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2019年09月

グレンキース 23年 1995-2019 富嶽三十六景シリーズ for モルトヤマ 53.4%

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GLEN KEITH 
Abeyhill (Kingsburry) 
Aged 23 years 
Distilled 1995 
Bottled 2019 
Cask type Hogshead 
For Maltyama 
700ml 53.4% 

グラス:シュピゲラウテイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで華やかな香り立ち。乾いたオークと干し草、レモンピール。スパイシーではあるが徐々に林檎やファイバーパイナップル等のドライフルーツを思わせるアロマ、バニラの甘さが開いてくる。

味:リモンチェッロ等の柑橘系のリキュールを薄めたような甘さから、すぐにドライでオーキーな華やかさと乾いた刺激。ナッツや洋梨、奥には麦芽を思わせる要素もあるが、樽感主体であまり目立たない。
余韻は華やかでドライ、微かに黄色系果実の戻り。ややエッジの立ったウッディネスとスパイシーな刺激を伴って長く続く。

ホグスヘッドで熟成した内陸原酒らしい、軽やかで華やかな構成。開封直後はツンとドライな刺激があるが、時間経過でポテンシャルを発揮する。グラスでの変化や類似リリースの傾向から、ボトル所有なら開封後1~2年後くらいで、余韻にかけてフルーティーさがさらに広がってくるような変化が期待できる。時間をかけてデレさせるべきボトル。
加水すると華やかさはぼやけるが、洋梨のピューレや麦芽風味を思わせるまろやかな甘味が感じられる。なお、ハイボールも悪くないがこのボトルじゃなくても感は否めない。


富嶽三十六景シリーズは、ここ数年積極的にプライベートボトルのリリースを行っている、富山のウイスキーショップ「モルトヤマ」のオリジナル。ファーストリリースのブナハーブンから数えて4作品目にあたります。
同店のオリジナルブランドのラインナップでは、富嶽三十六景は中長熟の原酒を選定し、全体を通して一定以上の完成度を目指しているシリーズで、近年のなかで間違いのないところが揃っているという印象です。

今回のグレンキースも、近年系スペイサイドの王道的な構成と言えるもの。ホグスヘッド樽(アメリカンオーク樽)のオーキーなフルーティーさが20年を越える熟成で酒質とほどよく馴染んでおり、ややドライな要素はありますが、それもキースらしさというか、熟成のピークに来ていることを感じさせます。
市場を見ると類似のスペックのボトルが結構リリースされていて、違いは樽がどれだけ効いてるかというところ。元々ボディがそこまで強くない酒質故に、軽やかでシャープな特徴を活かすなら、これくらいの味付けはちょうど良いように感じます。

グレンキースは1999年に操業を休止していましたが、近年のウイスキー需要増を受けて2013年に再稼働して現在に。
いわゆる生産調整というヤツですね。基本的にシーバスリーガルなどのブレンデッド向けの原酒ですが、1990年代に限らずボトラーズリリースが多いのは、冬の時代を中心に当時のブレンドメーカーに原酒が売られていたからと推察します。
なお、再稼働したグレンキースは、マッシュタン、ウォッシュバックなどの主要生産ラインを含む全面的なリニューアルを行っており、スチルの一部を残して全く新しい蒸留所に生まれ変わっています。
蒸留所側は休止前と同じ酒質を再現するよう心がけているとのことですが、近年の他蒸留所の動向を見ると、さらにライトで癖のない感じになりそうな。。。(何年ものが使われてるかわかりませんが、最近リリースされた蒸留所限定品のNASは、だいぶ軽い仕上がりでした。)

そう考えると、現在比較的市場にモノがあるグレンキースの90年代も、あの頃のフルーティーなキース、意外と良かったねと言われる時代が来るのかもしれません。
個人的な感覚ですが、グレンキースの熟成原酒は、過去のもの含めて開封から良さを発揮するのに時間がかかる。最近のリリースだけでなく、今より酒質が強かった1960~70年代でもそんな感じなので、ちょっと時間をかけながら楽しんでいくのがオススメです。
今回のボトルは、余韻にオーキーなフルーティーさがはっきりと開く変化が理想系。余韻部分だけ切り取ると、埋められた種から芽が出て花が咲くような、そんな成長が期待出来ると思います。


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今日のオマケ:リチャードハミルトン センチュリオン シラーズ 2002

週末飲んでたワイン。樹齢100年を越える古木から採れる葡萄を使って作られる、オーストラリアの濃厚シラーズ。毎年ラベルの年数が増えているのが特徴。穏やかながらフルボディなワインで、早飲みから10年以上の熟成にも耐えるという1本。
比較的新しいものは、シラーズらしい熟したようなベリー感とスパイシーさ、ギュッと歯茎を引き締めるようなタンニンが感じられますが、熟成した今回の1本は果実味やタンニンが落ち着いた代わりに黒土のような香りと枯れた木材、スパイスの種類も増えているような印象を受けます。

このワインは初日より2日目、時間をかける方が開きも良い。またスパイシーな肉料理との相性抜群。特にチョリソー、ステーキ等の焼き系はまず間違いない組み合わせなんです。ガッツリ行きたい日におすすめ。

ロングモーン 30年 GM 43%

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LONGMORN 
GORDON & MACPHAIL 
AGED 30 YEARS 
2000's
700ml 43% 

グラス:リーデル
時期:開封後1週間程度
場所:JAM Lounge 定例会
評価:★★★★★★★(7)

香り:角のとれた柔らかい香り立ち。スウィートでリッチ、ダークフルーツ、キャラメルを思わせる甘味と、ほのかに湿ったウッディネス。スワリングしていると奥から林檎のカラメル煮、パイナップル、トロピカルなフルーティーさが開いてくる。

味:ゆるく柔らかい口当たり。香り同様の構成でスウィートな飲み口から、徐々にウッディーでビター。爆発するような盛り上がりはないが、奥から若干エステリーかつトロピカルなフルーティーさも感じられる。
余韻は湿ったようなウッディネスとタンニン、口内に残る甘さを引き締め染み込むように残る。

まさにGM味というモルト。加水の影響に加え、なにかシロップのようなものを添加したのではないかとすら感じる、独特の甘味が香味の中間あたりまでを圧殺しているが、時間を置くと長熟ロングモーンらしいフルーティーさが開いてくる。蒸留時期1970年代と考えると納得の個性。なにより、このゆるさとバランスが、ストレートを自然体で楽しませてくれる。


GMの蒸留所ラベルシリーズ。2000年頃からの10年ちょっとの間にボトラーズまで飲んでいた愛好家にとっては「ロングモーンと言えば」あるいは「GM長熟加水と言えば」と例えられるキャラクターを確立していた、代表的な1本です。
この香味構成のロングモーンが、シングルカスクで数百本単位の限定品ではなく、万単位で大量生産されていたのですから、第2のオフィシャルにして、ハウススタイルであったと言っても過言ではありません。

当時飲み始めだった自分は、旨いけど面白くない、加水と樽で酒質を圧殺している、求めているシェリーはこれじゃない。などと、決して不味いとは言わないものの、正直安パイだと軽視していた部分がありました。
ただ、そこから今までウイスキーを飲み続けて来た上で、改めてGMの加水長熟シリーズを飲んでみると「こういうので良かったんだ」と思えてくる。1万円前後の価格で量産していたGMのすごさと共に、自分が落ち着く形を実感させられています。
きっと、そう感じている愛好家は自分だけではないことでしょう。

さて、今回のボトルや当時のGM長期熟成リリースに感じられる、カラメルを添加したような独特のシェリー感は、蒸留時期的に1980年代中頃あたりの仕込みから大きく数を減らしていきます。(もはや近年では絶滅危惧種。)
単に出荷調整をしているというより、樽そのものが切り替わっているわけですが、このシェリー感を産み出していた樽がなんだったのか、そしてなぜ消えてしまったのかについて、自分の考察は以前”ハーベイ・ブリストルクリーム”のオールドボトルをレビューした際にまとめた通りです。

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(イギリスでトップブランドだった、ハーベイ・ブリストル・クリーム1960~70年代流通。ブレンドメーカーのような立ち位置で、スペインの様々なボデガから原酒を買い付け、イギリスのブリストル及びその近郊で、保管とブレンドを1989年の移転まで行っていた。色を見れば一目瞭然だが、低価格帯の量産品とは思えないほど、熟成感のある良質なシェリーだ。詳細なレビューはこちら

現在のGMの各種リリースからは、今回のボトルに感じる香味はすっかり消え、一部ハイエンドの40~50年熟成のレンジに残るのみです。通常レンジのものは蒸留所買い付けか、当時のシェリー樽のリフィルを使っているのでしょう。
そのシェリー感、なぜ現在のシーズニングで再現出来ないのかというのが度々話題になりますが、
それは
・ベースに使われている樽材、樽の経歴の違い。(ボデガから出てきた輸送用の古樽かつ、ほぼアメリカンオーク)
・シーズニングに使われているシェリー酒の違い。(現在は未熟成のものを入れている。当時は買い付け原酒の保管なので、結果的にパハレテ的な仕様にもなっていた)
・そもそも現地工場という特殊な環境で、大量生産されるものの副産物であったこと。

以上3点の理由が、1980年代後半に制定された現地工場禁止、パハレテ禁止という法律的な面からも再現が困難であり、GMのリリースが消える蒸留時期とも合致します。
また、近年まれにボデガから20年、30年熟成のシェリーに使われたような樽が出ても、ブーム当時ほど数は出ず、大手オフィシャルは数が安定しないものに興味を示さなかったり、ボトラーズが購入しても別なリリースのみに回る。つまり条件が揃わないのです。

加えて、今回のボトルで言えば、蒸留されたであろう1970年代と現代では、ロングモーンは仕込み・蒸留方式を変えており、酒質が遥かにライトになっていることも再現が困難な複合的な要因としてあげられます。
一時のシェリーブームが、その当時の大手ボトラーズウイスキーと合致して出来上がった、シェリー系ウイスキーの姿。
この手のボトルは加水でボディがゆるく、ヒネやすいという特徴から瓶熟向きでないこともあり、一時の夢として、今後確実に消えていく系統だと考えられるのです。
ああ、もっといっぱい買っておけばよかったなぁ・・・。


ビッグピート ラグビーエディション 2019 50%

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BIG PEAT 
ISLAY BLENDED MALT WHISKY 
JAPAN RUGBY EDITION 
Rlease 2019 
700ml 50% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封1ヶ月程度
場所:BAR Eclipse first
評価:★★★★★★(6)

香り:シャープなピーティーさと、ヨードを纏うスモーキーさ。ややクリアで塩素、奥から干し草が焦げたようなニュアンス。微かにレモンピールとオーク、あるいは根菜っぽさも伴う。

味:香りの強さに反して、オイリーでスルりと入ってくる口当たり。そこからピーティーなフレーバーと塩気が舌を刺激する。グレープフルーツなどの柑橘のほろ苦さ、乾いたウッディネスと根菜系のえぐみが少し引っ掛かるが、ピーティーなフィニッシュが長く続く。

名は体を表すという言葉のとおりのブレンデッドモルト。しっかりとピーティーで、塩気は海草を入れたスープのような出汁感を伴うようなアイラらしい個性がある。樽感はプレーンで、若さを感じさせる奔放なところもあるが、オイリーでコクのある原酒が全体のバランスをとっている。ストレートか濃いめのハイボールで。勿論ラグビーを見ながら!

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昨日からいよいよ始まった、ラグビーワールドカップ。大事な初戦も無事勝ちましたし、次のアイルランド戦は、2015年大会を上回るアップセットを祈念し・・・今回の記事はボトラーズウイスキーにしては珍しく、スポーツイベントに引っ掻けたリリース。ビッグピート・ラグビーエディションです。

通常のビッグピートが46%仕様であるところ、この限定リリースは50%。度数がダグラスレインっぽくて、ちょっとツボってしまうOMC全盛期が懐かしい自分(笑)。
ビッグピートという名のとおり、フェノール値は40ppmとヘビーピートの部類かつ、ブレンド比率も塩気を強調するように作られているそうですが、同じスペックとブレンド方針で作られていた過去の日本向けボトル、京都、東京のご当地エディションと何が違うのかは正直謎です。
一応、公式にはピートおじさんが世界を旅するワールドツアーシリーズの一作となるのですが・・・何となく中身はこれまでのご当地エディションと変わらないのではとも感じてしまいます。(ラベルにかかれたラグビー場から、静岡、あるいは山梨、富士五湖あたりの。)

ビッグピートは構成原酒が、アードベッグ、カリラ、ポートエレン、ボウモアだと言われています。
仮に現在もこの4種類とすると、今回のブレンドは、カリラとアードベッグが多く、ボウモアがアクセントといった感じ。ポートエレンは・・・もうカリラと混ざったらよくわからないですよ。1滴くらいは入っているのかw
樽感がそこまで強くない、プレーンオークタイプであることも合わせて、味わいはクリアでピートスモークや塩気が確かに際立ってますね。

そう言えば都内某有名BARのハイボール用ハウスウイスキーは、カリラとアードベッグを1:1で合わせたものという話があります。
今回の原酒の熟成年数は、若いもので5~8年程度のものを中心に、熟成したもので15年くらいってところか。癖は強いですが、飲み口はそこまで強くない、スルスル飲めてしまうピーテッドブレンド。原酒の組み合わせが予想通りなら、それも納得な構成なのです。


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今日のオマケ:ジン セレーノ サイレント ビアンコ。
安くて安定、プーリアのワイン。温暖で安定した気候のなかで作られたことが伝わるような、爽やかなトップ・ノートに、熟したパイナップルやグレープフルーツ、はちみつレモン、柑橘っぽさに蜜のような甘味が絡んでくる。樽熟していないワインですが、その分フルーティーさがダイレクトに。それでいて飲み口は柔らかく、引っ掛かりが少なくスルスル飲めてしまう危険な液体でした。
しかしこの、スワリングすらさせないような分量はいったい何事(笑)。

ジャパニーズスピリッツ・マルシェ2019秋 に参加してきた

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お酒を楽しむための様々な情報を発信している、酒育の会。同会主催で今日から10日間、「ジャパニーズスピリッツ・マルシェ2019」が、神田にて開催されています。

このイベント、テーマは近年ブームとなっている日本のウイスキーやクラフトジンなどの蒸留酒全般、所謂”ジャパニーズスピリッツ(一部スピリッツベースのリキュールを含む)”で、これらを試飲しつつ購入することも可能な販促会という感じ。
マルシェという位置付けらしく、ちょっとしたフリーマーケットのような雰囲気で、休日はVIPを招いてのゲストトークショーや、上記スピリッツを使ったカクテルの提供も予定されています。

自分は酒育の会発刊のフリーペーパーLIQULに関わらせて貰っていますし、何よりニューリリースの情報も抑えておきたい。参加&紹介しないわけにはいきませんね。
あとブース出展している蒸留所に、日頃情報共有していたり、あるいは個人的に注目しているところが多かったのもあり・・・。
早々に仕事を切り上げ、初日の会場に伺いました。
結果、平日と言うこともあってゆったりとした空気のなかで、色々お話を聞きながら試飲を楽しむことが出来ました。
そんなわけで、会場の様子をざっくりと紹介します。

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ジャパニーズスピリッツ・マルシェ2019秋
イベントページ:https://shuiku.jp/news/8005
入場料:無料
期間:2019年9月20日~9月29日
時間:11時~20時(29日は18時で閉会)
場所:マーチエキュート神田万世橋 1F S7スペース
東京都千代田区神田須田町1-25-4
※住所上は神田ですが、公共交通機関で近いのはお茶の水か秋葉原駅。
※会場前に目立つような看板が出ていません。わかりづらくて迷いましたw 秋葉原を背にして一番奥、御茶ノ水側のスペースで開催しています。

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(試飲ブース:上が無料、下が有料(100~2000円)。無料試飲はクラフトジンが充実していて、普段なかなか飲む機会のない各社のフレーバーを気軽に楽しめる。ウイスキーでもいくつか光るものあり。っていうか無料でこの充実度合いは。。。有料試飲もジャパニーズウイスキーを軸に、確かにレアなものが揃っている。クラフトアブサンも2種類スタンバイ!)

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(三郎丸蒸留所:自分イチオシクラフト蒸留所のひとつ。世界初、鋳造で作った新型蒸留器は問題なく機能しており、むしろ酒質は更に期待できるものとなった。ピーティーかつしっかりとした厚みがあり、将来を期待出来る味わい。今回は無料試飲ラインナップにその今年仕込みのニューメイクあり。是非進化を体感してほしい。)

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(長濱蒸留所:今回はアマハガン3種。同じブレンドがベースとは思えないほど、フィニッシュによる違いがしっかり出ている。先日発売されたばかりの第3弾ミズナラは、いい具合にニッキのようなスパイシーさが効いて、面白い仕上がりである。)

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(笹の川酒造、安積蒸留所:いよいよ今年3年熟成のリリースを控えた安積蒸留所。あまり市場に流通していない山桜の3銘柄に加え、1年6ヶ月熟成のニューボーンが試飲ラインナップに。ここも酒質は素直で癖も少なく、確実な成長が感じられる。)

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(小正醸造、嘉之助蒸留所はウイスキーではなく、今回はジンで出展。ほうじ茶と桜島小みかんジンがPRラインナップ。どちらも和の要素が強い面白いジンである。柑橘とジンの組み合わせはある意味オーソドックスだが、ほうじ茶の香ばしいフレーバーは意外に悪くない。むしろ美味しい。)

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(養命酒は自社製造のジン、香の森とライトタイプな香の雫で出展。ストレートでは飲み口強く、独特な香味が特徴のこのジンが、市場でどのように受け入れられるか・・・。っていうかライトタイプとは思えない香の雫。)

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(いいちこで知られる大分の三和酒類さんが作る、ジンでもウォッカでもない、麹が特徴のオリジナルスピリッツTUMUGI。
麹麦を蒸すことで香りを強くし、スタンダードのKOJIは焼酎とも異なる強い麹香(まるで醤油や味噌のような)と、その奥にかぼすやレモンなどの柑橘のフレーバー、そして柔らかい口当たりが特徴。ボンタンを使って香味付けしたTSUMUGI BONTANは、逆に麹のニュアンスを抑えて爽やかな柑橘感とドライな口当たりが心地よい。樽熟品は4ヶ月熟成で適度な樽感とマイルドな口当たりが、ハーブを思わせる要素と共に感じられる。
作り手の考え方、こだわり、そして日本人向きの和の風味。。。今回の出品物のなかで最もツボに入った銘柄だった。オススメ!!)

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(出展はされてないが、試飲ブースにあった非常に興味深い出来のジャパニーズグラッパ葡萄恋露。シダックスが親会社というのが面白いが、それ以上に丁寧な作りのグラッパで、ホワイトタイプはスウィートで淀みなく、華やかな香り立ちに花のようなアロマが混じる。これは美味しい。そしてエロチズム/愛(謎))

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(有料試飲から、ニッカのオールドブレンデッド。飲んでみたかった一本だが、とてもジャパニーズとは思えない、スコッチ的なモルティーさとピートフレーバーに驚き。モルト比率の高いリッチな作りの1本でかなり美味しい、是非我が家にほしいw。)

今回のイベント。酒類関連のイベントとしてはかなり長い開催期間かつ、立地的にも開催時間的にも、特に都内勤務の方が仕事帰りに立寄りやすいのが魅力。
入場料無料ですし飲めてない銘柄もあるので、もう一度遊びにいきたいくらいです。
TUMUGIのような魅力的な銘柄を知ることが出来たのも、大きな収穫でした。

一方で、さすがに10日間ぶっ通しで関係者がブースに張り付くことは、特にクラフト系にあっては難しく、ウイスキーフェス等のように常に全てのブースに関係者がいるわけではないのは仕方のないところ。
とはいえ主催する酒育の会のメンバーは、谷嶋さんを初め相当知見のある方々ですので、逆にお酒に関する感想や、飲み方などのアドバイスなど、酒育の会だからこその質問をしてみても面白いと思います。
イベントは明日からまだ9日間残っているだけでなく、トークショーは明日からスタートです。お時間ある方は是非参加してみてください。

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【ブース出展企業】
三和酒類株式会社
小正醸造株式会社 嘉之助蒸溜所
笹の川酒造株式会社
養命酒製造株式会社
アサヒビール株式会社
キリンビール株式会社
本坊酒造株式会社
若鶴酒造株式会社 三郎丸蒸留所
長濱浪漫ビール株式会社 長濱蒸溜所
佐多宗二商店
Limone

ゲストトークショースケジュール】
9月21(土)14時~ ろっき氏
「アセトアルデヒド症候群」主宰、ジンに関する取材研究では国内屈指の専門家、ジンに関する自費出版多数

9/22(日) 14時~ 輿水精一氏 サントリー名誉チーフブレンダー
16時~ 鹿山博康氏 Bar BenFiddichオーナーバーテンダー (カクテルのご提供もあり)

9/23(月・祝) 14時~ 肥土伊知郎氏 ベンチャーウイスキー代表
終日  須藤銀雅氏 アトリエAirgead代表 ブースにてバー専用チョコレートなどのご提供

9/28(土) 14時~ 山岡秀雄氏 ウイスキー評論家・コレクター × 吉村宗之氏  ウイスキーアドバイザー
16時~ 須藤銀雅氏 アトリエAirgead代表 「チョコレートとお酒のマリアージュについて」

リトルミル 25年 1988-2014 パールズオブスコットランド #136 49.9%

カテゴリ:
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LITTLEMILL 
The Pearls of Scotland 
Rare Cask Selection 
Aged 25 years 
Distilled 1988 
Bottled 2014 
Cask No, 136 
700ml 49.9% 

グラス:国際企画テイスティング
時期:開封後1年程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:ケミカルで和紙っぽさを伴うドライなアロマ。合わせてオーキーな華やかさ、バニラ、パイナップルキャンディを思わせる人工的な甘みとフルーティーさ。また、微かに青みがかったようなニュアンスとハーブの爽やかさ、乾いたウッディネスを感じる。

味:ややオイリーで香り同様にケミカルなフレーバーと、若干青みがかったフルーティーさ。蜜のような甘味と粘性を感じた後で、余韻はウッディでほろ苦く、微かにナッツを思わせる香ばしさとハーブ香を、オークフレーバーに伴う張り付くようなフィニッシュ。

いかにもボトラーズリトルミルらしい個性。アメリカンオークとの組み合わせがケミカルなフルーティーさを底上げして、良い方向に作用している。加水すると柑橘系、あるいはビタミンCタブレットのような甘さ。少し粉っぽいような人工的な質感が香りに感じられ、ジェネリック系統のトロピカルなフルーティーさもじわじわ広がる。一方でボディは緩くなりやすく、加減が難しい。ハーフに数滴が適量か。

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最近見なくなってきたボトラーズ・リトルミル。ローズバンクやブローラなど、現在高額で取引される閉鎖蒸留所も、ほんの5~10年くらい前はボトラーズリリースが豊富にありましたが、近年一気に高騰した背景を考えると、リトルミルもいよいよその時が近づいているのかもと感じます。

閉鎖or稼働のどちらにあっても、高騰する蒸留所とそれなりな蒸留所の線引きは、オフィシャル側の後押しの影響が強い、というのが自分の理解です。
価格はブランド力に直結するバロメーターです。ブランドを作るのはボトラーズ、オフィシャルどちらもあり得ますが、販売網とPR力はやはりオフィシャルの方が強く。特に大手が何十万円という値付けで限定リリースを出し、それが市場に受け入れられた瞬間、その前例に引き上げられる形で、安価に取引されていたボトラーズ側の高騰が始まるという流れが近年多く見られます(逆にロングモーン等は、ボトラーズとユーザーがブランドを作った例)。

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リトルミルは先日レビューさせていただいた、セレスティアルエディション1977(写真上)が、6000ポンドととんでもない価格設定でリリースされましたが、日本市場に入る間もなく完売したという流れを見るに、いよいよ・・・という訳です。
リトルミルが?という意見もあると思いますが、この手の流れに味や個性はあまり関係ないんですよね。そういう疑問点がありながらも高値で流通するボトルがリトルミルだけではないことは、周囲をちょっと見れば事例に当たるように思います。

またリトルミルといえば、紙っぽさやハーブのような癖が特徴としてあげられる一方で、近年に限らず熟成したものはトロピカルなフルーティーさを持っているボトルが多く見られ、最近だとNGという声もある反面、好む声も多くなったように認識しています。
60年代、70年代は麦由来の要素を含む真の意味でトロピカルと言えるものが。80年代からはケミカルな要素を含むアイリッシュウイスキーを思わせるタイプが主流。ネガもありますが、今回のボトル含めてキャッチーな要素が備わっているんですよね。

余談ですが、今回レビューする1988年あたりの蒸留所の遍歴を見ると、リトルミルの閉鎖は1994年。加えて1984年から89年まで創業を休止したという情報もあります。
当時のウイスキー需要減から生産調整に入っていたとしても違和感はありませんが、ボトラーズリリースが84,85,86、そして今回の88と続いていて、確認できないのは1987年のみであることを考えると、実際は少量生産されてそれがボトラーズメーカー(ボトラーズに転身する前のブレンドメーカー)に買い取られており、近年の集中的なリリースに繋がったのではないか。
87年については、蒸留所の親会社がギブソンインターナショナル社に変わった年であることから、この年の一時期だけ稼働していなかったのでは。。。と推察しています。

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