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カテゴリ:グレンファークラス

グレンファークラス105 8年表記 1980年代流通 60%

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GLENFARCLAS
105 Proof
8 years old
1980-1990's
700ml 60%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:持ち寄り会
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:黒蜜を思わせるコクのある甘い香り立ち、古酒感、淡いサルファリーさ。スワリングするとアルコールのアタック、レーズンチョコレートのような甘みにコーティングされた酸味も感じられる。

味:かりんとうや黒砂糖を思わせる甘み、香ばしさを感じる。ヒネ系の古酒感、オレンジピールチョコ、ウッディでハイトーンなフレーバーの広がり。
余韻はドライでサルファリー、ヒリヒリとした度数由来の刺激とカラメルソースの甘みが残る。

シェリー感に対して度数が強く、それが樽感からくる奥行きを相殺しているような飲み心地だが、古酒らしく角の取れたアルコール感が、これはこれとしてバランスが取れているとも言える。加水はシェリー樽由来の甘みが引き立つ一方、サルファリーさも前に出てくるため一長一短な変化がある。


日本市場では珍しい、スクリューキャップ仕様のグレンファークラス105、8年表記時代のボトルです。
裏ラベルにはイギリスのバーコードがプリントされていることと、キャップにはイタリアTAXが貼られているため、流通時期は両仕様が共通する1980年代後半から1990年代初頭と考えられます。

この時代の105は日本にも輸入されていて、オフィシャルでありながら60%というハイプルーフが当時の愛好家からも注目されていたようです。シェリー系の対抗馬となるマッカランも10年カスクストレングス(こちらは55〜58%)がありましたし、この飲み比べが普通に提案されていた時代が羨ましい。。。
同時期に日本で流通していた105は、真っ黒なシール材が被せられたコルクキャップ仕様。その後1990年代に金色のシール材へと変化、歴史を感じさせる8年表記もなくなり、最終的にはトールボトルから現在のデザインのボトルへと変わっていきます。

この遍歴において、中身のシェリー感の変化についてはもうお察しのことと思いますのであえて触れません。
では今回のスクリューキャップ仕様のこれはどうかというと、ベースはオールド系の黒砂糖っぽい甘さのあるシェリー感で悪くない一方。105ってこんなサルファリーなニュアンスあったかな?、という意外なフレーバー。
元々この時期あたりから、短期熟成のファークラスは往年のそれと比較すると力を落としつつあるのですが、サルファリーな要素は樽からくるもの。ニュアンスの異なる感じはブレンドや、流通先の違いによるものかもしれません。

熟成感としてはオールド感を差し引いて長期熟成が使われてる感じでもなく、平均10〜12年くらいかなという印象。
荒さを適度に残しつつ、不必要な部分はシェリーが包み込む、若さゆえの勢いを楽しめる1本。個人的には硫黄が無ければもっと。。。という感じですが、開封後数年は持つボトルなので、長く変化を見守っていくのも良いと思います。

グレンファークラス 15年 46% オフィシャル

カテゴリ:
GLENFARCLAS 
Aged 15 years 
Highland Single Malt Whisky 
700ml 46% 

グラス:サントリーテイスティンググラス
場所:BAR飲み(サウスパーク@中野)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(5ー6)

香り:グリーンレーズンやバニラを思わせる甘いアロマ。シーズニングシェリー。徐々に乾いた木材、軽いピートスモーク。

味:まろやかな口当たりから、プルーン、ビスケット、バタークリームサンドのような甘み。微かに干し草、割り箸のようなウッディネス、軽いスパイスも感じる。
余韻はシーズニングシェリーの甘みと並行するようにほろ苦さ、染み込むように続く。

色は薄いが、そこから想像する以上にシェリー感がある。えぐみや渋み、硫黄などのマイナス要素も目立ってなく、バランスよくまとまっている。また内陸系のピート香も感じられ、らしさのある味わいも楽しめる。


先日中野のモルトバー、サウスパークさんで飲んでいた時のこと。マスターに「近年のオフィシャルでこれと思ったシェリー系ウイスキー」あるいは「ウイスキー入門者に進めるシェリー系ってなんでしょう」という質問をぶつけてみました。
自分も日々情報収集はするようにしていますが、やはり現場の第一線でコミュニケーションをとっている方々の意見に勝るものはありません。そのため、大概のBARでは「最近いいと思った近年流通のボトル」を聞くようにしています。

そうして出てきたのが、このグレンファークラス15年。15年は、グレンファークラスラインナップで40年以外で46%仕様というちょっと特別感のあるリリースです。
同店はファークラスの品揃えが豊富で、バックバーの一角をファークラス一族が占拠している中であえて15年。
自分は近年のファークラス・オフィシャルリリース通常ラインナップにはあまりいい印象を持っておらず、最近では25年に逆の意味で唸らされたばかり。
しかしこの15年は、飲んでなるほど、近年のファークラスに感じられる嫌な部分が少なく、シェリー系ウイスキーに求める甘みなどのニュアンスがわかりやすいのです。

もちろん突き抜けて高まる味かと言われると、そういう構成ではありませんが、こういうボトルは安心感がありますね。
家に置いて時々確認したい、そんなスタンダードボトルです。

グレンファークラス 35年 1971-2006 ウイスキーフェア 51.4%

カテゴリ:
SPEYSIDE SINGLE MALT
(GRENFARCLAS)
THE WHISKY FAIR
Aged 35 Years
Distilled 1971
Bottled 2006
Cask type Oloroso Sherry Butt
700ml 51.4%

グラス:木村硝子
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:香り立ちはスパイシーで淡いスモーキーさ、ナツメグを思わせるアロマ。湿ったウッディネス、枝付きレーズンやチョコレートを思わせる甘さが徐々に発散してくる。

味:口当たりはとろりとリッチ。黒砂糖の甘みからレーズンとドライベリー、チョコレートケーキ。酸味を内包した甘みが豊かに広がる。中間はコクがあり、微かにシナモンを思わせるスパイシーさ。
余韻はドライでウッディー、ほのかにバニラやオーキーなフルーティーさを伴う長い余韻。


いわゆるオールドシェリーに分類される長期熟成シェリー樽に、ドイツ系ボトラーズらしいフルーティーなエッセンスが加わっている1本。
ドイツ系のボトラーズがなぜフルーティー系統が多いのかとか、シェリーバットで35年熟成で534本はちょっと多いのでは・・・とか思ったりもしますが、バットで700本ボトリングする某蒸留所とかに比べれば熟成の神秘で説明がつくレベルであり、話を先に進めます。

今回は口開け直後であるためか香り立ちに少々難がありましたが、元々黒糖系の甘みが主体であるところに、時間経過でドライフルーツの酸味もが広がってきて、これはなかなかイケてるグレンファークラスです。
テイスティング中の変化と同様に、開封後の時間経過で果実味がさらに開いてくれば。。。★7はわりと辛口めな評価でありますが、★8まで伸びていく変化も期待できます。

ここ最近、上等なグレンファークラスのリリースが集中してあったわけですが、10〜20年前後で仕上げたスパニッシュオーク系のボトルも決して悪くはないものの、当時の突き抜けたボトルを飲むと、役者というか時代の違いをどうしても感じてしまいます。
だからと言って今評価されている新規リリースを軽視するわけではなく、これはこれ、それはそれでそれぞれ良い。バーボン樽熟成とシェリー樽熟成は直接比較しないように、シェリー樽熟成の中でも整理をする時代が来ているのかもしれません。

ちなみにこうしたウイスキーのベースとなっていると考えられる、数十年単位でシェリーの熟成に使われた樽は、某商社と取引されている方の話を聞く限り、実は数こそ少ないものの一定数市場に出回っており、しかも価格は数ヶ月~数年間のシーズニングシェリー樽よりも安価なのだそうです。
オフィシャルメーカー側としては安定して数を確保できるシーズニングシェリー樽を重視し、計算しづらい古樽は敬遠している・・・のでしょうか。あるいはそうした樽が、オフィシャルのファークラスであればファミリーカスクになり、ボトラーズなどからリリースされる飛びぬけた1本に繋がっていくのかもしれません。
とすると、案外今後もそれなりなリリースは続いていくのかと楽観的なことを考えてしまったり。ただ可能であれば、近年系シェリーではなく、こうした古き良き時代のシェリーカスクも再現してほしいものです。

グレンファークラス 31年 1976-2007 ブラッカダー 48.7% 信濃屋PB

カテゴリ:
 
GLENFARCLAS
BLACKADDER RAW CASK
"Blairfindy" 
For Shinanoya Ginza
Aged 31 Years
Distilled 1976
Bottled 2007
Cask type Sherry 
750ml 48.7%

グラス:グレンケアン
量:30ml以上
場所:BAR飲み(個人所有ボトル@S兄さん)
時期:開封1年程度 
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:濃厚で華やか、ベリージャムのような甘酸っぱさを伴うリッチなシェリー香。カカオや焦げたような硫黄のニュアンスも感じられるが時間経過で収まって、黒蜜やベリー香主体のアロマに。

味:とろりとしてリッチな口当たり。香り同様にベリージャム、レーズンチョコレート、リンゴのカラメル煮。序盤は果実味を伴うシェリー樽風味だが、じわじわとウッディーな苦味が広がってくる。
余韻はドライでウッディー、ほのかにサルファリーで焦げたような苦味を伴い長く続く。

やや荒削りな印象はあるが、大変充実しているシェリー樽熟成のグレンファークラス。 グラスチョイスによっては硫黄が強く感じられる傾向がある。グレンケアンや木村硝子など、小さく空間を作れるグラスの方が向いている模様。


2009年、信濃屋銀座店がオリジナルボトルとしてリリースしたグレンファークラス(ブレアフェンディ)。
グレンファークラス名称が記載されていないのは契約上の都合で、その場合業界的によく使われているのがブレアフェンディ、他にはバリンダロッホなどの例もあります。

このボトル、今から約1年前の開封直後にも飲ませて頂きました。
シェリー感はリッチ、ボディにも厚みがあって当時の蒸留らしい良いウイスキーだったのですが、硫黄が比較的強く出ていて「惜しい」と感じていたところ。つい先日、そのボトルと久しぶりの再会。飲んでみると「あれ?これ良いじゃん」というくらいに硫黄が抜けており、その分ベリー系の香味やフルーティーさが感じやすくなっていました。

ボトリング後の変化で硫黄が抜けて、むしろ良さが出てくるボトルもあるということは、ウイスキー仲間の間でも度々話題になり、そうしたボトルを頂く機会も少なくありません。(逆にそっちに行ってはいけない、という方向に進んでしまったボトルもあるのですが。)
瓶内での変化を見極めて、ボトルを育てていく。ある種ワインのような楽しみ方もまた奥が深いですね。BAR等でこの点を見極めてサーブしてくれたりすると、「このお店いいな」と感じるポイントだったりします。


さて、信濃屋さんのグレンファークラスと言えば、先日リリースされたプライベートボトル10周年記念の1991が記憶に新しいところ。
そこからまだ1ヶ月という短期間で、先日開催された秩父ウイスキー祭りに向けの新しいプライベートボトル、グレンファークラス2004-2016、2005-2016の2本がリリースされました。

双方を試飲させていたいたところ、2004はホグスヘッドらしくバランス型。先日テイスティングした台湾向け178周年のボトルに近い甘酸っぱいシェリー感で、オフィシャル直系の味わいという印象。少しサルファリーですが、嫌な部分が少ない親しみやすい味わい。
対して2005は黒蜜やプルーンを思わせるウッディで濃厚なシェリー感が特徴。2005ビンテージでは昨年リリースされたWhisky Hoopの特濃シェリーカスクが話題ですが、そこまでではないものの、しっかりとした味わいが楽しめるフルボディな1本でした。

70年代のファークラスと比較するのは野暮というものですが、ファークラスの原酒ストックがお世辞にも好ましい状況とは言い難い中、一定レベル以上のボトリングを当時も、そして今も続けられているのは頭が下がる思いです。
これからも様々な原酒を発掘し、日本のウイスキー業界を盛り上げて欲しいと願っています。

グレンファークラス 25年 43% オフィシャル

カテゴリ:
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GLENFARCLAS
Highland Single Malt Whisky
Aged 25 years
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1年程度
評価:★★★★★(5)

香り:青みがかった甘い香り立ち。アロエを思わせる植物感、バニラ、ウッディーなえぐみが追いかけてくる。徐々に乾いた木、オレンジピールのアロマが開く。

味:色は薄いがウッディーでカカオパウダー、じわじわとサルファリーで苦味とえぐみを伴う口当たり。ボディは厚みがあり、苦味の奥には色の濃い蜂蜜を思わせる甘みもある。
余韻はスパイシーでウッディー、ビターで長く続く。
   
酒質そのものは決して悪くは無いが、出がらしのシェリー樽をさらに強引に絞ったようなニュアンスを連想させる苦味やえぐみが強く、良質なシェリー樽特有の深い甘みや果実味がほとんど感じられない。
加水するとまろやかでえぐみも収まり飲みやすくなるが、多少ピンボケしたような印象も。


圧倒的ストック量から、シェリー樽中心のリリースを貫くグレンファークラス。
最近はメインモルト&キャンベルタウンロッホの1989、信濃屋プライベートボトル10周年記念の1991、といった1990年前後のビンテージが話題になったところで、じゃあオフィシャルラインナップの同年代蒸留あたりのボトルはどうだろうと、25年を改めて飲んでみることにしました。
思い返せば試飲で何度か飲んだ記憶はありますが、腰を据えて宅飲みするのははじめです。

蒸留時期はほぼ同じとしても、オフィシャルは量産品ゆえ、評価された2銘柄のように飛びぬけてよい原酒ばかりで構成されてはいない。という認識の下、最低限これくらいだろうと想定はあったわけですが・・・正直これほど上記2樽の"選ばれし"感が際立つとは思わなかった、というのが本音でした。

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(グレンファークラス蒸留所外観。かつては2本の煙突の奥にキルン塔があったようだが、それ無き今はまるで何か別の工場のように見える。雄大なスコットランドの大地の中に、溶け込むように建っている。Photo by K67)

もちろん好みの問題も多分にあると思いますし、そもそも樽の種類も異なります。
上述2本はどちらもファーストフィルのスパニッシュオークですが、この25年のキーとなっているのはセカンドやサードフィルのアメリカンホワイトオークが多めの印象。
全体的に樽に苦労した時期なんだなという事が想像できます。

グレンファークラスは酒質が強くフルボディであり、濃いシェリー樽にも負けずにバランスが取れるところが魅力の一つです。
また、そうした酒質であるため加水でも中間から後半にかけてヘタらず、シェリー樽以外の樽香のノリも良い。バーボン樽熟成で稀にリリースされるボトラーズなどにも、結構美味しいボトルが多かったりします。
ただ、それは当たり前のことですが、樽が一定品質以上であれば、と言うところ。
やはり樽なんですね。販路を広げれば良質な樽が不足する。生産を絞れば経営が苦しくなる。現在のスタンスのように特別なリリースにのみ良い樽というのはある種正しいですが、全てを解決できる方法はないものでしょうか・・・。

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