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カテゴリ:グレンファークラス

グレンエイボン 25年 1990年代流通 40%

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GLEN AVON 
SINGLE HIGHLAND MALT 
Gordon & Macpahil 
Years 25 old 
1990 - 2000's 
750ml 40% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:サンプル@BAR 1two3
評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかい香り立ち。カラメルソースとドライプルーンを思わせる色濃い甘さ。枯れたようなウッディネスに、煮出した紅茶のような濃厚でビターな印象も感じられる。

味:緩くスウィートな口当たり。カラメルソース、デーツやドライプルーンを潰して混ぜたような、ほろ苦く甘いダークフルーツ風味。ビターなウッディネスが余韻にかけて広がり、序盤の甘さを打ち消すように、タンニンが染み込む。

懐かしの典型的GMシェリー味。緩い口当たりであるが、独特の甘さと加水の緩さのあとから枯れて細いボディの印象があり、いまいち広がりに欠ける。過去何度か飲んだボトルだが、大体こういう系統だった。
この緩さはまるでXOクラスの量産コニャックを飲んでいるようなイメージで、そこからウッディでビターで、樽感全開。蒸留所の個性は見当たらないが。。。

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先日のジョン・グラント17年に続いて、bar 1two3の村田さんから頂いたサンプル。
グレンエイボン(というかGMのリリース)は1990年代後半からトールボトルにデザインが統一されているようなので、今回のボトルは1990年代の前半から中頃のものと推察。たまにオークションで「ウイスキー」表記のシールが張られた特級時代の名残を感じさせるボトルが出回ったりしています。

グレンエイボンの中身はグレンファークラスと言われていますが、仮にそうだとすると今回のボトルの香味でファークラスのオフィシャルで共通項があるのは、同じ流通時期である90年代のダンピーボトル25年。カラメルソースが混じったような、緩く甘くてウッディな・・・可もなく不可も無しというか、率直に言って面白味の少ない味わいと言えるボトルです。

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(角瓶からリニューアルした1990年代流通のオフィシャル・グレンファークラス。ネックの付け根部分の年数表記がポイント。この時代の30年は濃厚かつ香味の広がりもある美味なシェリー感を味わえるが、25年は今一つ締まりがない。)

ただ、今回のボトルはそんなオフィシャルに共通する緩い甘さに混じって、異なる個性が感じられるのがポイントだと思います。
それは線の細いボディ、枯れたようなウッディさ、ビターな余韻。これが良いか悪いかはさておき、原酒の傾向としては熟成年数表記以上の長い熟成期間を感じるものです。

おそらくですが、所有原酒の中でもピークを過ぎて微妙になってしまったものを、こうしたブレンドに回しているのではないかと推察。ボトラーズメーカーとして、シングルカスクだけでなく、シングルモルトやオリジナルブレンド銘柄等(さらには他社への原酒供給まで)手広く実施している準オフィシャルメーカーとも総合商社とも言えるようなメーカーがGMです。
グレンファークラスの場合は、蒸留所名は使えなかったようですが、良質なものは単一蒸留年表記のグレードに回したり・・・とか調整していたのではないでしょうか。

厳しめのレビューになりましたが、決して味が悪いわけではありません。ただなんというか面白味がないから、ちょっとネガな部分が目立ちやすいのが損なボトルなのです。

ジョン グラント (グレンファークラス) 17年 ピュアモルト 1980年代流通 43%

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THE JOHN GRANT 
Pure Malt Scotch Whisky 
(Glenfarclas)  
Aged 17 years 
1980's 
750ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:サンプル@BAR 1two3 
評価:★★★★★★★(7)

香り:レーズンや砂糖漬けのクランベリー、カラメルソースや少し焼き洋菓子を思わせる香ばしさも混じる、濃厚で甘酸っぱいアロマ。シェリー感の奥には加水ながら強めのアタックもあり、全体の骨格、リッチな香り立ちを構成している。

味:スムーズだがリッチな口当たり。香り同様のシェリー感があり、色濃い甘酸っぱさ、ダークフルーツを思わせるフレーバーが、酒質の強さに後押しされてウッディなタンニンを伴って広がる。
余韻はウッディでビター、微かな土っぽさ。カカオチョコレートにレーズン、ビターでドライなフィニッシュが長く続く。

濃厚なシェリー感、黒砂糖やダークフルーツの要素が詰まった秀逸なモルト。香りはふくよかで豊潤、口当たりはスムーズだがシェリー樽由来のとろりとした甘味の中には力強い骨格を感じさせるファークラスらしさが、しっかりと備わっている。少量加水すると少し水っぽさは出るが、クリーミーな甘味が感じられる。

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情報が少ないボトルですが、かつては日本で並行品が格安販売されていたらしいジョン・グラント名義のグレンファークラス。
1980年代後半から1990年代にかけ、グレンファークラス17年が日本市場向けの限定ボトルとしてリリースされていたため、同時期に同じタイプの原酒を使ったものをイタリア辺りに展開した一つではないかと推察します。(他に6年のリリースが確認できますが、これもまたほとんど情報がなく。。。)

グレンファークラス17年は、現オーナーのジョン・グラント氏がもっとも気に入っているオフィシャルグレードであることが紹介されていますが、それで17年でジョン・グラントなのかと紐付けるのは早合点。
蒸留所を経営するグラント一族は、代々同じ名前を息子につける伝統があるため、ジョン・グラントとジョージ・グラントは150年を越える一族経営の歴史の中で絶えず登場しており、それぞれ現在3代目。1865年に蒸留所を買収して一族経営を始めたのが初代ジョン・グラントであり、今回のラベルに書かれている肖像画のその人です。

よって、現在のオーナーの好みと初代とでは結び付かないエピソードですが、量産品でありながらこれだけのクオリティのシングルモルト、名前を使われても文句はないだろうと感じてしまいます(笑)。
特筆すべきは濃厚なシェリー感。近い熟成年数のオフィシャルと比較して、1990年代流通のダンピー仕様よりは間違いなく上質。角瓶時代と比較しても遜色のない印象。べたつかず、ダークフルーツとウッディネスのキャラクターも感じやすく、レベルの高い1本だと思います。


※先日に引き続き、愛知のBAR 1two3の村田さんと交換していた、サンプルのレビューです。村田さんからは、自分のブログに掲載されていない古く怪しげなボトルのオファーを良く頂くため、経験値的にも、情報をとりまとめる上でも大変助かっています。

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今日のオマケ:ロバート・モンダヴィ プライベートセレクション 
シャルドネ ”バーボンバレル・エイジド”
カベルネ・ソーヴィニョン ”バーボンバレル・エイジド”

カリフォルニアを代表するワイナリーから意欲作。バーボンウイスキーカスク熟成された、シャルドネとカベルネ(カベルネは一部該当ワインをブレンドしたもの)。ワインの樽熟にアメリカンオークが使われることは珍しくありませんが、ウイスキーカスクはあまり数はありません。
ロバート・モンダヴィについては、カリフォルニアワインの先駆者としての実績と歴史から、その品質は折り紙付き。ただノーマルのプライベートセレクションは、同銘柄のデイリーユースというかエントリーグレードに当たるため、個人的には些か雑に作ったような味の印象もありました。

シャルドネは、新世界らしく角のとれた包容力のある酸が広がる。。。ように見せかけて、中間からオーク由来かバニラ系統の甘味、トーストの焦げ感も微かに加わって酸を打ち消すように広がる個性的な仕上がり。
カベルネは。。。そもそものベースが濃厚な赤なので、どの辺がバーボン樽由来と言われても難しいのですが、中間以降のタンニンが多少クリーミーな質感をもって感じられるあたりに、仕事をしているのかもしれません。
双方中々面白いワインだと思います。

それにしても、このワインの熟成に使われたバーボン樽はどこのものなんでしょう。
これまで、ウイスキーは様々な酒類の樽を熟成に用いることで、個性を多様化してきた歴史がありますが、その逆の流れが生まれていることは興味深いことだと感じています。

グレンファークラス 19年 1999-2019 For J's BAR & 信濃屋銀座店 #7062 55.2%

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GLENFARCLAS 
THE NOSTALGIC DRAM 
Aged 19 years 
Distilled 1999 Dec 
Botteld 2019 Jun 
Cask type Refill Sherry Butt #7062 
For J's BAR & Shinanoya Ginza 25th Anniversary 
700ml 55.2% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:開封後数日以内
場所:ジェイズバー
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ややドライでハイトーンな香り立ち。粉砂糖にキャラメリゼ、スポンジケーキ、レーズンのアクセント。さながら焼き菓子のシュトーレンのようで、微かに香ばしさ、ほろ苦さも漂う。時間経過でドライフルーツを思わせる要素がさらに開く。

味:口に含むとスウィートでリッチ。とろりとした甘味は熟した杏子、キャラメルソース、樽由来の要素が始めに感じられ、徐々に強めのスパイス、やや青みがかったハイトーンな酒質由来の刺激が続く。余韻はウッディで、黒糖ふ菓子とカカオ粉末、軽い香ばしさと共にほろ苦く程よいタンニンを伴うフィニッシュが長く続く。

トーンが高く、酒質由来の骨格を感じさせるファークラス。いくつかのクリスマスモルト、特に1990-2000年辺りの系統のひとつ。ただし樽由来の要素であるシェリー感は中々レベルが高く、酒質の強さと樽由来の杏子やレーズン、洋菓子を思わせるオールド寄りの甘味を味わえるのが、このボトルがノスタルジック・ファークラスたる由縁だと思う。

※イベント中であったため、ボトルを撮影し忘れてしまいました。借り物の画像となります。氏曰く一緒に写っている水石が、ボトルのイメージとして重要なのだそうですが。。。WABI/SABIの世界は奥が深く、以下徒然と綴った自分の解釈が正しいのかは不明です。

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信濃屋銀座店、並びに池袋のジェイズバーが共に25周年を迎えることを記念し、銀座店の店長・堤さんが現地でカスク選定したジョイントボトル。
グレンファークラスでリミテッドと言えば濃厚なファーストフィルシェリー系が多くあるなか、かつ市場においても迷ったら濃い方を買うと言う傾向も見え隠れするなか。あえてリフィルシェリーを選ぶというのは、選び手の表情が見えてくるようなチョイスだと思います。

現実的なことを言えば、2000年前後の蒸留でファーストフィルシェリーの圧殺的な仕上がりのものに、突き抜けて素晴らしい原酒があるかというと。。。例えるなら下味の特にない肉に濃いソースで味をごまかしたような、それなりに食べれるけど一体感のない、無理矢理仕上げた印象が拭えない部分がどうしても残ります。
一方、リフィルバットであればシェリー感は淡くなっていても、ベースの樽が作られたのが70年代とか、昔の味わいを残している可能性はあり。今回のカスクはその系統だったのか、現代のそれとは違うフルーティーさが、熟成によって得られる角の取れた甘味と共に感じられる点がまずひとつ。

またグレンファークラスは、決して酒質がソフトとかマイルドなタイプではなく、むしろしっかりと強いタイプ。それ故、シェリー樽での長期熟成や加水を経てバランスが取れて仕上がるという傾向があります。
それは大きな岩が風雨と経年、あるいは自然の力で徐々に削られ、丸みを帯ていく様・・・つまり水石が作られているプロセスにも似て。リフィルシェリー樽由来の圧殺タイプではないフレーバーの中に、その削りきられてない"力強い岩の存在"が主張して見える点が、このリリースに込められたもうひとつの表情であるように感じられるのです。


近年、市場の状況、WEBによる情報伝達等の発達など、様々な変化によって「プライベートボトル」の垣根は間違いなく下がりました。
日本に居ながら、インポーターにメールで依頼し、カスクサンプルを取り寄せて、その中からボトリングする。10年くらい前までは、それをやること事態が特別だったプライベートボトルは、もはや昔ほど特別とは言えなくなりました。(もちろん、インポーターとの繋がりであるとか、金と覚悟が必要であるとか、決して気軽にやれるものではありません。)

プライベートボトルは間違いなくロマンです。ですが、上記のような効率化されたプロセスで選ばれたものに表情があるかというと、なにか物足りなさを感じてしまいます。嗜好品としてのウイスキーは情報と共に飲むものであり、バックストーリーは美味しさの引き立て役です。故に、最近増えてきた、特別なラベルでブランドを作る傾向は、ある意味で自然な流れと言えるのかもしれません。
そのなかで、自ら蒸留所で原酒を選定し、あえて売れ筋の濃厚系からはずし、中身にメッセージを込める。
個人的に今回のリリースには、選定者の不器用なプロ意識を見たように思うのです。

グレンファークラス 29年 1989-2018 #13005 52.3%

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GLENFARCLAS 
THE FAMILY CASKS 
Aged 29 years 
Distilled 1989 
Bottled 2018
Cask type Sherry butt #13005 
700ml 52.3% 

グラス:シュピゲラウテイスティンググラス
時期:開封後数ヶ月
場所:BAR ハリーズ高岡 
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:リッチでスウィートな香り立ち。ドライプルーンやブルーベリージャム、チョコクリームを思わせる、しっとりとした甘さと果実感。合わせてウッディーなニュアンスを伴う。

味:香り同様の構成である濃厚な甘味。クリーミーでリッチなシーズニーングシェリー味が、樹液のようなウッディな渋味と甘味、タンニンと共に広がる。渋味はそれほど強くなく、甘味を引き締めるように余韻にかけてまとまっていき、カカオチョコレートとエスプレッソコーヒーの組み合わせを思わせる、苦味と甘さがほどよいバランスで長く残る。

こってこてのクリーミーなシーズニングシェリー味。マイルドで柔らかな甘い香味が構成の軸になっており、やや単調気味だがネガティブな部分の少ない、近年系圧殺シェリーとして仕上がっている。少量加水すると樽感がぼやけて若干水っぽさが出てしまうので、ストレートがおすすめ。

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並行輸入メーカーの大手、ウィックが国内に5本だけ入荷させたという近年リリースの89
ファークラスのなかでも、あまり話題にならなかった1本。
ですが、Bar メインモルトとキャンベルタウンロッホの共同ボトリングで知られるグレンファークラス1989 #13009とは、樽番号わずか4違いという、隣樽とは言えないまでも、ほぼ同じ場所に置かれていた可能性が高い(また、樽の調達先も同じ可能性が高い)、シスターカスクと言えるスペックです。

そのため、全く同じ系統の仕上がりかと思いきや、テイスティングの通りクリーミーな甘味のあるシーズニングシェリー感が主体。例えるなら山崎系統とも言える、華やかで香木の混じるスパニッシュオーク感が強かった#13009とは、系統の異なる香味構成に驚かされました。
この他、近い番号だと信濃屋リリースの1989 #13049もありますが、やはりこれも同じシェリーバットでありながら系統が異なる仕上がり。ファークラスマジックと言われた多彩なシェリー感のベースとなるものが、この約50樽の中の3樽からも感じられるように思います。

と、仕上がりが異なるという話はさておき、単体の完成度としては突き抜けないまでも、決して悪くありません。
個人的には上記3樽のなかで、シーズニングシェリーと言われて最もしっくり来る仕上がり。熟成を経て得られたリッチな口当たりが、樽由来の要素でクリーミーな甘味でまとまり、余韻にかけてビターでタンニンを伴うウッディネスがそれを引き締める。
また、長熟にありがちなドライな舌当たりになりきらないのが、序盤のシェリー感に由来する甘味の働きで、濃厚な香味を長く楽しめるのです。

後は好み次第ですが、贅沢なことを言えば、もう少し変化がほしいかなと。
今の感じだと、逆に外的要因で変化を加えるというか、それこそ葉巻あたりをふかしながらでも楽しめるような・・・なんともリッチ(贅沢)な近年系シェリー味でした。

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今回のボトルをテイスティングしたハリーズ高岡。
2年前、開店直後に初めて行ったときはオフィシャルボトル中心で、ウイスキーは100本あるかないかというラインナップ。バックバーのスペースはボトル1列のみで余裕を持たせた配置だったのですが。。。時間経過でどんどんボトルが増えていき、先日の写真がこれ。
流石に置ききれない・・・っていうか真ん中の棚、たわんでません?(笑)

先日開店2周年を迎えた同店。ウイスキーのストックと種類では北陸随一と言える規模に成長しただけでなく、ウイスキーの魅力をさらに発信すべく今尚進化し続けています。
ブログ上での掲載はだいぶ遅くなってしまいましたが、2周年改めましておめでとうございます。

グレンファークラス 26年 1974-2000 オフィシャルリリース 43%

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GLENFARCLAS 
Single Highland Malt Scotch Whisky 
Aged 26 years 
Distilled 1974 
Bottled 2000 
No of bottles 2732
700ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:個人宅持ち寄り会
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライでピリピリと鼻孔を刺激するスパイシーな樽香。ハーブの要素も伴いつつ、ブラウンシュガー、オレンジなどの柑橘類のドライフルーツ、仄かに腐葉土を思わせるピートのアクセント。複雑で適度な熟成感が備わっている。

:香り同様にドライでスパイシー、じんじんとした刺激を伴う麦芽風味。蜂蜜やオレンジピール、加水でバランスがとれており、余韻にかけて存在感を強くしていくモルティーさと、ピートの苦味と土っぽいフレーバー。スモーキーで染み込むようなフィニッシュ。

リフィルシェリー系統の樽構成だったのか、シェリー感は控えめ。代わりに麦芽風味と内陸系のピートフレーバーがメインに感じられる。個人的に好みの構成で、加水も効いてしみじみとした旨さが魅力であるが、蒸留所のハウススタイルを考えると、もう少しシェリー感がほしかった。

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先日、知人宅で開催された仲間内の持ち寄り会にてテイスティングした1本。
2000年頃にリリースされたオフィシャルのヴィンテージリリースで、同時期1968年蒸留もリリースされていました。

グレンファークラスはファミリーカスクシリーズや地域向けの限定品など、単一蒸留年のオフィシャルリリースが珍しくなく、このリリースも数あるうちのひとつという位置付け。しかしそうしたリリースこの中で、43%加水で、複数樽バッティングの60~70年代単一蒸留年という仕様は少なく、逆に珍しくもあります。大概シングルカスクのカスクストレングスとかですしね。

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(同時期にリリースされた1968年蒸留の複数樽バッティング。こちらのほうが見た目通りシェリー感が強く、スウィートでリッチな仕上がり。)

グレンファークラスといえばリッチなシェリー感がハウススタイルのひとつで、過去のテイスティング経験からてっきりこの1974も上記1968と同系統の構成かと思っていました。
しかしグラスに注ぐと色が思ったほど濃くありません。
リフィルやサードフィルといった樽が主体なのか、口当たりに多少のコクはあるのですが、メインは麦芽風味や蜂蜜、柑橘系のドライフルーツにピートフレーバーと、予想とは違う味わいに少し驚きました。

ただ、樽感がそう強くない分、本来マスクされていたであろう酒質部分の味わいがメインに感じられ、グレンファークラスの違った魅力を楽しむことができるのは、このボトルの良さであるとも言えます。
ブラウンダンピー時代の前、角瓶時代のファークラスでも、時代や年数によってはこういう樽感控えめな構成のボトルがいくつかありました。シェリー樽一貫の樽使いでありながら、多数の異なる味わいを作り出せる。ファークラスマジックならではのリリースですね。

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