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ヴァージン バーボン 21年 2000年代流通 50.5%

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VIRGIN BOURBON 
(HEAVEN HILL) 
AGED 21YEARS 
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON 
2000's 
750ml 50.5% 

グラス:不明
場所:BAR Twice-UP
時期:不明
評価:★★★★★★★(7)

香り:芳醇で艶やかな甘さに、ビターなウッディさの混じるアロマ。新樽由来のエキスが溶け込んだリッチで艶やかな甘さは、チェリーシロップとオレンジママレード、焼き菓子やカラメルソースのようなほろ苦さ、香ばしさも感じられる。

味:リッチでメローかつパワフル。メープルシロップのように濃厚でとろりとした甘味のある口当たり。オレンジピール、カカオチョコレートに濃く入れた紅茶、徐々にビターなフレーバーがあり、微かにスパイシー。余韻はウッディで焦げたキャラメルを思わせるほろ苦いフィニッシュが長く続く。

こってりと新樽系のエキスの溶け込んだバーボンだが、ウッディでえぐみや渋味の強いタイプではなく、オールドバーボン特有のメローで艶やかな甘味を備えたリッチな香味構成。高い度数が強い樽感をギリギリ支えており、違和感はあまりないが、果実味よりは甘味優位。余韻のウッディさがやや強い。


以前から一度飲んで見たいと思っていた銘柄、ヴァージン・バーボン21年に出会うことが出来ました。バックバーで見つけて即注文です。
ヴァージンはヘブンヒル蒸留所が製造していたバーボン銘柄で、ラインナップは21年のほかに7年、10年、15年があり、どれも101プルーフのBIB仕様が特徴。後述の3種は、総じてコスパが良いと評判であったことに加え、バーボンブームを経験した愛好家にとっては馴染み深く、近年のヘブンヒル関連銘柄の大幅整理の中で消えていった、惜別の銘柄でもあります。

一方で、今回の21年は調べた限りブランドの初期からリリースされていたものではなく、2000年代に短期間だけリリースされた銘柄のようです。
他のグレードと異なり、メーカーズマークのように蝋封されたハンドクラフト仕様。それまでのハイエンドである15年のややくすんだゴールドカラーではなく、メタリックなシルバーというのが目を引きます。
マッシュビルは不明。ただしライ系のスパイシーさはあまりないので、コーン比率高めのレシピであると考えられます。
チャコールフィルターを透したニューメイクを新樽で21年間以上熟成し、マイルドでキャラメルのような芳醇な甘味と濃い紅茶を思わせるタンニン、ウッディネス。リッチで旨いバーボンに仕上がっています。

なお、同じヘブンヒル系列からの長期熟成バーボンで知られるエヴァンウィリアムズ23年は、新樽由来の甘味とウッディネスに赤系のベリー感。このヴァージンは系統としてはキャラメルやメープルシロップ系の甘味がメインにあり、ウッディーでメロー。マッシュビルの違いか、熟成を経て艶やかな甘さを備えるなかで、方向性が異なるように感じられました。
贅沢なことを言えば、多少ボディが樽に負けているというか、甘味に対してウッディさが強い。まあ見事に葉巻が欲しくなりました(笑)。

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今日のオマケ:ジョン デュヴァル ワインズ エンティティ シラーズ 2015

オーストラリアのシラーズ。ということで先日記事にもしたトルブレック等の芳醇な果実味、色濃いベリー感を期待して同じ地区の葡萄が使われているものを購入したのですが・・・新世界感はあまりなく、仏ボルドーのカベルネを思わせるような味わいに驚かされました。
ただそれは決して悪い意味ではなく、意外だっただけで味そのもののレベルは高いですね。

ヴィンテージのわりに落ち着きがあり、早飲みからイケる懐深い香味構成。滑らかな口当たりから黒系果実のフルーティーさは、ブルーベリーやカシス、葡萄の皮、こなれたタンニンが全体を後押しするリッチな味わい。全体の1/3が新樽で16ヶ月熟成。樹齢100年を越える古樹も含まれているということで、この落ち着いたリッチな味わいとタンニンはその要素からきてるのかなーと推察。
新世界シラーズとして飲むと「あれ?」という感じですが、カベルネをイメージして飲むと普通に美味しいワインだと思います。

エライジャクレイグ 12年 バレルプルーフ 68%

カテゴリ:
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ELIJAH CRAIG 
Barrel Proof 
Kentucky Straight Bourbon Whisky 
Aged 12 years
2017-2018's
750ml 68%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後半年程度
場所:自宅
評価:★★★★★★★(7)

香り:奥行きのあるリッチなチャーオーク香。キャラメルポップコーン、オランジェットやチェリー、少し干し草や穀物っぽさも伴う。溶剤を思わせる刺激が、濃厚でスパイシーな樽香の奥で酒精の強さを主張する。

味:しっかりとメローかつ、ウッディーでパンチの強いパワフルな味わい。ハイプルーフ由来の刺激と合わせて、オレンジやベリーのドライフルーツ、ブラウンシュガーやカラメルソースの甘みと苦味が、タンニンを伴って広がってくる。
余韻は強くスパイシー、樹液のようなウッディな甘みも感じつつ長く続く。

赤みがかった濃い美しい色合い。単に荒々しいだけでなく、樽由来のメローな甘みと熟成感で、旨いバーボンとはこういうものと言える形のひとつ。まさにバーボンという印象。嫌みが少ないながら濃厚な構成であるため、加水で柔らかく芳醇な香りが、ロックでは温度差をもって口内で開く馥郁とした味わいがそれぞれ楽しめる。

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ヘブンヒル蒸留所で生産されている、エライジャクレイグブランドのスモールバッチリリース。2017年から蒸留所や一部現地ショップで販売されている限定品で、現地ウイスキー雑誌Whisky Advocateが主催したコンペでは、2017年のベストウイスキーにも輝いています。

リリースの位置付けとしては、スタンダード品のスモールバッチ&バレルプルーフ仕様ですが、そのスペックはほとんどのボトルが65%を越えており、熟成を通じて度数が上がったタイプの原酒を厳選して構成されている、特別仕様であることも伺えます。(近年流通品は、一部65%未満のリリースもあり。)

一方で、今回のボトルは12年熟成ですが、現行品はノンエイジに切り替わっている模様。補足すると、スタンダード品のエライジャクレイグは長く12年熟成品として販売されていたものの、現行品へのラベル・ボトルチェンジに伴ってノンエイジ仕様に切り替わっており、このバレルプルーフも同様の変化があったようです。
直近のバレルプルーフはロットナンバーが表ラベルに記載される一方で、熟成年数もノンエイジに。ボトル形状も現在のエライジャクレイグのすらりとしたタイプに変更されています。

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(スタンダード品の12年とバレルプルーフ。写真の12年は1990年代流通で、2016~2017年頃に12年表記が背面ラベルに移り、その後ボトルチェンジと共にノンエイジ仕様へと切り替わっている。アメリカンウイスキーにおいて10年オーバーの原酒の確保は、どのラインナップも難しくなって来ている模様。)

レビューのとおり、その香味は60%を越えるバレルプルーフらしくパワフルで、しっかりと樽の効いたメローかつスパイシー、ちょっと穀物っぽさも伴うリッチな味わいが特徴。
同じ濃厚さの中でもジャックダニエルのようにバニラ系の甘味が強かったり、ターキーなどのように果実系の要素が強いというタイプでもない。ハウススタイルを維持しながらコシが強い、スタンダードバーボンの強化版という印象を受けました。

だからこそストレートのみならず、ロックや加水で飲んでもその美味しさが持続し、それぞれ異なる魅力を楽しませてくれるのかもしれません。
スタンダードバーボンの構成が少々厳しい状況にある昨今ですが、良いものはやはり良い。疲れた体に活力を、元気を与えてくれるような旨いバーボンです。

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アンダーソンクラブ 15年 ヘブンヒル 1990年代流通 43%

カテゴリ:
ANDERSON CLUB
(HEAVEN HILL)
Aged 15 years
1990's
750ml 43%

グラス:ヴィノテクスピリッツ
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(5-6)

香り:艶のある甘く奥深い香り立ち、ナッツを塗したチョコレート、微かにチェリーやベリー香、香ばしさのある穀物感。思わず惹きつけられる香り立ちではあるが長続きせず、ややドライで奥からは溶剤的なニュアンスも立ってくる。

味:ドライな口当たり。チョコウェハース、微かなシロップ漬けチェリー、乾いた植物感を思わせるチャーオークフレーバー。中間以降はウッディネスが支配的。ボディは加水が効いてそこまで厚くはないが、鼻抜けはしっかりと熟成由来の甘みが漂う。

美味いオールドバーボンの片鱗を味わえるボトル。あくまで片鱗であり、それ以外は樽のドライな要素が強く、もう一つボディが欲しいとも感じる。個人的にはヘブンヒルのセカンドラベルという印象。香り高いがドライでビターな味わいは、アレンジするならミントジュレップがオススメ。


閉鎖や買収、業界再編の多いバーボンウイスキーにとって、いくつかの蒸留所表記は特別な意味を持つことがあります。例えばStitzel Weller表記は、オールドフィッツジェラルドやバンウィンクルなどの名作を生んだ蒸留所として知られ、旧ウィレット蒸留所にあたるKBD社なども同様。こうした銘柄は、オークション等でも高値で取引されています。

その流れで、1997年に火災消失した旧ヘブンヒルを示すBARDSTOWN KENTUCKY 表記のボトルも、ボチボチ懐かしくなってきた頃合いではないでしょうか。ヘブンヒルは他社銘柄への原酒供給が多い蒸留所でしたので、バーボン飲んでりゃヘブンヒルに当たるといえるくらい珍しいものではありません。
他方先日、1989年、1990年蒸留の旧ヘブンヒル時代の原酒を使った、ヘブンヒル27年がリリース。販売価格499ドルで即完売し、オークションでは2000ドルを超えているとか。。。

近年ハイプルーフかつ長熟バーボンの需要が高まっている背景も大きいとは思いますが、ちょっと前まで1万しなかったヘブンヒル15年が気がつけば良いお値段だったりで、じわじわこのブランドも消失プレミアがつきつつあるなと思うのです。

(ボトルにプリントされた蒸留所の俯瞰図。ちょっとウェアハウスの配置が近すぎるような気もするが、デフォルメされているのだろうか。)

さて、この銘柄ですがバックストーリーは不明であります。(笑)
一応調べるだけは調べました。ただ、明らかになるのはブランドストーリーではなく、このバーボンは古く1970年代流通品には6年熟成品があったこと。1980年代のバーボンブームを受けてか、妙に日本に流通していたことくらいで、「アンダーソンクラブ」が何の名称なのか(米軍将校級のサロン向けという話は裏が取れず)、マッシュビルはどういう組み合わせだったのかなど、重要なところが全くわからないのです。

なので、自分はこの銘柄を"ヘブンヒルのセカンドラベル"として割り切って考えることにしています。
ふくよかで芳醇な長熟由来の樽香はポジティブな要素で、旧ヘブンヒルと言われると納得できる乾いたような植物感がらしさを感じさせる反面。オールドバーボンにあってほしい艶を帯びた果実や甘みの持続力が香味とも短く、こちらが堪能する前に消えていってしまう。価格もヘブンヒルブランドの中では安価な部類であり、これらの特徴がセカンドラベルとして位置付けるとしっくりくるのです。
とにかく旧ヘブンヒルの長熟を飲みたいという場合は、1番入手しやすいところかもしれません。 

ヘブンヒル 15年 1990年代流通 50%

カテゴリ:
OLD HEAVEN HILL
Aged 15 years
Bottled in bond
1990's
750ml 50%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会
時期:開封後2年程度
評価:★★★★★★(6)

香り:エステリーでツンとした香り立ち。クラッカーのような穀物感と乾いた草っぽさ、合わせてメープルシロップ、チェリーリキュールを思わせるメローな甘みが感じられる。

味:メローでコクのある口当たり。序盤はマイルドだが徐々に力強く、干し草とシロップ漬けチェリー、ブラウンシュガー、熟したバナナ。香り同様のニュアンスからドライでウッディな余韻に繋がる。

香味とも干し草のようなニュアンスを多少感じるが、熟成バーボンの濃厚な甘みに赤い果実風味の混じる豊かな樽香、何よりボディを支えるコクが全体のバランスに繋がっている。


自分にとっては懐かしいボトル。それ以上にバーボン好きにとっては感慨深さを感じるであろう、火災消失前のヘブンヒルです。
流通時期は丸紅さんの住所と、ボトルの表記などから1990年代前半から中頃。逆算して蒸留時期は1970年代後半から1980年ごろ、ということになります。

ヘブンヒル蒸留所は、現在も稼働し続けているバーボンウイスキーの代表的な蒸留所の一つですが、それは1999年にシェンレー社所有のバーンハイム蒸留所を買収してヘブンヒル・バーンハイムとして生産を継続した、全く別の蒸留所と言えるもの。
元々あったバーズタウンの蒸留所は、1996年の落雷に端を発した大火災で焼失しており、バーボンの平均的な熟成期間で考えれば、現在流通しているヘブンヒル銘柄、並びにヘブンヒル生産とされる銘柄の大半がバーンハイム産となっています。


(ヘブンヒル大火災の様子。60度強のアルコール満載の熟成庫は、一度火がつけば爆発するように炎上する。そのため各棟は間隔をあけて建てられているが、この火災により、蒸留設備と44棟中7棟の熟成庫(約90000樽)が全焼したという。画像引用元はこちら)

上述の通り、このボトルがリリースされた当時は旧ヘブンヒル時代。バーボンの流通は安定しており、熟成した原酒が安価に提供された結果、今回のボトル筆頭に多くの銘柄に美味しい熟成バーボンがありました。

当時のヘブンヒルの特徴は、加水リリースでもしっかりとコクのあるメローな甘みと軽い穀物感という印象。今回のボトルもその特徴が出ており、ハイプルーフ故のリッチな味わいでコスパも良好で、文句なしのリリースだったと記憶しています。
そんな長期熟成バーボンが姿を消したのもこの火災の影響と言われていますが。。。たしかに焼失した90000樽と、バーンハイム買収までの約4年間が与えた影響は少なくはなかったでしょう。他社からの原酒買取に加え、ストックを消費してその間を切り抜けたことは想像に難くなく、その後の各銘柄のラインナップに影響を与えたとしてもおかしくありません。

オールドヘブンヒル、ヴァージン、イエローオブテキサス、ベリーオールドセントニック・・・などなど、かつてのヘブンヒル産で姿を消した、15年以上熟成の長熟バーボンは片手で足りず。やはりこの時代のボトルを飲むと、懐かしさと失われた味わいに感慨深さを感じてしまうのです。

以下余談。
そう言えば、ヘブンヒル蒸留所から火災前の1989年、1990年蒸留の原酒を使った27年熟成・バレルプルーフのバーボンが、この秋に限定リリースされるみたいですね。
なんの記念なんだかいまいちわからないのですが、27年というとリリースされたバーボンの中では、知る限り最長熟成にあたるスペックではないでしょうか。価格も某国産品ほどぶっ飛んでないので、BARに入るなら飲んでみたいです。

エヴァンウィリアムズ 12年 101Proof 50.5%

カテゴリ:
EVAN WILLIAMS
Aged 12 years
101 Proof
750ml 50.5%

グラス:グレンケアンテイスティング
場所:自宅
時期:開封直後
評価:★★★★★(5-6)

香り:やや渋みのあるウッディネス、キャラメル、焦がした焼きプリン、ポップコーンのような香ばしい穀物香。スワリングするとセメダイン系の溶剤感やトーストの酵母。ツンとした刺激を伴う。

味:ほのかに酸味を伴うチャーオークのフレーバー、シロップのような甘み、ウッディなタンニン、チョコレートクッキー。
余韻は口当たり同様ベタつきのある樽感と、オレンジママレード、柑橘系のほろ苦さを感じる。

飲み口はメローで角が取れて適度な熟成感があるが、樽の質の関係か中間から香味にバラツキが目立つ。加水するとオレンジ、絞った柑橘の皮のようなニュアンスが強くなる。ロックも同様。


ヘブンヒル蒸留所で作られている、ケンタッキー州でのバーボンウイスキーの創始者の名を冠したブランド。もっとも、創始者の作った蒸留所は遥か昔に消滅しており、メーカーも設備も異なるもの。ブランドのみが1900年代に入って復活したという、その他のバーボンと同じような流れになります。

そのブランドはノンエイジのブラックラベル、最短熟成となる4年熟成のボンデッド、最長熟成の23年。他いくつかのグレードがあるわけですが、その中でも一番美味いと思うのが23年であることに異論の余地は無いとしても、個人的にもっともスタンダードなバーボンと感じているのが、この12年熟成です。

12年熟成品はこの10年間で2回ほど代替わりをしており、以前はラベルが艶やかな赤色で、Since 1783やKentcky 1st distillerというブランドの創業年を示す記載がありましたが、現行品の面ラベルは12年表記のみとなっています。
なんていうか上述の状況の通り、紛らわしい説明なので徐々に省いてきているのかもしれません。
当時のボトルは安価な割に味が良く、2000円くらいで美味しく飲みごたえのあるバーボンだったらエヴァン12年かターキー8年でOKというのが自分の中での評価でした。

もっとも最近は他のブランド同様にライト化が進みつつあり、特にヘブンヒル産の現行品は火災消失からの蒸留所切り替えによる影響を大きく受けているとも感じます。
どうフォローしても味の違いは。。。
また、10年以上の熟成原酒が不足気味という声は現地見学を行なったウイスキー仲間の話。12年熟成品の維持は中々苦労しているようです。(2000円台で買えていたのは日本だからという話も。最近は3000円台に値上がっていますが。)


今回も自宅樽でのバーボン熟成用にスタンダードなボトルを調達して、補充してみました。
これで4リットル弱くらいになりましたので、あと入れるとしたら1銘柄くらい。適当に現行品のみをブレンドしているのですが、いい具合にコクと複雑さが付与されてきて美味しくなってきました。
最近現行品のバーボンを飲む機会なんてなかったので、勉強にもなって一石二鳥です。

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