カテゴリ

カテゴリ:★7

キルホーマン 100%アイラ 9thリリース 50%

カテゴリ:
IMG_20191115_194024
KILCHOMAN 
100% ISLAY 
THE 9th EDTION 
Release in 2019 
Cask type Bourbon 
700ml 50%

グラス:国際規格テイスティンググラス
場所:ジェイズバー
時期:開封後1週間程度
暫定評価:★★★★★★★(6ー7)(!)

香り:オーキーなフルーティーさと塩素やヨードの混じるしっかりとスモーキーなアロマ。バニラ、リンゴや洋梨を加熱調理したようなエステリーな果実感、熟したパイナップル。そこにタイムを思わせるハーブ、ピート香には土っぽさと焦げたような要素もある。

味:パインやレモンの黄色いシロップのようなとろりとしたオーク由来の甘味。合わせて燻した麦芽のスモーキーさが、ほろ苦いピートフレーバーと共に口の中に開く。ボディはそこまで厚くなく、塩気も伴うが角が取れて柔らかい。
余韻はピーティーでややドライ、若干の根菜っぽさや植物感。近年寄りのトロピカルフレーバーも続いて開き長く続く。

アメリカンオーク由来の華やかさとフルーティーさにアイラピートの組み合わせ、そして麦芽由来のニュアンス。若さは目立たずむしろ熟成感があり、バッティング加水で適度に角がとれつつ複雑さもある。個人的にキルホーマンに求める味わいはこれ。ややフルーティー要素がが強いというか、それに見合うようもう少し酒質が厚いとなお良いが、充分すぎる完成度である。

IMG_20191115_193936

キルホーマンのローカルバーレイ。
2007年蒸留と2009年蒸留の原酒をバーボン樽で熟成させ、計43樽バッティングしたもので12000本の限定品。
前作8thリリースは、バッティングされたシェリー樽原酒がボディの厚さに繋がっているものの、同時に悪い部分にも繋がっていて、大器の片鱗は感じられるが惜しい作り。次はバーボン樽100%で作ってほしいなと思っていたところに、求めていた構成のキルホーマンがリリースがされました。

創業初期のキルホーマンの酒質は、そこまで厚みがあるものではない一方で、雑味も少ないことから10年熟成でそこそこ仕上がる早熟な傾向があり。また、バーボン樽との相性が良く、10年程度の熟成を経たものからは、好ましいフルーティーさを感じられるリリースが複数確認されています。
今回のボトルは、まさにその熟成期間である9~12年熟成の原酒バッティング。若さはあまり感じず、むしろ樽由来のフルーティーさがしっかりと備わっていることから、加水調整と合わさって熟成したモルトの風格すら感じられるのです。

それはさがなら、バッティングによって作られたオールドスタイルのラフロイグのフルーティーさ。
先日レビューしたシングルカスクのキルホーマンでは、仕上がりの荒さが経年によって穏やかになることを期待しているとを書きましたが、そのイメージがまさにこれ。"作られた"と表現した通り些か作為的ではありますが、確実に黄色系統のフルーティーさが備わっているアイラモルトが1万円以内で買えるのは、なんと精神的にもお財布にも優しいことでしょう。

少なくとも、過去リリースされてきたキルホーマンのなかでも、トップクラスの味わいであることは間違いなく。今後は同様の原酒を使ったスタンダードの10年クラスがリリースされていくでしょうし、最近良くなったと評価のある現行品マキヤーベイらに使われている、若い原酒の成長も控えているわけですから。。。キルホーマンの飛躍と、可能性を感じますね。今後益々注目すべき蒸留所です。
そんなわけでその場で1本購入。評価については家でじっくり飲んだあと改めてまとめたいと思いますが、ファーストインプレッションは★7。ウイスキー愛好家は是非飲んで、キルホーマンの進化を感じてほしいですね。

IMG_20191120_010948

後日談:先週末、飲んだその場で注文したボトルを受け取り、着・即・開!!(言いたいだけ)
グラスの違いからか、ちょっとタールというか焦げたような要素は強めに感じられたものの、全体的にはフルーティーでスモーキーにまとまっていて今後の開き具合にも期待が持てる。何より口に含むほどに美味しさが持続する、原料由来の旨味のあるウイスキーの特徴を備えている点は、やはり好感が持てる作りです。(11/19追記)

グレンドロナック 12年 1964年蒸留 43% 特級表記

カテゴリ:
IMG_20191111_083107
GLENDRONACH 
Aged 12 years 
Gleen dumpy bottle 
Distilled 1964 
1970's 
760ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅@サンプルMさん
時期:不明
評価:★★★★★★★(7)

香り:古典的な麦芽香。あぶったナッツの軽い香ばしさとピートのスモーキーさ。熟成したソーテルヌワインのようなの甘みが一瞬あり、グレープフルーツを思わせる爽やかな要素からトロピカルなアロマ。軽い陶酔感がある。時間経過でスモーキーさが主張を強めてくる。素晴らしい。

味:しっかりとコクと香ばしさを感じる麦芽由来の風味。存在感のあるオールドピートがほろ苦さ、土っぽいニュアンスを感じさせ、奥にあるパイナップルやライチのようなフルーティーさを燻している。
加水なりのスムーズさもあるが、決して香味が薄いということはなく満足感は高い。
余韻はピーティーで軽くスパイスの刺激、染み込むようにほろ苦いスモーキーさが長く残っていく。

香りが特に素晴らしく、それだけでご飯3杯。樽由来ではなく麦とピートが織りなすフルーティーでスモーキーな香味構成であり、古き良き時代の内陸系モルトの代表的なキャラクターのひとつである。系統としては同時期のロングモーンとも似ているが、このドロナックのほうがピートが強い印象。
なお、このボトルは近い将来香味の一部が鹸化反応を起こしてダークサイド(パフューム)落ちてしまう可能性がある。おそらく今が最後の飲み頃、今のうち飲んでおきたい。


最近ご無沙汰だったグリーンダンピー・ドロナック。サンプル交換ありがとうございます!
この仕様のグレンドロナックは8年と12年があり、近年グレンドロナックが良質なシェリーカスクで非常に高い評価を受けるままでは、他の有名スペイサイドモルトに全く劣らない味わいをもっていながらも、コアな愛好家向けのボトルという位置付けでした。(最近は良さが理解されたのか、すっかり高嶺の華に・・・)

当時のグレンドロナックの酒質の特徴は、麦芽に由来すると思われる絶滅危惧種のトロピカルフレーバー。テイスティングで触れたように60年代蒸留のロングモーン等にも見られるそれが、この時代のドロナックにも感じられます。
当時のグレンドロナックは1960年にティーチャーズ傘下となり、1966年から1967年にかけては増産のためポットスチル2基の増設工事に着手。(2→4に増加)
元々あったスチルのほうは1920年頃から同じものが使われ続けてきたそうで、蒸留方式はもちろん今は無き石炭直火炊きの時代です。

味に厚みがあってどこか香ばしさも伴うのは、麦芽品種の影響以外に蒸留方法由来なのか。
また、今回のボトルは1964年蒸留ですから、増設工事の前、ティーチャーズ傘下に移った後の仕込みということになります。
1970年代以降流通のティーチャーズはアードモアを軸としつつ、対外輸出等を見据えてブレンドをライトに仕上げていく傾向があり、プレーンな樽での原酒を60年代から相当数仕込んでいたのでしょう。今回のボトルに使われた原酒は樽感があまり強くはなく、しかしそれが酒質由来のフルーティーさ、ピーティーさを邪魔しない絶妙なバランスに繋がっているのです。

ひょっとすると、当時のグレンドロナックは短熟でリリースするのはプレーンオーク、長熟がシェリーカスクという整理だったのかもしれません。
ブレンドに使われてしまったからか、60年代のドロナックでプレーンオーク系統のカスクストレングスがリリースされているのは見たことがありません。
当時のグレンドロナックのシェリーカスクが素晴らしいのは言うまでもありませんが、もしそのボトルがリリースされていたら、伝説の一本になったのではないかというポテンシャルが感じられるだけに、どこかに無いものかなあと。。。

ノブクリーク 2004-2017 発売25周年記念 60.8%

カテゴリ:
IMG_20191029_233733
KONB CREEK 
SINGLE BARREL 
25th ANNIVERSARY 
Aged 13 years 
Distilled 2004 
Bottled 2017 
750ml 60.8% 

グラス:リーデルテイスティング
時期:不明
場所:BAR Kitchen 
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:ウッディでメロー、やや艶っぽさのある甘いアロマ。メープルシロップやシナモンアップルパイ、微かにドライクランベリーやハーブのアクセント。溶剤を思わせるニュアンスも微かにあるが、全体的にはチャーオークのアロマが主体で濃厚な仕上がり。

味:メローでリッチ、とろりとした口当たり。焦がしキャラメルの甘味とほろ苦さに、バニラ、ダークオレンジからウッディなフレーバーへ。濃厚だが度数ほどのアタックはなく、熟成を感じさせる。
余韻はドライでウッディ、甘いオークとグレーンのアロマが口内に揺蕩う。微かにライムのような柑橘を思わせる酸味を感じた後、スパイシーでビターなフィニッシュが長く続く。

熟成感があってリッチな味わいが楽しめる良質なバーボン。リリースにあたって一樽ずつ特別に選定されたという前置きに違和感はなく、オークフレーバーにエグミの少ない艶やかな甘さのあるタイプ。ノーマルからただ熟成が進んだだけのフレーバーではなく、樽そのものもグレードの高いものを使っているのではないかと感じられる。作り手のこうあって欲しいという理想を形にしたような、真打と言える1本。


ノブクリークが発売された1992年から25周年を記念し、2017年にリリースされたシングルバレルの特別仕様。6代目マスターディスティラー ブッカー・ノエ氏が仕込んだ原酒の中から、7代目マスターディスティラー フレッド・ノエ氏が特別に選定した、複数のえらばれし樽(原酒)が、それぞれシングルバレル仕様でボトリングされています。

原酒のマッシュビルは通常のノブクリークと同じコーン75%、ライ13%、モルト12%の組み合わせですが、熟成年数は先に書いたように12年から13年の間で、度数もロット毎に微妙に異なる形。
その通常のノブクリークからは、シングルバレルで9年熟成60%(写真下)が通常リリースされており、バーボンの傾向からすると同じベースのロット違いで、そこまで大きく味が変わるということはないように考えられますが、今回のボトルは格が違いますね。
通常品からえぐみなどの不要な部分を少なくし、さらに樽由来の香味の良い部分を豊かにしたような、さながら影打ちと真打ちの関係にあるように感じられました。

c2a9cc96

原酒と熟成環境が同じなら、もはや違いは樽に由来しているとしか考えられません。
熟成年数が3~4年違うじゃないかというのはその通りですが、通常品をさらに寝かせてもウッディさがや渋味が増すだけで、こういう仕上がりにはならないと感じます。
またドライなことを言えば、ジムビームに数多ある樽の中から数樽を選ぶようなことは現実的でなく、最初から特別リリース用に考えられて仕込まれていたなかで、度数60%オーバーを維持していた原酒をチェック(それでも膨大な数がありそうですが)という選定だったんじゃないかと推察します。

ボトルのデザインはノブクリーク伝統の禁酒法時代をインスパイアしたスクウェアボトルに蝋の封印と変わらず。
それよりもシングルバレルで長熟で、60%オーバーのバレルプルーフで限定品というスペックながら120から130$程度というのは、結構頑張っているというか愛好家としてはありがたい限りです。(日本の並行輸入品の価格は結構のせられてますが・・・。)
もしアメリカに行く機会があったら、お土産に購入しようと候補に加えた1本でした。


IMG_20191028_204222
今日のオマケ:ヴオーヌ・ロマネ 2013 ドメーヌ・ジェラール・ミュニュレ

香り立ちはいかにもというクリアなベリー感、葡萄の皮と仄かに土っぽさや湿ったような木々の香りが混じる。口に含むと赤いベリー系の果実風味からチャーミーな酸が主張。若干粘性のある質感が舌の上に感じられ、思ったよりもボディがある。余韻はじわじわとスパイシーでフレッシュさはあるが、タンニンは過度に主張せず極め細やか。
はちみつのかかったブルーチーズとの相性が抜群。。。

たまには仏モノ・・・というわけではなく、お付き合いでボトル1本割り勘飲み。結構痛い出費だが、事情により致し方なし。
正直自分のワインの知識だと、ヴォーヌ・ロマネは作り手名が把握しきれていないレベルなのですが、ファンの多い銘柄のようですね。「これ旨いんですよ!この店のセラーにあるなんて!」と嬉々として語られていた、相手方の反応が非常に印象に残っています。
2013年は平均的な年という評価ですが、それに加えて格付け無しのグレードというのも、早飲みにちょうど良い仕様だったのかもしれません。
酸の主張はやや強めでしたが、全体のなかではクドいものではなく楽しめる範囲で、全体の作りは上質というか丁寧。食事と合わせて堪能させてもらいました。

グレンエルギン 32年 1971-2003 リミテッドエディション 42.3%

カテゴリ:
IMG_20191023_235105
GLEN ELGIN 
32 YEARS OLD 
POT STILL MALT WHISKY 
Distilled 1971 
Bottled 2003 
700ml 42.3% 

グラス:国際規格テイスティング
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:華やかでフルーティー、熟成を感じさせる角の取れたオーク。蜂蜜レモン、あるいは林檎のコンポートのしなやかな甘みと酸。ナッツ、乾いた麦芽、徐々に淡いスモーキーさも伴う。

味:香り同様のフルーティーさで、林檎の蜜や熟した洋梨、しっとりとしたオーク由来の甘味と適度なウッディさが広がる。口当たりは柔らかいが、ボディ感は程よく備わっていて、奥には麦芽風味とピートフレーバー。
余韻は軽やかにドライ、華やかさと淡いスモーキーさが染み込むように残る。

リフィルのオーク樽系統のフレーバー主体で、エステリーさも伴うフルーティーなモルト。ただの度数落ちという感じではなく、香味とも柔らかくボディもそれなりで、枯れた感じは強くない。むしろ穏やかな麦芽風味と微かなピートフレーバーが長い熟成期間を経て混じりあい、オールドスペイサイドらしさを形成している。手入れは不要、ストレートで。

IMG_20191023_195741

ディアジオがモルトウイスキーのブランド価値向上を狙って、2000年代前半に所有する銘柄の中からリリースした、現在のスペシャルリリースのはしりと言えるリミテッドエディション。1970年代という黄金時代の余力を残す蒸留時期と適度な熟成年数、そしてディアジオらしい酒質を活かす樽使いとバッティングで、この時期のものは出来の良いボトルが多いです。

このボトルをスペックだけで見ると、度数落ちでドライな刺激と線の細い枯れた味わいを予感させますが、実際は甘味と口のなかで膨らむ酒質のボディを適度に残しており、長期熟成で低度数ながらバランスのいい仕上がりです。
樽はサードフィルくらいのアメリカンオークのシェリーバットや、リフィルのホグスヘッド等のバッティングと推察。ファーストフィルのように過度な主張がないだけでなく、一方で加水で仕上げたような中盤以降のフレーバーが潰れたような構成ではないので、度数は自然に下がったが元の酒質が厚いことが、削りしろとして作用した結果ではないかと推察します。

かつてのグレンエルギンはワームタブによる古典的な作りもあって、麦芽風味に厚みのある味わいが特徴でした。手に入りやすいところでは、1990年代に流通していたホワイトホース表記のグレンエルギンを飲むと、それがわかりやすいと思います。
なお、現代のグレンエルギンは酒質が軽くなっただけでなく、ノンピート仕様にも切り替わっていて、1980年代以前時の仕込みのものとはキャラクターが異なります。
いつから切り替わったかは不明。ただ1992年に蒸留所の改装工事が行われており、その辺りからなら時系列的には違和感ありません。

いずれにせよこのボトルに感じられる古典的なフレーバーを構成しているのは当時のピート、そして適度に厚みを残した酒質。突き抜けないが、いぶし銀な存在感があるエルギンらしい1本です。

IMG_20191010_194258
今日のオマケ:トロ・コールセッコ・モンテルプチアーノ・ダブルッツォ・ルビーノ 2005

メーカー表記は中濃とあるが、飲んだ印象はしっかり濃いめで、ブラックチェリーやプルーンのような甘味とほのかに梅干、じわじわタンニン、湿った落ち葉と若干鰹節っぽさに通じる熟成香。経年を経て果実味を残しつつも、まとまった味わい。
新しいヴィンテージだと、酸味にもう少し勢いがあり、タンニンもしっかり主張する感じではないだろうか。何れにせよ、イタリアらしく気軽に楽しめるワイン。

イタリア、アブルッツォのデイリークラスワイン。コスパの良さが魅力と評判で、国内でも広く販売されています。
そして個人的にこれは"やってしまったワイン"。何がというと、通常品は750mlで販売されているところ、このボトルがダブルマグナムサイズ(3000ml)だったため。
シャンパンならわかりますが、よもや赤ワインでこのサイズがあるとは。。。購入はヤフオクで3本セット2000円弱。通常サイズのボトルを買ったと思っていたので、届いたボトルを見て驚愕。。。まさかの3リットル3本。
酒3本にしては過剰な大きさのダンボールとその中身は、なかなか衝撃的な光景でした。
ただし味は問題なかったので、会社の飲み会等でありがたく使わせて貰った次第です。

オールドクロウ 7年 (1969-1976) 100プルーフ ボンデッド

カテゴリ:
IMG_20190908_162029
OLD CROW 
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON WHISKY 
BOTTLED IN BOND 
1970's 
(Distilled 1969) 
(Bottled 1976) 
750ml 50% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR BLACK HEART 
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:メローで華やか、熟した梅のような穏やかな酸と、メープルシロップやバニラの甘味。穀物感とこなれた香ばしさが、ワッフルのような洋菓子を思わせる。

味:香り同様にメローでコクのある口当たり。序盤はグレーンの甘味がメインにあるが、徐々に熟したオレンジのような酸と軽いスパイシーさ、品の良いウッディネスが口内に染み込む。
余韻はスパイシーでウッディ。じんじんとしたハイプルーフ由来の刺激が心地よく、振り子のように収束していく。

メローで度数よりも香味とも柔らかく、それでいて骨格はしっかりとしている。経年も合わさった熟成感が心地よいバーボン。これもまた現行品とは別物で、余韻に変なえぐみや渋みもなく、ストレートでも負担なく飲める。今回はストレートのみだったが、ロックも試してみたい。

IMG_20190908_162402

先日レビューさせていただいた、禁酒法前のオールドクロウ100proofとの比較でテイスティングしたもの。同じくBOTTLED IN BOND 仕様の流通時期違い。
ですが今回のレビュー記事では、禁酒法時代との比較や香味分析ではなく、飲んでいて疑問に感じた、オールドクロウの歴史における”凋落”に関して自分なりの考えを書いていきます。

1970年代、フランクフォートにあった蒸留所と共にオールドクロウの版権を持っていたのはNational Distillery社。オールドグランダッドやEHテイラー等を販売していたメーカーです。(※取得した時期は1920年とも30年代とも言われている。)
当時同社ではすぐに出荷出来る工業用アルコールの生産に重きをおいていたとのことで、蒸留所も1960年代に蒸留器の変更含む大規模な改装工事を実施し、原酒製造プロセスにおける生産量の増加と効率化(コストダウン)が図られたとされています。

IMG_20190908_174729
(オールドクロウ1912-1919とオールドクロウ1969-1976、現代から100年を遡るテイスティングで、今回のボトルは50年前に置かれたマイルストーン。詳細は不明だが、マッシュビルは禁酒法前(左)がライ比率高め、今回の蒸留所改修後がコーン比率高めで、現在に近いスタンダードなレシピであると思われる。禁酒法前ボトルのレビューはこちら

オールドクロウはかつてアメリカで一番売れた、バーボンの花形とも言えるブランドでしたが、1970年代から80年代の市場において凋落が始まります。
その背景には1960年代の蒸留所改修後、新たに導入した製造行程にミスがあって味が落ちたことに加え、それを解決せずに操業を続けたメーカー側の姿勢があった・・・という話が伝わっているのですが、不思議な話、その時代の真っ只中にある今回の1本は、言うほど悪い味とは思えません。っていうか普通に美味しい。

確かに当時のND社は、パフュったグランダッドやギルビーズジンなどの別件事例があります。
あるいは熟成年数の短い、スタンダード品のみ影響が大きく、熟成の長いものはネガティブな影響が樽の効果で打ち消されていたなら理屈はわかります。
実際、当時は今より樽材の質が良かったと考えられ、マイルドな味わいや果実風味はオールドバーボンの魅力でもあります。
しかし以前飲んだ70年代流通のスタンダードも、メローで加水が効いてソフトな口当たり。これもそこまで悪い味か?という感じ。少なくとも同年代の他のメーカーのスタンダードと比べ、大きな差があるとは思えません。
蛇足ですが、松田優作が「旨い」と言ったエピソードがあるのもこの時代のオールドクロウなんですよ。(映画の中なので、なんの基準にもなりませんが(笑))。

個人的な予想をすると、製造行程のミスは事実として、同社のなかでバーボンそのものの販売力の低下。即ちブランドの優先順位の調整があり、PR不足からジムビームなどのライバル銘柄や、他の酒類の台頭を許してしまったとか、そういう外的要因のほうが大きかったのではないかと。
失礼ながら、スタンダード品はコーラとかセブンスターで割って飲むようなことを主としていた市場で、まるっきり飲めないようなものならいざ知らず、ベースの味が多少落ちたという理由でブランドが凋落するとは思えないのです。

IMG_20191019_090701
1987年、人気の落ちたオールドクロウはジムビーム社に買収され、問題となった蒸留所も閉鎖。同銘柄用の貯蔵庫としてのみ現存することとなります。
なお、先日ニュースになったジムビーム蒸留所の火災は、このオールドクロウ蒸留所跡地にある貯蔵庫群の一部で発生したものでした。
ジムビーム社買収後のオールドクロウは3年熟成で、バーボンの基準を満たすなかでは若い部類。自社ブランドであるジムビーム以上の優遇はするはずもなく、低価格路線にすっかり定着しています。
自分の記憶が正しければ、火災を受けたジムビーム側のコメントに「あそこにあるのは若い原酒だから被害は少ない」というのがあったと思いますが、年数、市場価値、それらを踏まえて確かになるほどと。
なんとも諸行無常、あるいは栄枯必衰というやつですね。

IMG_20191016_125530
今日のオマケ:ジャックダニエル ボトルドインボンド 1.0L 50% 免税向け

ワインクーラーにウイスキー突っ込む展示センスはどうしたものか、とは思いますが、こういうのも出ていたのかという1本。BOTTLED IN BOND表記が復刻版のようで、なんともそそられますね。
調べてみて、日本にも平行品が入っているのですが、全く気づいていませんでした(笑)

高い度数らしい骨格のしっかりした口当たりに、ジャックらしいメローさと焦げたウッディネスが合わさって、それなりな仕上がり。熟成年数は5~6年くらいでしょうか。多少近年のバーボンに見られるえぐみというか、ネガ要素もありますが、変にドライさや酵母っぽさも目立たず、ロックで飲んだら良さそうです。
ただしジャックダニエルの50%仕様のものだと、シルバーセレクトやシングルバレルがあり、値段もそう変わらない(味は樽の効き具合に違いはあるが、この2本のほうがリッチ)ので、辛口なことを言うと中身を考えた時に日本でこれをチョイスするのは・・・ラベル以外に難しい気がします。

このページのトップヘ

見出し画像
×