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2019年03月

グレンファークラス 26年 1974-2000 オフィシャルリリース 43%

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GLENFARCLAS 
Single Highland Malt Scotch Whisky 
Aged 26 years 
Distilled 1974 
Bottled 2000 
No of bottles 2732
700ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:個人宅持ち寄り会
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライでピリピリと鼻孔を刺激するスパイシーな樽香。ハーブの要素も伴いつつ、ブラウンシュガー、オレンジなどの柑橘類のドライフルーツ、仄かに腐葉土を思わせるピートのアクセント。複雑で適度な熟成感が備わっている。

:香り同様にドライでスパイシー、じんじんとした刺激を伴う麦芽風味。蜂蜜やオレンジピール、加水でバランスがとれており、余韻にかけて存在感を強くしていくモルティーさと、ピートの苦味と土っぽいフレーバー。スモーキーで染み込むようなフィニッシュ。

リフィルシェリー系統の樽構成だったのか、シェリー感は控えめ。代わりに麦芽風味と内陸系のピートフレーバーがメインに感じられる。個人的に好みの構成で、加水も効いてしみじみとした旨さが魅力であるが、蒸留所のハウススタイルを考えると、もう少しシェリー感がほしかった。

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先日、知人宅で開催された仲間内の持ち寄り会にてテイスティングした1本。
2000年頃にリリースされたオフィシャルのヴィンテージリリースで、同時期1968年蒸留もリリースされていました。

グレンファークラスはファミリーカスクシリーズや地域向けの限定品など、単一蒸留年のオフィシャルリリースが珍しくなく、このリリースも数あるうちのひとつという位置付け。しかしそうしたリリースこの中で、43%加水で、複数樽バッティングの60~70年代単一蒸留年という仕様は少なく、逆に珍しくもあります。大概シングルカスクのカスクストレングスとかですしね。

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(同時期にリリースされた1968年蒸留の複数樽バッティング。こちらのほうが見た目通りシェリー感が強く、スウィートでリッチな仕上がり。)

グレンファークラスといえばリッチなシェリー感がハウススタイルのひとつで、過去のテイスティング経験からてっきりこの1974も上記1968と同系統の構成かと思っていました。
しかしグラスに注ぐと色が思ったほど濃くありません。
リフィルやサードフィルといった樽が主体なのか、口当たりに多少のコクはあるのですが、メインは麦芽風味や蜂蜜、柑橘系のドライフルーツにピートフレーバーと、予想とは違う味わいに少し驚きました。

ただ、樽感がそう強くない分、本来マスクされていたであろう酒質部分の味わいがメインに感じられ、グレンファークラスの違った魅力を楽しむことができるのは、このボトルの良さであるとも言えます。
ブラウンダンピー時代の前、角瓶時代のファークラスでも、時代や年数によってはこういう樽感控えめな構成のボトルがいくつかありました。シェリー樽一貫の樽使いでありながら、多数の異なる味わいを作り出せる。ファークラスマジックならではのリリースですね。

グレンモーレンジ アルタ 51.2% プライベートエディションNo,10

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GLENMORANGIE 
ALLTA 
CREATED WITH OUR OWN WILD YEAST 
Limited Edition No,10 
700ml 51.2% 

グラス:グレンケアンテイスティング
時期:開封後1週間程度
場所:BAR Eclipse 
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで乾いた木材と紙っぽさ、仄かに乳酸系の酸味とスパイシーな刺激。時間経過で華やかなオークのニュアンス、柑橘感はグレープフルーツピール、白い花のような植物感を伴う甘いアロマ。

味:若さを感じさせる酸味、厚みのある香味でねっとりと舌に乗ってくるようなほろ苦い麦芽風味や柑橘、スパイシーさ。徐々にオーキーなフルーティーさが余韻にかけて残る。

若さを連想する酸があり、厚みのある植物や穀物、アイリッシュのような粘性。香味の主体は少々紙っぽさもあるモルティーさ、不思議な印象を受ける味わい。良さもあるがそれ以外の違和感が。。。これが野生酵母由来なのだろうか。
余韻にかけてはオーキーな要素が感じられ、熟成期間は10年程度ありそう。少量加水すると柑橘やオークのニュアンスがさらに開く。

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毎年リリースされているグレンモーレンジのリミテッドリリース。あるいはラムズデン博士の挑戦と言うべき意欲作。アルタはゲール語で野生の意味で、今年のリリースはグレンモーレンジに麦芽を供給する蒸溜所周辺の畑(カドボール)で発見されたと言う野生酵母を仕込みに用いたものです。

ウイスキーの製造行程において、蒸留は良くも悪くもリセットの意味合いがあり、仕込みの時点では蒸留するから気にしなくていいと言う要素があれば、逆に無視できないという要素もあり、どこまでこだわっていくかは議論が終わることのないテーマであると感じています。
そしてその一つが麦の種類や、今回のように酵母の種類であるわけです。

自分の印象ではウイスキーの味わいに、酵母と発酵時間は無視できない要素であり、フェスや蒸留所見学でウイスキーの蒸溜関係者に質問すれば、フルーティーさを出す酵母の種類や、発酵時間もクリアな酒質に仕上げるための工夫とか様々に考えられていることを伺うことができます。
今回使われた野生酵母がどのような働きをもたらしているかは推測でしかありませんが、通常のグレンモーレンジのモルティーさと軽快なフルーティーさとは異なる、粘性や酸味と香味の強さが印象的で、発酵力の強い酵母で長期間しっかり発酵させたという感じでしょうか。

飲んでいてローカルバーレイ系統だなあとも感じつつ、この強さと癖のある構成は好みが別れるところだとも感じました。

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更新が1週間弱空いてしまいました。。。
いや、今週は本当に忙しさの質が違い、久々に疲労困憊。なーんも手をつけられませんでした。年度末は仕事量が増えるだけでなく、変なエラーも多くて本当に色々ともう。
まあそれもようやく一段落。今日はこれから温泉でのんびりして、また活動再開したいと思います。

バランタイン 21年 アメリカンオークエディション 40%

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BALLANTINE'S 
SIGNATURE OAK EDITION 
American Oak Casks 
Aged 21 years 
700ml 40% 

グラス:サントリーテイスティンググラス
場所:日比谷BAR
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかい香り立ち。ドライで乾いた木材、オーク系の華やかなアロマ。メレンゲクッキーやカスタードを思わせる甘み。微かに青みがかった要素もあるが、バランスがとれており品の良さがある。

味:クリーミーで角のとれたウッディネス、柔らかい口当たり。徐々にスパイシーさとバニラや洋梨などのフルーティーさ。バランスの良い味わい。
余韻はドライでほろ苦いウッディネス。鼻に抜けるオーキーな華やかさ、近年系のトロピカルフレーバーも伴う。

アメリカンオーク由来のフルーティーさと華やかな特徴が、くどくない程度に備わったブレンド。バランスが破綻しておらず、加水ブレンデッド故に突き抜けはしないが、完成度の高い味わいと言える。
なお少量加水で一瞬フルーティーさ、クリーミーで華やかなウッディネスがさらに開くが、味はやや苦味が強くなる。

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バランタインから免税向け商品として、2015年と2016年にリリースされたシグネチャーオークエディション。バランタイン21年をベースに、特定の樽由来の香味を際立たせたブレンデッドで、ヨーロピアンオークとアメリカンオークがリリースされています。
リリース時期は上記の通りで、並行品が一部日本にも流通もしていたものの、この度正規品が今年の1月から日本でもリリースされています。

この手のリリースの大多数は、正規品がなくても特に困ることもないのですが、このタイムラグはなんだかなと感じてしまうことが、今回のリリースに限らずスコッチウイスキー全般でありますね。
今回のように免税品の場合、むしろよく入荷してくれた!!って話なのかも知れませんが。。。蒸留所の親会社なのに、その限定品や通常商品すら入らないケースもありますので。

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(バランタイン・シグネチャー・オークエディション、ヨーロピアンオークエディション(左)と、アメリカンオークエディション(右)。すべて同一の樽で熟成された原酒から作られているわけではないようだが、どちらもしっかりとテーマとする樽由来の特徴が備わっている。)

ヨーロピアンオークエディションは、言わばスパニッシュオークであり、シェリー樽を思わせる黒糖やキャラメルのような甘みが主体。アメリカンオークエディションはバーボン樽を思わせるバニラの甘みと、黄色いフルーティーさと言えるトロピカルなフレーバーが、バランタインという枠の中で主体的に、しかし過度に主張しないバランスで感じられます。

特に、今回レビューするアメリカンオークエディションのほうが、ベースとなるブレンドとフレーバーの違和感がなく好みですね。
元々バランタインは、以前シングルモルトもリリースされたグレンバーギーやミルトンダフなど、内陸系の原酒を軸に作られています。
それらの原酒とアメリカンオークカスクの相性のよさは、これまでの個別のリリースで折り紙つき。結果、バランタイン21年との相性も悪いわけがないのです。

度数が40%なので、ボディが弱すぎないか、香味のへたり具合が早いのではとも思いましたが、そんなことはなく。意外にしっかりモルティーで、飲み疲れないバランスの良さはブレンデッドこその完成度。家でじっくりのみたい美味しいウイスキーであると感じました。
いやあ、良い仕事してますねぇ。

三郎丸蒸留所 ハリークレインズ クラフトハイボール缶 9%

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HARRY CRANES 
Craft Highball 
三郎丸蒸留所謹製 
350ml 9% 

北陸でただひとつの、ウイスキー蒸留所から、まさかの缶入りハイボールの発売。
3月12日、三郎丸蒸留所を操業する若鶴酒造が、クラフト蒸留所のリリースとしては恐らく初となる缶入りハイボールを発表。それも、香料やリキュールを添加したものではなく、BARで飲むハイボールを目指してウイスキーと水と炭酸ガスのみ、久しぶりにリリースされるウイスキー(発泡性)表記の本格缶入りハイボールのリリースです。

クラフト蒸留所からのブレンデッドウイスキーのリリースは珍しくありませんが、まさか缶入りハイボールのジャンルに参入してくるとは。。。
一般発売は3月25日とのことですが、既に現地で先行販売が始まっていて、早速飲ませてもらいました。


※350ml缶3本が100名に当たるキャンペーン(2019年3月31日まで)

キャラクターは、三郎丸蒸留所のハウススタイルともえいるスモーキーさの際立ったタイプ。クリアな飲み口で、強炭酸区分と言えるレベルの炭酸の刺激。若いモルト原酒を思わせるほどよい酸味とスモーキーなフレーバーから、キレの良い余韻へと繋がっていく。

ウイスキーと炭酸だけのハイボールは、余韻にしつこさがないというか、香味の引き際が良いですね。使われてないので当たり前ですが、べたつくような甘さだったり、レモン香料が目立つようなこともない自然な感じ。
また思った以上にモルティーで、ドライな飲み口というよりは、口内で香味が開いてくるような柔らかさも伴う印象。ベースは輸入原酒と思われますが、余韻にかけて感じられる微かにオリーブのような要素から、蒸留所改修前に仕込まれた原酒が一部使われているものと感じます。

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缶入りハイボールはハイボールブームが本格的に始まる前から、ニッカ、サントリー、キリンが度々市場に展開しており、特にサントリーの角ハイボール缶は代表的な商品。
2010年には、ニッカから竹鶴12年ハイボール缶がリリースされ、これが竹鶴らしく原料”モルト”のみというチャレンジングな1本でしたが、その後原酒不足で終売。2015年にはブラックニッカブランドから、クリアのウイスキー(発泡性)区分がリリースされましたが、大量生産時の品質安定が難しいのか単にそこまでこだわるジャンルじゃないのか、暫くブラックニッカクリアのみという状況が続いていました。

なので、今回のリリースは久々の”本格缶入りハイボール”なのです。
ベースのウイスキーは3~8年程度の原酒がブレンドされたと思われる、スモーキータイプの若いブレンデッド。単にそれのハイボールと言えばそういうことなのですが、ウイスキーの香味が活きる比率とブレンドが模索されているからか、缶から注いで飲むと何故か不思議と美味しい。
スモーキーでさっぱりと飲めるタイプなので、揚げ物、魚介類以外にジャーキーなどの乾き物。全般的に相性が良いと思います。

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蒸留所の稲垣マネージャー曰く「ハイボールを飲む時に準備して作るのがめんどくさかったから(笑)」というのが、動機のひとつだったとのこと。確かに冷蔵庫からさっと取り出してすぐ飲める手軽さが、ハイボール缶のメリットです。
また、旅行の際に電車の移動中などでも本格的なハイボールが楽しめるのも魅力。電車のなかでウイスキーストレートはハードルが高いですが、ハイボールは手軽に楽しめる。現在は、富山駅と金沢駅のお土産処で販売されているそうですが、例えば北陸新幹線で車内販売されたりすれば、地ウイスキーとしての宣伝効果がさらに見込めますね。

聞くところによれば、今後三郎丸蒸留所以外の複数のクラフト蒸留所からもハイボール缶がリリースされる予定だそうです。
これは面白い流れ。製造ラインの確保など、ハードルは決して低くないとは思いますが、手軽に楽しめるハードリカーの形として、少量生産だからこそ出来る新しい味をどんどん追求していってほしいと思います。

ノブクリーク シングルバレル 60% ジムビーム クラフトバーボン

カテゴリ:
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KOB CREEK 
SINGLE BARREL RESERVE 
Kentucky Straight Bourbon Whisky 
Aged 9 years 
750ml 60% 

グラス:サントリーテイスティンググラス
場所:日比谷BAR 
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ウッディでスパイシーなアロマ。チャーオーク、バニラ、少し焦げたチョコレートクッキーのような甘み。微かにダークフルーツを思わせるアクセントも。力強い香り立ち。

味:メローでメープルシロップやワッフルを思わせる甘味、ほのかにドライクランベリーやチェリーの酸味も伴う口当たり。度数故の強いアタックが余韻にかけて存在感を増し、樽材由来のえぐみを少々感じつつ、ウッディでひりつくようなフィニッシュが仄かな焦げ感と共に長く続く。

ネガティブ要素の少ない熟成感で、パワフルなバーボンだ。少量加水すると少し果実味は減るが、樽と原料由来のバニラの要素がわかりやすい。またキャラメルポップコーンのような甘みと軽い香ばしさも感じられる。
5000円以内でオススメ出来るバーボンの一つ。


ジムビーム蒸留所がリリースするプレミアムブランド。クラフトバーボンの中で、最長熟成品が9年熟成のノブクリークです。
以前はスモールバッチシリーズとして、ブッカーズらと共に少量生産、マスターディスティラーこだわりの逸品を売りにしていましたが、いつの間にかブランド戦略を変更したようです。(知らなかった・・・w)

現在、ノブクリークは限定品を除くとスタンダード、ライベース、そしてシングルバレルの3種があり、全て19世紀の旧連邦アルコール法のボトルド・イン・ボンド(通称・ボンデッド)の区分に基づき50%以上の度数でボトリングされています。
このボンデッドは、現在は廃案になった区分で特段遵守する義務はないのですが、現在のストレートバーボンよりも厳しい基準であることから、一部の銘柄で高品質なバーボンの証明のような位置付けで掲げられています。ノブクリークにはボンデッド表記はありませんが、これこそバーボン本来の姿であるとして、禁酒法前後のバーボンに見られた平べったい形のボトルデザインが採用されています。


さて、今回のノブクリーク・シングルバレルは読んで字の如く単一樽からボトリングされたもの。つまり、60%以下に度数が下がってしまった原酒は弾かれるため、50%加水のオフィシャル通常品より選定条件が一段階厳しいということになります。ノブクリークはバレルエントリーが62.5%。マッシュビルもシングルバレルはスタンダード品と同じ、コーン75%、ライ13%、モルト12%とのことで、純粋に熟成の違いが原酒の選定を左右している模様。)

度数が高い分ボディも厚く樽香もリッチで、通常品で多少感じられるえぐみのような要素は隠れており、しっかりとパンチがある中に、メローで熟成由来のドライフルーツを思わせる甘酸っぱい香味も纏った味わいが感じられる。シングルバレルのほうはイベントでの試飲程度しかしてきませんでしたが、ちゃんとテイスティングしてこれは充分に美味しいバーボンだと感じました。
近年、この5000円以内の価格帯でオススメ出来るバーボンが少なくなって来てきており、今回のテイスティングで、50%未満の加水区分ならターキー13年、ハイプルーフゾーンではこのノブクリーク・シングルバレルが筆頭だなと、個人的な評価を更新した次第。今度家飲み用に1本買ってみたいと思います。

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