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カーデュー 8年 1960年代流通 43%

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CARDHU 
Aged 8 years 
Highland malt whisky 
1960's 
750ml 43% (26 2/3FL.OZS 75Proof) 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:ドライで乾いた麦芽と微かにハーブのニュアンスを伴う香り立ち。合わせて存在感のある古典的なピートスモークと、カステラの茶色い部分やオレンジママレードを思わせる落ち着いた甘みが開いてくる。

味:香り同様にややドライだが、しっかりとメローでオールブラン、麦チョコなど甘みとともに乾いた麦感、奥にはオランジェット、リンゴのカラメル煮、色濃く味つけた果実の風味がある。余韻は若干ひりつくような刺激もあるが、古典的なピートフレーバーが染み込むように長く続く。

オーソドックスに麦とピートという古典的なモルトの味わい。そこに果実のアクセント、カラメルソースのような甘み。ベースの厚みを感じる一方、香味とも多少ドライな刺激が経年で変化した若さの名残なのだろう。それにしても8年熟成とは思えない。

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ジョニーウォーカーのキーモルトとされているカーデュー。しかし現行品を飲んでも、ジョニ赤に使われているかな?程度でピンと来るところが少ない印象。
ところが、オフィシャルは古い時代のものであればあるほど、カーデューとジョニーウォーカーに繋がりのあるフレーバーが増えて来て、特にこの1960年代流通品は共通する味わいが特に多い、当たり前の話ですがキーモルトとしての繋がりを実感できます。

ただ1960年代のボトルについては、付属する冊子(上写真)に書かれているように、出荷が1ロット6000本という少量生産を1年間のなかで複数作っていた模様。酒質と個性が強かった時代ゆえ、各ロットによって香味差が大きかったようにも感じられます。
というのもこれまで4種類ほど、同時期流通のカーデュー8年を飲んでいますが、今回飲んだものは比較的ドライな構成。以前飲んだものはピートが強め、逆にとろりとしたブラウンシュガーのような。。。それこそ昔のジョニーウォーカーにあるモルティーさそのものというロットもあり。経年変化だけでは説明できない、ベクトルは同じでもそれぞれ仕上がりが異なっていたことが伺えます。

これも時代ですね。この個体差をそぎ落とした結果が、今ということなのでしょう。洗練されて統一的な味わいが得たものもで、失ったものは田舎臭くもある地酒的な個性。。。そして今の世代はその個性と量産出来るレベルを両立しようと、様々な取り組みを行っていると言ったところでしょうか。

グレンフィディックなど、かつて(と言っても20年くらい前)の味わいを取り戻した蒸留所もあり、近年スコッチウイスキー業界の製造現場でも温故知新の動きがあると聞きます。
このレベルまでとは言わないものの、ゆくゆくは1980年代くらいまではカーデューも復活してくれるだろうか。そう考えると、10年後のスコッチウイスキーも案外楽しみになってくるのです。

カーデュー 15年 40% オフィシャルボトル

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CARDHU
Single Malt Scotch Whisky
15 Years Old
40% 700ml

グラス:SK2
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★(5)

香り:華やかな香り立ち。麦芽の芯やおしろいを思わせる白っぽい麦芽香と、やや若さに通じる酸味やツンとした刺激。徐々にクラッカーの香ばしさ、蝋燭、微かにレーズンのニュアンスも感じる。

味:軽くスパイシーな甘みと共に、度数以上に力強さを感じる口当たり。香り同様に麦芽風味主体だが、こちらはオールブランの香ばしさに薄めたカラメルの甘み、勢いはあるが後半は少しべったりとしていて、奥行きはあまり感じられない。
余韻はほろ苦い麦芽風味と樽材由来のウッディネス。

先日は現行品のカーデュー18年を紹介しましたので、次は15年いってみましょう。
40%加水ですが味はしっかりしており、樽の香味としてはオーキーな華やかさ以外に、少しシェリー系のニュアンスも感じられます。また、若さも微かに残っています。
18年と比較すると同じような味の強さでありながら奥行きが少し軽く、同じように作ったスープでも、15年のほうがダシが少ないというような印象を受けます。ただ、ハイボールやロックなどで飲むなら、大きな差はあまり無いかもしれません。

カーデューについては、このブログの読者の皆様には「何をいまさら」というレベルで、素性を説明する必要も無いかもしれませんが、一応お約束のテンプレート、ジョニーウォーカーのキーモルトとして有名、という一言は記載しておきます。
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現行品のカーデューを見ると、ネック部分に旗を持った人物のシルエットが描かれています。
箱の模様も現行品は全てこのシルエットに統一されていて、これはカーデュー蒸留所を現在の軌道に乗せたとされる同蒸留所3代目所長のエリザベス・カミング氏。
軌道に乗せたというか、ジョニーウォーカー傘下に入った時代というワケですが、ブレンデッドウイスキーメーカーを軸とした蒸留所原酒の融通という現在のスコッチ業界の形が確立される前の時代に、そうしたブレンド企業の傘下に入るという判断は、合理的な女性だからこそだったのかもしれません。
その他にはカーデューピュアモルト騒動とか、近年にかけて色々やらかしている蒸留所でもあるんですけど、現行品に関しては決して悪い原酒を作ってるワケじゃないんですよ。
今も昔もジョニーウォーカーのほうが有名ですが、ウイスキー愛好家の間では評価されている蒸留所だと思います。

さて、思いもかけず15年、18年、とカーデューのオフィシャルが続きましたが、こう来たら次は12年・・・ではなく、21年ですね。
21年は2013年頃にリミテッドで出たきりで、当時はウイスキー仲間から旨いという評価が出る中で、自分は美味しいけどちょっと草っぽい味やなーと思ってそれっきりでした。ところが先月某氏から21年のサンプルを頂いており、せっかくだからカーデューのオフィシャルをちゃんと経験するかと、今回の2種類テイスティングとなったわけです。
ということで、次回カーデューを更新するときは21年になります。

カーデュー 18年 43% オフィシャルボトル

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CARDHU
Single Malt 
Aged 18 Years
43% 700ml

グラス:SK2
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後2〜3週間程度
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかで若干のケミカルっぽさも伴う、シロップやドライアプリコットを思わせる甘い香り立ち。徐々にワクシーで白っぽい麦芽香。ほのかにオーキーさも感じられる。

味:スムーズで滑らかな口当たり。やや水っぽいが杏棒やふ菓子を思わせる駄菓子的な甘み、奥には砂糖漬けの金柑のような柑橘系のニュアンスも感じられる。
余韻はドライで、徐々に舌の水分を奪っていく。また、ケミカルなフルーティーさが戻ってくる。


ジョニーウォーカーのキーモルト、という以外に、日本では12年くらいしか広く流通していないカーデューですが、実際は幾つかのNA品に加え15年や18年、そしてカスクストレングスでリリースされた21年など、幅広いラインナップのある銘柄です。
並行品としてそれらが入ってきていましたので、折角なので試してみます。

12年は中性的で若さが残る味わいでしたが、流石に18年は熟成を感じる味わい。
麦芽風味にオーキーな華やかさも備わって、オフィシャルのバッティングらしく複雑さを感じる仕上がりとなっています。
この華やかさは21年で感じるほど強いものではありませんが、同じベクトルにある原酒が使われていることは認識できます。
変わりに18年のメインキャラクターとしては、駄菓子を思わせるような甘さのある麦芽風味。奥にはアイリッシュにあるようなケミカルなフルーティーさも感じられますが、これは15年のほうが強く。嫌み少なくスムーズでスウィート、まとまりのある味わいです。

強い個性があるモルトではありませんが、それがブレンデッドの中核としては使いやすいのでしょうか。
BARで飲むなら最初の1杯目でしょうけれど、こういう甘くてスムーズなタイプは、後への繋ぎが難しいですね。

カーデュー スペシャルカスクリザーブ オフィシャルボトル

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CARDHU
Special cask reserave
Batch No, C S/CR. 13.15
40% 700ml
暫定評価:★★★★★(5)

香り:柔らかく甘いアロマ。乾いた藁や木くずの香りを伴う麦芽香、アーモンドクリーム、薄めたメープルシロップ、微かにオーキーなニュアンスも感じられる。

味: えぐみを伴う麦芽風味、中間はまったりとしており平坦で、香り同様に乾いた藁等の植物感。後半は微かなピートフレーバー、ほろ苦く、序盤の麦芽風味を伴うまろやかな余韻。
加水で整地された印象こそあるものの、逆に嫌味も少ない味わいにまとめられている。

Rさん宅でのテイスティング。いつもありがとうございます!
最近流行りのマルチビンテージのノンエイジで、ロット毎の少量生産品、最初のリリースは2~3年前だったと思います。
海外コメントでは、「長期熟成原酒が一部使われるこのカーデューは、ノーマルな12年物より豊かで、より甘く、非常に成功している」と評価はなかなか良いようです。実際日本でも4000円台で売られており、手にしやすい価格と柔らかい香味が家飲みには肩肘張らずちょうど良いいい感じです。

そういえば現行品のカーデューを飲むのは久しぶりでした。
第一印象で感じたのは、ジョニーウォーカーはカーデューと2人三脚なんだなという共通点。現行品のジョニ赤や黒にある草っぽいえぐみのあるモルティーさは、この原酒由来なんだな~と。

加水のため中間の変化に乏しい点もありますが、とりあえず1杯目に。ジョニーと飲み比べても面白そうです。

カーデュー12年 1980年代初頭流通 トールボトル

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オールドボトルのシングルモルトは比較的高値が付きやすいですが、その中でも手に入りやすいのがカーデュー。特にジョニーウォーカーとひっかけて日本に流通が多かった1980年代後期のダンピーボトル12年は安価で入手できます。
しかしそのほかの蒸留所がそうであるように、カーデューも例に漏れず1960年代から1980年代にかけて味の変化が激しく、80年代後期だけで終わってしまうのはもったいない。飲み比べてみると実に面白い蒸留所です。
本ボトルはGSさん宅での持ち寄り会で飲ませていただきました。いつもありがとうございます!
 
CARDHU
Highland malt scotch whisky
12 years old
1980’s
755ml 40%
 
暫定評価:★★★★★★(6)
 
香り:品のいい麦芽香、蜂蜜、微かにドライパイナップル。土っぽい香りもある。
かすかなヒネも感じるが状態は悪くない。
 
味:まろやかな口当たり、序盤一瞬水っぽさがあったがボディはしっかり感じる。
広がる麦芽風味と微炭酸風のスパイス、土っぽさ。徐々にドライアップルのさわやかなフルーティーさ、余韻はほのかなピートが口の中に残る。
 
1980年代初頭流通、おそらくメートル法切り替えあたりの流通で、ガロンからの換算をきっちりやった結果の仕様なのかなと思います。
40%とは思えない飲みごたえがあり、味、香りとも麦芽風味主体だが嫌味がなく、かすかに感じるフルーティーさが好印象。1杯目に飲みたいオールドシングルモルトです。
 
カーデューやフィディック等、一部の蒸留所では消費量が増えた1980年代からシングルハイランドモルト表記を廃止し、ピュアモルト表記を採用しています。
これは他蒸留所の原酒をバッティングしたのではなく、麦芽を多くの精麦工場から融通し合ったためと聞いたことがあります。そうなると味の変化に繋がるわけですが、実際、カーデューの味の変化は相当で、これまでなかった酸味が混じる等、1980年代後期の12年ダンピーボトルと1980年代初頭12年トールボトルでは、味わいが大きく異なっています。
 
今回のボトルの時代が、カーデューにとって一つの節目に当たるようにも思います。
なお、1950~60年代流通のカーデューはマジでジョニーウォーカーの味がします。ピートもさらに強くコクがあり、今回のボトルと並んで一飲の価値ありです。(日本橋のIANさんにあります。)
 

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