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ジャパニーズウイスキー「響」のフェイクボトル報道に思うこと

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いつか話題になるだろうと思っていた、ネットオークションにおけるジャパニーズウイスキーのフェイクボトル。その逮捕者が出たというニュースが、本日配信されています。

中身は別のウイスキー 偽「響30年」販売容疑で逮捕(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASL8P41T0L8PONFB006.html

自分がウイスキーを本格的に飲み始めた2010年頃、フェイクボトルと言えばスコッチでマッカランやスプリングバンク、あるいは陶器瓶のラガヴーリンなど、海外から買い付けるような一部のレアなボトルに限られていました。
代表的なものが、昨年ニュースにもなった100年前のマッカランとかですね。
国内ではマッカラン30年ブルーラベルが話題になるくらいで、よほど高額なものでなければフェイクづくりは割に合わないというのが定説だったとも記憶しています。

ところが、近年のジャパニーズウイスキーブームを受けて、まずはイチローズモルトのフェイクと思しきボトルがヤフオクなどで見られるようになり。スコッチモルトも高騰し始めた結果、近年リリースでもフェイクを疑われるボトルが徐々に増えていました。
そして極め付けが、今年発表された白州、響の休売ニュース。海外からの買い付けで流通価格の数倍という価格高騰を引き起こした結果、メルカリやヤフオクの所謂転売系の出品物に明らかにフェイクと思しき響17年以上が混じり始めたのです。
それは散見というほどの数はないものの、事件化することは時間の問題だったようにも思います。


疑わしきは・・・ということで、この場でWEB上に出品されている(されていた)ボトルを名指しすることはできませんが、例えば最近メルカリやヤフオクで見かけた響で、明らかに怪しかったモノの特徴は以下の通り。

①開封済みである。
②液面が通常より高い。
③撮影の影響を差し引いても、色が濃いor薄い。
④ラベルが張り直されたような跡がある。
⑤キャップシールのデザインが異なる。

はっきり言って、上述のレアなオールドボトルのそれと比べると殆どは雑なフェイクであり、個別に解説するまでもありません。ラベルをルーペで拡大したり、キャップシールを一部切り取ってコルクの状態を確認しないと認識出来ない精巧なフェイクに比べれば、あまりにも稚拙。
現時点ではキャップシールまで複製して詰め替えているようなケースは少なく、①、②、③がセットになっていたりで、笑いのネタにすらなるレベルです。

他方、④や⑤は解説の余地があるので少し述べていくと、まず④は最安価の響ジャパニーズハーモニーのラベルを剥がし、響17年以上のグレードのラベルを調達(あるいはプリント)して貼り直した、所謂ニコイチと思われるものです。
響はボトルのカットがグレード毎に変わるのと、ウイスキーの色合いもジャパニーズハーモニーと17年以上では異なるため、注意して見ればわかるのですが・・・。以前あったこの怪しい出品物は、残念ながら落札されていました。
また、⑤については、今回ニュースになっているケースが該当すると思われるもの。響のキャップシールは現行品だと斜めにカットが入り、HIBIKIなどの印字があるのですが、それらが全くないのっぺらぼうなモノがありました。

そして、このような市場状況が続くと確実に増えてくるのが、先に述べた「精巧なフェイク」です。
既に高額なジャパニーズウイスキーの空き瓶が、オークションなどで数万単位の価格でも落札されており、その行き先は純粋なコレクターだけとは思えません。
キャップシールを複製して詰め替えされると、少しでも液面の高さ、色合いをごますように見える写り具合のような、怪しいところがあれば購入しないという予防策を取る以外に手はないのです。

これまで海外から調達されてしまったオールドボトルのフェイクは、泣き寝入りするしかなかったケースが殆どであるように思います。現在は逆に、海外の愛好家がジャパニーズのフェイクを掴んでしまったという悲しい話もあります。
しかし現行品で国内となれば、明確なフェイクは責任の所在を辿ることはある程度まで可能であると思います。

今回のケースは、まさに氷山の一角。容疑者らが悪意を否定している状況(偽物と知ってたけど、騙す気はなかったって、弁明にならんがな。。。ってか何入ってたんだ)ですが、少なくとも逮捕者が出たことで、フェイクの出品に歯止めがかかってくれることを期待したいです。

ウイスキー写真作品展企画のためのクラウドファンディング ~Why do you like whisk(e)y?~

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当ブログにウイスキー関連の写真を提供頂いているT.Ishiharaさんが、それらの写真を使った作品展を開催するためのクラウドファンディングを立ち上げました。
内々には今年の年始から動かれていた企画、いよいよ本格始動です。

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ウイスキー写真作品展企画のためのクラウドファンディング 
https://camp-fire.jp/projects/view/87198

Ishiharaさんはウイスキーに興味を持たれた後、ウイスキーだけで80以上(テキーラなどを合わせると100以上)の蒸留所を巡り、ただ飲むだけでなく、現地の空気や作り手の心を知ることに活動の重きを置いてきました。 
今回の作品展は、そうした活動の中でIshiharaさんがウイスキーに惚れこむ理由となった「同じウイスキーという名前でも、その土地や文化によって大きく異なる世界観」を伝えることをテーマとし、自分の作品を通じてもっとウイスキーを好きになってもらいたい、と言う想いが込められています。

そのため、作品展では単に蒸留所の写真を飾るだけでなく、ウイスキーを取り巻く環境や物語を紹介しつつ、そのウイスキーも同時に楽しめるように準備を進められています。
会場や日時は現在調整中で、23区内で12月中に開催。入場料は1000円程度を想定されているとのことで、ファンディングに参加していなくても来場することは可能。ウイスキーの方はオフィシャルのみならず、自身が所有するカスクサンプル、蒸留所限定のボトルなども提供できるように準備を進めているそうです。
流石に後者は物量に限りがあるので入場者全員分というワケには行かないでしょうけれど、まさに自身が感じたウイスキーの世界観を切り取って表現する"作品展"という企画になります。

インバーネス-エルギン間その1
グレンモーレンジ・ポットスチル
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(Ishiharaさんが撮影された写真の一部。ブログ記事用にまとめて提供頂いていますが、どれも雰囲気ありますね。しかし、猫かわいい、猫。)

Ishiharaさんとは今から約3年前にテイスティンググループを立ち上げたところからの繋がりで、以来何かとやり取りをすることが多くありました。
テイスティンググループでは蒸留所の写真や動画などを資料に、原酒の特徴、ハウススタイルを紹介されることも(下写真参照)。なんせウイスキープロフェッショナルの資格取得は勿論、新婚旅行は3回に分けてスコットランドを回っただけでなく、その後はバーボン、アイリッシュと各蒸留所を巡られていて、現地の知識は日本でも有数と言えます。
時には「訪問した蒸留所への愛」故に、喧々諤々とした議論になることもしばしば。。。それだけ真剣にウイスキーのことを見ている愛好家の一人だと感じています。

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(以前開催されたフォアローゼズを中心にバーボンを勉強する会。メインは蒸留所の写真や動画を使ったバーボン講座と、現地調達いただいた蒸留所限定のレシピ違いシングルバレル・プライベートセレクション。)

なおクラウドファンディングの募集開始は昨日8/17ですが、なんと1日経たず目標金額を達成!作品展の開催はすでに決定しています。
この記事の更新予約をして経過を見ていたものの、とてつもない勢いに文末を慌てて書き換えている次第。。。Ishiharaさんの人望と、企画そのものへの期待の大きさが伺えます。
ただ本音を言えば目標額の20万円を飛び越えて、数倍規模でのサクセスを達成して欲しい企画だと思っていたので、ここからがスタートライン。どこまで規模が大きくなるか、12月の開催が今から楽しみです。
皆様、引き続き応援よろしくお願いします!

リカマン ウィビアメッセ in Kyoto 会場レポート

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関東圏外のイベントには中々伺うことができない自分ですが、今回は会社の休みと、近場での約束事が重なってリカマン主催「Whisky & Craft Beer Messe in KYOTO 2018」に参加しています。

しかしこんな時に限って週末は台風の直撃。それも通常とは異なるコースを通る台風ゆえ、その影響は未知数・・・。早めに撤収できるよう駆け足気味になりますが、今回は以下のイメージで、ウイスキー関連のブースを中心に会場の様子をレポートしてみました。

レポートのまとめ方。 
【○○○○関連】←区分
「ブース写真」
■○○○○社 ←出展者
・○○○○ ←ブース内のピックアップ
・○○○○※ ←有料アイテム

ピックアップアイテムがあればそれをまとめ、その後区分ごとの雑感をまとめ書きして、一つのグループとします。
面白いボトル、注目の情報などあればリアルタイムで追記していきますので、参考になれば幸いです。


【クラフトウイスキー関連】
■嘉之助蒸留所
・ニューメイク 2種
・ニューメイク ブレンド
・ニューボーン メローコヅル樽4ヶ月熟成

■長濱蒸留所
・ニューポット ノンピーテッド
・ニューポット ヘビーピーテッド
どれがオススメですかと聞いて注がれたのは、ノンピーテッド。去年の仕込みのものより余韻のベタつきが少なく、スタイルは改善されつつある印象。ヘビーピートも同様に悪くない。

■若鶴酒造
・ニューポット2018年蒸留※
・ムーングロウ2ns 2018年リリース※

クラフトのブースでピックアップするのは、今年仕込んだばかりのニューポットが定番なのですが、今回はその筆頭たるイチローさんいないんですね。
ちょっと意外なイメージを持ちつつ、ブース回りスタート。

九州期待の新鋭、嘉之助蒸留所のそれはスチルの形状によって微妙に違いはあるものの、基本的には透明感があり繊細で微かにジンのような香味を感じます。
丁寧かつ基本に忠実に作られた印象を受けますね。既に作り分けをイメージされており、短期熟成用と10年くらい熟成させるもので複数考えられているようですが、樽との組み合わせなど、まだまだ試行錯誤も必要と思います。

そして若鶴酒造、三郎丸蒸留所は今年仕込みのニューメイクがかなり良くなっています。ほのかに根菜感を伴う土っぽいピートフレーバーに、ボディがしっかりと厚く、余韻にかけての甘みが嫌味なニュアンスを伴わず残る。
実は先日製造現場を見学しているのですが、今まで密造時代を思わせるような手作りだった工程がライン化され、安定して仕込みができるようになったのも、酒質の向上に作用しているようです。


【メーカー&スコッチ蒸留所】
■ペルノリカール
・レッドブレスト12年、15年、21年
・シーバスリーガル25年

■ボウモア
VR視聴が面白い

■キリン
・樽出しヘビータイプグレーン
・富士山麓シグネチャーブレンド
いつもの樽出しグレーンは相変わらず美味しい。そして富士山麓シグネチャーブレンドはキリンドリンクス限定発売から、いよいよ一般市場に展開されるとのこと。

■グレンスコシア&ロッホローモンド
・グレンスコシア18年ダブルカスク

ペルノリカールさん、試飲が充実していてレッドブレスト各種と、シーバスリーガルが25年まで全部無料というのは太っ腹(笑)。
レッドブレスト21年は25年よりシェリー感が穏やかで、アイリッシュ的なフルーティーさがわかりやすくおいしい1本。12年、15年の延長戦とするには異なる印象があり、やはり仕込みの時期による違いでしょうか。。。
シーバスリーガルも25年はやはり熟成したスペイサイドのフルーティーさが主体でよく出来た一本です。
その他、ボウモアのVRは空いているうちにどうぞw

また、ウイスキー以外では今回上記のような熟成焼酎ベースのリキュールがいくつかありましたが、中でも沖縄20年は結構面白いボトル。
熟成焼酎をリキュールにするため、規定値の糖分を添加したとのことで、ストレートでは作為的な甘みがあったものの、20年熟成は伊達じゃなく、熟成感がありロックで飲むにはちょうど良さそうな古酒ベースのリキュールでした。


【インポーター&酒販店】
■田地商店(信濃屋)
・フォアローゼズ プライベートセレクション
・ジョニーウォーカー キングジョージ5世※

■ウィスク・イー
・グレンアラヒー10年、12年

■明治屋&ワイルドターキー
・クールドリヨン&ルジン
・ワイルドターキー ケンタッキースピリット

■スコッチモルト販売
・グレンキース19年 1998-2018
・グレングラント22年 1995-2018
・キルホーマン6年

スコモルさんのブースには、後日リリースのボトラーズ新商品3種。PRなく既存品と勘違いw
グレンキースはオロロソシェリー樽の熟成ですが、どシェリーという感じではなく、バランスのとれたリンゴのカラメル煮系のフルーティーさを備えたバランス型の1本。グラントはオーキーで華やか、ウッディなニュアンスと共に安定した近年のアメリカンオーク系ボトラーズリリースの王道タイプです。

信濃屋さんは同日開催していた静岡のほうにも出店しており、ボトラーズウイスキーはそっちとのことで、こちらは並行品を中心に普段扱いやすいボトルを揃えられたとのこと。
自分一押しのローゼズ、やはりおいしいですね。また、キングジョージはポートエレンやカリラを思わせるアイラ系のニュアンスがしっかりあり、バランスよく飲みごたえもあるブレンドでした。

関東方面ではあまり見かけない気もする明治屋さんですが、クールドリヨンは最近自分がハマっているペイドージュ表記の6年もの。若さはあまりなく、ハイボールが美味しい。
リンゴのジンとして知られるル・ジンも柔らかい爽やかさがあって良いですね。
ブースにソーダと氷があり、人のソーダ割りが染みるようにうまかったのです。

ウィスクイーさんは新たにリリースされるグレンアラヒーのボトル版を出展。バーショーではサンプル瓶でしたが、改めてテイスティングしても、バランスの良いオーキーなフルーティーさが美味しい1本です。

【その他】
■有明産業
・桜、栗、ミズナラなど各種木材による樽熟成サンプルテイスティング

■Whisktail.tokyo
・GREEN QUIET※
・KEY & BRICK※
・COLDBREW GAELIC COFEE※

■ボトルオフ
・IWハーパー 1980年代流通 特級表記
・響 旧ボトル 2000年前後流通※
・響 21年 花鳥風月ボトル※
・マルス 宝剣岳 14年 原酒 58.6%※
全て200〜300円は破格。。。

■アプレリカー
・ワイルドターキー12年 1980年代
・ワイルドターキーケンタッキーレジェンド1980年バランタイン30年 1980年代
・グレンフィデック 21年 ウェッジウッド
これが全部無料とは。。。攻めてる!!ってかちょっとおかしいw

今回のイベントは最も特色あるブースだったのではないかというのが、有明産業さん。工場が九州にありますが、本社はこちら京都にあるメーカー。地元ということで出展されているようです。
一度伺ってみたく、そして樽ユーザーとしてご挨拶したかったので、それだけでイベントに参加した甲斐があったというものです。
ステージで実演されていた樽の解体も面白かったですね。

その出展内容は、桜、栗、ミズナラ、杉、ヒノキなど、和の木材を使って熟成したサンプルの提供。どれも個性の強い樽ですが、フィニッシュに使うには面白く、さらに桜は桜餅的な独特な香味があるだけでなく、栗はタンニンの強さはあるものの、意外にミズナラに近いニュアンスがあるなど、様々な発見があり実に面白いブースでした。

Whisktail.tokyoは先日の記事でも紹介した、ウイスキーカクテルの提供ブース。グレンリベット12年をベースとしたカクテル以外に、水出しコーヒーを使うものなど、新しいアイディアもふんだんに使った1杯を提供されています。
ウイスキーやビールの箸休めにもってこいです。

そして最後に関西のリサイクルリカーショップ2店舗が何かおかしいw
ハーパーにバランにフライングターキーにフィディック。。。この試飲は苦情が出るレベルです(笑)



と、こんな感じでざっと回れるだけまわり、進行形で書いてました。
記事にはしてませんがビールとフード、あとはリカマンメッセだけあって市販品を中心にジンやラムどもだいぶ充実しており、そちらがメインの参加者も。
つまるところバーショーより、エンタメ色を控えめにして、エントリー層を中心に試飲などを充実させたイベントというイメージを持ちました。

会場は十分広く、スタッフも多数配置されていて、来場人数4000人越えの中でも大きな混乱はなかったですね。
ただ一つ言えば水がフリーではなく、有料だったのが難点だったように思います。水の提供の仕方は改善点。。。でしょうか。
何れにせよ、イベント主催であるリカマンさん、悪天候も危惧される中、長丁場のイベント大変お疲れ様でした!!
また機会がありましたら参加させていただきます!


イベント後は某蒸留所マネージャーの誘いで京都醤油系ラーメンの2大有名店を梯子。お昼おにぎり一個だったんで美味しく食べてしまったわけですが、余裕こいていた結果、新幹線が台風でストップ。
その後は、どうせ帰れないんだからと京都在住のウイスキー仲間に誘われ、ラム&ウイスキータリスカー、そしてマルシン飯店からの宅飲みまで、久々に寝落ちするほどの怒涛のラッシュを味わいました(笑)。
いやぁ。。。京都は怖いところですわ。。。

そう言えば、ラム&ウイスキーでは偶然ある有名ウイスキーメディアの方と隣り合うなど、出会いもありました。
その辺の話はまた後日、機会があれば。

BAR LIVET発祥 ウィスクテイル(Whisktail)で新しいスタイルのカクテルを楽しむ

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いつもお世話になっている新宿3丁目のウイスキーバー、BAR LIVET。
あれは確か1年前の8月。マスターである静谷さんから是非飲んでみて欲しいと勧められたのが、「ウィスクテイル(Whisktail)」として試作中のウイスキーカクテルでした。

その直前、静谷さんは京都まで研修に出ており、何か思うところというかインスピレーションを得るものがあった模様。
「ウイスキーをもっと広めるために、ウイスキーベースのカクテルレシピを100種類開発しようと思うんです。」
僕は覚悟を決めましたと、真剣そのものの静谷さん。
100種類ってマジか、なんて思っているうちに出てきたカクテルは、タリスカーストームを使ったフローズンカクテル。
ほのかにスモーキーで柑橘系のニュアンスを伴う爽やかな味わいですが、「バランスは良いけど、らしさというかイメージ的にはストームよりスカイですよね。」なんて偉そうにもダメだししてしまったのを覚えています。 

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ですが試みは面白く、そのグラスは可能性に満ちていると感じました。
ウイスキーというのは基本的に度数が高く飲みにくいものです。 いくらウイスキー業界的には飲みやすいと言われるブレンデッドや長期熟成のウイスキーでも、慣れない人にはどうしても抵抗感があり、数字だけで敬遠されるケースもあります。
市場では、ソーダやコーラ、ジンジャーエールなどで割って度数を落として飲むという方法が、今まさにブームの一つを作り出したわけですが・・・それはウイスキー全般が受け入れられた訳ではないとも言えます。

ウイスキー本来の魅力は、その豊かな香味と個性にあります。
真の意味でウイスキーが普及していくためには、ハイボールとウイスキー単体の間にもうワンステップあってもいい。静谷さんはBARならではのツールとしてカクテルを用いてイメージを払拭し、ベースとなるウイスキーが持つ香味や個性を判りやすく、あるいは親しみやすくすることでウイスキーそのものにも関心を持って貰えるのではないかと考えたのだそうです。
また、これはバーマンがウイスキーに対して持っているイメージの発展系として味が作られる訳ですから、既にウイスキー好きを自認する方々にとっても、「成る程こういう理解なのか」と、新しい楽しみ方になるのではないかと感じました。

そしてあれから1年。。。試作を重ねて静谷さんは本当に100種類のウィスクテイルを開発。次いでBar Private pod 、エソラデザイニングとの業務提携により、それぞれが得意分野を活かす形でWhisktail.tokyoを立ち上げ、レシピの順次公開にも着手。当時考えていた自らの理想に向けてまい進しています。 



今回、上記動画として公開されたのがWhisktail.tokyo第一弾、グレンリベット12年をベースとしたレシピ「GREEN QUIET」。早速BAR LIVETで飲んできました。 

グレンリベット12年に感じられる個性といえば、林檎を思わせる品の良いフルーティーさ、バーボンオーク由来のオークフレーバーとほのかに乾いた植物のようなニュアンス。。。あたりが上げられるわけですが、このレシピはカクテルとしてベースのそれらの香味を強調したような、クリーミーな林檎系のフルーティーさがしっかりと感じられる。作り上げようとした味わいが、メッセージが明確に伝わってきます。


自分はこの1年でウィスクテイルをだいたい10レシピ弱くらいしか試せてないのですが、GREEN QUITEのように穏やかで飲みやすいレシピもあれば、バーボンベースの王道的なものや、中には下の写真のようにスモークチップで燻香を上乗せし、スパイスなどで共通する香味を増した実に個性的なレシピも有ります。
これは。。。中々衝撃的な味わいでした(笑)。
これら全てのレシピは今後専門サイトを開設して公開されていくとのことで、それこそ全国展開、あるいはさらなるアレンジが加わることも。今後どのような広がりを見せてくれるのか楽しみです。

さて、このウィスクテイルですが、先日は新宿ビックロでのイベントで提供されるなど、メーカーからも注目されて徐々に認知度が上がってきているところ。今週末7月28日(土)には、京都で開催されるリカマン主催のウイビアメッセ in Kyoto 2018においても、Whisktail.tokyoとしてブース出展があります。 
京都研修でインスピレーションを得た活動の凱旋、と言うのは過剰でしょうか。
当日は、上記動画にもあるGREEN QUITEに加え、計3種類のウィスクテイルが提供されるそうです。

リカマン ウイビアメッセ in Kyoto 2018

Whisktail.tokyo ブース紹介

Whisktail.tokyoに関する公式発表

ちなみに、イベントには自分も一般枠で参加する予定です。
普段中々遠方のイベントには参加できないのですが、前日夜にたまたま福井の友人宅に居るので「あれ?いけるんじゃね?これ」と、急遽参加決定(笑)。
当日はブースの様子と、バーマンとしての活躍をしっかり見てこようと思います!

シングルカスクウイスキーをアイドル化するのは止めるべきという意見

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FBタイムラインで、ウイスキー仲間がシェアしていた以下の記事。本件についてはこれまで自分も多かれ少なかれ考えていた内容でもあったので、ここで紹介すると共に自論をまとめたいと思います。 


STOP IDOLISING SINGLE CASK WHISKIES
Scotch Whisky .com(2018/7/10)

https://scotchwhisky.com/magazine/opinion-debate/the-way-i-see-it/19800/stop-idolising-single-cask-whiskies/

書かれている内容は、端的に言えば「シングルカスクウイスキーを過剰に評価してませんか?」という話。
シングルカスクウイスキーは樽や蒸留所などの情報は明確だし、原酒一つ一つを限りなくそのままの香味で楽しむことは出来るが、それらは決して味の良さや原酒の品質を保障するものではないということ。高品質なウイスキーの条件はシングルカスク縛りではなく、あくまで1つのジャンルであって、ブレンドウイスキーなどと平等に評価されるべきというのが記事を通しての著者の意見です。 

この記事については自分もほぼ同意見で、考察のポイント含めてよくまとめられた内容だと思います。確かにそういう傾向あるよねと。ただ、少々ワンサイド気味な主張にも感じてしまうのが、時系列と経験に伴う消費者サイドの趣向の変化を考慮していない点にあると思うのです。


自分もそうだったのですが、ウイスキーに興味を持つきっかけは個人個々としても、ある一時から
・飲む前から40%や43%の加水リリースのウイスキーを残念に感じる。(特にGMの蒸留所ラベルとか)
・ハイグレードのブレンデッドウイスキーは、なぜこの原酒を混ぜてしまったのかと感じる。
・同じ価格ならブレンドやシングルモルトよりもシングルカスクのほうを購入してしまう。 
などなど、ある種のシングルカスク・カスクストレングス至上主義的な感覚を持つ場合が多いのではないでしょうか。

前置きすると、あくまで自分の主観的な分析であって、全ての愛好家が必ずそうとは思いません。また仮にそうであっても、それを否定するものでもありません。
ただ、そうした趣向を持った上で様々なリリースを経験した結果、最終的にその道を貫く方も居れば、「加水には加水のよさがある」「ブレンドの面白さに気が付く」という趣向の変化を経験する人も居るという点が、シングルカスクの位置付けを考える意味で重要なポイントだと思います。


ブレンド全盛だった1980年代に比べ、近年のウイスキー市場は多様さを増し、バッテッド、シングルモルト、シングルカスクなど様々なリリースが増えて勢力図が変わりつつあります。
では、シングルカスクウイスキーを一つのジャンルとして捉えた場合、シングルカスクウイスキーは、混ざっていない単一の原酒であるが故に蒸留所や樽の個性を認識しやすく、ウイスキーを学ぶ上で重要な経験がわかりやすく得られることが強みであると考えます。

例えば、オーケストラやコーラスを普段聴かない人に、CDを聞かせてあの楽器が良かったとか、あの人の声が良かったとか、ある特定の要素を切り出して感想を求めても答えづらいのではないかと思います。これは不慣れ故に音の聞き分けが追いつかないためで、指揮者の役割についても同様です。

しかしソロパートについてならどうかというと、これなら明確に認識できます。
そして様々な楽器について学んだ上でオーケストラを聞くとどうか・・・。当然それぞれの音にピントが合いやすくなり、全体の中で指揮者の意図にも気が付きやすくなると期待出来ます。
この話をウイスキーにそのまま当てはめると、シングルカスクはまさに上記のソロであり、ウイスキーを学ぶ上では最初のステップに位置づけられると思うのです。
(実際、ブラインドテイスティングでも、シングルカスクを中心に飲んでる方は予想が的確な印象がありますね。)


なお、認識のし易さは逆にごまかしが効きづらく、荒さも目だってしまうというデメリットと言えるかもしれません。
総合的な完成度と言う点では、ブレンド、バッティング、加水と手を加えるほうが上がりやすくなるのも事実。 その為、シングルカスクリリースは必ずしも美味しさが保障されるものではないのですが、稀に単独で完成度の高い突き抜けたリリースもあります。
ブレンドとは異なる香味の広がり方は快活にして明瞭であり、そしてその存在を知ってしまうと、熟成の神秘という大きな謎に触れるが如く次の邂逅を求めて沼にハマってしまうわけです。
そういう突き抜け系のウイスキーを飲んだことがある身としては、シングルカスクをアイドル化してしまう心も非常によくわかります。

何だかとりとめなくなってしまいましたが、時代が変わった今、シングルカスクにはシングルカスクで活かすべき要素があり、シングルカスクもシングルモルトもブレンドも、全部飲んで今の市場を楽しむような飲み方を推奨したいのが自論であります。
また、そのためにはリリース側のみならず販売側も、そのボトルの個性をわかりやすくPRしてほしい。なんか結論はあまり変わってない気もしますが、シングルカスクを無条件で迎合する必要はないとしても、それがどんな特徴を持っているかを正しく発信出来る。製造元を含めた売り手側のスキルが求められているようにも思うのです。

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