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アマハガン ワールドモルト 山桜ウッドフィニッシュ 47%

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AMAHAGAN 
World Malt Whisky 
Edition Yamazakura Wood Finish 
Release in 2020 
700ml 47% 

グラス:グレンケアン
時期:開封後数日
評価:★★★★★(5)

香り:柔らかく甘いウッディネス。桜餅を思わせるような個性的な和風の甘さ、微かに乾いた植物や麦芽のようなニュアンス、若い原酒由来かツンとした刺激とドライな要素も混じる。

味:スムーズな口当たり。香りで感じたのと同様の個性と、色濃いシロップを思わせるようなエキス由来のとろりとした甘味がありつつ、干し草やバニラウェハース、徐々にビターでドライな質感。ほどよい渋味を感じるフィニッシュへと繋がる。

和のニュアンスという点ではなるほどという、個性的な仕上がりのブレンデッド。プレーンで癖の少ないモルティーなブレンドに、山桜樽のフィニッシュで付与された濃いめのウッディさが、ソースのようにかけられている。ただ、ベース部分の主張と喧嘩しないため、フィニッシュによる違和感は少ない。その甘味故にストレート以外にロックや水割りも面白いかも。


先日紹介したグレンマッスルの親戚とも言える、長濱蒸留所がリリースするウイスキー・アマハガンの第4弾。ノーマルのアマハガンレシピで作られたベースウイスキーを、4ヶ月間山桜の木材で作られた樽でフィニッシュしたもの。タイミングも良いので、長濱繋がりでレビューを掲載します。
山桜と最初聞いた時は笹の川酒造をイメージしましたが、まさか長濱からこういうリリースがあるとは驚きです。

ウイスキーに用いられる樽材は、通常アメリカンオークやスパニッシュオークあたりが一般的ですが、日本的な木材で作られた樽による熟成が新しい可能性として注目されています。
ミズナラについては言わずもがな、杉、栗、桜。。。日本の樽工場である有明クーパレッジではこうした材木での樽の加工も請け負っており、自社での熟成実験も進んでいます。

例えば、自分が過去に試飲した熟成サンプルだと、これらは短期間で強めのウッディさが付与される傾向があり、栗はミズナラに近いスパイシーさとさらに濃いエキスが。桜はまさに桜餅を思わせるような甘味とほのかな酸が香る。杉についてはハーバルな感じですが、桧同様にエキスの出方がべったりとしているというか、独特な印象がありました。
基本的に、国産ウイスキーであっても原料は輸入で作られるものですから、日本酒等のようにその土地その土地の原料で個性を出すとなると、麦芽で差別化することができません。
よって、熟成環境だけでなく樽材がその土地のものというブランド作りは、新しい取り組みとして可能性のあるものと思うのです。

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(有明クーパレッジ(有明産業)のイベントブースにて提供されていた、各樽材での試験熟成原酒。それぞれ個性が強く、単品では難しいかもしれないが可能性を感じる原酒でもあった。)

今回の山桜カスクフィニッシュですが、ベース部分は加水で整えられたプレーンで癖の少ない、柔らかい甘さのあるモルトウイスキー。長濱原酒も一部使われていますが、若さが目立つものではなく、全体的にバランスは悪くありません。

言い換えると、強みとなる個性もないという点はありますが・・・。そこに山桜樽の濃いめのエキスが混じり、特徴的な甘味とウッディさを含み香で感じる面白い仕上がりとなっています。
リリース時期から逆算すると、この樽の強さは盆地滋賀県の夏場に期間がかかっていることからくるものと推察。樽材の個性をしっかり活かしつつ、和のニュアンスを付与した味わいは、前作ミズナラウッドよりも面白いリリースだと思います。

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また、使われている2年熟成程度の若い長濱原酒も早熟でそれなりに楽しめるクオリティであることが、プラスに働いているように感じています。

長濱蒸留所は、創業比較的すぐのタイミングで見学させてもらっており、そこからイベントで色々話を聞いたり、蒸留所を再訪したりと、現在進行形で成長を見ることが出来た蒸留所のひとつです。
ただ、初期の原酒は麦の甘味は出ているのですが、なんだか全体的にぼんやりしているというか、キレに乏しい感じがあり。。。
蒸留器が小型のアランビック式であることもあって、少しの調整で大きな変化が出てしまう難しさがあったのだと思います。現場ではラインアームの角度、カットポイントの変更など、様々な微調整、トライ&エラーが繰り返されていました。

その結果、1年過ぎたあたりからバランスが良くなり、昨年蒸留所で飲んだものは、さらにクリアで嫌みが少ないなかに、柔らかいモルティーさと適度なコク、様々な調整の末に成長が感じられるニューメイクが作られていました。
現在審査が進む今年のワールド・ウイスキー・アワードでも、アマハガン、長濱ニューメイク共に日本カテゴリーのなかで存在感を放っているようです。
同蒸留所からは今年中に3年熟成のシングルモルトがリリースされるということですし、今後ウイスキー市場のなかでさらに評価を高めていくことを期待したいです。

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ちなみに以下、余談として・・・。
長濱蒸留所で合わせてウイスキー好きに知られてほしいと思うのが、ビールです。
長濱蒸留所(長濱浪漫ビール)は、エールタイプのビールがスタンダードブランドとして作られており、しっかりと麦の味にホップも強めに効いたビターで奥深い味わい。IPA系のビールを好む傾向があるウイスキー飲みにあっては、好まれるビールだと思います。

特に、現地で飲む作りたては最高(正直、蒸留所見学は半分それ目当てで行っていたりもw)。瓶売りしているものも現地そのままの味で、行ったら必ずお土産に買って帰っています。
将来、この長浜ビールカスクで熟成された長浜原酒やアマハガンがリリースされたら良いなぁ、なんて思いつつ、今日の記事の結びとします。

グレンマッスル 2ndリリース ブレンデッドウイスキー 55.1%

カテゴリ:
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GLEN MUSCLE
Blended Whisky
2nd Release
「No,2 Shiagatteruyo!!」
Cask type 2nd fill bourbon finish #0706
Release in 2020 
700ml 55.1% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後2日時点
評価:★★★★★★(6)

香り:注ぎたてはややドライだが、次第にバニラの甘みとオーク香。ほのかにハーブのアクセントを伴う乾いたウッディネスから、徐々に林檎の蜜や洋梨を思わせる白系果実の甘さと酸も感じられる。

味:スムーズでボディのしっかりした口当たり。パイナップルシロップや蜂蜜レモンキャンディー。熟成したモルティーな甘みとコク、フルーティーな酸味を伴う。
余韻にかけてじわじわとウッディなアクセントに、ケミカルなピーチフレーバーとオーク香。フルーティーでほろ苦く、長いフィニッシュ。

適度な熟成感のある、フルーティーな甘味と酸味がメインのブレンド。アイリッシュにも似たケミカルさを伴うもので、好ましい要素として感じられる。また、余韻にかけてのほろ苦いウッディネスがアクセントとなって、全体を引き締める。モルティで骨格がしっかりとしており、様々な飲み方で長く楽しめるのもポイント。少量加水すると全体がマイルドになり、余韻のフルーティーさが広がる。個人的にはロックにして変化を楽しみながら、ゆっくり飲むのがオススメ。

※開封直後は樽由来の要素が馴染んでおらず、フルーティーさが開きにくい印象が感じられた。すぐに馴染むが、数日時間を要する。

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改めましてご紹介。
自分を含め、ウイスキー仲間で関わらせてもらったオリジナルウイスキーの第2弾。グレンマッスル・ブレンデッドウイスキーが以下のスケジュールでリリースされます。
滋賀県・長濱蒸留所が保有する原酒を使い、ブレンドを作成。蒸留所で使われていたバーボン樽で追熟した、所謂シングルカスクブレンデッドです。

【販売スケジュール】

2月16日(日)秩父ウイスキー祭り2020 長濱蒸留所ブースにて先行販売、試飲有り。
2月17日(月)長濱浪漫ビールWEBサイトにて 12:30から販売開始

販売ページはこちら:https://romanbeer.buyshop.jp/items/26056247
※販売ページは、仕様の関係で在庫反映まで売り切れ表示になっています。
※総ボトリング本数は約270本です。
→2月17日 完売しました。多くの関心を頂きありがとうございました!

◼️GLEN MUSCLE(グレンマッスル)とは
グレンマッスルは、ウイスキー好きが笑顔で楽しんでもらえるようなウイスキーを、ウイスキー好きの基準をもって、国産・輸入原酒を問わず活用して作り上げる。言わば愛好家による愛好家のためのウイスキーです。

近年、美味しいだけでなくちょっと尖った魅力のあるリリースが減少傾向にあります。例えばボトラーズのシングルカスク。予算を増せば手に入るのは当たり前ですが、1万円前後という価格帯で、そうしたリリースを実現することは困難な状況と言えます。
ならば自分達で作ることは出来ないか。具体的にはウイスキーメーカー協力のもと、メンバーがブレンドやリリースの監修、テイスティング(評価)を行うもので。。。言い換えれば、こういうリリースがほしいと、メーカー側に実例を示して直接交渉しているとも言えます。

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(グレンマッスルは昨年5月、笹の川酒造と福島県南酒販の協力で1stリリースを実施した。ブレンドにあたっては協力メーカーの保有する原酒を活用するため、1stと2ndでコンセプトは共通であるが原酒は異なる。)

◼️ブレンドの構成とエピソード
今回のリリースは、冒頭述べたように長濱蒸留所が保有する原酒を用いてメンバーがブレンドの試作、リリースの監修を行ったものです。
国産・輸入問わず、数ある原酒の中からブレンドの軸として選んだのが、以下3種類のスコットランド産原酒。
・特徴的なフルーティーさを持つ18年熟成のモルト
・ボディと勢いのある10年熟成のモルト
・柔らかい甘さと熟成感のある19年熟成のグレーン
ここにさらに複数の原酒を加えるなど、構成比率を模索。ベースとなっている蒸留所の良さを引き出せるブレンドレシピを目指し、議論と試作を繰り返しました。

18年の原酒は、近年のトレンドのひとつとも言えるフルーティーさがある一方。ボディーがやや細く、その他のモルト原酒に負けやすいという弱点があり。
10年は若く奔放でパワフル(かつ最も低価格)であるものの、プレーンなハイランドタイプで特徴に乏しく、飲み心地に引っ掛かりがあり。
また、グレーンはクラフトシーンでは珍しい20年弱と中長期間の熟成を経て、包み込むような柔らかさが魅力である一方、使いすぎるとウッディな要素が目立ってきてしまう。
完璧な人間などいないように、見事なまでの一長一短なのです。

最終的に構成原酒と比率の違いで5つのプロトタイプに搾り込み、どれがグレンマッスルとして相応しいかという激しい議論の末に選ばれたのが、今回のブレンドレシピです。モルト比率80%はブレンデッドの一般的なレシピからすればかなり攻めていますが(通常、クラシックな比率でモルト6~7、グレーン3~4)、コンセプト的にも香味の面でも、多少尖った設計の方が良いかなと。
その際の熱気は、さながらボディビル選手権のようでもあり。。。ラベルに書かれた「No,2 シアガッテルヨ!!」は、テイスターの一人が思わず発した掛け声であるとかないとか。

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作成したレシピは、マリッジを兼ねて長濱蒸留所で使われていたリフィルバーボンバレルで後熟し、新たな個性を付与されてリリース。シングルカスクブレンデッドらしく、はっきりとしたフレーバー、一体感のある味わいに仕上がりました。
樽入れ前に比べ、余韻にかけて日本的なウッディさとオークフレーバー、やや酸を後押しするような香味が感じられるものの、全体のバランスに問題はなく。。。むしろ、素性がわかるとある種の隠し味、遊び心として楽しめる範囲だと思います。

そうした経緯もあって、熟成年数表記はAge Unknownとしています。しかし決して若いブレンドではなく、大半が18年以上熟成された原酒で構成されているため、熟成感も適度に備わっています。
ブレンドの軸にあるフルーティーさは、近年のトレンドの一つと言えるもの。加水等でそれらが開くだけでなく、カスクストレングス故の粗さが慣らされ、ポジティブな変化が感じられるのはブレンドならではというか、このウイスキーの良さだと思います。

◼️総評
とまあ、我が子かわいさでつい良い部分を見てしまいがちですが、一歩引いてドライに評価しても、価格的には妥当というか、ここ数年以内の相場で考えて、違和感のないクオリティではないかと思います。

もちろん、香味にネガティブな部分がないわけではなく、同価格帯で突き抜けて素晴らしいレベルとも言えません。ほかのウイスキーを購入したほうが良い、という評価も間違いなくあるでしょう。ですが先に記載した、グレンマッスルの目指す姿は、ある程度満たしているのではないかと感じています。

このウイスキーは
・シングルカスクのモルトウイスキー
・稀少な長期熟成原酒
・日本的な名称や、国産原酒を主たる要素として構成
・有名なキャラクターやデザインを用いたラベル
等々、レアリティに直結する要素と言えるものは何もありません。
ラベルに関してはまず味を見てほしいと、あえて最近の傾向から逆行し、一昔前のボトラーズやスプリングバンクのDuty Paid Simple のようにシンプルに構成しています(どこかのスポーツジムで見たような?気のせいだデスヨ?)。オークションでの付加価値は、見込めるものではないでしょう。

ですが興味を持ってくれた方々は、「愛好家による愛好家のためのウイスキー」というコンセプトを見たとき、きっと言葉では言い表せない、「ときめき」のようなものを感じてくれたんじゃないかと思う。
原酒枯渇、価格高騰、終売・休売。。。殺伐とした世の中で、そういう気持ちを感じて楽しんでもらえるようなリリースでありたい。そう思ってこのウイスキーを作ったのです。(バーボンハウスじゃないよ、マッスルハウスだよ)


なおリリースにあたり、以下のBARならびに飲食店各位から、本ボトルの先行予約を頂いております。重ねてお礼申し上げます。

BAR 無路良 札幌
Malt Bar Kirkwall 札幌
バルハルヤ 菊水
Bar BOTA 小樽
BAR fishborn 帯広
BAR Harry's Takaoka 高岡
GO BAR 北浦和
旬味 菜野 北千住
BAR HONESTY 北千住
BAR shu-shu 葛西
Jam Lounge 高田馬場
BAR 新宿ウイスキーサロン 新宿
BAR LIVET 新宿
BAR GROOVY  神田
BAR Eclipse first 神田
BAR GOSSE 目黒 
ジェイズ・バー 池袋
酒処 石場 祖師谷
BAR BLACK HEART 恋ヶ窪
BAR Sandrie 立川
&BAR Old⇔Craft 関内
BAR Rubin's Vase 栄
シルバームーン 伏見
BAR SIMON 難波
あじどころ はる 長田

このウイスキーが、愛好家の輪の中で、笑顔を醸してくれるものとなれば幸いです。
2020年2月 Team GLEN MUSCLE 一同

グレンマッスルロゴベース(白・透過色指定r)

グレンタレット 12年 2007-2019 蒸留所限定 ハンドフィル 61.3% 

カテゴリ:
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GLENTURRET 
Distillery Exclusive 
Aged 12 years 
Distilled 2007 
Bottled 2019 
Cask type Sherry #102 
700ml 61.3% 

グラス:不明
場所:BAR kitchen 
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:リッチでパワフル、不思議な癖を感じる香り立ち。ドライでトーンの高い刺激はあるが、そこからシーズニングシェリー樽にありがちな色濃い甘味、ドライプルーンやチョコレート、徐々に奥からグラッパのような特徴的なアロマが開いてくる。

味:スウィートでほのかにゴムっぽさのある口当たり。ハイプルーフらしくピリピリとしたハイトーンな刺激から、それをコーティングするシーズニングのクリーミーさ、ドライプルーン。そしてグラッパのような不思議な甘味が一瞬あり、その後ウッディな苦味、濃く入れた紅茶のようなタンニンを伴う。

シーズニングのホグスヘッドだとは思うが、それに由来するリッチな香味のなかにグラッパを連想させるような不思議なフレーバーが感じられるのが特徴。また度数の高さからやや粗さ、バチバチとした刺激が混じりきらないものの、少量加水するとかなりまとまりがよくなる。


グレンタレット蒸留所でハンドボトリング出来るシェリーカスク熟成品。12年と特別長い熟成ではありませんが、シェリー感は近年では良好な部類に入ります。ただ、このリリースを飲んでいると、同ブランドにおけるいくつかの不遇というか、少なくとも近年の親会社絡みの動きを連想してしまいます。

ウイスキーとしてのグレンタレットは、近年消えたものの10年くらい前のオフィシャルまでパフューム香があり、ボトラーズリリースや同蒸留所の原酒が使われたとおぼしきブレンデッドのオールドボトルでは度々猛威を振るう問題児でした。(と思いきや、1977から1987あたりではフルーティーでモルティーな味わいが魅力な優良蒸留所だったりも。なんだろうこの普段不良なんだけど時おり優しさも見せるみたいな・・・。)

そうした背景もあってか、蒸留所としてのブレンド化がうまくいっていたとは言い切れない状況。ブレンド用原酒としてはハイランドディスティラリーズ(エドリントン)傘下銘柄の多くで使われていたものの、シングルモルトブームには取り残されてしまっていたわけです。
2015年頃には新しいオフィシャルリリースを3種投入しますが、これは”失敗”だったようで、2018年にはエドリントングループから他社に売却されてしまいます。

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(グレンタレット蒸留所にて、ウイスキーキャットと背後に見えるフェイマスグラウスの看板。同蒸留所にはフェイマスグラウスのビジターセンターが2002年にオープンしており、この有名銘柄の拠点がありながら蒸留所だけ売却されることになるとは、想像もしなかった。 Photo by T.Ishihara)

さて、エドリントンと言えばハイランドパークやマッカランが有名。それらに感じているイメージで言えば、上位グレードやシングルカスクに優良なシェリー樽を用いて、スタンダードは露骨に抑えているような傾向が見られるわけですが。今回のシェリーカスクのクオリティは、まさにその当時の名残りを彷彿とされるもののように感じられました。
酒質由来かちょっと独特な癖はありますが、ハイトーンなアタック、とろりとダークフルーツにチョコレート、あるいは濃い紅茶のようなウッディネス。最近見られるハイランドパークの免税向けシングルカスク等にある樽感に近い印象が、上記イメージをより彷彿とさせるのです。

なお上述の売却劇でグレンタレットはカティサークと共にエドリントンから切り離され、ラリック社が設立したグレンタレットホールディングス傘下で新たなビジネスをスタートさせるわけですが。。。
日本では長年なかった正規代理店が決まったという話もあり、今後の展開はひっそりと期待しています。

ベンリアック 39年 1976-2016 トゥニーポートフィニッシュ #5462 53.8%

カテゴリ:
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BENRIACH 
Aged 39 years 
Distilled 1976 
Bottled 2016 
Cask type Port Hogshead #5462
Tawny Port Finish 
700ml 53.8%

グラス:グレンケアン
場所:BAR Eclipse first
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:かりんとうを思わせる香ばしさと上面に焦げたようなスモークが一瞬あり、色濃く甘いダークフルーツとウッディネス。ベリーのアクセント、あるいはモスカテル系の甘味と酸。奥にはらしいトロピカルフレーバーを伴う。

味:リッチでとろりとした口当たり。序盤は香り同様の樽感があり、色濃くウッディ。徐々にリンゴのカラメル煮や黄桃を思わせるフルーティーさ。
余韻にかけて土っぽいピート、オークフレーバーとトロピカルな要素もあるが、ほのかにサルファリーなアクセントが邪魔をしている。

ピーテッド仕様のベンリアックの長期熟成。樽が強く、いくつものレイヤーが重なりあっているような構成。上から順に、ポートの甘さと色濃いウッディさ、アメリカンオークの華やかさ、ピートのほろ苦さ、そしてベンリアックらしいフルーティーさ。これをあざといと感じるかは好みの問題だろうが、不思議とそこまでネガ要素はない。加水すると奥にある要素まで認識しやすくなり、オーキーでトロピカルなフルーティーさが開く

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一時期までは普通に飲めていたのに、もうすっかり絶滅危惧種になってしまった1976ベンリアック。このボトルは蒸留所が2016年にブラウンフォーマンに買収(ビリー・ウォーカーが手放したとも)された後、UK向けにリリースされたLimited Release Batch 13の2本のうちの1本です。

構成はポートホグスヘッドで熟成したピーテッド原酒を、さらにトゥニー・ポート樽でフィニッシュするというダブルポート仕様。基本的にはシェリー樽系統の香味ですが、なんとも濃厚で多層的に仕上がってます。同じ種類の樽だからか、フィニッシュながら上塗り感というか、酒質と馴染まないことからくるとってつけた感じがあまりないのも印象的です。
また、ベンリアックのピーテッド原酒は最近のものだとラフロイグのヨード抜きのようになるものが多いのですが、今回は土系統というか、かつてのモルトらしくフルーティーさを後押しするような構成になっていると感じられます。


こうしたフィニッシュやピート原酒を組み合わせたベンリアックは、過去複数回リリースされてきました。
誤解を恐れず言えば、それらは色物というか、余計なことしくさって(君は素直にトロピカル出しておけばエエんや)、と言うような愛好家の声も当時あったと記憶するところ。そのカスクですら今や高嶺の花なのですから、時代の変化は本当に読めないですね。

ただ、同時にBatch 13としてリリースされたシェリー樽&ピーテッドの1975(下写真)もそうなのですが、ピートが馴染んでいるというか、樽が濃厚でありながらフルーティーさが残っているというか。Batch 13の2本はどちらも色物扱いできない仕上がりだと思います。(1975のほうは文句なく美味。)
どちらも似た部分があり、ビリー・ウォーカーが使わない間に馴染んだのか、元々こうだったけど彼の好みに合わなかったのか。面白い傾向だなと感じました。

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(リミテッドエディションBatch 13として2016年にリリースされた1975 #7028。ウッディさは強いが、時間経過で昔ながらのシェリー感にピートのアクセント。そしてベンリアックらしいフルーティーさが楽しめる。)

シングルモルトとしてのリリースが多いこの半世紀の範囲で見てみると、ロングモーンしかり、ベンリアックしかり、1960~1970年代前半のスペイサイドモルトの多くがパイナップルやピーチなどに例えられるフルーティーさを備えており、それらが今絶滅危惧種となっています。
シェリー樽の復活も重要事項ですが、全ウイスキーの底上げに繋がる酒質部分の復活は同じくらい重要な要素。最近、100%アイラしかり、麦にこだわった仕込みのリリースが増えていますから、シングルモルトの需要が増えるなかでこの点についても蒸留所側の取り組みが増えていくことを期待したいです。

余市 マンサニージャウッドフィニッシュ 2018年リリース 48%

カテゴリ:
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NIKKA WHISKY 
YOICHI 
MANZANILLA WOOD FINISH 
Bottled in 2018 
700ml 48% 

グラス:木村硝子テイスティング
時期:開封後1ヶ月程度
場所:自宅@サンプルIさん
評価:★★★★★(5)

香り:焦げたようなウッディさとサルファリーなニュアンス。醤油煎餅のような香ばしさ、微かなピート。奥にはやや若い酸、バニラの甘さも合わせて感じられる。

味:オイリーでコクのある口当たりだが、香り同様に酸味があり、ベースの若さを感じる作り。微かに干し柿とクリームの甘味。徐々にウッディで軽いえぐみがあり、椎茸の混じったコーヒーのようなサルファリーさとピートフレーバー。ドライでビターなフィニッシュが長く続く。

オフィシャル通常品と同じような若い余市モルトに、シェリー樽のフィニッシュが合わさってサルファリーでビターな味わいに仕上がった、良くも悪くもニッカ味なモルト。シェリー樽の疑問は宮城峡の同限定品と同じで、シェリーそのものが混じったような淀みも健在。ただそれ以上にこのボトルは裏ラベルのコメントである。ピーチ?パパイヤ?トロピカルフルーツ?一体何があったのか。。。

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シングルモルト余市NASを、マンサニージャシェリーを50年間熟成していたソレラ樽で、18ヶ月間フィニッシュした限定品。
先日これの宮城峡をレビューしたところ、余市も飲みます?と、知人のIさんから頂いたもの。
「余市はまだ良いって話聞きましたけど、どうです?」という問いは、Iさんの(苦笑)によってお察しでしたが、まあこれも中々に疑問の残るボトルであったわけです。

まずシェリー感については同じ樽を使ってるわけですから、特徴はそのまま。
ただ宮城峡に比べ、原酒の個性の強さから通常のオフィシャルNAS系統の香味が分かりやすいので、どの辺がフィニッシュ由来なのか整理しやすく感じられました。
例えば、通常の余市NASはシェリー感はそこまで強くありません。サルファリーさもありません。若い余市の味はそういうものとして評価出来るのですが、その前提から見ると疑問点も際立つ訳です。

それは、マンサニージャ之如何にという部分と、なぜここまで硫黄後付けに拘るのか。そしてこの香味でもってピーチ、パパイヤ、トロピカルフルーツは無理があるような。。。という3本建て。
先の2点は過去記事でも触れていますので、ある程度割愛しますが、やっぱりこれマンサニージャシェリー樽ではないのでは?という疑問は強くなりましたね。
あるいはこの余韻にかけてのウッディさです。ベースを構成する一部に、意図的にオロロソシェリー樽の原酒を加えたのではとも思える味わい。中身と公開されている説明が一致しない違和感が、最後までぬぐえないのです。

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(同時にリリースされた宮城峡のマンサニージャフィニッシュ。オフィシャルと同じシングルモルトを、ソレラで50年使われたシェリー樽で18ヶ月フィニッシュしたものというが。。。レビューと樽に関する疑問はこちら。)

そしてこの余市に関しては「個人の感想であるため、効果と効能を保証するものではない」と言われればそこまでなのですが、ウイスキー界隈でのトロピカルフルーツとはかけ離れているようなレビューが、さらに違和感を強くしています。
ボトリングする前の、カスクサンプル段階で一部そういう香りのものがあったのか。。。なんの裏付けもないですが、ある種の営業戦略なのか。。。
香味が好みから外れているだけなら、それは食品や嗜好品ゆえ仕方ないことですが、こうもモヤモヤが残る酒は中々に珍しいです。

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今日のオマケ:クリスタルム ピーターマックス ピノ・ノワール 2018

南アフリカのピノ。新世界のなかでも仏寄りのタイプのものが多い印象の地域ですが、これはその合わせ技という感じですね。

クリアで土っぽさとキノコのような香りの混じる赤系果実香。少し酸が立って感じられる。注ぎたてはフレッシュで若い印象もあるが、クランベリーやチェリー、石榴のシロップを思わせるジューシーな甘酸っぱさ。人工出汁のようなべったりとした質感で口内にとどまる。余韻は酸味が優位になり、適度なタンニンを伴う。

分かりやすいピノ由来の赤系果実の味わいと、土っぽさもはっきり感じられるのが魅力のワイン。2018と新しいビンテージでこう飲めるのは如何にも新世界的な良さだし、何より価格が3000円台と使いやすいのも魅力です。より一層新世界的な味を求めるならカレラやコノスル、仏系の味を求めたらこういうワインが選択肢にあるのはウイスキーライフのサブポジとして申し分なしだと思います。

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