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カテゴリ:★5

マッカラン 18年 シェリーオーク 2019年リリース 43%

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MACALLAN 
18 YEARS OLD 
SHERRY OAK CASK 
ANNUAL 2019 RELEASE 
700ml 43%

グラス:シュピゲラウ
時期:開封直後
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★(5)

香り:シーズニングのプルーンや黒砂糖を思わせる甘いアロマがうっすらとあり、同時にゴム、焦げた木材や井草を思わせる樽香。奥には青い果実系の要素。これらが全体的に柔らかく広がる。

味:水っぽい口当たりでボディが薄く、そこからふわりとブラウンシュガー、焦げたゴム、デーツやドライプルーンを思わせる甘い含み香。余韻に香り同様の焦げ感のあるほろ苦いウッディさ、出涸らしのお茶のような渋味から、スッと消えていく軽い余韻。

スペインヘレス産シーズニングシェリー100%伝統のマッカランシェリーオーク。
であるが、シェリー樽由来の香味は辛うじて拾えるダークフルーツ系の要素と同時に、焦げた樽由来の若干ネガティブな要素もある。それ以上に、もはや加水に耐えられないのか、ボディは軽く水っぽい。飲めるは飲めるし、最低限のバランスは整っているが、実に物足りない。コクがなく、ただ、後付けしたシーズニングシェリー樽の香味があるだけ。。。

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2018年にボトルデザインチェンジが行われ、以前の肩張りボトル(以下写真参照)から、キャップからネック部分が持ち手で、先端部分が刺さった”古代の剣”みたいなデザインになったマッカランの現行ボトル。
愛好家を中心にあまり良い評判を聞かないマッカランですが、自分が意識してウイスキーを飲むようになった10年ほどでも”現代のマッカランは酷い”という声は定期的に届いてくるため、現在のロットについて同じような感想が聞こえても、さして気にも止めていませんでした。「昔は良かったという声は、いつの時代も一定数あるものさ・・・」なんて。

実際、マッカラン・シェリーカスクに限定するのであれば、1990年代流通あたりの丸瓶に比べて年々シェリー感が変化し、薄くなって荒くなったと言いますか。酒質も奥行きが乏しくなっていたのは否めず、これをもって味が落ちたとする意見には同意です。
ただ、これはマッカランに限らずどのブランドにおいても大なり小なり見られた傾向であり。むしろシェリー感の傾向としては、自前で樽工場を持ち(すべては賄えていないが、相当な投資をしていると言う話)、樽の仕様の発注、管理等を行っている関係か、新旧比較して香味のベクトルが全く別物になった訳ではないというのが自分の感想でした。

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(2000年代後半から流通していたマッカラン旧ボトルの18年。元々単一蒸留年の原酒で仕込まれていたボトルだったが、2015年流通(写真右)を最後に2016年からは今回のレビューアイテム同様にリリース年が記載されるようになった。それだけ原酒が苦しいのか、シェリー樽由来の甘味、コクが薄くなり、樽で苦労しているのを感じる味わいとなっていた。)

さて、今回「現行品も飲んでおかないとな」と、新ロットを見かけてテイスティングしてみたわけですが・・・。流石にここまでとは思いませんでした。前言撤回します。これはもう別物です。
樽の構成は伝統のスパニッシュとアメリカンのシーズニングで、上記写真の時代からシーズニング期間(1~2年程度)含めてそこまで変わっていないように思えます。ただし特に酒質の薄さ、水っぽさが目立っており、以前は旧時代の残滓くらいはあったそれが、越えてはならない一線をついに越えてしまったように感じてしまいます。

ベースとなる麦の違いか、よりスムーズで飲みやすい酒を目指した結果なのか・・・。かつてカスクストレングスではパワフルでフルボディといわれた酒質の片鱗は、一体どこにいってしまったのか。香りはするが、コクがほとんど感じられません。
それでも18年熟成かつ、大手ブランドの作りというのもあり、箸にも棒にもではなく。むしろ今ある条件のなかでバランスは整えられていて、普段ウイスキーを意識して飲まない無関心層相手のブランド商売なら、これくらいのほうが"マイルド"であるとか"飲みやすい"のかもしれません。

そして高い市場価格故、よくわからないけど良い酒飲んだ・・・という感じになって決着すると。まあ商売としてはアリなのか、コア勢は限定品を飲んでくださいという整理なのか。
近年蒸留所を大改修し、いまやミュージアムとも思えるような新しい蒸留設備を備えた大規模蒸留所マッカラン。旧ボトルを有り難がるつもりはないですが、これから先どこにいくのか。。。樽、製造設備の次は酒質の原点回帰を少しくらい進めても良いのではと真剣に感じてしまいました。

アンバサダー 1970年代流通 特級表記 43%

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Ambassador 
Deluxe Scotch Whisky 
1970's 
760ml 43% 

グラス:国際規格テイスティング
時期:不明
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★(4ー5)

香り:ドライで微かにスモーキー、煎餅のような香ばしさと、淡いモルティーさ。ドライでプレーンで、あまり香りが立たない。

味:ほろ苦い穀物感と干し草、ザラメのような甘さとピリピリとした刺激を感じる口当たり。あまり洗練された感じはない。ほのかにハイランド系のモルティーさ、薄めたはちみつ。余韻はドライでスパイシー、あっさりとしている。

所謂ライト系統のブレンデッド。デラックス表記なのだが12年相当という構成ではなく、若いハイランドモルトを軸に、若いグレーンで合わせて、トップドレッシングに若干量熟成したモルトを加えて整えたレシピを思わせる。故に、ストレートでは変化に乏しく、飲み進めていくと若さと刺激が目立つ。同時期流通の12年との格差が激しい。ハイボール、コーラ割り等で。

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ラベルに「SCOTCH AT ITS LIGHTEST」と書かれているとおり、主に米国市場への輸出を意識して、当時売れ筋だったライトな味わいを目指して作られたブレンデッド。
ブランド解説は、以前60年代流通品のレビューでまとめているので簡単に触れる程度にとどめますが、当時のアンバサダーはバランタインらと同様にハイラムウォーカーの傘下にあり、一部共通する原酒(恐らくスキャパやハイランドバルク)が使われていたとされ、親戚のような位置付けにもあります。

この70年代のアンバサダーは、60年代に比べてさらに軽さが際立ってます。
軽いといっても、同時期の日本製ブレンデッドのように甲類アルコールを混ぜたような無味無臭というわけではなく、樽由来の味わい、熟成香、これらが乏しいところに若いモルトやグレーンの味わいが主体なので、厚みに欠けると言うのが正しいかもしれません。

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(アンバサダー1960年代流通。香味の系統は似ており熟成感は大差ないが、70年代に比べるとハイランドタイプのモルトの麦芽風味がわかりやすく、コクも感じられる。レビューはこちら。)

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同じ1970年代流通の上位グレード、アンバサダーロイヤル12年(写真右)と比較すると、熟成感の違いが如実にわかります。
方やはちみつ(古酒系に振れるとべっこう飴系の甘さになっているボトルもある)や、洋梨のような果実味を含む、熟成したモルトが纏う甘やかな味わいがある一方、それがない分プレーンな味わいが目立つデラックス。。。
キーモルトのひとつと言われるスキャパは、確かにそこまで厚みと洗練されたキャラクターではないので、違和感はありませんが、いまいち特徴が掴めないのもこのブレンデッドの特徴です。

とは言え、同じライト路線でアメリカ市場でライバルだったJ&B同様に、ストレートではなくハイボールや、あるいはコーラで割るような飲み方をするならこういうほうがむしろ良いとも言えます。
要するに使い方ですね。個人的な好みで整理するとストレートに向いているとは思えませんが、雑な飲み方をするならば、逆にこのプレーンさと適度にビターでスパイシーな味わいは、下手に樽が効いているものよりもプラスになると思います。

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今日のオマケ:コノスル レゼルバ エスペシャル ピノ・ノワール 2017

チリの高コスパ銘柄、コノスルのピノで、格付け的には下から2番目に当たるブランド。
レゼルバなんて名付けてるんで、値段もそれなりなんでしょうと思わせて、税込み1200円程度という超デイリー銘柄です。
(スペインだとレゼルバ表記は36ヶ月以上の熟成が必要ですが、チリは不要で製造元の判断という整理。)

開封直後は合革やゴムのようなアロマがありつつ、奥にチェリーやクランベリージャムのような甘い果実香。時間経過で開いてくる、少し安っぽい甘さを含んだ熟した赤い果実の新世界感。 味は香りに反して酸がしっかりあり、フレッシュな木苺やザクロ、若い苺を思わせる果実味からしっかりとタンニンが余韻に効いてくる。
開封直後は少し香りに癖があり、余韻のタンニンも目立つのですが、時間経過で果実香が開き、バキュバン2日目はこれらが良い具合に馴染んできます。

この値段でこれなら申し分ないですね。
コノスルのピノは、1000円前後でいくつかあるところからスタートし、
・レゼルバ エスペシャル(1200円前後)
・ブロックNo,21(1900円前後)
・20バレル(2600円前後)
と、物凄く低価格でブランドの整理がされているのですが、どれもちゃんと香味や作りに違いがあるので面白い。また、そのどれも、類似の味の系統のワインと比較して、市場価格で1000円から2000円程度の価格差を感じてしまうようなクオリティであり、コスパの高さとはこういうことだと体現しているようです。

中でもウイスキー好きの知人複数名が、デイリーユースにしているのが今回のグレード。興味のある方は肉料理と共に是非!

シングルモルト 厚岸 サロルンカムイ 2020年リリース 55%

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THE AKKESHI 
Single Malt Whisky 
"Sarorunkamuy" 
Lightly-Peated 
Bottled January 2020 
200ml 55% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:自宅
評価:★★★★★(5)

香り:干し草や木材が焦げたようなスモーキーな香りに、若い原酒の乳酸やレモングラスのような柑橘香から、バニラや蒸した穀物のような甘さ、ほのかに黒砂糖。ニッキを思わせるスパイス香がピートと合わせて感じられる。

味: やや酸を感じる若いモルティーさから、クリーミーでピーティーな口当たり。ホワイトペッパーを思わせるスパイスとオークのバニラ、ローストした麦芽のほろ苦さにレモンバウムのような駄菓子的な柑橘感が続く。 
余韻で鼻腔に抜けていくミズナラのスパイシーかつウッディさをアクセント、土っぽさと焦げたようなピーティーなフレーバーが長く続く。

強くはないが主体的に感じられるピート香と、ミズナラ樽のスパイシーさを軸に複数の樽感とが若さを中和し、バランスよく仕上げてある。ピートはヨード等のアイラタイプではなく、スモーキーで木材が焦げたようなほろ苦さ。ボディにあるコクのある甘味、余韻にかけて鼻腔に抜けるミズナラ香が良いアクセントになっている。加水すると燻した麦芽のスモーキーさと、若い原酒の酸が目立つ。これまでリリースされてきた厚岸ウイスキーの集大成。ヒンナ。

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ファン待望、厚岸蒸留所初のシングルモルトリリース。3年以上熟成した2016年蒸留のノンピート、ピーテッド原酒をブレンドしたもので、樽はバーボン、シェリー、ワイン、そしてバッティングの軸になる原酒は、北海道産のミズナラ樽で熟成させたピーテッド原酒を使用した、こだわりの1本です。

厚岸蒸留所は目標のひとつにオール北海道産のウイスキーを掲げており、このファーストリリースはゴールではなく始まりとして、軸になる原酒を北海道産ミズナラ樽のものにしたのではないかと推察します。
その中身は3年熟成のシングルモルトであるため、多少なり若さは見られます。
ただ、他のクラフト同様に現時点ではこれ以上の熟成年数のものはない訳ですから、若さをもってNGとする評価は、無い物ねだりというか違うモノ飲んでくださいとしか言えません。その上でこのリリースの見所はというと、複数の原酒の織り成すバランス、そしてこれまでリリースされてきた、ニューボーン4作との"繋がり"にあると感じました。

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(厚岸蒸留所リリースの系譜。過去4作のニューボーンは、それぞれに意味や位置付けがあるが、サロルンカムイはこれらの集大成であるように感じられた。また3年未満でSpirit表記だったものが、いよいよ今作でSingle Malt表記となったのも感慨深い。過去4作のレビューはこちら

これまでリリースされたニューボーンは、上の写真の通り
・1st:ノンピート原酒(バーボン樽)
・2nd:ピーテッド原酒(バーボン樽)
・3rd:ノンピート原酒(ミズナラ樽)
・4th:ブレンデッドウイスキー(バーボン、ワイン、シェリー樽)※ほぼノンピート
以上の構成でリリースされてきました。
1stはまずベースとなるプレーンな厚岸蒸留所の酒質を、2ndと3rdは将来のシングルモルトとしてのリリースを見据えた同蒸留所のスタイルを、そして4thはブレンデッドウイスキーとして同蒸留所の方向性、ワインやシェリー樽等の過去使ってこなかった様々な樽を用いるスタイルとして。
いずれもそれぞれが、将来の厚岸ウイスキーを見据えたマイルストーン的な意味を持っていました。

一方、サロルンカムイのフレーバーを紐解いていくと、その先はこれらすべてのニューボーンにたどり着くように感じます。
軸となっているミズナラ樽の原酒は言わずもがな、熟成を経たピーテッドモルトや、ノンピートのバーボン樽原酒のキャラクターが随所にあり、特にピートフレーバーはノンピート原酒とのバッティングでライトに整えられて全体のなかでアクセントになっている。

また、比率としては少ないものの、ミズナラとピートという厚岸蒸留所がシングルモルトの主要要素に考えるフレーバーを潰さず、ブレンデッドウイスキーで言うグレーン、蕎麦で言う小麦粉的な繋ぎの役割を果たして全体の一体感を産み出している、シェリー樽やワイン樽由来のコクのある甘味の存在。
これは何の裏付けもない考察ですが、まるでニューボーンで表現された個性をパズルのピースに、足りない部分を補ってひとつの形に仕上げた集大成であるように思えました。

集大成というと、これをもって厚岸蒸留所の旅が完結するかのような表現にもなってしまいますが、むしろここからが本当の始まり。北海道産の原料を使った仕込みはまだまだこれからですし、熟成していく原酒のピークの見極め、厚岸産牡蠣とのペアリング。。。何より創業時に掲げられた、アイラモルトを目指すという理想も残されています。厚岸蒸留所の独自色は、まさにこれから育とうという段階にあります。
ですが、まずこの段階で3年モノとしてリリースできるベストなシングルモルトを作ってきたのかなと。その意味で、集大成であると感じたのです。


記念すべきファーストリリースに銘打たれた"サロルンカムイ"は、アイヌ語でタンチョウヅルを体現する神、湿地にいる神を意味する言葉であり、ボトルもそのイメージに合わせて白と赤のカラーリングとしてあります。
厚岸蒸留所は別寒辺牛湿原に隣接する土地に建てられているだけでなく、今後国産ピートの採掘も行われる予定であることから、湿原の神様との関わりは切ってもきれないものです。
お酒を神様に捧げるのは八百万の神が住まう日本的な発想ですが、ウイスキーが神秘を内包するものである以上、厚岸蒸留所の今後に一層の加護があればと思えてなりません。

月並みですが、樋田社長並びに厚岸蒸留所の皆様、3年熟成となるシングルモルトのリリース本当におめでとうございます。
この約2年間のニューボーンのリリースやイベントでの原酒のテイスティング等を通じ、ファーストリリースに向けた濃密な準備期間を経験できました。
今後のリリースも楽しみにしております。

ブナハーブン 5年 2013-2019 ケイデンヘッド 58.3% ゴールドラベル

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BUNNAHABHAIN 
CADENHEAD'S 
Aged 5 years 
Distilled 2013 
Bottled 2019 
Cask type Bourbon Barrel 
700ml 58.3% 

グラス:リーデル
場所:BAR Regalo AKASAKA 
時期:開封後2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(5ー6)

香り:クリアでシャープなピート香。乾いた土や焦げた干し草等のスモーキーさに、レモングラスとほのかにハーブ、塩素のニュアンスが混じる。

味:ややドライな麦芽風味とピートスモーク、そしてバニラやグレープフルーツを思わせるオークフレーバーが中間からほどよく広がるが、メインはあくまで燻した麦芽の風味にある。余韻は焦げたようなピーティーさ、スパイシー、微かに薬品香。あっさりとしているが、若さ故の粗さが口内にひっかかりとして残る。

クリアで癖の少ないヤングピーテッドアイラ。樽とのバランスも悪くなく、味わいのなかでじわりと広がるオークフレーバーは、ピートと麦のほろ苦く香ばしい味わいを邪魔しない。粗さはあるが、若いなりの仕上がりとして感じられる。一方加水するとピートと麦の繋がりが切れて浮わついたような変化がある。ストレートで。

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ケイデンヘッドのカスクストレングスシリーズ、ゴールドラベルから"まさか"のピーテッド・ブナハーブン5年。
というのも、これまで同ブランドにおけるゴールドラベルのリリースは、ケイデンヘッドにとって最高峰というか、マネージャーが選ぶ特別な樽というか認識があり・・・。熟成期間も相応に長いものが選ばれていましたから、このスペックで?と驚かされたわけです。

時はちょうど昨年のウイスキーフェス。試飲してみると、5年モノとしては悪くはないけど特筆してすごくもない、普通のピーテッドアイラという印象。
ブースで話を聞くと、このブナハーブンがどちらの位置付けかはわからないものの、ノーマルなシングルカスクのリリース含めて、ケイデンヘッドにおけるゴールドラベルの適用範囲が広がったとのこと。最近も若いトマーティンがリリースされてました。
そういえば、同社でマネージャー勤めていたマーク・ワット氏が2019年に退社されており、その影響があるのかもしれません。


さて、ご存じのとおりブナハーブンはピートレベルがほとんど0に等しい原酒をハウススタイルとしており、アイラモルトのなかでは異色なキャラクターで知られています。

一方、1990年代からピート需要が徐々に高まるなかで、ブナハーブンでもグループ会社のブレンドに用いる目的で少量ながらピート原酒の仕込みを開始。2003年、蒸留所がバーンスチュワート傘下となるとブランドが定着(バーン社はディーンストン、トバモリー、ブナハーブンの顔ぶれ故に、ブラックボトル用の原酒としてピーテッドモルトが必要だったと考えられる)。そして2010年頃にはカリラが改修工事による極短期間の休止に入ったことをチャンスと受け、35PPMのモルトを用いた蒸留が本格化したという流れです。
したがって、現在リリースされているピーテッドブナハーブンは今回のボトルのように若い原酒が多いですが、一部ボトラーズで1990年代後半蒸留のものも見られます。

通常リリースでもボトラーズリリースでもそうなのですが、ブナハーブンはあまり酒質の強いタイプではありません。
近年のスペイサイドモルトのように軽やかで、ライトボディな酒質は、ピーテッドモルトの仕込みであっても変わらず。熟成を経ていくと、ピートは強く残っているにもかかわらず、酒質部分が細すぎて腰砕けになる(そして樽香は強い)。カリラ、ラガヴーリン等と比べ、なんともアンバランスな仕上がりになる傾向があります。

一方、若いうちは酒質への熟成の影響がそこまで出ないため、ピートフレーバーとのバランスがとれる早熟タイプのウイスキーという印象があり、今回のボトルはまさにそれ。そう考えると、このブナハーブンがこれでピークという判断も納得出来るように感じられます。

アマハガン ワールドモルト 山桜ウッドフィニッシュ 47%

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AMAHAGAN 
World Malt Whisky 
Edition Yamazakura Wood Finish 
Release in 2020 
700ml 47% 

グラス:グレンケアン
時期:開封後数日
評価:★★★★★(5)

香り:柔らかく甘いウッディネス。桜餅を思わせるような個性的な和風の甘さ、微かに乾いた植物や麦芽のようなニュアンス、若い原酒由来かツンとした刺激とドライな要素も混じる。

味:スムーズな口当たり。香りで感じたのと同様の個性と、色濃いシロップを思わせるようなエキス由来のとろりとした甘味がありつつ、干し草やバニラウェハース、徐々にビターでドライな質感。ほどよい渋味を感じるフィニッシュへと繋がる。

和のニュアンスという点ではなるほどという、個性的な仕上がりのブレンデッド。プレーンで癖の少ないモルティーなブレンドに、山桜樽のフィニッシュで付与された濃いめのウッディさが、ソースのようにかけられている。ただ、ベース部分の主張と喧嘩しないため、フィニッシュによる違和感は少ない。その甘味故にストレート以外にロックや水割りも面白いかも。


先日紹介したグレンマッスルの親戚とも言える、長濱蒸留所がリリースするウイスキー・アマハガンの第4弾。ノーマルのアマハガンレシピで作られたベースウイスキーを、4ヶ月間山桜の木材で作られた樽でフィニッシュしたもの。タイミングも良いので、長濱繋がりでレビューを掲載します。
山桜と最初聞いた時は笹の川酒造をイメージしましたが、まさか長濱からこういうリリースがあるとは驚きです。

ウイスキーに用いられる樽材は、通常アメリカンオークやスパニッシュオークあたりが一般的ですが、日本的な木材で作られた樽による熟成が新しい可能性として注目されています。
ミズナラについては言わずもがな、杉、栗、桜。。。日本の樽工場である有明クーパレッジではこうした材木での樽の加工も請け負っており、自社での熟成実験も進んでいます。

例えば、自分が過去に試飲した熟成サンプルだと、これらは短期間で強めのウッディさが付与される傾向があり、栗はミズナラに近いスパイシーさとさらに濃いエキスが。桜はまさに桜餅を思わせるような甘味とほのかな酸が香る。杉についてはハーバルな感じですが、桧同様にエキスの出方がべったりとしているというか、独特な印象がありました。
基本的に、国産ウイスキーであっても原料は輸入で作られるものですから、日本酒等のようにその土地その土地の原料で個性を出すとなると、麦芽で差別化することができません。
よって、熟成環境だけでなく樽材がその土地のものというブランド作りは、新しい取り組みとして可能性のあるものと思うのです。

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(有明クーパレッジ(有明産業)のイベントブースにて提供されていた、各樽材での試験熟成原酒。それぞれ個性が強く、単品では難しいかもしれないが可能性を感じる原酒でもあった。)

今回の山桜カスクフィニッシュですが、ベース部分は加水で整えられたプレーンで癖の少ない、柔らかい甘さのあるモルトウイスキー。長濱原酒も一部使われていますが、若さが目立つものではなく、全体的にバランスは悪くありません。

言い換えると、強みとなる個性もないという点はありますが・・・。そこに山桜樽の濃いめのエキスが混じり、特徴的な甘味とウッディさを含み香で感じる面白い仕上がりとなっています。
リリース時期から逆算すると、この樽の強さは盆地滋賀県の夏場に期間がかかっていることからくるものと推察。樽材の個性をしっかり活かしつつ、和のニュアンスを付与した味わいは、前作ミズナラウッドよりも面白いリリースだと思います。

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また、使われている2年熟成程度の若い長濱原酒も早熟でそれなりに楽しめるクオリティであることが、プラスに働いているように感じています。

長濱蒸留所は、創業比較的すぐのタイミングで見学させてもらっており、そこからイベントで色々話を聞いたり、蒸留所を再訪したりと、現在進行形で成長を見ることが出来た蒸留所のひとつです。
ただ、初期の原酒は麦の甘味は出ているのですが、なんだか全体的にぼんやりしているというか、キレに乏しい感じがあり。。。
蒸留器が小型のアランビック式であることもあって、少しの調整で大きな変化が出てしまう難しさがあったのだと思います。現場ではラインアームの角度、カットポイントの変更など、様々な微調整、トライ&エラーが繰り返されていました。

その結果、1年過ぎたあたりからバランスが良くなり、昨年蒸留所で飲んだものは、さらにクリアで嫌みが少ないなかに、柔らかいモルティーさと適度なコク、様々な調整の末に成長が感じられるニューメイクが作られていました。
現在審査が進む今年のワールド・ウイスキー・アワードでも、アマハガン、長濱ニューメイク共に日本カテゴリーのなかで存在感を放っているようです。
同蒸留所からは今年中に3年熟成のシングルモルトがリリースされるということですし、今後ウイスキー市場のなかでさらに評価を高めていくことを期待したいです。

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ちなみに以下、余談として・・・。
長濱蒸留所で合わせてウイスキー好きに知られてほしいと思うのが、ビールです。
長濱蒸留所(長濱浪漫ビール)は、エールタイプのビールがスタンダードブランドとして作られており、しっかりと麦の味にホップも強めに効いたビターで奥深い味わい。IPA系のビールを好む傾向があるウイスキー飲みにあっては、好まれるビールだと思います。

特に、現地で飲む作りたては最高(正直、蒸留所見学は半分それ目当てで行っていたりもw)。瓶売りしているものも現地そのままの味で、行ったら必ずお土産に買って帰っています。
将来、この長浜ビールカスクで熟成された長浜原酒やアマハガンがリリースされたら良いなぁ、なんて思いつつ、今日の記事の結びとします。

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