タグ

タグ:サロン・ド・シマジ

キルホーマン 6年 2009-2015 for サロン・ド・シマジ向け 59.9%

カテゴリ:
IMG_20200529_220002
KILCHOMAN 
SINGLE CASK RELEASE 
For Salon de SHIMAJI 
Aged 6 years 
Distilled 2009 
Bottled 2015 
Cask type Oloroso Sherry Butt #407 
700ml 59.9% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後2年程度
場所:自宅 
評価:★★★★★(5ー6)

香り:微かにサルファリーなニュアンスがあるが、それ以上にヨード香と磯っぽい香り、燻した麦芽や焦げた木材、ピートスモークのアクセントが強い刺激と共に薫る。

味:パワフルでピーティー。オイリーな質感のある麦芽風味から、後半にかけて口内を刺激するアルコールの高さ、ひりつくような飲み口。
余韻は強いピートフレーバーに、微かにチョコレートの甘さ、塩気を伴って長く続く。

粗さの残る口当たりだが、カリラとラガヴーリンを足して2で割ったような、王道系アイラモルト。
開封直後はシェリー感は淡いのにサルファリーなニュアンスが目立つ、なんとも評価に困るモルトだったが、時間経過で硫黄要素が抜けて、麦とピートにヨード、樽由来のコクのある甘味、ヤングアイラとしてなかなか楽しめる1本に変化してきた。
加水すると香りで硫黄要素が目立つが、味にはシェリー樽由来の甘味もあり、バランスは悪くない。なにより、葉巻との相性は光るものがあり、選定者の意図が伝わってくる。

IMG_20200529_222740

テレワークで家から出ていないこともあり、曜日感覚、日付感覚が欠如し、月末だったという認識がなく・・・思いっきり「リカル」の締め切りを失念していました(汗)。
自分は原稿を長々書いてしまうので、字数制限の関係上紙媒体向けとWEB向けでそれぞれ1本ずつ書くことから、平日夜の時間はリカルに集中。そして週末は子供に集中。というわけでブログがご無沙汰になりました。

今日のレビューは、来月6月にリリースされる、自分関連のボトルとかけ、キルホーマンのストックから。
4年前、信濃屋さんからリリースされた、サロンドシマジ&PEN向けのキルホーマン・シングルカスクリリース。この時期はポンド/円の相場が1ポンド190円と日本側に厳しく、中身も若い熟成年数故にシェリー感が淡く、バチバチと粗さの残る口当たりにサルファリーなニュアンスが目立ってしまう。。。
1本購入していたのですが、香味的にも価格的にもちょっと扱い辛いリリースという印象でした。

シェリー感は淡いのに硫黄が目立ったのは、硫黄感とシェリー酒由来の要素が樽材の表層にあるのに対し、その内側にある樽材由来のエキスでは、熟成の影響が時間差になるためと考えられます。表層部分から先に溶け込んでいくので、熟成の若いウイスキーは樽感がそこまで強くないのに、硫黄要素が目立つ結果になったのではと。
ただ、開封直後から葉巻との相性は良く、選び手の好みが反映されているボトルでもありました。完全禁煙な家飲みでは使い辛いけどBARでなら…と、今は無き池袋の某BARで葉巻を持ち込んで楽しんでいたのを覚えています。

また、硫黄系の要素は開封後の時間経過で抜けていく部分があり、若さ由来の粗さ、刺激も多少角が取れていきます。今回久々に飲んでみて、この硫黄要素が抜けつつあり、ベースにあるアイラモルトとしてピート、ヨード、塩気、それらを含む麦芽風味という、まるでラガヴーリンとカリラを足して2で割ったような好ましい変化が見られました。
度数の強さもあってがばがば飲むボトルではないので、今後じっくりと成長を見ていくことが出来そうです。

Screenshot_20200312_140834 (1)

さて、続いては個人的には今日の本題というか、冒頭触れた自分絡みのリリースであるキルホーマンです。
先日の記事でも紹介させてもらったチームグレンマッスルからのプライベートリリースが、無事に日本に到着したとのことで、銘柄もオープンにしたいと思います。(もともと隠すレベルのものでもありませんがw)
今回はキルホーマン蒸留所から希少な1樽、100%アイラのバーボン樽熟成をボトリングすることが出来ました。

Screenshot_20200312_154915
  KILCHOMAN
100% ISLAY MALT
SINGLE CASK RELEASE
For TEAM GLEN MUSCLE
Aged 8 years
Distilled 2012
Bottled 2020
Phenol 20 PPM 
Cask type Fresh Bourbon Barrel #29
700ml 55.1%


企画が動いたのは昨年末。
近年のキルホーマン100%アイラのリリース7th~9thに大きな可能性を感じ、その構成原酒と同じスペックである、バーボン樽のシングルカスクで7~10年熟成のものを日本市場にリリース出来ないかと、Whisky-eさんを通じてキルホーマン蒸留所に働きかけていただいたところ。我々の熱い想いに共感頂けたのか、複数のカスクサンプル(すべてバーボン樽で100%アイラモルト仕様)が届き、その中から選んだのが今回の1樽となります。

キルホーマンの100%アイラは、通常のリリースに比べて生産量が少なく、まとまった熟成年数のものがなかなか市場に出回らないそうです。
サンプル段階では、バーボン樽&100%アイラキルホーマンという組み合わせから想定される、らしいフルーティーさと厚みのある麦芽風味、さらにカスクナンバー29(肉)というマッスル的めぐり合わせ。何より求めていたスペックのオフィシャルボトルに個人名まで入るという、普通は考えられないことまで実現させてもらいました。
いやーもう感無量ですね。
コロナウイルスの影響で混乱があったのか、ちょっとイレギュラーもありましたが、何とか日本に届いてくれました。

今回のリリースはチームグレンマッスル向けのプライベートボトルになりますが、メンバーの立ち位置はこれまで同様、本リリースへの協力で一般的に言うところの監修となります。
勿論、リリースを通じて我々が監修料や売り上げ等の利益を得ることはありません。
リリースにあたってはメンバー並びに関係者の購入分を差し引いた後、Whisky-eさんから酒販店を経由して一般販売となる予定です。(一般販売は6月22日から、税込み12000円前後予定)
ボトルは6月2週目あたりでメンバーの手元に届く予定なので、まず先行でレビューさせてもらいます。購入を検討されている方は参考にして頂けたら幸いです。

ベンリアック 20年 (1994-2015) サロン・ド・シマジ ボトリング

カテゴリ:

先日信濃屋さんのニューリリースを記事にしましたが、1本記事化を忘れていたボトルを思い出しました。
これもまた発売前に試飲して、中々面白いなと思っていた1本。クセの無い香味は好感が持てます。
実は飲んだ当初は「シェリー系なのに生木っぽさがなくて悪くない」的なコメントをつぶやいていました。しかし樽がそもそもシェリーじゃなかった・・・なんてオチまでついたボトルでした。

BENRIACH
Limited release
Aged 20 years
Distilled 1994
Bottled 2015
Cask type: Port hogshead #1702
700ml 54.9%
For Salon de SHIMAJI
Pen × Shinanoya

暫定評価:★★★★★★(6)

香り:かりんとうやプルーン、紅茶、乾いた木の香りを伴う甘いアロマ。
えぐみは少ないがアタックは強く、少々単調気味。時間を置くとバニラ、
加水すると煮たリンゴのような香味も出てくる。

味:香り同様に甘くパワフルな口当たり、レーズンやドライアプリコット、色の濃い蜂蜜。
中間はウッディーだが原酒由来の個性は乏しい。徐々にタンニンが顔を出してくる。
フィニッシュは鼻に抜ける甘い木の香りを伴い、ドライでビターな余韻が長く続く。


ウイスキー業界で注目度が上がっている、プレイボーイ初代編集長の島地氏がプロデュースしたプライベートボトルの1本。
良く言えば素直な酒質、悪く言えば中間の変化に乏しい。1980年代以降の典型的なベンリアックの酒質。そこにポートホグスヘッドでの熟成で、シェリー樽熟成に近い香味が加わっています。また、近年のシェリー樽にありがちな生木のようなクセはなく、良くまとまっている。そんな1本に仕上がっています。

ポートワインとシェリーは同じ酒精強化ワインですが、産地の違い以外に、大きな違いとしては葡萄品種と熟成方法があります。
ざっくり書きますと、シェリーが白葡萄、熟成方法はソレラシステムを採用して長期間樽を使うのに対し、ポートは白葡萄も黒葡萄も使う、熟成方法は単一樽での熟成・・・でした。
過去形なのは、シェリー樽はソレラからの払い出しが使われていたため、ここが大きな違いだったため。ところがご存じのように最近はソレラからの払い出しではなくウイスキー用に作られた樽に、疑似シェリー溶液を満たしてシーズニングの行程が一般的です。
とすれば近い味の酒精強化ワインでポートワインであっても、今のウイスキー用シェリー樽と行程が大差無いというか、むしろより高品質な樽が見込める可能性もあります。
シェリー樽確保動きは何十年も前からあった話で、今こうしてリリースが出ているということはメーカー側もばっちり動いた結果だと思いますが、樽のノウハウ、研究が進み、さらに洗練されたリリースが増えてくれれば面白いなと思います。


プライベートボトルは、飲み手にとって一つの夢といっても過言ではありません。
自分で選んだ樽がボトリングされ、名前の入ったラベルが貼られる。
かつて好意により背面ラベルに名前を入れて頂いた事はありましたが、イチから行程に関わったことはありません。
某社にお願いしてボトリング可能銘柄のリストを取り寄せた事はありましたが、その内訳は大変厳しいもの。
それがこうしてファークラスにインペリアルにマルスにと、素晴らしいリリースがぽんぽん出てくる。やっぱりその人の力がモロに出ますね。素直に憧れます。
島地氏は今年の夏、スコットランドに渡り更なるシリーズ用の原酒を探ってくるということですから、このシリーズの今後も非常に楽しみです。

このページのトップヘ

見出し画像
×