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メーカーズマーク プライベートセレクト 55.45% ビル・サミュエルJrセレクト

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MAKER'S MARK
PRIVATE SELECT
Exclusive oak stave selection by BILL SAMUELS Jr
750ml 55.45%

グラス:テイスティンググラス
場所:BAR Kitchen
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:メローでキャラメルソースやカカオチョコレートを思わせる濃厚なアロマ。焦げ感と軽いえぐみを伴うスパイス、微かにチェリーやオレンジピールチョコのアクセント。

味:力強く濃厚、香り同様にキャラメルソース、バニラ、ローストアーモンド。やや粘性が感じられ、ねっとりとしたチャーオークフレーバーが舌に絡まり、スパイシーでじわじわとドライ、焦げたような軽い苦味を伴うフィニッシュへと繋がっていく。

柔らかい飲み口をベースに、どっしりと濃厚なウッディネスが覆い被さるように香味とも感じられる。力技とも取れるような濃い味な構成だが、えぐみなどはそこまで強くないので少量加水するとマイルドな飲み口が引き立つ。機会があればロックも試したい。


昨年ごろから日本市場でもリリースが見られる、メーカーズマークの限定品、プライベートセレクト。今回のボトルは蒸留所で販売されていた1本で、レシピ選定は7代目マスターディスティラーにして、このプライベートセレクト産みの親の一人と言える、ビル・サミュエル・ジュニア氏です。

1975年に同氏が責任者を引き継ぐ際、先代に当たる父親からはただ一言、メーカーズマークのウイスキーを台無しにしないでくれと言われていたそうです。
そのため、過去のスタイルを守ったリリースを続けていたそうですが、引退を意識する年齢になって見た夢(自分が死んだ時、墓に書かれるエピソードは「メーカーズマークの味わいを変えなかった男」となっていたらしい)がきっかけで、自分のメーカーズマークの形を残すべきだと決意。
6年程度熟成した原酒を、樽の中に10枚の樽材"インナーステイブ"と共に入れて数ヶ月後熟することで、新しい風味や奥行きを与える製法を確立するに至ります。

こうして2010年にリリースされたのが、フレンチオークのインナーステイブを用いたメーカーズマーク46です。
ビル・サミュエルJr氏はその翌年、2011年に現役を退きますが、8代目のマスターディスティラーがこのアイディア、あるいは開発過程で得られた知見を基に、フレンチオーク以外のステイブや、その焼き具合、形状等を自由に組み合わせて香味を作る、プライベートセレクトをリリース。
単一的な味わいをになりがちなバーボンウイスキーにあって、カスク毎のオリジナリティを容易に生み出せるというメリットをもたらし、日本でも多くの酒販店等が独自の組み合わせとなるプライベートセレクトをリリースしています。


(メーカーズマークのインナーステイブ。フィニッシュ用の樽の中に、あらかじめほぼ均一間隔になるよう串刺しした木片を設置する。写真はメーカーズマークの公式twitterより引用。)

さて、今回のボトルに使われたインナーステイブは、メーカーズマーク46用のフレンチオークのみ。つまりメーカーズマーク46と同じというか、カスクストレングスバージョンと言えるものですが、これは前述のエピソードの通り、メーカーズマーク46産みの親であるビル・サミュエルJr氏だからこそ作るに相応しい組み合わせと言えます。

フレンチオークを用いたことで得られるフレーバーは、メローでトースティなウッディさと、スパイシーなニュアンス。特ににメーカーズマーク46仕様のものは下記の通りスパイシーな香味を強くする傾向があるようで、後熟による樽材のエキスが溶け込み、濃厚かつスパイシーな味わいに仕上がっていると感じます。


現在まで続く、スタンダード品のメーカーズマークブランドを確立したのは、6代目のマスターディスティラー、ビル・サミュエルSr氏でした。
そのキャラクターが、柔らかくメローな味わいであったことから考えると、7代目が作り出した味わいは、伝統的な柔らかさがありつつもスパイシーで、文字通り新しいメーカーズマークの形。

それが、8代目のマスターディスティラーの手によって誕生したプレイベートセレクトで、一族3代に渡る取り組みがまとめて形になった。
なるほどなかなかどうしてロマンなエピソードが詰まった、蒸留所限定品に相応しい1本だと思います。


ハイランドクイーン 1970年代後期 特級表記 43%

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HIGHLAND QUEEN
FINE OLD SCOTCH WHISKY
1970-1980's
760ml 43%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★★(5-6)

香り:ややドライで穀物感のあるアロマ。干草、バニラウェハース、微かに蜂蜜レモン、メンソールと奥には淡いスモーキーさを伴う。

味:香り同様ドライで若さ故の刺激のある口当たり。軽い穀物感や干草、ポン菓子の甘み、徐々に粘性を伴ってべっこう飴や薄めた麦芽糖。
余韻は麦芽風味主体で少しヒリヒリとした刺激、ほろ苦くドライで長く続く。

プレーンでやや若さもある、ハイランドタイプのブレンデッド。あまり多彩ではないが微かなピーティーさに時代を感じる。加水するとザラメのような甘みが開き、マイルドな味わいに。ハイボールがスッキリと飲めてかつ程よいコクもあってオススメ。


シングルモルトとしてしか流通しないとも言われる「グレンモーレンジ」が使われている(た?)銘柄。
同銘柄を販売していたマクドナルド・ミュアー社は、当時グレンモーレンジ蒸留所も所有しており、その関係は1925年から2004年(または2008年)まで続くもの。その後グレンモーレンジはディアジオに、ハイランドクイーンはフランスのピカード社に版権が移行したため、現行品ではアイラモルトがリリースされるなど、その傾向に変化が見られます。

今回のラベルは1970年代後半から1980年代前半のもので、上記マクドナルド・ミュアー社の時代。日本では国分が正規代理店となることから、表ラベルには直接ウイスキー特級表記が印字され、裏ラベルも上記写真のように1980年代後半から直接日本の取り扱いが印字されるようになります。

(ハイランドクイーン1970年代前半以前のラベル。1976年にラベルチェンジしたとする記録がある。プレーンで派手さがないところは変わらないが、この頃の方がモルティーさに厚みがあり、評価も高い。)

そんなわけで、このハイランドクイーンは、ラベルデザインの大きく異なる1970年代前半以前、今回の1970年代後半から80年代前半、そして1980年代後半からで、容量や表記を合わせて見ればまず流通時期を見間違えることはありません。
ただ海外向けに手を出すようでしたら、その時は写真3枚目に映るスクリューキャップの形状等も参考にして頂ければと思います。
コルクキャップ後から該当時期まではスクリューキャップの丈が短く、これはグレンモーレンジともだいたい同じ仕様です。

これまでの記事でも触れていた内容もありましたが、この銘柄の紹介は久々だったのと、ラベル判別的には1960年代以降のまとめの意味もあって、前置きが長くなりました(汗)。とりあえず日本に流通していたスタンダード品だとこの辺りでコンプリート。
今回の流通時期のものはプレーンで若い原酒の刺激も伴っており、量産に入った事がうかがえる構成。ですが決して完成度が低いわけではなく、素性の良さは感じられると思います。
1杯目に使いたいボトルですね。

インチガワー 18年 2000-2018 信濃屋銀座店24周年記念 53.3%

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sinanoya-ginza-inchgower-tasting
INCHGOWER
SHINANOYA GINZA 24th Anniv
Aged 18 years
Distilled 2000
Bottled 2018
Cask type Hogshead #804706
700ml 53.3%

グラス:グレンケアンテイスティング
場所:Jam Lounge
時期:開封後2週間程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで華やかなウッディネス。干草、ビスケット、バニラや洋ナシ、そしてパイナップルを思わせるフルーティーさが徐々に開いてくる。奥にはケミカルなニュアンス。

味:スムーズで少し青みがかったフルーティーな口当たり。瓜やすりおろし林檎、そしてパイナップルキャンディ。奥には微かにおしろいっぽさを含む麦芽風味。
余韻はオーキーな華やかさと、乾いた植物。ケミカルなニュアンスを伴うフルーティーさとシロップの甘み。軽いスパイシーな刺激を伴うフィニッシュ。

ボディはミディアム程度のハイランドタイプのモルトに、ホグスヘッドらしいフルーティーさが合わさっている・・・のだが、アイリッシュっぽい要素も含んでいる。少量加水すると樽感と酒質由来の要素が混ざりありバランスが整う。


信濃屋銀座店のオリジナルボトル。ラベルのベースとなったイラストの描き手、アルフォンス・マリア・ミュシャから通称"ミュシャラベル"と呼ばれるリリースです。
2016年にリリースされた前作は、2000年蒸留のグレンギリー15年。このリリースは蒸留所のキャラクターが判りやすいだけでなく、バーボン樽由来のフルーティーさが合わさって内容的にも価格的にも満足度の高い1本に仕上がっていたところ。

そして同店の24周年を記念して今年再びリリースされたミュシャが、同じ2000年蒸留のインチガワー18年です。
インチガワー自体はベルなどのブレンド向け原酒であるため、ボトラーズのリリースはそう多くはなく、オフィシャルも花と動物シリーズの14年が代わりにある程度。シングルモルトとしてそこまで個性に馴染みがある蒸留所ではないのですが・・・、微かな塩気を伴うハイランドタイプのモルトというのが、広く認知されているハウススタイルでしょうか。


今回のボトル、リリース時に銀座店店頭で選定用のカスクサンプルもテイスティングさせてもらっています。
そのサンプルではホグスヘッド由来のフルーティーさとバニラ、ビスケットのような麦芽風味があり、ボトラーズのハイランドモルトとして、そしてインチガワーとしても、納得できる作りが感じられました。

ところが、リリースされたボトルを飲んでみると、フルーティーさにケミカル系のアイリッシュっぽい要素が加わっており、キャラクターの違いに少々驚かされました。
サンプリング時とボトリングまでの間の経過に伴う熟成を通じた変化。加えて樽の中の味わいは均一ではないということと、場合によってはボトリング設備の影響を受けることもある。この違いは樽買いの難しさだと思います。



(信濃屋WEBサイトより引用。インチガワー蒸留所外観の一部とポットスチル。)

想定とはちょっと異なったのではないかと思いますが、いずれにせよ純粋に美味しいボトラーズリリースです。
今回のサンプルは、信濃屋バイヤー陣が現地で調達、同店副店長かつハードリカー担当の堤氏が選定したもの。 ウイスキー高騰が続く中で、前回のグレンギリー同様に内容的にも価格的にも納得感あるリリースを選べるのは、同店がこれまで作ってきたコネクションがあるからこそですね。

リリースから紹介が遅くなってしまいましたが、信濃屋銀座店は来年の25周年、そして30周年に向け、今後も日本のハードリカーシーンを牽引する拠点の一つであってほしいと感じています

ジョニーウォーカーブルーラベル カスクエディション 55.8%

カテゴリ:
JOHNNIE WALKER
BLUE LABEL
THE CASKS EDITION 
SPECIAL RELEASE
For TRAVEL RETAIL
1000ml 55.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:ブラインドサンプル@Wennyさん
暫定評価:★★★★★★(6)

【ブラインドテイスティング回答】
地域:ハイランド
銘柄:グレンギリー
年数:18年程度
流通時期:2010年代
樽:バーボンバレル
度数:57%
仕様:カスクストレングス

香り:強いアタックで、ひりつくようなアルコール感、メンソールとハーブのアクセント、ドライアプリコットや梅干しの酸味と淡いピーティーさ、ピートはじわじわと存在感を増してくる。

味:粘性があり、口当たりから高い度数のパワフルなアタック。香り同様の梅や杏子ジャムの酸味のあるモルティーさ、アーモンド、ほのかに出汁っぽさ。
余韻はひりつくような刺激と淡いピートフレーバー、適度な荒さを残しつつ長く続く。

どこかで飲んだことがある印象を持ったが、最後まで思い出せなかった。ピーティーだが内陸系の要素のほうが主体で、ハイトーンでアタックの強い酒質を作る蒸留所となるとグレンギリーが筆頭だが。。。例えばオフィシャルのスモールバッチだろうか。


ブログ読者のWennyさんから頂いたブラインドサンプル。
ハイプルーフなウイスキーだと認識した直後、ブレンデッドという選択肢が頭から抜け落ちていて、スコッチのシングルモルトで何かという予想に。
またハイエンド故、モルティーな個性が強い点も後押しし、グレーン由来の要素を捉えられず。。。結果、内陸要素とピーティーさから、違和感を感じつつも1990年代前半のグレンギリー予想となりました。

正解を聞いてなるほどと。なんか飲んだことあると感じたのは、加水版のジョニーウォーカーブルーラベルにもある、酸味を伴う味わいから。樽は複数使われているでしょうけれど、何度か使われたアメリカンホワイトオークでしょう。
少量加水するとハイプルーフ故にあった、アタックの強さが落ち着きまとまりが良くなるだけでなく、島系要素を始め、モルティーな香味が開いて通常品に比べて味わい深い。パンチの強いストレートも悪くないですが、少量加水がオススメですね。

(ジョニーウォーカー・ブルーラベルの通常品。モルティーでアプリコットなどのドライフルーツを思わせる酸味が感じられ、余韻のピーティーさと合わせてカスクエディションとの共通事項だった。)

このジョニーウォーカー・ブルーラベル・カスクエディションは、ジョニ青のハイプルーフ版として2012年からリリースされている免税店向けの商品です。
構成原酒は40%加水のブルーラベルと基本的には同じようですが、日本に並行輸入された販売品には、ロイヤルロッホナガーをキーモルトとしている旨の販促コメントも見られます。

ロッホナガーはシングルカスク及びハイプルーフでリリースされることが少ないですが、以前ソサイエティからリリースされたものやUDレモアルトシリーズなどを飲むに、結構ハイトーンでヒリつくような刺激を伴う印象。今回のボトルで感じられたキャラクターもまた、ロッホナガー及びディアジオ系列の内陸原酒とすれば、得心がいく構成です。
あとは上記をベースにタリスカーやカリラってところでしょうか。このバランスと馴染みのいい作り。。。何より、加水版の個性を違和感なくそのままカスクストレングスとするのは、流石業界最大手の仕事だと思います。

なお、前回書いたブラインドサンプル記事では、先入観からキャラクターを掴み損ねていましたが、今回は選択肢を除外して考えてしまっていました。
言わばダメをもらったという出題。改めてブラインドの難しさと、フラットに考える重要性を認識した次第です。
あー悔しい!!

サムシングスペシャル 12年 1980年代流通 43%

カテゴリ:
SOMETHING SPECIAL
12 Years old
Deluxe Scotch Whisky
1980's
750ml 43%

グラス:テイスティンググラス
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封直後及び1週間程度
評価:★★★★★★(5ー6)

香り:ドライで華やかな穀物感、干草、軽やかな香ばしさの奥から洋梨のタルト、蜂蜜などを思わせる甘みが開いてくる。

味:心地よくドライな口当たり。ポン菓子、穀物感の奥に熟成した原酒の華やかさ。徐々に薄めた蜂蜜、香り同様の果実味のコクを感じるマイルドさ。
余韻はドライでほろ苦く、乾いた麦芽やウッディさを伴う。

スペイサイドモルトがメインと言われて納得する、軽やかで華やかさを伴うモルティーさとグレーンの風味。
加水すると華やかさがメイン、モルティーなアロマが開くが、ボディはやや軽い。ハイボールはすっきりとして飲みやすいバランスのいいブレンデッド。


ブレンデッドウイスキー、クイーンアンの姉妹品にして上位グレード。つまり主たる原酒は、ロングモーン、ベンリアック、リベット、グラント。。。といったところ。
1975年にエリザベス女王が来日した際の晩餐会で、バランタイン30年と共にドリンクのラインナップに名を連ねた銘柄というのは、2年前にこの銘柄の70年代流通を記事にした時にも触れた、有名なエピソードです。

ただ、バランタインは熟成年数的にもブランド的にも、スコットランドの主要産業を代表する1本としてわかりますが、なぜ相方がBIG5でもなく、サムシングスペシャルだったのかは謎要素です。
推測の域を出ませんが、この2本が同列だったのではなく、製造元のヒルトムソン社が輸出用の銘柄として絶賛売り出しを図っていたことの後押しではないかと思うようになりました。
1980年代には同社の銘柄は100カ国で販売されるに至る訳ですが、この手の営業活動を国としても後押ししていたならあるいは。。。と。まあどうでもいい話ですが。


サムシングスペシャルは、ラベルを追う限り1960年代からリリースされたようです。ただ、60年代、70年代の洋酒輸入自由化前であってもクイーンアンに比べてリユース市場での人気は今ひとつです。
その背景としては、
・1960年代、大口径コルクキャップ
・1970年代、鉛貼りスクリューキャップ
・1980年代、樹脂貼りキャップ
・1990年代、樹脂系プラキャップ
と、リリース期間を通じてキャップ臭3大要因を網羅するという、オールドにあって"爆弾持ち"なボトルであることは、無関係と言えないように思います。

状態さえ良ければ、特に60〜70年代流通は熟成したスペイサイドモルトを思わせる、モルティーかつ華やかさを伴うトロリとした飲み口が印象的な美味いボトル。今回の1980年代はちょっとプレーンというか、穀物感もありましたが、バランスは悪くない。
現在の市場でエントリーグレードのクイーンアンよりも人気がない理由は、こういうところにあるのかもしれません。

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