カテゴリ

カテゴリ:★8

グレンモーレンジ 21年 150周年記念 43% 陶器ボトル

カテゴリ:
IMG_4588
GLENMORANGIE
SESQUIENTENNIAL SELECTION
150th Anniversary
Aged 21 years
Distilled 1971
Bottled 1993
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★★(7ー8)

香り:華やかでナッティーな香り立ち。艶のある品の良いシェリー香に、ビスケット、綿飴を思わせる甘み、整ったウッディネスがアクセントになっている。徐々に熟したフルーツの発散するアロマ、デラウェアやシナモンアップル、トロピカルフルーツ。

味:柔らかくコクのある麦芽風味。香り同様にビスケット、サルタナレーズン、カラメリゼを思わせるほろ苦い味わいへと続く。余韻は鼻腔にチョコウェハースたアーモンドチョコレートを思わせる甘いアロマ。ドライで軽やかなスパイスを伴う。

多彩で素晴らしい香りと、しみじみとした旨さがあるグレンモーレンジ。らしさがありつつ、時代を感じさせる麦芽由来のトロピカル系のフルーティーさ、樽由来の香味、そして熟成と加水で整えられた。。。まさにオフィシャルボトルとしてのバランスのよさが楽しめる。ストレートでじっくりと楽しみたい。 

IMG_4589

通称"牛乳瓶モーレンジ"。
1993年、グレンモーレンジが蒸留所創業150周年を記念し発売したハンドクラフト仕様のボトル。同じ記念としては通常のトールボトルが1971ビンテージでリリースされており、聞くところでは中身は同じモノだそうです。

樽構成はリフィルシェリー系主体のバッティング。バランスタイプで品の良いオールドシェリーのニュアンスが楽しめます。
グレンモーレンジはバーボン樽という印象がありますが、1970年代蒸留のグレンモーレンジには同銘柄で最高峰と名高い"カローデンの戦い"を筆頭に、数々の良質なシェリー系ボトルもリリースしており、シェリー樽がダメというわけではないんですよね。 
むしろベースとなる酒質の良さは、1970~80年代流通のオールドの10年などを飲めば一目瞭然。樽さえ良ければ後は仕上げ方次第で、今回のように酒質由来の部分が残りつつ、バッティングと加水で仕上げてあるあるボトルは、突き抜けるようなインパクトはなくてもしみじみとゆっくり楽しめる旨さが最大の魅力だと思います。

縁あって我が家に来たこの1本。仕事で疲れて帰ってきた体に染み込むような、優しさと古典的な個性が広がる美味な味わいです。 先週一週間、このボトルにどれだけ癒されたことか。。。
このボトルは自分が飲み始めた頃に何度か飲んでいる1本ですが、陶器ボトルゆえかまだ開ききってないのか、以前よりシェリー感がゆるく、麦芽由来のフルーティーさが強く出てい流ように感じます。
いずれにせよ、旨いボトルであることに変わりはありません。

マッカラン ロイヤルマリッジ 1946&1961 43%

カテゴリ:
IMG_3734
MACALLAN
Royal Marriage Malt Whisky
Distilled 1948 & 1961
Bottled 1981
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅(KuMC)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★★(8)

香り:引っ掛かりがなく、高貴であり、ふくよかな香り立ち。レーズン、キャラメルバニラアイス、微かにアーモンド。

味:スムーズでまろやかな口当たり。ベリーやレーズン、カラメルソース、古典的な麦芽風味の香ばしさ、じわじわとタンニン、土っぽいピートフレーバー。余韻は甘酸っぱく、ベリーシロップを伴う長い余韻。

現行のボトルでは決して出ない、酒質由来の麦感、ほのかなピートフレーバーがリッチでありながらまろやかなオールドシェリー感と合わさって、負担のない飲み口、包み込むような旨さに仕上がっている。
このボトルを家飲み出来たらどんなに幸せだろうか・・・。


1981年、チャールズ皇太子とダイアナ王妃の結婚を祝い、双方の生まれ年の原酒をバッティングしてリリースされたボトルのうちの一つ。マッカラン以外ではグレングラントやストラスアイラなどのリリースがあり、総じて高い評価を受けています。 
ただ、高い評価を受ける反面、わかりやすく高騰するボトルであることから、オールドマッカランの中でも、特にフェイクが多いボトルの一つでもあるます。
以前、ウイスキーワールド誌でフェイク特集が組まれた際は、疑惑のボトルの一つとしてテイスティングアイテムだったこともありました。

すでに高騰している中でそういうリスクがあるとわかっていると、オークションは特にとんでもない博打というか、本当に手を出しづらい・・・一部のバーマンが海外のショップまでオールドボトルを買い付けに行く理由がよくわかります。
一方、今回のボトルのテイストは明らかにオールドマッカランのそれであり、間違いなく本物。このまろやかな口当たり、包み込むような柔らかい甘さ、シェリーの奥にあるほろ苦いピート、ウッディネスをじっくりと楽しませて頂きました。

さて、イギリス、あるいはスコットランドでは何かの節目にウイスキーが関わるシーンが珍しくありません。
子供が産まれた時にはその年(可能であればその日付)に蒸留されたニューポットを樽買いし、我が子の成人を祝って一緒に飲む。結婚となれば夫婦の生まれ年の原酒をバッティング、マリッジしてボトリングする。
ウイスキーは人間と同じと例えられる事が多くありますが、人生と同じだけの時間が詰まった原酒に、自身や愛する人の人生を重ね合せる。"時を飲む"とはまさにこれ以上にない例えであり、本当に素晴らしい文化です。

このマッカランに書かれた"Long life and happiness (末長く幸せに)"の願いは、結果的に叶うことはなかったわけですが・・・。この瞬間の幸せは、ウイスキーを通じて語り継がれていくのだと思います。

ベンリアック 50年 1966-2016 GMケルティックラベル 54.3%

カテゴリ:
BENRIACH 
GORDON & MACPHAIL
Aged 50 Years
Distilled 1966
Bottled 2016
Cask Type 1st Fill American Hogshead #606
54.3% 700ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:持ち寄り会@マッスルKさん
時期:開封後1ヶ月未満
暫定評価:★★★★★★★★(8)(!)

香り:ツンとした樽香とシナモンなどのスパイス、ハーブ。徐々に甘栗、ドライアプリコット、熟したパイナップル。最初はドライで香りが立たないが、ほんの数分でフルーティーさが充実してくる。

味:最初はドライな口当たりだが、徐々に甘みと粘性がひろがる。紅茶を思わせる心地よいタンニン、ピリピリとしたスパイシーさから舌の上で発散するフルーティーさ、熟した桃、アプリコットジャム、トロピカルフルーツ。ボディはしっかりして、生きている。
余韻はドライ、華やかなオークフレーバーが非常に長く残る。

最初はドライで樽のニュアンスが強いが、5分10分もすれば急速に香味が開き、甘み、フルーティーさが充実してくる。
今後開封後変化でさらに開く印象がある一方、加水するとボディが崩れ、一気に香味とも弱ってしまう。ストレートでじっくりと、時間をかけて半世紀に渡る時の流れを楽しみたい。
昨年リリースされたLMDWの60周年記念シリーズ。もっとも突き抜けたスペックであり、目玉とも言える1本が、このベンリアック50年GMケルティックラベルです。
ケルティックラベルは数年前に乱発されて以降、リリースされるのは久しぶりという印象がありますが、流石メゾン、そして流石GM。長熟原酒の枯渇が叫ばれる現代において、「奇跡」と言っても過言では無い、とんでもない樽を持っていました。

他の銘柄を含めると50年オーバーのウイスキーはこれが初めてというわけではありませんが、総じて度数が低かったり、過熟気味のウッディーさが強かったりで「ピークを過ぎてるけど飲めるレベル」という仕上がりが多い印象。
それがこのベンリアック1966は、50年の時を越えてなお、枯れず、くすまず、54%と高度数を維持。酒質部分の香味はだいぶ削られてシャープになっている感じはありますが、樽感は華やかでフルーティー、過熟感のあまりないオークフレーバーが、舌の上で綺麗に発散していくのです。
これは長期熟成原酒にありがちな、40%前半まで度数が落ちてしまった、最初はフルーティーだけど後が続かないものとの大きな違いです。

樽は1st fillのアメリカンホグスヘッド。この時代ではシェリー樽だと思うのですが、明示的にこれがシェリーと言えるかは曖昧なフルーティーさ。何より1st fillのシェリーホグスヘッドであればもっと濃厚なシェリー感が備わっているところ、そういうニュアンスはありません。
ではバーボンホグスヘッドかというと、シェリーに比べて容量が小さい環境で50年も熟成させたら、もっとドライで渋みも強く出るはず。。。どちらの樽であっても、このベンリアックのフレーバーには繋がらないのです。(エンジェルズシェアをざっくり計算すると、どちらの樽でも一応今回ボトリングしている本数は得られる可能性はあり、足し合わせ等ではないようです。)

何かヒントはないかとメゾンのサイトを見ると、樽仕様が「Remade hogshead 1st fill」となっていました。
ホグスヘッドは基本組み直して作るものですから、リメードである事はおかしい事ではありません。
しかし使い古したアメリカンホワイトオークの樽を再加工して作ったリメードホグスヘッドを起点とし、そこに1度ウイスキーを熟成させた後の1st fillであれば、今回のような熟成感もある程度説明がつきます。

一方、樽は前述の通りであっても、度数に関しては高度数すぎるものを入れた感じでも無いので、純粋に一般的な度数で樽詰めされ、熟成環境が噛み合った結果と言う印象。
何れにせよ半世紀という時間をかけて作られた原酒を飲む事は、味わい以上に特別な想いがあります。まして今回のように、特別にバランスの取れたものは尚更です。
素晴らしいウイスキーをありがとうございました!

エヴァンウィリアムズ23年 1972年蒸留 53.5%

カテゴリ:
EVAN WILLIAMS
Kentucky Straight Bourbon Whiskey 
Years 23 old
Distilled 1972
750ml 53.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅@KuMC
時期:開封後1ヶ月以内
暫定評価:★★★★★★★★(7-8)

香り:リッチでふくよか、艶やかに甘い豊かな香り。少し焦げたキャラメル、フローラルな華やかさ、チェリーのシロップ漬け、微かに柘榴のニュアンスも。非常に充実している。

味:リッチな甘みのある濃厚でパワフルな味わい。キャラメルとドライベリー、林檎のカラメル煮、濃く入れた紅茶。舌あたりにベタつく感じと、やや焦げたような樽感があるがしつこく残らず余韻に消えていく。

華やかかつ濃厚でパワフル、長熟ハイプルーフバーボンの魅力が詰まった1杯。少量加水すると、ベリーや花を思わせるさらに華やかな香味が開く。


個人的に、美味いバーボンは?と聞かれたら、まず出てくるのがエヴァンウィリアムズ23年です。
時代的には焼失前の旧ヘブンヒル蒸留所での製造にあたり、スコッチモルトに対抗したのか1980年代から1990年代あたりまではこうして単一蒸留年度の表記のある珍しいリリース形態。自分は全ての年度を体験できているわけではありませんが、それぞれに異なる魅力があると聞いています。

勿論、これ以外に美味いバーボンはいっぱいあります。
現行品で衝撃を受けたフォアローゼスPBは記憶に新しく、今回のボトルを含む90年代に流通した各種長熟、ヴァンウィンクルとか外さないですね。
それ以前のオールドバーボンではヘブンヒル系列、ジムビーム系列、ターキーなどなどもうだいたい美味い。特有の赤い果実風味、うっとりするような艶やかな甘みがあって・・・と話が逸れましたが、その中でもエヴァンウィリアムズ23年はまず名前が出てくる濃さ、パワーがあります。
家に1本は開けておきたいと思っているのですが、最近その手のバーボン相場は青天井。なんとも世知辛い世の中です。

エヴァンウィリアムズ23年は、今回テイスティングしたトールボトルから、2000年前後に、上記写真のややずんぐりとした形状に変化。この時代のボトルは単一蒸留年度縛りが無くなったためか、同じベクトルでありつつも、香味のバランスが良くなった印象。例えばこの1972年蒸留のエヴァンは、樽由来のニュアンスが強く、リッチな味わいながら口当たりでベタつく感じがあります。
どちらを好むかは人それぞれだと思いますが、間違いなくバーボン好きには堪らない旨さがあるということに違いはありません。

なお、2000年前後に切り替わったラベルの上にシルクプリントでEvan Williamsの記載がありますが、近年流通ではこれが無くなり紙ラベルのみとなります。このロットであれば、今でも酒屋やBARなどで見かける事があります。
トールボトル、シルクプリント、近年流通の3種飲み比べとかやってみたいなーと思いつつ、一体幾らになるのか地味に怖い(笑)。
何れにせよ、長期熟成バーボンの魅力を感じる、古き良き時代の素晴らしい一杯でした。

グレンファークラス 35年 1971-2006 ウイスキーフェア 51.4%

カテゴリ:
SPEYSIDE SINGLE MALT
(GRENFARCLAS)
THE WHISKY FAIR
Aged 35 Years
Distilled 1971
Bottled 2006
Cask type Oloroso Sherry Butt
700ml 51.4%

グラス:木村硝子
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:香り立ちはスパイシーで淡いスモーキーさ、ナツメグを思わせるアロマ。湿ったウッディネス、枝付きレーズンやチョコレートを思わせる甘さが徐々に発散してくる。

味:口当たりはとろりとリッチ。黒砂糖の甘みからレーズンとドライベリー、チョコレートケーキ。酸味を内包した甘みが豊かに広がる。中間はコクがあり、微かにシナモンを思わせるスパイシーさ。
余韻はドライでウッディー、ほのかにバニラやオーキーなフルーティーさを伴う長い余韻。


いわゆるオールドシェリーに分類される長期熟成シェリー樽に、ドイツ系ボトラーズらしいフルーティーなエッセンスが加わっている1本。
ドイツ系のボトラーズがなぜフルーティー系統が多いのかとか、シェリーバットで35年熟成で534本はちょっと多いのでは・・・とか思ったりもしますが、バットで700本ボトリングする某蒸留所とかに比べれば熟成の神秘で説明がつくレベルであり、話を先に進めます。

今回は口開け直後であるためか香り立ちに少々難がありましたが、元々黒糖系の甘みが主体であるところに、時間経過でドライフルーツの酸味もが広がってきて、これはなかなかイケてるグレンファークラスです。
テイスティング中の変化と同様に、開封後の時間経過で果実味がさらに開いてくれば。。。★7はわりと辛口めな評価でありますが、★8まで伸びていく変化も期待できます。

ここ最近、上等なグレンファークラスのリリースが集中してあったわけですが、10〜20年前後で仕上げたスパニッシュオーク系のボトルも決して悪くはないものの、当時の突き抜けたボトルを飲むと、役者というか時代の違いをどうしても感じてしまいます。
だからと言って今評価されている新規リリースを軽視するわけではなく、これはこれ、それはそれでそれぞれ良い。バーボン樽熟成とシェリー樽熟成は直接比較しないように、シェリー樽熟成の中でも整理をする時代が来ているのかもしれません。

ちなみにこうしたウイスキーのベースとなっていると考えられる、数十年単位でシェリーの熟成に使われた樽は、某商社と取引されている方の話を聞く限り、実は数こそ少ないものの一定数市場に出回っており、しかも価格は数ヶ月~数年間のシーズニングシェリー樽よりも安価なのだそうです。
オフィシャルメーカー側としては安定して数を確保できるシーズニングシェリー樽を重視し、計算しづらい古樽は敬遠している・・・のでしょうか。あるいはそうした樽が、オフィシャルのファークラスであればファミリーカスクになり、ボトラーズなどからリリースされる飛びぬけた1本に繋がっていくのかもしれません。
とすると、案外今後もそれなりなリリースは続いていくのかと楽観的なことを考えてしまったり。ただ可能であれば、近年系シェリーではなく、こうした古き良き時代のシェリーカスクも再現してほしいものです。

このページのトップヘ

見出し画像
×