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LIQULコラム WEB掲載開始とアラン新商品のレビュー

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昨年から連載させてもらっている、酒育の会の広報誌「LIQUL(リカル)」。
元々は紙媒体&電子書籍として隔月配布・公開されていましたが、今年からWEBマガジンに媒体を移し、日替わりでライターの記事が投稿される形式になりました。

実は、媒体としては1月下旬頃から公開されていたのですが、すっかり見落としていたというこの不義理っぷり。
2月1日に公開された自分のコラムは、昨年入稿していたアラン特集。大幅リニューアルされた、アラン蒸留所のスタンダード銘柄の新旧比較と、新商品にフォーカスした内容となっています。

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酒育の会 ”Liqul”
Re-オフィシャルスタンダードテイスティングVol.4「アラン」
・アラン10年新旧比較テイスティング
・ニューリリース:バレルリザーブ 43% 
・ニューリリース:シェリーカスク 55.8%
コラムページ:https://liqul.com/entry/2526

2019年9月、アラン蒸留所は既存ラインナップの大幅リニューアルを発表。10年や18年等の熟成レンジは継続しますが、ご存じの通りラベルデザインが全く別物にシフトするという、大きな動きが起こっていました。
それらに対するレビューはコラムにまとめていますので、ここでは記事中に書かなかった雑感、執筆していて思ったことなどをメインに触れていきます。

■アラン10年新旧比較テイスティング
まずはオフィシャル・アランで最も飲まれているであろう、10年熟成の新ボトル。素直に旧より良くなったなと感じました。
よくよく考えると、アラン10年はこれで3世代目。リニューアルする毎に美味しくなってきたと感じます。生産が安定し、原酒が増え、蒸留所としての体力がついた結果・・・でしょうか。

旧ボトルは旧ボトルで価格を考えると良い出来でしたが、新ボトルはアメリカンオーク由来の少し粗いウッディさが軽減され、フルーティーさに繋がる良い部分はそのまま残っているような構成です。
色合いが若干濃くなったようなので、樽構成の比率で少しシェリー系統を増やしたのかもしれません。
比較テイスティングして悪くなってたらどう書こう・・・と一抹の不安を覚えていましたが、杞憂に終わって一安心。

ただ、上記コラム執筆時にテイスティングしたのはイギリス流通品で、日本向けではないもの。おそらく大差はないと思いますが、今流通が始まっているものを確認した上で、改めてレビューはまとめたいと考えています。

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■新商品3種について雑感
一方、新商品の位置付けとなるうちの
・バレルリザーブ 43%
・シェリーカスク 55.8%
これらも価格を考えたら全然良いですね。
バレルリザーブは昨年までリリースされていたロックランザの後継品と思われますが、10年同様に感じられたアメリカンオーク由来の粗さや、若さに通じる要素が少なくなり、加水も効いて品の良いフルーティーさだけ残ったような変化。構成原酒は7~8年熟成で多少単調ではあるものの、目立った若さはあまり感じませんでした。

全体が整えられている分、新10年よりもダイレクトにオーキーなニュアンスが感じられるのがポイント。同クラススペイサイドモルトの代替品としても、いい線いくんじゃないでしょうか。例えばグレンリベットとか、グラントとか・・・うかうかしていられないですよ。

また、シェリーカスクも同様に若い原酒で構成されていますが、ハイプルーフ故の粗さはあるのですが、シーズニングシェリー系の香味がしっかりあり。ライバルはアベラワーのアブナック、あるいは最近みなくなりましたが、グレンドロナックのカスクストレングスといったところ。
今価格を調べたら税込みで6000円前後ですか・・・近年の相場込みで考えたらかなり頑張っているボトルだと思います。
この手のボトルあるあるで、ロットを重ねる毎にシェリー感が薄くならないかが心配ですが、アランのコスパの良さを見せつけるようなリリースと言えそうです。

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一方で、テイスティングをしたものの、コラムに掲載しなかったのが、アラン・ボシーの後継品に当たると考えられる「アラン・クオーターカスク 56.2%」
位置付け的に新商品となるのですが、掲載しなかった理由は比較テイスティングで旧ボトルにあたるボシーのほうが美味しいと感じてしまったから・・・なんです。

ボシーも全てが美味しいわけではなく、2016年頃にリリースされたバッチ1は、樽感が荒く狙ったフルーティーさもそこまでおらず。
それが2018年頃から流通しているバッチ3はクオーターカスク由来のバニラやオークフレーバー、フルーティーさが、アランの麦芽風味にうまく馴染んでこれは良いリリースだと思える仕上がり。
逆にニューリリースのクオーターカスクは、ボシーのバッチ1に先祖がえりしてしまったような、そんな印象もあって、国内に入ってきたら追試が必要と保留したわけです。
もちろん好みの問題もあると思うのですが。。。

なおリニューアルしたなかで、18年や21年のアランは後発発表されたもの。コラムを書いた時点でモノがなく、これも是非テイスティングしたいボトルです。
旧ボトルとなる18年は、リニューアル前のロットを飲んでクオリティが上がっているとレビューを書いたばかりでしたし、逆に21年は物足りない印象でしたから、そこからどう変化しているのか楽しみですね。

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酒育の会「LIQUL」
”お酒を楽しむ人のカルチャーマガジン”

今回のコラムは、新ボトルが国内に出回り始めた頃の掲載(めちゃくちゃ見落としてしまっていましたが。。。)。書いておいてなんですが、自分も「そうそうこんな感じだった」と、思い返すことができるちょうど良いタイミングでした。

Webマガジンとしてのリカルの連載は、各ライター毎にストックされている記事が日替わり、あるいは隔日で公開されていくこととなります。
それにしても、こうして多くのライターが活動するグループのなかにいると、恐縮してしまう気持ちだけでなく、昔ウスケバでみんなが色々な記事を投稿していた、ポータルサイトの雰囲気を感じて懐かしくもなります。思えばあそこから始まったんだよなぁと・・・。
このリカルの新しい媒体から、どんな出会いや繋がり、あるいは機会が生まれていくのか。今後の展開が楽しみです。
ライターの皆様、そして読者の皆様、今後ともよろしくお願いします。

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アラン 20年 トリロジー 1st 1998-2018 52.3%

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The ARRAN Malt 
ARRAN JAPAN 20TH ANNIVERSARY 
"TRILOGY" 
FIRST EDITION 
Aged 20 years 
Distilled 1998 
Boottled 2018 
Cask type Sherry Puncheon #82 
700ml 52.3% 

グラス:グレンケアン
時期:不明
場所:BAR Eclipse 
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:華やかでオーキー、紅茶のような甘味と微かにナッツを思わせるウッディさ。ややドライな印象がある香り立ち。

味:香りに反してとろりとした甘味。バニラや熟したバナナ、微かにイチジクのような甘酸っぱさ、アーモンドナッツを思わせる軽い香ばしさとほろ苦いウッディネス。
余韻にかけてトロピカルなオークフレーバーが広がり、ドライ過ぎずフルーティーで好ましい要素が詰まったフィニッシュが長く続く。

シェリー樽表記ながら、シェリー感よりもアメリカンオークの華やかさ、フルーティーさが主体。シェリー2のオーク8くらいのイメージ。安定のアラン味で、特に余韻にかけてウッディさに邪魔されない、熟成のピークを迎えた"らしい"キャラクターがしっかり感じられる。この余韻は秀逸。

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アランジャパン社が1998年に設立(2000年にウィスク・イーに社名等変更)してから、20周年を記念した3部作リリースの第一弾。
第一弾:シェリーパンチョン
第二弾:ホグスヘッド
第三弾:バーボンバレル
それぞれ1998年蒸留2018年ボトリングで、20年熟成されたシングルカスク・カスクストレングスでリリースされています。

第一弾は、ウィスク・イーのスタッフが満場一致で選んだサンプルとのこと。
シェリーパンチョン樽熟成表記なので、ダークフルーツやブラウンシュガーを思わせるそれ系統な仕上がりかと思いきや。その味わいはシェリー感よりオークフレーバーがメイン。恐らくアメリカンオークのシェリーカスクで、鏡板が新樽。ベースとなった組み直し前のシェリー樽も、オロロソとは違う淡いタイプのものだったのではないでしょうか。(フィノ。。。まではいかないと思いますが、単にシーズニング期間の浅いシェリー樽とも思えません。そうであればもっと生っぽい感じ出るでしょうし。)

バーボンバレルだと同じようなフルーティーさはあっても、サイズの小ささから余韻がウッディーでドライになりがちです。
一方でパンチョン樽は約2倍のサイズであることからか、特殊な樽感とは言え余韻にかけてのウッディさが強く出ておらず、シェリー樽由来のとろりとした質感に、フルーティーさが綺麗に広がるのがポイント。らしい味と言ってしまえばそこまでですが、これは多くの飲み手が好む仕上がりだと思います。


先日レビューしたアラン18年にも、こうした内陸の原酒を適齢期まで熟成させたようなフルーティーさはあり、それを構成する原酒の一部に同じようなカスクが使われているのだと推察。
アランの場合当たり前過ぎて特別感が薄れている気がしますが、その"普通に美味しい"アランを構成する1ピースにして、それが流通する起点となるウィスク・イーの記念ボトル。下手に濃厚こってりシェリーなリミテッドより、この味わいの方が同社の20周年を祝う特別なボトルにふさわしい1本だと感じました。
他の2本も是非飲んでみたいですね。

アラン 21年 ロックランザキャッスル エクスプローラーシリーズ 2nd 47.2%

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THE ARRAN MALT 
LOCHRANZA CATSLE 
THE EXPLORERS SERIES 
VOLUME TWO 
Aged 21 years 
Cask type Sherry hogsheads 
Amontillado Sherry Cask Finish 
700ml 47.2% 

グラス:グレンケアン 
時期:不明 
場所:BAR Eclipse 
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで甘酸っぱく、発酵したような酸がトップノートに感じられる。淡くシェリーのニュアンスから干し草とオーク香。ブラウンシュガー、ドライイチジク、微かにハーブ。奥行きのあるアロマが広がる。

味:口当たりはウッディでややタンニンを感じる。合わせて甘酸っぱさのあるイチジクの甘露煮、薄めたカラメルシロップ、カカオ粉末。序盤はシェリー系のフレーバーがメインだが、余韻にかけてオーキーな黄色系のフルーティーさの戻りが複雑さを加えており、広がるように長く続く。

アランらしい素直で癖の少ない、樽由来のフレーバーとの馴染みの良いボトル。
香味のメインは、シェリー系の要素とアメリカンオークのフルーティーさが合わさった構成。香りのトップノートで多少酸が感じられるのが、フィニッシュに使われたアモンティリャード樽由来なのかもしれない。違和感はあまりなく、オフィシャルらしい完成度の高さも伺える。6回3失点以内のモルト。


リフィルシェリーホグスヘッドで熟成された原酒をバッティングし、アモンティリャードシェリーカスクでフィニッシュしたカスクストレングスのリミテッドエディション。9000本の限定生産。
このエクスプローラーシリーズは、スコットランドのミニチュアと呼ばれるアラン島(知らなかった。。。)の美しい風景を、ウイスキーと共に味わってもらうというコンセプトのリリースです。

今回レビューする第2弾はロックランザ城、昨年リリースされた第1弾は20年熟成のブロディック・ベイ。ブロディックはアラン島を代表する集落のひとつであり、港町であることから、まるで島の玄関口から続く旅のようなイメージですね。

ファーストリリースは以前イベントでちょっと飲みましたが、フルーティーで中々纏まりが良く、安定しているなという印象。
というか、アランからリリースが多い20年前後熟成のリミテッドは、大多数がまさに熟成のピークと言える、安心安定のアラン味(アメリカンオーク由来の黄色系フルーティーさと、適度な熟成感が備わった柔らかいボディ)に仕上がっていることが多く、今回の1本にしてもユーザーの好みから大きく外さない点が魅力と言えます。

その安定感と言ったら、最近リリースされた通常ラインナップの21年が、良い原酒をリミテッドに回して、その残りを使っているのかと思えるほどでもあるのです。
また不思議なことに、アランのリミテッドリリースでは、シェリー樽熟成のみの原酒からも、バーボン系の樽の熟成によって得られるオーキーなフルーティーさが感じられることが多く。使われている樽がアメリカンオークのシーズニングシェリー樽なのか、あるいは鏡板部分をアメリカンオークにしてあるのか。(恐らく前者)
何れにせよ、近年のシェリー味一辺倒にならない仕上がりは、好感が持てる構成なのです。


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今日のオマケ:サッポロ黒ラベル 東北ホップ100% & じゃがりこ 激辛インドカレー味

仕事のみならず帰省も含め、東北に足を運ぶことが比較的多い自分ですが、サッポロから東北地区限定で所謂"とれたてホップ"系のビールがリリースされているとは知りませんでした。2009年から発売されててもう10周年を越えてるんですね。
瑞々しくさっぱりとした味わいは、単に苦味がないとか、味が薄いというわけではなく。ぐいぐい飲めるけど、ビール飲んだっていう満足感があるのが特徴。これは美味しい缶ビールです。

で、問題だったのが隣にある激辛インドカレー味のじゃがりこ。キヨスクに陳列されていたので何も知らずに買ってしまいましたが、とんでもない辛さです。激辛系のお菓子の代表格、暴君ハバネロやカラムーチョなんて比較にならない。刺すような辛さから痺れ、スパイスの香りと駄菓子にありがちなチキン系のうまみ成分で食べ続けることは出来るのですが。。。1パック食べると、専門店で辛口以上のカレーを食べた後のように、胃の中が煮えたぎるスパイス感が持続する。
カルビーさん、これはせめて18才以上限定とか注意書きしないとダメでしょうw

なお余談ですがポテトチップスのジャンルには本当に「18才未満禁止」を宣言している激辛カレー味ポテチが存在します。
それはもうこのじゃがりこをさらに凌ぐ辛さで、屈強な肉体をもつ業界きってのマッスラー達が、たった1枚でひいひい言わされます(笑)。
ウイスキーのアテになるとはお世辞にも思えませんが、興味がある方は是非。

アラン 18年 オフィシャル 46%

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The ARRAN Malt  
SINGEL MALT WHISKY 
Aged 18 years 
700ml  46% 

グラス:テイスティンググラス
時期:不明 
場所:BAR Eclipse 
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:華やかでスウィート、ウッディ。洋梨のタルト、加熱した白系の果実からやや焦がしたオレンジママレード。角のとれた柔らかいオーク系のフルーティーさに、ほのかにカラメルソースを思わせる要素も混じる。

味:スウィートでややドライだが同時にとろりとした口当たり。洋梨、ファイバーパイナップル。徐々にシュガートーストを思わせるドライな甘味と軽い香ばしさ。ボディが適度にあってバランスの良い熟成感。
余韻はオーキーで華やか、心地よいウッディさと近年寄りのトロピカルなフルーティーさが染み込むように長く続く。

癖の少ない適度な厚みのあるハイランドタイプの酒質に、アメリカンオーク主体のフレーバーが合わさって、万人ウケするフルーティーな味わい。シェリー系の原酒が繋ぎとなって、良いアクセントになっている。
リリース直後よりまとまりが良く感じたのは、使われている原酒のロット差だろうか。。。まさに進化し続けるオフィシャルモルト。


2015~16年頃にリニューアルしたアランのスタンダード18年。シェリーオークとバーボンオーク樽熟成の原酒のバッティング。最初に飲んだ時は昔のボトルよりシェリー感が薄くなり、ドライな感じになったなという印象がありましたが、久々に飲んで充分バランスが良いというか、フルーティーでありつつまとまりが良いと感じました。

メインの樽はアメリカンオークと思われる香味構成。それだけだとドライでギスギスしがちなウッディネスが、シェリー樽由来と思われるとろりとした甘味でコーティングされ、オーキーなフルーティーさを味わいやすくなっています。
香味から推察する比率はシェリー系が2~3割、バーボン系(アメリカンオーク系)が7~8割程度といったところ。
アランの酒質はスペイサイドとハイランドを足して2で割ったような構成であり、熟成によって得られるモルティーさとフルーティーさ、アメリカンオークとの相性は間違いないものです。

まとまりが良くなった要因としては、かつて使われていた創業直後の原酒(今はオフィシャル21年に使われているそれ)が、ロットが切り替わって製造ノウハウを確立してきた安定期の原酒となったこともあるのではないかと。
正直、アランは創業直後から3年くらいは、特にシェリー樽で苦労してる感じがするんですよね。。。

リリース以来、徐々に味を良くしてきたアランのオフィシャルブランド。
アランに限らずキルホーマンといい、キルケランといい、ウィスク・イーさん取り扱いのオフィシャル銘柄は、近年味が良くなってコスパが良いものが多い印象。我々愛好家としては、本当に有り難い限りですよ。
中でも1万円以内の価格帯で安定の熟成感と分かりやすい旨さ。正直、アラン18年は同価格帯でハイランドモルト最強とも評価されるグレンモーレンジ18年ともはや同等。というかグレンモーレンジが最近軽くなってきているので、下手すると王座交代もあり得る。先が楽しみなボトルでもあるのです。

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余談ですが、アランは今年オフィシャルラインナップのデザイン総入れ替え、一部ラインナップ追加という大規模なリニューアルを敢行しており、この18年も例外なくラベルの切り替え等が発表されています。
新しいアランは10年を飲み比べたところ、これまでよりはバランスが良くなっていると感じられ。では18年は。。。画像をみたところ色合いは現在より濃そうですが、まだ飲めておらず詳細は不明です。
切り替わりは来年春にかけて順次という状況で、これも今まで同様にさらにクオリティを高めてくれていることを期待したいです。

追記:新アラン18年もテイスティングしました。予想以上に良い仕上がりでした!

アラン 7年 2011-2019 プライベートカスク #1341 58.7%

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ARRAN 
PRIVATE CASK 
For Whisk-e 
Aged 7 years 
Distilled 2011/07/11 
Bottled 2019/02/06 
Cask type 1st fill Sherry Hogshead #1341 
700ml 58.7% 

グラス:グレンケアン
時期:開封後数日以内
場所:BAR Eclipse 
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:スパイシーでスウィート、ブラウンシュガーとドライプルーンを思わせるダークフルーツの色濃い甘み、ハイトーンな刺激には、ナツメグや微かにシナモンを思わせるニュアンスも。

味:粘性があってドライ、スパイシーな口当たり。黒蜜やドライプルーンの甘味から、徐々にウッディで焦げたチョコレートビスケットのようなほろ苦さ。
余韻はビターでドライ、香り同様にハイトーンな刺激が口内にありつつ、ダークフルーツの甘味が漂う。

若く刺激の残った酒質に、ドライなシーズニング圧殺シェリーという構成。甘味はあるがもうひとつ果実味がほしいところで、熟成感的にも粗削りではある。一方、加水で延びてマイルドな味わいに変化するあたりに、酒質の良さを感じさせる。シガーに合わせるか、あるいは少量加水しながら自分好みのバランスを探しつつ楽しみたい。

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先日、ウルフバーンのジャパンエクスクルーシヴNo,3を記事にした際、短熟で仕上がるシェリー樽の例として、友人が所有しているアランのスペックを参考に紹介していました(写真上参照)。

そこから数日。発表されたリリースが今回の1本。TWCのクォーターカスクの7年だけかと思いきや、シェリー樽の短熟も来るとは。。。こうした短熟で仕上がるリリースは販売計画を立てやすいことも強みですから、今後のトレンドになっていく仕様であるのは間違いなく。
また完全にローカルなネタですが、個人的に興味をそそられたのが、友人のカスクと同じ日の蒸留で、樽番号も10番ちょっとしか違わない、シスターカスクと言える原酒であったこと。短熟シェリーの香味は予想がつきつつも、好奇心のままに早速テイスティングしてきました。


結論からいうと、今回のボトルは自分が思っていたよりもスパイシーでドライな仕上がりでした。
香味の大筋な系統はシーズニングシェリーで、樽材や仕様は間違いなく同じもの。それは樽を調達したボデガが同じということでもあるのですが、もう少し甘味が強く、とろんとしているような仕上がりを予想していたのですが、使った樽に染み込んでいたシェリーの量、あるいは材質の微妙な差か、ストレートでは度数相応に刺激を感じるアタックがあります。

それこそ、もう4~5年熟成させていればアタックはそれなりに落ち着いたのだと思いますが、余韻にウッディな苦味が主張し始めているので、カスクストレングスでリリースするならこの辺りがピークという判断は異論なく。
一方で、アランのシェリー樽熟成は、これまで15年から20年程度の熟成期間で同等程度の濃厚なものがリリースされることが多かったですが、今回はその半分の期間。熟成感の違いはバットや組み直しのホグスヘッド(300リットルサイズ)か、現在のシーズニングホグスとして一般的な250リットルか。仕込みの時期によって樽のサイズそのものが変化しているのではないかと推察します。

ちなみに、直近でリリースされた同じ系統のウルフバーンとの印象の違いとしては、酒質と少量加水による仕様の違いか、奥行きはともかくウルフバーンのほうがマイルドに仕上がっています。
オフィシャルのシングルカスクと考えれば、価格的には比較的手頃。テイスティングの通り酒質の良さから加水の変化も悪くない。若くてもいいので濃いめのシェリーカスクがほしいという方はおすすめですが、この手のリリースは今後の出てくるでしょうから、まずはBAR等で1杯試してみることをオススメします。

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