットからがっちり熟成させるような事は避けた方が賢明であり、直感的な話ですが、日本の環境下において数年単位での熟成を行うなら、最低でも50リットル、理想的には100リットル以上の樽で無ければ自然と飲める仕上がりにはならないだろうと思います。


と、ここまで書くと「ミニ樽は扱いが難しくて商品としてオススメ出来ないぜ」って読めてしまうかもしれませんが、これはあくまで数年単位の熟成を行なった場合の話です。
数週間から数カ月単位であれば、巷にあるシングルカスクのカスクストレングスウイスキーでも失われている樽出し直後の香りの広がり、樽の繊細なニュアンスを楽しめるグッズです。
また、ウイスキーの熟成を間近に感じられることは得難いもの。フレーバーの変化、樽感の出方、ウイスキーを理解をする上で、同じ金額だけボトルを飲む以上に経験値を与えてくれるもので、そうした意味では試す価値があります。

以上の経験から、今後ミニ樽で本格的な熟成を行う方にアドバイスをさせて頂くなら、
①事前の樽のアク抜きをホワイトリカーなどで行なっておくこと。
②樽詰めするウイスキーはニューポットは避け、樽のサイズに応じた熟成のものを選ぶ事。
③周囲の気温環境に注意すること。
特に③に関しては、上記エンジェルズシェアや樽感の発生時期が気温の高い夏場に集中しているため、夏場は一度払いだしてボトルで保管し、気温が下がってきた頃に再度熟成を開始すると言うスキームを組んで、熟成をコントロールしても良いかもしれません。 
こうして、我が家のミニ樽熟成の旅は3年の区切りを迎えた訳ですが、樽というものは困ったもので、中身を空にしておくことが出来ず、何かを入れておかなければ乾燥して使えなくなってしまいます。(中身を入れてもいずれ揮発して空になる。なんと金食い虫でしょうw)

そこで次なる旅は、普段飲み用のバーボン。
自分はアウトドアの際にバーボンを持ち歩くことが多く、今回の熟成で得られたメープルやキャラメル系の甘味、樽香が半年から1年くらいで付与されるなら、普段使いの選択肢が増えてバーボン樽(経歴的には違いますが)も作れて、一石二鳥じゃない?と。
ベースに選んだのはワイルドターキー8年。後はハイプルーフなものをボチボチ追加して、50%以上が維持出来るように調整。

近年、"マイルド"ターキーとも言われ、パンチやコクがないと酷評も目立つバーボンはどう変化するのか。
この経過も適宜記事にしていきたいと思います。

笹の川酒造 安積蒸留所がウイスキー樽の共同オーナー募集を開始

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笹の川酒造樽オーナー募集
日本各地で新しい蒸留所が産声を上げる中、操業した蒸留所が「樽売り」を開始しています。
樽売りには大きく2パターン、熟成した原酒を販売するものと、新酒の段階で売るものがあるわけですが、日本のクラフトディスティラリーのほとんどは熟成させた原酒を持ちませんので、今後蒸留するニューポットを販売し、規定の期間貯蔵庫で熟成。数年後にボトリングしたウイスキーが手元に届くというシステムになります。

自分で樽を持つ。
ウイスキー好きなら一度は憧れるマイ樽ですが、その価格は決して安くありません。
直近、国内クラフトディスティラリーのおおよその販売価格は、200リットルのバーボン樽(約5年程度の保管)で100~200万円。何よりボトリング後には100本単位で同じウイスキーが届くことになり、企業や団体が何かの記念に詰めておくなら現実味はありますが、個人の場合は消費や保管スペースの問題も・・・。
そんな中、先日募集開始された笹の川酒造(安積蒸留所)と福島屋商店の樽オーナー制度は、1口16000円で2本分を販売するもので、個人消費者でも気軽に参加できる共同企画となっています。

笹の川酒造 福島屋商店
参考及び画像引用:ウイスキー樽オーナー募集(福島屋商店)
https://www.fukushimaya-shoten.jp/whisky/

安積(あさか)蒸留所は、福島県郡山市にあるクラフトディスティラリー。
笹の川酒造については、このブログでも度々取り上げている"山桜"や"963"などの商品でご存知の方も多いと思いますが、同社が自社で原酒を生産するため、今年4月に整備を完了したのが、安積蒸留所です。
その後、5月~9月頃を試験蒸留期間として、設備の確認や様々なタイプの原酒を試験的に生産。10月から本格的に蒸留を開始しています。

今回募集される樽オーナー制度での原酒は、同蒸留所の系統からノンピート。樽のタイプは書かれていませんでしたが、ウイスキーオーク(リフィルカスク)か新樽、バーボン樽あたりだと思います。
保管期間は2017年3月から2022年までの5年間。ボトリングはシングルカスクの43%加水で、別途オプションでオリジナルラベルにも対応している模様。熟成期間中は、1年に1回のサンプリングや樽オーナー対象の蒸留所見学会なども行われるそうです。
時期的には、来年4月から社会人になる方、子供が生まれる方、あるいはお店を開業されたり節目の歳を迎える方が購入される(贈り物とする)のも面白いかもしれません。


さて、同蒸留所についてはウイスキーマガジンが特集した記事が既にWEB上にあるため、その仕様を知ることは出来ます。
しかし、味も知らぬ蒸留所の原酒を樽買いするのは、たとえ少量であっても抵抗があるものです。
そこで今回の記事では、安積蒸留所のニューポットの特徴に触れつつ、5年後の姿にフォーカスして紹介します。
IMG_0659

実は今年の7月。試験蒸留中の同蒸留所を見学、出来上がったばかりの原酒のテイスティングもしておりました。
訪問記として記事を書く予定でしたが、タイミングを逃してしまって・・・現在に至っていたのです。(笹の川酒造の皆様、申し訳ございません。)

笹の川酒造は日本酒が主軸のメーカーであることもあり、仕込みの際にはウイスキー酵母以外に日本酒酵母を使った原酒も試験的に作っています。
別メーカーの方に聞いたところ、この日本酒酵母での発酵は、ウイスキー酵母やビール酵母に比べて難しく安定しないそうで、試験蒸留中うまくいかない事もあったのだとか。
そう言っても、どうせ蒸留するんだから大きな違いはないだろうと思っていたのですが、写真の5種類のニューポットでも、うつくしま夢酵母は日本酒のような華やかさがあり、協会701酵母はクリアで雑味が少ない、901号や広島酵母は逆に苦味などの雑味のあるウイスキーらしいニューポットに仕上がるなど、明確な違いにびっくりしました。


見学の際に聞いた話では、単一酵母ではなく、複数の酵母を掛け合わせるなどして笹の川独自の原酒を作っていく実験もしているとのことでしたが、先日のウイスキーフェスティバルでお聞きした際は、ひとまずウイスキー酵母で生産を開始したとのこと。

そのニューポットは、度数63〜64%。ボディはミディアム程度。
金属臭や硫黄臭などの嫌味な要素が少ない、穀物系の香ばしさと酸味を伴う素性のよさを感じる香り立ち。コクのある口当たりに軽いスパイス、乾いた麦芽の香ばしさ、ほのかに梅を思わせる酸味。余韻は軽やかな香ばしさが盛り上がるように残ります。
華やかでフルーティーなタイプというより、素朴な田舎料理を思わせるタイプだと感じました。

熟成環境に話を移すと、安積蒸留所は福島県のほぼ中心、郡山市の街中から少し離れたところにあります。
同市の気候は盆地の福島県らしく夏はカラッと熱く、冬は非常に寒い。即ち寒暖差があって熟成が早く進む環境であるため、このニューポットなら後は樽次第で、短期間の熟成でもそれなりに楽しめるクオリティに仕上がることも期待できます。

写真は笹の川酒造の熟成庫。リンクウッドとカリラのウイスキーカスクに目が行きがちですが、ブレンド用に調達した原酒や、試験蒸留したニューポットの姿もあります。(また、元々倉庫だった場所を改築したため、ダンボールなどの荷物が(笑))

購入した原酒もまた、ここで5年間の眠りにつきます。
一つ懸念事項を上げるなら、夏場は30度くらいまで気温が上がるため、樽が強く出過ぎる可能性があることでしょうか。ただ、それも土地の色、土地の味であり、ウイスキーの熟成と共に過ごす期間が、特別な時間である事に変わりはありません。
また、ボトリング時に43%まで加水する仕様が予定されているため、強い樽感を押さえてバランスの良さに繋がる可能性もあります。
今回の企画と類似のものは、かつてニッカウイスキーが浪漫倶楽部として行っていましたが、現在は募集を停止しているため、久しぶりの機会となります。今後、その他の蒸留所でもこうした企画が増えてくれたらいいなと思いつつ、控えめにアピールして、この記事の結びとします。

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※オマケ:安積蒸留所のポットスチル。そしてミルから糖化槽への芸術的な配管の取り回し。天井の高さと装置の大きさの関係で、斜めに上げる形になってしまったのだとか(笑)

マイ樽 熟成報告 ~熟成1年5ヶ月~

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年明けから体調不良が続いたり、仕事も忙しかったりですっかり忘れてしまっていた、我が家のミニ樽。
先日「樽の状況はどうですか?」とコメントいただいて、そういえば最近様子を見てなかったなと思い出し、押入れの奥から引っ張り出してきました。
これから夏になって気温が上がり、エンジェルシェアが多く、樽感も強くなるでしょうから、様子を見るにはちょうど良いタイミングです。

これまでの流れをご存じない方は以下の記事をご覧ください。
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/cat_877767.html

ざっくり書くと、約5年間使い古したアメリカンホワイトオークのウイスキーカスク(5リットル)に、
・秩父モルトドリーム2012(2年) 62% ノンピート
・ハイランドパーク1995(5年) 62% 
・ハイランドパーク1996(10年) 60% 
・マッカラン1995(5年) 60% 
など、熟成感は淡いが適度に荒さが取れたモルトを加え、追加熟成をしているもの。

ウイスキーと樽の関係は切っても切れないもので、樽由来のフレーバーや熟成の進み方などは非常に勉強になることが多いです。
また、ちょうど息子が産まれた年に詰めたので、その成長を見ながら楽しんでいるのもあります。

 

今回の状況ですが、エンジェルズシェアとしては昨年12月の総重量8.5kgから8.1kgで、400ml発生しています。
昨年、1月から6月ぐらいまでは100mlくらいしか変化が無かったのに、今年は大きいですね。天候、雨量などの差か、あるいは今年は暖房をつけていることが多かったので、その差もあるかもしれません。
ちなみに昨年の7~11月は800mlのエンジェルズシェアがあったため、今年もそれだけ発生するとなると・・・いよいよ樽の中のウイスキーは3000mlを下回ることになります。やはり冷温な熟成庫ではない場所で貯蔵しているため、エンジェルズシェアは相当多いですね。

 

色については熟成開始時点の右側から比較してずいぶん濃くなりました、ただ、5ヶ月前との比較ではそこまで変わってないように見えます。去年もそんな感じだったので、またこの夏で濃くなっていくんでしょう。
味のほうは甘酸っぱさが強く、レモンキャンディーのよう。若いなりに面白さがある構成です。
若さを感じるフレーバーは当然ありますが、それ以上にバッテッドモルトらしい複雑さ、多層感があり、ニューポッティーさはだいぶ目立たなくなりました。ボディと度数の強い原酒を選んでいるため、樽感もちゃんと受け止めています。
ただ余韻のドライさが強くなりつつあり、この辺はミニ樽だけに材質の影響が強く出る、いくら使い古しと言っても仕方ないのかなと感じるところ。


そうえいば最近リカマンから「俺のシングルバレル」という1リットル、2リットルのミニ樽が発売され、即完売した模様。My樽熟成こそ男の浪漫、確かにわかりますよ、ロマンです。きっと多くの方が買われた樽で試行錯誤をすることになると思うのですが、その時に自分の書いた記事が役に立てば幸いです。

マイ樽貯蔵モルト 追加熟成1年

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12月1日で我が家の自宅貯蔵モルトがちょうど1年を迎えました
通常の熟成で1年は若々しくて飲めたものではないですが、使っている原酒は若いもので2年熟成の秩父モルト、あとは5~10年のスコッチモルトがメインに使われています。
つまりこの1年間で、スコッチでいうウイスキーを名乗れるだけの熟成はトータルで行われたわけです。くりりんウイスキー3 years oldです。

これまで2~3か月に1度、ノージングをしたり、ちょっとなめて異常がないかくらいの確認はしてきましたが、まともなテイスティングはしてきませんでした。ガブガブ飲んだらなくなっちゃいますからねw
1年間でどれだけ成長したのか、今日はその変化を見ていきます。

バッテッドモルトウイスキー
(秩父、ハイランドパーク、マッカラン、クライヌリッシュ)
熟成期間:2〜10年+1年
追熟樽:5リットルミニ樽(アメリカンホワイトオーク、製造2010年、ウイスキーカスク)
度数:55〜60%

香り:若いアロマに程よくウッディーな樽香が乗っかっている。
黒蜜やチェリー、ほんの少し梅干し、メンソール。徐々にオーク由来の栗や焼き芋を思わせる品のいい甘さが出てきて、若さを感じさせなくなる。

味:甘酸っぱさが強く、荒い麦芽感と一瞬感じる若いフレーバーからブラウンシュガー、モンブラン、オーキーな広がり。
後半はスパイシーで、テクスチャーは粗め。内陸系のピート香が残る。

まだ随所に若さはありますが、これは非常に面白いモルトウイスキーに仕上がってきました。
最初は強かった若い風味は随分軽減され、当たり前かもしれませんが市販されているバーボン樽熟成のウイスキーにあるオーク香も備わってきている印象を受けます。
1年間でこのレベルの樽感なら、熟成は引き続き行って問題なさそう。
ただし現状使った原酒の個性がぶつかり合ってる印象は否めず、今後は変化を見ながらグレーンやプレーンな味わいのモルトなど、個性の融和を促せるような 他の原酒追加も検討していきます。

マイ樽 熟成報告 〜熟成12ヶ月目と仕上げイメージ〜

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昨年12月1日に熟成を開始した、我が家のミニ樽5リットル。
ひと夏を押入れの中ですごし、いよいよ追加熟成1年間まで1か月を切りました。
ここの所イベントだなんだと忙しく、中身を見るのをすっかり忘れていたので状況確認をしてみます。

まず樽の重量。
6月の時点では中身入りで9.3㎏でした。
11月現在、8.5㎏。夏の揮発は凄いのですがこれまで測ったことはなく、なんと800ml、約ボトル1本分も我が家の天使様が飲まれてしまったようです。4500mlほど詰めていたので、残りは3700mlになりました。
1月から6月まではほとんどと言っていいほど変動がなかったのに、ひと夏超えただけでこの変化。夏は木材が膨張してエキスの出が良くなるため、原酒の色もだいぶいい感じになってきました。
そういえば夏の間、押入れの中がセラーハウスのごとくウイスキーとオークの甘い香りで満たされてましたっけ。

当然、味もかなり変化がありました。
これまでは未熟香も目立っていたのが、だいぶ丸みを帯びた気がします。
味のほうは甘酸っぱさとオーク風味が強くなってきました。
このままウッディーな渋みが出ないで、濃厚な方向に向かってくれれば最高です。
(以下の写真は上が今年の7月1日時点。下が11月7日時点。小瓶が詰めた直後です。)


これまでも何度か書いていますが、この樽は2010年に新樽チャー済みで購入し、その後ホワイトリカーやバーボン等、いろいろ詰めてリフィルにしたものです。これくらい置かないとサイズの小さい樽での年単位の熟成は難しく、今のところは狙い通り(これでもちょっと出すぎているくらい)の成長速度です。
中身はマッカラン、ハイランドパーク、クライヌリッシュ、秩父のショートエイジのカスクストレングスをバッティング。度数は55%ほどで、自分好みなミディアムからフルボディでハイランド系のスモーキーな味わい。

なお、このまま熟成を続けて樽感が過剰になりすぎた場合、追加で入れるウイスキーも考えています。
商品ならこういうことはできませんが(どうもカスクマネジメントの一環としてやってるような話も聞きますが)、自宅熟成ですから、とにかく目的はおいしく仕上げることのみ。

追加候補はロイヤルブラックラ1979 62%、プライベートボトルで、原酒の出元はキングスバリーでしょうか。
適度な熟成感がありつつ樽感は控えめ、ボディも平均値以上ある。味に変な癖はなく、プレーンでトーンの高い甘さに麦感しっかり。まるで割水のように強い樽感を伸ばしてくれそうなシングルモルトです。
ロイヤルブラックラは、かつてブレンデット用の原酒としてロイヤルの一角を担った蒸留所。確かにこれはブレンドで使いやすい原酒だと感じます。
このため知人に「いらないから飲んでくれよ」と、押し付けていたボトルを再度引き取ってきました。
うーん、なんて蛮行(笑)。

熟成途中に仕上がりをイメージする。そしてその仕上がりを確認できる。これはマイ樽だからこその楽しみであり、非常に良い経験になっています。
追加原酒を投入するかは今後の仕上がり次第ですが、いろいろ試していきたいです。

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