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2019年05月

ブローラ 37年 1977-2015 リミテッドエディション 14th 50.4%

カテゴリ:
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BRORA 
LIMITED EDITION 
Aged 37 years 
Distilled 1977 
Bottled 2015 
One of only 2976 bottling 
700ml 50.4% 

グラス:木村硝子テイスティング
時期:開封後1年程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:熟したグレープフルーツや蜂蜜レモン、ドライで綺麗なプレーン系のオーク香に加え、塩素、腐葉土や魚粉っぽさを伴うブローラらしい癖のあるピート香も感じられる。

味:ややオイリーで粘性のある口当たりだが合わせてウッディでドライ。甘酸っぱいグレープフルーツに、麦感は粥のような甘味、白粉っぽさ。そして香り同様の癖を感じるピートフレーバーが渾然となって感じられる。
余韻はドライでビター、リフィル系の樽と焦げ感のあるピート由来の苦味が、若干の魚粉っぽさを伴いつつ、収斂するようにまとまり、最後はジンジンと舌を刺激するウッディネスが長く続く。

ディアジオのリミテッドらしい綺麗な造りだが、少々樽由来のドライさ、ウッディネスが香味とも主張が強い。口開けはもっと強かっただろう。他方で度数もあるため、奥から柑橘系の果実味や、しっかりと特徴的なフレーバーが広がる。このあたりは1970年代のブローラと言える香味である。
少量加水すると、ピートが穏やかになりバニラやおしろいっぽさ、酒質の軸にある香味が主体になるが、個人的にはピートが主張するストレートを推奨したい。


近年の販売価格を見ると、貴金属でも溶け込んでいるんじゃないか、と思ってしまうブローラのリリース。ですが、それは同蒸留所のレアリティが認められてのこと。
これまでの更新で、ブローラ誕生の経緯や香味の変移については度々触れてきていますので、今日の更新では視点を変えて経緯を考察し、そして再稼働に向けた近況にも触れつつまとめていきます。

元々、ブローラは旧クライヌリッシュ時代を含めると、1819年創業という非常に長い歴史がありますが、ピーティーで野性味ある味わいの原酒をブローラとするなら、それは1969年から、主に1970年代のわずか10年という、短い期間しか作られていません。
ブローラは、1960年代にDCL傘下の各蒸留所が設備の切り替えや大規模な増設工事を行った際、旧クライヌリッシュ蒸留所では老朽化に伴って新しい蒸留所をまるっと建設していたことから、需要がある間だけ手の空いた古い設備を使ってブレンド用のピーテッドモルトを代替する目的で原酒を仕込んでいたというものです。
(時系列等の詳細は、こちらの記事でまとめています。※ブローラ1975 プロヴェナンス

こうして作られた原酒は、もし70年代以降もスコッチウイスキーの需要が増え続けていたなら、ブレンド用に消費されてしまったとも考えられますが、1980年代にウイスキー冬の時代が到来したことで原酒が過剰となり、蒸留所は閉鎖するものの急激な消費を免れた。
あるいは、1970年代のDCL傘下にアードベッグあたりがあったら、ブローラは作られなかったかもしれません。仮に稼働していても、1980年代閉鎖間際のような、ピートも個性も穏やかで、”野生の山猫”ではない”飼い猫”のような原酒を作っていた可能性もあります。
そう考えると、ブローラという存在は、いくつかの偶然があって現在に存在しているとも言えます。

そして1990年代から2000年代、シングルモルトに追い風が吹いてきたことを受けて、UD社が現在のスペシャルリリースにあたる、リミテッドリリースなどで、シングルモルトのブランド価値向上を図り始めます。
2003年に発売されたファーストリリースのブローラの日本流通価格が2万円程度。昨年のスペシャルリリースまでで全16作、最終的には20万円という価格にまで到達したのは、偶然のエピソードを長年の地道な営業努力で現在の地位に繋げた、販売戦略として見るべきところの多い事例ではないかとも思うのです。(飲み手としては、たまったものではありませんが・・・(汗)。)

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さて、ブローラといえば、ポートエレンと共に再稼働に向けて動き出したニュースは周知のことと思います。
ポートエレンについては、敷地の一部が倉庫として使われているなど、設備の整備を行う前に”現在の利用者”と調整をしている最中で、まだ時間がかかるという話も聞いていました。しかしブローラはそうした調整が少なかったのか、本格的に整備と工事が進んでいる模様。アイラフェス前に現地を訪問していいた Bar Rosebankのマスターから、最新の写真(上)をお借りしました

Google Map(写真下)で見ることができるほぼ同じアングルのストリートビュー画像と比較すると、かなり大規模に工事しているのが伺える1ショットです。
考えてみれば、元々古かった設備に加え、閉鎖してから35年も経ってるわけですから、総入れ換えくらいの工事は必要ですよね。また、敷地も拡張していることと、キルン塔が取り壊されずに移動していますが、これは新蒸留所で再活用するということなのかもしれません。

クライヌリッシュ蒸留所はブローラ時代も含めると今年で200周年を迎えます。バイセンテナリーボトルは20年熟成品で、すでに蒸留所ビジターセンターでも完売というほどの人気だとか。
新生ブローラの足音を聞くことができた現地の写真と、タイミングよく飲むことが出来たブローラの味わい。気持ちよく酔わせてもらいました。


グレングラント 43年 1966-2009 GM ケルティック 50.9% #2929

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GLEN GRANT 
GORDON & MACPHAIL 
AGED 43 YEARS 
Distilled 1966 
Bottled 2010 
Cask type 1st fill American Oak Hogshead #2929 
700ml 50.9% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1年程度
場所:自宅
評価:★★★★★★★★★(8ー9)

香り:オーキーで華やかな香り立ち。ややドライな刺激があるが、それ以上に黄桃と缶詰のシロップ、リンゴのカラメル煮、アプリコットジャム、微かにミントのアクセント。陶酔感も感じさせる凝縮されたフルーティーさ、複雑で多彩。

味:ドライでウッディ、栗の渋皮煮や甘栗のほろ苦く香ばしい甘みに、熟した黄桃やマンゴーの樽由来の凝縮感のあるオーキーなフルーティーさ。余韻にかけてタンニンも主張してくるが、序盤までのフルーティーさ由来の甘味をそれが引き締め、微かなピートも感じつつ充実したフィニッシュが長く続く。

素晴らしい熟成香が備わった長期熟成のグレングラント。樽由来の桃感やトロピカルなフルーティーさ、甘さを引き締め、あるいは2口目以降を引き立てるタンニンとウッディネス。気持ち強い気もするが、許容範囲でもあり、熟成のピークとしては最後の飲み頃だろう。少量加水程度なら缶詰シロップのような甘味が延びるが、それぞれのフレーバーのバランスを考えるとストレートがオススメ。


ウイスキーにおいて、自分が好きな構成はこういうタイプなのだと、改めて感じさせてくれた1本。(ありがとうSさん、美味すぎ警報発令です。)
オールドボトルで見られる、麦とピート、そしてオールドシェリーが合わさった妖艶な香味も素晴らしいですが、近年リリースのなかでも希にあるこの手のフルーティーさは、我々愛好家を更なる深みに引きずり込む、強烈な引力があるように思います。

残念ながら中々出会うことがないのですが、必ずしもオールドシェリー樽で熟成や、40年程度の熟成が必要かと言うと、そうではないのがこの系統の不思議なところ。
例えば、今回のボトルと同系統のフルーティーさを感じられた事例が、グレンファークラス1979のファミリーカスクRelease3。黄桃と桃の缶詰シロップ、そしてマンゴーのようなとろりと甘く、そして柔らかい酸味を備えた黄色系のフルーティーさがあり、それを引き締めるようなウッディネスに、共通項があります。

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(個人的に79ファークラスの最高峰がこのボトル。1979-2008 Cask No,2216。この後、信濃屋等から何種類か同じプレーンカスクの79がリリースされているが、香味の系統は異なっていた。何が違うのかは今だ見当つかず。。。)

熟成年数の違いもあってか、今回のグラントのほうがタンニンは強く出ていますが、なぜこのファークラスを引き合いに出したかと言うと、それはフレーバーの共通点以外に、樽の違いによる疑問から。
ファークラスは4回以上熟成に使用した、プレーンカスクホグスヘッドでの熟成。グラントは1st fillのホグスヘッド。どちらもアメリカンオークで、同じようなフルーティーさがありながら、樽の使用回数に大きな違いがあります。

また、グラントのほうは、1st fillとは思えないほどフルーティーさに透明感というか、シェリー樽にありがちなカラメルや樹液っぽさはなく、ドライな要素はあっても濁りのようなものがありません。
GMの長期熟成品では、カラメルのようなこってりした甘さのものもあれば、本当にシェリー樽熟成か?と言いたくなるくらい、熟成年数に対してその系統の香味が出ていないものがあります。今回のボトルはまさにそうした仕上がりでもあるのです。

プレーンカスクをヒントにして、シェリー樽路線で考えるなら、何度もシェリーの熟成で使われ、フィノ用まで回数を重ねたお古の樽での熟成というのはあり得るところ。
ただ、フィノ用でエキスのエの字も出なくなったような樽で、ここまで色がつくかというとそれも考え難く。ホグスヘッドですから鏡板を変える時に、異なる回数の材木が混じったとか、そういう”いい加減さ”が産んだ偶然が、この香味に繋がっているのかもしれません。

あるいは、American Oak Hogs表記ですから、実はシェリー樽ではなく、何回も使ったバーボン(バーボンを熟成した後でアメリカンウイスキーに回した)樽が、当時は一部捨て値同然で手に入り、それを使ったとか・・・もあるように思います。
ああ、本当にタイムマシンが欲しい。
謎は多くあるものの、1杯飲むだけで満足して1日を終えられるような素晴らしいボトルでした。

カリラ 15年 アンピーテッド 2018 59.1%

カテゴリ:
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CAOLILA 
AGED 15 YEARS 
Unpeated Style 
Bottled in 2018 
700ml 59.1% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後2ヶ月程度
場所:BAR LIVET
評価:★★★★★★(6)

香り:トーンの高い繊細でシャープな香り立ち。干し草と薄めたはちみつ、バニラのアクセントを含む甘くドライなオーク香。微かにドライアップルやシトラス、ハーブを思わせるニュアンスも伴う。

味:ややドライでスパイシー。ハイプルーフ由来のトーンの高さとアタックの強さはあるが、クリアで癖の少ない口当たり。そこに乾いたウッディネスや干し草の苦味と微かなえぐみ。蜂蜜レモンを思わせる甘みも樽由来として感じられる。
余韻はヒリつくようなスパイシーさ、ハーブやハッカを思わせる鼻腔への抜けと、乾いた樽香を感じつつ、長く続く。

いつものアンピーテッド。リフィル系の淡い樽感主体の味わいだが、加水するとスウィートな甘味、フルーティーさ、オーク由来の華やかさも感じやすくなる。またウッディなエグミもあるが、バランスを崩すほどではない。


まず前置きすると、自分はカリラのアンピーテッドが嫌いというわけではありません。今回のも、安定して美味しいと思います。
ただ見も蓋もない。。。というか、辛辣な言い方をさせてもらえば、最近のカリラのアンピーテッドには、1stリリース当初の特別感や期待値はなく。そしてそろそろ普通のピーテッドスタイルのカリラで、カスクストレングスの15~20年クラスの熟成品をだしてほしいと言うのが、率直な感想でもあるのです。

カリラ・アンピーテッドの1st リリースが発売されたのは2006年のこと。8年熟成の若い原酒は、仕込みの際にあえてピートを炊かず、普段ピートにマスクされた酒質のベース部分の味わいを楽しめる斬新なコンセプトで登場しました。
アンピーテッド仕様であるにも関わらず、仕込み水や蒸留設備等に染み付いたピートが影響してか、微かにピーティーなフレーバーが感じられたという逸話も興味深く。そして素顔のカリラは、クリアで雑味の少ない構成に、ほどよいコクとモルティーな甘みを備えていたのです。

ところが時間の流れは時に残酷。その後熟成を重ねてリリースされたアンピーテッドは、微かに残っていた島の個性を熟成期間に伴う樽の作用が酒質ごと徐々に削りとって樽感で
上書きしてしまい。残ったのはスペイサイドともハイランドとも区別のつかない、年々個性が乏しくなる原酒でした。(せめてアイラで熟成されていれば。。。と思うところですが、恐らく熟成は本土ローランド地域にある集中熟成庫。なんとも夢の無い話です。)

ただ、これまでリリースされてきたアンピーテッドは、2016年にリリースされた15年を除き、初期リリースとほぼ同じ1998年前後に蒸留された原酒を代々使っていたため、熟成による個性の変化と、未来を想像する楽しさもありました。
しかし今年のリリースは、2002年ないし2003年蒸留の15年。樽は多少表記は異なるものの、特別大きな違いはなく。いい加減原酒が尽きたのか、あるいは今後長期熟成をリリースするため、原酒をセーブしているのか
少なくともこれを飲んで今までのアンピーテッドとの酒質に明確な違いはあるかというと・・・自分の感覚では感じ取れません。

この安定感こそがカリラであると言われればそれもその通り。さながら優勝もしないし、最下位にもならない、もうひとつ言えば見せ場もそこまで作らないが、毎レース必ず完走して、周囲が落ちるとポイント圏内につけてくるレーシングドライバーというイメージ。(これはこれで結構凄いし、良い仕事と言われる部類のものです。)
ですが、1年に1度のスペシャルリリースで、アンピーテッドが10年近く続き、カリラから出ている15~20年クラスの限定品がアンピーテッドだけというのは、そろそろ寂しくもあります。

今回の2018年リリースでは、ブローラ等が無かった代わりに、カリラ35年がラインナップの筆頭にあり、ディアジオのリミテッドらしい高い完成度の1本であったと聞くところ。
出来ればそのリリースを20年前後でも・・・。今後のスペシャルリリースでは、ノーマルカリラのリミテッドが出てほしいなと思うのです。

デュワーズ ホワイトラベル 1980年代後期 特級表記 43%

カテゴリ:
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DEWAR'S 
FINE SCOTCH WHISKY 
"White Label" 
1980's 
750ml 43% 

グラス:国際規格テイスティング
時期:開封後1ヶ月程度
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★★(5ー6)

香り:ややトーンが高く、若い原酒の荒らさを感じる香り立ち。乾いた穀物、オリーブオイルのような少し特異なニュアンスの混じるグレーン感。柔らかいスモーキーさと麦芽香。ザラメのような甘さも感じる。

味:スムーズだがしっかりとした骨格がある。香ばしい麦芽風味からオレンジ系の甘酸っぱいモルティーさ、薄めたカラメルソース。少し若い原酒のえぐみと若干の草っぽさもある。余韻はほろ苦く、柔らかいスモーキーさを伴い長く続く。

思ったよりも香味が多彩。主要原酒以外に色々ブレンド向けの若い原酒が混じっている味わい。仕上がりの粗さはあるが、見るところもあり、この時代のブレンドとしてはレベルの高い部類に入る。加水するとマイルドで洋菓子、マフィンのような甘味が開き、一気にバランスが良くなる。これならハイボールも充分に楽しめそう。

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黄金の特級時代と言えど、多くのブレンデッドが味を落としていた1980年代後期。この特級時代の末期頃(1988~1989)に流通したのが、今回のレビューアイテムです。
そもそも、デュワーズ・ホワイトラベルのスタンダードは古いものであっても、若い原酒由来のアタックの強さが目立って造りが粗い。というのが持論でしたが、このボトルは12年クラスの片鱗といえる、粗さの中に熟成感のあるモルティーさが備わった1本でした。

今回のボトルの流通時期は、ジョン・デュワーズ社らを傘下としていたDCLが、1986年にギネス社との合併でUD社を設立。その傘下に移行した時代であり、主要構成原酒はアバフェルディ、グレンオード、オルトモアで、使われている可能性としてロイヤルブラックら、クライゲラヒ、そしてUDのブレンデッド用原酒あたりだったと考えられます。
(現在、デュワーズの構成原酒でレジェンダリーシリーズとしてリリースされている6蒸留所のうち、マクダフだけは当時マルティニ社の傘下であり、1993年からデュワーズないしバカルディ傘下となる。)

個性の違いを把握しづらい若い内陸の原酒と、それ以上に多様な原酒が使われているため、マクダフの有無がとか、あるいはブラックラがどうこうとかは、少なくとも自分にはわかりません。
ただUD傘下となってジョニーウォーカー等の香味に変化があったように、デュワーズもブランドの見直しが行われたのかもしれません。80年代後半の流通ながら、その前のロットにはなかった味わい深さに通じる要素が感じられたのが印象的でした。

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(今回のラベル、なにか違和感があると思ったら、その正体は受賞メダルの有無。なぜかまるごと無い。上2ラベルは同時期ないしその前後の流通品だが、デュワーズ・ホワイトラベルはこのように流通先や時代で細かいラベルチェンジが多く、オールドの購入者泣かせな銘柄である。)

さて、上記でデュワーズ・ホワイトラベルのラベル違いが多いという話に触れたところで、各時代毎の簡単な見分け方を紹介すると、それは紋章の色です。

めちゃくちゃ古いやつはメダルの数が違うとか、1960年代以前はティンキャップとか、他にも見ればわかる特徴があるのですが、スクリューキャップになった1970年代以降は、流通量が多い一方ラベルの種類も多く、流通時期が分かりにくいのです。
そこで、最も簡単に判断できる共通の特徴が紋章の色。時代の境目にあるボトルは紛らわしいものもあったりしますが、大概はこの基準で整理することが出来ます。

~1970年代中頃まで:白黒(下記)
1970年代後半から80年代前半:赤線
1980年代中頃から後半:青赤(本記事掲載)
1990年代以降:金色
※ホワイトラベルについてのみの整理ですので、12年など他のグレードの場合は異なります。

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この紋章の色で流通時期を見分ける話は、バランタインのオールドボトルでも知られており、そしてデュワーズとでは同じような配色構成のものが2つあります。
ただ、バランタインとデュワーズでは、紋章の色とリンクする流通時期が異なるため、混同しないように注意が必要です。

それこそこれはだいぶ前、とあるBARで実際にあった話。デュワーズの赤紋章時代のものを「60年代流通です」と出された時がありました(バランタインの場合、赤線で書かれた紋章は1960年代以前の流通品だが、デュワーズは上記の通り)。狙ったわけではなく、勘違いだとは思いますが・・・。
ちなみにその時自分は紋章での見分けを知らず、そのまま飲んで帰って調べてアレッ?となったクチ。いい勉強になりました(笑)。

オーバン 18年 リミテッドエディション 43% アメリカ市場向け

カテゴリ:
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OBAN 
AGED 18 YEARS 
LIMITED EDITON 
For US Market 
750ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:注ぎたてはドライでダンボールのような紙系のアロマを感じるが、スワリングしているとバニラ、オールブランのような甘みと香ばしさ、プレーンなウッディさと微かに塩気。奥には色の濃い蜂蜜や、洋梨のようなフルーティーさも潜んでおり時間経過で開いてくる。

味:マイルドでメローな口当たり。香り同様にオールブランや籾殻、オレンジママレードのようなほろ苦さと軽い植物感。余韻にかけて塩気とピート、微かにホワイトペッパーの刺激。染み込むようなスモーキーさとウッディなニュアンスを伴い長く続く。

オフィシャル14年の延長線上にある味わい。少量加水すると紙っぽさがなくなり、アーモンドや麦系のほろ苦さ、蜂蜜っぽい甘みが、ピート香を主体に柔らかく薫る
こんなに多彩だったの?というくらい、香味の奥から開く果実感やピートの多層感。ポテンシャルの高さが伺える。ハイボールやロックも悪くなかったが、ストレートで1ショットじっくり楽しむことを推奨したい。

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アメリカ市場向けにリリースされたオーバンのリミテッド。750mlの米国規格でちょっとお得感アリ(笑)。
7700本限定であるため瞬殺されていてもおかしくないと思っていましたが、オーバンという地味どころかつ加水仕様だったためか普通に購入出来、友人が旅行した際のお土産がわりに飲ませてもらいました。
調べてみると、アメリカ市場向けにはこれ以外にも複数回オーバン18年がリミテッドリリースされているようです。

地味とは書きましたが、オーバン蒸留所は個人的に気に入っている蒸留所のひとつ。麦とピート、そして微かな塩気・・・華やかでフルーティーなモーレンジ等とは正反対ですが、この地味さが良いのです。
スコッチじゃないと出ない味のひとつとも言えますね。
そして今回のリリースは、全体的な構成はオーバンのハウススタイルかつ、スタンダードボトルである14年の延長線上にある構成。一言でスタンダードとの違いを表現すると「熟成感しっかり増し」です。

リミテッドリリースだとシェリー系圧殺だったりすることも多いですが、セカンド、サードフィル辺りの樽を上手く使う、ディアジオらしい酒質を活かす造りで、熟成感のなかに蒸留所の個性を味わえる仕上がり。
しかし注ぎたては、樽とピートと酒質と色々混じって偶発的にか、トップノートにダンボールのような癖を感じる。内輪の表現を使えば、紙警察出動で逮捕案件という位置付けでした。
それこそ開封直後を10mlくらい飲んだ時は、どうするよこれって感じでしたね。

しかしその後じっくり事情聴取してみると、時間経過で表情が変わってどんどん良さが出てくる。特に香りに熟した洋梨等のフルーツ香が混じり、オールブランのようなほろ苦さとピートのスモーキーさ、オーバンらしさをベースに多彩なアロマが開いてくる。
なんとも”いぶし銀”なウイスキーだったのです。
おそらく、イベントで少量舐めるくらいだとこの良さには気づけなかったでしょう。
どこの空港でも売ってるようなチョコレートなんかより、遥かに素晴らしいお土産になりました!

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