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カテゴリ:キルケラン(グレンガイル)

キルケラン テイスティングルーム NA 59.7% 蒸留所限定 ブラインド

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KILKERRAN
The TASTING ROOM
Glengayle Distillery
(No Aged)
Bottled 2013/4/12
700ml 59.7%

グラス:木村硝子テイスティング
量:30ml以上
場所:自宅(TWD@Iさん出題)
時期:不明

【ブラインドテイスティング(TWDルール)】
地域:キャンベルタウン
年数:20年程度
度数:55%程度
樽:リフィルバーボンバレル
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:つんとしてドライな香り立ち。グラス形状によってはかなり強く感じるスパイシーさ、奥にはラムっぽい植物感にバニラの甘み、ポン菓子やおこし、ミントを思わせる清涼な爽やかさ。加水すると乾燥した麦芽のニュアンスに土っぽいアロマも感じられる。

味:ピリピリとスパイシーでじわりとコクの広がる口当たり。干し藁、乾いた麦芽、香ばしくビターで中間から後半に木材の渋みと淡くオーキーなフルーティーさ。微かに土っぽいピートフレーバー、徐々に蜂蜜の甘さもあり、加水するとさらに強くなる。
余韻はドライでスパイシー、ほろ苦く干し藁系の香ばしさ。存在感のあるウッディネス。ほのかにスモーキーで長い余韻。


このボトルはグレンガイル蒸留所の現地限定ボトル、所謂ハンドフィル的な位置付けにあるもの。
売り場には写真のように縦置きされたクォーターサイズほどの樽があり、そこから直接ボトリングして、購入する形になります。
その中身は、Iさんから聞いた話では最長で10年程度の原酒をベースに、樽の中身が少なくなってきたら新しい原酒を継ぎ足しながら作っているのだとか。
日本でいうところの鰻のタレ、シェリーでいうところのソレラ方式ですね。
キルケランハンドフィル
(グレンガイル蒸留所の限定ボトル購入風景 Photo by T Ishihara)

そうした背景からか、テイスティングでは度数なりに強いアタックは感じられたものの、香味の複雑さや、なにより後半から余韻にかけて感じられる樽材由来と思しき苦味、渋みはそこそこ強く。また継ぎ足しが頻繁に行われているためか、”こなれた感じ”も出ていてバランスも良く、リフィルで樽感が出にくい小さい樽で15年、ないし20年くらい熟成させた原酒のように感じられました。
ただ、地域に関しては明らかにキャンベルタウンのスプリングバンク系だなと。共通の麦感やフレーバーがあったものの、塩っぽさなどその他のフレーバーに違和感があり、今回のテイスティングでは地域のみにとどめています。TWDは蒸留所当てじゃないですからね。

テイスティングのお勧めは少量加水。強めのアタック、渋みなどが軽減され、樽由来の甘み、麦芽の風味が強く感じられます。今回は残量等の関係からハイボールにはしませんでしたが、こういうタイプならロックも悪くないんじゃないかなと思います。

写真をお願いしていた関係で、投稿順序は逆になりましたが、先日投稿したスプリングバンク20年は、当日このキルケラン・テイスティングルームの後でブラインドテイスティングしたもの。その際、麦芽の風味にほとんど同じ特徴があって「また同じ蒸留所か?」と感じてしまいました。
この両蒸留所は原料こそスプリングバンクでフロアモルティングした麦芽を使用していますが、モルトミル、マッシュタン、ポットスチルはすべて別物です。
そこにあってこうして同じ傾向が出るというのは、やはり麦芽が原酒に与える影響は無視できないのだなと感じる、良い経験が出来たテイスティングになりました。
貴重なボトルをありがとうございます!

キルケラン 12年 46% 2016年リリース グレンガイル オフィシャルボトル

カテゴリ:
KILKERRAN
Glengayle Distillery
Aged 12 Years
(Distilled 2004)
(Bottled 2016)
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1週間以内
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:ほろ苦く甘い香り立ち。乾燥した麦芽の強いアロマ。バタークッキー、続いて若い白葡萄のような酸味、ハッカを思わせる爽やかさ、微かに鉄分や消しゴムのようなニュアンスもある。加水すると麦芽系のアロマが強くなると共に、バランスが良くなる。

味:とろりとした口当たり、強い麦芽風味と土っぽさ、蜂蜜レモンキャンディー、ドライアプリコットを思わせる酸味、徐々にピーティーでスモーキーさが強くなり、煙は鼻にも抜けてくる。
余韻はほろ苦く序盤同様に乾燥させた麦芽の風味、染み込むようなピートフレーバー。加水するとフレーバーの一体感が出るが、余韻にかけてややウッディーな印象も。


2016年8月12日、ミッチェルズ・グレンガイル蒸留所から12年熟成のシングルモルト、キルケラン12年が発売されました。
同蒸留所は2004年にスプリングバンク資本の元で創業した、キャンベルタウン第3の蒸留所。キャンベルタウンに新しい蒸留所が出来るのは125年ぶりというだけではなく、同蒸留所は1925年まで「グレンガイル蒸留所」として稼動していたオリジナルの跡地に建設された、壮大な"復刻版"です。

操業後は1年に1ヶ月だけスプリングバンクのスタッフによって稼動されていたようですが、2013年にスプリングバンク資本からは独立したという話、ということは1年中稼動する形になったのでしょうか。
ただ独立といっても麦芽はスプリングバンクでフロアモルティングされたモノが使用されており、仕込み水の水源も同じ、一応姉妹蒸留所的な関係の深さは変わっていないようです。 

同蒸留所が2004年に仕込んだ原酒を使い、1年毎にリリースしていたのがWork in Progress(WIP)。成長中や準備期間などを意味するシリーズで、一般向けには2009年から2015年まで1年ずつ熟成を重ねながらリリースされてきました。
そして2016年、ついにWIP表記の無い12年熟成のシングルモルトがリリース。
5年でも8年でもなく、兄弟銘柄のスプリングバンクのスタンダードである10年でも無く、12年を一つの到達点とした理由は不明ながら、同蒸留所にとっては記念すべきボトルであると言えます。
 
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(グレンガイル蒸留所にあるラベルデザイン元となった小窓。Photo by K67)

その記念すべきリリースの樽構成は、バーボン樽にリフィルなどを含むあまり濃くないシェリー樽などのバッティングを思わせる、オーソドックスなタイプ。調べてみるとバーボン樽70%、シェリー樽30%の構成のようです。
口開けはそこまで主張が強くなく、「ああ、大人になったねえ」などと話していたのですが、1日置いて飲んでみると全体的に厚みが増して、主張もはっきりしてきました。

樽感が過度に主張するタイプではないため、らしい麦芽風味にほろ苦いピートフレーバー、そこに樽由来と思われる甘酸っぱさもあり、同蒸留所の成長したキャラクターが掴みやすい構成であると感じます。 
また、多少荒さの残る部分は加水で上手く整地され、個性を楽しみつつ杯が進む、モルトウイスキーとして旨いオフィシャルボトルに仕上がっています。 少なくとも、お兄さんであるスプリングバンク10年は越えましたね。
ストレート以外の飲み方では少量加水すると中間にコクのある甘みが生まれ、ハイボールは酸味が強くなるもののピーティーさが引き立つ。色々な飲み方をしても良さそうです。


本ボトルは先の投稿でも書いたように、ウイスキー仲間のIさんが「布教活動」と称して海外で先行リリースされていたボトルを購入してきてくださいました。いつもありがとうございます!
日本国内では現時点で販売されていませんが、ウィスク・イーが正規で入っていますので、そう遠くない時期に国内でも流通するのでは無いかと思われます。
その時はBAR等で、過去のWIPと比較テイスティングをしても面白そうです。
また、海外での流通価格を見ると40ドル弱ということで、現在のレートどころか1ドル120円でも日本円換算5000円しないということに。。。
まあ輸送コストや人件費やら色々あるので、そう単純な話じゃないと思いますが、もし海外流通価格で買えるなら凄いコスパ、家飲み用に3本は買うと思います。(それくらいオフィシャルとして良い出来栄えです。)

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