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グレンオード 11年 2008-2019 ハンドボトル 54.8% 蒸留所限定

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SINGLETON GLEN ORD 
HAND BOTTLED 
Aged 11 years 
Distilled 2008 
Bottled 2019 
700ml 54.8% 

グラス:木村硝子テイスティング
時期:不明
場所:自宅@サンプル
評価:★★★★★★(6)

香り:ほのかに青みがかったニュアンスのある、スパイシーでドライな香り立ち。乾燥した木材、食パンの白い部分、微かにバニラを思わせる甘さも感じられる。

味:とろみのあるオークフレーバーと麦芽風味。すりおろした林檎を思わせる柔らかく品のいい甘味から、乾いたウッディネス。じわじわとハイトーンな刺激が余韻にかけて広がり、スパイシーなフィニッシュが長く続く。

オードらしい麦芽風味と、アタックの強さが主体である1本。樽はリフィルバーボンあたりか、あまり強く出ておらず、オードらしい麦芽風味を後押ししている。これが逆にファーストフィルバーボンの華やかさバリバリだったら逆に興冷めだった。若い原酒なので相応に粗さはあるが、蒸留所限定として充分なクオリティを備えたグッドリリース。

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オード蒸留所で実施することが出来る、ハンドフィルボトル。昨年参加させてもらった持ち寄り会後のサンプル交換の場で少量頂きました。Kさん、ありがとうございます。

グレンオードは元々ハイランドらしいキャラクター直系とも言える、牧歌的な麦芽風味と厚みのある酒質が個性であり、魅力でしたが、近年(シングルトンブランドになってからは特に)その魅力に陰りが出ていると感じていました。

そもそもこの手の麦芽風味をメインとする蒸留所は、スコッチウイスキー業界全体で原料や製法などの効率化から原酒のライト化が進む中、魅力であった麦芽風味や原酒のコクが弱くなったことで苦境に立たされているといっても過言ではありません。
バーボンバレルで10年では若すぎる。しかし20年熟成すると樽がメインになり、それなりに仕上がるけれどブームに乗ったファッションのようで、どこを見ても同じようなキャラクターに埋もれてしまうのです。(その点、最近話題のスペシャルリリース18年も上手く作ってあると言えます。)

個性に面白さや独自色を求めるのは一部の愛好家に限られるため、大多数を対象とするスタンダードリリースや、そうしたブレンドの構成原酒とするにあたっては、突き抜けたキャラクターは不要という考え方も理解できます。
ですが、蒸留所で購入するような限定ボトルは、その個性を追求してほしい。今回のボトルは粗削りながら原点回帰というか先祖返りというか、オードらしい魅力がメインに備わったタイプで、思わず笑顔になる1杯でした。

なお、写真ではラベルが逆さに貼られていますが、これはボトルを詰めてきてくれた人の好みというか、ユーザー側でラベルを張れることをメッセージにするため、あえて逆さに貼っているのだそうです。いずれにせよ、味のある外観ですね。

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グレンオード蒸留所のハンドフィル。購入時に専用の装置で一つ一つ払いだされるため、実体験者曰く結構手間らしいw
この樽はWhiskybaseでの拾い物画像なので、今回のものとはロット違いか、度数が異なる。それにしてもRe-juvinatedとはどういう意味なのか。。。

グレンオード 28年 58% 2003年ボトリング

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GLEN ORD
AGED 28 YEARS
NORTHERN HIGHLAND MALT
"A LIVELY COMPLEX WHISKY" 
Released in 2003
700ml 58%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅@頂き物 @NYさん
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:注ぎたては香ばしい麦芽香、おしろいと微かにニッキのようなスパイス。奥にはエステリーで洋梨の果肉を思わせる品のいい果実香があり、熟成を感じる。

味:モルティーな甘みとプレーンな熟成感。存在感のある麦感は麦芽糖、おこし、じわじわと麦芽の芯の白い部分。余韻はピリピリとした刺激、ほろ苦い内陸のピーティーさを伴ってドライなフィニッシュが長く続く。

まさにモルトウイスキー。ラベルの通り麦の酒である。ピートのアクセントがまた良い。加水すると麦系の甘みが香味に引き出され、口当たりもよりマイルドでクリーミーさからウッディな余韻へ。


ディアジオから当時1〜2年毎にリリースされていたオードのリミテッド。他には25年、30年があったような。
この時期のオフィシャルラインナップに採用されていたラベルがわりとも言える麦の穂が、まさに名は体を表すと言える香味との一貫性がポイント。オードに求める個性、あるいはハウススタイルを体現しているようなボトルです。

一般的に樽による熟成は、香味のまろやかさが得られる一方で、樽感が強くなりすぎて、酒質由来の個性を邪魔してしまうことが多くあります。
それがこのボトルではあくまで引き立て役、感じられるのは熟成したモルティーさと角の取れたピートフレーバー。また複数樽バッティングであることも、香味の奥行きに繋がってるように感じます。
レアモルトといいスペシャルリリースといい、ディアジオさんはホント、こういうリフィルカスクを使った仕事が得意ですよね。

この一連のオードのリミテッドは2012〜3年くらいまでは市場でよく見かけましたし、BARやイベントなどでもだいぶ飲みましたが、ボトラーズ1960〜70年代の原酒が枯渇し始めると、その代替となってか徐々に姿を消していき。。。近年ではオードの長期熟成そのものが見なくなってしまいました。
最近リリースされた中で近いベクトルのボトルだと、ダルユーイン34とかですが、これも例によって良い値段。
樽感の強いモルトは今も多数ありますが、プレーンな樽感で酒質ベースの熟成香味は、今後ますます貴重になって行くように思います。

グレンオード 12年 1980年代流通 グレンオーディー表記 43%

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GLENORDIE
(GLEN ORD)
12 years old
1980's
750ml 43%

グラス:国際規格テイスティンググラス
場所:BAR飲み@サンドリエ
時期:開封後1ヶ月以内
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:香ばしい麦芽香、ザラメやカルメ焼きを思わせる甘み、若干の古酒感があるが時間経過でジャムのような重みのあるオレンジママレードを思わせる柑橘香も感じられる。柔らかい厚みのあるアロマ。

味:口当たりはスムーズでマイルド、ワクシーでコクのあるおしろいや粥っぽい麦感。バタークッキー、オレンジママレード、香り同様のニュアンスに加えてさらに麦感が強く感じられる。
余韻はほろ苦く、ほのかに土っぽい内陸系のピートを伴って染み込むよう。

古典的な麦の酒であり、王道的なハイランドスタイルであるモルト。香味とも柔らかさのある質感で、加水は不要。派手さはないが、地味に美味しい。


グレンオードと言えばデュワーズの主要原酒ですが、かつてはピーター・ドーソン社の傘下にあり、同社の看板商品であるブレンデッドウイスキー、ピータードーソンに用いられていました。
当時からデュワーズにも原酒を提供していたようですが、1982年からはそのジョン・デュワーズ社の傘下となり、リリースされたのが今回のボトルです。

(1970年代、グレンオードをキーモルトとしていた時代のピータードーソン。麦芽風味に共通点を感じる、ハイランドスタイルのブレンデッドウイスキー。ご参考。

これに伴い、ピータードーソン社時代はGLEN ORD表記だったものが、GLEN ORDIEとなって、だいたい10年ほどでしょうか、暫くリリースが続くこととなります。
グレンオードの歴代リリースを見てみると、1990年代中頃あたりでORD表記に戻っており、差別化を図ろうとした結果か、あるいは商標か何かの関係があったのか、いずれにせよ1980年代一時の特徴的なラベルとしてウイスキー好きの間では知られています。

以上のようにラベルは特徴的ですが、中身は王道的なオードのキャラクター。1970年代にリリースされたシングルモルトの12年に比べると、焦がした砂糖菓子のような甘み、淡いカラメル感が増しているようにも感じますが、基本的には同じスタイルで、加水によって整えられた麦感と柔らかくコクのあるボディが楽しめる、どちらかと言えば通好みの酒であるとも言えます。
まさに古き良き時代、古典的な麦の酒。。。

グレンオード 26年 1962-1988 水橋(ミズハシ) 56.5%

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ORD
Cadenhead
Aged 26 Years
Distilled 1962
Bottled 1988
For MIZUHASHI
750ml 56.5%

グラス:木村硝子古酒 リーデルソムリエ・ブルゴーニュグランクリュ
量:30ml以上
場所:個人宅(Whisky Linkイベント)
時期:開封後3年程度
評価:★★★★★★★★(8)
※リーデルソムリエ・ブルゴーニュグラスの場合★9

香り:酸味のある麦芽香、最初は乾いた木の香りが鼻を突くが、徐々に蜂蜜レモンや煮た林檎、クリーミーな甘みが開いていくる。口当たりはフレッシュでアルコール感に勢いはあるが、同時にこなれた印象もあり、経年を感じる。

味:粘性のあるパワフルな口当たり、麦感、バニラの甘みと林檎ジャム、こなれたアルコール感と乾いた木のエッジ。ボディは厚みがあり、強い旨みがストレートに広がる。
余韻は香りにもある蜂蜜レモンのようなオーク香、そして麦感、最後までリッチで長く続く。


コアなウイスキードリンカーにとっては伝説的な1本、六本木の株式会社水橋が関わったボトリング。
樽の出元はケイデンヘッド、近年ボトラーズのようにオーキーなフレーバー主体ではなく、淡い樽感にオードらしい麦芽風味と柑橘や梅を思わせる酸味を纏った酒質主体の香味が、いかにもという印象です。 

同じ1962年蒸留では、ケイデンヘッドのダッシークリストファーカナン(1989年ボトリング)、サマローリのブーケ(1984年ボトリング)を飲んでいますが、水橋のオードが一番ストレートに酒質そのものの旨味を感じられる味わいだなと感じました。
グラスチョイスは写真のような小ぶりなグラスだと平均的、大口径グラスであるリーデルソムリエ・ブルゴーニュグランクリュでは圧倒的な香り立ちで、まさに卒倒です。

こうしたウイスキーを飲んで度々思うことは、樽詰め直後はもっとギスギスした強い味わいで、ボトリング直後に飲んでいたら、また違った評価になったんだろうなということ。ボトリング後約25年、さらには開封後約3年という時間経過によって変化した。このボトルもまた口開けから段階的に飲ませていただいているわけですが、飲み終わりに来てまた違った魅力を纏ったように思います。

ウイスキーは「ボトリング後は熟成しない」という定説から、ワインのように熟成させるものではないという考えが広まっていました。実際ウイスキーの定義で考えれば、ボトリング後は樽材を通じた呼吸がないので"熟成はしない"のでしょう。しかし、不変であるということはありえません。
このオードは狙って瓶熟されたわけではなく、当時の日本がウイスキーブームの下降時期にあったことと、ブームでありながらウイスキーに関する知識が乏しかったこと、さらには景気の良さなど、様々な要素が重なって奇跡的に今現在の日本にあるわけです。

今と昔では原料も製法も違いますから、必ずしもこのように育つとは言い切れませんが、中には「これは」と思うボトルもあります。今の世代には、奇跡を待つのではなく自分たちで作っていく姿勢が求められるのかもしれません。

オード26年 (1962-1989) ロバート・W・ダッシー

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土曜日はウイスキー仲間主催の持ち寄り会にお呼ばれ、参加してきました。
これまで持ち寄り会は度々参加していますし、それらは全て楽しい会なのですが、久々に内容が濃いと感じた持ち寄り会だったと思います。
参加者のレベルが一定値以上にあったことは勿論、会場も良かった。なんせ麻布のウォッカですから。1杯1杯順番に出て来てじっくり深堀りできましたし、定期的に参加させて頂いているモルトナイトを連想させるものがありました。プロのサーブが付いていたというのもポイントだったと思います。

色々飲ませて頂き、ラスボス級のボトルも多々ありましたが、目玉は主催者持ち込みのこのオードでしょう。
今日は余計な前置きなんて不要。この中身が全てです。口開けからじっくり時間をかけて飲む事で、花開く香味の数々、オードという蒸留所の素晴らしいポテンシャルに圧倒されました。

R.W.DUTHIE
ORD Distillery
26 years old
Distilled 1962
Bottled 1989
750ml 56.2%

暫定評価:★★★★★★★★★(9)

香り:最初はくすんだ香り立ちだが、スワリングして時間を置くと輝きを取り戻していく。
和三盆を思わせる品の良い甘さから、麦芽、ドライパイナップル、白葡萄、お菓子のラムネ、徐々にオーク香や梅を思わせる酸味もある。華やかな香り立ちで多層的、長い眠りから覚めて沸き出てくるアロマは筆舌に尽くしがたい。

味:バランスが良く、しっかりとした厚みと旨みが感じられる口当たり。
リッチな麦芽感、蜂蜜、微かに乾いた木材やアーモンド。中盤、微かな酸味が全体を引き締めている。加水でホワイトチョコレートやカスタードのよう。
フィニッシュはビターでスパイシー、ほのかなオールドピートと麦芽感が染みこむように残る。

味に関しては旨みの濃さとフレーバーのテクスチャーが素晴らしいと言える構成。
加水してもあまり変化は見られなかった・・・というより香りの多層的な要素が鈍った印象すらある。


泣く子も黙るダッシー社のクリストファー・カナンシリーズ。諸々の事情で当時国内にあまり流通しなかったボトルと言われており、まさか飲む機会に恵まれるとは思っていませんでした。
ダッシーとしては昨年9月と11月に飲ませていただいた北米向け3種(ボウモア、ロングモーン、クライヌリッシュ)が素晴らしく、このボトルも期待が高まりまくり。系統としては、樽でいじった感じは無く、正統派にオードなボトルで、麦芽感に華やかさがあり、しっかりとした厚みも感じられます。
特に香りが素晴らしく、ここまで開くかというくらいの香り立ちは飲み手の本能を鷲掴みにするに十分すぎるレベル。
同じ1962でケイデンヘッドというとミズハシがありますが、ミズハシのほうがパワフルで力強く、また微かな酸味を伴う麦感は、最強のオードと言われるブーケ・オード1962とも共通するところがあります。

しかし誤解を恐れず言えば、これは私レベルの舌で1杯で語るには「おこがましい」、その領域にあるボトルだと思います。
だからこそ同じテーブルで、同じ瞬間にこのボトルの意見を共有できたことは、深堀する上で大きな助けとなりました。
(これはWhisky linkでタケモトさんが提唱されてるスタイルですね。)

今回はおかわり含め、1ショット以上は確実に飲ませて頂きましたが、"底"は見えませんでした。
飲み手の力量は、1杯、あるいは1本という限られた量の中で、そのボトルの深みにどれだけ潜れるかという事だと考えています。そして良いボトルとはどれだけ深さがあるか、それが基準の一つだと思うのですが、このダッシー・オードは思わず姿勢を正して飲んでしまったほど。
恐らくこのボトルで感動できるようになるには、それなりの場数と経験を踏んでいなければならず、そういう点で、なんともケイデンヘッドの系譜ダッシーらしい、飲み手側の力量が試されるボトルでもありました。

今回感じ取れた要素は全てでは無いでしょう。1ヶ月後、半年後、あるいは1年後に飲めばまた違う姿を見せてくれるはずです。今の自分の力量では、このボトルを計りきることは出来ませんでしたが、同時に久々にワクワクさせて貰いました。
またさらに成長して、会いに行きたいです。

Tさん、素晴らしいボトルと素晴らしい会のセッティング、ありがとうございました!!

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