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コサートゴードン マデイラ セルシアル ソレラ1860

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COSSART GORDON
MADEIRA
SERCIAL SOLERA 1860
750ml about 20%

香り:熟したプルーンやデーツ、あるいは黒ぶどう思わせる穏やかな酸味と、ブラウンシュガー、栗の渋皮煮を思わせる甘みと渋み。時間経過でダークフルーツソース、杏子棒、微かに梅酒のようなニュアンスも伴う。

味:マイルドでコクのある口当たりから盛り上がるように酸味が広がる。梅、あるいは杏子、ブラットオレンジ、木苺やザクロなどを連想させる果実味とジャム感。余韻は酸味が穏やかに収斂し、アーモンドを思わせる軽い香ばしさ、ほのかに紹興酒っぽさや、フェロモンに通じる陶酔感を伴い長く続く。

鳥肌が立つような筆舌し難い期待感と高揚感を伴う香り立ち、体に染み込むような柔らかくもしっかりとした酸味、コクのある味わいに思わず溜息が漏れる。
ソレラの構成原酒の影響か、余韻にかけて広がるというよりまとまるという印象だが、マディラワインの魅力と時間を飲むという贅沢を堪能出来る1本。


以前1800年代のマディラを飲んで、その奥深い味わいに感動し、抱えて飲んでみたいと調達した1本。現在はマディラワイン業界最大手、マディラワインカンパニー傘下にあるコサートゴードンのオールドマディラです。

海外レビューサイトの情報によると、素性は1860年にソレラを組み、最も若い原酒は1910年代に継ぎ足されたのが最後。ボトリングは1950年前後で、ウェアハウスでの熟成は40〜90年、瓶内熟成含めて100年オーバーとなる、ほぼ不滅とも言われる長寿なマディラだからこその1本と言えます。

強制的に酸化させる製法との関係上、マディラは劣化に強いとは言っても1世紀を越える経年。逝ってるモノも少なくないという声がある一方、1800年代の長熟マディラは、今が飲み頃とする評価も聞きます。
この場合、親子3代以上に渡って語り継がないと飲み頃が来ないとかどういうことなの。。。と思わず考えてしまうわけですが、この個体は写真のように、劣化のない熟成を感じる透明感のある濃い琥珀色。酸味の強いぶどう品種セルシアルの特徴からか、口当たりは熟成を経てマイルドでありながら、様々な果実を思わせる奥深い酸味が広がる、絶妙な仕上がり具合でした。


ちなみにこのボトルに使われた原酒に関する時期的な考察をすると、1910年はポルトガルが共和制に移行し、その前後ではかなり社会情勢が不安定だったとされています。
ソレラへの原酒継ぎ足しが止まったというか、リリースされずに残ったのは、そういう時代背景があったのかなと。
またコサートゴードン社は、1953年に当時マディラ島にある共同組合というか協会的位置付けだった、現マディラワインカンパニーに加盟しており、このあたりの外的要因もリリースに影響してるのではと推察しています。

今ここにあるグラスの中身が最初に仕込まれた時、日本は江戸時代末期、桜田門外の変のあった年。そこから明治維新、世界大戦を含む各戦争、敗戦と復興、激動の時代が熟成と並行して過ぎ去り、2018年の今、何の因果か極東の島国で解き放たれた。その背後に流れた時代を思うだけで酔ってしまいそう。 我々一個人の時間の尺度では 測りきれないものを感じてしまいますね。

ギルビー ロンドン ドライ ジン 1960年代流通 90Proof

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GILBEY'S
LONDON DRY GIN
1960-1970's
1Quart 90Proof

シトラスを思わせる柑橘感と、タイムやコリアンダーなど針葉樹系の植物を思わせる、ハーブの爽やかなアロマが溶け込んでいる。ただし前面にはスーパー銭湯の脱衣所に置いてある安価なヘアトニックのようなニュアンスがあり、独特な香り立ちを構成している。
口当たりはオールドジンらしくとろりと柔らかく、柑橘の皮や穀物系のほろ苦さに加え、淡いソーピーさ。余韻は程よくドライ。
このソーピーさは、ソーダで割るとより主張してくる。ジントニックではあまり気にならなくなるが・・・香りで感じたヘアトニック感は健在で、まさに好みが分かれる個性的なジン。

(ボトルのオモテ面はフロスト加工がされているが、裏はクリア。ラベルには裏面にも印刷されている、現行品にはないちょっと凝ったデザイン。)

先日紹介したゴードンドライジンの比較用に、同時期流通のジンで購入したもの。
現行品はライトな香味で混ぜやすいというか、良く言えば癖が少なく、厳しく言えば香味が薄くただドライ。居酒屋チェーンなどでは使いやすいのかな?という、大量生産品の代表格であるようなジンですが、そうは言っても有名どころのオールドなら間違いないっしょ!
。。。そう考えていた時期が私にもありました。

ギルビーの誕生は1800年代とか、そういう話はメーカーサイトを参照頂くとして、今回のメインはその味わいです。
いや、衝撃でしたね。香りが"ヘアトニックそのもの"のようであるのも、製品の個性というには強烈で好みが分かれる部分ですが、よもやジンからソーピーなパフューム香が出るとは思いませんでした。
「今も昔も変わらないレシピ」ってのはメーカーの決まり文句ですが、いやいや流石にこれは味が違いすぎです(笑)。

ボタニカル由来なのか、ベースに使うスピリッツ由来なのか、あるいは経年変化によるものなのか。
経年変化というには香味に篭った感じはなく、何よりも鹸化反応に繋がる要素は連続式蒸留じゃ残りづらいだろうということで、おそらくは製造過程の何かが原因なのではと思います。
思えばバーボンも一時期のオールドグランダットでそう言うのがありましたし、連続式には連続式で、単式とは異なる地雷要素があるのかもしれません。
(このボトルは絶対飲みきれないので、興味を持たれていたウイスキー仲間のバーマンに寄贈しました。)


ちなみに、近年のギルビージンは製造場所がロンドンからフィリピン、そして韓国に変わったことで、味が落ちたとする評価を見聞きします。
確かに、味が変わったのは事実なのだと思います。ただ、日本酒やワインのような、気候の影響をダイレクトに受ける醸造酒なら兎も角、熟成させない蒸留酒で産地の影響は微々たるもの。つまり、逆に言えばロンドン(あるいはイギリス)だから必ずしも美味い訳じゃないと思うんですよね。

実際は近年のリキュールやスピリッツ類に多く見られる、混ぜやすいように香味のライト化とドライ化が、ギルビーは工場の移行と合わせて一気の進んだ結果なのではないかなと。
擁護する訳でも、否定する訳でもないですが、日本でもさまざまに美味しいジンが生まれている中で、ロンドン神話的なモノが気になったので補足してみました。

ゴードン ロンドン ドライジン ティンキャップ 1960年代 & 70年代

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GORDON'S DRY GIN
DISTILLERY LONDON
1960's
750ml 47%

ドライで爽やかなアロマ。針葉樹やジュニパーベリーに、夏蜜柑、グレープフルーツやレモンピールを思わせる柑橘香。口当たりは柔らかくとろみがありつつ、シトラスなどを思わせるフレッシュでほろ苦い柑橘の皮と、余韻にかけて微かな穀物感、ドライでほろ苦く、フレーバーがしっかり残るような爽やかなフィニッシュ。

2019年で誕生から250年を迎えるジンの代表的ブランド。1769の創業からタンカレー社との統合など、様々な変革を経て1960年代には世界で最も売れるジンへと成長した、今回はまさにその当時のボトルです。
3回蒸留のクリアでスッキリとしたスピリッツをベースに、ラベルに書かれたジュニパーベリー、コリアンダーシード、リコリス、柑橘類ではオレンジやレモンの皮など様々なスパイスが用いられ、そのレシピは現在も変わっていない。。。とされています。(度数や製品仕様はだいぶ変わっていますが。)

ゴードンドライジンは、世界で初めてジントニックを産んだ銘柄なのだそうです。消費量の背景には、それを前提としたレシピであることも、少なからず関係していると考えられます。
であれば、このボトルも当然ジントニックでも飲んでみます。
トニックウォーターは、オールドジン特有の柔らかい甘みを邪魔しないよう、人工甘味料不使用は勿論。当時の味を再現する観点から、キニーネが配合されているフィーバーツリーで合わせてみました。

いやこれは美味い。素人の自分が作っても普通に美味い。
ジンの香味そのものに芯の強さがあるからでしょうか。変にドライな感じも無く、甘みもベタつかない。柑橘と針葉樹のほのかに青みがかったような爽やかな香気が広がり、微かにビターでスッキリとして、一本スジが通ったような旨さです。 
以前このジンに同時期流通のコアントローを使って、ホワイトレディを作ってもらったことがありました。勿論それも文句なく美味しかったわけですが、一方で「オールドリキュールは香味が強すぎて逆に難しい」とも聞きいたところ。ジントニックのように割って飲むスタイルは、分量・手順さえキッチリすればそれほど気にしなくても良いのかもしれません。

さて、ティンキャップ時代のゴードンドライジンは、見た目のわかりやすさや特別感等からか、現在の相場は2万円前後と中々に高価。個人はともかく、BARではおいそれとカクテルに使えないと思います。
一方、1970年代初頭、JAPAN TAXのついたスクリューキャップ時代のゴードンドライジンだと、一気に下がりティンキャップの5分の1以下で取引されることもしばしば。。。



では価格差ほど味が違うかというと、実は殆ど違いはないと感じます。
経年や保管状態もあるので完全に同じとは言い切れませんが、飲み比べた印象はほぼ同一。むしろスクリューキャップの方が、状態が安定してそうな印象もあるくらい。
ティンキャップの留め具を跳ね上げる瞬間の、あの独特な感覚はスクリューとは異なる特別感。。。ですが中身に違いがないなら、普段使いにはスクリューキャップを選ぶかなと思ってしまうのです。

カンパリ ビター 1980年代後期流通ラベル 24%

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CAMPARI
BITTER
1980-1990's
1000ml 24%

最近ハマっているビター系リキュール、カンパリ・ビターのオールドボトル。
ビターオレンジにキャラウェイ、コリアンダー・・・原料は色々使われているそうですが、香味の主軸は皮ごと絞ったオレンジを思わせる香味と根菜系の苦味。香りにはハーブや漢方、あるはスパイス的な要素も混じって、とろりとした口当たりの甘みがちょっとした薬用シロップのようにも感じられます。

元々オレンジ系のリキュールが好みで、グランマニエの上位グレードオールドとか大好物なわけですが、合わせて好みなのが、じんわりと染み込むような薬草系リキュール特有の"苦味"。オレンジ系に甘み、そして強い苦味という要素が主軸であるカンパリ・ビターに惹かれるのは、極めて自然な流れだったわけです。

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現行品のリキュールの多くは、カクテルとの相性を考えてかドライ気味に造られているものが目立ちますが、オールドボトルはレシピや抽出方法が現在と違うため、現行品より香味要素が強く、甘みとコクもしっかりあるものが多い印象。
今回飲んでいるカンパリも、2007年に着色方法が切り替わっているだけでなく、やはり時代時代での違いがあります。
今回のロットは1980年代以前に比べちょっと苦味や薬っぽさが主張しすぎる部分はあるのですが、好きな人はストレートで飲んでもたしかな満足。そのまま飲むならロックにも耐えるコクと強い香味。思わず葉巻と合わせたくなってしまいます。

あるいはカンパリオレンジを作ってソーダアップすると、もはやこれはお酒ではなくジュースとして美味い領域に突入します。スプモーニにしても、爽やかな飲み口から苦味が強調されてたまらんです。
香味が現行品より強いので、比率は既存レシピに比べ多少調整が必要とは思いますが、昔のバーマンはこれでカクテル作ってたと考えると、これがクラシックな味わいなのかもしれません。

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オールドリキュールではベルモットなどの大半は20度以下と度数が低く、状態があまり良くないものもしばしば見られます。
その点、カンパリは度数が24%、モノによっては28%と高い度数に加えて糖度も高く、比較的安心して手を出せるのもポイントです。
流通量が多かったためか、1980年代くらいまでならそこそこ残っていて、しかもキナ系リキュールに比べて安価なのが嬉しい。このあたりまでならカクテルにガンガン使っても罪悪感が湧きません(笑)。

余談ですが、ビターオレンジリキュールという選択肢に目覚めるきっかけになったのが、写真のチンザノ・ビター。1960年代流通のオールドボトル。チンザノブランドは現在カンパリ傘下にあるわけですが、このボトルは甘みと苦味の一体感が段違いで既存のカンパリとは別格。
どうにか1本欲しいんですが、この手のボトルはスコッチモルトのエントリーグレード同様に、その時代その時代で消費される傾向があるため、国内ではまず見かけないのが難しいところです。

ベルサーノ バローロ ニルヴァスコ 2010 14%

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BERSANO
BAROLO
Nirvasco 2010
750ml 14%

スパイシーで徐々にカシスやザクロ、熟した果実の甘み、リコリスなどのアクセント。熟成したワインの落ち着きのあるたおやかな香り立ち。
口当たりはスムーズだが、香り同様のスパイシーさ、角の取れた蜂蜜梅のような酸味と干草、鉛筆、ウッディーさを伴いしっかりとタンニンを感じる。

単品で飲むと序盤の果実味に対しタンニンが強い印象があるものの、スパイシーな肉料理との相性が素晴らしい。
初日はハーブとスパイスのチキンソテー、バキュバン2日目でエスニック系の味付けと合わせたところ、これが思った以上の一体感で一気に空けてしまった。。。 

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イタリアの代表的なワインの一つ、バローロ。バローロはワインの王様なんて言われてる・・・という関連の薀蓄はぐぐっていただくとして、このベルサーノのバローロは、かつてメルシャン、現在はキリンが正規輸入を行なっているため、最低限の情報は公開されており、生産者に関する情報も調べればある程度見つけることができます。この辺は、ワイン初心者の自分としては安心して手を伸ばせる指標だったりしますね。

ベルサーノは家族経営としては地域で最大級の規模を持つワイナリーで、そのバローロは伝統的な造りを踏襲しているとのこと。(バローロは熟成向きの伝統的な造りから、すぐ飲める近年寄りの造り、そしてその中間という様々な造りがあり、一概にコテコテ濃厚な赤ではないようです。)
その特徴はしっかりとしたタンニン、酸味とコク。最低3年間、うち2年間は樽で熟成させることが定められていることもあり、余韻のウッディネスはウイスキークラスタの自分としては馴染みの深い香味と言えます。

今回のボトルはボトリング後、さらに4〜5年間の瓶熟を経ており、香り立ちは時間をかけてじっくりと。タンニンや酸味も落ち着きがあり、蜜のような甘みも開いてきます。他方で、このリコリスを思わせる苦味や、余韻にかけて甘みが収束していくようなタンニンの染み込むような味わいは、ビーフジャーキーなどの水気の少ないアテよりも、加熱調理した肉などのジューシーなものと合わせた方が良いように思います。


たまたまこのベルサーノ・ニルヴァスコを2009、2010と並びのビンテージで購入していたのですが、2009を開封したところかなり熟成したような色合い、果実味も後退したような印象で開いてくる印象もあまりなく。
ビンテージチャートではどちらもいい年ということだったので、熟成したものも期待していたのですが・・・。こりゃー2010もさっさと飲まないとダメかなぁと、休日のお家ご飯で使ってみたところ、こっちは1年違いとは思えない程よい熟成感なのです。

保存状態か、あるいは2009のベルサーノは熟成向きの品質ではなかったのか、この辺は醸造酒を熟成させる面白さであり、難しさでもありますね。いずれにせよ思いがけず違いも含めて楽しませて頂きました。

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