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カテゴリ:★6

ギィピナール 2007-2019 フォルブランシュ 43% ドラス&信濃屋向け

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Guy PINARD & Fils 
FOLLE BLANCHE 
Distilled 2007 
Bottled 2019 
For BAR DORAS & SHINANOYA 
500ml 43% 

香り:ややドライで鼻腔を刺激するスパイス、微かに溶剤のようなニュアンス。奥には若い白葡萄や白桃、白系の果実の品の良いアロマもあるが、開いてくるのに時間がかかる。

味:少し水っぽさのあるスウィートな口当たり。香り同様の刺激があるが、後半から余韻にかけて黄桃や林檎のコンポート、そして熟したライチのような南国感と角のとれた酸味が、若い原酒の勢いそのままに広がる。余韻は非常に長く、スパイシーで張り付くような樽感を伴って長く続く。

加水されてなお適度な勢いを保った原酒の若さが、フルーティーな要素を後押しする余韻が最大の魅力。長期熟成コニャックだと余韻にかけて甘みがべたつくようなものもあるが、このボトルは勢いとフレッシュさを維持しており、アメリカンオークホグスヘッドで20年程度熟成したスペイサイドモルトのようでもある。
ネガを見ればきりがなく、良いところに注目したい1本。ハイボールが美味だが500mlをすぐに飲みきってしまうので注意が必要。

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スピリッツにおけるトロピカルフレーバーを分類すると、ウイスキーのみならずコニャックでも該当するフレーバーを感じられるものがあります。
ポールジロー、ジャンフュー、ラニョーサヴォランなど、特にグランシャンパーニュ地方の銘柄が代表的。ただ、それらは総じて長期熟成品に多く、若い原酒だと片鱗くらいは感じられるのですが、例えるならトロピカルのトぐらいのイメージ。10年前半の若い原酒だと難しいという印象でした。

そこにきて今回のリリースで驚かされたのは、香りはさておき味での余韻にかけてのフルーティーさ。
マンゴーというよりは、オーク要素由来の黄桃や加熱した林檎のような香味が主体ですが、合わせてライチなどの温暖な気候の中で熟した果実の香味が発散するような、ある種のフェロモンとも言うべきニュアンスも備えているのです。


このコニャックの原料には、絶滅危惧種とも言われる葡萄品種、フォルブランシュが使われています。フォルブランシュは1863年から始まったフィロキセラ大繁殖以前は主要葡萄品種だった、言わば古代種。その後フィロキセラの影響がない品種へ切り替わっていくなかで、一部蒸留所ではフォルブランシュを好み、ギィピナールでも少量復活させていました。

現在の品種と比べて何が良いかと言われても、正直コニャックの原料の違いに伴う香味の変化は経験不足でよくわからず。知人いわく濃厚な味わいを得やすいとのこと。
そこで指標になると感じているのが、2015年にリリースされた、同蒸留所2005年蒸留のフォルブランシュ。こちらも近い熟成年数でしたが、フルーティーというより酒質に勢いがあり、コニャックらしい葡萄由来の甘みと共に余韻は辛口な構成だったと覚えています。
今回のテイスティングでも、香りや味の序盤には相応に荒さも備え、所々で鼻腔や口内を小突いてくるような刺激もあり、この辺は若い原酒の共通点。熟成を続けていけば、角がとれて樽を受け止め、芳醇な香味に変わっていく要素だと思いますが。。。
ただ、大きな違いがフルーティーさです。熟成に使われた樽の影響でしょうか。例えば新樽で、強めに出た樽要素が原料由来の要素と融合し、該当する要素が感じられやすくなったのかもしれません。


今回のテイスティングアイテムは、”浅草の黒豹”あるいは”旅するバーテンダー”で知られる、BAR DORASの中森氏と、信濃屋の共同ボトリング。
ウイスキーに限らずコニャックでも長期熟成原酒が高騰するなかで、コストを押さえた若い原酒で、我々飲み手が好む要素をピンポイントで押さえて来た。自身が作ってきた蒸留所との繋がりはもちろん、日々お酒を提供するバーマンとしての確かな目利きが感じられる、グッドリリースだと思います。

以前は家が近かったので伺っていましたが、最近はご無沙汰な浅草DORAS。また機会をつくって伺いたいです。

グレンエルギン 12年 1970年代流通 特級表記 43%

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GLEN ELGIN 
Aged 12 years 
Pure Highland Malt 
1970's 
760ml 43% 

グラス:国際企画テイスティンググラス
時期:開封後数日以内
場所:お酒の美術館神田店
評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:古典的な麦芽香。籾殻のような乾いたアロマや、少し土っぽさの後でピート香がしっかりと主張してくる。奥にはべっこう飴、柑橘の綿を思わせるほろ苦いニュアンス。徐々にスウィートなカラメル系の甘さが開いてくる。

味:香り同様に古典的な麦芽風味からクラッカーを思わせる軽い香ばしさ。カルメ焼、ママレードのようなほろ苦さとピートフレーバーが存在感を主張する。
余韻はビターでしっかりとピーティー、スモーキーな鼻抜けで染み込むように長く続く。

テイスティングした時点ではまだ開ききってないようだが、充分に良さを感じる。香味の軸になっている厚みのある麦芽風味とピートフレーバーが素晴らしい。この両者を繋いでいる当時らしいカラメル系シェリー樽の甘みがもう少し開いてくると、さらに全体のバランスが良くなるはず。スペイサイドモルトは、そしてグレンエルギンはこうあってほしい時代の一本。たしかなまんぞく!

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グレンエルギンが、12年として、あるいはシングルモルトとしてリリースされた初期ボトル。時期は1970年代中頃から後半といったあたり。WHITE HORSE DISTILLERS表記に時代を感じますね。
ホワイトホース社から日本向けボトルがリリースされるくらい繋がりが深かった日本市場には、このグレンエルギンも一定数入っており、現在のリユース市場でも度々姿を見かけるボトルであります。

ラベルの通り、グレンエルギンはホワイトホースのキーモルトのひとつですが、当時DCL傘下の蒸留所ではシングルモルトのリリースを始めるところが多く。この流れにグレンエルギンものった、ということなのでしょう。
蒸留所としては、1964年に拡張工事を行ってスチルを2基から6基に増設しており、ホワイトホースに原酒を使ってなお、シングルモルトとしてリリースする余裕があったということかもしれません。

特徴はメローでそしてスモーキー。バーボン樽ではなくリフィルを含むシェリー樽の利用が多かった当時のスタイルらしいとろりとした甘さに、古典的で強い麦芽の風味が余韻にかけてピートフレーバーと合わさって渾然と広がる。
現在の洗練されたスペイサイドモルトとは異なる、どこか田舎臭さの残った風味が当時の他のモルトとも共通する特徴であり、愛好家を引き付ける最大の魅力だと思います。

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(グレンエルギン1980年代流通と1990年代流通。1990年代を最後にホワイトホース表記はなくなる。当時と異なり、シングルモルトの認知度が向上したためだろうか。ちなみに、ボトルが新しくなるたび、少しずつ馬のロゴが小さくなっていくのも、ブレンデッドのホワイトホースと同じ特徴である。1980年代流通のものは画像が手元になかったので、Whiskybaseから引用。)

ちなみにこの10年後、1980年代中頃から流通し始めるグレンエルギンは画像の通りラベルのデザインが少々シンプルになり、ラベルの周囲にあるアザミの模様がなくなったのっぺりとしたデザインに変化。
味もちょっとのっぺりとしたようなカラメル系シェリーの甘みはそのままですが、ピートが少々軽くなる印象。(ヒネたボトルが増えるように感じられるのも特徴)
また1990年代のものについては、現行品のデザインに近いボトルに代わると共に、麦芽風味主体のタイプとなり、路線もデザイン同様現行路線へ。ピートはなくならないものの穏やかで、70年代流通に備わっている系統とはだいぶ違いがあると言えます。

徐々に樽の違いやピートの強弱が、ハウススタイルに影響してきていったのでしょう。
ブレンデッドのホワイトホースも同様に、年代が新しくなるほどスモーキーさが軽くなっていきますが、グレンエルギンだけの影響だけではないにしても、改めて時代の流れに伴うキーモルトの個性の変化と重要さを感じたテイスティングでした。

イチローズモルト バーテンダーズチョイス 神田祭2019 シングルカスクブレンデッド 58.6%

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ICHIRO'S MALT 
BARTENDER's CHOICE 2019 
Single Cask Blended Whisky 
Selected by 神田 Bar Society  
Cask No, 5294 
700ml 58.6% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:新宿ウイスキーサロン
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:前面にライ系や新樽穀物の要素。スパイシーな香り立ちから、ウッディで干し藁やオーキーな華やかな酸のあるリンゴ、オレンジリキュールなどのアロマも感じられる。

味:スパイシーでしっかりとボリュームのある口当たり。柑橘のニュアンスからバニラと洋梨、アメリカン系の穀物やライを思わせる酸味もある。
余韻はドライで微かにスモーキー。ハーブの爽やかさとひりつくようで長く続くフィニッシュ。

これまで飲んだワールドブレンデッドシリーズでは一番好み。アメリカン系のフレーバーとモルト、それぞれの個性がマリッジに使われた樽感の中で融合したような美味しさが感じられる。少量加水しても崩れず、さらにバランスがよく柑橘のニュアンスがもう一歩前に出てくる。某社のワールドブレンドもこれくらいだったら。。。

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隔年で5月に開催される神田祭りを記念し、神田にBARを構えるバーマンや飲食店らが共同でリリースに関わる記念ボトル第4段。
最近イチローズモルトでリリースが増えている、ワールドブレンデッド区分のシングルカスクブレンデッドウイスキーです。

イチローズモルトのワールドブレンデッドのシングルカスクは、ハイプルーフな原酒を混ぜ合わせ、カスクストレングスでボトリングしているためか、マリッジの樽由来のフレーバーを突き抜けるような、様々な個性がぶつかり合う印象があります。
これが良い方向に振れれば良いのですが・・・なかなかそうなるとは限りません。若さが悪目立ちしたり、喧嘩してるような難しいボトルもあります。

しかし今回のリリースは、後熟に使われたとおぼしきバーボン樽由来のスパイシーさや華やかさに加え、いわゆるバーボンやカナディアンなどアメリカン系のライっぽさに通じる酸味と穀物由来の香味が、5~10年熟成程度のモルトのフレーバーと混じりあって融合している。
またバランスを取っている15年程度のミドルエイジの原酒も繋ぎの仕事をしており、第一印象ではバーボン系の個性の主張に驚くと思いますが、ジャパニーズを始めスコッチタイプの原酒も負けてない。高度数故のバランスを楽しむことが出来ました。
これは是非ストレートか少量加水で楽しんでほしいですね。


裏ラベルに書かれた「新たな時代を彩るボトル」の言葉。平成から令和へと時代が代わり、少なくとも今年に入ってウイスキー業界で何が変わったかと言えば、輸入原酒を使ったワールドブレンデッドの存在があります。
これまでは暗黙のうちに作られていたものが公になってきただけでなく、ジャンルの1つとして、今後も多くのメーカーからリリースされるだろうとも考えられます。

例えば、輸入原酒といってもスコッチタイプのみで仕上げても区分はワールドブレンデッドですが、それでは現地スコットランドのものと変わらないし、やはりワールドを名乗るからには各地のウイスキーの個性を融合することにも可能性を見いだしたい。
今回のリリースは、そんな自分が考えるワールドブレンデッド像にあって、ウイスキーの新たな時代に示すお手本のような構成だと感じたのです。


このボトルは新宿ウイスキーサロンで飲みましたが、そもそもは神田祭を記念したリリース。神田にあるBARを中心に取り扱われており、自分が知ってるウイスキーが強いところだとGROOVY、サンディマック、Eclipseなどで飲むことができます。(特にGROOVYさんは本企画の発起人でもあります。)
この記念ボトルは2011年の大震災以降自粛されていた神田祭再開の2013年から始まり、2015年以降は蒸留所の成長と共に歩んできた経緯もあります。
その想いやボトルに関するコアな情報を聞きたい方は、是非テイスティングがてら神田を訪れて見ては如何でしょうか。ディープな街で面白いですよ!

アマハガン ワールドモルト Edition No,1 長濱蒸留所 47%

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AMAHAGAN 
World Malt Whisky 
Edition No,1 
Release in 2018 
Nagahama Distillery 
700ml 47%

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR 新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(5ー6)(!)

香り:爽やかな酸を感じる香り立ち、レモングラス、粉っぽさのあるオーク香はホットケーキ生地のような甘さを感じる。スワリングすると若いモルティーさと乾いた麦芽や木香、少し焦げ感を伴うスモーキーさも開く。

味:ボリュームがあって強い香味の広がり。はちみつレモンとアルコールのジンジンとした刺激。徐々にオーキーで加熱した林檎のようなフルーティーさ。余韻にかけて奥から焦げたようなピートフレーバーが顔をだし、ほろ苦くスモーキーなフィニッシュが長く続く。

若さはあるが嫌みのない若さというべきだろうか。短熟ピーテッドモルト長濱原酒とミドルエイジ程度のハイランドモルトの極端な組み合わせだが、両者の個性が複数の表情を見せ、それが混じり合う面白さがある。


昨年、長濱蒸留所が自社蒸留原酒と輸入原酒をブレンドしてリリースした、ワールドブレンデッドモルトウイスキー。ネーミングの経緯は不明ですが、アマハガンは長濱をローマ字表記にして逆さに読んだものです。

長濱蒸留所の創業は2016年。ブランデー蒸留に使われるアランビックタイプの蒸留器で蒸留を行っており、設備は地ビールを作るビール工場のなかに併設してあるユニークな作りも特徴。
原酒はピーテッドモルトを軸にライトピートからヘビーピートまで広く原酒を仕込み、今年はちょうど3年目。まさにこれからシングルモルトのリリースを行っていこうというクラフトメーカーです。

今回のリリースは、その長濱蒸留所の1~2年程度熟成の若い原酒を用いているため、まさにNo Ageといえる仕様であり、しかもウイスキーメーカーとしてブレンデッドのファーストリリースです。発売を聞いた時は「大丈夫か、これ」と、警戒にも近い感情がありました。
そんな第一印象もあって飲むのも後回しにしていたものの、先日ようやくテイスティング。結論から言えば、いい意味で驚かされましたね。


まず香味ともトップに若さはあるのですが、未熟香の嫌みな感じはなく、レモンなどの酸味のある柑橘を思わせる爽やかなキャラクター。
そこに10~15年程度熟成のハイランドタイプのモルト原酒。柔らかいタイプのブレンドモルトで、ベースの樽はバーボン系統でしょう。この手の輸入原酒にしては樽感が結構しっかり出ているので、長濱の原酒以外に調達した原酒を長濱の原酒保管場所で再びバーボン樽に詰め、追加熟成したのかもしれません。適度に熟成された麦芽風味に加え、オーキーなフルーティーさも感じられます。

余韻はそのまま終わるのかなと思いきや、ここで長濱モルトのピーティーな個性が樽感に置き換わるように出てきて存在感を増していく。長濱のスタイルはピーテッドモルト、このまま終わったら長濱じゃないですね。
加水の効き具合も、個性を潰さない程度にちょうどいい仕上がり。これを狙って47%仕様だったとしたら、ブレンドファーストリリースとしては充分すぎる仕上がりとも思います。

輸入原酒の力を借りてはいますが、蒸留所のキャラクターを感じやすくするために使っているような構成で、これなら長濱のクラフトウイスキーと呼んで差し支えないもの。
思っていた以上に完成度が高く、そして思っていた以上に面白いリリースでした。


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なお、AMAHAGANのセカンドリリースが、5月21日発売で予定されているそうです。
ワイン樽熟成の原酒を一部使っており、この個性をどう活かすかが非常に苦労した点だったとのこと。今回のテイスティングで面白いウイスキーという印象を持っていますので、次回は比較的早い段階でテイスティングしたいと思います(笑)。

※テイスティングの写真を撮影したと思っていたのですが、スマホのライブラリに見当たらず。。。後日撮影して差し替えておきますが、取り急ぎリカマンさんからお借りして掲載します。

アラン 21年 オフィシャルボトル 2018年リリース 46%

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The Arran Malt 
Aged 21 years 
Release in 2018 (1st lot) 
700ml 46%

グラス:グレンケアンテイスティング
時期:開封後2ヶ月程度
場所:Bar Eclipse
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ウッディでドライフルーツやフィナンシェなどの洋菓子、あるいは色の濃い蜂蜜も感じさせる甘味とビターな香り立ち。合わせて若干サルファリーなニュアンスも伴う。

味:ウッディでスパイシー、ねっとりとした舌当たり。香り同様の構成で樽感強く、樽由来の香味が重なりあったような木材感がある。余韻はオーキーなフルーティーさも若干混じるが、基本的にはシーズニングシェリーのウッディさと、微かにカカオ、サルファリーでビターなフィニッシュが長く続く。

シェリー樽圧殺というような構成ではないが、使われたシェリーとバーボン、2タイプ由来の樽材感が強いウッディな仕上がりという構成。そのため、酒質という以上に樽由来の香味が主体で、こてこてとしていて、なかでもシェリー系のニュアンスが強く残っている。
ストレートでは少々飲み疲れる部分もあるが、加水するとオーキーでアメリカンオーク由来の華やかさも混じるようになるので、開封後時間経過での変化が期待できそう。

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昨年12月にリリースされたアラン・オフィシャル通常ラインナップの最長熟成品。
これまでシングルカスクや何らかの限定品で20年、21年はリリースされてきていましたが、創業開始から23年たち、ようやく通常ラインナップとして21年熟成を安定してリリースできる目処が立ったということなのでしょう。

構成はシェリー樽とバーボン樽熟成の複数樽バッティング。テイスティングの通り結構シェリー樽の個性が強く出ていますね。
色合いからリフィルホグス、バーボンバレルも相応に使われているとは思いますが、これらの樽に求めるフルーティーさはストレートでは控えめで、むしろ一番効いているのがシェリー樽。それも創業初期のアラン蒸留所の樽に多いタイプです。

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(2016年にリリースされた、アラン蒸留所創業20周年記念の20年熟成。濃厚なシェリー感のあるボトルだったが、合わせてサルファリーさもあり、初期のアランの原酒らしいキャラクターだった。恐らくこの系統の原酒も使われているのだろう。)

アラン蒸留所は厳密に言えばアイランズモルトの区分に入りますが、島といいつつもその酒質はタリスカーやジュラのような個性的なものではなく、ハイランドモルトの王道を地でいくようなミディアムボディで素直かつ癖の少ないキャラクターです。
そのため、樽さえよければ化ける蒸留所であり、近年ではアメリカンオーク樽との組み合わせにおいて、フルーティーさのしっかり出たリリースが多くあります。
また、例えばスコットランドの北端に位置するオークニー諸島と比較すると、平均気温(主に最低気温)で約5度前後暖かく、その影響か20年経たず樽感の主張が強いリリースが見られるのも特徴といえます。

今回のリリースは21年分の樽感が感じられるリッチでややクドさの残った味わいである一方で、アランの2000年代のリリースなどでも見られた、蒸留所としての酒質の方向性や樽の調達で苦労していたことがうかがえる姿が思い出されるような懐かしい味わいでした。
アラン21年は、当面は年間9000本限定のスモールバッチでリリースされていくとのことで、使われる原酒の傾向もリリース毎に異なっていくものと思われます。
となると、代を重ねることでより洗練されて、近年のアランに近づくのかもしれません。

アラン10年なども、初期の頃はそこまで安定してはいなかったと記憶していますが、最近は優良オフィシャルとしての評価を確立しつつあります。
それこそ近年のシングルカスクリリースなどから原酒の傾向をピックアップし、将来の21年に個人的な好みを押し付けさせてもらえば・・・アメリカンオークホグスヘッドのトロピカルなフルーティーさを主体に、バーボンバレル由来の強烈な華やかさ、シェリー系のニュアンスで少しコクと厚みを加えて加水でまとめるようなリリースが出たらいいなあとリクエストして、この記事の結びとします。
アラン蒸留所と、21年の今後を楽しみにしています。

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