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シークレットスペイサイド ブレンデッドモルト 19年 ドラムラッド 1stリリース 44%

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SPEYSIDE BLENDED MALT 
DRAMLAD JAPAN 
THE ONE DRAM SELECTION 
Aged 19 years 
Distilled 2001 
Bottled 2021  
Cask type Sherry #48 
700ml 44.0% 

評価:★★★★★★(6-7)

香り:ドライプルーンやナッツ、ブラウンシュガーを思わせるシェリー系のウッディネスに、紅茶、アプリコット、熟した洋梨等の華やかなオーク香が、枯れたようなドライな刺激と共に感じられる。シェリー感は濃すぎずクリア寄りで、夏場であっても嫌味にならない。

味:口当たりはスムーズで度数相応だが、骨格は崩れておらず、余韻にかけて軽くヒリつくような刺激が残る。この点は酒質由来の要素だろう。口内で広がるシェリー樽由来のダークフルーツ系の香味はバランス良く、香り同様の印象。じわじわとドライなオーク、カカオチョコレートを思わせるビターなウッディネスが染み込むように長く残る。

バランスの良いシェリー系ブレンデッドモルト。おそらくニューメイクからブレンドしているタイプと思われるが、印象としてはマッカラン、グレンロセス、タムデュー、リベットあたり。原酒同士はしっかりと融合し、濃厚過ぎないシェリー感に、オーキーなフルーティーさ、華やかさがアクセントとなって、近年流行りの圧殺シーズニングシェリー系とは一線を画す、一昔前のボトラーズリリースを連想させるフレーバー構成。
開封直後、真夏というシェリー樽熟成ウイスキーに厳しい時期でのテイスティングでありながら、これだけ飲める点が素晴らしい。これから秋、冬にかけてじっくり楽しんでいけるグッドリリース。

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先日紹介させて頂いた、ドラムラッド社のファーストリリース。同社の伊志嶺代表、及びテイスターが自信をもってチョイスしたというボトルです。販売開始即完売したリリースですが、運良く入手することができ、この1週間、じっくりとテイスティングさせて頂きました。

ボトラーズブランド・ドラムラッドについては当ブログでも紹介しておりますので、前置きは不要でしょう。同ブランドのアピールポイントの一つは、テイスターの顔が見えること。実績のあるテイスターが総意でチョイスする、美味しさ、面白さ、個性。。。これら明確な狙いのあるリリースにあります。
ただ、本音を書かせてもらえれば、1st リリースの情報を見た際、楽しみだというポジティブな想いだけでなく、おや?と思うところが無いわけではありませんでした。

それはドラムラッド社がラベル上でも掲げるビジョン「PRIDE MAKES DELIGHT」や、コアレンジのコンセプト「蒸溜所のハウススタイルを体現する樽や、今のウイスキーの旨さと豊かな個性を持った樽」を掲げるリリースの第一弾が、素性を明記できないシークレットシリーズかつ、ブレンデッドモルトであったことにあります。
また、スペックから「所謂シーズニング圧殺タイプかな」という予想もあって、個性がわかりにくいのではないか、果たしてコンセプトに合致するものなんだろうか…と、懸念する部分があったのです。




しかし、そうした印象はテイスティングしてみて消えました。
ブレンデッドモルトといっても、これはニューメイクの段階でバッティングされたものでしょう。もはや「スペイサイド地域産」という、一つの原酒と言っても過言でないレベルで融合し、同地域のモルトが熟成することで感じられる、軽やかでフルーティーな個性がしっかりと感じられます。一方で蒸溜所の個性としては、癖の少ないクリア寄りの酒質の中に、度数落ちでありながら骨格を残すアタック、刺激から有名蒸留所のいくつかを連想する酒質が感じられます。

シェリー感には現行寄りのシーズニング的な要素はありつつも、圧殺的なしつこさではなく、熟成によって付与されたオークフレーバーや、酒質由来のフルーティーさが混ざり合う点が好ましい。また、度数落ちのモルトに見られる、やや枯れたニュアンスと、それによって強調されるドライな華やかさがシェリー系の甘みの中でアクセントとなっています。
往年の愛好家にとっては、懐かしさも感じるウイスキーですね。個人的には、BBR社がリリースしていたブレンデッドモルトウイスキー、ブルーハンガー25年の1stや2ndリリースを彷彿とさせるキャラクターだと感じました。

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(BBR ブルーハンガー25年。初期のころのものは、やや枯れたようなシェリー感、オークフレーバーに、熟成を経たモルトのしっかりとしたフルーティーさが特徴的だった。今回のドラムラッドリリースは、近年寄りのシェリー感ではあるが、その中にこうしたリリースを彷彿とさせる要素が備わっている。)

スペイサイドという地域らしさに加え、現行品のウイスキーの中でも十分な美味しさ、魅力的な個性を秘めたカスクのチョイスは、シークレットというベールの中にそれを見出し、固定概念にとらわれず後押しする。テイスターチームがあってこそのリリースであるとも感じます。
というか、現行品でこれ以上のシェリー系のウイスキーを、この価格で調達するのは難しいのではないでしょうか。前情報で予想したことから一転して、なるほど、これこそドラムラッドの1stリリースに相応しいんじゃないかと思えました。

ブログ公開に先立ち、伊志嶺さんにメッセージを送ったところ、こうしたカスクは今後も調達できる見込みがあるとのこと。ドラムラッドのシークレットスペイサイドは今後も期待できそうです!

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THE AGE of INNOCENCE
ROUGH COAST 
Islay Single Malt
Batch1 Red Wine Cask 

さて、今回のリリースは同社の理念を体現したコアレンジである「THE ONE DRAM SELECTION」であったわけですが、8月19日には若い原酒だからこその個性、あるいはカスクフィニッシュ等によるこれまでにない新鮮さ、驚きのある味わいを楽しむグレード「THE AGE of INNOCENCE」の発売も予定されています。
ネーミングは「Rough Coast (荒れる海岸)」。これは今回のみのリリースではなく、今後もBatchを重ねる形で、リリースを継続していくシリーズになるのだとか。

近年のスコッチウイスキー業界では、オフィシャル側との関係で蒸溜所名を明記してのリリースが難しくなってきています。
アイラシングルモルトという表記はシークレットXXXXと同様に、いかにも現代のウイスキーという感じですが、中身はスモーキーさのはっきりした原酒で、ハイボールにもマッチするとのこと。カスクフィニッシュのリリースは当たり外れが大きい印象があり、普通なら抵抗を感じてしまいますが、このメンバーが選んだなら…と、早くも後押しされている自分が居ます。

PBリリースが増えてきた昨今の市場において、その中でもしっかりとしたメッセージ、選定者の顔が見えるというのは、一つ重要なファクターなんですね。


最後に。。。全く関係ないのですが、自分が使っているスマートウォッチのデザイン(配色)が、THE ONE DRAM SELECTIONラベルに似ているなと。ドラムラッドブランドにますます思い入れを持ってしまいそうです(笑)。
そんなわけで、今後のリリースも楽しみにしております!!

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メインバライル 25年 1993-2018 キングスバリー 43.1%

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MHAIN BARAILL
Kingsbury
Blended Scotch Whisky
Aged 25 years
Distilled 1993
Cask type Sherry Butt #7
700ml 43.1%

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR LIVET
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:リッチなアロマ。しっかり目の甘さはチョコレートクリーム、ドライプルーン、微かにカカオ。合わせて干草とドライなウッディさ、少しひりつくような刺激も感じられる。

味:香りの濃厚さに反してやや軽さを感じるボディ感だが、味はチョコレートケーキやドライプルーンの濃厚な甘み。土っぽいニュアンスのある植物感、椎茸の出汁っぽさを伴う。余韻は湿ったようなウッディネスと共に、スパイシーで長く続く。

近年系シェリー感主体の濃厚なブレンデッド。ドライな刺激も伴うが甘みもリッチでタンニンもバランスよく、まとまった仕上がりである。少量加水するとバランスが崩れて、香味がバラつく。ストレートで。


キングスバリーがリリースする、シングルビンテージのブレンデッドウイスキー、メインバライルシリーズ。ブレンデッドでありながら、ビンテージ表記ありの熟成年数表記が特徴で、使われた原酒全てが同一年に蒸留されてバッティングされたものという意欲作です。

その構成はぱっと見「面白そうじゃん。」と思うものの、シングルモルトはともかく、ブレンデッドで原酒を同一ビンテージに統一する理由があまりないよなぁ、なんて思ってしまうロマンのない自分の思考回路。
ただメインバライルはゲール語でシングルカスクを意味する言葉。つまりニューメイクの段階でブレンドされたシングルカスクブレンデッドであれば、単一蒸留年度の意味もあり、飲んでみるとこれが中々悪くないのです。
メインバライルは初期リリースである32年も熟成感のある整ったブレンドでしたが、この25年はしっかりシェリー系でありつつ、ブレンドという仕様を活かして価格も抑えられているのが特徴。原酒の使い方に25年熟成でこの価格は、まさにボトラーズリリースという感じですね。

構成原酒はマッカラン、グレンリベット、グレンロセス、ハイランドパーク、ブナハーブン。モルト比率は70%と高く、各蒸留所由来と思しき特徴が端々に感じられます。
例えば干草っぽい感じはロセス、スパイシーな要素はグレンリベット、重みのある要素がマッカラン、土っぽさと若干ヘザー系に通じる植物はハイランドパークかなとか(ブナハーブン?わからんですw)。ただ、それらは長い熟成期間とグレーンとシェリーが繋ぎになって、一体感というか違和感のない仕上がりです。


先日、ロイヤルマイル・ブレンデッドモルトの記事を書いた際、モルト100%の難しさに多少触れましたが、今回のボトルのようなリッチなモルティーさのブレンデッドを飲むと、繋ぎ役となるグレーンの重要さを改めて感じます。
それは例えるならお蕎麦みたいな感じですか。十割蕎麦は香り豊かで美味いは美味いですが、二八蕎麦のほうが少し風味が軽くなるものの、喉越しやまとまりが良くなりやすいのは事実です。
モルトはどうしても主張が強いため、複数使うと馴染まないアタックの強さ、荒さが目立つことがあるんですよね。
それをグレーンが繋いで緩和することが、ブレンドとしてのまとまりの良さに繋がるわけです。

そして質のいいタレ(樽感)があれば文句なし。
今回のシェリー感は濃い目のシーズニングタイプではありますが、少し古酒っぽいニュアンスも感じられ、長期熟成に由来するメリットと思しき要素となっています。
突き抜けて美味いというタイプではありませんが、いずれにせよ冒頭述べたように悪くない仕上がりなのです。
少なくともシェリー系スコッチモルトで代表格で言えば、現行のマッカラン18年を飲むより、満足感は得られると思います。

※メインバライルの素性について、ニューメイクからのブレンデッドではないかとのコメントをいただき、改めて確認したところ該当する説明があり、一部表現を訂正させていただきました。(1/11修正)

ロイヤルマイル 40年 2015年リリース ブレンデッドモルト 47.1%

カテゴリ:
ROYAL MILE WHISKIES
Blended Malt Scotch Whisky
Three Cask Blend
40 Years old
Matured in Sherry Casks
700ml 47.1%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後2年程度
評価:★★★★★★(6ー7)

香り:濃厚で香ばしくビター、カカオチョコレートやアーモンド、松の樹皮、ウェアハウス。スワリングしているとラムレーズンのような甘酸っぱいアロマも感じられる。

味:リッチな口当たり。レーズンなどのダークフルーツの入ったチョコレートケーキ、カカオパウダー、かりんとう。コクのある甘酸っぱいシェリー感から、ビターなウッディネスへと変化する。
余韻はタンニンを感じつつ、スパイシーな刺激と微かにサルファリー。少しねっとりとした樽感が口内に残り、長く持続する。

開封直後はサルファリーな要素が若干感じられたが、時間経過で変化した模様。全体的にこなれて現在はビターで香ばしい程度であり、少量加水するとカカオ系の苦味が和らぎドライフルーツやお菓子を思わせる香味が主体になる。


今から3年半ほど前、イギリスのウイスキーショップであるロイヤルマイルがリリースしたブレンデッドモルトです。
構成原酒はマッカラン、グレンロセス、タムデュー。トップドレッシングとして高い評価を受けた蒸留所の組み合わせに加え、それらの40年オーバーの長期熟成原酒のバッティングでありながら、価格的にもそこまでではないという良心的なリリースでした。

そんなわけで、当時仲間内でロイヤルマイルから共同購入していたボトル。
期待とともにテイスティングすると、1970年代前半から中頃蒸留の原酒にファーストフィル相当と思しきシェリーカスク、何より上記蒸留所の組み合わせは現代の飲み手垂涎のスペックであったのですが、開封直後は思ったほどでもなかった・・・なんて声も仲間内ではあったのです。

シェリー感としては良質な時代のそれを感じさせるニュアンスが感じられる一方、比率的にはタムデューとロセスが多かったのか、あるいは原酒の一つが度数落ちだったのでしょうか。
酒質の軽さが部分的に感じられるところに、それを上塗りする強いアタックのちぐはぐさ、そしてウッディな苦味。単に複数の原酒を使うだけでは混ざりきらない、ブレンデッドモルトの難しさを感じるのです。

一方今回時間を置いたものを飲んでみると、そうした要素が開封後の経年変化でいい具合に馴染んできたという感じ。個人的には開封直後もそれはそれで見るところがあるという構成でしたが、コクのある甘みとドライフルーツの酸味、好みの樽感がメインに感じられて楽しんでテイスティングできました。
シングルモルト、シングルカスクで単一の個性を味わうのも良いですが、複数が混じり合ったボトルをじっくり馴染ませながら変化を楽しんでいくのも、ウイスキーの面白さですね。

コンパスボックス ノーネーム 48.9% リミテッドエディション

カテゴリ:
COMPASS BOX
"No Name"
Limited Edition
Release of 15000 bottles
700ml 48.9%

グラス:オープンナップスピリッツ アンビアント
場所:BAR ハリーズ高岡
時期:不明(3ヶ月以内)
暫定評価:★★★★★★(6-7)

香り:ツンとした刺激からしっかりとスモーキー。シトラス、レモングラスの柑橘感、微かにハーブ、乾いた草を思わせるオーク香。クレゾールや漁港を思わせる香りをアクセントにしつつ、品のいい熟成由来の甘みも感じられる。

味:とろりとした口当たり。強いピートフレーバーと、ヨードを伴うアイラモルトの個性。ほのかにアプリコット、レモンキャンディ、中間に乾いた麦感やナッツ、ドライな刺激が感じられるが全体の中でも一つのアクセントに留まる。余韻は焚き木の燃えかすを思わせるスモーキーさに、ひとつまみのオークチップ、ほろ苦く長く続く。

多少荒さはあるが、単にピーティーなだけではなく程よい熟成感が感じられるバランスのいいアイラタイプウイスキー。ボトラーズリリースのアイラモルトの若年化が進む昨今において注目すべき構成。作られた90年代アードベッグ。


コンパスボックス社の上位グレードに位置付けられるリミテッドエディション、ノーネーム。試飲でこれはなかなか美味いアイラ系ブレンドだと感じたのですが、しかし値段を見ると相応に高く。。。最近の相場ならそうだよなーと購入意欲は大幅にトーンダウンしていたのですが、いつの間にか並行品で納得のいく価格(税込12000円代)のものが入っており、BAR飲みして再度確認して見ることにしました。

ノーネームはコンパスボックス社がリリースしてきたウイスキーの中で、最もピーティーで個性が強いことから、名前なんかいらないでしょと「No name」と名付けられたそうです。
その個性の素となる原酒について、正式に蒸留所名まで明かされていませんが、使われたとされる原酒の99%以上は、ヒントというより蒸留所名同然で公開されており、その8割以上がアイラモルト、ほぼバーボン樽熟成のアードベッグという構成になっています。 

【構成原酒】
■アイラ島のPIER ROAD にある蒸留所(アメリカンオークバレル)-75.5%
→アードベッグ

■アイラ島のPORT ASKAIG 村近くにある蒸留所(アメリカンオークバレル)-10.6% 
→カリラ

■ハイランド地方のBRORA 村近くにある蒸留所(ホッグスヘッド)-13.4%
→おそらくクライヌリッシュ 

■ハイランドモルトのブレンド(フレンチオーク)-0.5%
→手持ちの原酒か、ブレンド用バルクか。

熟成年数は不明ですが、香味から感じる印象で平均15年程度。おそらく10年弱のアードベッグに、20年オーバーのカリラやクライヌリッシュを加え、アードベッグらしさを残しつつバランスと熟成感を出しているのではないかと思います。

もちろん単一蒸留所のそれと比べると、多少の違和感はありますが、それ以上にバッテッドモルトの利点を上手く活かした構成。コンパスボックス社としては、パワフルなスモーキーさを売りにしていますが、個人的にはそれ以外の要素として、1世代前のアードベッグに通じるニュアンスが印象的でした。
以前リリースされたカリラベースのフレイミングハートも熟成感がありつつ多彩な香味で印象深く、この手のリリースを主とするコンパスボックス社のノウハウが感じられるようです。


以下雑談。
アードベッグといえば、漫画レモンハートで「アードベッグ17年と、ウイスキーの樽材で燻製したスモークサーモン」が描かれていた回がありました。

この日は三郎丸蒸留所を見学した後、地元高岡でBAR飲み。お手製の"樽材を使った地元産サクラマスの冷燻"が持ち込まれており、レモンハートに習ってノーネームで合わせてみました。
スモーキーで肉質の強さと濃厚な旨味が広がるサクラマスに、ノーネームのピーティーさがマッチ。サーモンではなくサクラマス、オールドアードベッグではなくノーネーム。図らずも、味わい深い組み合わせとなったのです。

ダグラスレイン スカリーワグ ブレンデッドモルト 46% ブラインド

カテゴリ:
SCALLYWAG
Spyside Blended Malt Scotch Whisky
Small Batch Release
700ml 46%

【ブラインドテイスティング解答】
区分:ブレンデッドモルト
地域:ハイランドモルト(スペイサイド)中心。
構成:スペイバーン、マッカラン、グレンロセスなど
熟成年数:10年前後主体でミドルエイジ含めて幅広く
樽:シェリー樽主体
度数:46%
暫定評価:★★★★★(5)

香り:若いモルティーさを伴うシェリー系の甘みとウッディーなニュアンス。
レモングラス、生木っぽさ、蜂蜜、蒸かした穀物やパン生地のような甘みから、ミントの爽やかさ。

味:ツンとした若さと柔らかいコクが同時に広がる。淡くミルクチョコレート、干し藁、乾いたウッディネス。スパニッシュ系のシェリーオークの甘みから、アメリカンオーク系のニュアンスが存在感を増してくる。
余韻はドライでウッディ、若さを感じるエッジの立った刺激、微かな乳酸。スパイシーで長く続く。

若さは多少あるが、それよりも複雑さのあるブレンデッドモルト。樽感の変化に加え、モルティーな味わいも、序盤はバルク系の混ざったような無表情さから、甘み、草っぽさ、スパイシーさといった構成原酒が持つキャラクターが見えてくる。
ストレート、加水、ロック、好きな飲み方で楽しめる。

毎月恒例、第三者選定によるブラインドテイスティング。
今回もミニボトルショップ、ドーノックから出題となるサンプルを調達して頂きました。
出題担当者には「難易度の高い問題を出してやる」なんて考えもあったようで、確かに今回の出題、一定の予想までは行けてもそこから先に壁がある、中々に難問でした。

ボトラーズメーカーとして有名なダグラスレイン社ですが、古くはハウスオブピアーズやキングオブスコッツなどのブレンデッドウイスキーを中心に展開しており、ブレンデッドメーカーとしての歴史の方が長くあります。
近年では島モノで構成したロックオイスター、アイラ系のピートを強調したビックピート、ローランドモルトのエピキュリアンなど、コンセプトを決めて幅広いタイプのブレンデッドモルトも生産しているところ。
今回のアイテムであるスカリーワグ・スペイサイド・ブレンデッドは、上記ブレンデッドモルトのいちブランドにあたります。

その名の通りマッカラン、モートラック、グレンロセスらスペイサイドモルトで構成されており、今回出題された46%加水バージョンに加え、カスクストレングス、シェリー樽100%バージョンなど、いくつか異なるバリエーションもリリースされています。
この手のシリーズはほぼノーマークで、テイスティングしたことは勿論なく。正解を聞いて「ああ、そんなのあったなあ」と言うくらいの認識でしたが、こうしてブランドでテイスティングしてみても、確かにスペイサイドモルトで作られているとするキャラクターはわかりやすいですね。

樽構成は1st fillシェリー40%、1st fillバーボン30%、2nd fillバーボン30%で、特にシェリー感はスパニッシュオークのニュアンスが主体的。(自分は1stと2ndが混じったシェリーがスパニッシュとアメリカンホワイトオークで7割、バーボンが3割くらいと感じました。)
これがマッカランを思わせるシェリー感ともリンクして、逆に引っ掛け問題的に作用し、同じ問題にトライしたウイスキー仲間からはマッカランダブルカスクでは?とするコメントも。

他方モルティーな香味には若さ、マッカランとは異なるスパイシーさなど、バッテッドモルトを思わせる要素がいくつかあり、スペイサイドから先、どこまで掘り下げられるかは飲み手の力量が問われると感じました。
難しいですが、良い出題だったと思います。

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