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2018年12月

グレンブレア 12年 ピュアモルト 1990年代流通 43%

カテゴリ:
GLEN BLAIR
PURE MALT
12 Years old
1990's
750ml 40%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:お酒の美術館 神田店
暫定評価:★★★★★★(6)(!)

香り:注ぎたては蜂蜜や麦芽風味を感じるが、合わせてしっかりとピーティーでスモーキーなニュアンスが開き、支配的になっていく。

味:口当たりはピーティーで、クリアな麦芽風味、干草、塩気、ドライな刺激、オイリーなコク、からスパイシーなフィニッシュへ。戻り香にはヨードや磯臭さもある。

樽感はそこまで強くないが、しっかりとしたコク、少し癖のあるハイランドタイプの麦感、島系のスモーキーさと特徴のあるモルトウイスキー。無名だがレベルの高い1本。こういうボトルがあるからオールド探求は面白い。


原酒不明のブレンデッドモルトですが、前述の通り若いなりに完成度の高さが光る通好みの銘柄。それも結構素性のいいモルトが使われているようで、その証拠に開封から1週間しないうちに、来店したコアウイスキーラヴァー達に飲み尽くされてしまったのです。
もう1杯くらい飲みたかったなあ。。。

製造するバーンスチュワート社は、近年はブレンデッドウイスキー・ブラックボトルをリリースするメーカーとして、ウイスキー好きな方なら一度は聞いたことがあるかもしれません。
ただ、それは2003年からのこと。このグレンブレアがリリースされた1990年代初頭は規模を拡張しようと動いていた時期にあたり、所有蒸留所はまだディーンストンのみ。
1993年にトバモリー蒸留所を買収し、2003年にブナハーブン、そしてブラックボトルの版権も手中に収めたという流れです。

さて、これでこのグレンブレアがオイリーさのある麦芽風味主体のウイスキーなら、はいはいディーンストンねと、なんの違和感もなかったのですが。。。その構成はテイスティングの通りスモーキーでピーティー、強いアイラ要素が前面に感じられます。
ディーンストンでもトバモリーでもない(ヘビーピートなレダイグに至っては2007年から)、いったいなんの原酒が使われているのかが最大の謎でした。

キャラクター的にはちょっとクリアでピーティーで、酒質はオイリーさがあってスピシー。ブナやラディはまずありえないし、ボウモアでもラフロイグでもなく、1980年前後の蒸留からアードベッグも困難。ラガヴーリンが他のグループ企業に提供されているとは思えず、あると言えばカリラか。
現時点でこのうちのいくつかから絞り込むに足る、確たる情報はないのですが、味からぱっと連想したのはタリスカー。個人的にはカリラよりタリスカーと思える香味なのです。

調べて見ると、トバモリーとタリスカーは薄いながら繋がりがあるようで、ひょっとすると原酒の融通もあるかも。
またもう一つが、バーンスチュワート社は会長が元ハイラムウォーカー社のマネージャーだったようで、この繋がりで良質な原酒を手に入れたか。。。
しかしまあ何と言っても美味しいピーティーなモルトで、オークションで無名銘柄相応の価格に落ち着くなら、普通に3本は購入したいと考えたのは、率直な評価です。

バランタイン 30年 1990年代流通 43%

カテゴリ:
BALLANTINE'S
Very old scotch whisky
Aged 30 years
1990's
750ml 43%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:ややドライだが、角の取れたニュアンスを伴うエステリーなアロマ。林檎のカラメル煮、熟した洋梨を思わせる柔らかい華やかさ。奥にはスモーキーなピート香も感じられる、バランスの良い香り立ち。

味:スムーズでマイルドな口当たり。濃く入れた紅茶と洋梨のタルト、ほろ苦く乾燥した麦芽、中間はカステラのようなグレーン由来の甘み。余韻はオーキーな華やかさ、心地よくドライでビター。ピーティーで染み込むように長く続く。

長期熟成による熟成感がしっかりと備わっている。少し中間が軽い印象もあるが、多彩な香味がバランス良く整った味わい。奥に感じられるスモーキーさがスコッチウイスキーらしさに繋がるいい仕事をしている。


日本ではサントリー・アライド社時代のバランタイン。1980年代後期からのスタイルは、それまでのオールドシェリーとピーティーでこってりした構成から、エステリーで林檎や洋梨のお菓子を思わせるオーキーな華やかさ、フルーティーさがメインとなり、徐々に樽感やピートフレーバーがライト路線へとシフトしていく傾向が見られます。

(1980年代前半流通品。伝統的?にブラウンカラーのボトルが採用されて来た30年で、唯一のグリーンカラー時代。強いスモーキーさと複雑さ、品のいいシェリー感。個人的に是非一度飲んで欲しいバランタイン。)

(バランタイン30年赤青紋章ラベル、1970年代流通。先日ブラインドテイスティングの出題を頂いた際は、しっかり備わったシェリー感とスモーキーさに、赤玉リベットの20年前後とミスリード。。。)

今回のロット、原酒は腐っても1960年代蒸留の黄金期。現行品とは異なるモルティーさがあります。また、アイラ系のスモーキーなモルトではなく、ミルトンダフなどのハイランドタイプのモルトが中心と思われる香味構成ですが、少しボディが軽く感じられるのはグレーン由来でしょうか。

樽は恐らくシェリーカスクのセカンド、サードフィルがメイン。角の取れたアメリカンホワイトオークの華やかさと、モルティーさの合わさったフルーティーさは、短熟のファーストフィルバーボン樽のような華やかだがギスギスした感触やえぐみを伴う系統ではなく、長期熟成こそのマイルドで整った味わいを構成しているのです。
こういうボトルが家に1本あると、飲み疲れずどう飲んでも美味しく、結果使い勝手がいいように感じます。


さてバランタイン30年は、これで1960年代以降全ラベルをコンプリート。。。と思ってカテゴリーを見直すと、2000年代の700ml表記が足りないことに気がつく。
また、最近カスクエディションなるものもリリースされている模様。バランタインの旅は、まだもうちょっとだけ続くようです。

タリスカー 11年 1988-1999 OMC 50%

カテゴリ:
TALISKER
OLD MALT CASK
Aged 11 years
Distilled 1988 March
Bottled 1999 June
750ml 50%

グラス:リーデルコニャック
時期:不明
場所:BAR Sandrie
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:度数を感じさせない柔らかい香り立ち。バニラとオレンジやレモンを思わせる柑橘感、焦げた干草のような麦芽香とスモーキーさ、微かに魚介系のニュアンス。

味:出汁感のあるオイリーでコクのある口当たり。バニラ、乾いた麦芽風味、合わせてピーティーで焦げた干草を思わせるスモーキーさが鼻腔に抜ける。
余韻はピリピリとスパイシー、オイリーな要素が舌を包むように長く続く。

若いボトルだが嫌味な要素はなく、むしろ経年変化もあって柔らかくしっとりとした香り立ちと、コクのあるボディが特徴的。樽感はプレーンなタイプで、UD系のキャラクターを思わせる酒質ベースの仕上がり。少量加水するとまったりとした甘みとコクが引き立つ地味美味い系モルト。


確認したい事があってオーダーした、1980年代蒸留のタリスカー短熟ボトル。
というのも、一つはタリスカー8年がリリースされ、短熟タリスカーのキャラクターの指標に一つにしたかったこと。そしてもう一つが、"グレンブレア"という正体不明のピュアモルトを飲んだ際、その味がどうも昔のタリスカーではないかという香味で、近いビンテージのものを復習したかったから。
探していたところ、サンドリエさんにちょうど良いボトルがあったのです。

(バーンスチュワート社が1990年代初頭にリリースしたグレンブレア12年ピュアモルト。島系のスモーキーな味わいだが、当時の同社所有蒸留所にスモーキーな個性のものはなく、主要原酒は謎に包まれている。おそらくタリスカーではないかと予想。)

グレンブレアの件のついては、後日同ボトルのレビュー記事でまとめるとして。。。
このOMCのタリスカー、樽感はプレーンですが、過度な荒さはなく酒質由来の香味もわかりやすい、素性の良い短熟タイプのボトラーズです。おそらく樽出しは60%くらいだったんでしょうけど、OMC特有の50%加水が効いて、良いまとまり具合です。
先日リリースされた8年とも共通項があり、時代による差はあれど、タリスカー蒸留所の個性が安定していることを感じる指標にもなるボトルだと思います。

ちなみのOMCでタリスカーと言えば、タリスカー名義を使用することを回避するため、タクティカルというブランド名でリリースされていたことで知られています。
ところが今回のボトルはタリスカー。時期が違うのかと思いきや、このボトルとほぼ同時期の2000年リリースでタクティカル表記があり、また最近になってタリスカー表記に戻ったような感じです。

1990年代後半と2000年代で何があったんでしょうか。UDからディアジオへの切り替わりは1997年でタイミングが合わないですし、何よりGMやケイデンヘッドは普通にリリースしてるんですよねえ。
どーでも良いですが、ちょっと気になるウイスキー業界の謎なのです。

バランタイン 17年 1990年代流通 43%

カテゴリ:
BALLANTINE'S
17 Years old
Very old scotch whisky
1990's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(5-6)

香り:バニラやナッツを思わせる樽香。干草や軽い穀物香、蜂蜜、林檎のコンポート、柑橘のワタ、内陸系の特徴が主体だがほのかなスモーキーさも感じられる。

味:マイルドな口当たり。麦芽風味とピーティーなほろ苦さ、微かにオレンジピールと薄めた蜂蜜、中間はグレーンを思わせるマイルドさ。余韻はややビター、焦げた樽香、微かにスモーキーでピーティーなほろ苦さを伴う。

意外に樽感が強いが、全体的には穏やかでまとまりのあるブレンド。加水するとさらに飲み口が柔らかく、麦芽風味が開くように感じられる。ハイボールはすっきり系で、可もなく不可もなしだが、食中に使うなら案外これくらいの方が良いのかも。


1990年代、アライド・メドック社傘下時代のバランタイン17年。
日本ではこの頃からサントリーが取り扱っていましたが、バブル崩壊に加えて酒税法改正で安価になったことで逆に日本におけるブランド価値が下がってしまったという、不遇な時代のボトルでもあります。
まあロット差を除けば、何かが変わったわけではないんですけどね。

この時期の見分けとしては、1990年代後半ないし2000年代になるとキャップシールの色が変わるので、そこで見分けるのがポイントとなります。
一方古い時代、1980年代との整理ですが、これが難しい。1980年代初頭はキャップシールのロゴデザインが異なるので見分けられますが、1980年代後半と1990年代の境界は、日本向けや免税向けなどで明確に表記がされている場合を除き、表裏のラベル、キャップシール、全て同じだったりするのです。

まあ80年代後半から90年代初頭で無理に線引きをしようとするのは、酒税法改正の概念がある日本だからで、バランタイン社としては細かいこと気にすんなってことかもしれません(笑)。
とりあえず以下の通りの整理で、1980年代後半からの5〜10年はふわっと認識して貰えればと。

(同じく1980年代後期から1990年ごろ流通のバランタイン。度数表記でGLと%Volの違いが見られるが、流通先の違いであり、どちらが古いとはこの時期のラベルは整理出来ない。)

(1980年代最後期流通(左)と、1980年代初頭流通(右)。簡易な見分けは、キャップシールに描かれたロゴの違いがある。)

香味は熟成感があってバランスが良い。ボディは軽めですが、グレーンは強すぎずモルティーな個性も随所に感じられ、下手なオールドのエントリーグレードより使い勝手の良いボトルと言えます。

他方、この80年代後半から90年代前半のバランタインは、不思議なことにパフューミーなニュアンスを多少持っているロットがあります。
以前テイスティングした1980年代後期の並行品(上記特級表記ボトル)など、モロそうしたニュアンスが出ていて、思わず閉口してしまったほど。確認のために購入した写真の43GL表記のあるボトルにも、淡く該当するニュアンスが。。。

一方今回のボトルは問題なく、香味構成も樽香が強めに感じられるなど、当時のアライドグループが所有する原酒で何があったのか、探究心を擽られます。
少なくとも、1970年代前半蒸留で該当する蒸留所はグレンタレットかエドラダワーくらいしかないのですが、グレンタレットは旧エドリントン系列。可能性があるとすれば2001年までペルノリカール傘下で、後にアライドが合流して一時期同門となるエドラダワーですが、ちょっと時代が合わない。

このように、現行品に比べモルトの香味が強いことの多いオールドブレンデッドは、キーモルトを時代背景や香味から予想し、あーでもないこーでもないと考えることが、マニアックな楽しみでもあるのです。ああ、今回も満足です(笑)

ボウモア 12年 1980年代流通 ダンピーボトル 43%

カテゴリ:
BOWMORE
Aged 12 years
Islay single malt
1980-1990's
1000ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:個人宅持ち寄り会
評価:★★★★★★★(6-7)

香り:トップノートは華やかな熟成香、蜂蜜や熟したリンゴ、合わせて淡いヨードや塩素、じわじわと土っぽいピーティーさが開き、アイラ要素を強く感じる。

味:マイルドで柔らかい口当たりから熟した洋梨を思わせるエステリーさ、軽く香ばしさのある麦芽風味、染み込むようなピーティーさ。余韻は淡くトロピカルフレーバー、スモーキーで染み込むように長い。

フルーティー&スモーキー。アイラ要素に加えて、熟成したスペイサイドモルトのようなフルーティーさ。加水するとマイルドというか水っぽさが強く、微かに鹸化したようなニュアンスが舌に残るため、ストレートでじっくり楽しみたい。


先日モリソン時代のグレンギリーを記事にしましたので、その流れで今日はほぼ同時期流通のボウモア、ダンピーボトル。ボウモアのオールドと言えば、まず連想されるのがこのボトルというくらい、有名なリリースの一つですね。一度は飲んだことがあるという方も、多いのではないかと思います。

この形状のボウモアは、デラックス表記のものと、12年表記、そしてあまり知られていない8年ものの3パターンがあり、全体では1970年代から1990年ごろ、モリソン社傘下時にリリースされたもの。
オールド系の情報では1980年代とざっくり表記されることが多いですが、12年表記の方が近年寄りのロットで、今回のボトルは1980年代後半、最後期の免税向けと見るのが妥当と思われます。

今回のロットはマイルドな口当たりから、フルーティーさは洋梨系のキャラクターを主体に淡くトロピカル。染み込むようなピーティーさで、60年代前半の南国感全開!というキャラクターではなく、1960年代後期から70年ごろの蒸留を思わせる構成です。
過去の経験と照らし合わせると、モノによってはトロピカル系のニュアンスがはっきり出てるボトルもあるため、おそらく同じ12年でも時期が微妙に違うのでしょう。

ここで残る謎が流通時期と熟成年数、そして蒸留時期のキャラクターが合致しないことにあります。
というのも、ボウモアのパフューム香は1973年蒸留の辺りから姿を見せ始め、1970年代後期から1988年蒸留ごろまでは完全にパフューム系のキャラクターが出ていた時期に該当します。
今回のボトルの流通が1980年代前半とかであれば、マイナス12年しても違和感はなく。他方で、先に推測した通り1980年代後半とすると、キャラクター的にはパフューム時代に該当するはずで、5〜10年間のギャップがあるわけです。

ボウモア・ダンピーボトルの1970年代から1980年代中頃流通となるデラックス表記は、キャップが金属張りで、違う意味で悪夢を見た愛好家も少なくないですが。
味を変えないために同じような原酒を選んで、例えば12年と言いつつ18年前後の熟成年数の長い原酒をメインに使っていたとかかなあとも予想しています。

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