タグ

タグ:グレネスク

グレネスク 20年 1984-2004 GM 43%

カテゴリ:
GLENESK
Connoisseur's Choice
Aged 20 Years
Distilled 1984
Bottled 2004
Cask type Unknown
700ml 43%

グラス:サントリーテイスティング
量:30ml程度
場所:個人宅(@TMC)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:青みがかった麦芽香、若干の草っぽさを感じる香り立ち。徐々に青リンゴ、洋梨、品のいいフルティーさとホットケーキ生地を思わせる甘味が開いてくる。

味:スムーズな口当たりから、しっかりした洋梨感と麦芽風味。口の中で広がる白粉、バニラ。じわじわと蜜りんごの甘み、舌の上に軽やかなスパイスも広がる。
余韻は香り同様に品のいいフルーツ、麦芽風味。若干の草っぽさと合わせてじわりと染み込む。


グレネスクは1985年に閉鎖された、1980年代スコッチウイスキー冬の時代の犠牲者の一つ。生産されたウイスキーはブレンデッドメーカーへの原酒供給がほとんどで、かつてはVAT69の構成原酒でもありました。
5年くらい前はそこまで注目されている銘柄ではありませんでしたが、最近は市場価格が徐々に上がってきているようです。

同蒸留所で特異なエピソードが、所有者の移り変わりと共に名称・操業形態が大きく変わったこと。モルトウイスキーの蒸留所として創業しながら、1940年代には蒸留器が入れ替わりグレーン工場に転身。。。と思いきや、1950年代、所有者がDCLに移った際には精麦工場として稼働し、結局モルトウイスキー蒸留所に再度転身したという移り変わり。そしてその過程で複数回蒸留所名が変わるなど、他の蒸留所とは異なる歴史を持っていることでも知られています。(モルトウイスキー大全参照。)

あまり古すぎる名称は意味がないので省略しますが、グレーン工場だった時代の名称はモントローズ。モルト蒸留所に再転身した1964年から1980年まではヒルサイド、1980年から1985年の閉鎖まではグレネスクの名称で稼働していたそうです。
この期間に蒸留された原酒は、リリースによっては名称を分けたり、併記する形で整理されることもあります。

その酒質は麦芽風味主体、グラッシーで微かにスモーキー。ボトルによっては酸味を伴うニュアンスもあるものの、当時のハイランドモルトの中でもプレーンな位置づけ。酒質の厚さや強さこそ違いはありますが、1960年代、70年代、80年代と大きくキャラクターは変わらないようです。
今回のボトルは1984年蒸留で自分の生まれ年。。。というのはさておき、閉鎖間際ですが変な癖もなく、加水で整ったバランスと、麦芽風味もしっかりあって中々楽しめる1本でした。

VAT69 1970年代初期流通 ”ウイスキー特級” JAPANTAX 協和発酵取扱い

カテゴリ:

オールドボトル市場の中では現行品と同じレベルで注目されるボトルもあれば、現行品とは異なる存在感を放つボトルがあります。
このVAT69は現行品こそ安ウイスキーの定番という位置づけにあり、味も平凡なものですが、オールドボトル、それも1970年代以前のものは高い評価を受けるボトルの一つです。
100種類の試作の中の69番目のブレンド・・・なんて薀蓄はぐぐって頂くとして、味とボトルの紹介に入りましょう。

VAT69
FINEST SCOTCH WHISKY
JAPAN TAX
1970's
760ml 43%

構成原酒:ロイヤルロッホナガー、グレネスク
評価:★★★★★★(6)

香り:グラスから強く感じられる灰、ミネラルっぽいピート香。古酒系のヒネ、とろみのある甘い香り。熟したグレープフルーツ、ブラウンシュガー、カステラ、麦芽の香ばしさ、たまり醤油のようなアロマもある。 

味:コクがあって濃厚な口当たり、黒砂糖、バニラ、焦げた木や灰のピーティーな口当たり。 
徐々にカラメルソースとオレンジママレード、甘さとほろ苦さが豊かに。
余韻は序盤のピートが舌に染み込むように残る。シェリーやカラメルの甘さも感じられる。

独特のピート香、オールドらしいこってりとした厚みもある香味。ストレートまたはロックで長く楽しめる。 ハイボールは可も無く不可もなく。 ボディがあるのでソーダには負けないが、特筆する要素はあまり感じられなかった。

ブレンデットウイスキーはキーモルト云々の話をしても、やはり混ぜられている関係上どこか似た傾向の味に収束してくるところがあります。
その中でも個性的なモルトを効かせたブレンドは他とは異なる香味が有り、それが魅力。ホワイトホースやローガンのラガヴーリンは代表的な事例ですが、ここにもう一つ、特徴的な風味を出すモルトとしてあげられるのがロイヤルロッホナガーです。
当時のロッホナガーが使われているVAT69、並びにジョンベック、マイナー銘柄ではロイヤルディーサイドからも他のブレンドとは異なる個性として、当時のロッホナガーに共通する灰のようなピーティーさが感じられます。
兄弟銘柄にはアンチコリーがありますが、こちらはライトタイプでそこまで特徴的な風味ではなかったように記憶しています。
 
VAT69は1960年代はコルクキャップ、1970年代からはスクリューキャップ。
そしてボトル形状がずんぐりとした逆向きの台形的な形状から、徐々にまっすぐな形になっていき、最後の1980年代後期には通常のトールボトルと同様の形状となって現在に至ります。ラベルデザインの変化と合わせて非常に見分けやすい銘柄です。

飲み比べた感じ、1960年代はかなりロッホナガーの特徴が濃く、1970年代はそこそこ、1980年代はバランス型ですが、言い換えれば没個性的な感じがあります。
これは1970〜1980年代から、1960年代に稼働したグレネスクの原酒が使用出来るようになって行くにつれ、ブレンドを変えていったためと考えられます。
しかし不況からグレネスクを閉鎖せざるを得ず、所有者DCLのブランド戦略の中でVAT69が下位グレードに位置付けられたこともあって、そのクオリティと個性は失われていきます。
完全に安ウイスキーとなった現行品に、当時の面影はありません。

VAT69は1960年代から1990年代まで5〜10年刻みで所有して飲みましたが、1970年代のスクリューキャップJAPAN TAX付き、今回の時代のボトルが、完成度というか一番バランスの良い仕上がりだと感じます。
当時のVAT69を見かけましたら、是非独特なピート香と、ねっとりとしたコクのある風味を堪能してください。
 

このページのトップヘ

見出し画像
×