カテゴリ

カテゴリ:★5

ブナハーブン 5年 2013-2019 ケイデンヘッド 58.3% ゴールドラベル

カテゴリ:
IMG_20200115_192805
BUNNAHABHAIN 
CADENHEAD'S 
Aged 5 years 
Distilled 2013 
Bottled 2019 
Cask type Bourbon Barrel 
700ml 58.3% 

グラス:リーデル
場所:BAR Regalo AKASAKA 
時期:開封後2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(5ー6)

香り:クリアでシャープなピート香。乾いた土や焦げた干し草等のスモーキーさに、レモングラスとほのかにハーブ、塩素のニュアンスが混じる。

味:ややドライな麦芽風味とピートスモーク、そしてバニラやグレープフルーツを思わせるオークフレーバーが中間からほどよく広がるが、メインはあくまで燻した麦芽の風味にある。余韻は焦げたようなピーティーさ、スパイシー、微かに薬品香。あっさりとしているが、若さ故の粗さが口内にひっかかりとして残る。

クリアで癖の少ないヤングピーテッドアイラ。樽とのバランスも悪くなく、味わいのなかでじわりと広がるオークフレーバーは、ピートと麦のほろ苦く香ばしい味わいを邪魔しない。粗さはあるが、若いなりの仕上がりとして感じられる。一方加水するとピートと麦の繋がりが切れて浮わついたような変化がある。ストレートで。

IMG_20200115_192741

ケイデンヘッドのカスクストレングスシリーズ、ゴールドラベルから"まさか"のピーテッド・ブナハーブン5年。
というのも、これまで同ブランドにおけるゴールドラベルのリリースは、ケイデンヘッドにとって最高峰というか、マネージャーが選ぶ特別な樽というか認識があり・・・。熟成期間も相応に長いものが選ばれていましたから、このスペックで?と驚かされたわけです。

時はちょうど昨年のウイスキーフェス。試飲してみると、5年モノとしては悪くはないけど特筆してすごくもない、普通のピーテッドアイラという印象。
ブースで話を聞くと、このブナハーブンがどちらの位置付けかはわからないものの、ノーマルなシングルカスクのリリース含めて、ケイデンヘッドにおけるゴールドラベルの適用範囲が広がったとのこと。最近も若いトマーティンがリリースされてました。
そういえば、同社でマネージャー勤めていたマーク・ワット氏が2019年に退社されており、その影響があるのかもしれません。


さて、ご存じのとおりブナハーブンはピートレベルがほとんど0に等しい原酒をハウススタイルとしており、アイラモルトのなかでは異色なキャラクターで知られています。

一方、1990年代からピート需要が徐々に高まるなかで、ブナハーブンでもグループ会社のブレンドに用いる目的で少量ながらピート原酒の仕込みを開始。2003年、蒸留所がバーンスチュワート傘下となるとブランドが定着(バーン社はディーンストン、トバモリー、ブナハーブンの顔ぶれ故に、ブラックボトル用の原酒としてピーテッドモルトが必要だったと考えられる)。そして2010年頃にはカリラが改修工事による極短期間の休止に入ったことをチャンスと受け、35PPMのモルトを用いた蒸留が本格化したという流れです。
したがって、現在リリースされているピーテッドブナハーブンは今回のボトルのように若い原酒が多いですが、一部ボトラーズで1990年代後半蒸留のものも見られます。

通常リリースでもボトラーズリリースでもそうなのですが、ブナハーブンはあまり酒質の強いタイプではありません。
近年のスペイサイドモルトのように軽やかで、ライトボディな酒質は、ピーテッドモルトの仕込みであっても変わらず。熟成を経ていくと、ピートは強く残っているにもかかわらず、酒質部分が細すぎて腰砕けになる(そして樽香は強い)。カリラ、ラガヴーリン等と比べ、なんともアンバランスな仕上がりになる傾向があります。

一方、若いうちは酒質への熟成の影響がそこまで出ないため、ピートフレーバーとのバランスがとれる早熟タイプのウイスキーという印象があり、今回のボトルはまさにそれ。そう考えると、このブナハーブンがこれでピークという判断も納得出来るように感じられます。

アマハガン ワールドモルト 山桜ウッドフィニッシュ 47%

カテゴリ:
IMG_20200209_153857
AMAHAGAN 
World Malt Whisky 
Edition Yamazakura Wood Finish 
Release in 2020 
700ml 47% 

グラス:グレンケアン
時期:開封後数日
評価:★★★★★(5)

香り:柔らかく甘いウッディネス。桜餅を思わせるような個性的な和風の甘さ、微かに乾いた植物や麦芽のようなニュアンス、若い原酒由来かツンとした刺激とドライな要素も混じる。

味:スムーズな口当たり。香りで感じたのと同様の個性と、色濃いシロップを思わせるようなエキス由来のとろりとした甘味がありつつ、干し草やバニラウェハース、徐々にビターでドライな質感。ほどよい渋味を感じるフィニッシュへと繋がる。

和のニュアンスという点ではなるほどという、個性的な仕上がりのブレンデッド。プレーンで癖の少ないモルティーなブレンドに、山桜樽のフィニッシュで付与された濃いめのウッディさが、ソースのようにかけられている。ただ、ベース部分の主張と喧嘩しないため、フィニッシュによる違和感は少ない。その甘味故にストレート以外にロックや水割りも面白いかも。


先日紹介したグレンマッスルの親戚とも言える、長濱蒸留所がリリースするウイスキー・アマハガンの第4弾。ノーマルのアマハガンレシピで作られたベースウイスキーを、4ヶ月間山桜の木材で作られた樽でフィニッシュしたもの。タイミングも良いので、長濱繋がりでレビューを掲載します。
山桜と最初聞いた時は笹の川酒造をイメージしましたが、まさか長濱からこういうリリースがあるとは驚きです。

ウイスキーに用いられる樽材は、通常アメリカンオークやスパニッシュオークあたりが一般的ですが、日本的な木材で作られた樽による熟成が新しい可能性として注目されています。
ミズナラについては言わずもがな、杉、栗、桜。。。日本の樽工場である有明クーパレッジではこうした材木での樽の加工も請け負っており、自社での熟成実験も進んでいます。

例えば、自分が過去に試飲した熟成サンプルだと、これらは短期間で強めのウッディさが付与される傾向があり、栗はミズナラに近いスパイシーさとさらに濃いエキスが。桜はまさに桜餅を思わせるような甘味とほのかな酸が香る。杉についてはハーバルな感じですが、桧同様にエキスの出方がべったりとしているというか、独特な印象がありました。
基本的に、国産ウイスキーであっても原料は輸入で作られるものですから、日本酒等のようにその土地その土地の原料で個性を出すとなると、麦芽で差別化することができません。
よって、熟成環境だけでなく樽材がその土地のものというブランド作りは、新しい取り組みとして可能性のあるものと思うのです。

069a3aa9
(有明クーパレッジ(有明産業)のイベントブースにて提供されていた、各樽材での試験熟成原酒。それぞれ個性が強く、単品では難しいかもしれないが可能性を感じる原酒でもあった。)

今回の山桜カスクフィニッシュですが、ベース部分は加水で整えられたプレーンで癖の少ない、柔らかい甘さのあるモルトウイスキー。長濱原酒も一部使われていますが、若さが目立つものではなく、全体的にバランスは悪くありません。

言い換えると、強みとなる個性もないという点はありますが・・・。そこに山桜樽の濃いめのエキスが混じり、特徴的な甘味とウッディさを含み香で感じる面白い仕上がりとなっています。
リリース時期から逆算すると、この樽の強さは盆地滋賀県の夏場に期間がかかっていることからくるものと推察。樽材の個性をしっかり活かしつつ、和のニュアンスを付与した味わいは、前作ミズナラウッドよりも面白いリリースだと思います。

IMG_20190626_172733
IMG_20190626_173418

また、使われている2年熟成程度の若い長濱原酒も早熟でそれなりに楽しめるクオリティであることが、プラスに働いているように感じています。

長濱蒸留所は、創業比較的すぐのタイミングで見学させてもらっており、そこからイベントで色々話を聞いたり、蒸留所を再訪したりと、現在進行形で成長を見ることが出来た蒸留所のひとつです。
ただ、初期の原酒は麦の甘味は出ているのですが、なんだか全体的にぼんやりしているというか、キレに乏しい感じがあり。。。
蒸留器が小型のアランビック式であることもあって、少しの調整で大きな変化が出てしまう難しさがあったのだと思います。現場ではラインアームの角度、カットポイントの変更など、様々な微調整、トライ&エラーが繰り返されていました。

その結果、1年過ぎたあたりからバランスが良くなり、昨年蒸留所で飲んだものは、さらにクリアで嫌みが少ないなかに、柔らかいモルティーさと適度なコク、様々な調整の末に成長が感じられるニューメイクが作られていました。
現在審査が進む今年のワールド・ウイスキー・アワードでも、アマハガン、長濱ニューメイク共に日本カテゴリーのなかで存在感を放っているようです。
同蒸留所からは今年中に3年熟成のシングルモルトがリリースされるということですし、今後ウイスキー市場のなかでさらに評価を高めていくことを期待したいです。

IMG_20190706_115921

ちなみに以下、余談として・・・。
長濱蒸留所で合わせてウイスキー好きに知られてほしいと思うのが、ビールです。
長濱蒸留所(長濱浪漫ビール)は、エールタイプのビールがスタンダードブランドとして作られており、しっかりと麦の味にホップも強めに効いたビターで奥深い味わい。IPA系のビールを好む傾向があるウイスキー飲みにあっては、好まれるビールだと思います。

特に、現地で飲む作りたては最高(正直、蒸留所見学は半分それ目当てで行っていたりもw)。瓶売りしているものも現地そのままの味で、行ったら必ずお土産に買って帰っています。
将来、この長浜ビールカスクで熟成された長浜原酒やアマハガンがリリースされたら良いなぁ、なんて思いつつ、今日の記事の結びとします。

余市 マンサニージャウッドフィニッシュ 2018年リリース 48%

カテゴリ:
IMG_20200130_222753
NIKKA WHISKY 
YOICHI 
MANZANILLA WOOD FINISH 
Bottled in 2018 
700ml 48% 

グラス:木村硝子テイスティング
時期:開封後1ヶ月程度
場所:自宅@サンプルIさん
評価:★★★★★(5)

香り:焦げたようなウッディさとサルファリーなニュアンス。醤油煎餅のような香ばしさ、微かなピート。奥にはやや若い酸、バニラの甘さも合わせて感じられる。

味:オイリーでコクのある口当たりだが、香り同様に酸味があり、ベースの若さを感じる作り。微かに干し柿とクリームの甘味。徐々にウッディで軽いえぐみがあり、椎茸の混じったコーヒーのようなサルファリーさとピートフレーバー。ドライでビターなフィニッシュが長く続く。

オフィシャル通常品と同じような若い余市モルトに、シェリー樽のフィニッシュが合わさってサルファリーでビターな味わいに仕上がった、良くも悪くもニッカ味なモルト。シェリー樽の疑問は宮城峡の同限定品と同じで、シェリーそのものが混じったような淀みも健在。ただそれ以上にこのボトルは裏ラベルのコメントである。ピーチ?パパイヤ?トロピカルフルーツ?一体何があったのか。。。

IMG_20200130_222735

シングルモルト余市NASを、マンサニージャシェリーを50年間熟成していたソレラ樽で、18ヶ月間フィニッシュした限定品。
先日これの宮城峡をレビューしたところ、余市も飲みます?と、知人のIさんから頂いたもの。
「余市はまだ良いって話聞きましたけど、どうです?」という問いは、Iさんの(苦笑)によってお察しでしたが、まあこれも中々に疑問の残るボトルであったわけです。

まずシェリー感については同じ樽を使ってるわけですから、特徴はそのまま。
ただ宮城峡に比べ、原酒の個性の強さから通常のオフィシャルNAS系統の香味が分かりやすいので、どの辺がフィニッシュ由来なのか整理しやすく感じられました。
例えば、通常の余市NASはシェリー感はそこまで強くありません。サルファリーさもありません。若い余市の味はそういうものとして評価出来るのですが、その前提から見ると疑問点も際立つ訳です。

それは、マンサニージャ之如何にという部分と、なぜここまで硫黄後付けに拘るのか。そしてこの香味でもってピーチ、パパイヤ、トロピカルフルーツは無理があるような。。。という3本建て。
先の2点は過去記事でも触れていますので、ある程度割愛しますが、やっぱりこれマンサニージャシェリー樽ではないのでは?という疑問は強くなりましたね。
あるいはこの余韻にかけてのウッディさです。ベースを構成する一部に、意図的にオロロソシェリー樽の原酒を加えたのではとも思える味わい。中身と公開されている説明が一致しない違和感が、最後までぬぐえないのです。

IMG_20191209_220910
(同時にリリースされた宮城峡のマンサニージャフィニッシュ。オフィシャルと同じシングルモルトを、ソレラで50年使われたシェリー樽で18ヶ月フィニッシュしたものというが。。。レビューと樽に関する疑問はこちら。)

そしてこの余市に関しては「個人の感想であるため、効果と効能を保証するものではない」と言われればそこまでなのですが、ウイスキー界隈でのトロピカルフルーツとはかけ離れているようなレビューが、さらに違和感を強くしています。
ボトリングする前の、カスクサンプル段階で一部そういう香りのものがあったのか。。。なんの裏付けもないですが、ある種の営業戦略なのか。。。
香味が好みから外れているだけなら、それは食品や嗜好品ゆえ仕方ないことですが、こうもモヤモヤが残る酒は中々に珍しいです。

IMG_20200118_062621
今日のオマケ:クリスタルム ピーターマックス ピノ・ノワール 2018

南アフリカのピノ。新世界のなかでも仏寄りのタイプのものが多い印象の地域ですが、これはその合わせ技という感じですね。

クリアで土っぽさとキノコのような香りの混じる赤系果実香。少し酸が立って感じられる。注ぎたてはフレッシュで若い印象もあるが、クランベリーやチェリー、石榴のシロップを思わせるジューシーな甘酸っぱさ。人工出汁のようなべったりとした質感で口内にとどまる。余韻は酸味が優位になり、適度なタンニンを伴う。

分かりやすいピノ由来の赤系果実の味わいと、土っぽさもはっきり感じられるのが魅力のワイン。2018と新しいビンテージでこう飲めるのは如何にも新世界的な良さだし、何より価格が3000円台と使いやすいのも魅力です。より一層新世界的な味を求めるならカレラやコノスル、仏系の味を求めたらこういうワインが選択肢にあるのはウイスキーライフのサブポジとして申し分なしだと思います。

グレンエルグ 12年 ピュアモルト1990年代流通 43%

カテゴリ:
IMG_20200107_222534
GLEN ELG 
AGED 12 YEARS 
Pure Malt Scotch Whisky 
1990's 
750ml 43% 

グラス:国際規格テイスティング
時期:不明
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★(5)

香り:ややドライでハイトーン。バニラや洋梨を思わせる麦芽の甘さに、カシューナッツ、青竹のような植物っぽさを伴うウッディさ。単調気味だが嫌みな要素は少ない。

味:香り同様にドライな麦芽風味。軽いスパイシーさとこちらも若竹のような青みがかったニュアンス。
余韻はクルミの薄皮を思わせるようなほろ苦さに、ウッディで微かにオーキーな華やかさが感じられる。

樽感はあまり強くなく、プレーンでやや癖のある麦芽風味が主体のピュアモルト。ディーンストンメインと言われても違和感はない。またそこに中性的なハイランド(あるいはスペイサイド)モルトを加えたような構成。決して悪くはないが、麦芽風味主体のなかでそれが分厚いわけでもない、ちょっと中途半端なボトル。ストレート以外にハイボールなどで。

IMG_20200107_222338

1990年、ディーンストン蒸留所を買収したバーンスチュワート社がリリースしたピュアモルト。先日紹介したグレンエルグ17年のスタンダードグレードに辺り、こちらは比較的多くのボトルがリユース市場で見られます。

構成原酒については不明ですが、まずこの風味、癖のある麦芽感はディーンストンでしょう。(あるいはタリバーディンとかそういうマイナーどころですが、繋がりがない。)
ディーンストン蒸留所は1982年に閉鎖されており、上記買収にともなって1年後に再稼働するわけですが。時期的には閉鎖前1980年前後の原酒を使い、そこに他社から調達した内陸の癖の少ないモルトを加えたものと推察
大半がブレンド用のモルトなのか、サードフィル以降のプレーンな樽で熟成していたのかと思えるくらいに樽感は淡く、プレーンオークで感じられるやや青みがかったようなニュアンスがドライな香味の中に備わっています。

数が多いことと中身が不明なこと、味も特別ななにかがあるわけではないため、プチオールドなジャンルに入るピュアモルトでありながら、そこまで価格が高等していないのも本リリースの特徴。まあ確かにこの辺買うならグレンフィディック12年の90年代とか買いますね(汗)。。。
特別悪くはないが、良くもない。結果特別選らばれる要素もない・・・不遇な子。ああ、こういう個性なんだと経験値にするか。
17年にあったような武器(シェリー感)が無いのが、辛いところですね。

87e2254a
(グレンエルグ 17年 ピュアモルト。こちらも麦芽風味に癖があるというか、ひっかかりのある味わいだが、シェリー感がオールド好きの琴線に触れる要素を備えており、この点が強みである。レビューはこちら



宮城峡 マンサニージャウッドフィニッシュ 2018年リリース 48%

カテゴリ:
IMG_20191209_220910
NIKKA WHISKY
MIYAGIKYO 
SINGLE MALT 
MANZANILLA WOOD FINISH 
Bottled in 2018 
700ml 48% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
場所:ジェイズバー
時期:不明
評価:★★★★(4ー5)

香り:ドライでかりんとうやアーモンドを思わせる香ばしい甘さがトップにあり、黒蜜と椎茸、デーツ、シェリーそのものが混じったようなアクセントから、ビターでサルファーなニュアンス。

味:ややベタつきのある口当たり。香り同様のシェリー感はチョコレートと椎茸出汁、微かにオランジェット。じわじわとウッディさが強く感じられる。若さはあまり目立たず、余韻はサルファリーさが漂うビターな風味。

宮城峡シェリー樽原酒らしい味と言えばらしい仕上がりだが、素性も香味も謎がある。マンサニージャの特徴?はさておき、何かシェリーそのものが混じったような仕上がりなのはフィニッシュの樽由来なのか。正直な話、良さを見つけづらい、閉口的一杯。

IMG_20191209_225243

2018年にリリースされた、シングルモルト余市・宮城峡の限定品(生産4000本のみ)。
今さら感のあるボトルですが、ちょうど2020年新作のアップルワイン樽熟成の情報が出始めているところであり、たまにはこういうのもいいかなと、レビューを投稿します。
なお、本リリースについては疑問点がいくつかあり、テイスティングで得られた情報からその点に関する考察、予想を以下にまとめます。

まずニュースリリース上でのメーカー公開情報。
Screenshot_20200118_102536

これだけ読むと気合いいれて樽調達してきたなぁ、と思うわけですが・・・ふと冷静になって、これがマンサニージャシェリーであることで、それって50年間も熟成できるのか?という疑問があります。

◼️疑問点(1)ソレラシステムの樽?
マンサニージャはフロール(酵母の膜)を形成して熟成させるため、基本あまり長期間熟成出来ない辛口シェリーです。
スタンダードなグレードでは平均5年程度とかそういうレベル。マンサニージャ・パサダという熟成タイプもありますが、フロールを維持出来る限界が10~15年とされていることもあり。。。
50年も熟成させたら、マンサニージャではなく違う分類のシェリー樽(アモンティリャードシェリーに近い?)になってしまうと考えられます。

まあ実際はソレラシステムで若い原酒を継ぎ足し、フロールを維持させながら熟成を継続するため、今回の樽もソレラ樽ということなのだと脳内保管。(後々、WMJの特集記事では、ニッカの佐久間チーフブレンダーがソレラシステムで使われていた樽だと説明されていましたのを発見しました。)
ただ、そうだとしてもマンサニージャで累計50年間以上ソレラを組み続けていられるのかは、自分のシェリー酒に関する知識ではわかりませんでした。

◼️疑問点(2)ベース原酒のレシピ
一方で、サルファリーさとシェリー樽原酒がそのまま混じったような椎茸っぽさのある、質が良いとは言い難い濃厚な味わいは、このウイスキーの大きな謎。
いやある意味で宮城峡らしいと言えばらしい樽感の一種なのですが、果たしてこれはベースになったシングルモルト由来か、フィニッシュで付与されたものなのかが疑問点なわけです。

公開されている情報では、ベースのウイスキーは通常のシングルモルト宮城峡と同じようなことが書かれています。
とすると、ノーマルな宮城峡にはここまでの濃厚さはありませんから、フィニッシュで付与された香味ということになります。
これがオロロソシーズニング樽でのフィニッシュなら違和感はないのですが、説明上はマンサニージャ。それもソレラで50年間使われ続けたという樽。この手の長期間使用樽は、1年そこいらならもっとクリアな感じになるはずで・・・。

例えば、殺菌のため硫黄を炊きつつ、樽輸送時に内部を保湿するために使われる保存液が残った状態で原酒突っ込んだりすれば、18ヶ月でこんな混ぜたような味と特徴的なウッディさ、サルファリーな感じになってもおかしくはない。あるいはベースの原酒が通常の宮城峡ではなく、シェリー樽比率多めで蒸留所で売ってるシェリー&スウィート的なモノだったとかなら、それはそれで違和感は無いんですけどね。

この香味が純粋に好みじゃない、という点はさておき、どーにも説明と中身が異なるというか、リンクしない1本でした。

IMG_20200118_064728
今日のオマケ:2020年3月発売予定の余市&宮城峡の限定リリース。アップルブランデーウッドフィニッシュについて。

毎年リリースされているシングルモルトのリミテッドエディション。今年はアップルブランデーを28年間熟成していた樽で6ヶ月間フィニッシュした、甘口タイプのウイスキーになるようです。

ニッカ味と言えば新樽風味ですが、2000年から2010年頃、シェリー樽原酒を使ったことがPRされている限定品のなかに(特に安価なものに)、シェリー?と、今回レビューしたリミテッド同様に疑問符がつく不思議な甘さのあるリリースがいくつかありました。
それはシェリー樽というより、実はアップルブランデーの樽由来なのでは?という仮説をたてたことがあったのですが、ニッカ関係者に確認するとブランデー樽は熟成に使っていない、という話だったのを覚えています。

今思えば、何らかのバルクだったのかもしれませんが、この疑問点はともかくアップルブランデー樽がもたらす味わいには純粋に興味があります。今年のリミテッドリリースがどんな仕上がりか、今から楽しみです。


※身内の法事調整と、仕事の重要な会議が重なっており、作業に集中するためブログ&ネット断ちをこの週末からしていました。一応区切りをつけることができたので、今日からまたマイペースに再開です。






このページのトップヘ

見出し画像
×