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RARE AYRSHIRE (LADYBURN)
Signatory vintage cask strength collection
Aged 37 years
Distilled 1975/10/24
Bottled 2013/10/22
750ml 49.8%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:チーズのような酸味とオーク香、ややドライ。ドライアップルの甘いフルーティーさ、クッキー、バニラ、微かにゴムのような癖。華やかで充実している。

味:やや青みがかったドライな口当たりからオーキーでフルーティー。洋梨、りんごのコンポート、ナッティーで後半にかけてドライ、スパイシーな刺激もある。
余韻にかけて乾いた麦芽、微かにゴムのような癖も感じられる。

香味とも樽感主体の華やかな味わい。ストレートまたは少量加水で。
関係ないが、あと2日置いておけば38年熟成だった。何かこだわりがあったのだろうか。

"キンクレイス"、"ベンウィヴィス"、"レディバーン"、3大レアモルトとされるこれらの銘柄の中で、最も遭遇率が高い蒸留所が、このエアシャー表記のレディバーンです。

同蒸留所は1966年にグランツなどブレンデッドウイスキーへの原酒供給を目的として、カーヴァン・グレーンウイスキー蒸留所敷地内に設立された蒸留所。この3大レアモルトは共通して、原酒不足を補うためグレーンウイスキー工場内に建てられ、1970年代に入ってモルト原酒不足が解消された後に閉鎖。原酒はほぼすべてブレンドに使われたため、リリースされる機会は極めて少ない、という共通した流れを辿っています。

最も、単に流通量や希少性で言えば、手に入りにくいモルトはこれ以外にもあるわけですが、これにはネットオークションでの入手や、それを飲もうとした時期の関係も多分にあります。
例えば、ウィリアムグラント社3兄弟の一つであるキニンヴィは、2010年代にオフィシャルからリリースがあるまで、上記3大レアモルト以上にその姿を見ることは困難でしたし、流通量的な問題であれば、政府公認密造蒸留所ロッホユーや、現在世界的に数多く立ち上がりつつあるクラフトディスティラリーも同様です。
ただ、これらは稼動している蒸留所であり、既に樽すら存在しないのでは・・・なんてウワサもあるこれら3蒸留所は、今後さらに出会う機会も減っていくのでしょう。飲めるうちに飲んでおきたいものです。

さて、この3蒸留所に共通する点ですが、実はもう一つ。それは"意外と旨い"という点です。
語れるほど種類は飲んでいませんが・・・これまで飲んできたそれらは酒質はニュートラルなタイプ。癖という点ではベンウィヴィスやレディバーンは多少発酵したような、あるいはゴムっぽいような酒質由来の香味が感じられたという記憶があり、特にレディバーンの短熟モノはそれ程でも。。。でしたが、今回のように30年を越える長期熟成では華やかな樽香がついており、うん、普通に旨いよね、というところに落ち着くわけです。
ブレンド向けの原酒、と言われると納得の味わいです。

今回のレディバーンは当時のグランツなどを中心に、各銘柄の流通、そして製造元の発展を支えてその役割を終えたわけですが、当然シングルモルトの長期熟成で飲まれたことは当時なかったわけです。
このボトルは、もし供給過多とならずそのまま生産が続いていたとしたら、その先にあったかもしれない可能性の一つ。歴史を感じつつ、その姿に想いを馳せて楽しみたいですね。