カテゴリ

カテゴリ:ダラスデュー

ダラスデュー 17年 1970-1987 セスタンテ 58.3% ブラインド

カテゴリ:

DALLAS-DHU
For SESTANTE
Rare Highland Malt Scotch Whisky
Aged 17 years
Distilled 1970
Bottled 1987
58.3% 750ml

【ブラインドテイスティング解答】
地域:ハイランド
蒸留所:グレンダラン
熟成年数:15年程度
樽:リフィルシェリーバット
度数:60%程度

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@ブラインドサンプル
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:ハイトーンでドライ、ハイプルーフらしい強いプレーンなアタック。バニラ、華やかで品がいいおしろい系の麦芽香、微かにニッキ、シトラスのアクセント。時間経過で蜂蜜の甘み、柑橘感がさらに開き、

味:ハイトーンでスパイシーな口当たり。麦芽風味から洋梨のペースト、薄めた蜂蜜、膨らみのある味わい。
余韻はドライでスパイシー、ジンジンとした刺激、白木を思わせるウッディネスが麦芽風味やオレンジピールのほろ苦さを伴い長く続く。

ナチュラルでプレーンな麦芽風味主体だが、程よくホワイトオーク系の樽感が混ざり合っている。酒質のボディ感に香味の広がり、近年系の原酒とは格が違う。時間経過で開く香味が完成度をさらに高めてくれる。加水するとオーキーな華やかさ、クリーミーな麦芽風味がさらに開く。



前回のグレンカダム21年に引き続き、ぎんがさん出題のちょっと特殊なブラインドテイスティング。
今回のお題は、「ロイヤルブラック 16年 57% ゼニスインポート」。先日自分も記事にしたボトルで、ロイヤルブラックラの中でもかなりレベルの高いリリースの一つだと思います。

参考:ロイヤルブラックラ 16年 1980年代流通 57% ゼニスインポート

そのボトルと近い要素があるという、ブラインドテイスティング。
サンプルAのカダムは明らかに近年系の構成でしたが、今回はノージング時点でちょっと傾向が違うなと。樽に頼らないナチュラルでハイトーンな構成は、近年のボトラーズではなく、1990年ごろのケイデンヘッドやセスタンテなどに多く見られたキャラクター。微かに香木、白木のニュアンスを伴うそれは、近年めっきり見なくなったフレーバーです。

この手の構成は、半端な酒質だとドライでビリビリするだけで終わるのですが、今回のサンプルや、上述のブラックラなどはボディがしっかりして、原料由来の味が残っているため、香味とも膨らみや広がりがある。
単体でのブラインドとしては、嫌味は少ないながら麦芽風味主体で比較的しっかりとした酒質に仕上がる、1970年代のグレンダラン、プレーン系のリフィルオークを予想。長期熟成でないことで、逆に麦芽風味にボディや勢いが残る、15年程度の熟成と考えていましたが、基本スペックはほぼイメージ通りだったと思います。
蒸留所?ハイランド・スペイサイド縛りでもダラスデューなんてわかったら変態ですよ(笑)。

(出題者から届いた煽りのメッセージ。ひよる?馬鹿言ってんじゃないよ、ブラインドテイスティングはいつ何時誰の挑戦でも受けるんですよ!)

そしてお題だったボトル、ゼニスブラックラ16年との比較は、確かにこの手のナチュラルな樽感に、麦芽風味主体のハイプルーフな構成は、近い要素が多いと思います。
厳密に言えばブラックラよりも樽由来の柑橘系のニュアンスが強く出ていると感じますが、ここは樽の違いでしょうか。どちらもある程度ウイスキーを飲み慣れた人が、好みの一つにたどり着いてくる、麦系の領域にあるボトルと言えます。

なお、以前のダラスデューの投稿で、自分は「印象に残っていないウイスキーの一つ」として、ダラスデューを挙げて結構辛口なことを書いています。
もちろん、蒸留所に対して持っている"このスペックだったらこう仕上がるだろう"という予測に、今回のボトルが合致しないわけではないですが、その中でも上位グループに入るだろう美味しさをすっかり満喫させていただきました。
これは印象に残ったボトルになりましたね。

ダラスデュー 30年 1975-2006 シグナトリー 46.9%

カテゴリ:
DALLAS DHU
SIGNATORY VINTAGE 
CASK STRENGTH COLLECTION 
Aged 30 years
Distilled 1975/08/15
Bottled 2006/07/19
Cask type Bourbon Barrel#1493
700ml 46.9%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:1ショット程度
場所:個人宅持ち寄り会@Iさん
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:バニラクッキー、ナッツ、ドライパイナップル、洋梨。華やかでオーキーな樽香に、微かにチーズを思わせる酸味を伴う。

味:ドライでフルーティーな口当たり。ファイバーパイナップル、ナッツ、クラッカー、香り同様の構成。ボディはミディアムからやや軽く、余韻はドライで染み込むウッディネス。オーキーな香味が消えていき、あっさりとしている。

華やかでドライなオークフレーバー主体のボトル。ともすれば樽しゃぶり系だが、時代の良さかギリギリの厚みで酒質が樽感を支えている。加水も悪くない、さらに華やかな香味が引き立ち、バランスが良くなる。


ダラスデューは個人的に「印象に残っていないウイスキー」の一つです。
少なくともこれまでに飲めた1960年代以降、酒質由来の味わいは淡く、ボディ感も中庸、古いものであればクリーミーな麦芽由来の甘みがありますが、特にこれという個性が見出せない。シングルカスクで個性を楽しむというより、ブレンドでの縁の下の力持ち向きと言えるのかもしれません。

蒸留所の歴史を見てみると、創業は1899年と古いものの、特にシングルモルトが有名だったわけでも、この蒸留所をキーモルトとする有名なブレンドがあるわけでもありませんでした。
大手グループに属していなかった訳でもなく、ディアジオの前身であるDCL傘下には1929年に入った一方で、期間不明ながら1936年までは操業を休止していたようです。
再稼働した直後の1939年、今度は火災が発生しスティルハウスが焼失。修繕は行われたものの世界大戦の煽りを受けて1947年まで再び休止状態に。。。
約20年間、ほとんど原酒のストックを作れていない状況は、経営者視点で考えるとお荷物でしかなかったように思われます。

その後1950年代から1970年代初頭にかけて蒸留所の電化から生産設備増設、フロアモルティングの取りやめ、石炭直火蒸留をスチーム式への切り替えなど近代化が進み、やっと本腰を据えて原酒作れるようになったのは1970年代に入ってから。
そのキャラクターは先述のとおり、酒質の個性に強いものはなくプレーンなそれ。当時はブレンデッド全盛期、時代背景や蒸留所そのものの製品ラインナップから考えるに、DCL系列が抱える様々なブレンド銘柄のベースとして使えるように位置付けていたのではと推測します。

以上、紆余曲折あったダラスデューですが、80年代ウイスキー冬の時代が到来すると1983年にあっさり閉鎖。現在は博物館となっているのは有名な話です。
近年、世界的なウイスキーブームを受け、再稼働の話も進んでいると聞きますが、きっとブームが終わればまた役目を終えてしまうのかもしれません。
些か不遇な気持ちになりますね。

このページのトップヘ

見出し画像
×