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ニッカウイスキー 竹鶴 ピュアモルト 2020年リニューアル 43%

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NIKKA WHISKY 
TAKETSURU 
PURE MALT
Release to 2020 
700ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1~2週間程度
評価:★★★★★(5-6)

香り:軽やかな華やかさを伴う、乾いたモルティーさ。シトラス、ドライオレンジピールの柑橘香の爽やかな酸と、微かに乳酸、ラムネようなニュアンス。奥には湿った土のようなピート香。また、時間経過で生焼けホットケーキのような麦芽香も混じる。

味:厚みのあるしっかりした口当たり。若干のバニラ系の甘い含み香から、主体となるのはモルティーで香ばしい風味。香り同様の酸味が若さを連想させ、若い原酒故の粗さも一部ある。微かにオークの華やかさ、焦げたようなほろ苦いピートフレーバーが余韻にかけて広がる。

最近のニッカらしい味。若い余市を連想させる構成だが、ネガティブな要素はブレンドで上手く抑えており、酒質由来の酸味と膨らみのあるモルティーな風味を楽しめるのがポイント。
加水すると奥にある宮城峡の原酒由来と思われるフルーティーさ、オークフレーバーが顔を出す。ハイボールにしても風味が崩れず、使われている原酒それぞれの良さを引き出しているような、確かなブレンド技術を感じさせるウイスキーである。

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2週間更新していなかったので、このボトルのUPもだいぶ遅れてしまいました。2020年3月にリニューアルした、竹鶴ピュアモルトの新ボトル、通称"新竹鶴"です。

2015年にリニューアルした余市、宮城峡と同様に、原酒不足から竹鶴の既存ラインナップ4種(NAS+エイジング3種)を生産終了とし、新たにNAS仕様でリリースされることとなったのが今回のボトル。
発売前の情報だと、特に余市原酒の比率を増やしているとされていましたが、仕上がりは事前情報のとおり、全体の半分以上は余市だと感じる香味構成です。
また、余市原酒の中でもヘビーピート原酒のキャラクターを余韻にかけて感じますが、全体構成はあくまでバランス型で、がっつりスモーキーでピーティーと言うタイプではありません。

一方、比較的若い10年熟成未満の原酒が多いのか、若さに通じる酒質由来の酸味が感じられると共に、余市のキーモルトはシェリー樽とのことですが、リフィルなのか樽感はそこまで色濃くなく。かつてニッカのウイスキーは新樽原酒を筆頭に、この真逆と言える圧殺するようなオークフレーバーが特徴的でしたが、最近はあまり樽の内側を焼かないようなプレーン系統の樽使いが特徴の一つでもあります。
良い意味でもそうでない意味でも、予想通りな仕上がりでした。

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(同じNASスペックの竹鶴ピュアモルト新旧。旧のほうも若い原酒の要素はあるが、色合いは濃く、”例の原酒”の個性と言えるケミカルなフルーティーさが感じられる。ジャパニーズウイスキーとして新のバランスは悪くないものの、総合的なコスパという意味では旧のほうが上と言わざるを得ない。)

レシピを香味から推察すると、主軸は上述の通り半分以上を占める余市、あとは宮城峡が3~4割、そしてその他原酒が1割程度使われているかどうか。旧と比較してジャパニーズ系統の風味が強くでています。
宮城峡の原酒は、シェリー樽原酒は少量を繋ぎ程度で、主としてはアメリカンオークのリメード、バーボン樽系の原酒を使っているのでしょう。軽やかな華やかさに通じるオークフレーバーが酒質由来の風味の裏側にあり、多層的な香味の下支えとなっています。

一方、竹鶴ピュアモルトの構成原酒と言えば、余市、宮城峡以外にもう一つ、”その他”としてベンネヴィスの原酒を使っているという説が、愛好家の間では公然の事実となっています。
これについては賛否が分かれるところですが、少なくともベンネヴィスを買収して再稼働させたニッカと、同蒸留所の会長も務めた竹鶴威氏の存在を考えれば、”竹鶴”という銘柄に、ベンネヴィス原酒を使うことに何の問題もないとは思います。それをどう説明して売るか、広報戦略の議論はありますが。。。

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(ベンネヴィス蒸留所から故竹鶴威氏の業績を称え、リリースされた再稼働直後のファーストカスク。こうしたリリースは他の蒸留所を見ても過去例がなく、ニッカとベンネヴィスの結び付きの強さを感じさせる1本。)

しかしジャパニーズウイスキーが注目される中で、日本産ウイスキーに輸入原酒を用いるべきではない、表記は整理すべき、あるいは輸入原酒を用いた疑似ジャパニーズけしからん、とする声が大きくなってきているのも事実です。ウイスキー文化研究所が中心となって、ジャパニーズウイスキーの定義づくりが進んでいるという状況もあります。
今回リニューアルした竹鶴ピュアモルトを飲むと、ニッカまたはアサヒビール側がそうした動向を意識したのでは?と感じる味わいでもあるのです。輸入原酒が全く使われていないかどうかは不明ですが。。。使われていたとしても、旧作に比べて量は相当控えめでしょう。

ちなみに現在販売されているオフィシャルシングルモルトでも良いので、余市と宮城峡を混ぜてみると、これが面白いほどに馴染まないことがわかります。どちらも酒質のしっかりとした(特に余市が強い)ウイスキーなので、バランスをとるのが難しいんですよね。個性の強く出ている蒸留所限定品や、シングルカスクの場合は特にです。
そこにベンネヴィスを混ぜると、不思議とバランスが良くなって、なんだか馴染み深い味にも。。。つまり、今回の竹鶴のリニューアルは、原酒以外の社会情勢や、我々が思う以上の制約の中で作り出されたとも考えられます。

若く個性の強い余市と宮城峡原酒に、熟成した原酒や一部シェリー樽原酒を使い、ネガ要素を抑えつつフレッシュな香味を残したブレンデッドモルト。ジャパニーズとしての竹鶴。突き抜けた味わいではありませんが、将来を考えて安定して使える材料で、ベストを尽くしたと言えるウイスキーだと思います。

しかし竹鶴ピュアモルトの新リリースは、年間22000ケース限定(海外向け8000ケースと合わせて30000ケース)での生産。これは竹鶴12年が発売されたウイスキー冬の時代、2000年当時の年間実績15万ケースの僅か1/7であり、市場の温度差を考えると吹けば飛ぶような本数です。
アサヒビールは年間60億円以上を投資して原酒増産を開始していますが、現時点で原酒をやりくりし、日本寄りのレシピで作れるのは、この本数が精一杯という現実なのかもしれません。実際のところ高い人気があるにも関わらず、2019年の竹鶴ブランドの出荷本数(生産上限)が10万ケースにまで落ちていたところからも、その厳しい原酒事情が伺えます。
一刻も早く原酒の熟成と供給が安定し、このブレンド技術のもとにさらに美味なウイスキーが誕生することを期待したいですね。

シングルカスク 余市 10年 2007-2017 マイウイスキーづくり 60% &LIQUL連載記事紹介

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YOICHI 
NIKKA WHISKY 
SINGLE CASK MALT 
Aged 10 years 
Distilled 2007.04.14 
Bottled 2017.10.18 
Cask type New American Oak #408021 
700ml 60% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@テイスティングサンプル
暫定評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:ウッディでハイトーンな刺激のあるパワフルなアロマ。熟したバナナやバニラ、キャラメルソースを思わせるチャーオーク。合わせてタールや葉巻を思わせる軽い酸味と焦げたような樽香を伴う。

味:口当たりはメローで甘酸っぱく、そしてパワフル。ドライオレンジやキャラメルソース。そこに燻した麦芽、やや焦げたようなウッディなフレーバーから、香り同様に葉巻を思わせる含み香がスパイシーなフィニッシュとともに長く続く。

フルーティーさよりも、樽由来のウッディさと、麦芽系の味わいが中心のカスク。新樽由来のエキスは濃厚で、ハイプルーフ由来の口当たりの強さを包み込むように感じられる。ただしそのウッディさのなかに、蒸留所のキルン見学で感じたような土や植物の焦げた香り、ピートに通じるニュアンスを含んでいる点がこのカスクの個性を構築している。

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先日、我が家に届いたマイウイスキーづくりの余市。同じようにマイウイスキーのボトルを所持している愛好家とボトル交換を実施したのですが、その際交換ボトルとは別にオマケでいただいたのが、#408021のテイスティングサンプルです。
飲んだ印象は、なんともらしい余市というもの。メローでビター、リッチな新樽感に、酒質由来の甘酸っぱさが混じるパワフルな味わい。甘味、酸味、苦味のバランスが良いですね。度数は60%とマイウイスキーボトルのなかでも特にハイプルーフ仕様故、強い刺激もありますが、新樽のエキスがオブラートのようにそれを包み込んでいます。

マイウイスキーの余市は、初期の頃は色々幅があったようですが、自分が参加した頃は新樽+10PPM以下の極ライトピート、あるいはノンピートで仕様が固定されていたと記憶しています(マイウイスキー上級編を除く)。一方、この2007年は多少ピートが強いのか、あるいは樽由来の要素がピートに類似する風味に繋がったのか、焦げた木材を思わせるビターな味わいの中に、タールや葉巻葉のようなニュアンスが混じる点が面白い仕上がりでした。

もっとフルーティーなものとか、スモーキーでソルティーなタイプを好まれる方のほうが多いと思いますが、自分はこの余市は結構好み。なんとも、通好みな余市だと思います。

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酒育の会 LIQUL
Re-オフィシャルスタンダードテイスティング(番外編)
特別なオフィシャルボトル - 2020.3.1公開

※LIQUL Twitter 開設してました(笑)

さて、ちょうど良いのでご紹介。
昨日公開された酒育の会ウェブマガジン「Liqul(リカル)」の連載記事は、番外編としてシングルモルト余市の紹介を踏まえつつ、特別なオフィシャルボトル「マイカスク」を味わうことの魅力について書いてみました。

オフィシャル余市は、2015年のリニューアル(というかニューリリース)の際、同価格帯だった余市10年に比べて明らかに若さが目立つ、旧NAS余市の実質的な値上げではないかなどかなり厳しい評価を受けたことは記憶に新しいと思います。
その後しばらく様子を見てみると、新樽熟成原酒に共通する樽感が、少し濃くなったようなロットが現れ、若さが多少控えめになったように感じられました。
(イベントで質問しても、ニッカ側はなにも変えていないというコメントでしたが・・・。気のせいかな?)

そのニッカらしい味わいを構成しているのが、これまでレビューしてきたマイウイスキーづくりボトルのような、新樽熟成の余市原酒です。オフィシャルスタンダードをテイスティングした流れで、新樽熟成のシングルカスクを飲むと、スタンダードにおける役割がわかりやすいと思います。あるいは蒸留所で販売されている、ウッディー&バニリックでも良いですね。こちら若さは強いものの、ニッカ味の残った良いリリースです。

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ただ、今回の記事の主目的は「オフィシャル余市美味しいor美味しくなった」ではなく、カスクオーナーとして自分にとって繋がりのある一樽を持ち、同じ時間を過ごした後に飲む1杯がもたらす”特別な瞬間”を紹介することにありました。
本来この企画はオフィシャル通常リリース、スタンダードクラスを中心に扱うものと位置付けているため、番外編としている理由はそこにあります。

記事では字数制限から省いてしまった内容があり、読み直して見ると目的がボケている。あるいは余市のレビューからラストの部分にかけて、自分が伝えたいことの繋がりの悪いように感じられ、手直ししたい気持ちがムクムクと沸いてきています。
どの記事にも大なり小なり反省点はあるのですが、これは改稿をお願いしようかな・・・。


記事中でも触れましたが、これまで年単位での熟成を前提としたオーナー制度は、国内ではニッカのマイウイスキーくらいしかなく、あとは直接蒸留所と交渉するか、スコットランドから買い付けるかくらいしかありませんでした。
それが、ここ数年で一部のクラフト蒸留所がカスク販売や共同オーナー制度はじめたことで、カスクオーナーになるハードルは大幅に下がりました。

自分が作った原酒が詰められるサービスというのはまだありませんが、長濱蒸留所のウイスキー塾や、三郎丸や安積のオーナー向け見学会など、特別なプログラムを通じてその蒸留所を深く知ることができる取り組みもあり。。。参加することで、蒸留所との繋がりが強く生まれ、まるで自分の分身がそこにあるように思えてくる。結果、ボトリング後の味わいを一層特別なものに高めてくれると思うのです。

ウイスキーを趣味とする我々愛好家にとって、そうして過ごす熟成期間もまた、充実したものになるのではないでしょうか。時を飲む贅沢があれば、時間をかける贅沢もある。
自分はクラフト蒸留所のいくつかで、共同オーナー制度を利用していますが、今からその特別なひとときが待ち遠しいですね。

ニッカ シングルカスク余市 1990-2010 日本丸就航20周年記念 61%

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YOICHI 
NIKKA SINGLE CASK MALT WHISKY 
For 20th Aniversary NIPPON MARU 
Aged 19 years 
Distilled 1990.12.22 
Bottled 2010.2.4 
Cask No, 128853 
750ml 61% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@テイスティングサンプル
評価:★★★★★★★★(8)

香り:メローなウッディーさ。松の樹皮やどんぐり、燻したような麦芽香の後からチャーオークの焦げ感を伴うバニラとキャラメルの濃厚なアロマ。樽香の奥にはチョコチップクッキーのような香ばしさを伴う甘味と垣間見える熟した果実感。強くはないが存在感のあるピートスモークに、微かに溶剤的な刺激も伴う。

味:リッチでメロー、パワフルでどっしりとしたボディ。キャラメルを思わせる甘味に松の樹皮やアーモンドのようなビ武骨なウッディさと香ばしさ。そこに熟したオレンジの果汁を思わせる甘酸っぱさが溶け込み、余市の酒質由来の要素を感じる。
余韻はややハイトーンでスパイシー。漁港を思わせる海の香りがウッディな樽香と共に鼻孔に届く。カカオの苦味、焦げたウッディさはこなれており、染み込むように長く続く。

麦、ピート、樽、そして時間がもたらすそれらの融合。余市が余市たる味わいが詰まった素晴らしい1本。60%を越えるハイプルーフだが、熟成によって口当たりはこなれ、それでいてパワフルでフルボディな新樽フレーバー。樽感の奥に潜む多彩なレイヤーから、余市における円熟味を味わえる1本とも言える。加水するとマイルドで、麦芽由来の甘味が開く。

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縁あって大変貴重なボトルをテイスティングさせていただきました。
それは、クルーズ船日本丸の就航20周年を記念し、船内限定で発売されていた余市のシングルカスク。流石豪華客船、凄い樽引っ張ってきたなと言う感じですが、リリース当時はブーム到来前。まだ普通に余市20年や、年に1度のヴィンテージシリーズが販売されていた頃ですから、この手の原酒が販売されていても違和感はありません。

他方で違和感という意味では、日本丸は商船三井客船、つまり三井グループに属する船であることが少しひっかかりました。
ニッカウイスキーが属するのはアサヒビールホールディングス。同社は特段どこのグループというわけではありませんが、過去の資金調達等の関係から実質的に住友グループの一員と見なされるほど深い繋がりがあります。そう、グループが違うんですね。

日常的な宴会から冠婚葬祭において、ビールを見るとグループがわかると言う話は耳にしたことがあると思いますが、それは販売経路にそのまま繋がります。この整理でいくと、三井グループはサッポロかサントリーと言われており。。。山崎、白州ではなく余市が詰められていたことに、些か違和感を感じたという訳です。
もっとも、この手の話は時代によって変わるの。最近の日本丸のレストランや、客室内の冷蔵庫にはアサヒスーパードライが使われていることから、そこまで気にする話じゃないのかもしれません。(あるいは2000年頃の三井グループと住友グループの合併話から、門戸が開かれたか。)

話がだいぶそれてしまいました。そろそろ中身にフォーカスしていきます。
今回のボトルはまさにアメリカンオークの新樽というフレーバーが主体ですが、ただ樽感が濃いだけでなく、熟成によって丸みを帯びている点。その奥には、余市らしい激しく主張しないじっとりとしたスモーキーさと、微かに漁港のような香りがアクセント。そして厚みのある酒質は、オレンジ系の果実の甘酸っぱさを伴う、リッチな樽感のなかに余市らしさが複数のレイヤーとなって合わさった、多彩な味わいが魅力であると言えます。

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(余市10年マイウイスキーの新樽熟成3種。どれも今回の日本丸20周年記念と大差ない色合い、度数構成であるが。。。)

同じ新樽の余市で比較すると、樽感という点では、上記マイウイスキーの余市10年も、今回の日本丸カスク(約20年熟成)と同じくらいの濃さがあります。
ですが、ここまでのバランス、多彩さが感じられたものはありません。勿論このはつらつとした味わいも決して悪くはないのですが。。。このまま10年寝かせてもこうはならない。恐らくそれは熟成期間の違いだけでなく、使われた新樽のサイズが違うのではと推察します。

最近のマイウイスキーや余市では、250リットルの新樽が中心です。しかしこの日本丸は、パンチョンやバットサイズの大型の新樽が使われているのではないか。それ故にじっくりと熟成が進み、約2倍の年月をかけてこの香味にたどり着いたのでは・・・と。
それこそ、ウイスキー不遇の期間を過ごしたからこそ生まれた産物であると共に、その時間がくれた贈り物のようなウイスキーだと感じます。
(画像検索でこのボトルに付属していたメーカーコメントのカードを確認しました。500リットルサイズの新樽が使われてるとのことです。2/25 追記)

なお蒸留は1990年12月22日となっているところ、日本丸の就航は同年9月です。同じ月の原酒って無かったのかなあとか。ひょっとして関係者が1990年に樽買いしていた?いやそれこそ先に触れたグループ違いの話が当時は強かったろうし・・・
これでなんの事情もなく揃えて来なかったなら、ニッカらしいなと思えてしまったりです(笑)。

余市 マンサニージャウッドフィニッシュ 2018年リリース 48%

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NIKKA WHISKY 
YOICHI 
MANZANILLA WOOD FINISH 
Bottled in 2018 
700ml 48% 

グラス:木村硝子テイスティング
時期:開封後1ヶ月程度
場所:自宅@サンプルIさん
評価:★★★★★(5)

香り:焦げたようなウッディさとサルファリーなニュアンス。醤油煎餅のような香ばしさ、微かなピート。奥にはやや若い酸、バニラの甘さも合わせて感じられる。

味:オイリーでコクのある口当たりだが、香り同様に酸味があり、ベースの若さを感じる作り。微かに干し柿とクリームの甘味。徐々にウッディで軽いえぐみがあり、椎茸の混じったコーヒーのようなサルファリーさとピートフレーバー。ドライでビターなフィニッシュが長く続く。

オフィシャル通常品と同じような若い余市モルトに、シェリー樽のフィニッシュが合わさってサルファリーでビターな味わいに仕上がった、良くも悪くもニッカ味なモルト。シェリー樽の疑問は宮城峡の同限定品と同じで、シェリーそのものが混じったような淀みも健在。ただそれ以上にこのボトルは裏ラベルのコメントである。ピーチ?パパイヤ?トロピカルフルーツ?一体何があったのか。。。

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シングルモルト余市NASを、マンサニージャシェリーを50年間熟成していたソレラ樽で、18ヶ月間フィニッシュした限定品。
先日これの宮城峡をレビューしたところ、余市も飲みます?と、知人のIさんから頂いたもの。
「余市はまだ良いって話聞きましたけど、どうです?」という問いは、Iさんの(苦笑)によってお察しでしたが、まあこれも中々に疑問の残るボトルであったわけです。

まずシェリー感については同じ樽を使ってるわけですから、特徴はそのまま。
ただ宮城峡に比べ、原酒の個性の強さから通常のオフィシャルNAS系統の香味が分かりやすいので、どの辺がフィニッシュ由来なのか整理しやすく感じられました。
例えば、通常の余市NASはシェリー感はそこまで強くありません。サルファリーさもありません。若い余市の味はそういうものとして評価出来るのですが、その前提から見ると疑問点も際立つ訳です。

それは、マンサニージャ之如何にという部分と、なぜここまで硫黄後付けに拘るのか。そしてこの香味でもってピーチ、パパイヤ、トロピカルフルーツは無理があるような。。。という3本建て。
先の2点は過去記事でも触れていますので、ある程度割愛しますが、やっぱりこれマンサニージャシェリー樽ではないのでは?という疑問は強くなりましたね。
あるいはこの余韻にかけてのウッディさです。ベースを構成する一部に、意図的にオロロソシェリー樽の原酒を加えたのではとも思える味わい。中身と公開されている説明が一致しない違和感が、最後までぬぐえないのです。

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(同時にリリースされた宮城峡のマンサニージャフィニッシュ。オフィシャルと同じシングルモルトを、ソレラで50年使われたシェリー樽で18ヶ月フィニッシュしたものというが。。。レビューと樽に関する疑問はこちら。)

そしてこの余市に関しては「個人の感想であるため、効果と効能を保証するものではない」と言われればそこまでなのですが、ウイスキー界隈でのトロピカルフルーツとはかけ離れているようなレビューが、さらに違和感を強くしています。
ボトリングする前の、カスクサンプル段階で一部そういう香りのものがあったのか。。。なんの裏付けもないですが、ある種の営業戦略なのか。。。
香味が好みから外れているだけなら、それは食品や嗜好品ゆえ仕方ないことですが、こうもモヤモヤが残る酒は中々に珍しいです。

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今日のオマケ:クリスタルム ピーターマックス ピノ・ノワール 2018

南アフリカのピノ。新世界のなかでも仏寄りのタイプのものが多い印象の地域ですが、これはその合わせ技という感じですね。

クリアで土っぽさとキノコのような香りの混じる赤系果実香。少し酸が立って感じられる。注ぎたてはフレッシュで若い印象もあるが、クランベリーやチェリー、石榴のシロップを思わせるジューシーな甘酸っぱさ。人工出汁のようなべったりとした質感で口内にとどまる。余韻は酸味が優位になり、適度なタンニンを伴う。

分かりやすいピノ由来の赤系果実の味わいと、土っぽさもはっきり感じられるのが魅力のワイン。2018と新しいビンテージでこう飲めるのは如何にも新世界的な良さだし、何より価格が3000円台と使いやすいのも魅力です。より一層新世界的な味を求めるならカレラやコノスル、仏系の味を求めたらこういうワインが選択肢にあるのはウイスキーライフのサブポジとして申し分なしだと思います。

宮城峡 マンサニージャウッドフィニッシュ 2018年リリース 48%

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NIKKA WHISKY
MIYAGIKYO 
SINGLE MALT 
MANZANILLA WOOD FINISH 
Bottled in 2018 
700ml 48% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
場所:ジェイズバー
時期:不明
評価:★★★★(4ー5)

香り:ドライでかりんとうやアーモンドを思わせる香ばしい甘さがトップにあり、黒蜜と椎茸、デーツ、シェリーそのものが混じったようなアクセントから、ビターでサルファーなニュアンス。

味:ややベタつきのある口当たり。香り同様のシェリー感はチョコレートと椎茸出汁、微かにオランジェット。じわじわとウッディさが強く感じられる。若さはあまり目立たず、余韻はサルファリーさが漂うビターな風味。

宮城峡シェリー樽原酒らしい味と言えばらしい仕上がりだが、素性も香味も謎がある。マンサニージャの特徴?はさておき、何かシェリーそのものが混じったような仕上がりなのはフィニッシュの樽由来なのか。正直な話、良さを見つけづらい、閉口的一杯。

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2018年にリリースされた、シングルモルト余市・宮城峡の限定品(生産4000本のみ)。
今さら感のあるボトルですが、ちょうど2020年新作のアップルワイン樽熟成の情報が出始めているところであり、たまにはこういうのもいいかなと、レビューを投稿します。
なお、本リリースについては疑問点がいくつかあり、テイスティングで得られた情報からその点に関する考察、予想を以下にまとめます。

まずニュースリリース上でのメーカー公開情報。
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これだけ読むと気合いいれて樽調達してきたなぁ、と思うわけですが・・・ふと冷静になって、これがマンサニージャシェリーであることで、それって50年間も熟成できるのか?という疑問があります。

◼️疑問点(1)ソレラシステムの樽?
マンサニージャはフロール(酵母の膜)を形成して熟成させるため、基本あまり長期間熟成出来ない辛口シェリーです。
スタンダードなグレードでは平均5年程度とかそういうレベル。マンサニージャ・パサダという熟成タイプもありますが、フロールを維持出来る限界が10~15年とされていることもあり。。。
50年も熟成させたら、マンサニージャではなく違う分類のシェリー樽(アモンティリャードシェリーに近い?)になってしまうと考えられます。

まあ実際はソレラシステムで若い原酒を継ぎ足し、フロールを維持させながら熟成を継続するため、今回の樽もソレラ樽ということなのだと脳内保管。(後々、WMJの特集記事では、ニッカの佐久間チーフブレンダーがソレラシステムで使われていた樽だと説明されていましたのを発見しました。)
ただ、そうだとしてもマンサニージャで累計50年間以上ソレラを組み続けていられるのかは、自分のシェリー酒に関する知識ではわかりませんでした。

◼️疑問点(2)ベース原酒のレシピ
一方で、サルファリーさとシェリー樽原酒がそのまま混じったような椎茸っぽさのある、質が良いとは言い難い濃厚な味わいは、このウイスキーの大きな謎。
いやある意味で宮城峡らしいと言えばらしい樽感の一種なのですが、果たしてこれはベースになったシングルモルト由来か、フィニッシュで付与されたものなのかが疑問点なわけです。

公開されている情報では、ベースのウイスキーは通常のシングルモルト宮城峡と同じようなことが書かれています。
とすると、ノーマルな宮城峡にはここまでの濃厚さはありませんから、フィニッシュで付与された香味ということになります。
これがオロロソシーズニング樽でのフィニッシュなら違和感はないのですが、説明上はマンサニージャ。それもソレラで50年間使われ続けたという樽。この手の長期間使用樽は、1年そこいらならもっとクリアな感じになるはずで・・・。

例えば、殺菌のため硫黄を炊きつつ、樽輸送時に内部を保湿するために使われる保存液が残った状態で原酒突っ込んだりすれば、18ヶ月でこんな混ぜたような味と特徴的なウッディさ、サルファリーな感じになってもおかしくはない。あるいはベースの原酒が通常の宮城峡ではなく、シェリー樽比率多めで蒸留所で売ってるシェリー&スウィート的なモノだったとかなら、それはそれで違和感は無いんですけどね。

この香味が純粋に好みじゃない、という点はさておき、どーにも説明と中身が異なるというか、リンクしない1本でした。

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今日のオマケ:2020年3月発売予定の余市&宮城峡の限定リリース。アップルブランデーウッドフィニッシュについて。

毎年リリースされているシングルモルトのリミテッドエディション。今年はアップルブランデーを28年間熟成していた樽で6ヶ月間フィニッシュした、甘口タイプのウイスキーになるようです。

ニッカ味と言えば新樽風味ですが、2000年から2010年頃、シェリー樽原酒を使ったことがPRされている限定品のなかに(特に安価なものに)、シェリー?と、今回レビューしたリミテッド同様に疑問符がつく不思議な甘さのあるリリースがいくつかありました。
それはシェリー樽というより、実はアップルブランデーの樽由来なのでは?という仮説をたてたことがあったのですが、ニッカ関係者に確認するとブランデー樽は熟成に使っていない、という話だったのを覚えています。

今思えば、何らかのバルクだったのかもしれませんが、この疑問点はともかくアップルブランデー樽がもたらす味わいには純粋に興味があります。今年のリミテッドリリースがどんな仕上がりか、今から楽しみです。


※身内の法事調整と、仕事の重要な会議が重なっており、作業に集中するためブログ&ネット断ちをこの週末からしていました。一応区切りをつけることができたので、今日からまたマイペースに再開です。






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