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カテゴリ:ウイスキー関連の話

ジャパニーズスピリッツ・マルシェ2019秋 に参加してきた

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お酒を楽しむための様々な情報を発信している、酒育の会。同会主催で今日から10日間、「ジャパニーズスピリッツ・マルシェ2019」が、神田にて開催されています。

このイベント、テーマは近年ブームとなっている日本のウイスキーやクラフトジンなどの蒸留酒全般、所謂”ジャパニーズスピリッツ(一部スピリッツベースのリキュールを含む)”で、これらを試飲しつつ購入することも可能な販促会という感じ。
マルシェという位置付けらしく、ちょっとしたフリーマーケットのような雰囲気で、休日はVIPを招いてのゲストトークショーや、上記スピリッツを使ったカクテルの提供も予定されています。

自分は酒育の会発刊のフリーペーパーLIQULに関わらせて貰っていますし、何よりニューリリースの情報も抑えておきたい。参加&紹介しないわけにはいきませんね。
あとブース出展している蒸留所に、日頃情報共有していたり、あるいは個人的に注目しているところが多かったのもあり・・・。
早々に仕事を切り上げ、初日の会場に伺いました。
結果、平日と言うこともあってゆったりとした空気のなかで、色々お話を聞きながら試飲を楽しむことが出来ました。
そんなわけで、会場の様子をざっくりと紹介します。

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ジャパニーズスピリッツ・マルシェ2019秋
イベントページ:https://shuiku.jp/news/8005
入場料:無料
期間:2019年9月20日~9月29日
時間:11時~20時(29日は18時で閉会)
場所:マーチエキュート神田万世橋 1F S7スペース
東京都千代田区神田須田町1-25-4
※住所上は神田ですが、公共交通機関で近いのはお茶の水か秋葉原駅。
※会場前に目立つような看板が出ていません。わかりづらくて迷いましたw 秋葉原を背にして一番奥、御茶ノ水側のスペースで開催しています。

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(試飲ブース:上が無料、下が有料(100~2000円)。無料試飲はクラフトジンが充実していて、普段なかなか飲む機会のない各社のフレーバーを気軽に楽しめる。ウイスキーでもいくつか光るものあり。っていうか無料でこの充実度合いは。。。有料試飲もジャパニーズウイスキーを軸に、確かにレアなものが揃っている。クラフトアブサンも2種類スタンバイ!)

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(三郎丸蒸留所:自分イチオシクラフト蒸留所のひとつ。世界初、鋳造で作った新型蒸留器は問題なく機能しており、むしろ酒質は更に期待できるものとなった。ピーティーかつしっかりとした厚みがあり、将来を期待出来る味わい。今回は無料試飲ラインナップにその今年仕込みのニューメイクあり。是非進化を体感してほしい。)

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(長濱蒸留所:今回はアマハガン3種。同じブレンドがベースとは思えないほど、フィニッシュによる違いがしっかり出ている。先日発売されたばかりの第3弾ミズナラは、いい具合にニッキのようなスパイシーさが効いて、面白い仕上がりである。)

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(笹の川酒造、安積蒸留所:いよいよ今年3年熟成のリリースを控えた安積蒸留所。あまり市場に流通していない山桜の3銘柄に加え、1年6ヶ月熟成のニューボーンが試飲ラインナップに。ここも酒質は素直で癖も少なく、確実な成長が感じられる。)

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(小正醸造、嘉之助蒸留所はウイスキーではなく、今回はジンで出展。ほうじ茶と桜島小みかんジンがPRラインナップ。どちらも和の要素が強い面白いジンである。柑橘とジンの組み合わせはある意味オーソドックスだが、ほうじ茶の香ばしいフレーバーは意外に悪くない。むしろ美味しい。)

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(養命酒は自社製造のジン、香の森とライトタイプな香の雫で出展。ストレートでは飲み口強く、独特な香味が特徴のこのジンが、市場でどのように受け入れられるか・・・。っていうかライトタイプとは思えない香の雫。)

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(いいちこで知られる大分の三和酒類さんが作る、ジンでもウォッカでもない、麹が特徴のオリジナルスピリッツTUMUGI。
麹麦を蒸すことで香りを強くし、スタンダードのKOJIは焼酎とも異なる強い麹香(まるで醤油や味噌のような)と、その奥にかぼすやレモンなどの柑橘のフレーバー、そして柔らかい口当たりが特徴。ボンタンを使って香味付けしたTSUMUGI BONTANは、逆に麹のニュアンスを抑えて爽やかな柑橘感とドライな口当たりが心地よい。樽熟品は4ヶ月熟成で適度な樽感とマイルドな口当たりが、ハーブを思わせる要素と共に感じられる。
作り手の考え方、こだわり、そして日本人向きの和の風味。。。今回の出品物のなかで最もツボに入った銘柄だった。オススメ!!)

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(出展はされてないが、試飲ブースにあった非常に興味深い出来のジャパニーズグラッパ葡萄恋露。シダックスが親会社というのが面白いが、それ以上に丁寧な作りのグラッパで、ホワイトタイプはスウィートで淀みなく、華やかな香り立ちに花のようなアロマが混じる。これは美味しい。そしてエロチズム/愛(謎))

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(有料試飲から、ニッカのオールドブレンデッド。飲んでみたかった一本だが、とてもジャパニーズとは思えない、スコッチ的なモルティーさとピートフレーバーに驚き。モルト比率の高いリッチな作りの1本でかなり美味しい、是非我が家にほしいw。)

今回のイベント。酒類関連のイベントとしてはかなり長い開催期間かつ、立地的にも開催時間的にも、特に都内勤務の方が仕事帰りに立寄りやすいのが魅力。
入場料無料ですし飲めてない銘柄もあるので、もう一度遊びにいきたいくらいです。
TUMUGIのような魅力的な銘柄を知ることが出来たのも、大きな収穫でした。

一方で、さすがに10日間ぶっ通しで関係者がブースに張り付くことは、特にクラフト系にあっては難しく、ウイスキーフェス等のように常に全てのブースに関係者がいるわけではないのは仕方のないところ。
とはいえ主催する酒育の会のメンバーは、谷嶋さんを初め相当知見のある方々ですので、逆にお酒に関する感想や、飲み方などのアドバイスなど、酒育の会だからこその質問をしてみても面白いと思います。
イベントは明日からまだ9日間残っているだけでなく、トークショーは明日からスタートです。お時間ある方は是非参加してみてください。

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【ブース出展企業】
三和酒類株式会社
小正醸造株式会社 嘉之助蒸溜所
笹の川酒造株式会社
養命酒製造株式会社
アサヒビール株式会社
キリンビール株式会社
本坊酒造株式会社
若鶴酒造株式会社 三郎丸蒸留所
長濱浪漫ビール株式会社 長濱蒸溜所
佐多宗二商店
Limone

ゲストトークショースケジュール】
9月21(土)14時~ ろっき氏
「アセトアルデヒド症候群」主宰、ジンに関する取材研究では国内屈指の専門家、ジンに関する自費出版多数

9/22(日) 14時~ 輿水精一氏 サントリー名誉チーフブレンダー
16時~ 鹿山博康氏 Bar BenFiddichオーナーバーテンダー (カクテルのご提供もあり)

9/23(月・祝) 14時~ 肥土伊知郎氏 ベンチャーウイスキー代表
終日  須藤銀雅氏 アトリエAirgead代表 ブースにてバー専用チョコレートなどのご提供

9/28(土) 14時~ 山岡秀雄氏 ウイスキー評論家・コレクター × 吉村宗之氏  ウイスキーアドバイザー
16時~ 須藤銀雅氏 アトリエAirgead代表 「チョコレートとお酒のマリアージュについて」

三郎丸蒸留所 一口カスクオーナーを追加募集 7/5から

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7月1日、昨年に引き続き募集のあった、三郎丸蒸留所の1口樽オーナー制度。
同蒸留所の原酒をバーボン樽(バッファロートレース、ウッドフォード)でそれぞれ熟成させ、2本のシングルカスクウイスキーが5年後に手元に届くというもの。
昨年は数日で、今年は僅か1日で200口が埋まってしまい、その関心の高さが伺える結果となりました。

完売するとは思ってましたが、まさか即日とは。。。
思わぬ反響を受け、三郎丸では追加のオーナー50口を7月5日10時から募集するとのこと。
前回溢れてしまった方は必見ですね。

※応募はこちらから。

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この光景、新生三郎丸をまさにプロジェクト初期から見てきた自分にとって非常に感慨深いものがありました。
今から3年前、三郎丸がクラウドファンディングで改修資金を募った時。これまでのウイスキーの出来から、懐疑的な意見を述べる愛好家は少なくなく。昨年の原酒を飲むまで、自分もあれ程のものが出来るとは思ってなかったんですよね。(面白いものを持っているから、可能性は間違いなくあるとは某パンチョンの人と話していましたが。)

今、一度でも新生三郎丸のニューメイクを飲んだことがあるウイスキー関係の方であれば、少なくとも昔とは違うというイメージの払拭と、前向きな印象を持たない方は居ないと思うのです。
その点、小口でもカスクオーナーになれるという今回の試みが魅力的で、即完売するのも自然な流れだと思います。

一方、三郎丸蒸留所では今年の仕込みにかけて大規模な改修を実施しており、業界初の「鋳造製ポットスチル(ZEMON)」を2基導入。これまではステンレスと銅のハイブリット構造なスチル1基で初留も再留も行っていたところ。スチルを入れ換えて一般的な蒸留所と同様、初留と再留を同日に蒸留が出来るようになっています。

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(ポットスチル新旧。ネック角度と長さ、ラインアームの構造などは以前を参考に設計してあるとのことだが、鋳造という製造方法に加え、銅と錫の合金という新しい要素が酒質にどう作用するかは未知数。)

現在カットポイントや温度を探りつつ蒸留を行っている最中ということですが、昨年の酒質からどんな変化があるのか。実は後日伺う予定があるので、早速確認してきます。
本当は樽オーナー募集開始前に確認できていれば良かったのですが。。。きっと稲垣マネージャーのことです。今回も良いものを仕込んでくれていると期待しています。

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酒育の会 Liqul(リカル)での連載について

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お酒に関する正しい知識や、趣味としてのお酒の楽しみ方を発信するため、イベントやセミナー等の各種活動を行っている一般社団法人酒育の会。
同会が奇数月に発刊している機関誌「リカル」に、2019年7月号からウイスキー関連の記事を連載させていただくことになりました。

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酒育の会 LIQUAL (リカル)
※最新刊ならびにバックナンバーについては上記URL参照。ウイスキーだけでなく、コニャック、テキーラ、ラム、ワイン等様々なお酒やBAR飲みのスタイルなどが特集されています。7月号はアルマニャック特集で、7/1以降WEB公開予定。


連載に当たっては、テーマも含めて自由に決めて良いという条件を頂いており、会の目的とも照らして"オフィシャルスタンダードの再認識"にしました。
ブログを書き始めてから、特にここ1~2年は意識的にオフィシャルスタンダードも飲むようになったのですが、最近そのオフィシャルが美味しくなったという声を、自分だけでなく周囲の愛好家からも聞きます。
この機会に再勉強も兼ねて、良いと思ったリリースや、従来に比べて好ましい変化のあった蒸留所のラインナップを紹介していく企画を考えたワケです。

文字数に制限があるため、細かい部分の解説やテイスティングコメント、スコアリング等はブログで補足する整理。書くのは良い部分をざっくり程度となるため、テイスティングレビューというよりコラムに近い構成になりますが、内容やラインナップに共感して貰えたら嬉しいですね。

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記念すべき連載一回目。掲載は巻末のほうかと思いきや、隣のページは吉村さんで、しかも一番開きやすいセンター部分。例えるならプロ入り1年目のピッチャーが、ブルペンでエースと一緒に投球練習をするような心境。。。になりましたが、自分の記事がこうして紙媒体に掲載されるのは本当に感慨深いです。(プロになったこともピッチャー経験もありませんがw)

チョイスしたのは、アバフェルディ12年とロッホローモンド系列の12年クラスで、ロッホローモンドやインチマリンを想定。
アバフェルディは今も昔も普通に美味しいハイランドモルトで、コスパも素晴らしいだけでなく、上位グレードとの共通点もある佳酒であることから。そして同じハイランド地方から、かつてはダンボールと呼ばれて珍味扱いされていた蒸留所ですが、近年好ましい変化が見られたロッホローモンドを。
どちらも記事化に当たって、外せないオフィシャルボトルだと思っていました。

一方オフィシャルスタンダードと言っても幅広く、もうひとつ基準に考えているのが、1本5000円台までの価格で販売されている、エントリーグレードであるということ。
例えば同じオフィシャルでも、スプリングバンクの10年は近年文句なく良くなったボトルのひとつですが、今回使わなかったのは8000円弱という価格が他のミドルグレードと同じ区分で整理出来てしまうためです。
同価格帯からカダム15年とか、ノッカンドゥ18年とかも。。。本当は使いたいんですけどね。5000~10000円のクラス、あるいはそれ以上の価格帯にも注目の銘柄は多く、そのうち各価格帯から1本ずつという形式にシフトしても面白いかもしれません。
他方、このあたりを制限しても候補は多いので、どれを取り上げるか悩むことにはなりそうです。


今回の話は、年に2回招聘頂いている、非公開のブラインドテイスティング会をきっかけとして、同会代表の谷嶋さんから頂きました。
これまで酒育の会と特段接点のなかった自分ですが、今までの経験を微力でも同会の理念に役立てられればと思います。
先に述べたように、最初はオフィシャルで最近注目している美味しい銘柄、面白い銘柄を中心に。その上で来年からは、日本のリユース市場に一定数以上在庫があるオールドボトルについても別特集で掲載していければと考えており、企画案は提出済みです。

なお、本著述については会社の許可をとった上で実施しています。今後は許可範囲内で、自分の時間のなかで無理なく参加させていただくつもりです。
そのため、締め切り前は執筆を優先するためブログの更新が止まるかもしれませんが。。。そこは察して頂ければ幸いです。(笑)
リカルでのくりりんも、よろしくお願いします!

日本におけるウイスキーの原材料表記の順序と疑問について

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日本で発売されているブレンデッドウイスキーには、原材料として、写真のように「原材料:モルト、グレーン」という表記があります。

一般的な食品表示法の観点から言うと、原材料が左側に書いてあればあるほど、含有量(重量)が多いと理解されます。
ところが、スーパーやコンビニなどで販売されている1本1000円しないような安価なブレンデッドウイスキーであっても、1本1万円を超えるブレンデッドウイスキーであっても、この表記は同じです。

ブレンデッドウイスキーは、クラシックなスタイルや意図的にモルトの個性を際立てたものでない限り、多くのレシピが半分以上グレーンで構成され、まして安価なものであればなおさらその傾向は強くあります。
それを食品表示法の観点で整理すると「原材料:グレーン、モルト」と表記されるべきでは?という疑問が残るわけです。


この点について、ちょっと周囲で話題になっていたので、自分もウイスキー製造関係者に質問したりして、現場の整理などを確認してみました。
結論から言うと、日本で作られるウイスキーは"原材料の表示義務"がなく、その表記については別途定められている「ウイスキーの表示に関する公正競争規約及び施行規則」の整理で、モルト、グレーンの順に表記すると”読める”ので、それに倣っているというのがオチです。

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ウイスキーの表示に関する公正競争規約及び施行規則
以下、施行規則該当箇所。
(1) 原材料名
ウイスキーの特長を決定する要素に 基づき、「原材料名」という文字の後に、 次に掲げる原材料名を順次表示するも のとする。
・麦芽又はモルト
・穀類又はグレーン (「穀類」又は「グ レーン」の括弧書として類名を記載し又は穀類の種類名をそのまま表示しても差し支えないものとする。)
・ブレンド用アルコール (穀類を原料とするものを除き、これらを当該ウイスキーにブレンドした場合に表示するものとする。)
・スピリッツ (穀類を原料とするものを除き、これらを当該ウイスキーにブレンドした場合に表示するものとする。)
・シェリー酒類 (容量比で2.5パーセントを超えて使用した場合に、表示する。)

※スコッチなどの輸入ウイスキーは公正競争規約の対象外。
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「順次表示する」とあって、施行規則の順番がモルト、グレーン、ブレンド用アルコール、スピリッツとなっているので、施行規則のまま対応すると、比率は関係なく現在の「モルト、グレーン」表記で統一される。どんなブレンデッドを「モルト、グレーン」の順番に表記しても、法的には全く問題ないのです。

一方、バーボンのようにコーンや小麦が8~9割、モルトが1割といったマッシュビルが公開されていて、比率が明らかな物は、一般的な理解に倣って「グレーン、モルト」と表記されるケースもあります。バーボンは公正競争規約の対象外だからとも言えますが、日本産グレーンウイスキーも同様の記載であるため、これが紛らわしさに繋がっています。
またスコットランドからバルクでブレンデッドウイスキーを購入すると、使われているモルトとグレーンの比率がわからないものもありますから、それをブレンドした場合仕上がった製品の正確な比率もわからなくなるため、施行規則の読み方に倣う形になる、というわけです。

こうした法令等で誤認を招く箇所については、文面を変えずとも注釈や補足資料をつけるなどして整理ができそうなものです。
ですが該当箇所は施行時から変わっておらず。言い方は悪いですが、これまでウイスキーを購入する側に、比率とか順番とか、あるいは輸入原酒とか、気にされる方はそう多くなかったということもあるのでしょう。
日本でウイスキーの定義に関する問題意識が一般に広まったのが近年であるように、表示の整理が長くこの記載のままであったのは、それが問題にならなかったからであると推察します。


ところで、この施行規則にはもっと根深いことが書かれており、個人的には原材料順序よりそちらのほうが問題であるように考えています。
それは、同じ項目にある「ブレンド用アルコール」と「スピリッツ」について。これらは"穀類を原料としたものである場合"は、記載する必要はないという点です。

おそらく、この記載は”酒税法第3条15項ウイスキー(ハ)”との横並びをとったものと考えられます。
該当箇所は当ブログでも度々触れていますが、日本の酒税法で定義するウイスキーについてまとめた酒税法上の記載。
ウイスキーは「イまたはロに掲げる酒類※にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコールスピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分総量の百分の十以上のものに限る)」とする。
イはモルトウイスキー、ロはグレーンウイスキーですが、原酒100%ではなく、ざっくり計算で度数50%のモルトウイスキー10に対して、アルコールやスピリッツは90まで添加しても、ウイスキー扱いすることが認められているというものです。

ここで先に紹介した施行規則における整理を合わせると、穀類で作ったブレンド用アルコール、スピリッツであれば、上記の整理で90%まで混ぜても、原材料には表示されず。
そしてどのボトルもウイスキー表記で原材料:モルト、グレーンとなるのです。(っていうか表示されてるものは何を原料にしたんだろうか。。。)
正直、これは危ういところだと思いますね。
ここまでやるとそもそも味でモルトの風味なんて感じられないし、しかしカラメル添加でそれっぽい色合いにはなっている。流石に完成度云々のレベルではなく、果たしてウイスキーといえる飲み物なのでしょうか。

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ちなみに、シェリーの2.5%未満は香味料としての整理になります。
何でシェリーだけ個別に記載されているのか。ウイスキー≒シェリー樽熟成の歴史的背景から、樽に染み込んでいる分を計算しているのかと思っていましたが、樽は容器であり、染み込んでいたものや元々あった成分が溶け出てしまうのはノータッチ。
また、ワインを添加することは整理がないので難しいけれど、ワインフィニッシュとして、ワイン樽に染み込んでいたワインが溶け出すのは問題ありません。ということは、一度樽に染み込ませてしまえば何でも混ぜられるということに。。。

どの分野もそうですが、結局、抜け道はいくらでもあります。それを完全に塞ごうとすると、いたちごっこになるか、極論同じものしか作れなくなって競争性が担保出来ない領域になりなす。
それ故、こうしたルールはある程度の柔軟さも必要で、それをどう解釈して使うかという作り手の姿勢にかかってくると言えます。

現在の日本のウイスキーに関するルールは、まさに解釈次第で毒にも薬にもなります。
いい方向に使えば新しい可能が、そうでない方向に使えば粗悪なものが。冒頭触れた原材料標記の順序にしても、ウイスキーとして"完成度が高ければ"個人的にはどちらでも良い。例えばモルト4:グレーン6、モルト6:グレーン4のブレンドを飲み比べてみても、グレーン比率が高いから質が悪いという訳ではなく、前者の方が完成度が高い場合もままあります。

ウイスキーブームで様々なメーカーが業界に参入する昨今。我々愛好家に求められるのは規制を声高に叫ぶ以上に、より良いものを作ろうとする真摯な作り手を、自分の目と耳、あるいは鼻と舌で見極めることではないかと思うのです。

ワールドウイスキーアワード2019発表 日本は4部門で戴冠

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昨日、ウイスキーマガジン社主催のウイスキーの国際コンペ、ワールドウイスキーアワード2019の結果が発表されました。

このブログの読者の皆様は既にご存じかもしれませんが、今回のWWA2019では、テイスティング全15部門のうち、世界的に作り手がおり競争率の高い主要な区分といえる、ブレンデッド、シングルモルト、グレーンで設けられた7部門中、4部門で日本のウイスキーメーカーが世界一に輝くという、輝かしい結果となりました。
(15部門のなかには、バーボンや、カナディアン、アイリッシュなど、日本が参加できないものや、そもそも生産していないものがある。)


ワールドウイスキーアワード2019 テイスティング部門 主要7部門結果
◼️ブレンデッド(リミテッド)
イチローズモルト ジャパニーズブレンデッド リミテッドエディション2019

◼️ブレンデッド
サントリー 響21年

◼️ブレンデッドモルト
ニッカウイスキー 竹鶴ピュアモルト 25年

◼️シングルモルト(シングルカスク)
サリヴァンズコーヴ フレンチオーク TDo2017

◼️シングルモルト
ティーリング ウイスキー 24年 ヴィンテージリリザーブ

◼️グレーン
キリン 富士御殿場 シングルグレーン 25年 スモールバッチリリース

◼️ニューメイク
スタウニングウイスキー キュリアス ピートスモークドモルテッド ライ

参照:http://whiskymag.jp/wm_award2019/


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「日本のブレンド技術は世界一イィィィィ!!」
と、お約束のネタをつい口にしたくなるような結果です。
それも1社独占でなく、主要メーカーがすべて受賞。なかでも響や竹鶴、富士御殿場グレーンといった、WWAアワードの常連にして、戴冠することに疑問はないド本命な銘柄はさておき・・・。

サプライズはイチローズモルトのモルト&グレーンが、ブレンデッド(リミテッド)区分を2年連続で戴冠したことですね。
ブレンデッドモルトとシングルモルト部門はエントリーが多いだけでなく、各社力をいれてくるリミテッド区分で2年連続、その前のシングルモルトでの受賞を含めると3年連続というのはサントリー、ニッカらと肩を並べる快挙です。

ただ、このリリースは羽生モルトと川崎グレーンという、今はない遺産をメインに使っています。
昨年受賞したモルト&グレーンLE2018を飲んだ印象では、美味しいは美味しいのですが、羽生の特徴がかなり強く出て、長期熟成グレーンでそれを繋ぎ合わせているような構成。今回のリリースは多少秩父の特徴も出ていると言う話も聞きますが、軸になっている2つの原酒の在庫がほとんどない状況で、培ったブレンド技術をもって秩父の新しい原酒でどこまでやれるかが、今後の課題だと感じます。

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ジャパニーズウイスキー以外に目を向けると、シングルモルト部門ではティーリング24年が受賞。これまでのティーリングのリリースから香味を推察するに、アイリッシュ系のトロピカルなフルーティーさ、近年評価されているキャッチーな香味が備わっているものと思われます。
まあ妥当なとこですよねと。日本地区のWINNERは白州25年だったそうですが、ここまでくるとその時々の審査員の趣向の違いで片付けられる差ぐらいしかないんじゃないでしょうか。

一方で、シングルカスク部門が異端。
タスマニアの衝撃再び。オーストラリアンウイスキーのサリヴァンズコーブのフレンチオークカスクが再びの受賞です。
以前もサリヴァンズコーブはシングルモルトでアワードを受賞しており、どんなもんかと飲んでみましたが、世界一かと問われると返答に困る内容でした。
今回は違うのかもしれませんが・・・WWAはたまにこういうよくわからない受賞があるので、それが面白くもあり、疑問でもあるのです。(順当な結果ばかりじゃ面白くないのも事実です。)


この他、惜しくもアワードを逃した地区代表のウイスキーを見ていくのも、WWAの面白さです。
シングルモルト区分だと、スコッチは各地域の代表銘柄が選ばれていて、ローランド部門ではグランツの第4上流所であるアイルサベイが受賞していたり、キャンベルタウン部門はグレンスコシア25年、ハイランドはグレンモーレンジ1989・・・長期熟成のリリースが減ってきている昨今にあっても、やはり層が厚い。

一方で、ジャパニーズ区分を見ると、ブレンデッドでは若鶴酒造のムーングロウがカテゴリー別のWINNERを獲得していたり、次点以降には何かと話題になる倉吉の姿もあります。
日本産原酒が使われていないだろうリリースをジャパニーズと呼んで良いのか(実態はスコッチなのではないか)、という疑問はさておき、今回の結果は日本のウイスキー主要メーカーのブレンドに関する高い技術に加え、力を付けつつある新しい世代の存在も感じられた結果だったと思います。

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なお、コンペといえば、先日、ウイスキー文化研究所が日本初となる「東京ウイスキー&スピリッツコンペディション」を開催したところです。
今後発表される結果が、今回のWWAと比べてどうか。特に上記コンペは日本のテイスターが中心になって審査をしていますから、その違いを見るのも楽しみですね。

キャプチャー画像引用:http://www.worldwhiskiesawards.com/

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