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グレンモール 1978 GM カスクストレングス 63.2%

カテゴリ:
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GLEN MHOR
Gordon & Macphail
Original Cask Strength
Distilled 1978
750ml 63.2%

グラス:木村硝子テイスティンググラス&リーデルワイングラス
時期:開封後1ヶ月程度
場所:自宅@借り物ボトル
評価:★★★★★★(6)

香り:ツンとしてハイトーン、強い刺激に加えてハッカやハーブを思わせる爽やかさ、乾いた麦や干草、白木。微かに古酒っぽいシェリーのニュアンスが混じる。時間経過で麦感、燻したようなピート香が感じやすくなる。

味:スパイシーでコクのある口当たり。ほろ苦い麦芽風から、じわじわと甘酸っぱい熟成感はオレンジママレードやマドレーヌ。蜂蜜生姜を思わせる乾いたウッディネスを伴う。
余韻はハイトーンでヒリヒリとした強いアタックに焚き木の燃えかすのような微かなピートフレーバーが感じられ、長く続く。

熟成はおそらく12年程度で、樽はリフィルシェリーだろう。ボトリング後少なくとも20年は経過しているボトルだが、香味にはまだ強さがある。グラスに注いでから開くのも時間が必要で、大ぶりのグラスで一気に開かせるか、あるいは少量加水すると麦感やピート香が開き、バランスが良くなる。ポテンシャルは高い。


グレンモールは1983年に閉鎖されたインヴァネス3蒸留所の一つにして、ブレンデッド・マッキンレーの主要原酒。蒸留所は1972年にDCLがマッキンレー社から買収しており、今回のボトルはDCL傘下での仕込みということになります。

ボトラーズリリースにおける歴代のボトルを調べて見ると、70年代後半には60度を超える高度数のリリースが集中しているのですが、なにか方針転換があったのでしょうか。
加水版のオフィシャルボトルは品の良い甘さの麦芽風味と軽いスモーキーフレーバーで、滋味(地味)系路線ですが、こうして60%オーバーハイプルーフの原酒を飲むと、異なる印象も見えてくるのが面白いと感じます。 
それは度数故にハイトーンでスパイシー、そしてそこに含まれる繊細かつ強い香味に起因するもの。これを加水していくと、かつてリリースされていたオフィシャルボトルに近い素朴なニュアンスも感じられるようになります。

(1960年代流通のオフィシャルボトル、グレンモール6年。オールドらしい厚みのある麦芽風味とこなれたピートフレーバー。微かに金柑などの柑橘を伴う。ラベルデザインの通り素朴なモルトだが、何故か心惹かれる。)

グレンモールはGM以外からも比較的リリースされており、1978年に限っても10種類くらいはあるようです。
自分は1978グレンモールは3種類しか飲んだことがありませんが、今回のようにリフィルで樽感が淡く、レアモルトやイントレ系の強く突き抜ける味わいに仕上がっているものが中心・・・。
この手のボトルの強さがこなれ、麦感とピートを開かせるような変化が瓶内で起きてくると、個人的にとても好みなのですが、少なくとも開封後5年以上を見たほうが良いかなと感じます。

なお、今回のボトルはウイスキー仲間の通称・漆黒先生にお借りしました。
普段のやりとりの中で、ボトルのテイスティングコメントと、後ろ姿で銘柄を当てるクイズ的な流れがあり、当たったらサンプル送るよ!と言われていたのですが・・・当たってしまいました(笑)。
そして届いたサンプルが・・・サンプルっていうか開封済みボトル丸ごとだったという衝撃。男気溢れる景品に感謝!

マッキンレーズ レガシー 12年 1970年代流通 43%

カテゴリ:
MACKINLAY'S
"Legacy"
12 years old
Blended scotch whisky
1970's
760ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅(サンプル@若手のNさん)
時期:開封後半年程度
暫定評価:★★★★★★(5-6)

香り:みたらしっぽい古酒感を伴う麦芽香、ほのかにドライオレンジ、色の濃い蜂蜜、徐々に紅茶のような香り。埃っぽさも少し感じられる。

味:モルティーで粘性のある口当たり、素朴な麦芽風味、みたらし、ぬれ煎餅、オレンジママレードのほろ苦さがじわじわと支配的に。奥には土っぽいフレーバーも感じる。
余韻はほろ苦く、灰のようなピートを感じるフィニッシュ。

やや粘性が強く、モルティーな風味と熟成感がしっかりあるブレンデッドウイスキー。中間はグレーン由来と思しき甘みが顔を出すが、これを引き締めるように余韻でピートが顔を出してくる。ただそれが少し弱く、好みを言えばモルト由来の風味がもう少し開いてほしい。


南極探検隊のウイスキーとして知られる、マッキンレー社のブレンデッドラインナップで上位グレードにあたる1本。今回のボトルがリリースされた1970年代前半当時は、マッキンレーズ・オールドスコッチウイスキー5年とレガシー12年がラインナップとなります。
このレガシーは5年同様1960年代と思われるところまではリリースを確認することが出来ており、1963年にアイルオブジュラを再稼動させ、増産に舵を切ったところで、ラインナップ整理が行われたのかもしれません。 

当時の構成原酒は、各関連書籍によるとグレンモール、グレンアルビン、そして再稼動したアイルオブジュラ。
マッキンレーを飲むたびに思うんですが、この組み合わせはコアなウイスキーラバーがグッときてしまう、反則的な組み合わせだと思います。 

ただ、ジュラは1963年に約半世紀ぶりに創業を再開したため原酒が残っていたとは考えにくく、熟成が最低限進んだ1960年代後半にはマッキンレーズ5年のブレンドに回されていたのではないかと。
そして12年以上熟成のジュラを使えるようになるまで、レガシーの構成原酒は、Legacy"伝統"と言う言葉そのまま、1892年にマッキンレーズ社が創業させたグレンモールと、1920年に買収したグレンアルビン。同社のルーツとなっている2蒸留所が中心だったのではないかと考えられます。

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(1970年代、ほぼ同時期流通の今は無きグレンモール10年。同様のボトルシェイプにMackinlay社表記。素朴な麦芽風味や穏やかな内陸系のピートフレーバーで、共通するニュアンスが感じられる。)

なお、今回のボトルは少しヒネ系のオフフレーバーが強めでしたが、その奥には熟成したモルティーな風味も感じられ、持ってるものはなかなか良いと感じられました。今年の秋くらいには抜けて丁度良くなっているかも。
そのため評価は少々辛口気味ですが、状態が通常以上であれば★6固定といったところで、少し幅を見ています。

グレンモール 43年 1966年蒸留 2010年ボトリング GMケルティックコレクション

カテゴリ:
GLEN MHOR
GORDON&MACPHAIL  
Years 43 old 
Distilled 1966 
Bottled 2010
Bottle No, 23/24 
Cask Refill Sherry Hogshead #3688  
THE MASH TUN TOKYO 
700ml 44.0%
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:微かなピートフレーバーを伴う、ウッディでドライなシェリー香。ベリー、濃く入れた紅茶、お香。強くドライな香りだが、奥には妖艶で艶やかなオールドシェリーらしいニュアンスもある。

味:口当たりはピリピリとしたスパイスにナッツ、アーモンド、シェリー、クランベリーやレーズンのダークフルーツ。中間以降は非常に強くドライ。タンニンの渋み、余韻はそのまま渋くドライ、ほのかな黄色いフルーティーさ。鼻抜けは優雅なシェリー甘さ。加水してもドライな余韻は変わらない。
 
目黒の巨匠、BARマッシュタンによるボトリング。
最後最後と言いながらいつまで出るんだと思っていたら、一気に姿を消したGMケルティックシリーズ。
このグレンモールはボトリング本数たったの24本。これは樽から液漏れがあったとのことで、本当だとすればなんともったいない・・・。
 
香り立ちは流石1960年代という素晴らしいシェリー香、微かなピートフレーバーがグレンモールらしさとして感じられて文句なし。しかし味は強烈にウッディーでドライ、渋みが強く、まるでカカオ90%以上のチョコレートを食べているようです。
この手の味は否応なしにじっくりじっくり飲んでいくしかなく、特に杯数を重ねた後だと中々辛い。
GMのケルティックシリーズの中でも、ロングモーンにしろグレングラントにしろ、2010年頃からリリースのボトルはドライな傾向が強くあると感じますが、これはその最たるものの一つだなと感じます。
ちなみに今回のボトルの隣樽である#3687は、GMプライベートコレクションとしてほぼ同時期にリリースされており、同様にウッディネスの強い仕上がりのようですが、飲み手からは高い評価を受けているようです。

 
せっかくなので、グレンモール蒸留所についても少し触れます。
グレンモールはグレンアルビンのすぐ近く、すなわちネス湖のそばにあった蒸留所で、1983年に閉鎖、既に建物もない閉鎖蒸留所の一つです。先日記事にしたマッキンレーにも原酒が使われており、一部は同じボトルを使用しているリリースも。
当時のオフィシャルボトルを飲むと、ナチュラルなスモーキーフレーバーに麦芽風味や蜂蜜のような甘さがまさにクラシックなハイランドスタイル。あまりクセが無いので、シェリーとの馴染みも良いウイスキーだと感じます。
 

マッキンレーズ・オールドスコッチウイスキー 1960年代流通 JAPANTAX付き ”ウイスキー特級”

カテゴリ:
100年前に南極を旅したウイスキー。
マッキンレーズ(マッキンレー)を紹介する上で、避けては通れない有名なエピソードです。最近そのボトルが南極のベースキャンプ跡地から発掘され、再現ボトルも作られたことでより一層有名なものになりました。
ただ南極を旅したウイスキーはバッテッドモルトで、今も販売されているマッキンレー5年は1960年代に初めて発売されたブレンデッド。使われている原酒は違いますが、むしろ自分にとってはこっちのほうが心惹かれる組み合わせです。

MACKINLAY'S
Old Scotch Whisky
Over 5 years old
1960-1970's
Japan Tax
43% 760ml
構成原酒:アイルオブジュラ、グレンアルビン、グレンモールなど
評価:★★★★★★(6)

香り:ビターオレンジや香ばしい麦芽のアロマ、微かなスモーキーさが漂う。 
徐々にバタークッキーのような甘いアロマが感じられる。

味:スムーズでコクのある麦芽風味主体の口当たり、オレンジママレード、クラッカー、軽く焦がしたカラメルソース。ミディアムボディーで余韻にかけてほのかなピートフレーバー。麦芽の香ばしくもスウィートなフレーバーとあわせて染みこむように長く続く。 

まさにハイランドモルトベースという麦芽風味やピートフレーバーを備えている、重すぎず軽すぎず、レベルの高いブレンデッドウイスキー。
ロックは特に何かが生まれる組み合わせではなく、ハイボールにするとカラメル系の適度なコクと麦芽風味主体。程よいヒネ香で丁度良い重さは、キッチリ冷やしてガス圧強めの炭酸で合わせればハイボール用としても申し分ない。

構成原酒はどれもモルトファンなら「おっ」と感じる、コアファン垂涎どころと時代のものが使われています。
5年という一見して中途半端な熟成年数表記は、当時のブレンドには割とノーマルな仕様でしたが、飲んでみると、おおよそ5年とは思えないような熟成感があり、瓶内変化だけではない、おそらく10年以上はゆうに熟成させたであろう原酒が使われているコトが推測されます。

マッキンレー社は1892年にグレンモール蒸留所を操業、さらに1920年にグレンアルビン蒸留所を買収し傘下とした後、増える需要に対応するため長期閉鎖状態にあったアイルオブジュラを再稼働させたのは1963年のこと。加えて、同社の普及価格帯商品としてマッキンレー5年が発売されたのは、時期ははっきりしないながら1960年代後半あたりです。
こうした時期関係や、諸々の状況から構成原酒を推測すると、1960年代後半から1970年代初頭流通の同ボトルには、再稼働したばかりの5年もののアイルオブジュラと、10年以上熟成されたグレンモールやグレンアルビンが使われたのではないかと考えています。
また、マッキンレー社は原酒確保を目的として、グレンアラヒー蒸留所を1967年に操業、"5年"のバトンは1972年頃にグレンアラヒーに受け継がれたのではないかとも・・・。

ちなみに、グレンモール及びグレンアルビン蒸留所は、1983年に閉鎖。グレンアラヒー蒸留所は1985年に操業停止の後、ペルノリカールが買収。古き良き時代は魔の1980年代に終わりを告げました。
マッキンレー社は1985年にインバーゴードン傘下となり、同ボトルの原酒はジュラ、タリバーディン、タムナヴーリン主体に変わっています。


補足:この時期のマッキンレー5年(プラスクリューキャップ採用)は、キャップ裏面が金属張りです。
比較的安価で手に入るオールドブレンドではありますが、リスクは通常より高いボトルになります。

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