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2018年12月

ハロッズ デラックスブレンデッド 黒ラベル  1980年代流通 43% 特級表記

カテゴリ:
HARRODS
DELUXE BLENDED SCOTCH WHISKY
1980's
750ml 43%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:お酒の美術館 神田店
暫定評価:★★★★★★(5-6)

香り:ツンとしたアタックと合わせてオールブランのほろ苦さと軽い香ばしさ、奥にはにオレンジピールチョコや微かにレーズンなど樽由来のニュアンス、メンソールを思わせる要素も感じる。

味:しっかりとした骨格のある口当たり。ブラウンシュガーやカルメ焼きの甘さ、オレンジピール、焦がしたクッキーのようなビターさ、微かにピーティー。余韻はピリピリとスパイシーで、ほろ苦くすっきりとしている。

ベースとなる香味は比較的力強く、このラベルは樽由来の要素も強い、がっしりとしたウイスキー。少量加水するとマイルドで飲みやすい口当たりからの広がりは及第点。他方でハイボールはあまり向かないようである。


イギリスの大手デパート、ハロッズが自社名義で販売するためにホワイト&マッカイに外注していたブレンデッド。
ソニートレーディングが1970年代に輸入した白ラベル(写真左)から、1980年代には今回のボトルであるやや緑がかった黒ラベルにチェンジ。並行して12年、15年、21年がリリースされ、特級時代末期まで辿ります。

構成原酒と考えられるのは、ホワイト&マッカイ傘下のダルモア、フェッターケアン、トミントール。ダルモアをベースにトミントールのキレの良さ、でしょうか。
白ラベルの方は、樽感が比較的プレーンで余韻にかけて穀物由来の風味が残るような構成でしたが、今回の黒ラベルはベースは同じでも樽感が強く、全体的にがっしりとしたような印象を受ける味わいです。ホワイト&マッカイのほうがソフトというか、スウィートな作りなので、ブレンドの違いを感じる構成ですね。

一方白と黒での構成の違い。単に発注仕様の違いとしてしまうのは考察にならないので、時代背景等から考えると・・・。ホワイト&マッカイの製法にはシェリー樽を使ったダブルマリッジがあります。スコッチウイスキー業界にシェリー樽(中でも濃厚なタイプ)が潤沢だったのは1960年代と言われており、これを10〜20年程度の熟成に1〜2回使った後、ブレンドの熟成用、マリッジ向けにリフィルの樽を回したとすれば、シェリー感の残滓で70年代のものより80年代のほうが樽感が強くなったなら、違和感はありません。

いずれにせよ、どちらのリリースも一定のレベルであり、後はどういうタイプが好みかで選べば良い。
同年代流通のホワイト&マッカイそのものとの飲み比べも面白いと思います。

モートラック 23年 1995-2018 萌ボトル第一弾 46% 仙道ますみ書き下ろし

カテゴリ:
MORTLACH
BAR LEMON HART PB
Aged 23 years
Distilled 1995
Bottled 2018
Cask type Hogshead
700ml 46%

グラス:テイスティンググラス
場所:BAR LIVET
時期:開封後1ヶ月以内
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:華やかで乾いたオーク香主体のアロマ。干草、ジンジャー、ココナッツやドライパイナップルをフルーティーさ。時間経過で麦系の要素も伴う。柔らかい香り立ちだが芯がある。

味:ややドライな口当たり、薄めた蜂蜜、熟したアプリコットや洋梨を思わせる品の良い果実味、微かに青みがかったニュアンスや、奥にはまろやかな麦芽風味。
余韻は程よくドライ、華やかでオーキー、黄色い果実がフェロモンを連想させる戻り香を伴い長く続く。

ホグスヘッド熟成らしいフルーティーで華やかな香味が主体。本来ならもっとドライなウッディさが残るはずだが、厚みのある酒質が底支えになり、突き抜けない代わりに加水で綺麗に整えられた美味しさが魅力。
飲んでからラベルを改めて見ると、なんとなく引き寄せられるように感じるのは自分だけではないだろう。(特に男性陣)


先月BARレモンハートのPBとして、一部BAR関係者を中心に販売された、なんとも目を引くラベル。
既に第二弾が計画されているとかないとかですが、第一弾は成年向け漫画を主に手がけている仙道ますみ氏による、リベンジHの主人公・鈴音秘芽子と思しきキャラクターが書かれた1本です。

絵画、猫、漫画、そして今回の萌え系のラベルは、近年のウイスキー業界(特に日本の)でトレンドの一つになりつつあるジャンルです。
個人的にこれらのリリースの一部には、内容と関係のない組み合わせに疑問を感じる気持ちが無いと言ったら嘘になりますが、古くはムーンインポートなどボトラーズリリースで見られた手法にして、味で「まあこういうのもあるか」と納得させてくれるモノがあるのも事実。

今回のボトルもその中身の話をすると、「普通に美味い」という表現が偽りないところ。
モートラックでホグスヘッドという組み合わせでは、過去にも同様な系統の香味を備えたリリースはありました。ただ、モートラックは麦感がしっかりしてボディも厚く、樽に負けない強いウイスキーであるため、加水されても崩れず、このボトルは樽感も酒質もちょうどいい具合で仕上がっているのです。

これを原作を知らない人が飲む分には、上記のようにボディを残しつつ綺麗に整った美味しさに、成る程ラベルに書かれたイラストにもリンクするようなボトルじゃないかと感じる。
しかしリベンジHはエロスと復讐劇が合わさった、多少ダーティーなストーリーです。キャラの位置付けを知ってる人が飲むと、口当たり柔らかくとっつきやすいが、この奥にはどんな罠があるのか。。。この表情の意味は。。。なんて二面性を秘めたボトルとなるように感じます。(古いネタですが、なつ◯STEPみたいな。)

余談ですが、今回の萌えボトル(スウィートギャラリー)のコンセプトは、「バックバーに恥ずかしくて飾れないボトル」。話のわかる常連にこっそり出すというものだったそうですが、流石新宿、普通にバックバーどころかカウンターに鎮座(笑)。お出迎え頂きました。
なおBARではカウンターにあるボトルを勝手に開封することはもちろん、断りなく手に取ったりすることもNGな作法であるわけですが、このボトルの場合は2つの意味で「おさわり厳禁」であると言えそうです。
いずれにせよ味もよくラベルも見応え?がある、面白いリリースですよね。

ロブロイ 10年 1980年代流通 43% 特級表記

カテゴリ:
robroy-10-years-tasting
ROB ROY
10 years old
Fine Old Deluxe Quality Blended Scotch Whisky
1980's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライだが素朴な麦芽や穀物香、カルメ焼きを思わせる甘さと香ばしさ、微かにオレンジピール、奥にはスモーキーさがあり、時間経過で開いてくる。

味:香り同様に香ばしさと古典的なモルティーさ。薄めた蜂蜜、鼈甲飴、ポン菓子のような香ばしさ。素朴だがボディのしっかりとした味わい。余韻はビターで少しスパイシー。強く染み込むようなピーティーさ、スモーキーな個性が主張している。

ボウモアというよりグレンギリー系統の構成。香りはそれほどでもないが、味の強いしっかりとした構成で、余韻は特にピートのニュアンスが強く感じられるのが特徴的。ハイボールはすっきりとして、嫌な癖がなく、飲み込んだ後でピーティーさが柔らかく残る。

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かつてボウモア、グレンギリー、オーヘントッシャン蒸留所を所有していた、モリソン・ボウモア社。そのモリソン社が1980年代初頭にリリースしていたブレンデッドが、ロブロイ10年と12年です。
紹介出来てない時期のボトルで、個人的に宿題としていましたが、年内にレビュー出来て良かったです。

今回のボトルがリリースされた時期だと、同社の所有原酒はボウモアとグレンギリーが確定。1984年に買収するオーヘントッシャンは、ひょっとするとギリギリ傘下に入っていたかもしれませんが、定かではありません。ただ、余韻にかけて感じるピリピリとしたシャープな刺激が、オーヘントッシャンなどのローランドタイプのモルト由来とも考えられます。

さて、今回の記事では少々マニアックではありますがモリソン社とロブロイの関係について、ラベルに書かれた社名から紐解いていきます。
このロブロイのラベルに書かれている"Morrison Howat Distillerys"の社名。1935年に創業したStanley・P・Morrison社とボウモア蒸留所との関わりは1963年からで、ロブロイをスコティッシュトレーディング社から取得したのは1967年、グレンギリーは1970年代に入ってからです。
その間、会社はStanley・P・Morrison社として存在し、1987年にMorrison Bowmore社へと社名を変更します。

ところが、1970年代から80年代の間、ラベルの表記はStanley・P・Morrison社だけでなく、Morrison Howat Distillerysや、よく見ると「’s」が入っていて微妙に違うMorrison's Bowmore Distillery。なぜかスコッチウイスキー部門が強調されるMorrison Bowmore (Scotch Whisky) Limitedなどのリリースがあり、同時期の社名とラベル表記が同一にならないケースとして、同社関連のオールドボトルの流通時期表記がサイトによってまちまちになる要因の一つであるように思います。

Morrison Howat Distilleryに限って言えば、1971年、ブレンダーとしてもブローカーしても活躍したスタンレー・P・モリソン氏が亡くなったあと、会社を支えた2名の主要人物の名前から取られたと考えられる名義であり、リリースの傾向から主に海外への輸出を担当していた関連会社ではないかと考えられます。
こうして社名から見ていくと、ロブロイはざっくり10年刻みで
1960年代:Scottish Trading Company
1970年代:Stanley・P・Morrison
1980年代:Morrison Howat Distillerys
1990年代:Morrison Bowmore Scotch Whisky Limited
関連の表記がされていることで整理できると考えています。

70年代以前のロブロイは輸入業者の関係でほとんど日本に入ってきていませんが、海外オークション等から買い付けてバックバーに入れているBARもあるようです。
オーダーの際には、ラベルの社名に加え、同時期の所有蒸留所との関係がどのようにフレーバーに現れているのかを注目しながらテイスティングしてみるのも、オールドブレンドの楽しみ方だと思います。

グレンマレイ グレンリベット 22年 ケイデンヘッド 1980年代流通 46%

カテゴリ:
GLEN MORAY - GLENLIVET
CADENHEAD
Black Dumpy Bottle
Aged 22 years
Distilled ??
Bottled ??
750ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:持ち寄り会@KuMC
暫定評価:★★★★★★(6-7)

香り:こなれた麦感を主体とした柔らかく芯のあるアロマ。藁小屋の乾燥したニュアンスをウッディネスに感じつつ、漬け込まれたはちみつレモンや熟したリンゴの蜜っぽい果実香。微かに土っぽいピーティーさもある。

味:香り同様の構成。こなれた麦感から干草、リンゴのコンポートなど角の取れた果実味に繋がる。奥行きがあって粘性を伴うマイルドな口当たり。
余韻はドライでほろ苦く、乾いた麦芽、ほのかなスモーキーさを伴う。

厚みのある麦感と蜜っぽいフルーティーさ、微かなピート。加水と経年でマイルドに仕上がった構成で、程よい熟成感も感じられる。特段突き抜ける味わいではないが、しみじみうまく、らしさのあるボトルである。


近年益々伝説のボトルと化しつつある、ケイデンヘッドの黒ダンピー時代。多くのリリースが行われたこととネットのない時代だったこともあり、困ったことに今回のボトルは海外サイト含めてこれでもかというほど情報がなく、蒸留年、流通年ともに不明という有様。。。

持ち寄り会でのテイスティング時にはフェイク疑惑すらあったボトルですが、飲んでみると少なくともオールドの内陸系モルトであることは間違いないという印象。熟成も年数表記相応に感じられて、グレンマレイか、最悪スペイサイドモルトであることは間違いなさそうです。
この他のスペックは、香味から察するに、樽はアメリカンオークのリフィルのシェリーバット。蒸留は1965年あたりのものではないかと予想します。

ケイデンヘッド社のリリースは、当時ドッカン系のシェリーバットが主体だった中で、今回のように樽感よりも酒質の個性を出していくような構成が、当時も今も愛好家に評価されてきた経緯があります。
マイルドで経年によってこなれた香味は、樽感程よく酒質由来の部分があり。その酒質ベースもロングモーンやベンリアックなどのトロピカル傾向ではない、スペイサイドらしい洗練された仕上がりが、らしいボトルだなと感じるのです。

963 ダブルマチュアード 46% 福島県南酒販

カテゴリ:
963-double-matured
963 DOUBLE MATURED
MALT & GRAIN FINE BLENDED WHISKY
Release in 2018 

グラス:SK2
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度

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RED 500ml 46%
評価:★★★★(4)

やや焦げ感と樽由来の溶剤っぽさを伴うビターなアロマ。オレンジピール、微かにナッツ、時間経過でグレーン感が前に出てくる。若さ由来の酸味を伴う口当たりだが、余韻はほろ苦く奥には蜂蜜を思わせる甘みもある。

安価なブレンデッドにはない香味の起伏があるものの、それは言い換えればばらつきというか、まとまりのなさとも言える構成がこのボトルには感じられる。通常品は若い原酒のライトな構成で、そのベースに後熟の分の樽感が暴れている印象。

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BLACK 500ml 46%
評価:★★★★★(4-5)

チャーオーク由来のワックス感交じりのウッディネス、香り立ちはあまり強くはないが焦げた樹皮のようなスモーキーさがほのかに混じっている。
口当たりはピーティーでビター、焦げ感の奥にはグレーン由来の穀物感、ピリピリとした舌あたりに原酒の若さも多少感じるが、樽感でマスクされている。
余韻はスモーキーで根菜のようなニュアンスの混じるドライなフィニッシュ。

通常品はピーティーでクリア、若いカリラを思わせる味わいで、ハイボールに使いやすい印象であったところ。ダブルマチュアードはクリアな部分に樽感が加わり、これはこれという仕上がり。ロックで飲むとちょうど良い。

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AMBER 500ml 46%
評価:★★★★★(5)

オレンジキャンディーや蜂蜜を思わせる甘いアロマ。合わせて焦げた木材、シトラスのような少し尖った印象のある柑橘感、若いバーボンのような溶剤とウッディなえぐみを伴うニュアンスも。
口当たりは少しべたつきがあり、蜂蜜とシュガートースト、オレンジママレード。徐々にビターでピートの存在感。微かにスモーキーさも伴う。

焦げ感のある樽香と甘み、全体としては序盤は赤、終盤は黒に通じる要素がある一方、そのままだと樽感と合わせて荒い作りだったところ。シェリー系の原酒だろうか、それらを繋ぐ軸として仕事をしている印象を受けた。こちらもロックに使いやすい。

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福島県南酒販がギフトシーズンに向けてリリースした、963ブランドのアレンジ品と新商品。3本セットで同社WEB以外にビック酒販などでも販売されています。
同シリーズは、先月のウイスキーフェスティバルでもブースで展開されており、ツイッターなどに書かれた感想は概ね良好だったようです。

アレンジ品となる963赤ラベルと黒ラベルのダブルマチュアードは、それぞれ該当するブレンドをバーボン樽で再貯蔵したもの。日本の熟成環境からか比較的濃い樽感と共に、リチャーの影響か全て焦げたようなニュアンスを伴う味わいです。
今回は違いがわかりやすいよう、通常品(※ギフトセットには付属しません)と比較もしながら、テイスティングしてみました。 

赤ラベル、黒ラベル共に通常品はボディのそこまで厚くない、プレーンで若い輸入原酒主体のブレンドです。
どちらも追熟による樽感は強くあるのですが、黒の方がまとまって感じられ、赤の方がギラつくのは、樽の個体差というよりピートでカバーされている部分が大きいのかもしれません。
特に開封直後は後付けの樽由来の要素が目立っており、1ヶ月程度経って多少落ち着いてきた印象。

一方、新商品となるアンバー・ダブルマチュアードは、スペイサイド系の原酒をベースとした赤、アイラ系(というよりピーティーなハイランドか)の黒という2つのキャラクターのあわせ技と言える構成に、両者にはあまり使われていなかったシェリー系の原酒が加わっているのか、該当するニュアンスと共に幾分重みのある香味に仕上がっています。 
若い原酒の荒さはあるのですが、余韻にかけてのじわじわと広がるピーティーさは 、スコッチのブレンドにみられるキャラクターで、上手く作ってあるなと思います。


クラフトディスティラリーは大手メーカーほど原酒の種類がありません。
その中でスタンダード品を安定してリリースさせつつ、限定品も作らなければならない。難しい立場にある中で、ベースは同じでもフィニッシュで少し目先を変えるというのは有効な方法と言えます。

昨年、今年とリリースされた963ミズナラウッド17年は、ファースト、セカンドリリースともに中々の出来。ウイスキーの味の6割が樽によるものとすれば、これに習って例えば現地で育った栗や桜などの木材を後熟樽に使うのは、独自性を出せるテーマであり、探求することで各地の個性あるリリースに繋がるのではと感じています。

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