グレンファークラス 29年 1989-2018 #13005 52.3%
GLENFARCLAS
THE FAMILY CASKS
Aged 29 years
Distilled 1989
Bottled 2018
Cask type Sherry butt #13005
700ml 52.3%
グラス:シュピゲラウテイスティンググラス
時期:開封後数ヶ月
場所:BAR ハリーズ高岡
暫定評価:★★★★★★(6ー7)
香り:リッチでスウィートな香り立ち。ドライプルーンやブルーベリージャム、チョコクリームを思わせる、しっとりとした甘さと果実感。合わせてウッディーなニュアンスを伴う。
味:香り同様の構成である濃厚な甘味。クリーミーでリッチなシーズニーングシェリー味が、樹液のようなウッディな渋味と甘味、タンニンと共に広がる。渋味はそれほど強くなく、甘味を引き締めるように余韻にかけてまとまっていき、カカオチョコレートとエスプレッソコーヒーの組み合わせを思わせる、苦味と甘さがほどよいバランスで長く残る。
こってこてのクリーミーなシーズニングシェリー味。マイルドで柔らかな甘い香味が構成の軸になっており、やや単調気味だがネガティブな部分の少ない、近年系圧殺シェリーとして仕上がっている。少量加水すると樽感がぼやけて若干水っぽさが出てしまうので、ストレートがおすすめ。
並行輸入メーカーの大手、ウィックが国内に5本だけ入荷させたという近年リリースの89
ファークラスのなかでも、あまり話題にならなかった1本。
ですが、Bar メインモルトとキャンベルタウンロッホの共同ボトリングで知られるグレンファークラス1989 #13009とは、樽番号わずか4違いという、隣樽とは言えないまでも、ほぼ同じ場所に置かれていた可能性が高い(また、樽の調達先も同じ可能性が高い)、シスターカスクと言えるスペックです。
そのため、全く同じ系統の仕上がりかと思いきや、テイスティングの通りクリーミーな甘味のあるシーズニングシェリー感が主体。例えるなら山崎系統とも言える、華やかで香木の混じるスパニッシュオーク感が強かった#13009とは、系統の異なる香味構成に驚かされました。
この他、近い番号だと信濃屋リリースの1989 #13049もありますが、やはりこれも同じシェリーバットでありながら系統が異なる仕上がり。ファークラスマジックと言われた多彩なシェリー感のベースとなるものが、この約50樽の中の3樽からも感じられるように思います。
と、仕上がりが異なるという話はさておき、単体の完成度としては突き抜けないまでも、決して悪くありません。
個人的には上記3樽のなかで、シーズニングシェリーと言われて最もしっくり来る仕上がり。熟成を経て得られたリッチな口当たりが、樽由来の要素でクリーミーな甘味でまとまり、余韻にかけてビターでタンニンを伴うウッディネスがそれを引き締める。
また、長熟にありがちなドライな舌当たりになりきらないのが、序盤のシェリー感に由来する甘味の働きで、濃厚な香味を長く楽しめるのです。
後は好み次第ですが、贅沢なことを言えば、もう少し変化がほしいかなと。
今の感じだと、逆に外的要因で変化を加えるというか、それこそ葉巻あたりをふかしながらでも楽しめるような・・・なんともリッチ(贅沢)な近年系シェリー味でした。
今回のボトルをテイスティングしたハリーズ高岡。
2年前、開店直後に初めて行ったときはオフィシャルボトル中心で、ウイスキーは100本あるかないかというラインナップ。バックバーのスペースはボトル1列のみで余裕を持たせた配置だったのですが。。。時間経過でどんどんボトルが増えていき、先日の写真がこれ。
流石に置ききれない・・・っていうか真ん中の棚、たわんでません?(笑)
先日開店2周年を迎えた同店。ウイスキーのストックと種類では北陸随一と言える規模に成長しただけでなく、ウイスキーの魅力をさらに発信すべく今尚進化し続けています。
ブログ上での掲載はだいぶ遅くなってしまいましたが、2周年改めましておめでとうございます。