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ホワイトホース 12年 アメリカズカップ 1987 記念ボトル 43% 特級表記

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WHITE HORSE 
AGED 12 YEARS 
RPYC AMERICA'S CUP 1987 
LIMITED EDITION SPECIAL BLEND 
750ml 43% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★★(5ー6)

香り:ザラメやキャラメリゼを思わせるスウィートでドライなアロマ。合わせて干し草を思わせる軽い植物、おこし、淡いスモーキーさを伴う。

味:スムーズな口当たり。鼈甲飴や薄めた蜂蜜のような甘味からドライでスパイシーな刺激。序盤はプレーンなフレーバー構成だが徐々に染み込むようなピートが主張し、ほろ苦いスモーキーフレーバーが長く続く。

近年寄りな構成のブレンド。同じ12年熟成のローガンとは異なる構成で、ボディはやや軽くグレーンの主張と、モルトはクレイゲラヒやグレンエルギンがメインという印象で、ラガヴーリンは隠し味。言わば同時期のスタンダードのホワイトホースをそのまま12年熟成にしたようでもある。

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ヨットレースの世界最高峰と言われる、アメリカズカップの公式ウイスキー。ゴルフなどではこの手のリリースがよく見られますが、ヨットの大会では珍しい・・・というか、調べる限り後にも先にもアメリカズカップでウイスキーがリリースされたのは、この1987年だけのようです。
なぜ1987年のアメリカズカップなのかというと、それはおそらくこの年の大会運営が、オーストラリアのRPYC(ロイヤル・パース・ヨット・クラブ)だったことと、大会そのものの話題性の高さが経緯として考えられます。

当時のイギリスとオーストラリアの関係の強さは言わずもがなですが(1986年までオーストラリアはイギリス国籍であり、完全に独立していなかった)、話題性についてはこの大会の歴史に少し触れる必要があります。
そもそもアメリカズカップはアメリカの大会ではなく、1851年の万国博覧会で開催されたヨットレースで、アメリカのチームが優勝してヴィクトリア女王からカップを下賜されたことがルーツにあり。その後、この優勝カップは優勝したチームが次の大会まで保持するものとして、国際大会に発展してきた歴史があります。

アメリカ号のカップ争奪戦(AMERICA'S CUP)として大会が初めて開催されたのが1870年。以降、この優勝カップは100年以上アメリカチームが保持し続けていましたが、連勝記録がはじめて途切れたのが1983年の第25回大会。ニューヨークヨットクラブをオーストラリアのRPYCが破ったことで、大会史上はじめてアメリカ国外にカップが流出することとなり、1987年第26回大会はアメリカ側にとってのリベンジマッチとして注目を集めていたのです。
この大会はアメリカのチームが勝利し、カップを奪還。絶対王者の敗北から勝利へ、苦難の物語は小説や映画にもなっています。

そんなわけで、本ボトルはヨット競技が好きな人にとってはたまらない1本と言えますが、ウイスキー愛好家視点で注目すべきは12年表記とブレンド構成です。
当時ホワイトホース銘柄から12年熟成のウイスキーはリリースされておらず、使われていたのは上位グレードのローガンのみ。少し後、1987~1988年頃には日本市場向けでラガヴーリンの効いたデラックス12年が発売されますが、デラックス12年がローガン系統だったのに対し、こちらは当時のホワイトホースのベクトルそのままに、スモーキーさを抑え、内陸原酒とグレーンを主としてバランスよく作ってあるように感じます。

ラベル張り替えではなく、特別にブレンドされたものなのでしょう。ホワイトホース社(UD)の本気が感じられるようでもあります。
ただ当時のホワイトホースはアメリカ市場で苦戦していた傾向があり、表記から流通時期を推察するとボトルが日本に流通したのは大会後。。。ということは、在庫になってしまったのかもしれません。
1988年の第27回大会でホワイトホースがリリースされなかった理由は、推して知るべしといったところですね。

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今日のオマケ:ジャクソンエステート・アンダーソンヴァレー ピノ・ノワール 2015

口当たり柔らかく、チェリーやクランベリー、ザクロら赤い果実の熟したようなフレーバーはシロップのような甘味も感じさせる。飲みやすいしらしさもある美味しいカリピノだが、水っぽさというか、やや変化に乏しい。余韻のタンニンも口当たり同様に柔らかく、ほのかにハーブ香を伴うソフトなフィニッシュ。完全に早飲み系で、あまり熟成向けではないのかも。

ケンダルジャクソンの単一畑のリリースで、上位グレードがジャクソンエステート。単一故に骨格のしっかりした味わいかと思いきや、一口目の印象はかなりソフトでちょっと肩透かし気味。その後時間経過で酸も出てバランスが取れてきましたが、全体的に穏やか過ぎるかなぁと。
例によってアメリカンな肉料理と合わせましたが、これはちと肉が勝ってしまったような(汗)

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ホワイトホース 12年 エクストラファイン 1990年代 43%

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WHITE HORSE
EXTRA FINE
Aged 12 years
1990's
750ml 43%

グラス:グレンケアン
場所:Jam lounge
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:カラメルソース、みたらし、紹興酒系の古酒感、焦げたニュアンス。しっかりとスモーキーで奥にはヨードを思わせる島的な個性もある。

味:とろりとした口当たり。まろやかでスモーキー、次第にピリッとした刺激、土っぽいピーティーさとキャラメリゼ、みたらし、微かな酸味、味の濃さに対してボディはやや軽め。
余韻は焦げたようなほろ苦さ、スモーキーでドライ、長く続く。

古酒系のニュアンスがボトル差で好みを分けるかもしれないが、しっかりスモーキーでピーティーな、らしさも感じるブレンデッド。加水すると一気に水っぽくなるので、ストレートか濃いめのハイボールでオススメしたい。


2年ほど前になってしまいますが、記事コメントでこのラベルの頃のホワイトホース・エクストラファインが美味いと伺っていて、今度飲むかと思っていたもの。大変申し訳ないことに、すっかり先延ばしになっていました。
(いや、買えば良いんですがまずはBAR飲みと思っていてすっかり忘れていたというか。。。)

ホワイトホース・エクストラファイン12年は、1980年代に日本市場向けにリリースされていた3タイプのホワイトホース(デラックス12年、エクストラファイン、マイルド)の後継品。3タイプのブレンデッドは、ホワイトホースのキーモルトであるラガヴーリン、グレンエルギン、クライゲラヒをそれぞれメインとし、だいたい1990年代初頭までリリースされていたところ。
日本市場はバブル崩壊後でウイスキー冬の時代に向かう最中。ラインナップに見直しが入ったのか、この3種を一つに統合したホワイトホースの上位グレード的位置付けで整理された経緯があります。

裏ラベルにはそれぞれの原酒のキャラクターが触れられていますが、旧エクストラファインと同じような位置付けと思わせて、最も強く感じられるのはラガヴーリン。
ホワイトホースでラガヴーリンの効いた上位グレードと言えばローガンですが、正直このエクストラファイン12年は80年代後期ごろのローガンと比較してあまり差がないようにも感じます。どういう差別化だったんだろう。。。

何れにせよ特級時代の銘柄ではないので、あまり高騰はしておらずお買い得なブレンデッドだと思います。

ローガン 12年 1980年代流通 43%

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LOGAN
Aged 12 years
Deluxe Scotch Whisky
1980's
1000ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅(持ち寄り会@J氏)
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:カラメルソースやみたらしのようなとろりとした甘いアロマに古酒感。甘みには焦げ感があり、カルメ焼き、キャラメリゼのようでもある。また、ヨードを思わせる若干の薬品香、しっかりとしたスモーキーさも備わっている。

味:香り同様にとろりとした甘みはカラメルソースやみたらし、どっしりとしたピート香も感じられ、リッチなフレーバーが口内に広がる。中間から余韻にかけてはやや単調で少し軽さも感じるが、全体的に濃い味わいが続く。
余韻はモルティーでスモーキー、ほろ苦くビター。

スモーキーで甘口なブレンデッドの代表格といえる銘柄の一つ。キーモルトとなるラガヴーリンらしいピートフレーバーがありつつ、カラメル系の甘さが飲みやすさとバランスにも繋がっている。ストレート以外にハイボールがオススメ。


ホワイトホースの上位グレードとなるローガン。ホワイトホース社が所有する蒸留所の中でも、ラガヴーリンの配合が多いとされるブレンデッドで、テイスティングのとおり飲んで納得のスモーキーな味わいがあります。

オールドブレンデッド市場を見ていると、アイラモルトやタリスカーなどスモーキーな原酒を中核とする銘柄が人気となるケースが多く、特に古いものほど注目を集めるわけですが、下手に高騰して状態もリスキーなホワイトホース・ティンキャップとか手を出すなら、普段飲みは手に入りやすい80年代流通のローガンで良いんじゃない?なんて思ってしまうこともしばしば。もちろん古いホワイトホースの状態の良いヤツとかキングジョージとかメチャウマなんで、そのロマンを追うことは否定しませんが。。。
ジョニーウォーカーのオールドとか好みな方には、オススメしたい銘柄でもありますね。

他方、ウイスキーは時代によって味が変わるものです。ローガンもまた同様で、時代時代によってドライな時期もあれば今回のボトルのように甘みが強い時期もあるように思います。
ローガンは細かいラベルチェンジが多く、海外向けも多く日本市場に入ってきていますので、見分けは基本的にはキャップの形状や色で見ます。
①1950年代、60年代はショートスクリュー。(白ラベルや馬の絵の書かれていない時代)
②1970年代前半はごついスクリューキャップ。(12年表記の有無が分岐)
③1970年代後半は金色のシンプルなスクリューキャップ。
④1980年代初頭からはあずき色のスクリューキャップ。←今回のボトル
⑤1980年代後半鉛シールの貼られたスクリューキャップ
※レアード表記については①の1950年代に一部見られるも、裏ラベルにかかれる程度。その後1960年代には見られないが②以降は平行する形で存在する。

日本のオールド市場で数が多いのは③~⑤です。今回のボトルは④、その前となる③の時代はややドライで甘みが薄めな仕上がり。この辺は好みの問題ですが、ハズレを引きにくい1970年代以降で選ぶなら②か④が甘みとスモーキーさがしっかりあり、ローガンとしてオススメの流通時期だなと感じます。
④は比較的入手しやすいボトルである一方、手に入るなら②ですかね、ボディの厚み、スモーキーさと甘み、今回の④より頭一つ抜けた仕上がりとなっています。もし興味があります方は、合わせてどうぞ!

ホワイトホース ゴールドエディション 1890 免税向け 43%

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WHITE HORSE
GOLD EDITION 1890
(No Aged)
2013's
1000ml 43%

グラス:SK2
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後一ヶ月程度
評価:★★★★★(4-5)

香り:酸味やツンとしたアルコール感を伴う香り立ち。松脂、スパイスのアロマ、微かに焦げたカラメルソース。
香り立ちはあまり強くなく、また注いだ後の寿命も短い。

味:とろりとした口当たり、香り同様の酸味とオールブランシリアルを思わせるほろ苦さ。徐々に焦げた焚き木を思わせるスモーキーさがあるが、余韻にかけては単調気味。安いカラメルソースの甘さが微かなヨードと共に残る。

ややアイラ寄りな構成の若いブレンド。色合いから強い樽感をイメージするが、香味からはそれほど感じられない。強目にカラメル色素が使われているのだろうか。オススメの飲み方はハイボールで、食中酒などで気軽にバランス良く楽しめる。


2013年末、免税向け商品として発売されたホワイトホースの限定品。
"ゴールドエディション"なる派手な名称や、明らかに色濃い見た目と金地のラベル、発売時期は中国の2014年の干支である午年に合わせたという、清々しいまでの爆買い狙いなリリースです。
あちらの方々は金色とか、色の濃いヤツとか、好きですからね。

中身のコンセプトは、1890年のホワイトホース誕生当時の味わいを再現すること。現在のライトなブレンドではなく、モルト原酒の比率を増やし、中でもラガヴーリンを多く使っているそうです。
そう聞いたらオールドのホワイトホースと飲み比べてみたいのが、オールド好きの心情ですが、流石に1890年代のホワイトホースなんて手元はおろか、飲んだこともありません。
純粋にブレンドの構成だけでコメントさせて貰うと・・・熟成感は8〜10年程度で値段なりの若さがあるものの、意外にモルティーであることに加え、ラガヴーリンと思しき個性も要所で感じられるように思います。
通常品のブレンド比率をグレーン6:モルト4とすると、これは5:5くらいでしょうか。


ゴールドエディションは日本市場にも並行品が入ってきており、流通価格は2000円少々。比較的手頃な価格で購入出来ます。
他方、ホワイトホースで2000円だと12年が同価格であり、いっそ12年買えば良いんじゃね?とか身もふたもない事を考えてしまいましたが、ゴールドエディションの強みは免税仕様ゆえの1リッター大容量とモルティーな構成。
ハイボールでうまく香味が伸びて、甘みと酸味のバランスが良く、程よくスモーキー。うーん、こいつはハイボーラーだぜ。
大容量なのでジャブジャブ使えちゃうのも嬉しいですね。

我が家ではビール代わりの食中酒として活用中。BARでもハウスボトル的な扱いで使えてしまう、使い勝手のいいブレンデッドです。
普段ホワイトホースを飲まれてる方が、目先を変える意味で手を伸ばしても良いかもしれません。

ホワイトホース 1960年代流通 43% 特級表記

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WHITE HORSE 
Scotch Whisky 
1960-1970's Japan tax 
43% 760ml 

グラス:木村硝子テイスティング
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:焦がしたカラメルソースのように甘くビターな香り立ち。乾いた植物、醤油飴、ほのかにオレンジピール。スモーキーで微かにヨードも感じる。
少量加水すると古いウェアハウスを思わせる土っぽさ。焦げたカラメルにオールドピートが引き立つ。

味:とろりと濃厚な口当たり、香ばしくほろ苦い麦芽風味といきなり広がるピートフレーバー。べっこう飴とみたらし的な甘みとコク、干し藁。時折スモーキーでほのかなヨードが鼻腔に届く。
余韻はどっしりとしてピート由来の苦味を強く感じ、スモーキーで持続力があり長く続く。


ホワイトホースの通称4頭引きラベル、その最後期のモデル。
ティンキャップ時代(〜1960年代)と、ラベルが大きく変わったファインオールド(1970〜)の間、1960年代後期から1970年頃の、短期間に流通していたと思われるボトルです。
ラベルは、白馬亭から出発したという4頭引きの馬車にPR文が書かれたセラー表記時代の系譜を受け継ぐデザインでありながら、ラベルチェンジ後のスクリューキャップが採用されているのが最大の特徴。中身は60年代流通よろしくラガヴーリン比率の濃いピーティーな味わいで、良い時代のホワイトホース風味が全開です。

これほどハッキリとした個性が感じられるブレンデッドは中々ない。
同じ60年代でも状態がほぼギャンブルであるティンキャップに対し、このスクリューキャップは比較的状態の良いボトルが多く、それでいて流通価格はティンキャップの1/3ほどというお買い得さ。
このボトルも例に漏れず状態は抜群で、今まで開けた同時期白馬より頭一つ抜けたコンディションでした。

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ホワイトホース1970年代のラベル遍歴については以前の投稿でも紹介したものの、ちょうど良い写真がHDDの奥から見つかったので掲載します。
古い順に真ん中→右側→左という流れ。右側と左の違いはの馬ロゴの大きさで、右のボトルにはファインオールド表記とスコッチウイスキー表記の2パターンがあります。時期はスコッチウイスキー表記の方がわずかに古いと思いますが、日本での流通時期は重複していたようにも見受けられます。

ストレート以外の飲み方は、ハイボールが案外すっきり系で、意外と良いのがロック。温度差から開くねっとりとしたモルティーさとピート、良い仕事してます!
オールドブレンデッドの基本の一つとも言えるホワイトホース。機会があればぜひ飲み比べもしてみてください。
旧時代のラガヴーリンの存在感から、近年にかけて増えていく内陸系モルト、バランスよりの構成への変化が、オールドを追う楽しさの一つを感じさせてくれると思います。

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