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サントリー 碧 AO ワールドブレンデッドウイスキー 43% 先行レビュー (2019年4月16日発売予定)

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AO 
SUNTORY WORLD WHISKY 
A BLNDED FIVE MAJOR WHISKIES 
2019's 1st Release 
700ml 43% 

暫定評価:★★★★★★(5ー6)

香り:バニラと洋梨を思わせる品のいい甘みのトップノートから、干草、ライ麦パンのような酸味、微かに柑橘のアクセント。奥から軽めの溶剤感と焦げたようなアロマも感じる香り立ち。

味:スムーズでマイルドな口当たり。序盤は若くほのかな酸味を伴うライトなモルティーさ。続いて樽の効いた穀物の甘みとほろ苦さ、粘性のあるグレーンの風味が包み込むように開いてくる。徐々に微かなピートとスパイシーな刺激を伴いつつ、余韻はまったりとした甘みが舌の奥に残る。

スコッチタイプの内陸系のモルトとグレーンに、バーボンタイプの原酒を加えたような複数の原酒の個性。温度が上がると後者の甘くウッディな個性が強くなる。熟成感はモルトが8~15年程度、バーボンを含むグレーン系統はそれなりに樽が効いて4~10年程度といった印象で、比率は4:6か3:7あたり、グレーン系統の原酒が多い印象も。
そのためキレのいい味わいではないが、粘性のある舌当たりからまったりと残る余韻で、バランスは悪くない。ストレートよりは、ロックやハイボール向きかもしれない。


今回のレビューは、サントリーが先日発表した、新しい規格のブレンデッドウイスキー。日本、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダという、20世紀にウイスキー蒸留技術が根付いていた5つの産地の原酒(通称、5大ウイスキー)をブレンドし、個性が調和するだけではない、全く新しいウイスキーを目指したものです。

そもそも、これらを5大ウイスキーと位置付けているのは日本だけとか、それ以前にサントリーさんは輸入原酒を・・・(おや、誰だこんな時間に)、なんていう野暮な突っ込みはさておき。
第一段となるワールドブレンデッドウイスキー碧”AO”は、2019年4月16日からファーストロットを発売予定(計36万本、1年のうち春、秋、2度生産予定)で、今回幸運にもリリース前の初期ロットをテイスティングする機会をいただきました。

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SUNTORY WORLD WHISKY Ao 碧 (ニュースリリース 2019/1/10)


”ワールドブレンデッドウイスキー”は、もとはイチローズモルトが、ブレンデッドウイスキーの使用原酒全てを全秩父産と誤解されないよう、2018年頃から一部のブレンデッドで表記を始めたものです。
そのため今回のリリースも、実物を飲むまでは同じ整理で表記を使ったのだと思い込んでいました。

即ち、角やローヤルのような、日本で主流であるスコッチタイプのブレンデッドウイスキーを、安定して作り上げるための手段と表記(辛辣なことを言えば、開きなおり)であると。あるいは、このリリースの背景には原酒不足への対応に加え、現在整備が進められている”ジャパニーズウイスキーの基準”に関する一連の動きも、少なからず影響しているのだと感じていました。

しかしテイスティングで感じるのは、メーカーサイトに書かれた、5大産地の原酒を使った全く新しいウイスキーを目指すというコンセプトを感じさせる、これまでにない仕上がり。結構バーボン(アメリカン)やカナディアンの樽香や穀物っぽいキャラクターが主張してくるのです。
ここでスコッチタイプのブレンドに仕上げようと思えば出来たのでしょうけど、ワールド感を出すため敢えて上述の個性を分かりやすく効かせた上で、バランスを取ったのかもしれません。これまでと異なるブレンドの方向性故に、味の評価は個人個々と思いますが、自分としてはBeam社を買収したことで得られた各蒸留所との繋がりを活用した、サントリーだからこその新しい挑戦という面を評価したいです。

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(ビーム・サントリー傘下の蒸留所と代表的銘柄。これらの原酒を中心に、サントリーのブレンダーの技術で碧は作り出されている。香味からの予想ではアイラ要素は少なく、白州、知多、アードモア、グレンギリー、クーリー、アルバータ、ジムビームあたりがメインだろうか。)

以前ジャパニーズウイスキーの基準に関する記事を書いた時、国産も輸入も、広く原酒を活用して「日本だからこそ作れる美味しいウイスキーを探求してほしい」ことを触れていました。
今回のリリースはまさにそれ。このリリースが完成ではなく、そうした取り組みの始まりとして、今後ロット毎に様々なパターンのブレンドをリリースしていくならさらに面白く。例えば今回はアイラモルトがメインに使われていませんが、それを効かせたバージョンってのもアリだと思います。

このリリースがきっかけになり、日本という生産環境とサントリーの高いブレンド技術で世界のどこにもないブランドの確立に繋がることを、期待しています。


4/16追記:テイスティング時は情報がありませんでしたが、サントリーによるPRイベント等から構成原酒の情報が伝わってきました。
まず、全体の半分以上、最も多く使われているのはカナディアンとアメリカンだそうです。自分もその系統の原酒が多いと感じていたため、構成原酒予想含めてそう大きくはずさないレビューになっていて安心しました(笑)。
一方でジャパニーズは山崎のシェリーカスクも使っているそうです。改めて飲んでもその個性は探れませんでしたが、山崎シェリーは樽感強くリッチな原酒が多いため、少量をバランスをとるために使っているのだと思います。

サントリー クレスト 12年 発売初期〜2000年代流通 43%

カテゴリ:
CREST
SUNTORY WHISKY
Aged 12 years
1989-1990's (左)
660ml 43%
1990-2006's (右)
750ml 43%

グラス:国際規格テイスティング
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(5ー6)

CREST 1989-1990's
香り:ドライでウッディ、しっかりと甘みは、古酒感と黒蜜のようなシェリー感のある香り立ち。徐々に少しリキュールのようなチェリーやハーブ香も伴う。

味:マイルドで黒砂糖を思わせる甘みのあるシェリー感、微かに杏棒を思わせる酸味、序盤は味の濃さ、膨らみを感じるが、合わせて干草と軽い穀物感で、奥行きがトーンダウンする。
余韻はウッディでビター。ドライでジンジンとした刺激、染み込むよう。

やや単調でブレンドらしい軽さが余韻にかけてあるが、飲み口はふくよかでしっかりとしたシェリー感がある。少量加水すると香味が開き、バランスが良くなる。

CREST 1990-2006's
香り:ドライな香り立ち。アメリカンホワイトオーク系の樽香。ウッディでバニラや林檎の蜜を思わせる甘いアロマが主体的。干草のような乾いた印象もある。

味:フルーティーさとリチャー系の樽香、林檎やウッディな甘みがしっかりある。加水が効いてスムーズでまったりとした飲み口ではあるが、中間からは少しピリピリとした刺激や、グレーンの主張もはっきりとしてくる。
フィニッシュは華やか、ミズナラ感も伴う鼻抜けでドライなフィニッシュ。

序盤は主軸となる要素が濃く、詳細なフレーバーを捉えづらいが、余韻にかけて華やかなオークフレーバー、多層的な香味を伴う。若くて味の強い廉価版響と言える構成。


今回はちょっと変則的ですが、同じブランドの時期違いを、1つの記事にまとめます。
サントリークレストは1989年のサントリー創業90周年と、酒税法改正に合わせたウイスキーブランドの札新でリリースされ、2006年に終売となったブランド。
リリース初期のボトルは1枚目の写真左側、ウイスキーの色が濃くロゴマークが向獅子のボトル。その後1990年4月以降にロゴマークが変更となったボトルは右側。味わいも初期品がシェリー系の原酒が強い構成であるのに対し、華やかなオークフレーバー、ミズナラ系のニュアンスも感じられる多層的な構成にシフトしています。

ただ、多層的と言っても響17年以上のような、様々な要素が混じり合っての多層的な香味という感じではなく、クレストはしっかりめに1つの樽香があって、それのアクセントにいくつかという印象。
一方、その香味が軸になるため、まさに水割りやロックなど、薄めて飲むことを前提としているようにも感じます。
ウイスキーブーム前、会社の飲み会に差し入れすると、世代だろうと思われる方々から「クラブでよく飲んだよなあ」なんて懐かしがられたものです。

自分も真剣にテイスティングしたことはなかったのですが、今回改めてストレートで利いて見ると、これがどちらも案外悪くないのです。
荒削りというのは失礼ですが、しっかりとした樽香が、あるタイミングを越えるとストンと軽くなる香味の変化は少し違和感ではありますが。。。双方が持つ熟成感のある原酒の風味は、現行のローヤルや響JHとは比べられず。
白州ベースのブレンドという話も聞きますが、特に後期品は余韻にかけてアメリカンオークやミズナラ樽由来のオーキーな華やかさが感じられ、成る程たしかにと。原酒をふんだんに使えた時期の作品であることを感じさせる構成です。

近年のジャパニーズウイスキーブームで入手難易度が上がった印象はあるものの、まだ比較的良心的な価格で手に入る銘柄。当時のグレードとしてはローヤルの上、後の15年の下という感じでしょうか。
「響が無ければローヤル15年を飲めばいいじゃない」というのが持論でしたが、ハイボールやロックはクレストでも良いかもしれない。そんな選択肢が増えたように感じるのです。

サントリー ローヤル 1990年代流通 43% 干支ラベル申年

カテゴリ:
ROYAL
SUNTORY WHISKY
Release 1991-1992
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後3ヶ月程度
場所:自宅
評価:★★★★★ ★(5-6)

香り:甘く熟成したウッディーな樽香、続いて干草や乾いた穀物感。蜂蜜とドライアプリコット、カシューナッツ。徐々に香りが落ちていき、ドライなニュアンスが強く感じられるようになる。

味:飲み口はスウィートで林檎のコンポートやケーキシロップのような甘みに加え、ほのかな香木感を伴うオークのウッディネス。軽やかな穀物感も合わせて感じられ、口当たりはしっかりしているが、ボディはやや軽い。 
余韻はほろ苦く、すっきりとしてドライなフィニッシュ。 

香味とも現行品より品の良い熟成したモルティーさが、文字通りのトップドレッシングとして感じられる。しかし各香味の繋がりには若い原酒の荒さが若干あり、特に中間から余韻にかけてが少し弱い。
ロックはそうしたボディの弱さが目立つが、ハイボールはすっきりとした中に華やかなオーキーさが感じられる。また、意外に水割りが悪くない。


サントリーから毎年干支毎にリリースされている干支ボトル。申年のローヤルは1992、2004、2016が該当しますが、今回のローヤルは1995年に12年表記が発売される前、旧酒税法改正後の1991年ごろに発売された1本です。

この当時、バブル崩壊とブームの終焉で国内のウイスキー消費量が減り出したことと反比例するように、サントリーのブレンデッドの品質は2000年代初頭にかけて響を筆頭にピークに向かう時期。
ローヤルも同様で、ボディが妙に軽かったり、ウッディな樽香が浮ついていた旧酒税法時代に対し、この時代のものはだいぶバランスが取れてきています。

特に特級表記ジャパニーズの大半に感じられた、独特の香味の薄さがなくなったのが大きいですね。ああ、やっとウイスキーになってきたなと。
この辺りから2000年代中頃くらいまでのローヤルは、響ほどのレベルはないですが普段使いにもってこい。おそらく単純に原酒の使用比率と質が上がった結果だと思うのですが、新しい酒税法の整理では特級区分は品質を落とすことも出来た中で、逆に骨格がしっかりしてきているのは、純粋にメーカーの総合力が向上した結果とも感じています。

ちなみにローヤルの裏ラベルには、15年熟成の山崎原酒を効かせた旨の記載があり、確かにそのニュアンスはトップノートで感じることが出来ます。この後リリースされるローヤル15年に通じる香味でもありますね。
また、前述でも触れたように原酒の質としてはグレーンの質が上がったのでしょう。8〜10年くらいの熟成とは思いますが、完全ではないものの単に薄くならず全体の香味を繋いでいます。
60's表記のある1980年代以前流通のローヤルから飲んでくることで、ブレンデッド作りには良質なモルトとグレーンが欠かせないのだという、ある種当たり前のことを実感させてくれるのです。

サントリー 特角 10年 角瓶発売60周年記念 43% 非売品

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SUNTORY WHISKY
TOKUKAKU
Aged 10 years
60th Anniversary 
1996-1997's
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:萌木の村
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(5-6)

香り:香木香漂うフルーティーで軽やかな香り立ち。杏子や洋梨、品のいい果実香から干草、木材のような乾いた香りも感じられる。

味:スムーズでマイルドな口当たり。熟成感を感じるモルティさ。全体的に軽やかでバニラ、林檎のコンポート、クラッカー、奥には軽やかな穀物風味、微かに甲類アルコール感。
余韻はドライ、染み込みようなウッディネスを伴いあっさりとしている。

やや前時代的な香味も引きずっているが、ミズナラ由来の香木香、オーキーな熟成香も備わってサントリーのブレンデッドらしさがある。少量加水すると香りの一体感は増すが味が少し水っぽくなってしまう。ストレートでイケる角瓶。


1996年から1997年、角瓶発売の60周年を記念してリリースされた懸賞向けの角瓶。10年後の70周年では角瓶誕生年である1937年にちなんだ本数分の特角が懸賞となったようですが、この60周年ではノーマル角瓶製品を飲んでポイントを貯めると全員貰える懸賞品だったようです。
もっともそのポイント設定がえげつなく、個人より下町の酒屋が保有しているケースの方が多かったように思います。(そのポイントどこから持ってきたという疑問はさておき。)

そのため、ウイスキーブームが来る前は酒屋の棚に飾られていることが珍しくありませんでしたが、最近はすっかり見られなくなった銘柄でもあります。
あれは8年くらい前か、横浜山手駅近くの酒屋か八百屋っぽい店頭にあって、交渉したけど売って貰えなかったんだよなあ。。。
オークションで狙っても良かったんですが、そこまでしなくてもと思ってるうちにブーム到来。高嶺の花へ。
そんな縁のなかったボトルに出会えたのは、先日訪問した萌木の村。懐かしさを感じながらのテイスティングとなりました。

この角瓶の特徴は、あくまで角瓶でありながら、ワンランク以上上位のグレードにあるモルティさ、そして香木系の香味を備えていることにあります。
ブレンドの方向性は、響系統というよりリザーブとローヤル系統の中間という印象。ミズナラ系の原酒がトップドレッシングにあり、ベース部分は樽感の淡いグレーン、バーボンバレルの白州モルト、あとはなんか色々といったところでしょうか。
高級感あるのに、どこか角瓶臭さを感じる。当時だから作れた角瓶であり、今ではもう作れないだろうなという味わいは、なんとなく商品の位置付けが、ブラックニッカブレンダーズスピリットと被るようにも感じました。(味は全然違いますが。)

そう言えば、この流れでいくと昨年2017年って角瓶誕生80周年だったんですね。
特に認識してなかったのですが、なんかリリースされてたっけと調べると、記念イベントとタンブラーですか。
特角が作られなかった事に時代を感じてしまいます。

サントリーウイスキー 横浜倶楽部 17年 高島屋 43%

カテゴリ:
YOKOHAMA CLUB
SUNTORY WHISKY 
Aged 17 Years
1990's
Takashimaya
760ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅 サンプル@東北のSさん
時期:開封後半年程度
暫定評価:★★★★★★(6-7)

香り:少しツンとした刺激はあるが、合わせてしっとりとしたウッディネス。香木、林檎のコンポートや熟した洋梨、アプリコットジャム。フルーティーで熟成感のあるアロマ。

味:ふくよかな口当たり。カステラの茶色い部分、林檎のコンポート、蜂蜜入りダージリン。蜜っぽさを伴うコクのある甘みに合わせ、ミズナラの香木香が鼻腔に抜けていく。
余韻はピリッとした刺激、ウッディでドライ。豊かな香味を感じる。

少し甘みの強い響17年と言える味わい。味に対してボディが若干軽く、とってつけたような印象も受けるが、これは当時の響にも見られる構成。加水すると刺激が落ち着きさらにマイルドで穏やかな味わいに。横置きの個体に注意。


最近コメントで「オススメのジャパニーズのオールドはないですか?」と聞かれることがあり、まずはローヤル15年を勧めるのですが、もう一つあるのがこの横浜倶楽部17年です。
横浜高島屋が1990年代にギフト向けとしてリリースしていた商品。という以外に詳しいことは不明な1本。まあ開発秘話とか思わぬエピソードがあったりすることもありますが、こういうボトルで重要なのは素性より中身です。
というのも、テイスティングにも書きましたがこのボトル、ブレンドのベクトルが響とほぼ同じなんです。

1990年当時、サントリーはブレンデッドのフラグシップブランドに響を据えて、ノンエイジ仕様のリリースを展開していた時期にあたります。(中身は17年を越える原酒も含め、長期熟成原酒もふんだんに使っていたようですが。)
ノンエイジ仕様だった背景に、日本では熟成年数での高級感というより、ウイスキーそのものが高級という認識が一般的だったことが一つ。また、1970年代に稼働した知多や白州の長期熟成モノが、ブレンド向けに安定して用意できるようになるまで時間がかかったからと推測されます。
そんな中、17年熟成でのちの響の姿と言える使用の商品を展開した高島屋。百貨店が持つ力の強さを感じます。

近年、響17年の人気はすさまじいものがあり、定価で入手できればラッキー。オールドボトルに至っては1990年代のノンエイジグレードであってもかなり高額な状況になっています。
先日とある酒屋に居たところ、リユースコーナーで5万円弱で売られていた響旧ボトルを、中国からの旅行者と思われる方が3本同時に買われていったのは衝撃的でした。それもこれも、響が山崎やマッカラン同様に国内外でブランドを確立したからと言えます。

では、ほぼ同じ味わいで響名義ではないウイスキーがあったとすれば・・・これはウイスキーに関わらずそうしたブランド層の嗜好から見て、そこまで値上がりするものではありません。
中身重視の人にとっては嬉しい話。流通地域の関係からか、頻繁に出物があるボトルではありませんが、見かけたら確保しても良いと思います。

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