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マイヤーズラム 1970年代流通 40% &トレーダーヴィックスのマイタイ

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MYER'S RUM
JAMAICA RUM
FRED L.MYERS & SON
1970's
48ml 40%

香り:やや溶剤的な刺激や乾いた草のような植物感がトップノートにあるが、マイルドで深い甘み、キャラメル、綿菓子、焦がしたバニラ。奥にはほのかにゴムっぽさも感じる。

味:メローでまろやかな口当たり。ブラウンシュガー、チョコレートクッキー、微かに古酒感。香り同様の植物っぽさ、あるいはグレーンに通じる穀物系の香味、微かにケミカルな要素も。
余韻はややドライでビター、長く続く。キャラメリゼの甘みとほろ苦さに樽由来のタンニンが苦味を上乗せしている。

カクテルベース向けといっても過言ではない現行品と比較すると、スムーズな口当たりと舌当たりのコク、樽由来の要素の溶け込み具合一つ一つ全て上質。ただ、例えばスコッチのオールドボトルのようにベクトルは大きく変わらない、メローで引っかかりの少ないラム。やや単調気味だが余韻の苦味が全体をまとめ上げている。


最近、ウイスキー以外の選択肢として、オールドラムもちらほらと飲んでいる&飲ませてもらっているのですが、突き抜け系以外に基本的なところも抑えておかにゃならんよなということで、小瓶ですが有名どころスタンダード、マイヤーズのオールドです。

マイヤーズラムについては、ラムを知らない飲み手でも「あ、これ見たことある」というくらい超メジャーなブランドですから、もはや細かい説明は不要ですね。
ラムは熟成に用いる樽の自由度、果ては香料の添加などで香味の幅が非常に広いため、ポストウイスキーとしていくつかの傾向が期待できると感じています。

例えばここ最近信濃屋からリリースされているニューグローブの限定品などは、熟成スペイサイド、あるいはコニャックに通じるリムーザンオークの華やかさが好印象。また、今回のように甘口なオーソドックスタイプのラムとしては、シェリー樽熟成のモルトに替わるリリースを期待しています。
ハバナクラブ15年のオールドなんてオールドマッカランを思わせる深い甘みとコクがありますし、近年流通にはモスカテルシェリーフィニッシュなんてボトルも存在している。突き抜けたベリー系のオールドシェリーは不可能でも、昔のGMのカラメル系シェリーや、近年のシーズニングシェリーくらいのモノはあってもおかしくないと感じています。


(シャマレルXO モスカテルカスクフィニッシュ 2017 45%。モーリシャス産のアグリコールラム。粘性のある飲み口。濃厚な甘みとコク、ウッディな余韻が特徴的。)

今回のマイヤーズラムはオーク樽で4年間の熟成を経て、マイルドかつ上質な甘みとラムらしい香味に樽由来のタンニン、苦味が余韻に効いている一方で、あくまでスタンダードにラムらしい味わいの枠の中。
これはこれで、カクテルベースにしたら良さそうで、これからの夏のシーズンと言ったらモヒート。あとは夏場には向かないもののオールドらしい角の取れたアルコール感だからこそ、ホットバタードラム等のホットカクテルに使っても美味しそうです。

そしてラムベースカクテルで有名どころの一つ。今回のラムと合わせて紹介するのが、トロピカルカクテルを代表するレシピである"マイタイ"です。

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マイタイの発祥はカリフォルニア州オークランドのパブ「ヒンキー・ ディンクス(後のトーレーダー・ヴィックス)」において、オーナーが試作したジャマイカラムベースの1杯が好評だった事から。
その時の客が叫んだマイタイ!(最上の一杯)という名が付けられる事となるカクテルは、後に世界中で様々なレシピが誕生する事になるのですが、そのオリジナルレシピは、トーレーダーヴィックスの秘密とされています。

日本ではホテルニューオータニ内のトレーダー・ヴィックス東京に行けば味わう事が出来るオリジナルレシピ。実は都内在住のウイスキー愛好家にはお馴染み、池袋のナデューラさんでも再現版がオーダー可能だったりします。(※詳細はBAR訪問記にて)
流石に元々使われたジャマイカラムなど一部の原料は入手できない為、再現するために複数種類のラムをブレンドしていますが、その一つが今回テイスティングしているジャマイカラム、マイヤーズラムです。
なぜ今紹介するかというと、ナデューラではパイナップルが手に入る時期じゃないと完璧な形で作れない為。以前訪問記を書いた際はオフシーズンで、その後来店した時もタイミングを逃しており、やっと注文する事が出来ました。
ライムの香りの爽やかでスッキリとした飲み口から、口の中で温度が上がっていくとコクを感じるリッチな味わい。パイナップルを浸し切ったところでひとかじり。。。夏日が珍しくないこのシーズン。ラムで南国気分を楽しむのもオツですね。

【BAR訪問】 BAR Nadurra (ナデューラ) @池袋

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新宿での外勤を終え、いつもと違う方向から家路を目指す最中、ふと今回のBARのことを思い出しました。
丁度先月に1周年を迎えた池袋のオーセンティックバー、BAR Nadurra。
一度行ってみようと思っていましたが、池袋方面は帰宅経路に無いこともあって脚が向かず、今回これ幸いと途中下車して初めて同店の扉を開きました。


公園に面した階段を上り、若向きのBARを1軒スキップした先。落着きのある照明に、カウンターのみのシンプルな空間は、いかにもという空気があります。
ウイスキーの品ぞろえはオールドというより5年程度前のモノが中心で、ボトラーズ、オフィシャルまで広く揃っています。
お店の個性を作る要素の一つが、バーマンの存在。良くも悪くもここで特徴が作られるわけですが、BARのみならずレストラン等、複数店舗で修業を積まれたマスターの松平さんは、ホテルBARのような落着きある空気を纏ったオーセンティックなバーマンという感じで、こちらも自然と襟を正す、心地よい緊張感がありました。

まずは1杯目にいつものお約束、ハイボールを注文。
ウイスキーはお任せで、出てきたのはイチローズモルトのブレンデッド、ホワイトラベルにレモンピールを少し絞ったもの。少しえぐみが出るかなと思いきや、レモンのさわやかな香りが若いブレンデッドの乳酸系の酸味とマッチして、さながらチーズケーキのよう。
ここにチャームの洋ナシとシャインマスカットが絶妙なマッチングで、おいおいこいつはレベル高いぞと。


2杯目は残ったチャームと合わせることができるシングルモルトウイスキーをオーダー。
出てきたモルトはちょっと前にリリースされた、スリーリバースのクライヌリッシュ。

蜂蜜や麦芽風味の中に、リンゴ、洋ナシなどの同系統のフルーティーさも潜むモルトです。これはこれで単体で十分美味しいのですが、いささか単調になりがちなシングルカスクの旅の途中に、チャームのフルーツが丁度いいアクセントを与えてくれます。
マスターはウイスキープロフェッショナルのみならず、ソムリエの資格を持たれており、これまでの職歴もあって、お酒に合わせるという考え方は相当経験を積まれているように感じました。

新しいBARでは、そのBARの味的なものを利きたくなります。
オーセンティックBARならカクテルですね。ハウスワインのような、ハウスカクテル的なモノはありますかと。聞いて返ってきたのは意外なカクテル、トロピカルカクテルの女王、マイタイ。
かつてマスターが働かれていたレストラン、ホテルオータニのトレーダーヴィックスは、マイタイ発祥の地とされるレストランです。本来は門外不出のレシピですが、再現する許可を頂いているんだそう。グラスもカクテルスキュワーも、トレーダーヴィックスで使われているそのもので出てきます。


マイタイは現在世界中に様々なレシピがありますが、オリジナルレシピはラムにオレンジキュラソー、そこにいくつかのシロップ、そしてクラッシュアイスという、ほぼリキュールな構成。大ぶりなロックグラスに注がれるそれは非常に飲みごたえがあり、酒量が厳しいときに頼むのは要注意です。
実は自分は今から9年ほど前、当時行きつけだったBARのマスターとの忘年会で同レストランを訪れたことがあり、このカクテルを飲んでいました。9年ぶりのマイタイ・・・確かにこんな味だった気がします。
諸事情により写真はありませんが、ご興味あります方はぜひ注文してみてください。


さて、程よく飲んでしまったので後は甘味で締めます。
ナデューラではマスターの奥様のお手製スイーツ「ゆきえのプリン」がデザートメニューでひときわ目を引きます。っていうか、飲んでる最中から気になって仕方がないっ!。
自分が注文した時はちょうど新しいロット(3日に1回程度作り変える)で、確かに濃厚な口当たり、卵のうまみにバニラの香り、そしてこれも自家製と思われるほろ苦いカラメルシロップが絡んで、なんとも締めにいい塩梅。これは富山の某酒販に習ってくりりんの太鼓判です。

また、プリンの一つ上、「何かのお酒が入った生チョコレート」は、妻がバレンタインデーに手作りウイスキーチョコレートでブラインドを挑んでくる、我が家の話がネタになっています。早速採用されていて驚きました(笑)。
こちらも興味あります方は締めに、あるいは合間にどうぞ。


ナデューラで紹介し忘れてはならない特徴が「禁煙」であることです。
煙とお酒の組み合わせの賛否はわかれるところですが、美味しく飲むのとは別にお酒単体の香味を純粋に楽しむなら「禁煙」であることは必要条件とも言えます。
その時吸ってる人が居なくても、染み込んだ臭いがウイスキーに影響を与えることは少なくありません。
Nadurra(ナデューラ)の意味はグレンリベットのそれ同様に"自然"。お酒の味と魅力をじっくり楽しむBARとして、シンプルながら良いお店だなと思います。

BAR Nadurra
(東京都豊島区東池袋1-17-11 パークハイツ池袋203-2)
月曜~金曜:17:00 ~ 26:00
土曜・祝日:15:00 ~ 25:00
定休日 日曜日 第3・第4月曜日
http://www.bar-nadurra.com/access.html
Tabelog:http://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13175560/

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