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オークションを眺めていると、素性不明でなんじゃこりゃと思うようなボトルがたまに出て来ます。所謂珍品珍味系。
ネットで調べても味はおろか素性も不明。じゃあ買って確かめてやろうじゃないかと、妙な使命感に課せられて落札し、結果中途半端なストックが増えていくワケです(笑)。
ただこれがハズレばかりかというとそうでも無く、アタリも結構ありました。それこそ当時は無名でしたが、今じゃ高嶺の花になったボトルもあります。
そうしたアタリを引いた時の快感が忘れられず、今日も掘り出し物を探す日々。
今回のボトルもそうした経緯で購入しましたが、味もさることながら、ネタ的にも二重の意味でおいしいボトルでした。
 
Duke's Dignity
The Royal Blend
Distilled 1983
Bottled 2001
43% 700ml
評価:★★★★★(5)
 
"ドライでスーッとするアルコール感にカラメルやカステラの甘みを感じる香り立ち。微かなスモーキーさと木材のえぐみ。
口当たりはスムーズでヒネたシェリーの甘さと程よいコク。香り以上に甘みが強く、そこにレーズンの酸味、焦がしたカラメルソースと麦芽風味が良いアクセントになっている。
スパイスの刺激は無く、フィニッシュはカカオ多めのチョコレートを思わせるまろやかな甘さと苦み。あっさりとしている。少量加水程度だとあまり変化は無いが、しいて言えば序盤の木のえぐみは緩和される。"
 
 
ブレンデットなのに、1983年蒸留、2001年ボトリングというビンテージ付き。異色のボトルです。
スムーズで飲み疲れない味わいで、逆にもう少しパンチがあっても良いんじゃと思うくらい。
ただシェリー感もほどよくあって、家飲みボトルとして重宝したという某氏の話も納得です。
その中身は1983年蒸留オンリーかと思いきや、裏ラベルには38種類の18〜26年熟成のモルトをブレンドとの記載。確かにウイスキーの熟成年数表記は一番若いものを記載するのがルールですが…、蒸留年までその整理を適用するかどうかはさておき、つまりは単純計算で1975~1983年蒸留のモルト原酒がブレンドされていることになります。
これは色も良いし期待出来るぞと、改めて表ラベルを読んでみると、
「...selected the Grain and Malt whiskies...」
 
( ゚д゚)どっちやねん!

もうめちゃくちゃです(笑)。
まぁ味はブレンデットっぽいので、表ラベルが正しいということなんでしょう。
これを詰めた株式会社碇萬年は、当時銀座で営業していた業務店向けの酒販企業。
2002年にいくつかの会社と業務提携したため当時の所在地に会社はありませんが、一応存在しています。
時期的に推察するに、この業務提携の記念か何かでプライベートブランドとして作ったモノと思われますが、加水のブレンデットなんてオーダー最小単位でも百本どころか千本単位になるんじゃないでしょうか。よく作ったなぁというのが本音のところです。

デュークス・ディグニティー、つまりデューク氏の威厳。
デューク氏はこのブレンドを作ったブレンダーとの記載、思えばずいぶん大層な名前をつけたものです。
ただその覚悟の表れか、味は当時から細々と評価されていたようで、浅草の某老舗BARや日本橋の大御所も使われていたそうです。

そしてここまで引っ張りましたが、最大のツッコミどころはボトル全体のデザインがモロ当時のOMCのパクリ疑惑。
これはやり過ぎじゃ無いかというくらいのレベルです。製作者に威厳、品位は無いのでしょうか?
面白いから良いですけどねw

Duke's Dignty