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ブランディーズ ヴェルデーリョ 5年 マディラワイン

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BLANDY'S
VERDELHO
MADEIRA
ANDS 5 YEARS
750ml 19%

香り:オロロソや紹興酒的な落ち着いた酸味を伴う、淡いウッディネス、皮付き葡萄の渋みがほのかに。スワリングしているとオレンジなどのドライフルーツを思わせる濃縮した甘みが広がってくる。

味:干し葡萄、オレンジジャムや杏を思わせるしっかりとした甘酸っぱさが、アルコーリックな刺激、スパイスとともに広がる。
あーこれは良い、この甘酸っぱさはウイスキーにも通じる美味しさだ、なんて思いながら飲み込むと、余韻は序盤の濃厚さに反してベタつきが少なく、オレンジを思わせる果実感をほのかに残し、意外にもスッキリとしている。



先日、信濃屋銀座店でイケメン副店長からオススメされた若いマディラ。
妙に推すのでどんなもんかと買って見たのですが、これが確かに美味しいのです。

多分マディラ派、あるいはワインなどの醸造酒を愛飲している方からすると口に含んだ時のアルコール感が強いと感じるかもしれませんが、自分はこの程度なら許容出来るイメージ。(自分の妻はあまり気に入らなかったようです。)
むしろこの若さゆえ、熟成によって減っていくであろう果実感が、それに反して増加していくであろう樽感、紹興酒的な古酒感に邪魔されないのもポイントだと思います。

そしてこのマディラ、カマンベールチーズと合わせると最高なんです。
チーズを一口食べた後でマディラを一口飲み込むと、若さゆえの刺激がコーティングされるだけでなく、熟した果実や蜜のような甘みが広がり、双方の味わいが高まり融合する。マリアージュ独特の幸福感が口の中に広がって長く残るのです。これはハイボールで唐揚げの油を流すようなさっぱり感とは、別次元のものです。


自分はマディラワインは全く明るくないので、このボトルがどの程度のものか相対的な評価は出来ませんが、シェリー同様に興味を持つには充分なクオリティでした。
知人のバーマン曰く、若いマディラだからこその良さを楽しめる銘柄は思いの外少ないのだそうです。特にコスパがいいものに当たるのはなおのことと。
確かに、若さゆえ素性や作りの部分がモロに出るんでしょうね。
最近シェリーやマディラの酒精強化ワインに興味が出ていたので、これをきっかに色々飲んで見たいと思います。

マイヤーズラム 1970年代流通 40% &トレーダーヴィックスのマイタイ

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MYER'S RUM
JAMAICA RUM
FRED L.MYERS & SON
1970's
48ml 40%

香り:やや溶剤的な刺激や乾いた草のような植物感がトップノートにあるが、マイルドで深い甘み、キャラメル、綿菓子、焦がしたバニラ。奥にはほのかにゴムっぽさも感じる。

味:メローでまろやかな口当たり。ブラウンシュガー、チョコレートクッキー、微かに古酒感。香り同様の植物っぽさ、あるいはグレーンに通じる穀物系の香味、微かにケミカルな要素も。
余韻はややドライでビター、長く続く。キャラメリゼの甘みとほろ苦さに樽由来のタンニンが苦味を上乗せしている。

カクテルベース向けといっても過言ではない現行品と比較すると、スムーズな口当たりと舌当たりのコク、樽由来の要素の溶け込み具合一つ一つ全て上質。ただ、例えばスコッチのオールドボトルのようにベクトルは大きく変わらない、メローで引っかかりの少ないラム。やや単調気味だが余韻の苦味が全体をまとめ上げている。


最近、ウイスキー以外の選択肢として、オールドラムもちらほらと飲んでいる&飲ませてもらっているのですが、突き抜け系以外に基本的なところも抑えておかにゃならんよなということで、小瓶ですが有名どころスタンダード、マイヤーズのオールドです。

マイヤーズラムについては、ラムを知らない飲み手でも「あ、これ見たことある」というくらい超メジャーなブランドですから、もはや細かい説明は不要ですね。
ラムは熟成に用いる樽の自由度、果ては香料の添加などで香味の幅が非常に広いため、ポストウイスキーとしていくつかの傾向が期待できると感じています。

例えばここ最近信濃屋からリリースされているニューグローブの限定品などは、熟成スペイサイド、あるいはコニャックに通じるリムーザンオークの華やかさが好印象。また、今回のように甘口なオーソドックスタイプのラムとしては、シェリー樽熟成のモルトに替わるリリースを期待しています。
ハバナクラブ15年のオールドなんてオールドマッカランを思わせる深い甘みとコクがありますし、近年流通にはモスカテルシェリーフィニッシュなんてボトルも存在している。突き抜けたベリー系のオールドシェリーは不可能でも、昔のGMのカラメル系シェリーや、近年のシーズニングシェリーくらいのモノはあってもおかしくないと感じています。


(シャマレルXO モスカテルカスクフィニッシュ 2017 45%。モーリシャス産のアグリコールラム。粘性のある飲み口。濃厚な甘みとコク、ウッディな余韻が特徴的。)

今回のマイヤーズラムはオーク樽で4年間の熟成を経て、マイルドかつ上質な甘みとラムらしい香味に樽由来のタンニン、苦味が余韻に効いている一方で、あくまでスタンダードにラムらしい味わいの枠の中。
これはこれで、カクテルベースにしたら良さそうで、これからの夏のシーズンと言ったらモヒート。あとは夏場には向かないもののオールドらしい角の取れたアルコール感だからこそ、ホットバタードラム等のホットカクテルに使っても美味しそうです。

そしてラムベースカクテルで有名どころの一つ。今回のラムと合わせて紹介するのが、トロピカルカクテルを代表するレシピである"マイタイ"です。

IMG_7302

マイタイの発祥はカリフォルニア州オークランドのパブ「ヒンキー・ ディンクス(後のトーレーダー・ヴィックス)」において、オーナーが試作したジャマイカラムベースの1杯が好評だった事から。
その時の客が叫んだマイタイ!(最上の一杯)という名が付けられる事となるカクテルは、後に世界中で様々なレシピが誕生する事になるのですが、そのオリジナルレシピは、トーレーダーヴィックスの秘密とされています。

日本ではホテルニューオータニ内のトレーダー・ヴィックス東京に行けば味わう事が出来るオリジナルレシピ。実は都内在住のウイスキー愛好家にはお馴染み、池袋のナデューラさんでも再現版がオーダー可能だったりします。(※詳細はBAR訪問記にて)
流石に元々使われたジャマイカラムなど一部の原料は入手できない為、再現するために複数種類のラムをブレンドしていますが、その一つが今回テイスティングしているジャマイカラム、マイヤーズラムです。
なぜ今紹介するかというと、ナデューラではパイナップルが手に入る時期じゃないと完璧な形で作れない為。以前訪問記を書いた際はオフシーズンで、その後来店した時もタイミングを逃しており、やっと注文する事が出来ました。
ライムの香りの爽やかでスッキリとした飲み口から、口の中で温度が上がっていくとコクを感じるリッチな味わい。パイナップルを浸し切ったところでひとかじり。。。夏日が珍しくないこのシーズン。ラムで南国気分を楽しむのもオツですね。

アプルヴァル キュヴェ ヴィクトール 30年以上熟成 41%

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APREVAL
QUVEE VICTOR
Aged 30 years over
Calvados Payd'Auge
700ml 41%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み@エクリプス
時期:開封直後
(参考評価:★★★★★★(6-7)(!))

香り:豊かに香るりんごの蜜を思わせる甘酸っぱい果実香。スパイシーでハーブを思わせる爽やかさ、エステリー、バニラと樽香、ほのかに発酵したような独特の酸味も伴う。

味:マイルドな口当たり、熟したリンゴ、コンポート、色の濃い蜂蜜、紅茶、徐々にホワイトペッパー。ふくらみのある豊かな味わいが広がる。
余韻はオーク由来の心地よいウッディネス。果実味と共にビターでほろ苦い余韻が長く続く。

過度な樽感なく非常にいい熟成感、熟成のピークを感じる味わい。バッティングによるボディの厚みと丸みのある味わいと、ウイスキーでいうリフィルホグスのスペイサイド長期熟成に通じる熟成感がある。
ストレートを大ぶりのグラスで、じっくりと時間をかけて楽しみたい。


日本のウイスキー愛好家の間でも、無農薬栽培のりんごから作られるカルヴァドスやシードルとして知られるアプルヴァル。
同社のコスパに優れたラインナップの中で、長期熟成原酒独特の角の取れた丸みのある味わいと奥行き、所謂熟成感と言われる感覚が味わえるのが、30年以上熟成した原酒で構成さたキュヴェ・ヴィクトールです。

1200リットルという大きな新樽で長期間熟成させた後、400リットルサイズの樽に移して後熟を行う製法が特徴。
近年のウイスキーでは、バーボンバレルやそれよりもさらに小さい樽を使い、強い樽感の原酒を短期間で仕上げるスタイルが見られます。しかし短期間で付与した樽感と、時間をかけてじっくり熟成させた樽感は、同じ濃さでもベースにある酒質部分の仕上がりが異なるため、トータルでの完成度が段違いです。

長期熟成原酒の枯渇から、そうしたニュアンスを感じられる原酒のリリースが減ってきているのは言うまでもなく。これが手の届く範囲の価格帯で楽しめるという点で、このカルヴァドスはウイスキー好きにもオススメしたい1本と言えます。

(エクリプスにて、30年以上熟成のヴィクトールと40年以上熟成のグスターヴの飲み比べ。どちらも同じ樽構成で熟成が行われている。グスターヴはヴィクトールに比べやや過熟気味でボディも枯れ始めているが、熟成による豊かな香味が魅力。)

(アプルヴァル・カルヴァドスの名をウイスキー好きに広めるきかっけとなったXO。18-24年熟成。見た目の色合い通り、濃い樽感と豊かだがしつこすぎない甘みが楽しめる、コスパに優れた1本。当ブログのレビューはこちら。)

先に述べたように、ヴィクトールは自然な樽感と熟成感が魅力であると言えます。
一方、同社ラインナップでその対極にあるのが、上記写真のアプルヴァルXO。このXOも1200リットルから400リットルという同じ樽構成なのですが、逆に濃く豊かな樽香があり、原酒を移す時期や樽の使用回数をコントロールすることで、成長に違いをつけていると考えられます。

以前の自分のレビューでは、この熟成傾向を例えるなら、2000年代に見られたGMの濃厚なシェリー感に通じると書いています。今回のヴィクトールも同様に例えるなら、かつてのケイデンヘッドを思わせるナチュラルな樽感と仕上がり。。。なんてこじつけ気味でもありますが、先にも書いたようにこの価格帯でこれだけの熟成感があるウイスキーリリースって、ほとんどないんですよね。
カルヴァドスの独特の香味は好みを分ける部分でもありますが、それを差し引いても優良なリリースだと思います。


さて、アプルヴァルのカルバドスやシードルが美味しい理由は、リンゴの種類にもあるようです。
実は今まさに、現地を京都の名店カルヴァドールのマスターである高山氏が訪問されていて、その解説をFB上でされておりましたので、こちらにも引用させていただきます。

上の動画は先日ポワレの紹介記事でもリンクを貼らせてもらった製造風景動画ですが、同社の農園を見ると、整った農地に間隔を置いて1本1本リンゴの木が植えられているのが見えます。
この品種は、Haute tigesという土着品種。幹が太く背が高く枝を広げるため、風通しを良くする必要があるので密集して植えられず、しかも大量生産可能な品種に比べて実の数も少ないのだそうですが、その分すばらしい味わいの林檎を実らせるのだそうです。
また、無農薬農法ゆえ、牛が放牧されており、土に栄養分が還っていく仕組みも作られています。

「いい生産者は、昔からの土着品種の林檎を大切にしている」こうした話を聞いた上で同社の製品を飲むと、また一つ豊かな味わいに感じるのは、それらが作り出す品質への信頼によるものなのかもしれません。

ブルームスベリー リッジヴュー ワインエステート 12% イングリッシュスパークリング

カテゴリ:
BLOOMSBURY
RIDGEVIEW 2013
English Quality Sparkring Wine
750ml 12%

先日、アプルヴァルの試飲会に参加した際。偶然知り合ったワインインポーターのワインスタイルズさんにて買い求めた、イギリス(イングランド)の辛口スパークリングワイン。
2013年はイングリッシュワインとしては優良年なのだそうですが、自分もちょっとした記念の年であって、記念日ディナーに使わせてもらいました。
シャンパングラスが何処かにいってしまい、ワイングラスで代用・・・(笑)

率直にいうと、ワイン初心者の自分は"イギリスワイン"と言われて、「え?イギリスでワイン作ってるんですか?」というテンプレ的な予備知識の無さからスタート。
聞けば石灰質の土壌にシャルドネ中心のぶどう品種構成(2013年のセパージュはシャルドネ59%、ピノ・ノワール27%、ピノ・ムニエ14%)。そしてシャンパーニュ製法を採用した作りで、飲んでみるとブラインドではシャンパンと区別がつかないだろうクオリティ。

辛口とは言いますが、トゲトゲしさのない心地よい酸味を伴うスッキリとした飲み口。白系果実、炭酸の刺激と華麗なキレの良さ。口の中で温度が上がってくると、黄色系の柑橘や若い林檎のような果実味が膨らんでくる。
酸味のバランスが良いですね。やることをしっかりやったような王道系の味わいです。


「こういうのもあるのか。」なんてどっかで聞いたようなセリフが思わず口をつく。自分の知ってる下手なシャンパンなら喰ってしまうような1本で、素直に驚かされました。
それこそイギリスみたいな寒冷地でワインなんて・・・という印象だったのですが、地球温暖化の影響で葡萄づくりに適した地域がどんどん広がっている結果なのだとか。
また、イギリスの気候は1年を通して寒暖差が少ない特徴もあり、これもプラスに働いて、熟成にも耐えるしっかりとしたスパークリングが出来るのだそうです。

後は価格が一般的なシャンパンより安価であれば、素晴らしい競争力を発揮できそうなところなのですが、そのクラスのシャンパンと変わらないのが少々痛いところではあります(汗)。 
ただ、味は間違いないわけですから、我々のようなスコッチウイスキー好きは、例えばそうしたBARの周年記念に差し入れるとか、特別な日の1杯目に準備してみるとか、イギリス繫がりの用途はあると思います。


さて、今回ワインを購入したワインスタイルズさんは、仲御徒町に店舗を構え"生産者のこだわり"が見えるワインを主体的に扱うインポーター。4月末で開業9周年を迎えられていて、今後はシードルやサイダーブランデーなど、ワイン以外の扱いも始めようと色々動かれているようです。

店内は常時温度管理がされており、ワインの保管状況は棚置きであっても良好。安心して買い物が出来るだけでなく、店頭試飲が可能な設備も備えていて、上野、御徒町、あるいは浅草界隈で買い物をした後でふらっと情報収集に寄れるのも魅力です。
今回訪問した際は、9周年イベントで開封したという、ダイヤモンドジュビリーを記念してリリースされたリッジヴュー・ロゼのマグナムをウェルカムドリンクに、オーストラリア・ピラミマのシラーズ、アメリカ・ナインハットのカベルネなど、ウイスキー好きに琴線がありそうな濃厚系をいくつか飲ませてもらいました。


リッジヴューはこのロゼが初体験。「え、イギリスさん結構良いじゃないですか」という第一印象を持って、同社社長の田中さんによる即興イングリッシュワイン講座を受講(笑)。特別な記念だけに気合の入ったリリースで、このクオリティも納得です。

これが新しい発見で今回の買い物に繋がったわけですが、他にシラーズ・ピラミマの熟した苺を思わせるような甘酸っぱい果実香にもぐっとくるものがありましたし、ナインハットは完熟カベルネ"らしい"包容力のある、濃厚でふくよかな味わいが魅力。熟成ボルドーのしなやかなタンニンと奥ゆかしい酸味も素晴らしいですが、新大陸系のわかりやすい味わいもそれはそれで楽しいものです。

お酒を買うとき、便利さからついついネットショップやオークションを使ってしまいがちですが、ショップで直接探す楽しみはこういうところにあるんですよね。
この日は田中さんから、同ジャンルに関する知見のみならず、業界動向や個人的なワインへの想い入れなど、色々お話を伺うことが出来ました。
結果、気がつけば閉店時間まで長居してしまいましたが、近々新商品も入るようなのでまた伺いたいと思います。
ありがとうございました!

株式会社ワインスタイルズ
営業日時:12時〜20時 (木・日曜休み)
住所:〒110-0016 東京都台東区台東3-4-10 大畑ビル
TEL:03-3837-1813

マノワール アプルヴァル ポワール(ポワレ) 4% @日本発売お披露目会

カテゴリ:
MANOIR
D'APREVAL
Poire 2016
750ml 4%

清涼感のある爽やかな香り立ちから、ドライフルーツのような甘酸っぱいアロマ。口当たりは洋梨由来の膨らみのある甘味、程よい酸味、少し強めに炭酸の刺激はあるが、雑味や炭酸由来の苦味の少ない爽やかさ。余韻は程よいキレがあってスッキリとしている。
シードル特有の発酵したような酸味が少なく、日本人の味覚に馴染みのある味わいでグイグイ飲める。チーズや肉類などとも合わせやすい、下手なスパークリングやシャンパンを凌駕する。これからの季節にマッチした、コストパフォーマンスに優れたお酒。

4月23日に日本発売となった、マノワール・アプルヴァル社のポワレ。信濃屋、田地商店さんが正規輸入を手がけるアプルヴァルブランドの商品で、ドメーヌでのみ少量販売していた限定生産品が、日本に入荷します。(信濃屋さんのWEBショップではまだ扱いがないようですが、店頭では販売されています。販売価格は税込み1500円程度。)

この発売に先立ち、同社の代表であるアガーテ・レタリー氏らがプライベートで来日。神田のシードルBARエクリプス・ファーストで新作お披露目会が開催されましたので、告知を聞いてホイホイ参加してきました。
ポワレは結構気に入ったのでその後お買い上げ。この日は生産者のみならずインポーターの皆様含め、色々なお話を伺うことが出来て非常に内容の濃いイベントでした。

ポワレってナンノコッチャという方は少ないとは思いますが、ジャンルとしては洋梨のお酒です。
つまりは洋梨で作ったシャンパンとでも申しますか。このアプルヴァル・ポワレは、通常のスパークリングワインやシャンパンのように酸味がしっかりあるわけでもなく、かといって同価格帯の甘口スパークリングのように、べたつく甘さがあるわけでもない。
自然な甘酸っぱさ、ふくらみ、そしてアルコール飲料だからこそとも言える余韻のキレが炭酸のしゅわしゅわとした刺激と共に心地よく感じられる。欲を言えばもう少し炭酸が柔らかいとなお良かったのですが、それを置いても飲み心地の良いワインなのです。

テイスティングでも触れましたが、林檎と洋梨の原料の違いからか、シードル特有の発酵したような独特の酸味が控えめで、そういうのはちょっと苦手。。。という人にもオススメし易いと思います。

なお、「梨」と聞いて某富山の某ウイスキーショップ店主を連想した方は、一般的に見て彼のメルマガないし日本のウイスキー環境でもコアな領域に染まりすぎている恐れがあります。
そのイメージを上書きするためにも、このワインを飲んで以下の動画を見ることを推奨します(笑)。

 
(アプルヴァル社の製造風景動画。フランスはノルマンディ地方、家族経営らしく規模は小さいが、引き込まれるような美しさがある。)

アプルヴァル社については、ウイスキー愛好家にはコスパに優れたカルヴァドス生産者としてのほうが知られているかもしれません。(アプルヴァルXOのコストパフォーマンスで、一躍有名になったのは記憶に新しいところ。)
同社の主軸は林檎を原料とするお酒に置かれており、日本国内ではこれまでシードルとカルヴァドスが展開されてきました。

そうしたブランデーと同等の原料を用いた発泡性の飲料は、数ある中でも1年に1度発売されるポールジロースパークリングジュースが有名。それはさながら、愛好家の中のボジョレーヌーヴォーのような、ある種の"祭り"。酒販店に発送業務の阿鼻叫喚を生む要因だったりもするわけですが、同じ値段で他にも面白いスパークリングがあるじゃんということに最近気がつきました。 その筆頭が、シードルやポワレなのです。


他方、750mlのスパークリングは開けたら最後、飲み切らないといけないことが普及のハードルであるように感じます。
一人で飲むなら缶ビールくらいのサイズが丁度いいと思うんですが、K社のハードシードルみたいなのないんですか?という問いに、実はあるんですという答え。

写真左側のサイダー。中身はその隣のアプルヴァルの中辛口シードル、キュベサンジョルジュと同じ製法で作られているとのこと。ただコルク栓ではないために、AOCの関係で名前が違うのだとか。早速飲み比べてみると、発酵の方法が違うのかサイダーの方がガス圧が強く、少し軽い印象を受けますが、確かに味の傾向は同じですね。
加えてこちらの方が、750ml換算で比較して価格が2/3程度という謎要素も魅力(笑)。カスケードホップを添加したチャレンジングなバージョンもリリースされており、今夏我が家の宅飲みは林檎と洋梨原料の比率が増えそうです。


以下、宣伝というか雑談。
今回イベントを開催された、BARエクリプスファーストのマスター藤井さんが、「知る・選ぶ・楽しむ、シードルガイド」というシードルの生産者やブランドを中心に紹介する書籍を監修しており、同書が4月14日に発売されました。
自分はこのジャンルはズブの初心者で書籍の良し悪しまで語れませんが、ビジュアルが非常に豊富で、読んでいてイメージが膨らむような内容になっています。

「知る・選ぶ・楽しむ シードルガイド 藤井達郎 (池田書店)」

藤井さんはノルマンディの大学でシードルの製法をイチから学んだほどの、シードル愛に溢れた変態さん(笑)。
そして先日当ブログでも紹介させていただいた"入門向けウイスキー書籍"の監修者でもあり、監修した書籍が今年2冊発売されるという、人生の真夏日を迎えようとしている大注目のバーマンです。

シードルは控えめに言って、日本ではあまりメジャーではないジャンルですが、日本には農業としても食文化としても林檎が根付いてますので、実は親和性の高いジャンルだと思っています。
ブームになる必要があるかはさておき、今回のポワレにしてもそうですが、日本にもっと現地の魅力的なお酒が展開され、良さが広まるきっかけになればいいなと思っています。

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