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TEANINICH
Limited Release 
Aged 17 years
Distilled 1999
Bottled 2017
Cask type Refill American Oak Hogshead & American Standard Barrel (ex-sherry?)
700ml 55.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後数日以内
場所:Y's Land IAN
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:注ぎ立ては若干紙っぽさを感じるが、すぐにカスタードを思わせるオーキーな甘みと微かにニッキを思わせるスパイシーさ。徐々にドライアップルや砂糖をまぶしたレモンピール、柑橘系のアクセントも感じられる。

味:ゆるく若干青みがかったクリーミーさを感じる口当たり。りんごのコンポート、蜂蜜、ほのかにマロングラッセのようなオーキーなニュアンス。
余韻はドライで乾いたウッディネス。ヒリヒリとした刺激、スパイシーで長く続く。

香り立ちと口当たりは最初に柔らかさがあるものの、ディアジオらしいクリアでハイトーンな香味でまとめられている。所謂レアモルト系統なのだが、年数の割に柔らかさがあるのは近年の酒質か、あるいは樽使いによるものか。


スペシャルリリースとしては初のボトリングとなるティーニニック。このボトルが現地でリリースされた2017年は、同蒸留所の創業200周年で、記念ボトルとしての位置付けもあったようです。
ティーニニックはその原酒のほとんどがジョニーウォーカーなどのブレンド向けであるため、オフィシャル扱いのボトルは花と動物やレアモルトシリーズくらい。しかし蒸留所の個性はコアな愛好家を中心に評価されているだけでなく、上記記念ボトルという需要もあって、昨年から並行品が日本にも入ってきていました。(そのため、他のスペシャルリリースと比べても、正規が遅かったという印象は否めません。)

ティーニニックの歴史を紐解くと、1970年から蒸留所の改修、設備の増築が行われ、改修された古い設備と増築した新しい設備を同時に稼働させる方法で増産が行われていました。これは同じDCL傘下の蒸留所のリンクウッドでも見られる方式ですが、古い設備は1984年に、新しい方も1985年に生産を休止。その後新体制となったUDV(旧DCL)が新しい設備のみを1991年に再稼働させて今日に至っています。
なお、閉鎖したままだった古い方の設備の撤去が決定した(あるいは撤去された)のは1999年とのこと。丁度200周年記念リリースの蒸留年と同じ年というのは、偶然にしても関連する何かを感じてしまいます。

なんだか背景情報が長くなってしまいました。
ティーニニックの酒質は、シナモンなどのスパイシーさが特徴とされ、特に自分が飲んだ中で1970年代のそれは、しっかりとスパイスの香味が感じられたという印象があります。近年のボトルはというと、あまり飲めてないので語れるほど経験はないですが、今回のそれははっきりとというほどではなくアクセント程度。
しかしディアジオらしくリフィル系の樽でじっくり熟成された、樽感がそこまで強くない構成でもあり、個性を整理しやすい作りだと思います。

ところで、今回のスペシャルリリースには、「?」と感じる表記がいくつかあります。
このティーニニックでは「アメリカンスタンダードバレル(ASB)」なる聞き慣れない樽が登場。要するのバーボンバレル?と考えるも、海外ショップなどの登録情報では、この樽構成はリフィルアメリカンホグスヘッドとシェリーバットだというのです。
シェリーバットとすれば間違いなく3回目くらいのプレーン寄りの樽で、香味的にも納得出来るワケですが。。。でもバレル表記だしなあ。
なんだかスッキリしないオチになってしまいました。