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カテゴリ:アメリカンウイスキー(バーボンなど)

ベンチマーク シングルバレル 47% ケンタッキーストレートバーボン

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BENCHMARK 
SINGLE BARREL 
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON WHISKY 
1990's 
750ml 47% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:メローで穀物系の香ばしさ、バニラウェハースやキャラメルポップコーンを含むアロマ。奥には発酵した穀物の酸、オレンジティーのアクセント、合わせてニスのような溶剤系のニュアンスが鼻孔を刺激する。

味:香り同様にメローで、色の濃いはちみつを思わせる粘性のある甘味とクラッカーの軽い香ばしさ。ビターでスパイシーなフレーバーが同時に広がり、チャーオークのウッディネスが強く余韻にかけて残っていく。

熟成のピークを感じる艶やかな甘さの奥から、多少刺激や酸、独特の野暮ったい個性が感じられる。類似の傾向としては、ブラントン・シングルバレルの同時期流通品に通じるところがある香味構成。ブラントンより樽感がリッチで、余韻にかけてもウッディーなフレーバーが強い点は、熟成年数の違いであり、このリリースがプレミアムブランドたる所以かもしれない。

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経緯は定かではないものの、市場へのPRとしてはバーボンの”基準”となる名のもとにリリースされていたシングルバレルバーボン。
ラベルに”FRANKFORT”の表記があるように、蒸留所はバッファロートレース(このボトルの流通当時の名称はエンシェントエイジ蒸留所)で、この頃の同蒸留所の原酒からは、原料や製法に由来すると思われる独特の酸と香ばしさが感じられることから、バーボンのなかでも比較的特徴的なキャラクターを備えている1本だと思います。

ベンチマークのシングルバレルには今回の無印と、XO表記の2種類があります。これはXOだから長期熟成という訳でもなく、中身のグレードは同じで、単に対象の市場や時期の違いによるものであるそうです。
1990年代当時のベンチマークのスタンダード品には、ボトル形状が特徴的な6~7年熟成表記のベンチマーク・プレミアムバーボン40~45%があり、それに比べると、バーボンの”シングルバレル”の価値に明るくない一般的な視点では、本リリースが特別感に乏しかったのではと考えられます。

香味から感じる熟成年数は8~10年程度で、味の滑らかさも飲み応えもベンチマーク・プレミアムより間違いなく上ですが、熟成年数を記載しようにもシングルバレルであるためロット毎の熟成年数にブレがあり、統一的に記載できない。そのため、アメリカ以外の海外市場向けには、ブランデーなどで使われていて特別感と馴染みのあるXOという表記を加えることで、リリースの差別化を狙ったのかもしれません。
(リユース品を調べても、XOのほうが多く日本市場に流通していますね。)


今回のボトルは、家飲み用バーボンとして開栓。メーカーズマーク46のプライベートセレクトを飲みきったので、傾向が違うものをチョイス。夏場って何故かバーボンが飲みたくなるんですよね。
メーカーズマークは小麦ですが、こちらのバッファロートレース系はライ麦の比率が10~15%と高めなレシピで仕込まれていて、系統としては同じ蒸留所で作られているブラントンのオールドボトルに似ているように思います。また、冒頭述べた独特の酸というか、穀類のもろみのような野暮ったさに通じる要素が混じるのが特徴で、むしろこの香味が夏場に飲むにはちょうど良いのです。

ヴァージン バーボン 21年 2000年代流通 50.5%

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VIRGIN BOURBON 
(HEAVEN HILL) 
AGED 21YEARS 
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON 
2000's 
750ml 50.5% 

グラス:不明
場所:BAR Twice-UP
時期:不明
評価:★★★★★★★(7)

香り:芳醇で艶やかな甘さに、ビターなウッディさの混じるアロマ。新樽由来のエキスが溶け込んだリッチで艶やかな甘さは、チェリーシロップとオレンジママレード、焼き菓子やカラメルソースのようなほろ苦さ、香ばしさも感じられる。

味:リッチでメローかつパワフル。メープルシロップのように濃厚でとろりとした甘味のある口当たり。オレンジピール、カカオチョコレートに濃く入れた紅茶、徐々にビターなフレーバーがあり、微かにスパイシー。余韻はウッディで焦げたキャラメルを思わせるほろ苦いフィニッシュが長く続く。

こってりと新樽系のエキスの溶け込んだバーボンだが、ウッディでえぐみや渋味の強いタイプではなく、オールドバーボン特有のメローで艶やかな甘味を備えたリッチな香味構成。高い度数が強い樽感をギリギリ支えており、違和感はあまりないが、果実味よりは甘味優位。余韻のウッディさがやや強い。


以前から一度飲んで見たいと思っていた銘柄、ヴァージン・バーボン21年に出会うことが出来ました。バックバーで見つけて即注文です。
ヴァージンはヘブンヒル蒸留所が製造していたバーボン銘柄で、ラインナップは21年のほかに7年、10年、15年があり、どれも101プルーフのBIB仕様が特徴。後述の3種は、総じてコスパが良いと評判であったことに加え、バーボンブームを経験した愛好家にとっては馴染み深く、近年のヘブンヒル関連銘柄の大幅整理の中で消えていった、惜別の銘柄でもあります。

一方で、今回の21年は調べた限りブランドの初期からリリースされていたものではなく、2000年代に短期間だけリリースされた銘柄のようです。
他のグレードと異なり、メーカーズマークのように蝋封されたハンドクラフト仕様。それまでのハイエンドである15年のややくすんだゴールドカラーではなく、メタリックなシルバーというのが目を引きます。
マッシュビルは不明。ただしライ系のスパイシーさはあまりないので、コーン比率高めのレシピであると考えられます。
チャコールフィルターを透したニューメイクを新樽で21年間以上熟成し、マイルドでキャラメルのような芳醇な甘味と濃い紅茶を思わせるタンニン、ウッディネス。リッチで旨いバーボンに仕上がっています。

なお、同じヘブンヒル系列からの長期熟成バーボンで知られるエヴァンウィリアムズ23年は、新樽由来の甘味とウッディネスに赤系のベリー感。このヴァージンは系統としてはキャラメルやメープルシロップ系の甘味がメインにあり、ウッディーでメロー。マッシュビルの違いか、熟成を経て艶やかな甘さを備えるなかで、方向性が異なるように感じられました。
贅沢なことを言えば、多少ボディが樽に負けているというか、甘味に対してウッディさが強い。まあ見事に葉巻が欲しくなりました(笑)。

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今日のオマケ:ジョン デュヴァル ワインズ エンティティ シラーズ 2015

オーストラリアのシラーズ。ということで先日記事にもしたトルブレック等の芳醇な果実味、色濃いベリー感を期待して同じ地区の葡萄が使われているものを購入したのですが・・・新世界感はあまりなく、仏ボルドーのカベルネを思わせるような味わいに驚かされました。
ただそれは決して悪い意味ではなく、意外だっただけで味そのもののレベルは高いですね。

ヴィンテージのわりに落ち着きがあり、早飲みからイケる懐深い香味構成。滑らかな口当たりから黒系果実のフルーティーさは、ブルーベリーやカシス、葡萄の皮、こなれたタンニンが全体を後押しするリッチな味わい。全体の1/3が新樽で16ヶ月熟成。樹齢100年を越える古樹も含まれているということで、この落ち着いたリッチな味わいとタンニンはその要素からきてるのかなーと推察。
新世界シラーズとして飲むと「あれ?」という感じですが、カベルネをイメージして飲むと普通に美味しいワインだと思います。

アンクルニアレスト 1856 プレミアムウイスキー

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UNCLE NEAREST 1856 
PREMIUM WHISKEY 
TENNESSEE WHISKEY 
(Aged 9 years)
750ml 100Proof 50% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス 
時期:開封直後 
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:注ぎたてはコーンフレークのような乾燥した穀物の甘味と軽い香ばしさがあり、そこから徐々にチャーオーク由来のバニラやキャラメルを思わせる甘さ、ドライオレンジ、新樽らしく焦げた木材のウッディネスもある。

味:マイルドで粘性のある口当たり、薄めたメープルシロップやオレンジママレード、軽い香ばしさ。甘さはそこまでしつこくないが、ウッディでほろ苦いニュアンスがフィニッシュにかけて引き締めていく。
余韻は口内を軽くスパイスの刺激、カカオ粉末を振ったチョコチップクッキー、軽い焦げ感、ビターでドライなウッディネスが余韻に蓄積していく。

甘味がジャックほどしつこくなく、熟成によってまろやかに整った口当たり。メローな中に独特の香ばしさが感じられる。ボディがしっかりしているためロックにしても氷に負けず、よく延びる点がポイント。他方で熟成が9年と長めであるためか、味に対して余韻のウッディさ、ドライさが蓄積していく点も特徴といえる。お好きな飲み方で。

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テネシーウイスキーの新銘柄、ジャックダニエル蒸留所の初代マスターディスティラーであるネイサン・ニアレスト・グリーン氏(通称:Uncle Nearest )のレシピを再現したウイスキー。
マッシュビルはテネシー州で収穫されたコーンとライ麦を90%、糖化用と思われるコーンモルトなるものを10%(詳細は不明、飲んだ印象はコーン80、ライ10、モルト10あたり)。
出来上がった原酒はメイプルチャコールによるメローイングを計3回14日間かけて施されるなど、11の独自プロセスを経てリリースされるというものです。

このウイスキーをリリースしている、アンクルニアレスト社が創業したのは2017年。
その1年前、ジャックダニエル社が創業150周年を迎えた2016年。ニューヨーク・タイムズが、ジャックダニエルの歴史に新しいストーリーとして、少年時代のジャックにウイスキー作りの手解きをした人物、”ネイサン・ニアレスト・グリーン”氏の存在を明らかにした記事を掲載します。
これまでのエピソードは、奉公先で牧師ダン・コール氏から教えられたとされていましたが、実際はその牧師の下にいたスタッフ(おそらくは奴隷)が教えていたというものでした。

ネイサン氏は黒人であり、後の解放奴隷でもありました。
同氏がテネシー州の今日に対して果たした功績に惹かれ、その生涯を調査していたのが、ニアレストグリーン財団の代表であり、後にアンクルニアレスト社を設立するFawn Weaver氏です。
調査の中で、ネイサン氏がウイスキー作りの手解きから蒸留所責任者まで、ジャックダニエルの歴史と深く関わっていたことが明らかになり(ジャックがアンクルニアレスト、最も親しい叔父と呼ぶくらいの間柄である)、当時のウイスキーレシピも発見されたことで、それを再現するという動きに繋がったようです。

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(ウイスキーマガジンの表紙を飾ったファウン・ウィーバー氏。彼女がなぜネイサン・ニアレスト・グリーンについて調査をしようと思ったのか。またその歴史の詳細は、日本サイトでも特集されている。該当記事はこちら。)

先に書いたようにアンクルニアレスト社の設立は2017年(蒸留所の設立は2019年)で、自社設備でのウイスキー蒸留はすでに始まっていますが、この銘柄は9年熟成。ベースとなる原酒はどこか異なる蒸留所の原酒に”独自のプロセス”を施している、ということになります。

 ここまでの流れを見ると、同社と繋がりが深いのはジャックダニエル社ですから、そこから原酒を買っているのかと思いきや、意外なことにジャックダニエルの原酒ではないそうです。 
明らかなのは、それ以外のテネシー州にある1~2の蒸留所という情報のみ。。。そうなると筆頭候補はジョージ・ディッケルでしょうか。
詳しい話がわからずもどかしいですが、最も重要な要素と言える"味"は悪くありません。むしろ近年のバーボンのなかでは良いほう。メローイングと熟成がもたらす口当たりのまろやかな味わいは、アメリカ市場において高い評価を受けているという話も納得です。
 
同社のラインナップは100proof仕様の1856、スモールバッチで93proofの1844、そしてシングルバレルの1820の3種類があり、今のところ日本に入って来ているのは1856のみですが、市場で存在感を示せれば追って残りの銘柄も入ってくるでしょう。
何より、2019年から作られている独自の原酒の出来が気になりますね。ジャックダニエルのルーツと言えるウイスキー、数年後にリリースされるその時を楽しみにしています。

メーカーズマーク プライベートセレクト For 信濃屋 With Scott 53.8%

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MAKER'S MARK 
PRIVATE SELECT 
BARREL FINISHED OAK SATVES
SELECTION BY SHINANOYA wtih Scott 
750ml 53.8% 

グラス:シュピゲラウテイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:トップノートは柔らかく包まれるような甘いアロマ。甘食、キャラメルコーティングされたオレンジ、スペアミント。合わせて香ばしいチャーオークとスパイシーさのアクセント。若干溶剤っぽさに通じるニュアンスもあるが、バランスは整っていて多層感がある。

味:粘性のあるリッチな口当たり。とろりとシロップのような甘味から、チェリーやオレンジなどを思わせる酸味。そしてじわじわと焦げたオークのほろ苦い香味が、ほのかな酵母のニュアンスとともに鼻腔に抜け、口内を引き締めていく。
余韻はウッディだが柔らかく、オークエキス由来の色の濃い甘味と軽いスパイス、カカオを思わせる苦味を伴って長く残る。

オーク由来のエキスがしっかり溶け込み、バランスの整った味わい深いバーボン。その柔らかい甘さに加え、焦げたようなニュアンスが悪目立ちしない範囲で主張している点が面白い。またスパイシーな要素が多層感に繋がっている。ロックにすると一瞬焦げたような苦味が強くなるが、氷に負けずバランスは崩れない。むしろほど良く延びて長く楽しめる。

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信濃屋のメンバーが、メーカーズマークのプログラムマネージャーであるScott Mooney氏とともにフレーバー構成を行った、オリジナルのメーカーズマーク。
プライベートセレクトは、恐らくメーカーズマーク46に使われるものと同等程度の熟成年数の原酒をベースに、加工、焼き具合などで変化をつけたアメリカンオークとフレンチオークの5種類10枚からなる”インナーステイヴ”を漬け込んで、9週間程度のフィニッシュを経てリリースされるものです。(詳細はこちらを参照。)

そのインナーステイヴの組合せ(レシピ)は1001通りあるそうで、ベースとなる原酒の個体差を合わせれば、文字通り世界でたった一つのオリジナルフレーバーを作り出せるのが特徴。
実際これまでリリースされたものを何種類か飲んだ印象は、必ずすべての完成度がレベルアップするわけではありませんが、バランス良く多層的なものがあれば、リッチでメローなタイプやフルーティーなタイプもある。様々なキャラクターを感じることができました。
価格もそれほど高くありませんし、香味の多様性というバーボンの課題を解消しつつ、効率的にオリジナルリリースを作り出せる革新的なプログラムといえます。

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(プライベートセレクト、インナーステイヴの種類とフレーバーの傾向をまとめた図。この原型となったメーカーズマーク46の開発エピソードは、過去記事に掲載。)

さて今回のボトルですが、純粋に美味しいメーカーズマークです。
メーカーズマークらしさは、冬小麦を原料に使うことで得られる柔らかい口当たりと言われていますが、今回のレシピはその点を潰しておらず、香味とも該当する特徴をしっかり感じます。
また近年のバーボンはえぐみや渋味を強く感じるものもありますが、これは先に書いたメローなフレーバーが主体で嫌みが少ない。選定者が何を基準にしたかが伝わってくるようです。

そしてそこから効いてくるのがインナーステイヴMo(Roasted French Mocha)と、SP(Toasted French Spice)由来の香味成分です。
味で分かりやすいのはMo由来と考えられる奥深い甘味と、焦げたようなほろ苦く香ばしいフレーバー。味わい全体に、奥行きと甘味だけだと締まらない余韻にビターなアクセントを加えています。
また、香りや余韻に多層感を与えているのが、SP由来のフレーバーと考えられるスパイシーさ。Moも仕事をしていますが、ただ濃くなってしまうだけのところを、違うベクトルの色彩を加えたような、特に柑橘系やハーブ等の要素を後押ししているのではないかと感じます。

結果、これら2種だけでインナーステイヴ10枚のうち9枚を使っていますが、飲んでみるとこれ以外ないバランスだと感じます。
そして最後に1枚だけ使われたMaker's 46は「つなぎ」として使っているとのこと。上の図にあるように、この木材がMoとSpの中間の属性をもつものであるのが繋ぎの理由と思われますが・・・これは考えすぎかもしれませんが、元々このプライベートセレクトの原型はメーカーズマーク46にあることから、作り手へのリスペクトも込められているのかなとも。いずれにせよ、良い仕事しているバーボンです。
信濃屋からのプライベートセレクトリリースは2作目ですが、個人的には今回のほうが好みでした。

ちなみに、今回のレシピを作った信濃屋メンバーのなかにはバイヤー兼WEB担当の(あ)こと秋本さんがおり、若手ながら主要メンバーの一人として本ボトルを担当されていたようです。
秋本さんとはTWDの活動や個人的な持ち寄り会などで繋がりが深く、好みはそれなりに把握していたこともあり・・・
今回のバーボンを飲んで「なるほどねー」と思う部分が多く、その点を含めてあれこれ考えるのも楽しめた1本でした。
(評価は★6ー7にするか悩みましたが、自分が楽しめた要因は上記事前情報にもあるでしょうから、一つおとして★6としています。)

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以下、信濃屋繋がりで雑談。
主催、企画運営は今回のボトルにも関わっている信濃屋の若手チームメンバー。同店による出展はもちろん最近イベントで増えてきた有志による持ち寄りブースや、プロ等によるセミナーもあり、かつ入場券が都内イベントにしては安価に押さえられているのも若手向けという感じで・・・いやぁこういう取り組みって新しいし、良いですね。

自分の頃は20代というだけで貴重がられた時代でしたが、今はどんどん若手世代の愛好家が増えてきていますから、いよいよメーカー主催で開催されるようになったのか。。。というのは些か感慨深くもあります。
昭和な自分には参加権利がありませんが、企画の趣旨には大賛成。盛会を祈念して、ここで紹介させていただきます。

Liquor Lovers 2019 →詳細はこちら
https://liqurlovers.peatix.com/

ノブクリーク 2004-2017 発売25周年記念 60.8%

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KONB CREEK 
SINGLE BARREL 
25th ANNIVERSARY 
Aged 13 years 
Distilled 2004 
Bottled 2017 
750ml 60.8% 

グラス:リーデルテイスティング
時期:不明
場所:BAR Kitchen 
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:ウッディでメロー、やや艶っぽさのある甘いアロマ。メープルシロップやシナモンアップルパイ、微かにドライクランベリーやハーブのアクセント。溶剤を思わせるニュアンスも微かにあるが、全体的にはチャーオークのアロマが主体で濃厚な仕上がり。

味:メローでリッチ、とろりとした口当たり。焦がしキャラメルの甘味とほろ苦さに、バニラ、ダークオレンジからウッディなフレーバーへ。濃厚だが度数ほどのアタックはなく、熟成を感じさせる。
余韻はドライでウッディ、甘いオークとグレーンのアロマが口内に揺蕩う。微かにライムのような柑橘を思わせる酸味を感じた後、スパイシーでビターなフィニッシュが長く続く。

熟成感があってリッチな味わいが楽しめる良質なバーボン。リリースにあたって一樽ずつ特別に選定されたという前置きに違和感はなく、オークフレーバーにエグミの少ない艶やかな甘さのあるタイプ。ノーマルからただ熟成が進んだだけのフレーバーではなく、樽そのものもグレードの高いものを使っているのではないかと感じられる。作り手のこうあって欲しいという理想を形にしたような、真打と言える1本。


ノブクリークが発売された1992年から25周年を記念し、2017年にリリースされたシングルバレルの特別仕様。6代目マスターディスティラー ブッカー・ノエ氏が仕込んだ原酒の中から、7代目マスターディスティラー フレッド・ノエ氏が特別に選定した、複数のえらばれし樽(原酒)が、それぞれシングルバレル仕様でボトリングされています。

原酒のマッシュビルは通常のノブクリークと同じコーン75%、ライ13%、モルト12%の組み合わせですが、熟成年数は先に書いたように12年から13年の間で、度数もロット毎に微妙に異なる形。
その通常のノブクリークからは、シングルバレルで9年熟成60%(写真下)が通常リリースされており、バーボンの傾向からすると同じベースのロット違いで、そこまで大きく味が変わるということはないように考えられますが、今回のボトルは格が違いますね。
通常品からえぐみなどの不要な部分を少なくし、さらに樽由来の香味の良い部分を豊かにしたような、さながら影打ちと真打ちの関係にあるように感じられました。

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原酒と熟成環境が同じなら、もはや違いは樽に由来しているとしか考えられません。
熟成年数が3~4年違うじゃないかというのはその通りですが、通常品をさらに寝かせてもウッディさがや渋味が増すだけで、こういう仕上がりにはならないと感じます。
またドライなことを言えば、ジムビームに数多ある樽の中から数樽を選ぶようなことは現実的でなく、最初から特別リリース用に考えられて仕込まれていたなかで、度数60%オーバーを維持していた原酒をチェック(それでも膨大な数がありそうですが)という選定だったんじゃないかと推察します。

ボトルのデザインはノブクリーク伝統の禁酒法時代をインスパイアしたスクウェアボトルに蝋の封印と変わらず。
それよりもシングルバレルで長熟で、60%オーバーのバレルプルーフで限定品というスペックながら120から130$程度というのは、結構頑張っているというか愛好家としてはありがたい限りです。(日本の並行輸入品の価格は結構のせられてますが・・・。)
もしアメリカに行く機会があったら、お土産に購入しようと候補に加えた1本でした。


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今日のオマケ:ヴオーヌ・ロマネ 2013 ドメーヌ・ジェラール・ミュニュレ

香り立ちはいかにもというクリアなベリー感、葡萄の皮と仄かに土っぽさや湿ったような木々の香りが混じる。口に含むと赤いベリー系の果実風味からチャーミーな酸が主張。若干粘性のある質感が舌の上に感じられ、思ったよりもボディがある。余韻はじわじわとスパイシーでフレッシュさはあるが、タンニンは過度に主張せず極め細やか。
はちみつのかかったブルーチーズとの相性が抜群。。。

たまには仏モノ・・・というわけではなく、お付き合いでボトル1本割り勘飲み。結構痛い出費だが、事情により致し方なし。
正直自分のワインの知識だと、ヴォーヌ・ロマネは作り手名が把握しきれていないレベルなのですが、ファンの多い銘柄のようですね。「これ旨いんですよ!この店のセラーにあるなんて!」と嬉々として語られていた、相手方の反応が非常に印象に残っています。
2013年は平均的な年という評価ですが、それに加えて格付け無しのグレードというのも、早飲みにちょうど良い仕様だったのかもしれません。
酸の主張はやや強めでしたが、全体のなかではクドいものではなく楽しめる範囲で、全体の作りは上質というか丁寧。食事と合わせて堪能させてもらいました。

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