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グレングラント 43年 1966-2009 GM ケルティック 50.9% #2929

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GLEN GRANT 
GORDON & MACPHAIL 
AGED 43 YEARS 
Distilled 1966 
Bottled 2010 
Cask type 1st fill American Oak Hogshead #2929 
700ml 50.9% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1年程度
場所:自宅
評価:★★★★★★★★★(8ー9)

香り:オーキーで華やかな香り立ち。ややドライな刺激があるが、それ以上に黄桃と缶詰のシロップ、リンゴのカラメル煮、アプリコットジャム、微かにミントのアクセント。陶酔感も感じさせる凝縮されたフルーティーさ、複雑で多彩。

味:ドライでウッディ、栗の渋皮煮や甘栗のほろ苦く香ばしい甘みに、熟した黄桃やマンゴーの樽由来の凝縮感のあるオーキーなフルーティーさ。余韻にかけてタンニンも主張してくるが、序盤までのフルーティーさ由来の甘味をそれが引き締め、微かなピートも感じつつ充実したフィニッシュが長く続く。

素晴らしい熟成香が備わった長期熟成のグレングラント。樽由来の桃感やトロピカルなフルーティーさ、甘さを引き締め、あるいは2口目以降を引き立てるタンニンとウッディネス。気持ち強い気もするが、許容範囲でもあり、熟成のピークとしては最後の飲み頃だろう。少量加水程度なら缶詰シロップのような甘味が延びるが、それぞれのフレーバーのバランスを考えるとストレートがオススメ。


ウイスキーにおいて、自分が好きな構成はこういうタイプなのだと、改めて感じさせてくれた1本。(ありがとうSさん、美味すぎ警報発令です。)
オールドボトルで見られる、麦とピート、そしてオールドシェリーが合わさった妖艶な香味も素晴らしいですが、近年リリースのなかでも希にあるこの手のフルーティーさは、我々愛好家を更なる深みに引きずり込む、強烈な引力があるように思います。

残念ながら中々出会うことがないのですが、必ずしもオールドシェリー樽で熟成や、40年程度の熟成が必要かと言うと、そうではないのがこの系統の不思議なところ。
例えば、今回のボトルと同系統のフルーティーさを感じられた事例が、グレンファークラス1979のファミリーカスクRelease3。黄桃と桃の缶詰シロップ、そしてマンゴーのようなとろりと甘く、そして柔らかい酸味を備えた黄色系のフルーティーさがあり、それを引き締めるようなウッディネスに、共通項があります。

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(個人的に79ファークラスの最高峰がこのボトル。1979-2008 Cask No,2216。この後、信濃屋等から何種類か同じプレーンカスクの79がリリースされているが、香味の系統は異なっていた。何が違うのかは今だ見当つかず。。。)

熟成年数の違いもあってか、今回のグラントのほうがタンニンは強く出ていますが、なぜこのファークラスを引き合いに出したかと言うと、それはフレーバーの共通点以外に、樽の違いによる疑問から。
ファークラスは4回以上熟成に使用した、プレーンカスクホグスヘッドでの熟成。グラントは1st fillのホグスヘッド。どちらもアメリカンオークで、同じようなフルーティーさがありながら、樽の使用回数に大きな違いがあります。

また、グラントのほうは、1st fillとは思えないほどフルーティーさに透明感というか、シェリー樽にありがちなカラメルや樹液っぽさはなく、ドライな要素はあっても濁りのようなものがありません。
GMの長期熟成品では、カラメルのようなこってりした甘さのものもあれば、本当にシェリー樽熟成か?と言いたくなるくらい、熟成年数に対してその系統の香味が出ていないものがあります。今回のボトルはまさにそうした仕上がりでもあるのです。

プレーンカスクをヒントにして、シェリー樽路線で考えるなら、何度もシェリーの熟成で使われ、フィノ用まで回数を重ねたお古の樽での熟成というのはあり得るところ。
ただ、フィノ用でエキスのエの字も出なくなったような樽で、ここまで色がつくかというとそれも考え難く。ホグスヘッドですから鏡板を変える時に、異なる回数の材木が混じったとか、そういう”いい加減さ”が産んだ偶然が、この香味に繋がっているのかもしれません。

あるいは、American Oak Hogs表記ですから、実はシェリー樽ではなく、何回も使ったバーボン(バーボンを熟成した後でアメリカンウイスキーに回した)樽が、当時は一部捨て値同然で手に入り、それを使ったとか・・・もあるように思います。
ああ、本当にタイムマシンが欲しい。
謎は多くあるものの、1杯飲むだけで満足して1日を終えられるような素晴らしいボトルでした。

グレングラント 1964-1989 ムーンインポート アニマルシリーズ 46%

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GLEN GRANT
MOON IMPORT "THE ANIMALS"
BUTT 1-2-3
Distilled 1964
Bottled 1989
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1ヶ月程度
場所:KuMC@NSさん
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:黒砂糖、レーズン、スワリングしていると非常に豊かなダークフルーツ系の果実香を伴う一方で、オイルやゴムに通じるような、経年変化と少しヒネたようなニュアンスも含んでいる。

味:スムーズでリッチな口当たり。黒砂糖を思わせる甘み、デーツ、ドライプルーンなどのダークフルーツ系のフレーバーが主体。微かにベリー系の甘酸っぱさも混じる。中間以降は平坦気味。後半はタンニン系のニュアンスが主体。余韻はかりんとうの香ばしさ、カカオ多めのチョコ、タンニン。ウッディーでビターで長く続く。 

かなりリッチなシェリー系モルト。加水が効いて飲み口はマイルドだが、中間の広がりには欠けてやや単調気味でもある。シェリーのタイプはマッカランの旧ボトルに近い要素を感じる香味構成。少量加水すると香味とも伸びる印象あり、こういうモルトは葉巻に合う。


こってこてのシェリーカスク、それもカスクストレングスではタンニンもバッチリ効いていたであろうタイプのものを、加水で整えたシングルモルト。
香味の端々にある残滓から考えるに、おそらく、ボトリング直後はそれなりにサルファリーな要素もあったタイプだと思うのですが、それが経年変化で落ち着いた、30年近い時間が育てた味わいと言えるのかもしれません。

テイスティングの通り、濃厚で整った飲み口は純粋にシェリー樽熟成のウイスキーのうまさを感じるのですが。一方で、加水が効きすぎたのか、ボディの部分で膨らむ印象がなく、そこがこのウイスキーの弱さであり、逆にいいところでもあると思います。
つまり、葉巻を合わせたり、何か生チョコレート系の甘味をさらに加えたり、後付けする余地が残されているとも思えるのです。

この日は一通り飲み終えた後で、締めにパルタガスと合わせてみました。
序盤の濃厚さが葉巻に負けず、しかし中間以降は煙と合わさるように負担なく煙の味わいと混じっていくような。。。中々良い組み合わせだと感じました。

ムーンインポート The Animals シリーズ。画像引用:

以下雑談。
近年、ウイスキーとは全く関係ないラベルデザインでボトルを彩り、それを付加価値としてラベル買いさせるようなボトルが、一つのジャンルを作りつつあります。
その始祖は、リリースがシリーズ的に行われ続けたという条件で見れば、ムーンインポートがリリースする各種シリーズだと思います。

同時期に流通していたGMやシグナトリーのテンプレ的なものに比べて、ムーンインポートのものには所有することも一つの目的みたいな。。。なんていうか一つの絵画、芸術に通じる要素があるように感じられるのです。まさに飲める芸術ですね。

グレングラント 12年 ノンチルフィルタード 48% 免税向け

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GLENGRANT 
Aged 12 years
Non Chill-Filtered
Travel Exclusive
1000ml 48%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ツンとした刺激を伴う華やかなオーク香。乾いたウッディなアロマが主体だが、洋梨、バニラウェハースなどの甘みもある。

味:ドライでオーキー、軽やかな刺激を伴う口当たり。乾いた木材に若干の溶剤っぽさ、淡くドライパイナップル、バニラの甘み。
余韻はウッディでドライ、無糖シリアルのほろ苦さと香ばしさを伴う長い余韻。

バーボン樽を思わせるオークフレーバーが主体。ストレートではウッディーな刺激が強く感じられるが、加水すると柑橘系の爽やかさ、林檎、麦芽風味も開いてバランスが良くなる。
ハイボールでは適度なコクを残しつつ、爽やかな木のアロマが鼻腔に抜けていく、夏向けの1本。


昨年末にリニューアルしたグレングラント12年。国内に展開されている通常販売品は40%加水品でしたが、免税店向けで展開されたリリースは48%のノンチルフィルタードで、ウイスキー好きがグッとくるスペック。加えて価格もリッターボトルで7000〜8000円程と、700ml換算で通常品と大差なく、手を出しやすい設定なのも魅力的です。

だったら高度数でノンチル仕様の12年の方が買いじゃないか(アサヒビールは40%だけ正規輸入して何やってるんだ)と思うのですが、ストレートでそのまま飲む分には果実味はどちらも同じくらい。逆にバランスは40%加水品の方が整っており、飲み進めやすい印象を受けました。
今回テイスティングしたノンチル品は樽由来の要素は強いのですが、その分木材由来のえぐみや苦味も強く、まだ調整の余地が残されている印象。ターゲットをどこに置くかで考えて作られてるんだなと、それぞれのボトルに見るところがあったのは興味深かったですね。
(40%加水、国内正規品のグレングラント12年。華やかでフルーティー、バランスの良い仕上がり。)

以上のように、近年リリースの中では整ってよくできたボトルですが、辛口なことを書くとグレンリベットにしてもグレングラントにしても、あるいはロングモーンにしても近年のスペイサイドモルトに感じるのが酒質の軽さ。ライトでスパイシー、チクチクとしたエッジの鋭い刺激は3回蒸留のモルトのようでもあります。
そこに今回のようなバーボン樽主体のオークフレーバーが出てくると、樽の味が主体になってしまうのが傾向として感じます。

では昔からこういうキャラクターだったかというと、けっしてそんなことはなく。昔はもっと野暮ったく、ピートの効いた個性の感じられるスタイルでした。
時代とともに変わっていくハウススタイル、いい部分も物足りない部分もあります。洗練されたキャラクターが今後どの方向に向かうのか、今の時代を楽しみつつ、先に起こりうる変化も楽しみにしたいと思います。

グレングラント 1964 ロンバートコレクション ゴルフシリーズ No,39 46%

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GLENGRANT
The Lombard Collection No,39
Distilled 1964
(Bottled 1989)
(Aged 25 Years)
Cask No,23_30
750ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後3年程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:濃い甘みを感じる香り立ち。少し絵の具っぽさがあるが、枝付きレーズンとチョコレート、時間経過でほのかに黒土っぽさと濃く入れた紅茶を思わせるウッディーな渋みもあり、非常にリッチ。

味:甘酸っぱくリッチな口当たり。レーズン、黒蜜、熟したプラムのようなフルーティーさも感じられる。ボディはミディアム、ふくよかで甘いアロマが鼻腔に届く。
余韻にかけては軽くスパイシーでアーシー。ビターチョコレートを思わせる苦味が染み込むように残り、長く続く。

シェリーの系統はGM系。色は非常に濃く、その通り濃厚な味わいだが、加水が効いて際どいところでバランスが整っている。複数樽バッティングであることも憎い仕様、是非ストレートで楽しみたい。

ジュエルオブスコットランドなどでおなじみ、ロンバート社がかつてリリースしていた通称ゴルフ、こと"ゴルフ界の偉人ラベル"。
このシリーズ最大の特徴はソサイエティのように蒸留所の記載がなく、独自のナンバリングによって整理されているところにあります。(蒸留所の分類はボトルに付属する小地図に記載されています。)

ただ、全蒸留所をリリースにするほど原酒が確保できなかったのか、あるいは加水バッティングで量は発売されたものの、人気が出ずに捌き切れなかったのか・・・このゴルフシリーズとしてはスプリングバンク、トマーティン、グレングラントなど10蒸留所に満たない少数をリリースし、あとはナンバリングすらないシングルモルトの12年ものなどに止まって終売となってしまったようです。

このボトル、社会人になってウイスキーの道に本格的に入ったころ、通っていたBARの1件で「この辺飲んでおいたほうがいいですよ」と勧められてテイスティング、わけもわからず美味いと感じたのが最初。
その後、今から4年ほど前、どこから出土したのかオークションに12本セットが大量に出品され、仲間と共同で購入して自宅で開封したのが2度目。
妻もお気に入りでちびちび飲んでいましたが、そのボトルがこの度、天に還って行きました。最後は残ったのを全部注いだら、入れすぎちゃいました(笑)。

熟成年数やボトリング年数がボトルに記載されていませんが、同じボトルで「特級表記」のあるものがあり、とすると、1989年前後のボトリングと推察、熟成年数は25年程度のようです。
1964蒸留で1989年詰のボトルなど、今の市場状況では極めてレア。プレミア価格でなら現在も購入することはできるようですが、出来ることなら4年前の自分に「ボーナス払いにしてでもケースで買っておけ」と声を大にして言いたいです。

グレングラント 12年 43% 2016年ニューリリース

カテゴリ:
GLENGRANT
Aged 12 Years
2016's
43% 700ml

グラス:国際規格テイスティンググラス
量:30ml
場所:BAR飲み(LIVET@新宿三丁目)
時期:開封2ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでドライな香り立ち。奥行きはあまり感じない。ナッティーな軽い香ばしさにオーキーな樽香主体。ドライアップル、バニラ、微かにハーブを思わせる爽やかさも感じる。

味:香り同様にドライでオーキーな口当たり。ややピリピリとした刺激を伴う。ボディは軽く、ドライパイナップル、皮剥きアーモンド、乾いた麦芽、洋梨の甘みも開いてくる。
余韻はドライで華やか。ほのかにウッディな渋みを伴う。

ドライでライト、近年のスペイサイドモルトを象徴するようなボトル。加水すると飲みごたえは落ちるが麦芽風味と華やかなオークフレーバーが際立つ。ロック、ハイボールなどの使い勝手も悪くない。


昨年行われた、グレングラントのラインナップリニューアルでリリースされた1本。
それまではNA、10年、16年だったラインナップで16年が終売、12年、18年が新たに追加され、ラベルもおじさん2人が樽を囲んで飲み交す歴史あるデザインから、洗練されて都会的なものに一新しました。
国内流通では在庫の関係かNAと10年が旧ラベルですが、公式には統一して変更されています。


(グレングラント16年旧ボトル。終売になってしまったが使い勝手の良いオフィシャルボトルだった。)

そうして新しくリリースされた12年は、価格的には旧16年と同レンジ。年数と価格は関係無いと思いつつも、表記が4年下がって同価格は少々残念感が。。。
まして16年がスペイサイドモルトらしい華やかさ、ドライフルーツや麦芽の香味と価格以上に満足感のあるコスパの高い1本だったため尚更です。
そのためニューリリースはダブルパンチで見劣りしてしまうかも。。。と若干警戒していたわけですが、昨年の試飲会で飲んでビックリ。ボディは軽くなったものの樽由来の華やかな香味がわかりやすく、ボトルデザイン同様味わいも洗練された感じがあります。これはこれで悪くないと思える出来なのです。

昨年新しくリリースされたスペイサイドモルトのスタンダード品の中でも印象に残った1本で、昨年末の更新でも取り上げています。
なお、残る18年は現時点で日本に入ってきておらず、アサヒが入れるか平行が先かという状況。ウイスキーバイブル始め海外評価は高いようで、どんな系統に仕上がっているかが楽しみです。

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