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CROWN ROYAL
Northern Harvest RYE
90% Rye Whisky
45% 750ml
"Jim Murray's 2016 World Whisky of the Year"
暫定評価:★★★★★(5)

香り:ウイスキーで理解されているパフューム香とは異なる香水や芳香剤そのもののような人工的な華やかな香り立ち。レモンシロップ、アップルジュース、切り出した青竹のような清涼な植物感、深く吸い込むとゴム、軽油のようなケミカル、微かなセメダイン臭もある。
ボディは薄く香りは持続しない。時間経過で華やかさは収まっていき、穀物的な甘い香りが主体となる。

味:滑らかだがオイリーで徐々にべったりした口当たり、そこから酸味の少ないアップルジュース、スペアミント、華やかな穀物感。中間から後半にかけては淡い樽感も感じられるが、ボディに厚みはなく、やや単調気味。
フィニッシュは人工的なシロップのような甘み、べったりと長く残る余韻。

違和感を感じるほどの華やかさの中で、意識的に紐付けていけば、カナディアンらしさ、ライ系の風味も感じられるボトル。例えるなら近年見られるアイリッシュのフルーティーさを、グレーンで出そうとしたような。
グラスは液面が近いタイプのほうが香味がわかりやすいようで、グレンケアンでハーフショットなどでは細かい要素が拾いづらい印象。ハイボールはスッキリ系だが少々薬臭い。ロックにするとオイリーさが収まりグレーン系の香味と甘さが引き立つ。爽やかで引っ掛かりがなく、夏場に飲みたいウイスキー。


先日記事にしたジムマーレイ著のウイスキーバイブル2016、その中で全テイスティングアイテム中最高得点となる97.5ポイントを獲得。直近でリリースされたジャパニーズ、バーボン、スコッチらを抑えてワールドウイスキーオブザイヤーに輝いた、全世界注目のアイテムです。 
このウイスキーに関して、飲み手各位が注目する要素は、最高点に相応しい旨さがあるかどうかだと思います。
なので結論から書くと、マズくはないが旨いウイスキーとは言い難く、加点するかも悩みました。はっきり言って、これが世界一とする評価には疑問を感じざるを得ないレベルです。

口開けで感じた露骨な華やかさ、飲みやすさが琴線に触れたのかもしれませんが、そうであっても好みというかウイスキーに対する考え方、世界観の違いを感じます。
例えばパフュームボウモアが世界一のモルトだと評価するようなもの。大多数の飲み手は間違いなく賛同しないでしょう。

カナディアンウイスキーは、連続式蒸留器で穀類を原料としたもろみを蒸留する、ざっくり言ってしまえばグレーンウイスキーです。 
グレーンウイスキーの香味については飲んでいただくのが一番ですが、ライトなバーボンと言えば、流石にこのブログを読まれている方には、ほぼ全員に通じると思います。
ライト&スムーズ、華やかで軽やか、穀物的なバニラ風味、モノによってはフルーツ感もあるが香味の傾向は単調気味。
そうした傾向の風味は、このクラウンローヤル ライにもあるはあるのですが、香味の強いフレーバリングウイスキーに該当する原酒を9割以上使っていることが、今回の独特な香味に繋がっているようです。
注ぎたては特に芳香剤や薬品系の人工的な華やかさが支配的で、奥から感じられるグレーンの風味が逆に「あぁ、ウイスキーだ」と安心させてくれるほど。

これまでライウイスキーは何度か飲んできましたが、そのどれとも傾向が異なる。目をつぶってブラインドで出されたら、ウイスキーではないものを解答してしまうかもしれません。
ちなみに原料比率で全体の90%を締めるライ麦、このライ麦はカナダ産のものが使われており、かつてウイスキーマガジン上で特集された、ライ麦はヨーロッパ産のほうが適しているという特集にカウンターを入れた形にもなっています。

ライ麦を知る【後半/全2回】 ウイスキーマガジン
http://whiskymag.jp/rye_2/


クラウンローヤル ライは現時点で日本では販売されておらず、カナダでも昨年12月から売り切れが続出しているそうです。
そんな中、ウイスキー仲間のIさんが、ブログネタ、ならびにTWDのテイスティングで使ってくださいとボトルを届けてくださいました。
IさんとはFBでの繋がりで、お会いしたのは昨年11月のアラン20周年イベントで1度きり。それがこんな貴重な機会を頂けるとは・・・感謝以外に言葉がありません。
このボトルに開封を躊躇する理由もなく。即日開封、即日テイスティングさせていただきました。 (おかげで今日は寝不足ですw)
Iさん、本当にありがとうございました!