テイスティング技術向上を目指す人へのマイ樽のススメ ~熟成のイメージ~
昨日中に記事をUPしようと思っていましたが、子供があまり昼寝せず・・・夜は夜で7時には寝オチしてしまったので今日の更新となりました。ここのところサマータイムやら仕事の忙しさやらで夜の自由時間が少なくなり、満足にブログを書く時間を取れていないのが悔しいです。かといってさくっと書いて終わらせるには申し訳ないボトルの数々が順番待ち状態で、あぁ一日が30時間くらいあれば・・・。
今日の記事は、前回の記事の続きになります。
前回の記事ではタイトルのとおり、テイスティング技術の向上を目指す人にはマイ樽がオススメということを書きました。
実際どのようなことが学べるかというと、まずひとつは樽香、そしてもうひとつは熟成のイメージが体感できるということ、大きくはこの2点。
今回は後者の熟成のイメージについてもう少し具体的に書いていきます。
まず、ウイスキーの熟成は大きくわけて3つの要素の変化から構成されています。
・樽材の成分がウイスキーに溶け出ること。
・樽材がニューポットに含まれる不純物などを吸着する。
・アルコールが樽の呼吸により低下するだけでなく、まろやかさが産まれる。
かなり乱暴な分類で、実際はこんな数行で書けるほど"熟成のメカニズム"は単純ではないのですが(わかっていないことも多いとされていますし)、マイ樽所有で体感すること出来る変化として、樽香、アルコール感、テクスチャーの変化を上述の3要素としてあげておきます。
(詳しく知りたい方は専門書籍等を開いてください。)
熟成は長ければ良いというものではなく、樽の成分は出すぎると渋みやえぐみが強くなります。アルコールも下がりすぎて、くすんだような味になってしまうこともあります。
かといって熟成が短すぎると、舌触りが粗く香りもトゲトゲしており、さらにアルコールも強い状態になります。
このバランスが適度に保たれた状態が理想的な熟成状態であり、自分がイメージする図は以下となります。
色の違いはウイスキーそのものの色と、右の縦軸のアルコール感などの強さをイメージしています。
かなりざっくりしたイメージ図ですが、上から2番目、真ん中に位置する濃い黄色、橙色のところが、飲んでみて「ちょうど良い」と感じるラインだと考えてください。
このライン上に樽成分とアルコール感落ち着くのが、理想的なピークなのかなと思います。
ただこれは樽の種類やウイスキーそのものの酒質、熟成環境の違い、そしてなにより作り手側が「どういう状態をベスト」と考えるかで変わってきますので、あくまで一例として考えてください。
そして以下がニューポットを数リットルサイズのマイ樽に入れた場合の熟成のイメージ図です。
小さい樽はあまりにも短期間で成分が出るため、一気に過熟ゾーンに突入します。特にチャーした新樽のパワーは絶大です。原酒の個性などお構いなしに、バーボン味に仕上げてくれます。アルコール感も下がりきらず、濃いけれど不純物も多いため、未熟な味が抜け切れていないウイスキーが出来上がります。
(例えばこんなイメージで。。。)
機会があれば自分で熟成させてみたいという気持ちは、多くの飲み手が持つところと思います。中には「自分の樽はひょっとしたら奇跡的に素晴らしい旨さになるんじゃないか」とも。すいません、自分もそう考えた一人でした(汗)
正直それはかなりハードルの高い話で、1回目、2回目は確実に「なんだこれ」という仕上がりになることも少なくありません。だってそれで良い味に仕上がるなら、メーカーがやってますよね。冷静に考えて。
失敗しない樽での熟成は、完成のイメージから原酒の選定、熟成の計画を建てる必要があります。それはもちろん、「なんだこれ」という失敗から「どうやったら旨く熟成できるのか」という樽と原酒のマネジメントを学んで初めてイメージできるようになるもの。
すると既存のボトルを飲んだ時も、この樽でこの熟成感ならこういうイメージか、樽はどういう状態だったのかなど、今までとは違った景色が見えてくると思います。
マイ樽所有の魅力はウイスキーを過程で熟成させるだけにあらず、そうした様々な経験を所有者に与えてくれることにあると考えています。最近はそこそこ安い値段で買えるようになってきましたし、テイスティングスキルを向上させていきたいと考える飲み手の皆様には、是非オススメしたいですね。