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2019年01月

タリスカー 10年 2010年代流通 45.8%

カテゴリ:
TALISKER
Aged 10 years
2010's
750ml 45.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR CAPERDONICH
評価:★★★★★★(5-6)

香り:やや荒さはあるが、ドライオレンジピールやハチミツ梅を思わせる酸味、ピーティーで焦げた木材、塩素、微かに魚介粉末のような要素。

味:荒さの残るピーティーさ、香り同様にアプリコットや微かに梅っぽさを含む酸味、とろりとしたコクが舌をコーティングするように感じられる。余韻はドライでビター、ほのかに焦げたようなウッディネス。スモーキーでスパイシー。

突き抜けるわけでも、スケールが大きいわけでもないが、スタンダードグレード枠として見ると中々完成度が高い。特に若さに通じる要素が上手くカバーされており、近年タリスカーの個性を感じ取りやすい。ハイボールも良好。


数年前にラベルチェンジした、旧ラベルのタリスカー。流通時期としては2000年代後半(2006年ごろ)〜2015年の約10年間くらいだったと記憶しています。
さらに旧ラベルの情報をまとめると、
①1990年代後半から2000年代前半
スカイ島の周りに枠が書かれ、印字が濃い。
②1980年代後半から1990年代前半
10年表記でリリース。マップが半分に分割されたようなデザイン。通称マップラベル。グリーンとブラウン、ボトルカラーが前期と後期の流通時期で分かれている。
③1980年代中頃から後半
TDロゴ廃止。ジョニーウォーカーのロゴが入る。
④1970年代から1980年代初頭
エイジングは8年と12年。TDと書かれたロゴが特徴。通称TDラベル。

以上のような遍歴があります。
タリスカーは1990年代、UD社時代の②
ラベルから国内には一定数入ってきていたため、以降の在庫は相応にあると考えられます。
ですが人気の銘柄ということもあり、現行品から見て旧旧ラベルの①ですら、ヤフオク価格で1万円を越えてきている状況。
今回のボトルはまだ当時価格かちょっと高いかくらいですが、②のグリーンカラー時代や③あたりになると、流石に手を出しにくい。勿論美味いボトルであることは間違いないものの、古ければ・・・というような、過剰に高騰してきている感は拭えません。

(2019年時点、現行品のタリスカー。旧ラベルに比べてドライ、コクが薄くなった分樽感や酒質の荒さが強調された印象はあるが、ハイボールで使いやすい。価格良し、個性良し、流通良し。現行品枠の優等生な1本。)
(②と①、1980年代末期から2000年代に前半流通のタリスカー2種。この2本は樽使い違いか、①は現行路線のスパイシーさが、②はマイルドな飲み口の中に麦感と島系の要素。キャラクターに線引きがされている印象。画像引用:https://blogs.yahoo.co.jp/tsuto2106/9515847.html)

前置きが長くなりましたが、この時代のタリスカー10年は、良くも悪くも現行品とフレーバーに大きな違いはない、まさにスタンダードな仕上がりです。
独特な酸味を伴う香味、ピーティーさはまさに近年のタリスカーの特徴。違いは全体のまとまりがいいというか、ボディに多少コクがあり、それがピートやヨードと樽由来のフレーバーを繋いで、バランスのよさに一役買っている。
先に触れたように、現行品はここがドライで、全体的に荒いというか刺々しいですね。

以前MHDの方から、最近はサードフィルあたりの樽で酒質を活かすように熟成した原酒に、ファーストフィルの原酒を加えて香味のバランスを取っているという話を伺ったことがあります。
例えばファーストフィルがかつては2割だったのが、1割になったら、全体のバランスに大きく影響します。
麦や製造行程以外に要因があるならば、このサードフィルやセカンドフィルの比率が増えてきているのかもしれません。

ロングモーン 1969 GM カスクシリーズ 62.2%

カテゴリ:
LONGMORN
GORDON & MACPHAIL
CASK
Distilled 1969
1989-1990's
750ml 62.2%

グラス:リーデルコニャック
時期:不明
場所:BAR 水楢佳寿久
評価:★★★★★★★★(8ー9)

香り:角の取れたエステリーさ。土っぽさと合わせて熟したパイナップルやパッションフルーツのトロピカル要素と、アプリコットや黄桃などの色づいたフルーツ香が充実しており、グラスの中で発散するように開いてくる。紅茶を思わせるウッディネスも伴う。

味:口に含むとシロップ系の甘味からライチや黄桃、トロピカルな要素を含んだフルーティーさ。ボディはしっかりと厚みと勢いがあり、古典的なシェリー感と麦芽風味も奥から感じられる。
余韻は熟した果実のフェロモンを思わせる陶酔感を伴うフルーティーさとスパイシーな刺激、程よいタンニンを伴って長く続く。 

少し古酒っぽさが感じられたロットだが、本質的には充実したフルーティーさ、1960年代ロングモーンに求める要素がガッツリ備わっているリリース。
少量加水するとさらに熟した果実を思わせるニュアンスが開く。少しアイリッシュ系のトロピカル感も伴うように感じられた。


個人的に1960年代蒸留のロングモーンらしさを語る上で、避けて通れないと感じている1本。久々に飲みましたが、相変わらず素晴らしいですね。
このカスク1969のロングモーンは、度数違い(樽違い)でほぼ同年代詰のものが確か3種類リリースがあり、どれも秀逸な出来。熟成期間は20年少々、樽はリフィル系のシェリーカスクで勿論ソレラから産出されたと思われるもの。今思うと反則とも言えるスペックです。

1960年代蒸留ロングモーンは、トロピカル系統の香味とセットで語られることが多くあります。
ベースにあるのは麦芽風味と土っぽいピートの底支えにした、パイナップルや黄桃などの黄色系の果実のニュアンス。時に熟したような蜜っぽさ、フェロモンを思わせる陶酔感もあるわけですが、それは40年を越えるような長期熟成のものであっても、樽由来のドライでウッディなフレーバーの中で混じり合って主張してくる。シェリー系のリリースが多い1960年代にあって、濃厚なシェリー感でもこの要素がロングモーンたる個性を感じさせる要因に繋がっていると言えます。

その中で今回の60年代で20〜30年熟成あたりのロングモーンは、樽感、熟成感と共に酒質由来の要素も存在感があり、一つのピークに当たる時期だと感じています。
一方1970年代中頃からは、麦芽の変化、あるいは蒸留方式がスチームに切り替わった事なども少なからず影響しているのでしょうか。香味が徐々にドライになり、特に近年はこの酒質由来の要素が弱く、樽感主体なリリースが増えていくことになります。
素材由来で酒質そのものから湧き出てくるような。。。熟した果実から発せられるフェロモンに陶酔させられたかのような。。。まさに失われた味わい。
復活を信じたいものの、やはりこうしたリリースは飲めるうちに飲んでおきたい、今だから出来る贅沢だと思うのです。

マッキンレー 5年 1970年代後半流通 特級表記 43%

カテゴリ:
MACKINLAY'S
Old Scotch Whisky
Aged 5 years
1970-1980's
760ml 43%

グラス:テイスティンググラス
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(5-6)

香り:やや古酒感を伴う、ドライで淡いスモーキーな香り立ち。干草、薄めた蜂蜜、柑橘のワタ。灰っぽさを思わせるピーティーさ。

味:ピリピリとした若い原酒の刺激を伴う香ばしい口当たり。オールブラン、ザラメやべっこう飴、徐々に粘性を感じさせる。余韻はほろ苦く、淡くピーティーなフィニッシュ。

オールドブレンデッドらしいヒネ感は若干あるが、香ばしいモルティーさと淡いピートというクラシックな構成で、素朴だが慣れると親しみやすさを感じさせる。


マッキンレーのブランドエピソードについては、これまでも何度か触れているので今回は省略。構成原酒は熟成年数から逆算する限り、グレンモール、グレンアルビン、ジュラ、クライゲラヒ。
古い時代のものはジュラ系の個性を強く感じますが、この頃のマッキンレーは内陸系のプレーンで若い原酒が、ピーティーなそれを中和する方向でブレンドされている印象で、察するにダルモア。。。というよりクライゲラヒの若いタイプの原酒が結構使われているのではないかと思います。

(マッキンレーのバッテッドモルトがグレンクローヴァである。写真はどちらも同時期流通品。スモーキーで乾いた麦芽風味を主体とする、ジュラやグレンモールを思わせる個性が強い旨いモルトだが、日本にはほとんど入荷しなかった。)

マッキンレー社は元々、グレンアルビンとグレンモールを傘下としていたブレンドメーカーですが、1963年あたりでジュラを約半世紀ぶりに再稼働させ、続いて1967年にはグレンアラヒーを創業させるなど、生産拡張に向けて精力的な取り組みを行なっていました。
今回のマッキンレー5年は、熟成年数表記から逆算すると、それらが結実し、該当全蒸留所の を扱うことが出来た時期に該当します。
これがスコッチ市場の縮小により、グレンモール、グレンアルビンが閉鎖され、マッキンレー社は1985年にインヴァーゴードン傘下となってブレンドの位置付けも変化。最終的には現代まで残る長寿なブレンデッドとなるわけですが・・・その中身はみなまで言わずとも全くの別物なのです。

ちなみに、マッキンレー5年のオールドボトルの見分けは、キャップ部分で見ることができるため一目瞭然です。
樹脂っぽさのあるようなスクリューキャップがリリース初期の1960年代。これは裏面が金属張りなので状態に注意が必要。
1970年代初頭はショート気味で’ツギハギ感の強いキャップ。そして今回の1970年代後半から1980年代初頭のものが、そのあたりのブレンデッドに多く使われている、平均的なスクリューキャップのデザインとなります。
素朴なモルティーさと淡いスモーク、若い原酒の刺激とグレーン由来の甘みと粘性。1980年代後半からは作り手も変わるため、オススメは今回の時代まで。少々通好みですが、最近の市場価格からすれば、お買い得なブレンデッドだと思うのです。

ジョージディッケル タバスコバレルフィニッシュ 35%

カテゴリ:
GEORGE DICKEL
TABASCO BARREL FINISH
CASCADE HOLLOW DISTILLERY
750ml 35%

ラベルデザインも中身も衝撃的。テネシーウイスキーのジョージディッケルを、タバスコを作る際に用いられた樽で30日間フィニッシュした意欲作です。
「あ、タバスコって樽熟成するんだ」と思ったのはきっと自分だけではないでしょうが、それ以上に「意欲作」という表現が美辞麗句に聞こえてしまうのも、自分だけではないと思います。

外観はタバスコのジャンボボトルと見間違えてしまうような違和感のなさ。少なくともジョージ・ディッケルという銘柄を知らなければ、フレーバーウイスキーの一種であることすら気付けないかもしれません。
ラベルもさることながら、ネックのグリーンカラーと赤の配色が、見るからにタバスコのそれなのです(笑)。

(並べて見るとさらに際立つ一体感。見るからに辛そう。画像引用:Instagram George Dickel)

香りで感じるのはバーボンのそれではなく、タバスコ特有の酸味。これはタバスコそのものが混じってるのではないかと警戒心が高まる。
覚悟を決めて口に含むと、意外にメローで穀物由来のアメリカンウイスキーらしい甘みが一瞬感じられた後、刺すようなスパイシーさと酸味が一気に口内を支配する。 
余韻は文字通りホットでスパイシー。まさにタバスコ。。。


なんの罰ゲームだよ。と恐る恐る飲みましたが、あれ、意外に悪くない、っていうか面白い? 
甘みから辛さへ、この味わいの方向転換は唐辛子チョコとかお菓子にも似たようなのがあった気がしますが、これはこれでアリかもしれない。 デザインのインパクトで警戒したものの、思ったより嫌な味ではなく普通に飲めてしまいました。

ベースのウイスキーはNAS仕様で熟成年数は定かではありませんが、スタンダードのジョージ・ディッケルと同じくらいは熟成されている印象です。
これならピザやパスタ、あるいは肉料理と一緒に飲むのは勿論、ブラッティーマリーにウォッカの代わりとして使用するなど、カクテルベースに使っても面白そう。流石にマンハッタンやミントジュレップは、これで作って欲しくないですが(笑)。

調べて見ると、過去にソサイエティがホットスコッチソースなるタバスコ樽でブレンデッドスコッチをフィニッシュした試験的なものはあったようですが、一般にリリースされたのはこのジョージディッケルが初めてではないでしょうか。(ウイスキーではないですが、サザンカンフォートからは同系統のリリースがある模様。)
こんなものリリースしてしまうなんて一見すると狂気の沙汰。しかし、狂気の沙汰ほど面白い。これを輸入した田地商店さんの心意気にも拍手です!!

秩父 ピーテッド 2018 イチローズモルト 55.5%

カテゴリ:
CHICHIBU
THE PEATED 2018
Ichiro's Malt
Bottle No,1220/11550
700ml 55.5%

グラス:グレンケアンテイスティング
時期:開封後1ヶ月程度
場所:ロイヤルスコッツマン
暫定評価:★★★★★(5-6)

香り:樽由来のキャラメル、バニラ、オレンジジャムなどを感じさせるウッディなニュアンスと、強く燻したようなスモーキーさ。奥にはハッカやハーブ、微かに沢庵のような酸味を伴う。

味:刺激の残る口当たりからしっかりとピーティー、熟したグレープフルーツや色の濃い蜂蜜、樽由来のフレーバーが粘性を持って舌に乗ってくる。
余韻はウッディでドライ、蓄積するスパイシーさやえぐみ。ピーティーさと共に香り同様ハッカのようなニュアンスがあり、一体感を欠くが長く続く。

樽由来の香味とウッディネスが強く出ており、バーボンバレル系の樽感とピートフレーバーが主体の味わい。一方で短熟であることに変わりはなく、酒質部分の荒さや鋭さ、樽感との馴染みの弱さが、フレーバーのばらつきに繋がっているように感じられる。 



しばらく見ていないなと思っていたら、2017年はリリースがなかった秩父蒸留所のピーテッドモルト。これまでは4~5年熟成の原酒をバッティングして、6000本程度がリリースされていましたが、今回は創業10周年をかけてか、蒸留時期の表記はない形で約2倍近い本数がリリースされています。

秩父ピーテッドのピートレベルは、ラフロイグやキルホーマンとほぼ同じ50PPM。純粋に2年分のストックでリリースしたということなのか、あるいはさらに幅広く、2011〜2013年あたりの過去の樽も含めてバッティングしたか。ピーティーでありながらこれまでのリリース以上に濃い樽感も備わった仕上がりとなっています。 

一方、秩父の酒質のクリアさというか独特の酸味やハッカのようなハーブ感は健在で、樽とピートの間をつなぐ要素が細く、バッティングで上手くまとめてはいるものの少し取っ散らかったような印象も持ちました。特にグラスで時間をかけてると出てきちゃいますね。
この辺がピートの有無に関わらず、秩父らしさと言えばらしさであるのですが。。。


前作、2016をテイスティングした際は、5年弱でこのくらいなら、10年熟成くらいは耐えるかもと予想していたものの、今回のリリースで改めて復習させてもらうと、樽の濃さが増す経年変化に対して酒質の追従が遅れており、ピークはもう少し早いかもと、認識を改めさせられる内容でもありました。
たまに突然変異はあるのですが、初期の頃の原酒は特に今後も扱いが難しそうです。

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