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ペニンシュラ東京 2014 サントリーブレンデッドウイスキー 43%

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THE PENINSULA TOKYO 2014
Suntory Blended Whisky
43% 700ml

グラス:創吉テイスティング
量:30ml程度
場所:個人宅(持ち寄り会@Rさん)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:リッチなシェリー香、若干の絵の具、プルーン、クランベリー、ダークフルーツケーキ、スパニッシュオーク系のウッディーなシェリー感がしっかりある。
加水すると最初はバランスが崩れるが、徐々に甘みが追いついてくる。

味:まろやかでリッチな口当たり、黒蜜やレーズン、ウッディーなえぐみが中間から広がる。味わいはリッチだがボディは少し軽くバランス型。余韻はほろ苦く、プルーンのような粘性のあるドライフルーツ感、強くドライでえぐみもある。加水は後半にかけてのドライさが軽減され、甘みがしっかりと伸びる。


Rさん宅の持寄り会にて、泣く子も黙る高級ホテル、ペニンシュラ東京のオリジナルブレンデッドウイスキー。
このボトルの素性は良くわかっていないんですが、ボトルデザインを見るにホテル併設BARであるピーターあたりでの提供か。 時期的には、ビックカメラや信濃屋などの限定ボトルとほぼ同時にサントリーに発注されたものと推測されます。

ブレンドの中身は山崎、白州、知多と、構成する原酒すべてがスパニッシュオークでの熟成とのことで、シェリー感たっぷりのリッチな香味が特徴。少し絵具のようなクセが感じられるのは、白州のシェリー樽原酒由来の香味でしょう。自分は許容範囲のレベルですが、この香味は好みを分けるかもしれません。
また、しっかりとモルティーな味わいながら、グレーン由来か香味に対してボディが少し軽く、逆にそれがバランスの良さに繋がっている。原酒の良さに加えてブレンド技術の高さも感じる、レベルの高いブレンデッドウイスキーだと思います。

ホテル・ペニンシュラは過去にもサントリー経由でオリジナルボトルをリリースしており、その時は1984年蒸留の山崎シングルカスクでした。
この山崎はブラインドで飲んで一発でわかるほどのシェリー系山崎で、今となっては大変素晴らしいクオリティのボトル。そんなペニンシュラが再びサントリー経由で同じように濃いボトリングをしたとなれば、気にならないわけがありません。
その中身はコメントから読み取れる通り、当時ほどのシェリー感ではないものの、色合い通りの濃厚さとブレンデッドらしいバランスの良さでじっくり楽しめるボトルでした。

こういうボトルが1年に一度でもリリースされれば良いんですが・・・、高騰しちゃいますかね(笑)

洛山 25年 サントリーブレンデッドウイスキー 43%

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RAKUZAN
Aged 25 years
Suntory Blended Whisky
700ml 43%

グラス:ハイランドパークテイスティング
量:30ml程度
場所:自宅(持ち寄り会@NYさん)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★★(8ー9)

香り:華やかでウッディーな香り立ち。アプリコット、サルタナレーズン、干し柿の甘み、非常にリッチで充実している甘いドライフルーツの果実香。グラスの残りがはお香や白檀を思わせる日本家屋的な落ち着いたアロマ。

味:リッチでまろやかな口当たり、干し柿やドライマンゴー、メープルシロップ、舌の上で盛り上がるような甘みから、徐々に香木系の木の香りが鼻に抜けていく。ジャパニーズの長期熟成らしくウッディーさは強いが非常にバランスが良い。後半はオーキーな華やかさ、フルーティーでドライな余韻が長く続く。


リカーマウンテンが創業25周年を記念して2015年に発売したオリジナルボトル。
当時サントリーがそうした高級ブレンデッドの注文を受け付けており(おそらく受注はマッサン放送前後か)、ビックカメラ、信濃屋、キンコー、そしてリカーマウンテンがそれぞれキャラクターの違うブレンドをリリースしました。

信濃屋とキンコーのブレンド、和響と鳳雅は、前者がミズナラ、後者がシェリー樽原酒の個性を際立たせていたのに対し、ビックカメラとリカーマウンテンのブレンデッドは長期熟成原酒がバランスよく使われ、サントリーのブレンド技術の粋を見るようなバランス、奥行き、複雑さが堪能できる。
これぞジャパニーズブレンデッドウイスキーの理想系の一つ!という、素晴らしい1本に仕上がっています。
なんというか、これをリカマンがリリースしたというのは、若干悔しくもあるような気持ちさえ感じてしまいます。

華やかなサントリーらしいミズナラ香に加え、ボディはシェリーやホワイトオークのとした香味、余韻がウッディネスタイプで個人的な好みを言えばほんのひとさじピートが欲しいとも思ってしまうのですが、ミズナラ原酒を使うならブレンドの形はこの方向性以外ないだろうなとさえ思います。
ちなみに同日センチュリー21年をこのボトルを飲み比べましたが、どちらも同じベクトルにあり素晴らしい味わいで、センチュリー21年がミズナラ寄り、洛山は複雑さと奥行きが強いかなという印象でした。

このボトルはウイスキー愛好家のNYさんが「くりりんさん、この前ブログでこれ飲んでないって言ってましたよね?」と持ち寄り会に持ってきてくださいました。
価格もさることながら、その美味しさに「配給制だ!そこに並べ!」と参加者に緊急統制を強いてしまったほどです(笑)。
素晴らしい経験をありがとうございました!

サントリー ローヤル 1970年代流通 ダンピーボトル ウイスキー特級

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ROYAL 
SUNTORY WHISKY 
Distilled and Vatted at Yamazaki Distillery 
(No Aged) 
1970's 
43% 760ml 

グラス:グレンケアン
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★(4-5)

香り:甲類焼酎を思わせるプレーンなアルコール感を感じる香り立ち。徐々に薄めたカラメルの甘い香りや若干の植物感、淡い木のえぐみにモルティーなニュアンスも感じられる。アルコールは立っており、ヒネもなく状態は良い部類。

味:香り同様に甲類系のアルコール感と合わせて、樽由来の華やかな香味と乾燥させた麦芽、グミのような駄菓子の甘み。飲み口はスムーズだが徐々にピリピリとしたスパイシーさ。味はしっかりあるが、奥行きはあまり無い。余韻はほろ苦く穀物感を伴う。

第一次洋酒ブームを象徴する1本であり、かつてのジャパニーズウイスキーはこうだったのだと色々な景色を見ることが出来る1本でもあります。
サントリーローヤルの発売は1960年、漢字の"酒"のつくりの部分を象った印象的なボトルデザインは、半世紀以上の時を越えて、今なお続く伝統的なデザインでもあります。
他方、その伝統の中で、亜種とも言えるダンピーデザインのボトルがありました。
通常のローヤルが720mlサイズである中で、760mlの海外仕様。それが今回のボトルです。(確かサントリーオールドも1960年代から1970年代あたりで輸出向けの760ml仕様をリリースしています。)
何かをオークションで落とした際にセットで付いてきたボトルだったと思うのですが、押入れの中にあったので整理も兼ねて開けてみました。

ラベルから読み取れる諸々の情報から、推定される流通時期は1970年代前半。
サントリーの住所が堂島浜通2丁目なので、どんなに新しくても1978年以前という事になります。
共に1973年創業である白州蒸留所も、知多工場の原酒もあったかどうかという時期にあたり、ラベルには上記のとおり「Distilled and Vatted at Yamazaki Distillery」と書かれ、山崎が強調される仕様となっています。輸入バルク原酒を除けば、モルト原酒は山崎オンリーといっても間違いないかもしれませんね。
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サントリーローヤルで1970年代前後といえば、泣く子も黙る高級品です。
自分のような平民がおいそれと飲めるような酒ではなく、主に富裕層や高級ギフト向けの商品だったわけで、さぞかし長期熟成させた山崎原酒が潤沢に使われているのだろうと思うところですが・・・。この頃のジャパニーズブレンデッドは、モルト原酒の香味をブレンド用アルコールで割って薄める造りをしており、奥行きに欠けるモノが多いだけでなく、その造りが結果的に長期間の保管に耐えないウイスキーを生み出す形になっていました。
当時のジャパニーズブレンデッドウイスキーを飲んで大多数に感じるのが、べったりとした、甲類焼酎のようなアルコール臭と舌触りです。
このローヤルも同様に、グラスに注いですぐ感じるのは芋っぽいアルコール感。長期間の保管の中で、モルトの香味がこなれていくのに対し、使われたブレンドアルコールの香味だけが残っているのではないかと推察します。
ただ味はウイスキーらしいカラメルや樽由来の甘みがあって穀物感も余韻で多少感じられ、時間経過で香りでもうっすらそうしたニュアンスが拾えて来ます。ストレートやハイボールで飲むには物足りないですが、ロックにするとコクのある甘みにほろ苦さ、モルティーなニュアンスがあり、飲める酒ではありました。

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写真は前回紹介した、1980年代に流通した60表記ラベルの最後期あたりと推察されるローヤルと今回のローヤルのラベルです。
表記が微妙に異なるのはもちろん、グレーンや原酒の種類が確保され、ブレンドのノウハウも現在のサントリーに通じるモノが確立し始めたのでしょう。モルティーさに加え、ブレンドそのものの安定感は明らかに1980年代のほうが向上しています。
ただ、この1980年代のローヤルを1970年代以前に出しても受け入れられたかどうかはわかりません。人の鼻と舌もまた時代によって変わってきているのです。当時がストレートではなくロックや水割り的な飲み方をされる前提で作ったとすれば、こういうつくりもあるのかなと感じます。

スコッチウイスキーとは異なり、黎明期から発展期にあたるのがジャパニーズの1960年代から1980年代。全盛期たる1990年代から2000年代のジャパニーズへと通じる当時の味わい、時代の変化を感じながら、飲み比べて見るのも面白いかもしれません。

サントリー 鳳雅 ブレンデッドウイスキー 43%

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HOHGA 
SUNTORY BLENDED WHISKY
For Sake Shop Kinko
700ml 43%

グラス:テイスティンググラス 、グレンケアン
量:50ml
場所:自宅(頂き物@OJさん)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:グラスに注いだ瞬間からふわりと周囲に甘くふくよかなアロマが広がる。多層感があり嫌味の無いシェリー香。レーズンやプルーン、熟した葡萄、ほのかにカカオチョコ。華やかさもある落ち着いたウッディネス。

味:滑らかでスムーズな口当たり、引っかかりがない中でしっかりとしたシェリー樽由来の甘み。レーズン、プルーン等のダークフルーツ、スパニッシュオークの香木感、奥にはミズナラ原酒のニュアンスもある。
余韻は序盤の甘さと樽香の裏で、煮出した紅茶を思わせるタンニンが口の中に染み込む、ドライなフィニッシュ。


日本を代表するウイスキーショップの一つ、酒のキンコー向けにサントリーがブレンドしたスペシャルブレンデッドウイスキー。
1984年蒸留シェリー樽熟成の山崎モルトをキーモルトとしているとのことですが、全体の中で長期熟成のシェリー系原酒はかなりの量を締めているのでしょう。シェリー樽熟成モルトウイスキーとも錯覚するほど、実にリッチなブレンデッドウイスキーです。

ここ1〜2年、サントリーからこうした限定ブレンデッドウイスキーがいくつかリリースされました。 
通称タモリラベル、ビックカメラ向け「サントリーブレンデッドウイスキー」。
ミズナラフレーバーを前面に出したとされる、信濃屋向けの「和響」。
リカーマウンテンが創業25周年を記念した「洛山25年」。
そして今回の、酒のキンコー向けの「鳳雅」。

洛山25年は飲んだことが無いのでわかりませんが、その他の3本は長期熟成のブレンドでありながら、それぞれキーモルトの特徴やブレンドの方向性が明確に感じられる仕上がり。通常品が売れに売れている中で、このレベルの限定品を製造できる原酒の貯蔵量とブレンダーの力量、やはりサントリーは凄いと感じます。

なお個人的な好みでいうならば、リッチでスムーズなシェリー感は良いのですが、加水やブレンドの影響か、ボディーで膨らむ感じが少なく、後半にシェリー系の香味が強すぎてブレンデッドとしてはややアンバランス。時間経過で香味が弱っていくのも早いように感じます。
2016年に入ってからはこうした限定ブレンデッドの話は聞きませんが、またこうしたボトルを(出来ればビックカメラ向けくらいの価格で)リリースしてほしいなと、こっそり希望しておきます。

サントリー センチュリー 17年 ブレンデッドウイスキー

カテゴリ:
CENTURY
Suntory Whisky
Aged 17 Years
2001's
43% 750ml

グラス:創吉テイスティング
量:30ml以上(個人所有)
場所:自宅
時期:開封後1か月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:やや青みがかった香り立ち。ツンとした木香、ニス、ほのかに感じられるキャラメルの甘さが時間経過で前に出てくる。ナッツや麦芽香、柔らかいスモーキーフレーバー。奥には杏や干し柿を思わせる熟成したモルトの香味もある。
加水すると青みが後ろに入り、薄っすらと蜂蜜の甘い香りとスモーキーな麦芽風味がメインに。

味:勢いのある口当たり。あんず棒やビスケットを思わせる甘酸っぱい麦芽風味、後半はピートも感じられ、焦げたカラメルソース、ほろ苦くスモーキーな余韻につながっている。
加水しても序盤の勢いはあまり変わらないが、ドライでピートの主張が強くなったように感じる。


サントリーが2001年、新たな世紀の到来を記念してリリースしたシリーズのうちの1本。
先日は21年ピュアモルトを記事にしましたが、今回は17年、ブレンデッドウイスキーです。
21年が熟成感のあるミズナラ香とシェリーの素晴らしいバランス、言うならば響ピュアモルトという味わいだったのに対し、17年はまったく毛色の違うブレンデッドで、白州蒸留所メインの構成を思わせる味わいになっています。
響を始めバランス型のブレンドが目立つサントリーの上位グレード製品においては、中々珍しい極端なつくりだと感じました。

白州蒸留所は1973年操業となっていますが、実際は白州西蒸留所が1973年で、現在操業している白州東蒸留所は1981年の創業。原酒の熟成期間と幅を考えると、ウイスキーが製造されたであろう2000年頃にブレンドの核を成す17年~モノの原酒が揃う計算になります。
21世紀を祝う今回のウイスキーの構成にどのような意図が込められたのか、考えてみるのも中々面白いです。

その香味は、極端な構成とは書きましたが、決して単調な味わいではなく、味、香り共に複雑で多彩な要素が感じられます。
パンチョンやホワイトオーク系の爽やかな香味、ハイランドモルトを思わせるモルティーさと柔らかいスモーキーフレーバー。ストレートだと序盤に青みがかった香味が感じられますが、少量加水に加え、ロックやハイボールでも楽しめる、飲み方を選ばないブレンデッドです。 

余談ですが、ボトル形状は"時の海"をイメージしているとのこと。
それはそれでいいんですが、妙に長いボトルネック部分を持つと、メイスというか鈍器にしか見えないんですよね(笑)。

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