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カテゴリ:★5

イチローズモルト 秩父ウイスキー祭 2019 ワールドブレンデッド 58.4%

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CHICHIBU WHISKY FESTIVAL 2019
SINGLE CASK WORLD BLENDED WHISKY 
Ichiro's Malt & Grain 
Finished cask type Bourbon barrel #5298 
Bottled December 2018 
750ml 58.4% 

グラス:グレンケアンテイスティング
時期:開封後1ヶ月未満
場所:BAR Eclipse 
暫定評価:★★★★★(5ー6)

香り:スパイシーでドライ、あまり香りが立たないが、じっくりスワリングして開かせると、バニラや林檎を思わせる果実香がハーブ、干し草のような乾いたウッディさの中に感じられる。加水すると熟した果実のようなアロマも。

味:スパイシーで刺激の強い口当たり。若干若さに通じる酸味もあるが、合わせて粘性のあるグレーンの穀物系の甘み。奥には熟成したモルティーさ、蜂蜜やオレンジジャム、樽感は適度にまとまっている。
余韻はビターで軽いえぐみを伴うが、キレのいいドライなフィニッシュ。

幅広い熟成年数を感じさせる構成で、10~15年程度熟成のスコッチ系のモルトやグレーンのニュアンスに、強いアクセントを与えている秩父モルトのスパイシーさという構成。多彩というか奔放な味わいで、まとまっているとは言いがたいが、時間が解決してくれるかもしれない。

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今年の秩父ウイスキー祭の記念ボトルとしてリリースされた、5銘柄のうちの1本。イチローズモルトが調達した、海外生産のモルト、グレーンと秩父原酒をブレンドしたワールドブレンデッドを、バーボンバレルでフィニッシュしてボトリングした、シングルカスクブレンデッドという珍しいリリースです。

このブレンデッドについては、ベースは既存のホワイトラベルとして構成されたブレンドという情報と、今回のリリース用にブレンドしたものという情報があります。
飲んでみると、既存のホワイトラベルの味わいとは共通する要素もあれど、一部の熟成感が異なっている印象。リミテッドのワールドブレンデッドまではいかないながら、例えばリリースの1年くらい前に一部ミドルエイジクラスの原酒も使って準備していたものかなと予想します。

全体的な完成度としては正直なところ振れ幅の大きい味わいで、ハイランドタイプの原酒のまろやかさ、少しトーンの高いアイリッシュを思わせるニュアンス、グレーンのバニラや蜂蜜などの甘み、そしてスパイシーな秩父モルト。。。良い部分も悪い部分もあり。悪く言えば落ち着きがない、良く言えば多彩という構成。
フィニッシュというほどバーボンバレルの個性も出ていないため、期間も短かったのでしょう。何れにせよ、まとまり良く仕上げるならもう少し時間が必要であると感じます。

ただ、こうしたスモールバッチでのリリースができるのはクラフトならではです。
その作りも、下手に綺麗で洗練されたような大手製品より、クラフトらしいと感じられるのは違う意味で魅力であり、面白さでもあります。
こじつけ気味ですが、このわいわい騒いでるような感じは、祭りっぽいと言えば祭りとも言えるリリースなのかもしれません。

ベンリアック 12年 シェリーウッド 2018年リリース 46%

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BENRIACH 
SHERRY WOOD 
THREE WAY SHERRY MATURATION 
Aged 12 years 
2018-2019's 
700ml 46% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:BAR LIVET
暫定評価:★★★★★(5)

香り:カカオ多めのダークチョコレートを思わせるアロマ。おがくず、バニラ、オレンジピール、微かにハーブも伴うウッディネス。

味:ややドライでビターな口当たり。オールブランやかりんとう、序盤はほろ苦く甘い程度だが、徐々にカカオを思わせる苦味が強くなっていき、木材の焦げ感や若干の硫黄を伴うウッディでビターなフィニッシュへと繋がる。

香味とも色合い同様にシェリー樽系統の甘味や果実味はそこまで強くないが、余韻にかけて樽由来のビターなフレーバーのみ強くなっていく。加水しても同様であり、あまりバランスが良いとは言えず、もう少し甘味や果実味がほしいところ。

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スタンダード銘柄におけるシェリー樽熟成ウイスキーの代表とも言える、ベンリアック12年シェリーウッド。2017年、メーカー生産終了に伴って国内流通品も終売となりましたが、先日紹介したグレンドロナック15年リバイバル同様に、2018年末からリリースを再開していました。

ベンリアックは、グレンドロナックのように蒸留所の操業が途絶えていたということはないため、終売の経緯を短期間で復活したことから考えると、蒸留所が持つ原酒の使い方や、オフィシャルリリースの価格帯を整理するためだったのかもしれません。
旧ボトル(特にラベルに光沢がある初期リリース)はスタンダード品ながらしっかりとしたシェリー感が備わっていましたが、ロットおよびラベルチェンジを経る毎にシェリー感が薄くなっており、樽や原酒の確保に苦労しているという印象は兼ねてから受けていました。

今回のリリースからは、樽構成が最初からシェリー樽熟成(旧ラベルはオロロソシェリー40%、ペドロヒメネス60%)ではなく、シェリー樽で熟成した原酒に、なんの樽で熟成したものがベースかは不明ながらオロロソシェリー樽やペドロヒメネスシェリー樽でフィニッシュした原酒を加えた構成(THREE WAY SHERRY MATURATION
)に変更されています。

ただしそこまでリッチなシェリー系の味わいではないことから、ベースがリフィルやサードフィルのシェリーカスクなのではないかと考えられます。また、樽由来の苦味が余韻にかけて強いことを考えると、フィニッシュ用の樽がチャーされているのかもしれません。
復活は喜ばしいですが、内容は両手を上げて歓迎しがたい仕上がり。良質なシェリー樽の調達が難しいなかで、リリースを維持するために様々な工夫が行われているのだと、色々考えさせられるリリースです。

十年明 Half Decade 若鶴酒造 三郎丸蒸留所  40%

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WAKATSURU 
JUNENMYO 
Half Decade 
2019's 
700ml 40% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:BAR LIVET 
評価:★★★★★(5)

香り:クリアで柔らかく、若さに通じる軽やかな酸と乾燥させた穀物っぽさ、根菜感を伴うピーティーな香り立ち。しっかりとしたスモーキーさ。

味:少し水っぽいがマイルドな飲み口。乾いた麦芽風味と、主張の強い香り同様のピートフレーバー。口当たりは角のとれた柔らかさで、余韻にかけてはややオイリーなコクも伴う。針葉樹を思わせるウッディさ、ほろ苦くスモーキーなフィニッシュ。

若さはあるが、嫌みな要素は少なくそれなりにバランスのとれたスモーキーなブレンデッド。主な樽はバーボンの古樽系と感じられ、あまり強い主張はない。値段なりと言えばそこまでだが、ハイボールやロックにしても、悪くなさそうな印象も感じられる。

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三郎丸蒸留所を操業する、若鶴酒造が北陸地方向けでリリースしたスモーキーなブレンデッドウイスキー。
Half Decade は5年間という意味がありますが、ブレンドそのものは蒸留所改装前に仕込まれた旧世代のモルト原酒に、自社貯蔵庫で熟成させていた5年熟成以上の輸入原酒をブレンドして仕上げたもの。体感の熟成年数は10年弱といったところで、主に使われているモルト、グレーンとも原酒のレンジはその辺りなのではないかと推察します。

構成としては、若さが多少残りつつもピートとグレーンがいい仕事をしていて、角がとれてバランスのいいブレンデッドウイスキーという感じですね。
若鶴酒造がリリースする普及価格帯の銘柄にはサンシャイン・ウイスキー(プレミアム)がありますが、スモーキーさは同様ながら、それよりマイルドな飲み口で、原酒の熟成期間が少し長いのかなとも。
値段なりと言えばそこまでですが、新興クラフトがリリースする地ウイスキーとしては、ブレンドのまとめ方が上手く、着実に経験を積んで来ているなと思います。

三郎丸は古くから50PPMのヘビーピート原酒を一貫して仕込んでおり、それは今も変わらないハウススタイルですが、かつての原酒は悪い意味で癖が強いものが多く、それ故に悪評もあったのは事実でした。
一方、2017年に蒸留所の改装が完了し、作り手も変わった新世代の原酒は愛好家から高い評価を受けつつあります。今回のリリースはその新生三郎丸がハウススタイルのまま、将来リリースするであろうウイスキーを、現在ある原酒で構築した予行演習のようなブレンドでもあるなと感じました。

ブラック&ホワイト セレクト 1980年代後半流通 特級表記 43%

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BLACK & WHITE 
SELECT 
Scotch Whisky 
1987-1989's 
750ml 43% 

グラス:グレンケアンテイスティング
時期:開封後1ヶ月程度
場所:BAR エクリプス
評価:★★★★★(5ー6)

香り:軽い酸味とともに、若干こもったような香り立ち。グレーン系の穀物感、焦がしたポン菓子、キャラメリゼの甘みとほろ苦さ。微かに蜂蜜のような甘味も。

味:マイルドな口当たり。香りで感じた以上の麦芽風味とカラメルソースの甘くほろ苦いシェリー感が主体。徐々にピリピリとした刺激を感じつつ、干し草のような乾いた植物感から、麦芽風味のスウィートなフィニッシュへ。

シェリー樽由来の要素を備えたハイランドタイプの原酒をベースとしたような、樽と麦由来のコクのある甘味が軸になっている。そこに若い原酒の刺激とグレーン感。少量加水するとそれらが馴染み、マイルドな甘みがじんわりと広がる。


1980年代後半の特級時代末期、バブルに湧く日本市場向けにリリースされた、ブラック&ホワイトの限定品。この時代はヘイグ、ホワイトホースなどで日本向けのブレンデッドウイスキーがリリースされていましたが、このボトルもその一つ。
先日レビューさせていただいた、以下のブラック&ホワイト・セレクト リザーブはこの後継品にあたるものと思われます。

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(ブラック&ホワイト セレクトリザーブ1990年代流通。カラメルソース系の甘味は控えめだが、麦っぽい要素はこのボトルのほうが強い印象。

ブラック&ホワイトは、1970年年代ごろまではメーカーの代表作という感じでしたが、1980年代に入り一部の12年表記化やグループ全体としてブランド戦略の見直しが進むと、徐々にスタンダードクラスでも安価な価格帯へグレードダウンが進んでいました。
1980年代後半などはまさにその最中。そのため当時のスタンダード品と比較すると、このB&Wセレクトはワンランク上のブレンドという印象です。

ちなみに1980年代後半といえば、DCLがギネス社と合併する形で誕生したUD社がシングルモルトウイスキーの販売戦略としてクラシックモルトシリーズを発表。傘下であるジェームス・ブキャナン社からは、名品・ダルウィニー15年がリリースされていましたが、今回のリリースはそれと同時期であり、ボトル形状も同じものが使用されています。

その香味との関連性はというと、オールドブレンデッドらしいカラメルソースのような甘いシェリー風味の中に、ハイランドタイプの麦芽風味とグレーンの穀物感。この麦芽風味は当時のダルウィニーに近い要素ですが、熟成感は15年ほどは感じられず、なかでもグレーンが8年とか若い原酒なのではと。
そんなわけでマイルドさの中に若干の荒さはありますが、総じて飲み安い仕上がりであり、シェリー好きの日本人が好みそうなブレンドだなとも思うのです。

サントリー 碧 AO ワールドブレンデッドウイスキー 43% 先行レビュー (2019年4月16日発売予定)

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AO 
SUNTORY WORLD WHISKY 
A BLNDED FIVE MAJOR WHISKIES 
2019's 1st Release 
700ml 43% 

暫定評価:★★★★★★(5ー6)

香り:バニラと洋梨を思わせる品のいい甘みのトップノートから、干草、ライ麦パンのような酸味、微かに柑橘のアクセント。奥から軽めの溶剤感と焦げたようなアロマも感じる香り立ち。

味:スムーズでマイルドな口当たり。序盤は若くほのかな酸味を伴うライトなモルティーさ。続いて樽の効いた穀物の甘みとほろ苦さ、粘性のあるグレーンの風味が包み込むように開いてくる。徐々に微かなピートとスパイシーな刺激を伴いつつ、余韻はまったりとした甘みが舌の奥に残る。

スコッチタイプの内陸系のモルトとグレーンに、バーボンタイプの原酒を加えたような複数の原酒の個性。温度が上がると後者の甘くウッディな個性が強くなる。熟成感はモルトが8~15年程度、バーボンを含むグレーン系統はそれなりに樽が効いて4~10年程度といった印象で、比率は4:6か3:7あたり、グレーン系統の原酒が多い印象も。
そのためキレのいい味わいではないが、粘性のある舌当たりからまったりと残る余韻で、バランスは悪くない。ストレートよりは、ロックやハイボール向きかもしれない。


今回のレビューは、サントリーが先日発表した、新しい規格のブレンデッドウイスキー。日本、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダという、20世紀にウイスキー蒸留技術が根付いていた5つの産地の原酒(通称、5大ウイスキー)をブレンドし、個性が調和するだけではない、全く新しいウイスキーを目指したものです。

そもそも、これらを5大ウイスキーと位置付けているのは日本だけとか、それ以前にサントリーさんは輸入原酒を・・・(おや、誰だこんな時間に)、なんていう野暮な突っ込みはさておき。
第一段となるワールドブレンデッドウイスキー碧”AO”は、2019年4月16日からファーストロットを発売予定(計36万本、1年のうち春、秋、2度生産予定)で、今回幸運にもリリース前の初期ロットをテイスティングする機会をいただきました。

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SUNTORY WORLD WHISKY Ao 碧 (ニュースリリース 2019/1/10)


”ワールドブレンデッドウイスキー”は、もとはイチローズモルトが、ブレンデッドウイスキーの使用原酒全てを全秩父産と誤解されないよう、2018年頃から一部のブレンデッドで表記を始めたものです。
そのため今回のリリースも、実物を飲むまでは同じ整理で表記を使ったのだと思い込んでいました。

即ち、角やローヤルのような、日本で主流であるスコッチタイプのブレンデッドウイスキーを、安定して作り上げるための手段と表記(辛辣なことを言えば、開きなおり)であると。あるいは、このリリースの背景には原酒不足への対応に加え、現在整備が進められている”ジャパニーズウイスキーの基準”に関する一連の動きも、少なからず影響しているのだと感じていました。

しかしテイスティングで感じるのは、メーカーサイトに書かれた、5大産地の原酒を使った全く新しいウイスキーを目指すというコンセプトを感じさせる、これまでにない仕上がり。結構バーボン(アメリカン)やカナディアンの樽香や穀物っぽいキャラクターが主張してくるのです。
ここでスコッチタイプのブレンドに仕上げようと思えば出来たのでしょうけど、ワールド感を出すため敢えて上述の個性を分かりやすく効かせた上で、バランスを取ったのかもしれません。これまでと異なるブレンドの方向性故に、味の評価は個人個々と思いますが、自分としてはBeam社を買収したことで得られた各蒸留所との繋がりを活用した、サントリーだからこその新しい挑戦という面を評価したいです。

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(ビーム・サントリー傘下の蒸留所と代表的銘柄。これらの原酒を中心に、サントリーのブレンダーの技術で碧は作り出されている。香味からの予想ではアイラ要素は少なく、白州、知多、アードモア、グレンギリー、クーリー、アルバータ、ジムビームあたりがメインだろうか。)

以前ジャパニーズウイスキーの基準に関する記事を書いた時、国産も輸入も、広く原酒を活用して「日本だからこそ作れる美味しいウイスキーを探求してほしい」ことを触れていました。
今回のリリースはまさにそれ。このリリースが完成ではなく、そうした取り組みの始まりとして、今後ロット毎に様々なパターンのブレンドをリリースしていくならさらに面白く。例えば今回はアイラモルトがメインに使われていませんが、それを効かせたバージョンってのもアリだと思います。

このリリースがきっかけになり、日本という生産環境とサントリーの高いブレンド技術で世界のどこにもないブランドの確立に繋がることを、期待しています。


4/16追記:テイスティング時は情報がありませんでしたが、サントリーによるPRイベント等から構成原酒の情報が伝わってきました。
まず、全体の半分以上、最も多く使われているのはカナディアンとアメリカンだそうです。自分もその系統の原酒が多いと感じていたため、構成原酒予想含めてそう大きくはずさないレビューになっていて安心しました(笑)。
一方でジャパニーズは山崎のシェリーカスクも使っているそうです。改めて飲んでもその個性は探れませんでしたが、山崎シェリーは樽感強くリッチな原酒が多いため、少量をバランスをとるために使っているのだと思います。

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