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キルホーマン 100%アイラ 9thリリース 50%

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KILCHOMAN 
100% ISLAY 
THE 9th EDTION 
Release in 2019 
Cask type Bourbon 
700ml 50%

グラス:国際規格テイスティンググラス
場所:ジェイズバー
時期:開封後1週間程度
暫定評価:★★★★★★★(6ー7)(!)

香り:オーキーなフルーティーさと塩素やヨードの混じるしっかりとスモーキーなアロマ。バニラ、リンゴや洋梨を加熱調理したようなエステリーな果実感、熟したパイナップル。そこにタイムを思わせるハーブ、ピート香には土っぽさと焦げたような要素もある。

味:パインやレモンの黄色いシロップのようなとろりとしたオーク由来の甘味。合わせて燻した麦芽のスモーキーさが、ほろ苦いピートフレーバーと共に口の中に開く。ボディはそこまで厚くなく、塩気も伴うが角が取れて柔らかい。
余韻はピーティーでややドライ、若干の根菜っぽさや植物感。近年寄りのトロピカルフレーバーも続いて開き長く続く。

アメリカンオーク由来の華やかさとフルーティーさにアイラピートの組み合わせ、そして麦芽由来のニュアンス。若さは目立たずむしろ熟成感があり、バッティング加水で適度に角がとれつつ複雑さもある。個人的にキルホーマンに求める味わいはこれ。ややフルーティー要素がが強いというか、それに見合うようもう少し酒質が厚いとなお良いが、充分すぎる完成度である。

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キルホーマンのローカルバーレイ。
2007年蒸留と2009年蒸留の原酒をバーボン樽で熟成させ、計43樽バッティングしたもので12000本の限定品。
前作8thリリースは、バッティングされたシェリー樽原酒がボディの厚さに繋がっているものの、同時に悪い部分にも繋がっていて、大器の片鱗は感じられるが惜しい作り。次はバーボン樽100%で作ってほしいなと思っていたところに、求めていた構成のキルホーマンがリリースがされました。

創業初期のキルホーマンの酒質は、そこまで厚みがあるものではない一方で、雑味も少ないことから10年熟成でそこそこ仕上がる早熟な傾向があり。また、バーボン樽との相性が良く、10年程度の熟成を経たものからは、好ましいフルーティーさを感じられるリリースが複数確認されています。
今回のボトルは、まさにその熟成期間である9~12年熟成の原酒バッティング。若さはあまり感じず、むしろ樽由来のフルーティーさがしっかりと備わっていることから、加水調整と合わさって熟成したモルトの風格すら感じられるのです。

それはさがなら、バッティングによって作られたオールドスタイルのラフロイグのフルーティーさ。
先日レビューしたシングルカスクのキルホーマンでは、仕上がりの荒さが経年によって穏やかになることを期待しているとを書きましたが、そのイメージがまさにこれ。"作られた"と表現した通り些か作為的ではありますが、確実に黄色系統のフルーティーさが備わっているアイラモルトが1万円以内で買えるのは、なんと精神的にもお財布にも優しいことでしょう。

少なくとも、過去リリースされてきたキルホーマンのなかでも、トップクラスの味わいであることは間違いなく。今後は同様の原酒を使ったスタンダードの10年クラスがリリースされていくでしょうし、最近良くなったと評価のある現行品マキヤーベイらに使われている、若い原酒の成長も控えているわけですから。。。キルホーマンの飛躍と、可能性を感じますね。今後益々注目すべき蒸留所です。
そんなわけでその場で1本購入。評価については家でじっくり飲んだあと改めてまとめたいと思いますが、ファーストインプレッションは★7。ウイスキー愛好家は是非飲んで、キルホーマンの進化を感じてほしいですね。

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後日談:先週末、飲んだその場で注文したボトルを受け取り、着・即・開!!(言いたいだけ)
グラスの違いからか、ちょっとタールというか焦げたような要素は強めに感じられたものの、全体的にはフルーティーでスモーキーにまとまっていて今後の開き具合にも期待が持てる。何より口に含むほどに美味しさが持続する、原料由来の旨味のあるウイスキーの特徴を備えている点は、やはり好感が持てる作りです。
あと、これからのシーズンはお湯割りがなかなか美味ですぞ。(11/19~追記)

キルホーマン 11年 2007-2019 キャンベルタウンロッホ20周年記念 55.7%

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KILCHOMAN 

For BAR CAMPBELLTOWN LOCH 20th ANNIVERSARY 
Aged 11 years old 
Distilled 2007
Bottled 2019 
Cask type Bourbon #380/2017 
700ml 55.7% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:BAR Eclipse 
暫定評価:★★★★★★(6)
香り:ピーティーで焦げた木材、炒めたカシューナッツのような香ばしさ。シトラスを含むバニラとオーキーな華やかさ。しっかりヨードやクレゾールの薬品香も感じられる。香味のまとまりに若干の粗さはあるが、レベルの高いアイラモルト。

味:スムーズでピーティー、香り同様に柑橘を思わせる要素から若干焦げた木材、タールのようなニュアンス。そこからオークの甘味とフルーティーさ。ピートフレーバーには根菜っぽさも混じる。
余韻はピーティーでほろ苦くスモーキー、ほのかに柑橘やパイナップルを思わせる果実味を伴って長く続く。

ピーティーなアイラ要素に加え、フルーティーさもある好ましい仕上がりのキルホーマン。やや荒削りな感じもあるが、加水調整が樽由来の要素と酒質由来の要素を活かしつつバランス良く仕上がっている。加水するとボディが薄くなりやすく、しても少量まで。また、荒削りな部分については経年変化でこなれていくことも期待できるため、将来性のあるボトルでもある。

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有楽町にあるウイスキー愛好家の聖地、もはやそれ以上の前置きは不要とも言える、BAR キャンベルタウンロッホの20周年記念ボトルの1本。
通常の周年ではなく、10年刻みの大きな節目とあって多くの記念ボトルがリリースされていますが、ここでキルホーマンを選んでくるというのは、近年のキルホーマンの成長を見れば逆に納得させられてしまうチョイスです。

キルホーマンの創業は2005年で、先に触れたように近年めきめきと酒質を向上させてきた、今注目の蒸留所のひとつです。
一例として最近のロットのマキヤーベイや、キルホーマン・100%アイラなどのバーボン樽を主体としたリリースが、若いアイラモルトそのものの完成度だけでなく、将来性も十分感じさせてくれる仕上がり。下積みを重ねてきた若手選手が、いよいよブレイクの時を迎えようとしている、といった印象を受けています。

一方、今回のリリースのように、創業から数年間以内の原酒がどうかというと、一時はあまり評価されていなかったように思いますが、これも悪くないのです。
10年程度熟成を経たものを既存のモルトに例えるなら、ラフロイグとラガヴーリンの二つのモルトの特徴を持っているように感じられ、後は固体差ですが、この樽はバーボン樽熟成のラフ要素強めといった感じ。
今は樽感と酒質由来の部分が多少乖離しているというか、少し荒削りで距離があるような感じもしますが、そこが経年でまとまる余地である伸び代。将来性は充分にあると感じます。

他の類似スペックのキルホーマンと比べ、特別クオリティが抜きん出ているという訳ではないのですが、こういう系統を選んでくるのはやはりマスター・中村さんの経験値故でしょうか。
中村さんは、オールドだけでなく、新しい可能性についても現地を巡って自分の目と舌で確認しており、それをラインナップやこうしたリリースで形にしていることが、同店が愛好家を惹き付ける大きな要素のひとつ。信頼性が段違いなんですよね。


日本の洋酒文化を支え、そしてリードする存在のBARキャンベルタウンロッホ、その更なる発展を祈念して記事の結びとします。

キルホーマン 100%アイラ 8thリリース 50%

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KILCHOMAN 
100% ISLAY 
THE 8th EDITION 
Bottled 2018 
Bottled in batch 12000 
Cask type Bourbon Barrel & Sherry Butt 
700ml 50% 

グラス:グレンケアン 
時期:不明 
場所:Jam Lounge 
評価:★★★★★★(6)

香り:スモーキーでクレゾールや塩素系の薬品香、若干溶剤っぽいニュアンス。乾いた麦芽、バニラやオーク香、根菜の漬物に加え柑橘っぽさを感じさせる酸。

味:麦系の甘さから塩気とコクのある口当たり。焦げた木材を思わせるしっかりとしたピーティーさと、香り同様に若干の根菜、奥にはバーボンカスクのフルーティーさ。余韻にかけてゴムっぽいシェリー系のニュアンスがあり、やや荒さのある舌当たりとピーティーな余韻が長く続く。

系統としては近年のラフロイグ系のピーティーさと、ラガヴーリンを合わせたような味わい。ベースとなる麦芽風味に厚みがあり、大器となる要素を感じさせるが、現時点では造りに粗さがあり、一部の原酒の若さに加え、あまり良くないシェリー樽由来のニュアンスが邪魔をしている。出来ればバーボン樽オンリーでつくってほしい。しかし意外にハイボールが合う。

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1年に一度リリースされている、キルホーマンのローカルバーレイ。キルホーマンがアイラ島に所有する農園で育った麦芽を、フロアモルティングで仕込んだ、20ppmのピーテッドモルト。
毎年構成が変わっていて、2018年のリリースは2008年と2012年蒸留の原酒、計46樽のバッティング。樽の内訳はバーボンバレルが39樽、シェリーバットが7樽とのことです。

このボトルは良いところとそうでないところがあり、自分のなかで時期(あるいは飲んだシーン)によって評価が別れています。
最初に飲んだ時は開封直後でイベント会場。いくつかのフレーバーがとっちらかっているのと、何よりシェリー樽の要素が邪魔していると感じ。。。
次に飲んだ時は写真の頃でBAR飲み。多少粗さはあるがそれらがまとまると共に、麦由来の旨味がしっかりあって大器の片鱗を感じ。。。
同じボトルを自宅で最後まで飲んだ結果、やっぱり粗さがあるのと、何よりシェリー樽の要素が望ましくないフレーバーに繋がっていると感じた。。。

結論から言うと、ベースにある原酒には大きな可能性を感じるものの、全体の繋ぎになるはずだったシェリー樽原酒が、ネガティブな要素も付与してしまっている点が、今回のボトルにおける最大のネックだと感じます。
この他、原酒構成についても10年程度熟成の原酒よりも2012年蒸留の6年程度のものが多いようにも感じる粗さがあり、これが逆に口当たりで20ppmにしてはフレッシュなピーティーさと、塩素などの要素の強さに繋がっているようにも感じます。

キルホーマンの100%アイラは7thリリース(7年熟成・バーボン樽の1stと2ndフィル)のほうが厚みのある麦芽風味に、樽由来のフルーティーさがうまく馴染んで好みの味わい。これはまさに将来性を感じる1本でしたが、8thもネガな要素を除けばそれに共通するニュアンスは当然あり、今後リリースされるであろう9thリリースあるいはそれ以降にも期待したいと思います。

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今日のオマケ:ストーム・ワインズ・リッジ・ピノ・ノワール 2017

先日ウイスキー仲間と食事会をした際に飲んだ南アフリカのピノ。ストーム・ワインズは2011年に創業したばかりの新しい作り手のワインですが、すでに”南アフリカのベンチマーク”として、注目を集めているワイナリーなのだとか。
写真の通りきれいな色合いのピノで、新世界の果実味しっかりタイプかと思いきや、ボディはそう厚くなく透明感があり、ブルゴーニュ寄りの作りで驚きました。

注ぎたては胡麻っぽさ、軽いスパイス、葡萄の皮。透明感はあるがあまり果実香が感じられない。それが徐々にらしいニュアンスが開いてきて、チェリーやクランベリー、赤系のベリー感が柔らかい酸をまとって開く。甘味はほどほど、余韻にかけて軽いウッディネスと若い年数にしてはこなれたタンニンを感じるフィニッシュ。
「ピノ・ノワールにとってベストな場所で、最も美しいピノ・ノワールを作る」というのがストームワインズの考えで、畑はかなり涼しいところにあるとの話ですが、ブルゴーニュに似た気候で作っているのかなと感じるような仕上がりのワインです。

肉と油な食事との相性もバッチリ、赤身肉が進んで仕方ない。この日の食事はひたすらこの肉だけというコースで、デザート代わりにロックで美味しいバーボンで締める。ストレスを吹き飛ばし、日々に潤いを与える食事はこれでいいのだと思える満足感でした。

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キルホーマン 10年 2008-2018 日本市場向け 56.5% #266/2008

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KILCHOMAN 
THE FIRST EVER 10 YEARS OLD SINGLE CASK FOR JAPAN
Aged 10 years 
Distilled 2008 
Bottled 2018 
Cask type Bourbon #266/2008 
700ml 56.5%

グラス:シュピゲラウ
時期:不明
場所:BAR ハリーズ高岡
評価:★★★★★★(6)

香り:角のとれたピーティーなスモーキーさ、塩素を纏ったほのかなヨード香、薄めた蜂蜜と柑橘、合わせて土っぽいアロマと干し草、若干武骨な要素を伴うウッディネス。

味:香り同様に角のとれたピーティーさ、ほろ苦い口当たりに蜂蜜レモン、微かに根菜のような土っぽさ、後半にかけてピートフレーバーが盛り上がるよう。余韻はスモーキーで程よいウッディさ、徐々に乾いた麦芽風味を感じさせつつ長く続く。

適度な熟成感、ウッディネス、そしてアイラらしいピーティーさの整った、若いなりにバランスのとれた構成。近年のアイラ10年熟成と考えれば充分合格点と言えるだけでなく、大器の片鱗を感じさせる。


昨年リリースされた、キルホーマンの日本向けボトルとして初めての10年熟成シングルカスク。キルホーマン全体としては、2018年時点で12年熟成や、話題になったシェリー樽のエクスチェンジ向け(これも10年熟成)など10年熟成以上のものが複数リリースされていましたので、若干後追い感はあります。

ただ、キルホーマンのバーボン樽熟成で、特に7~8年以上のものは適度な厚みの麦系のフレーバーに、オーキーなフルーティーさが合わさって熟成したラフロイグ等に通じる要素を備えた仕上がりとなっているものが多く、短熟だからと軽視できない仕上がり。
2000年代以降のアイラモルトは、紙っぽさや溶剤系のような要素を伴うなど、一時期に比べて仕上がりに陰りが見られるものが少なくありませんが、キルホーマンはここ最近のアイラモルトのなかでは最も将来性が感じられるわけで、その日本向けというだけで期待してしまいます。

そういう経緯から、今回のテイスティングも上記のようなフルーティーさが強化されたような仕上がりかと思いきや、思っていたのとフルーティーさの系統がちょっと違う。総合的に良くできているのは間違いなく、これはこれでアリなのですが、類似のキャラクターだとカリラやラガヴーリンのような・・・ちょっと系統が違う仕上がりであるように感じられました。

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(同日飲み比べた、キルホーマン6年2011-2019 メモリーズオブスコットランド(右)。こちらのほうがフルーティーさに柑橘プラス近年トロピカル系統が分かりやすい。総合的な完成度としては熟成感がある日本向け10年のほうが好みだが、分かりやすさと自分の求めるキルホーマンのキャラクターはメモリー~のほう。)

キルホーマンは100%アイラシリーズとして、蒸留所所有の農場(ロックサイドファーム)で生産された麦芽をフロアモルティングで仕込むなど、モルトスターから仕入れた通常の原料以外も使って原酒を蒸留しています。樽の質以外でそうした原酒部分の違いも、熟成後のキャラクターに影響しているのではないかと推察。
実際、これまでオフィシャルでリリースされている100%アイラシリーズは、ボディがあるというかフレーバーに厚みが感じられるように思います。

今後、これらの原酒がどのように育っていくか。3年熟成のリリースが2009年に話題になったあとは、ハネムーン期間の終わりというか、一時期話題になりづらかったキルホーマンですが、その間酒質は確実に良くなってきて、いよいよ飛躍の時を迎えたというのが2018年から2019年にかけて。
初期の頃のものは20年以上持つ酒質ではないと思いますが、15年熟成くらいで他のアイラを圧倒するようなリリースを楽しみにしています。(できればそれも、日本市場向けがほしいですね。)

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今日のオマケ:ローソンの1000円ワインシリーズから、ブルガリアのシラーズ&カベルネ、ロゴダジ2015。アテは夏休みの勢いで作ったローストビーフ。
このワイン、色合いのとおり濃厚ではあるんですが、ボディがちょっと軽いというか、そこまでしつこくないので食中酒に使いやすい印象。柔らかい酸味としっかりめの甘味、微かにベリーとスパイス。これはデイリーに使えるコスパ良好な一本でした。

キルホーマン マキヤーベイ 46% 2018年ロット

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KILCHOMAN
MACHIR BAY
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間以内
場所:自宅
評価:★★★★★ (5-6)

香り:フレッシュな香り立ち。レモンやオレンジピールなどの柑橘、塩素と薬品臭、焦げたようなピート香。少し根菜のような土っぽさの混じる植物感も伴う。

味:若干水っぽさのある口当たりから、蜂蜜レモン、土っぽいピート、乾いた麦芽風味。飲んでいる最中から鼻腔に抜けていくフレッシュなピート香。余韻はほろ苦くスモーキー、焦げたようなピートフレーバーが長く続く。

若いウイスキーらしくピート要素のエッジが立っており、今この瞬間燻したような新鮮さ。合わせてオーク由来の柑橘感がアクセントになって、加水と合わせて上手くまとまっている。まさにピートを味わう酒。ただ酒質は素直ながら少し軽いのか、加水やハイボールではボディが負けてぼやけてしまう。冷凍してハイボールにするとGOOD。
  

2005年に創業したキルホーマン蒸留所のエントリーグレード。昔飲んだ時は若さが結構強かった気がするのですが、今飲むとむしろ良い面も感じます。
パッケージにあるようにバーボン樽を主体に、3~5年熟成の原酒をバッティングして加水調整した若いウイスキーですが、ニューポッティーな雑味的要素はほぼなく、酒質の素直さとピートのフレッシュさがメイン。オーク由来の柑橘系の香味がアクセントになっている、若いなりの良さが感じられる構成です。

ここ最近、キルホーマンのオフィシャルスタンダードを飲む機会が結構ありました。これまでは"まだまだ発展途上"という印象が拭えなかったのですが、リリースされたばかりのバーボンバレル熟成の10年はフルーティーさのはっきり出た美味しいアイラモルトですし、今年の初めに話題になったシェリーカスクも同様。
このエントリーグレードのマキヤーベイにしても、テイスティングの通りフレッシュなピートと柑橘感で、若いなりに良さを感じる味わい。いよいよ蒸留所としてキャラクターが確立してきたなと感じるのです。

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(キルホーマン蒸留所所有の麦畑。アイラ島にある自社農場で生産した麦芽を原料の一部としており、アイラ島産のピートで50ppmのヘビーピート仕様に仕上げられる。 Photo by K67)

であれば、そろそろちゃんと飲んでおかねばならないと、家飲み用のヤングアイラ枠に採用してみました。いつ何時キルホーマンをブラインドでぶっこんで来る輩が出てくるか判らないですしね(笑)。
いくつか飲み方を試してみて思うのは、フレッシュなピーティーさを除けば素直な酒質である反面、少々ボディが弱いというか軽い点。10年くらいの熟成までなら樽感を受けとめられるだけの余力は残ると思うのですが、15年、20年と育ったときにどうか・・・はちょっと気になるところ。近年流行りの早熟傾向な酒質ってヤツでしょうか。

まあ神のみぞ知る先の話を心配しても仕方ないのと、そもそも短熟でリリースすることをメインにしていくならこれはこれでアリ。むしろこれがキルホーマンのキャラクターとも評価できます。
同価格帯の他のオフィシャルアイラモルトに比べて突き抜けて旨いというワケではありませんが、今の完成度なら後はユーザーの好みで選べる選択肢の一つであることは、蒸留所としての大きな成長だと思うのです。


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