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キャパドニック 22年 2000-2022 Wu Dram Clan 3rd Anniversary Collection 55.2%

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CAPERDONICH
Wu Dram Clan 3rd Anniversary Collection
Aged 22 years
Distilled 2000
Bottled 2022
Cask type Hogshead #29490 
700ml 55.2%

評価:★★★★★★(6)

香り立ちははっきりとした樽香、バニラや乾いた木材、新築家屋のようなアロマ。言い換えればバーボン的なニュアンスが感じられ、それがキャパドニックのソフトなモルティーさと混じり、スワリングしていると濃厚なフルーツ香へと変化する。

口に含むとバナナを思わせるクリーミーな甘さから、スライスアーモンド、焼き小麦菓子、ウッディなニュアンス。柔らかい麦芽風味を思わせるモルティーさを下地に、香り同様にはっきりとした樽由来の要素、エキスが口内に広がる。
余韻にかけては黄色系果実のほのかな酸味とウッディネス。華やかで甘いオーク香が鼻腔に抜け、ドライで長く続く。

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キャパドニックは基本的に線が細く、あるいはぼんやりとしている印象があり、特に2000年代のものはその傾向が強いと感じていました。
そこにホグスヘッド樽での熟成となると、まぁ軽やかな感じで後は華やかなオークフレーバー、ウッディな感じ・・・と予想していたのですが、このボトルは樽の系統が異なるのか、かなりはっきりと樽由来の要素が主張し、リッチな味わいを形成しています。

樽由来の要素を分解して考えると、バーボンの新樽系フレーバーと、オーソドックスなバーボン樽、つまりアメリカンオーク由来の黄色系フルーツ、オーキーな華やかさがそれぞれ混ざったと言える構成です。
濃厚さに繋がっているのは、前者のバーボン系フレーバー、新樽要素の存在。そこまで色が濃く出ているわけではないので、チャーリングしたものではないでしょう。 バーボンバレルをホグスヘッドへと組み替える際に、エキス分を多く残した樽材が使われたか、あるいはちょうどいいサイズの樽材が無かったとかで、樽材の一部が新樽に置き換わった樽なのではないかなと予想します。

こうした樽は頻繁に見られる訳ではありませんが、ボトラーズで内陸系原酒を飲んでいると、たまにこういうフレーバーのあるリリースに当たります。
中には、これほぼバーボンじゃんってレベルのものもありますが。今回はその新樽要素が、フルーティーさを後押しするように混ざり合う。注ぎたてはトップノートでバーボン系のフレーバーを強く拾いましたが、グラスの残り香からは、熟成したコニャックにも通じる甘さ、華やかさを感じる。濃厚な樽感が好みな方には、たまらない1本に仕上がっていると思います。

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なお、WDC3周年記念の3種リリースでは、飲む前はキャパドニックとグレンバーギーが同じような感じなのでは・・・と予想していましたが、飲んでみると全く異なる方向性でした。
カスクチョイスの意図を探るべく、ラベルのセンターに描かれたWDCのセバスチャン氏にフォーカスすると、
「our Man from the Black Forest, in front of the public, always in the front row and creating the buzz. Seb is our food hunter for liquid pleasure - no spot on earth remains undiscovered.」と紹介されているのですが・・・これはどんな意味が込められているんでしょう(笑)。

面識がないので想像でしかありませんが、WDCはスコッチウイスキー以外に、アメリカンウイスキー、ラムやコニャックなども扱われていて、それらかは並々ならぬこだわりが感じられます。
それらにあるWDCのメンバーが求めていると思われる共通した要素が、このキャパドニックにも備わっています。
バーボンのようであり、モルトであり、コニャックのようでもある。WDCの品質第一主義の水準を満たした1杯を楽しんでみてください。

キャパドニック 14年 1977-1992 ケイデンヘッド 60.5%

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CAPERDONICH 
CADENHEAD'S 
AUTHENTIC COLLECITON 
AGEd 14 YEARS 
Distilled 1977 
Bottled 1992 
Cask type Sherry Oak 
700ml 60.5% 

グラス:木村硝子
時期:開封後10年程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6ー )

香り:ハイトーンで強いアタック。ローストしたアーモンドや麦芽のクッキー、かりんとうを思わせる香ばしい甘さがあり、その奥にはリンゴのカラメル煮、エステリーなフルーティーさも潜んでいる。

味:スウィートでリッチな口当たり。経年故に序盤はマイルドだが、徐々にハイプルーフらしくヒリつくような刺激を伴う。ボディは骨格がしっかりとしており、レーズンやオレンジを思わせるドライフルーツの甘み、微かに黒糖かりんとう。口内で膨らむように広がる。
余韻はスパイシーでシェリー樽由来のウッディな甘さに加え、焙煎麦芽を思わせるほろ苦い香ばしさが長く残る。

この時代のケイデンヘッドリリースらしく、開封直後はパワフルでバッチバチ。樽感は淡いがシェリー系で、硫黄要素が樽由来の甘みの中に目立つ、中々扱いに困るボトル。ただ、時間経過で随分こなれて美味しく頂けるまでに変化した。時代的に酒質に厚みがあることもあって、少量加水すると樽由来の甘み、フルーティーさが香味とも開き、高度数故の刺激も収まることで全体のバランスが極めて良くなる。


ケイデンヘッドからリリースされていた、オーセンティックコレクションシリーズ。通称グリーンケイデン。
黒ダンピーボトルの後継として、主に1990年代にリリースされていたもので、蒸留時期としては1970~80年代、熟成年数10~20年程度の、比較的短熟~中熟クラスのカスクストレングスが多いという特徴があります。

また、蒸留時期がシェリー樽からバーボン樽にシフトする狭間の期間にあったためか、熟成に使われている樽は一部長熟モノを除きリフィルシェリータイプ(中にはサードフィルっぽいものも)を主とするのも特徴の一つ。よってシェリー系の香味がメインにあるわけではなく、現在のようなアメリカンオークの華やかでオーキーな香味というわけでもない、樽香のプレーンなリリースが多くありました。

これらの特徴から、同シリーズは開封直後はとにかく高度数と熟成年数の若さからくるバチバチとした刺激が強かったのですが・・・それが逆に、樽出しとは、酒質由来の香味とはこういうものだと、あるいはボトラーズリリースとはこういうものだと。総合的な完成度として熟成のピークを見極めたというより、多少の粗さは目をつぶりつつ個性を楽しめる時期に入ったからリリースしたという、オフィシャルとは評価軸の異なるリリースが、グリーンケイデンの魅力だったとも感じています。
この辺は、シェリー系でも濃厚なタイプが多かったGM、樽だけでなく加水にも抵抗はなかったシグナトリーらとは異なるベクトルだったと言えます。

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(我が家のグリーンケイデンたち。。。7年前時点。当時は60年代の長熟が注目の主流で、ちょっと外れた時期のグリーンケイデンは、そこまで高騰していなかった。行きつけのBARにモノが多くあったことや、このデザインが好きでかなり飲んだボトルである。)

前置きが長くなりましたが、こうした特徴に対して、このキャパドニックがどうだったかと言うと、だいたいは上記で述べたスタイルに合致して、その他ボトラーズリリースに見られる熟成したスペイサイドモルトのフルーティーさとは違い、モルティーな厚みが楽しめるタイプ。経年からアルコールが抜けてスカスカというわけではなく、55%くらいは残っているように感じます。
また、開封直後はシェリー感にネガティブな部分も多少あったわけですが、これがかなり時間をかけて抜けた結果、ドライフルーツ系の香味の要素の中に、かりんとうを思わせる香ばしさといったフレーバーに繋がっています。

先日キルホーマン・サロンドシマジ向けのレビューでも触れましたが、硫黄は適度に抜けてくれれば、後はそれが香味の下支えになって全体の厚みにも繋がってくる。このボトルはとにかく時間がありましたが(汗)、瓶熟の可能性を含めてしっかりと楽しませてもらいました。

キャパドニック 41年 1969-2011 ダンカンテイラー 40.3%

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CAPERDONICH
DUNCAN TAYLOR
Rarest of the Rare
Distilled 1969
Bottled 2011
700ml 40.3%

グラス:木村硝子テイスティング グラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:不明
評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:華やかでオーキーな香り立ち。りんごのコンポートやピーチ、微かに青っぽさ、ハーブ。バニラの甘みと徐々に広がる香ばしいニュアンスがクレープを思わせる。まるで洋菓子のようなアロマが充実しているだけでなく、加水するとより華やかで、微かにオーク由来のナッティーさ、熟したバナナのような甘い香りが開いてくる。

味:ドライで華やかな口当たり、林檎系の果実風味、奥には乾いた牧草のような植物感。じわじわとスパイシーな刺激が舌を刺激する。余韻はウッディーでドライ、喉の奥からスパイシーな刺激が戻ってきて長く残る。
加水すると刺激が収まりウッディーなニュアンスとのバランスも改善するが、少し水っぽくもなる。 

華やかでエッジの鋭い、いかにも度数落ち長期熟成原酒というライトな香味だが、香りの奥行きとボディにコクがあり、繊細だが飲みごたえがあるという相反する要素がこのボトルの完成度を一段高めている。ストレートで楽しみたい。


グレングラントの第二蒸留所であり、シーバスリーガルの構成原酒でもあったキャパドニック。
同蒸留所は1898年に創業後、紆余曲折の末半世紀にわたる操業停止を経て1965年に再稼働、1967年には拡張工事が行われたとのことで、今回の原酒は拡張後に蒸留されたものに。。。
などと歴史的な経緯を説明しても味わいにはなんら関係づけられないのですが、キャパドニックはその後1977年にシーバスリーガルの傘下へ入り、2002年に操業休止、2010年には蒸留棟も取り壊されてしまいました。

(というキャパドニック蒸留所の歴史の概要が、ボトルの裏にひっそりと書かれています。)

ダンカンテイラーのレアレストオブザレアは、そうした閉鎖蒸留所の原酒を集めてボトリングしていた、今は亡きブランド。シングルカスクでのリリース以外に、閉鎖蒸留所の原酒だけで作ったブレンデッドなどもリリースされていました。
なんというか、いかにも世界的なウイスキーブームが起こる前、2010年頃らしいリリースでもあります。

今回のボトルは、そんなダンカンテイラーの代名詞と言えるフルーティーフレーバーが全開なわけですが、それがキャパドニックらしい部分を後押ししており、ボトルとしての完成度は比較的高いと思います。
同銘柄はブレンド向けのモルトであり、オフィシャルボトルはほとんどリリースされていないので、ハウススタイルと言われると中々難しいものの、ボトラーズリリースから感じる傾向としてはスペイサイドらしい華やかさと、そこにフルーティーさがしっかりと発散してくる。個性という点では中庸で、繊細でありながらスパイシーで飲みごたえがある。ブレンドには使いやすかったのではないかと感じられます。

そんな優良原酒がなぜ閉鎖したのかと言えば、冬の時代の煽りか、設備老朽化か、あるいはシーバス社が保有する同系統の原酒の重複でしょうか。
それこそシーバスリーガル25年などの長熟ブレンドを飲むと、ストラスアイラ、グレンキース、キャパドニック。。。などの銘柄に共通するモルティーな華やかさがはっきりとあり、原酒の存在を感じることが出来ます。

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